前原圭一。
口先の魔術師にして、赤い炎と呼ばれる男。
幾度となく惨劇に巻き込まれ、引き起こし――その末に運命を変えた成長型の英雄(ヒーロー)。
口先の魔術師にして、赤い炎と呼ばれる男。
幾度となく惨劇に巻き込まれ、引き起こし――その末に運命を変えた成長型の英雄(ヒーロー)。
キリト。黒の剣士と呼ばれ、やがて事件を解決することでゲーム内に閉じ込められた人々を救う英雄。
そんな彼らが、刃を交わしている。
「お前、強いな。これが部活だったら、きっとすごく楽しかったんだろうけど……残念だぜ」
部活。
それは前原圭一を構成する大切な要素の一つだ。
彼は雛見沢を救った英雄だが、たった一人では何も出来ない。部活メンバーが居たからこそ、なんとか運命に抗えたのだ。
それは前原圭一を構成する大切な要素の一つだ。
彼は雛見沢を救った英雄だが、たった一人では何も出来ない。部活メンバーが居たからこそ、なんとか運命に抗えたのだ。
「……ああ。そういうお前もな。……サチが、みんなが死んでなければ――願いが叶うなんて餌がなければ。俺たちは手を取り合えたのかもしれない」
金属音を鳴り響かせ、二人の剣が刃鳴散らす。
本来の実力ならばキリトの圧勝で終わっていたのだろうが、圭一に支給された剣、緋々色金がこの状況を実現している。
情熱を燃やすほど強くなるというその性質は、圭一と非常に相性が良い。
まだ誰が巻き込まれてるかなんてわからないし、首輪の解除方法もわからない。
本来の実力ならばキリトの圧勝で終わっていたのだろうが、圭一に支給された剣、緋々色金がこの状況を実現している。
情熱を燃やすほど強くなるというその性質は、圭一と非常に相性が良い。
まだ誰が巻き込まれてるかなんてわからないし、首輪の解除方法もわからない。
自分達は乃亜に対抗する手段が何もないとわかっているのに――諦めない。
絶対的に不利な状況でも。
どうしようもなく可能性が低くても。
それでも心の火を燃やし、抗うのが前原圭一という男である。
それに今の圭一には、部活メンバーじゃないが守るべき存在がいる。
どうしようもなく可能性が低くても。
それでも心の火を燃やし、抗うのが前原圭一という男である。
それに今の圭一には、部活メンバーじゃないが守るべき存在がいる。
「圭一さん、がんばってください……!」
水色髪の少女が声援を送る。
香風智乃――それが彼女の名前であり、圭一が守るべき存在だ。
香風智乃――それが彼女の名前であり、圭一が守るべき存在だ。
「おう!俺は絶対に――負けねぇ!」
自分が死ねばチノも間違いなく殺されてしまうから。
そんな惨劇、起こしてたまるか。それに圭一はようやく惨劇に打ち勝ち、ハッピーエンドを手にしたのだ。誰もが幸せな世界へ運命を変えたのだ。
そんな惨劇、起こしてたまるか。それに圭一はようやく惨劇に打ち勝ち、ハッピーエンドを手にしたのだ。誰もが幸せな世界へ運命を変えたのだ。
――もっとも北条沙都子と古手梨花に関してはその後に色々あるのだが、それはまた別の話。
その後もしばらく、両者の剣がぶつかり合う。
チノにはそれを見守ることしか出来なかった。何故なら彼女は普通の日常を過ごしていただけの少女で、圭一のような精神的強さもない。
チノにはそれを見守ることしか出来なかった。何故なら彼女は普通の日常を過ごしていただけの少女で、圭一のような精神的強さもない。
「がっ……!」
遂に圭一の肉体が袈裟に斬られ、血が流れ落ちる。
幸いにも傷は浅い。無論、圭一の闘志は燃え尽きない。
だがその姿はチノにとってあまりにも衝撃的で。このままだと圭一が死んでしまいそうで――。
幸いにも傷は浅い。無論、圭一の闘志は燃え尽きない。
だがその姿はチノにとってあまりにも衝撃的で。このままだと圭一が死んでしまいそうで――。
「け、圭一さん……!」
「へっ、ちょっとしくじっちまったな。でもまだまだだぜ。これくらいで倒れる前原圭一じゃねえ!」
「へっ、ちょっとしくじっちまったな。でもまだまだだぜ。これくらいで倒れる前原圭一じゃねえ!」
圭一は痛みに堪えて、それでもなお闘志を燃え上がらせる。
そして逆にキリトは迷っていた。サチを蘇生させてやりたいが、だからといってこんなデスゲームに優勝して――幾多もの屍を積み上げることが、本当に正しいのだろうか?
