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聖少女領域

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「大丈夫? イリヤさん」

「うん、ありがと。美柑さん」

「熱いからゆっくり飲んで」

結城美柑が淹れたホットココアを受け取り、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンはぺこりと小さく会釈をした。
シャルティアとの交戦を終えた後、孫悟飯に担がれ雪華綺晶と共にイリヤは美柑の待つ民家へと運び込まれた。

「しかし、ローゼンゆうのもけったいな奴やなぁ。こんな呪いの人形7体も作るなんてなぁ。
 まあ腕のええ魔術師は大体変人なんやけども、クロウの奴もせやったわ」
「あの、呪いというのは訂正して欲しいのですけれど」
「ほんま苦労しとるみたいやな。なあ? きらきー!」
「き、きらきー……」

目が覚めた時、知らない女の子の美柑に顔を覗き込まれ驚いたが、美柑と一緒に居た空飛ぶぬいぐるみケルベロスが陽気な性格なのが幸いした。
ずかずか話してくれるケルベロスのお陰で自然と会話が弾み、お互いの警戒は解けていく。
些か強引で人の話を聞かないケロべロスに、雪華綺晶は振り回されているが。

「ケロべロスさん、そして雪華綺晶さん……僕は、ニンフさんと美遊さんを埋葬してきます」

僅かな休息すら拒むように悟飯は急いていた。

「悟飯、死んだ子らが気になるんは分かるで。せやけど……」
「あの女、グレーテルやシャルティアが何をするか分かりません。
 遺体でもあいつらの好きにはさせられませんよ! それに、のび太君もまだあの辺に居るかもしれない!!」

一方的に叫んで、悟飯は仮の拠点としていた民家から飛び出す。
ケルベロスと雪華綺晶が止める間もなかった。

「あの坊主、人の話も聞かんでほんまに」

悟飯からシャルティアとの激戦とその後の悲劇に関しては聞いていた。
美柑を置いてけぼりにしたのはともかく、結果としてイリヤと雪華綺晶が助かったのは良かったのだろう。
ケルベロスも自分の反対を押し切られたことは良く思えないが、犠牲者が減った事は認める。
その後に出来事も無理をしたとは思うが、状況を思えば一概に責める事もできない。
のび太という少年の介入がなければ、きっと悟飯の思惑通りに進んだ筈だ。
だからこそ、まだ一回放送前だ。放送まで時間を置いて休息を取りながら、埋葬に向かっても遅くはないだろうに。
戦闘が出来るらしいイリヤも目を覚ましたとはいえ、美柑に介抱されている状態で置いて行かれても困る。

「きらきーも戦えるとは言え、そのシャルティアゆうバケモンやさっきの黒ドレスの女がこっちに来たら、どうしようもないやろに」

「ケルベロスさんは……」

「ワイも真の姿になれれば戦えるんやけどな。
 ほんまカッコええんやで、ワイの真の姿。きらきーに見せてやりたいもんや。
 でっかい翼が生えてな? 顔もイケメンなんや!!」

余計な情報は頭から排除しつつ、雪華綺晶はこの場の戦力を数える。
正直に言えば相当辛い。
シャルティア程ではなくても、グレーテルやクロ等に襲撃されれば応戦も難しい。
実体を得た事で弱体化した雪華綺晶と、連戦を重ねたイリヤでは誰の犠牲もなくそれを凌ぐのは現実的ではない。
やはり、悟飯にここに残って貰う方が最善だったのではと思う。

「ケルベロスさん、悟飯さんの事なんですが……」

「言いたいことは分かるで。明らかに様子がおかしいわ」

美柑達と合流した時、悟飯と一切目も合わさずぎこちない会話をしていたのを雪華綺晶は印象深く覚えていた。
そういう女の子なのかと思っていたが、イリヤと美柑は普通に会話しており何ならとても大人びた雰囲気を醸し出している。

「ワイが起きた時には、もうギスギスしっとたからなあ……」

だからこれは、きっと悟飯との間に問題が生じているのだろう。

「あのイリヤの嬢ちゃんが復帰して、そんで悟飯が戻ってくるまでここで息潜めて大人しくするしかないわな。
 まあ、この家あんま目立たんとこにあるさかい、余程の事がなければ大丈夫やろ」

「ええ……」


────




乃亜の放送が流れた。
内容はイリヤにとって予測できたものだった。
友である美遊・エーデルフェルトと乃亜に抗うと誓った仲間ニンフの死。
だが、それは更に最悪の情報で更新されていく。

「美遊……まさか、嘘だよね……」

────クク、誰とは言わないけど仲間がいるか確認もせず、早とちりして意味なく死んだ馬鹿な女の子も居たからね。

これだけなら、まだ違うと言い切れる。

────何やら祈って死んでたけど、あれは見てて傑作だったよ。

だが、この最期をイリヤは目撃していた。目の前でシャルティアに殺害されたのだ。
その時、美遊は祈っていた。イリヤの無事を。
最後まで紡がれることはなかったけれども、その真意はイリヤにも伝わっていた。

「乃亜……何がしたいの? 貴方は……」

名簿を最初から開示しなかったのは、美遊を誘導する為だったのか。

『姉さん……』

考えたくはないが、美遊とルビーの態度は妙だった。
彼女達がどんな心境だったのかは分からないが、名簿を確認させない事で美遊を殺し合いへ乗るよう仕向けた。
そして、美遊とイリヤが再会できるように近くに配置した。

「はあ~やっぱりおるんかぁ」

開示された名簿を見て、ケルベロスは溜息を吐きながら「さくらが居る」と呟く。
これは想定内で、ケルベロスも事前に皆に説明をしていた。
自分を道具扱いで放り込んだのだから、その主のさくらも巻き込まれているだろうと。
恋人と友人の李小狼や大道寺知世もあるいはと考えていたが居ないのは嬉しい誤算だった。

「黒薔薇のお姉様がいらっしゃるようです」

雪華綺晶は少し予想外の知人の名に驚いていた。
究極の少女をテーマに生み出された薔薇乙女全員に、欲しくもないこの殺し合いの参加資格があるのは理解していたが、それでも呼ばれるのは第6ドールの雛苺だと思っていたからだ。
末妹の自分が居るのなら、無難に考えればその次の姉の彼女の可能性が高いだろうと。

「非常に強いお姉様です。戦いという点では……私達、薔薇乙女の中では恐らく最強でしょう」

「その娘は……」

イリヤが不安そうに声を上げる。
雪華綺晶が、殺し合いに巻き込まれる以前の話は大体聞いていた。
アリスゲームという別の殺し合いの渦中に居て、雪華綺晶もかつては積極的に戦いを加速させていたとも聞く。
その中で戦いを得手とするのなら、好戦的で殺し合いに乗っているかもしれないからだ。

「大丈夫です」

以前の水銀燈ならば、雪華綺晶も危険人物だと警戒を強めていた。
だが、アリスゲームを経て真紅を勝者と認めた水銀燈なら別だ。
素直じゃないが、ローザミスティカを失った真紅を復活させる為に、桜田ジュンに助力もしている。
ここでも嫌味や愚痴を散々聞かされるだろうが、きっと力を貸してくれるだろう。