そして逆にキリトは迷っていた。サチを蘇生させてやりたいが、だからといってこんなデスゲームに優勝して――幾多もの屍を積み上げることが、本当に正しいのだろうか?
『えっと……えっとね、私が言いたいのは、もし私が死んでも、キリトは頑張って生きてね、ってことです』
――サチの言葉が脳裏に蘇る。
果たして彼女はこんなデスゲームの末に生き返って、喜ぶのだろうか?
果たして彼女はこんなデスゲームの末に生き返って、喜ぶのだろうか?
――キリトと圭一がここまで互角にやれているのは、キリトの心に迷いがあることも大きい。
相手は背教者ニコラスのようなモンスターじゃない。自分と同じ人間なのだ。
相手は背教者ニコラスのようなモンスターじゃない。自分と同じ人間なのだ。
クラインのように心底お人好しそうな少年と。サチ以上に無力で、弱そうな少女。
彼らを殺害した上で優勝したとして――サチはどんな気分で毎日を過ごすことになるのだろうか?
彼らを殺害した上で優勝したとして――サチはどんな気分で毎日を過ごすことになるのだろうか?
「どうした?剣の腕が、さっきより鈍ってるぜ!」
圭一に言われて、自分が迷いで弱体化していることに気付く。
彼は本当にクラインのようなお人好しだ。何故ならこんな状態でも急所を狙わず――キリトには幾つか傷が付いたが、どれもかすり傷程度。
「本気で来いよ、キリト!お前の全力を、ぶつけてこい!!」
圭一が叫ぶ。
心の底から――まるで崖っぷちに追い詰められたキリトを救うかのように。
だろうか?
心の底から――まるで崖っぷちに追い詰められたキリトを救うかのように。
だろうか?
『……俺の名前はキリトだ。悪いが、どうしても救いたいやつがいるから……君たちにはここでリタイアしてもらうことになる』
『はっ、やれるならやってみろよ。この前原圭一が居る限り――もう二度と惨劇を起こさせやしねぇ!』
二人の出会いは、そんなやり取りで。
チノを庇うように前に出て剣を構える圭一の姿は、キリトにとって印象的だった。
チノを庇うように前に出て剣を構える圭一の姿は、キリトにとって印象的だった。
そして前原圭一は、キリトを救おうとしてる。
罪滅し編でレナと屋上で戦った時のように――互いの全力をぶつけて分かり合おうてしている。
圭一から見て、キリトという少年は根っからの悪人には思えなかった。
それはチノも同じだ。……もしもココアが殺されたら、自分もきっと何らかの迷いが生じるかもしれないから。
罪滅し編でレナと屋上で戦った時のように――互いの全力をぶつけて分かり合おうてしている。
圭一から見て、キリトという少年は根っからの悪人には思えなかった。
それはチノも同じだ。……もしもココアが殺されたら、自分もきっと何らかの迷いが生じるかもしれないから。
『――生きて、この世界の最後を見届けて、この世界が生まれた意味、私みたいな弱虫がここに来ちゃった意味、そして君と私が出会った意味を見つけて下さい。
――それだけが、私の願いです。』
サチの言葉は――間違いなく、自分を殺人者(レッド)に仕立てあげるようなものじゃなくて。
それでも自分のせいで彼女やギルドのメンバーを死なせてしまった罪悪感もあって。
サチを。みんなを助けたくて。救いたくて。
もしも願いが叶うなら――みんなを蘇生したくて。
でも――そんなことサチは望まないと、わかってるから。
それでも自分のせいで彼女やギルドのメンバーを死なせてしまった罪悪感もあって。
サチを。みんなを助けたくて。救いたくて。
もしも願いが叶うなら――みんなを蘇生したくて。
でも――そんなことサチは望まないと、わかってるから。
「う、おおおおお!!!」
キリトは全力を圭一にぶつけた。
全力といってもヤケクソ気味に放った攻撃で、キリトのポテンシャルを最大限に発揮出来ているわけじゃない。
――ゆえにその一撃は圭一でもなんとか受け止められる。
全力といってもヤケクソ気味に放った攻撃で、キリトのポテンシャルを最大限に発揮出来ているわけじゃない。
――ゆえにその一撃は圭一でもなんとか受け止められる。
「やるじゃねえか、キリト!」
圭一が歯を食いしばり、キリトの斬撃を受け止める。
だがキリトというプレイヤーの持ち味は、一撃の強さではなくどちらかと言えば連撃だろう。
だがキリトというプレイヤーの持ち味は、一撃の強さではなくどちらかと言えば連撃だろう。
「……お前は本当にいいやつだったよ。さよなら、圭一」
初撃が防がれることを想定していたキリトは、迷わずもう一撃を加え――――。
「……そうはさせません!この瞬間、罠カード――くず鉄のかかしを発動します!」
チノがカードを掲げると、くず鉄で出来たかかしがキリトの一撃を食い止めた。
カカシはその脆さゆえにすぐ壊れたが――この一瞬を無駄にはしない。
カカシはその脆さゆえにすぐ壊れたが――この一瞬を無駄にはしない。
「ナイスだぜ、チノ!そしてキリト――いい加減に目を覚ましやがれぇぇえええ!!」
――圭一の正拳突きが、キリトを殴り飛ばした。
「この殺し合いに優勝して、復活させた誰かが喜ばないなんて、お前もわかってるんだろ?
それなのに一人で勝手に背負い込んで、復活させようだなんて――ふざけんじゃねぇ!
俺にも大切な奴らは沢山いるけどよ。そいつらはみんな、こんな惨劇の果てに生き返るなんて否定すると俺は信じてるぜ!!」
それなのに一人で勝手に背負い込んで、復活させようだなんて――ふざけんじゃねぇ!
俺にも大切な奴らは沢山いるけどよ。そいつらはみんな、こんな惨劇の果てに生き返るなんて否定すると俺は信じてるぜ!!」
口先の魔術師。そして赤い炎――前原圭一が黒の剣士に気持ちをぶつける。
キリトは一瞬だけ虚をつかれたような表情になるが――
キリトは一瞬だけ虚をつかれたような表情になるが――
「……たしかにこんなデスゲームで優勝してもサチは喜ばない。そんなことはわかってる。あいつは最期、俺に生きて欲しいって伝えてきたから。でも……それでも俺はあいつらを死なせてしまった罪を償わなきゃならないんだ」
罪。
その言葉は、圭一にもよくわかる。
自分も、かつて別の世界線でレナや魅音を――。
その言葉は、圭一にもよくわかる。
自分も、かつて別の世界線でレナや魅音を――。
「……お前の気持ちはよくわかる。俺も大切な仲間を殺したような記憶があって……別に俺自身が殺したはずじゃないけどさ。でもあいつらは最期まで――俺を恨まなかったんだ。だからキリトが誰かのために他の誰かを殺すなら、意地でも止めてやらァ!」
別の世界(カケラ)の記憶があるからこそ。仲間の大切さ、尊さを知ってるからこそ――キリトに殺人という罪をやらせはしない。
その熱い気持ちはキリトにも伝わったのか、彼は剣をしまった。
その熱い気持ちはキリトにも伝わったのか、彼は剣をしまった。
「わかったよ、圭一。……こんなことしてもサチが喜ばないのは、薄々気付いてた。俺だって誰かの犠牲で生きるなんて、嫌だからな」
「おう。よろしくな、キリト!」
「おう。よろしくな、キリト!」
圭一が手を差し伸べると、キリトは「いや、お前たちとは行動は出来ない」とそっぽを向いた。
「俺はソロだ。……もう誰も巻き込みたくないんだよ、圭一」
「へっ、何をソロなんてカッコつけてんだよ。互いに気持ちをぶつけ合ったなら、もう俺たちは仲間だろ」
「へっ、何をソロなんてカッコつけてんだよ。互いに気持ちをぶつけ合ったなら、もう俺たちは仲間だろ」
圭一の言葉を聞いて、キリトは感情を揺さぶられるが――チラりとチノの方を見る。
「お前が大丈夫でも、あの子が危険だ。……俺にはあの子を守れる自信が無い」
「私も大丈夫ですよ、キリトさん。さっきもこのカード(くず鉄のかかし)でサポートしたじゃないですか」
「それはそうだけど、でも……」