「今のお姉様なら、きっと力になってくれる筈ですわ」

まさか、この島に居る水銀燈は自分と敵対している時間軸から呼ばれたのだと、雪華綺晶は思いも寄らない。


「ヤミさん……!」

そして、一番有力な情報なのが美柑の言う金色の闇という少女だった。
殺し屋という経歴はともかく、現在は美柑と接することで日常に馴染み温厚は思想になっている。
何より戦力として、非常に頼もしい。
美柑の話す範疇でも、高い規模の戦闘力を有しているのが伝わってきた。
その人柄も名簿に名を見付けた瞬間、安堵感から今にも泣きそうな顔になった美柑を見れば信用もできそうだった。
美柑もヤミが居ない方がいいのは分かっているが、やはり力になってくれるのなら心強い。

(……私、勝手だ。悟飯くんにもあんな態度取って、それにヤミさんだって殺し合いなんかに居てくれた方が良いわけないのに)

より強く自分への嫌悪感を強め、そして罪悪感も募らせながら。
それを悟らせないように、顔を俯かせる。


「おーい、イリヤ!! どこー!!?」


名簿を確認した頃合いを見計らったかのように、少年の声が響き渡る。
小柄で気付かれ辛い。仮にバレても、お互いぬいぐるみと人形のフリをするよう打ち合わせたケルベロスと雪華綺晶が、こっそりと窓から外の様子を伺う。

「のび太さん?」

声も容姿も雪華綺晶の知る野比のび太その人だった。

「本当だ。のび太さんだよ」

イリヤも確認するが間違いない。

「のび太っていうと、イリヤの嬢ちゃん達の仲間やったな……じゃあ横の姉ちゃんもそうなんか?
 あの恰好、おかしいやろ」

『あんな痴女、見覚えはありません』

「どう考えても変やで。
 あんなけったいな格好した姉ちゃんが横に居るんは」

ケルベロスの言うように、のび太の横に居た金髪の少女。
ルビーのような真紅の瞳にシミ一つない白い肌、そして整った美貌は人目を惹く。
ただ、その服装が常軌を逸していた。
黒い布っ切れのような衣服で、雑に小ぶりな乳房と股を覆うだけの露出過多な格好。
尻など布が割れ目に食い込んでいた。
この場に居る全員が、あれは変態だと確信する。それ以外のワードが浮かばない。

「あれが本物ののび太か分からへんな」

ケルベロスの知る中ではミラーのカードなら、他人と同じ容姿になることが叶う。
これがそうかは判断が付かないが、のび太に成りすました別人ということもありうる。

「……私が最後に見たのび太さんとは、少し様子が変です」

「雪華綺晶ちゃん?」

「マスター、ケルベロスさんの言うように警戒した方がいいかと」

気絶したイリヤは見ていないが、雪華綺晶は悟飯とのび太の一部始終をその目で見ている。
悟飯がニンフを誤殺した際ののび太のパニックさが嘘のようだ。
痴女の同行者が落ち着かせたとも考えられるが、果たしてシャルティアやグレーテルもまだ近くに居るかもしれない場で大声などあげるか?



「ヤミさんだ。ケロちゃん! ヤミさんだよ!!」

「……なんやて? 嘘やろ…」

ケルベロスは引き気味に尋ねる。
美柑の語る金色の闇とは月とスッポン程の落差がある。
真面目でクールで頼りになる少女という話が、実際には痴女でニタニタと艶めかしい笑みを浮かべた変質者だ。

「ヤミさんだよ。間違いなく……」

しかし、様子がおかしいのは美柑から見ても明らかだった。
確かダークネスという形態で、色々あったのは聞いている。角は知らないが、リトと変な格好でくっ付いていた時と同じ服装なのもきっとその証拠だ。

「……多分、ダークネスって言う力で」

ヤミの力が暴走したが、モモ達の協力もあり、リトがそれを食い止めた話は美柑は聞いていた。
これも同じように暴走しているのか。
しかし、それならきっとあののび太という少年はただでは済まない。

「制御、出来てるのかな……」

「暴走する代物なんかいな」

それは美柑からしても判別が付かない。

「だけど、のび太さんを放っておけないよ」

ヤミ一人であれば、気付かれないようやり過ごすという選択肢もあった。
イリヤにとって仲間であるのび太が居るのであれば、偽物の可能性があっても見過ごせない。
彼は射撃の飛び抜けた才能はあるが、それ以外の戦闘手段をほぼ持たない無力な子供だ。
暴走しているかもしれないヤミと一緒になど出来ない。


「のび太さん」


今、この場で一番体力を温存し戦える雪華綺晶とヤミについて知っている美柑が二人に接触する。
そしていざという時は、雪華綺晶の茨でヤミを足止めし、ケルベロスとサファイアと共に潜んだイリヤが転身し美柑とのび太、雪華綺晶を連れ飛んで逃げる。
雪華綺晶は言わずもがな、美柑とのび太は子供で体重も軽い。
イリヤにかなりの無理を強いてはしまうが、逃げられなくはないだろうという判断だ。

「良かった……無事だったんだね」
「あの、横の彼女は……」

怪訝そうに見つめる雪華綺晶の心境など知らないまま、のび太は朗らかに言う。

「大丈夫、僕はこの人に助けて貰ったんだ」



────





のび太が目を覚ました時、ヤミは彼に心を落ち着かせるマッサージを施した。リンパの流れを正したと話した。
当初は目が覚めたら、今度こそ絶頂させてそのまま殺害しようと考えていたが、ここまで碌に参加者と出会えずにいたのを思い出す。
ここは一度、のび太から別参加者との接触はあったか情報を引き出すのも悪くない。
また我慢するのは腹正しいが、一度のび太のお漏らしで楽しめたのもある。
その為に話したマッサージという嘘も、性知識がまだ不十分なのと、小学生の浅い教養なのも影響したのだろう。のび太はそういうものなのかと納得し、あろうことかヤミに感謝までしていた。
落ち着けた事で、凄惨な光景を作り出してしまった自責の念や悟飯への反感や恐怖について、改めて向き合うことができた。
取り合えず、一度はイリヤ達と合流しなくちゃいけない。そこに悟飯が居たとしても、ちゃんと話し合う方がきっと良い筈だ。
それらの考えをのび太が口にした時、ヤミはのび太にもう一つの利用価値を見出した。
自分は変態の格好をしている。その自覚はある。
それではやはり無駄に警戒を誘発し抵抗されてえっちぃ事から遠ざかる。
だが、仮にものび太を保護した善良な対主催の体であれば、警戒はされ辛い。

「さ、サファイア…リンパって……そういう、あの……」

『イリヤ様、それ以上はいけません』

「あの姉ちゃん、マッサージ師には見えへんけどなあ」

隠れながら、のび太の様子を伺うイリヤ達。特にイリヤはマッサージと語るのび太の顔が気まずそうなのが気になる。
しかし、それ以外の話の筋は通っているようにも聞こえた。
混乱状態ののび太を落ち着かせ、ここまで守って連れてきてくれたのだけは確かだ。

「……」

雪華綺晶は警戒を維持したまま、自分の横の美柑へと一瞥する。

「美柑、フフ……ようやく会えましたね」

「ヤミさん……?」

美柑も困惑していた。
改めて対面したこのヤミが、自分の知るヤミとあまりにも違っていることに。
服装を除いても、口調や容姿も全く同じなのに、見たことのない艶めかしい笑みとそこから滲ませる冷たい雰囲気が美柑を凍てつかせた。
かつて出会った地球に来た当初のヤミのような孤独感とも違う。
あの頃のヤミですら、こんなにも冷たい殺意は持っていなかった。

「雪華綺晶さん────」

友達であったが為に、この場の誰よりもヤミの異変を感知し警鐘を鳴らす。
名を呼ばれた雪華綺晶もただならぬ美柑の荒げた声に茨を展開する。

「な、なにをするん……うげっ……!!」

自分と美柑を覆うように茨を広げ、そしてのび太を絡めとり引き摺るように雪華綺晶の背後へと放り投げる。

「勘が良いですね。流石、美柑」

次の瞬間、ヤミの金色の毛が二つの拳へと変身し数十以上の打撃を打ち込んできた。
自らの前に広がる茨の棘を物ともせず、何度も殴りつけてくる拳の圧力が雪華綺晶の顔を歪ませる。

「ぐっ……!」

何重にも重ねた茨の盾が破られ。金髪の拳が雪華綺晶へと打ち込まれる。
その小さな体躯はあまりにも呆気なく、バットで打たれたボールのように軽々跳ね飛ばされていく。
そのまま地べたを転がって、純白のドレスは泥に塗れ汚されていった。

「砲射(フォイア)!!」

「!?」

ヤミの危険度を察知したイリヤが雪華綺晶とヤミの合間に割り込む。
サファイアを介し形成した魔力の砲弾。
仮にも美柑の友達であり、何かの外的な理由により自分の意思ではなく、こちらを襲っているかもしれないと考え、イリヤは一定の加減をした。
だが、相手は仮にも数多の標的を葬ってきた最上位の殺し屋。
そんなものでは、到底ヤミには通用しない。
ヤミはそれを笑みを絶やさぬまま、金髪の拳で弾く。それどころかより笑みを深めていた。


「あ……ぁ、……あなた……あなた……あなたって……!」

「な、なに……?」





「とーーーーーーーーーーーーーっっっっても♪ えっちぃ」





イリヤの美貌に見惚れ、そしてヤミは頬を紅潮させる。
絹のように滑らかで、雪のように透き通った白銀の髪。
汚れ一つない白の美肌と、強い意志を秘めたルビーの瞳も美しい。
小さく膨れた胸の丘は、未成熟で生意気な自己主張をし自然と目線が吸い寄せられてしまう。
腰のくびれも艶めかしいウェーブが生まれていて、背にある桃尻が前面からでも見て取れる。
そんな秘めたる少女の肢体が薄っぺらな水着のような紫色の布っ切れ一つで覆われているのだ。
ぴっちりと密着し、布はイリヤの乳房の形を精密に浮き上がらせる。同時に無駄な贅肉のない均整の取れた腹筋をヘソまで浮かばせ、より官能的に彩っていく。
しかも本人はそれに気づいていない。何食わぬ無垢な顔で、あんなハレンチな格好を平然としている。
見ているだけで、ヤミは自分の息が上がり興奮していくのを自覚していた。
自らも含め、結城リトの周りには美女が多い。地球はおろか、全宇宙からトップクラスの美女たちが集っていると言っても過言ではない。
その中にも食い込めるであろう美貌とスタイルの持ち主だった。
更に恐ろしいのは、彼女はまだ幼く成長途中の青い果実。高い成長性を秘めているという点だろう。

いずれにしろ。一つだけ言えるのは、この女えっちぃ過ぎる。

「宣言します。貴女は最高にえっちぃ事をして殺しますから」

「ええーっ!? ど、どういうことなのぁー!!」

少なくない戦闘の経験から、相手が殺意を滾らせているのは分かっている。
だが、それ以上に発情した獣の表情にイリヤは理解が追い付かない。

「決まっているでしょう。貴女にはとっても気持ちよくなって貰って、とってもえっちぃな痴態を晒して貰って……そして、絶頂を超える絶頂の快楽の中、死んで貰うんですよ。
 そうして────あの人へ捧げる手向けになる」

「あの人って…リトのこと、言ってるの?」

ヤミの言うあの人、それは美柑の兄である結城リトの事を言っているのだろう。

「ええ、貴女も大好きな結城リトのことですよ」

「……うそ、でしょ」

ヤミがリトを好きなのは知っている。だけれど、こんなのは違う。
人を手向けと言って殺して、それでリトが喜ぶ筈なんかないのに。

「私はこの殺し合いを終わらせて、そして結城リトを殺して一つになる。
 美柑、貴女も────」

あなたも……もう一度、そう言いかけてヤミは言葉に詰まった。
リルトット・ランパードの交戦後と同じように、疑問が生まれる。
こんな殺し合い、真っ当な手段で抜け出すなど不可能なのだから、全員えっちぃ目に合わせて殺して、結城リトの元へ帰還しそして彼も殺す。
美柑もこのまま怖い目に合うよりは、自分の手で殺した方がずっと良い筈だ。何も間違ってなどいない。

「させないよ」

イリヤはヤミを強く見つめる。
自分の横の美柑も。
結城という苗字は美柑と同じものだった。
きっと、兄妹でお兄ちゃんなのだろうと思う。兄を好きな気持ちは、イリヤにも痛い程理解できる。
イリヤにとって妹がお兄ちゃんを好きだなんて、当たり前の事なのだから。
それにヤミの事も、とても大事な親友だと美柑から語られたのを覚えている。


「イリヤさん?」

「大丈夫、美柑さん。
 絶対に二人を死なせる事なんて、私がさせないから!」

訳が分からないまま、美遊と死に別れてしまった自分と違って美柑とヤミは生きている。
まだ間に合う。
あの変態的な思想に憑りつかれた少女を正気に戻し、二人の友情と絆を取り戻してあげたい。

『イリヤ様……』

「分かってるよ。無茶をしてるって」

シャルティア戦後からまだ時間はあまり経っていない。
体力も魔力もまだ回復しきらず、底を突きかけている。

「だけど……」

殺し合いに乗ったかもしれない美遊(ともだち)を止める事も怒る事も、もう自分には叶わない事だから。

「もう、こんな悲しい事は私達で最後にしないと」

まだ間に合うかもしれないこの二人には、同じ轍を踏んで欲しくなんかない。

「言いますね。ハレンチ小学生の癖に」

「ハレンチじゃない!」

「鏡見たことある?」

『失礼な! れっきとした魔法少女の正装だというのに』

魔力の砲弾を掻い潜りながらヤミは一気に肉薄する。

「そんな、スク水みたいな衣装で言われも説得力ないかな」

お互いの唇が触れ合いそうな程の距離の中、ヤミの甘い香りが鼻腔についた。
イリヤが見惚れる程に美人で、こんな時でなければ同性のイリヤもドキドキしていたに違いない。

(きた────)

ヤミの金髪が蠢く。変身(トランス)の前兆だ。

「斬撃(シュナイデン)!」

魔力を鋭利な刃物へと変える。球状の砲弾のような用途から一変した事に、ヤミも反応が遅れた。
拳を形作ろうとした髪が断髪され、ボリュームのある金髪が舞っていく。

(やっぱり、基本は髪の毛なんだ!)