「それはそうだけど、でも……」
キリトの表情は暗い。
もう誰も巻き込みたくないから――。
もう誰も巻き込みたくないから――。
「だーっ、もう!チノちゃん本人が大丈夫って言ってるんだからそれでいいだろ。それに俺の仲間にもこれくらいの幼女がいるんだが――意外と幼女ってすごいぞ?」
「圭一さん。私は幼女じゃないです、中学生です」
「圭一さん。私は幼女じゃないです、中学生です」
「「えっ」」
自分達と歳が近いことに驚く二人。
そんなやり取りをしてるうちに仲良くなって――結局、キリトも二人と一緒に行動することになった
そんなやり取りをしてるうちに仲良くなって――結局、キリトも二人と一緒に行動することになった
――果たしてキリトは今度こそ大切なモノを守ることが出来るのだろうか?
【前原圭一@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:緋々色金@Dies irae
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:乃亜の野郎をぶっ倒して、惨劇に抗う
1:チノちゃんは守るぜ
2:キリトやチノちゃんと惨劇に抗う
3:部活メンバーが居たら早めに合流したいな
[備考]
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:緋々色金@Dies irae
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:乃亜の野郎をぶっ倒して、惨劇に抗う
1:チノちゃんは守るぜ
2:キリトやチノちゃんと惨劇に抗う
3:部活メンバーが居たら早めに合流したいな
[備考]
【香風智乃@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:健康
[装備]:くず鉄のかかし@遊戯王5D's
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:生き残りたいです
1:圭一さんやキリトさんと行動しましょう
2:ココアさん達が巻き込まれてないか不安です
[備考]
[状態]:健康
[装備]:くず鉄のかかし@遊戯王5D's
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:生き残りたいです
1:圭一さんやキリトさんと行動しましょう
2:ココアさん達が巻き込まれてないか不安です
[備考]
【キリト@ソードアート・オンライン(アニメ版)】
[状態]:健康
[装備]:エリュシデータ@ソードアート・オンライン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:乃亜を倒す。もう誰も殺させやしない
1:圭一とチノを守る
[備考]
1期の3話「赤鼻のトナカイ」終了直後からの参戦
[状態]:健康
[装備]:エリュシデータ@ソードアート・オンライン
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:乃亜を倒す。もう誰も殺させやしない
1:圭一とチノを守る
[備考]
1期の3話「赤鼻のトナカイ」終了直後からの参戦
【くず鉄のかかし@遊戯王5D's】
香風智乃に支給された。
香風智乃に支給された。
①:相手モンスターの攻撃宣言時に、その攻撃モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃を無効にする。発動後このカードは墓地へ送らず、そのままセットする
今回のロワでは相手の攻撃を一度だけ無効化出来る。使っても消えないが、一度使うと一定時間使えなくなる。ターンやバトルフェイズという概念がないため『一定時間』という処置を施されたカード