能力の大本は髪の毛。
その性質は、刃物であっさりと斬れるものだ。
それならば戦い様はある。
髪を操り武器へと変身する前に、斬撃をメインに攻撃を封じる。そして本体への攻撃を砲弾で直撃させれば、殺すことなく無力化出来るかもしれない。

「ふーん、私の能力を髪を操る程度のものだと思ってるなら────」

「駄目、イリヤさん!! 変身能力は……」

全身を変えられる。

その声が届くより先に、ヤミの右手が一振りのハンマーへと変身する。
イリヤの顎下、鳩尾に吸い寄せられるようにハンマーが叩き込まれた。

「───ッ?」

光と共に、巨大な縦長の岩がヤミのハンマーを遮る。
先程まで存在しなかったそれは無骨でありながら、人が握るよう設計された剣だった。
だがそれ一本の全長は人間が使うことを想定していない巨大さ。


「乱入?」

別の第三者が割り込んだ可能性を考慮し、ヤミは岩剣から退き周囲を警戒する。
この岩剣はイリヤが扱えるような代物ではない。つまり、別人が使用したものではないか。
体躯の違う異星人も存在する事から、このような岩剣を軽々と振り回す戦士を抵抗なく想定してしまったが故の行動だった。

「違うよ。これは────」

岩剣が再び光に包まれた瞬間消失し、イリヤが杖として使用していたサファイアへと変化する。
サファイアを手に取ったイリヤは雷のように加速し、ヤミの懐へと潜り込む。

『変身は貴女だけの専売特許ではありません!!』

英霊の力を秘めたクラスカード。イリヤ達の主な用途は二つ。
いわゆる、特撮ヒーローのようなフォームチェンジに当たる夢幻召喚(インストール)。
これは英霊と同化することで、肉体のスペックもスキルもほぼ同等のものを再現する。
疑似的な英霊の召喚であるが、魔力や体力の摩耗に加え場合によっては大きなデメリットも存在する諸刃の剣の一面もある。
だが、もう一つ。その劣化とも、あるいは限定的な英霊の行使とも言える用途が存在する。
限定展開(インクルード)。
英霊の力の一部をステッキに宿し、顕現させる召喚方法。
それはステッキを英霊の宝具のみを呼び出すという形で行使し、使用者の負担も少なく済む。
宝具単体で使用可能な代物であれば真名解放することも可能だが、この岩剣のような並外れた怪力を必要とするような特異な武器では召喚するだけで、持て余すという事態にもなりうる。
だが召喚し、その場に留めることだけでも価値はある。
バーサーカーのクラスカードの限定展開はその岩剣のみを呼び出す。
ナザリック最強の守護者シャルティア・ブラッドフォールンが武装した上で、終ぞ打ち砕く事も叶わなかったほどの硬度と強度を誇るその武器は、一度限りの盾と目晦ましには十分すぎる。

「砲射!!」

超至近距離から、残った魔力を溜めに溜めた魔力弾の放出。
この一撃でヤミの意識を奪えさえすれば、一時的にでも拘束し彼女を美柑の知る元のヤミへ戻す方法もあるかもしれない。

「貴女って、とっても健気で可愛くて……」

魔力の光に照らされたヤミの顔は、未だ彷彿とした不気味な笑みを浮かべていて。

「イリヤ!!」

何かに気付いた雪華綺晶が痛む体を酷使しながら茨を伸ばす。
遅れてイリヤも異変に気付く。

「───えっちぃ」

ヤミのランドセルから海水が飛び出す。
帝具、水龍憑依ブラックマリンによる海水の操作。
ありとあらゆる液体を操作するその能力は液体があればあるだけ力を増す。
ヤミとて、リルトットとの交戦以降のび太と出会うまで、ずっと遊んでいた訳ではない。
支給されたランドセルに質量を無視する性質を持っていることに気付いた後、時間が許す限り水をランドセルに詰め込んでいた。

「なに、これ…ちょっと……!」

水は雪華綺晶を茨ごと吹き飛ばし、その後細長い触手のように枝分かれし、イリヤの未成熟なボディラインをなぞっていく。
魔力弾を放出する寸前、イリヤの全身から甘い感触が迸る。
痛みとは別の感覚、痛みであれば一定の範囲で耐えきれたが、まだ幼い少女のイリヤにとっては未知に等しい触感と愛撫の悦楽にイリヤは僅かに思考と動きを停止した。

「その杖は没収♪」

「あ、っ……」

触手と化した水によりサファイアも絡めとられていく。
サファイアを遠ざけられた事で、イリヤの戦闘手段は絶無となる。

『イリヤ様!』

元より、イリヤも自覚する程に無茶を押し通した戦いだった。
今のイリヤは絶不調の頂だ。
クラスカードの使用も限定展開に留まっているのも、夢幻召喚を使わないのではなく使えないから。
今の状態では負担が重すぎて、それを維持できない。
シャルティアとの死闘の影響は大きい。僅かな休息では埋められない程に。

「こういうのも、中々えっちぃくて良いですね」

水がイリヤの服の下を弄る。

「ん、ぁ……♡」

ひやりとした水の冷たさと、意志を以て統制された水流の動きがこそばゆい。
腰を撫ぜられ、尻を揉みしだかれ脇の下を擽られていく。

「あれ? まだえっちぃ所、何も触ってないのに……イケない娘」

「ふ、ぅ……っ♡」

水がイリヤの身体の熱を吸い、表面の温度が温かくなっていく。
ブラックマリンの細かな調整によるものだ。常に人体に触れる箇所を同じにし、人体とほぼ同じ熱を保つように操作している。
完全な体外の物質であった冷ややかな水が、人にとって最適な温かみを含んでいくとき、違和感が心地よさへと変わっていく。
冷たさで微かに震えた体は、その硬直を解き抵抗を和らげていく。
愛撫に耐えていたイリヤの身体から力が抜けていく。


「っ~~~~~~♡!!?」

温水に触れていたイリヤの体が突然の違和感に反応する。
胸の周りを水が弄った時、ヤミはそれを敢えて冷水の表面で触れた。
小ぶりな乳房を冷水で撫で、揉みしだく。
温水の心地よさに慣れていたイリヤは、冷たい水で触れられる乳房に意識を割いてしまう。
胸だけが冷やされ、イリヤの神経は乳房のみ鋭敏にされていく。

「見て、貴女のここ……とってもえっちになってますよ」

ぴっちりと体のラインを浮き彫りにするマジカルサファイアの服は、その下の痴態を包み隠さず露わにしてしまう。
まだ発育途中の青い果実の丘にある桃色の頂が、ぷっくりと服を押し上げイリヤの意思に反して強く己を主張する。

「胸を揉んだだけで、こうなるだなんて……。
 ねぇ? 吸ったらどうなっちゃうのかな」
「ぁ、ぁっ~~♡」

胸の周りの水が形をうねうねと変えていく。
変身のような要領で、それが人の口を形作っていく。
模倣するのはハレンチの化身、結城リトのそれ。
どんな女であろうとも、いとも容易く感じさせ快楽を齎す口技。
乳房の先、その根元からから嘗め回し、舌先で擽られてから一気に先の小さな丘の頂が加えこまれる。
冷たい水の触感が、その口内は温かな人肌の温度で保たれていた。
疑似的に再現された他人の口内、ねっとりした生暖かさと強い吸引を受けながらイリヤは喘ぎ声を漏らしだす。

「こ、こ…ん、なぁ♡……こん、にゃ……ぁ、っ……♡♡」

「あぁ……本当に、ほんっとうにぃ…えっちぃ……」

快感に喘ぎながら、呂律も回らない。
そんな無様な有様を晒しながら、その宝石のような瞳に宿った火は未だ消えていない。
より強く、ヤミを睨む。
だからこそ、ヤミはその視線だけで感じてしまう程だった。
キウルのように、男なのに女のように悶えるのも。
小恋のように、心に決めた相手とは違う相手によって、気持ちよくさせられてしまう背徳感も。
のび太のように、男としてありえざる強制放尿によるお漏らしも。
ヤミに新しいえっちぃ事を教えてくれた。

「ぜ、ぜ……っらい……♡ わ、ら……ひ、ぃ…♡ は、ぁ……ッ!」

こんなにも可愛くて。
こんなにも美しくて。
こんなにも子供なのに性的な体つきをしていて。
こんなにも気持ちよくさせられて。
こんなにもよがらせているのに。

まだ諦めていない。まだ折れていない。まだ屈していない。

こっから抜け出す方法なんて、もうない癖に。
とっても滑稽で哀れで切なくて。
もっともっともっともっと、虐めてあげたくなってしまう。

「貴女が何処まで耐えきれるか、私見てみたくなっちゃった」

「ひ、ぐっ……♡」

精神は高潔で、その目はまだ死んでいないのに。
体はどんどんえっちぃ事に染まって犯され侵食されていく。
肉体の電気信号はイリヤの意志の及ばない脳にまで到達し、その刺激によって別のスイッチを押していく。
まだ子供が行ってはいけないとある行為へと。
生き物が共通して備える本能を刺激し、理性を退けその欲望を解放させようとしていく。
異なる性を受け入れようとする準備を完了させてしまう。

「さあ、もっと見せて……イリヤスフィール」

イリヤの股下の異変に気付いたヤミは嗜虐的で艶めかしい笑みを浮かべる。





「なん、だ……これ………」




目の前で、一人の少女の尊厳を奪い去ろうという蹂躙劇を目の当たりにして、のび太は呆然としていた。
何がマッサージだ。何が落ち着かせてくれただ。
こんなの、間違っている。
どうしてこんなことに気付けなかった。どうして、あの女の子の危険さに気付けなかった。

どうしてあんな女の子を、イリヤの元へ連れて行ってしまったんだ。

「僕の、せいだ……」

自暴自棄になって。
逃げ出して。
出会った女の子に言い様にされて。
何も考えないで。
考えてしまえば、リップの死んだ姿を思い出してしまうから。
ニンフの死に顔が自分を恨んで、呪っているように見えてしまって。
自分のせいで起きた惨劇を、あの胴着の男の子に押し付けようとする自分の嫌らしさから目を背けたくて。
だけど、その罪と向き合う程の強さも勇気も自分にはなくて。

「何やってたんだよ……っ! 僕は!!」

女の子の前でおしっこなんか漏らしてる場合じゃないだろ。

「やめてよ! ヤミさん!!」

「坊主、アカンで!」

のび太は叫びながらヤミに向かっていく。
勝ち目などなくても、自分のせいでこんな酷い目に合わされてしまったイリヤを何とか逃がさないと。
ほんの一瞬でも、自分に気を取られてくれればイリヤが逃げるくらいの隙にはなるかもしれない。

「野比のび太、貴方には感謝しないと。
 貴方のお陰で私はイリヤスフィールに出逢えましたから」

こんなえっちぃさを小さな体に秘めたドスケベハレンチ小学生との邂逅は、ダークネスとなったヤミには衝撃的だった。
だから────。

「貴方も最高にえっちぃイリヤスフィールを一緒に見ましょう?
 そして、とっーーーても気持ち良くしてから殺してあげる」

「あ、ぁ……あひいいいいいい!!」

先程と同じように水が服下に潜り込み、乳首とチン〇ンとその下の弱点を掌握される。
もうこうなると、のび太にはどうにもならない。
アヘアヘしながら、喘いでいく。

「ど……どうしよう……わたし……どうしたら、わたし……」

「落ち着き! ダークネスちゅうんは、一度は止める事が出来たんやろ? 
 その方法はなんや!?」

ケルベロスの推測通り、ヤミは一度暴走したダークネスを仲間と友の力によって静止させられた事がある。
結城リトへの恋心でバグが生じたダークネスには、その方法が存在する。

「確か、リトが……ヤミさんにハレンチなことして、セクハラして止めたってモモさんが……」

「あのなッ! ワイは今、真面目な話しとるんや!!」

「……真面目だよ。ほんとうに……それしか知らなくて」

「嘘やろ!?」

それもモモから聞いた話で、どう具体的に止めたのか美柑にも分からない。


「はぁ……はぁ……♡ んっ、ぁ……あぁ♡」

あられもない姿を晒し、気付けば衣服も全て剥ぎ取られたイリヤ。
嬌声と共に体を何度もびくびくと痙攣させる姿は官能的だ。
だが、イリヤは消耗している。そんな体力ない状態でこのような蹂躙が継続されれば、恥辱に塗れた最悪の死に方を迎える事になる。

「雪華綺晶…ちゃん、起きて、お願い!!」

水流に吹き飛ばされ、水と泥に塗れて倒れ伏す雪華綺晶に駆け寄り、美柑は雪華綺晶を揺さぶる。
雪華綺晶の目は閉じており、まるで死んでいるかのようだった。

「わたし……だけじゃ……」

ヤミさんもイリヤちゃんも、あののび太って男の子も助けられない。

縋るように何度も声を掛けるが、雪華綺晶は返事をしない。

「どうしよう……ケロちゃん、わたし────」





「お前、何やってるんだ」





その時、大きな力の主の到来をヤミは鋭敏に感知した。





────





最悪だった。
シャルティア達と交戦した戦場に戻った時、そこに広がっていた光景はその一言に尽きる。
赤黒い人だった肉片の残骸がこれ見よがしに置いてあった。

「どっちだ……シャルティアか、あのグレーテルという女か」

最初こそ激しく動揺した悟飯だが、しかしそれもすぐに冷静になる。
何故か、死体を損壊させたのはニンフのものだけだったのが引っかかった。
首から上の頭部こそないが、ご丁寧に並べてあった妖精のような羽が、彼女が装備していた天使の翼の武器を連想させた。
恐らくだが、この死体はニンフのものだ。
なら、何故他の死体はないのだろうか。辺りを注意深く探せば、土が掘り返された場所がある。
他の二人の死体は埋葬されたのだ。シャルティアがこんな事をする理由がない。

「あ…あいつだ。ふざけやがって……!」

普段の丁寧な言葉使いが鳴りを潜める。

犯人は間違いない。グレーテルだ。
そして、死体を損壊している際にクロから妨害にあったのだろう。
リップとは組んでいたようだし、美遊という少女とは親しい仲だと聞く。
シャルティアが負け惜しみにやるなら、残り二人の死体もズタズタに引き裂くはずだ。

────殺し合いをより促進させてくれることを期待している。

そして流れた一回目の放送。
死者は既に30人を超えたハイペースで、殺し合いが進行している。

この人達、全員シュライバーが殺したんじゃないか。

そんなありもしない。少なくとも最低でも、美遊とリップとニンフはそうではないと分かっているのに、妄想が浮かぶ。
次に浮かぶのはあの黒いドレスを着た不死身の女、さらにその後に戦ったシャルティアとグレーテル。
あの死んだリップという少年もだ。
どいつもこいつも、身勝手に殺し合いに乗って悪戯のに人の命を奪う悪党どもだ。
何故、こうも簡単に乃亜の言う事を聞いて人を殺す事が出来る?
怒りが、憎しみが、義憤が破裂しそうなほどに激しく渦巻く。

同時に、そんな奴等を仕留め損ねた自分を激しく責め立てていく。

殺さないと。
殺さなくちゃ駄目じゃないか。

こんな殺し合いに乗るマーダーは全員皆殺しにしないと。





「───ふざけるな」





「……チッ」


滾る殺意は十分、それに伴う実力もヤミの知る中でも最上に位置する。
面倒な相手に出くわしたものだと、ヤミは溜まらず舌打ちした。

「~~~~~~~~ッッッ!!!」

「ひああああああ!!!」

全裸で空飛ぶお風呂に入って喘いでいるイリヤ。
アヘアヘしているのび太。
何をしているか分からないが、とにかくこの金髪の少女もシュライバーのような人を簡単に殺すマーダーなのだと理解した。
ここで始末してやる。
気を全開にし、ヤミを睨みつける。

「はぁ……面倒だけど、先に貴方から殺してあげる」

顔は良い。
男前だ。
だが、鍛えられた体は幼い体躯には不釣り合いすぎる。正直に言えば、タイプじゃない。
ここには幼い少年も大勢集められているらしい。だから、男でもキウルのようにえっちぃ子が一杯いると思っていたが、今回はハズレのようだ。

「待って、悟飯君……ヤミさんを────」

「やってみろ。その前にお前を殺してやる」

殺さないで。
そう言おうとして、悟飯の殺意に充てられてしまった。

「……っ、ひ」

恐怖で竦み、声が出ない。

「はあああああ!!」

ヤミの金髪の拳と悟飯の拳が激突する。
耳の鼓膜が張り裂けそうなほどの轟音を響かせ、ヤミが後方へ吹き飛ばされる。
華麗に慣れた仕草で受け身を取り、改めてヤミは悟飯を睨み返す。
その眼前に悟飯が迫る。素早い動きで肉薄し、ヤミの顔面に拳を突き刺した。

「がっ…あぁぁ!!」

少女とは思えぬ野太い声を上げながら、ヤミは頬を殴り飛ばされる。
そのまま、追撃のラッシュを叩き込もうとした悟飯に水が纏わりつく。

「こんなもの!」

気を放出し水を弾く。
ブラックマリンの操作すら及ばない程の勢いで、水が吹き飛ばされていく光景にヤミは唖然とする。

「終わり────」

殴り飛ばされ、地べたを転がるヤミの頭上へ。
悟飯は拳を振り上げ、その可愛らしい美顔を叩き潰すべく降り下ろす。





顎がジンジンと痛む。

「なん、で……」




足元を見下していた視線は、気付けば朝空を仰ぎ見ていた。
全身を大の字の形にして、悟飯は転がっている。
自分は蹴り飛ばされたのだと、遅れて理解するが。何故、急にこうなったのか納得がいかない。
さっきまで優勢だったのは、自分だったはずだ。

「人の恋路を邪魔するお邪魔虫は、馬に蹴られて死んじゃえってね?」

わざとらしく、馬の脚へと変身させた髪の毛をうようよと悟飯の頭上で浮かばせる。
刹那、踏み潰すように足が振り落とされた。
悟飯は横へ転がりながらそれを回避し、一息に飛び上がる。

「あーもう、さっさと死んでよね!」

落ち着け。
落ち着くんだ。

僕は少なくとも、この娘よりは強いんだ。
だから、勝てない戦いじゃない。

拳を強く握り込み。そして悟飯はヤミへと迫る。

「───ッ」

簡単に距離を詰められた。
よし、後は殴るだけだ。難しい事じゃない。
こんな悪い奴、いくらだってぶん殴ってやればいいんだ。


「今の、ちょっといい表情(かお)してるかも」


「───どう、して……?」


避けられた。
凄く簡単に。


「自分が絶対に強いと思ってる男の子が、鼻っ柱をへし折られてプライドを傷つけられた顔────それも、えっちぃくて…良い」


殴る。蹴る。
殴る殴る殴る殴る蹴る蹴る蹴る蹴る。
全部が当たらない。空ぶっていく。
どうしてだ?

「なんで、なんでだ……!!」

シュライバーのような絶対回避の能力を持っているのか?
それなら何か、作戦を立てないと。
弱点を見付けるんだ。

「単に、ペース配分が滅茶苦茶なんですよ」

悟飯の鳩尾にヤミの拳が減り込んだ。

「ご、ほ……ッ!」

肺から息を吐き出し、唾液が口から飛び出していく。
気を抜けば拳が体を突き抜けそうなほどの激痛。


「貴方、ここまでパワーを全開にして戦ってきちゃったでしょう?」

「ッッ!!?」

「駄目じゃない。あの乃亜って子は、私達に制限を掛けてるんだから」

膝を折り、鳩尾を抑えながら悟飯は思い出す。
シュライバーとの初戦でも、スーパーサイヤ人の使用制限に加えて、戦闘時における普段以上の疲労感があった。
あのシュライバーですら、本来存在しない疲労という概念を付け加えられ休息を必要としたのだ。

「ようするに、貴方の敗因はスタミナ切れってコトかな」

特に悟飯に至っては、この島でも上位の実力者たちと連戦を重ねてきた。
碌に休まず戦いを続けていれば、体は限界を迎えかけていても、何ら不思議はない。

「どうして……」

疲労のピークに至った肉体は動きが鈍り遅くなる。当然の帰結だ。
鈍い攻撃なんて、避けられて当たる筈がない。
そんなことになる前に、どうして気付けなかったのだろう。

怒っていたからだ。

ここまでずっと、シュライバーと戦ってから強い憎しみに支配される事が多くなった。
それが、自分の肉体を蔑ろにしてしまった原因なのか?
怒りが自らの不調を無視してしまったのか。
振り返れば、ヤミと相対してからも無暗に気を解放していた。
制限下ではそれは自爆行為だと、分かるようなものなのに。

(僕は、一体……どうしてしまったんだ────)

分からない。
セルの時に十分懲りて、後悔してもしきれなかった筈の過ちを何度も犯している。
更にもっと被害を拡大させてしまっている。
いくらなんでも、ここまで短期間で何度も怒りに呑まれるだなんて、自分でも信じられない。


「はぁ……く、ぐぅ…ぅ────波ァ!!!」

「ッッ────」


残された気を全て掌の一点に集約させる。
この至近距離とヤミが己の勝利を過信していた完璧なタイミング。
膝を折ったまま、油断しきったヤミへとエネルギー波を解き放つ。
エネルギー波はヤミを飲み込んでいき、そしてより大きいエネルギーの渦に覆われる。

「舐めないでくれる? わたしだって惑星の一つや二つ、制限がなければ消せるんだから」

「なっ……!」

同じく掌から光を放出するヤミが呆れたように呟く。
気付けば、残された力を込めた渾身の一撃は呆気なく消失していた。

「ぐわああああッ!!」

そのまま金髪の拳の連撃が全身を打ち付け、悟飯は吹き飛ばされていく。



「なんだか、貴方って……」


せめて、僅かでも休息を取れていれば。
イリヤを運んだ時、埋葬ではなく体を休める事を優先していればこうはならなかった。
仮にそうでなくとも、怒りに支配されず冷静に残った気と体力の配分を計算して戦えば。
スタミナ切れで、ここまで劣勢に追い込まれる事なんてなかった。


「とっても弱い」


顔を女の子に足蹴にされ、心底侮蔑するような嘲笑した顔で見下される。
ここまでされても、何もやり返す事も出来ずにいる。
力が入らない。

(ま、最初から冷静なら、ちょっとヤバかったかもしれないけど)

見誤っていた。
この少女は、あのシャルティアにも勝るとも劣らない程の強者だったのを。
イリヤとのび太に変な行為を仕掛けていたのを見て、悟飯は完全に力量を計り損ねた。
少なくともこの島の中で、絶対に勝てる相手だと軽く見ていいような相手ではなかった。

(その悔しそうな表情がえっちぃから内緒♪)

ヤミの足の下で踏まれている悟飯の視線、それを浴びているだけでゾクゾクしてくる。
全く、この島には新しいえっちぃことが溢れかえっている。

「ヤミさん」

悦に浸っていたヤミは、声を掛けられてようやく美柑の事を思い出した。

いけない。いけない。
彼女にえっちぃことをして殺してあげないといけないのに。
どうして、さっきまでずっと忘れていたんだろう。

「お待たせしましたね。美柑……」

「私、良いよ」

涙を目じりに浮かべて、小さく肩を震わせながら美柑は自ら体を差し出すように胸元を開ける。

「え?」

「ハレンチなこと、えっちぃこと、一杯してくれていいよ」

普段、もっと気丈で賢くて大人びていて、みんなから頼りにされている美柑とは思えない弱弱しさと、ハレンチさ。
そのギャップが溜まらなく、えっちぃのに。

(何も感じない────)

美柑からえっちぃ事を求めているという願ってもない中で、満たされるはずの欲がすり抜けていく。

「その代わりに、もうこれで最後にして」

「最後?」

「そう、私の事は何でもしていいから……だから、もうみんなを…傷つけないで。
 またヤミさんが独りぼっちになって、寂しくなるのなんて嫌なんだ」

独り? 誰が? 
様々な女の子を手向けにして、結城リトを殺す事で1つになる。
それの何が独りぼっちなのか。


「リトへの手向けなら、私一人で十分でしょ?」

寂しさなんてあるわけがない。自分の中で、結城リトは永遠に生きていくのだから。

「ヤミさんになら、私……」

怖くて引き攣りそうになる表情を、無理やり笑顔を作って美柑は誤魔化そうとする。
やっぱり今のヤミは恐ろしかった。
いつもの、リトを中心に繰り広げられるエロコメディとは違って、ヤミは冷たく殺意を尖らせている。
今までに美柑が見てきたヤミとはまるで違う。本当に別人のように怖い。

「あひいいいい……」

「ぁ、っ、ん……?」

水に囚われてイカされ続けているのび太とイリヤも、本当に洒落にならない程に衰弱している。
こんなことを平気で出来るような人じゃなかった。
こんなことをして、もし後で正気に戻ったら、きっとヤミはもっと深い悲しみと絶望と孤独に苛まれてしまう。
そうなる前に止めなくちゃいけない。

「殺されたって良いから────」

だから、もうこれしか方法が思いつかない。
これでここに居る参加者の人達を誰も死なせないで、殺し合いから抜け出して。
もしリトに手を出しても、その時はララやモモ達が守ってくれる。
リトさえいればヤミは元に戻れる。
だから、その時にヤミが失ってしまうものが最小限に済むように。
美柑が犠牲になればいい。

「み、かん……」

嬉しくない。
全く、これっぽっちも嬉しくない。

それがどうしてなのか、分からなくて。
大事なことを忘れているのかなって思いだそうとすると、頭が鈍くなって。
段々と苛立ちが増していく。それを美柑にぶつけようとして────。

「うわああっ!!」

足元の悟飯を思いっきり蹴り飛ばしていた。
美柑がやめてと叫ぶのを聞きながら、ヤミはより困惑を深めていく。

────私は、何がやりたいの。

「さ、させにゃ…ぁ、い、からぁ…んっ♡ そんな、のぉっ…ま、ちが、あっぁぁんっ♡
 友達が…死んだ、ら……貴女ずっと、ずっとぉ…んっ♡ 後悔し、あっ♡ ぁん…つ、づ…ける、ぁっからぁっあぁぁぁっ♡!!」

あのイリヤという娘は、どうしてまだ折れない?
快楽という快楽を体に刻み込み、常人ならそのえっちさに耐え切れず屈するだろうに。
一体何を支えにして、まだ抗えるというのか。
何を懸命に訴えかけているのか。
その懸命さに、ヤミは忘れていたモノを思い出しかけそうになる。だけれど、まだ分からない。


「だりゃあああああああああ!!!」

「────ッ!」

咆哮が木霊する。
美柑に気を取られた一瞬の間に、悟飯が僅かに残った気を噴射し加速する。
水の触手に囚われていたイリヤとのび太、そしてサファイアへと体当たりのように突っ込む。
盛大な爆音が響き渡り、水は爆散し二人を抱えたまま悟飯は転がっていく。

「っ、ぁ”ーーッ??」

「アア~」

脇に抱えた二人から、嬌声が上がる。

「だ…大丈夫、ですか……?」
『あまり……触れないであげて下さい』

何なんだこの人たち。
苦しんでるのか、満更でもないのかよく分からない顔だ。
気味の悪さを覚えながら、悟飯は困惑した表情を浮かべた。

「ふざけないでよ! もうっ!!」

ヤミのなかで苛立ちが募る。
せっかく、えっちぃの素質の塊であるイリヤと出会えて、途中まで凄く楽しめていたのに。
気付けば、そんなことどうでも良くなるような変な感情に支配されている。
美柑をこの手で、殺さないといけないのに。迷いが生じて何も出来なくなってしまう。

「……謝っておきますよ、美柑」

「ヤミさん?」

「こういう、展開になってしまって」

ヤミが黒い翼を背に生成し、天空へ飛翔する。

「あ…あいつ……」

その光景を見て、悟飯が唖然としながら肩を震わせる。
何をするつもりか、この場で一番先に予想が付いたからだ。
その予想通りに、ヤミの掌に光が収束する。これは美柑も見たことのある変身の光だ。

「貴方達、全員消し飛ばしてあげる」

美柑を狙うのではなく、悟飯達を狙った大規模攻撃を放つ。
この周囲一帯を薙ぎ払える程のエネルギーを放射すれば、その余波で美柑だって死ぬだろう。
きっと苦しみも味合わずに、一瞬で楽に。
あくまでこれは、悟飯達を殺す為に放つ物であって、美柑を殺す為の物じゃない。
たまたま、彼女が巻き込まれてしまうだけ。
それならこの迷いを抱えたままでも、戦うことは出来る。そう自分の疑問に答えを出す。
本当ならたくさんえっちぃことをしてあげたかったけど。
今のヤミにできるのはこれが精一杯だ。

「クッソ……!」

悟飯は思い切り地面に拳を叩き付ける。
完全に王手を掛けられたと、分かってしまったからだ。
あの膨大なエネルギー波に対抗する術がない。
気も体力もほぼ使い切った悟飯に、あれを迎撃するエネルギー波は作り出せない。

────フルパワーだ!!!

あの時、シャルティアとの交戦さえなければ。
奴は退こうとしていた。その時に追撃をせず、戦いを避けていればこうはならなかった。
気と体力を温存して、ヤミとの戦いは別に展開へと変わっていたのに。

「クソォ!!」

武空術で飛んで、ヤミがエネルギー波を放つ前に本体を潰す?
駄目だ。制限下でかつ今の残された気では、空中戦もままならない。
なんで、いつもこうなってしまうんだ。
どれだけ強くなっても、やることが全て最悪の方向に向かってしまう。




「私が…あれを相殺します」

「なにを────」

悟飯の耳に響く、少女の声。
これは忘れもしない。

「無理だ……君じゃ、あれには」

「いえ、手は一つだけあります」

リップ達を殺めた後、イリヤ達への助けを求めたあの白薔薇の人形の声だ。



────





「しっかりせい! きらきー!!」

私が目を覚ました時、つぶらな瞳でケルベロスさんが私を覗き込んでいた。
ケルベロスさんはぺちぺちと私の頬を叩いている。
そう、確か私は金色の闇という美柑さんの友達が、正気を失っていてそれで戦っていた。
だけど彼女は強くて、攻撃を何度か受けてしまって螺子が切れてしまい意識を失くしてしまっていた。

「私は……」
「ようやく、気付いたんか! やっぱネジ回して正解やったで!!」

口調は関西弁の変な方だけれど、私のランドセルから螺子を探してそれが私達ローゼンメイデンにとっての動力源であることに気付いてくれていた。
流石は高位の魔術師の使い魔だ。
ケルベロスさんは力を失くしているらしいけど、サファイアさんと一緒で魔術の知識や洞察力は優れている。

「ただ……状況はもう、最悪や」

ケルベロスさんの言うように、それは酷い有様だった。
イリヤとのび太さんはとんでもないことになっている。
悟飯という男の子は、体力が底を突いて、ヤミという娘に負けていた。
無理もない。あの、シャルティアという化け物を相手にあれだけ立ち回って、ろくに休息すら取っていないのだから。
いずれにしろ。本当に状況は芳しくなかった。

「あれ、なら」

「きらきー、なんや考えがあるんか」

一つ、確証はないけれどもしかしたらと思うことがあった。
今の私のマスターであるイリヤの武器、夢幻召喚。なんでも、英霊の力をその身に宿して戦うんだとか。
きっとそれは、あのカレイドランナーへと変身させるサファイアさんと、イリヤ自身の特殊な力によるところが大きいと思う。

でも────私ならそれを再現できると思った。



────





「……な、何を言っているんだ」

悟飯は驚いた顔をして、雪華綺晶を見つめていた。

「雪華綺晶ちゃん、本気なの」

悟飯の横に居るイリヤも同じように信じられないといった顔をしていた。

「ええ……かつての私のようになれば」

英霊をその身に降ろす夢幻召喚。
なるほど、人知を超えた力を宿すというのは非常に強力で絶大だ。
しかし、雪華綺晶から見た欠点は一つ。それは英霊自身に完全に成り代われる訳ではない。
元の体を維持した上で、英霊の力を具現化する必要がある。その為にバーサーカーであれば、使用者の精神に狂化の影響が及び、その精神を汚染してしまう。
その他にも膨大な魔力を消費し、使用者に大きな負担を及ぼしている。今のイリヤのように。
なら、実体がないのであれば? 物質世界に囚われずに英霊の力を具現化するのならばどうか。

「アストラル体に戻れば、私は」

実体の体を持たないアストラル体。
それは以前の雪華綺晶にとって、どんな薔薇乙女にでも着替えられると豪語する特殊な存在。

「どんな英霊にだって着替(なれ)るかもしれない」


形のない幻影を形作る事に長けた薔薇乙女は、ドールズの中でも雪華綺晶を置いて他にはいない。
この今の体を捨てて、アストラル体に戻ればあるいは────。

「ただ、必要なのはマスター。
 イリヤの道標だけなのです」

一つだけ分からないのは、英霊の召喚たる手順。
これだけは雪華綺晶も過程を知らない為に模倣しきれない。

「お願いです。マスター、私のバックアップを」

英霊召喚の召喚、その道標をイリヤに提示して貰う。その英霊への接続後に雪華綺晶がその力を引き出す。
少なくない負担を強いる事に、雪華綺晶は申し訳なさそうに肩を竦める。

「……雪華綺晶ちゃんはどうなっちゃうの」

『イリヤ様……』

「体を失くしたら、雪華綺晶ちゃんは……!」

アリスゲームの事は聞いていた。
雪華綺晶は実体を持たず、孤独に苛まれていたことも。
それが狂気を駆り立て、アリスゲームを促進させドールズ達と矛を交えた事も。
いくつかの戦いを超えて、そして紅薔薇の姉、第五ドール真紅の手によって実体を手にし、掛け替えのないマスターと愛しい姉妹との?がりも生まれた。

「雪華綺晶ちゃんにそんなことさせられない! 私が戦う!!」

「体が無くなるって、どういうことなの! ねえ!?」

遅れてのび太も話を理解する。
のび太の認識からすれば、英霊どうこうはともかく体が消えればそれに直結するのは死だ。

「駄目だ。やめてよ、僕が悪いんだから、雪華綺晶が死んじゃうなんて……」

自分のせいだ。
自暴自棄になって、まともな判断力も消えて。
ヤミをこんな場所にまで連れてきてしまって
それで、またニンフに飽き足らず雪華綺晶まで。
もっと色々、上手くやれたはずなのに。
駆け巡る後悔がのび太を苛む。
やり直したい。こんなことになる前に全部。
それか自分が責任を取りたい、ここで消えるべきは自分なのに。


「……のび太さん、貴方は優しいのですね」

「な、んで……」

のび太の頬を伝う涙を小さな指ですくい、雪華綺晶は微笑む。

「昔の私では考えられない事でしたもの。
 私の為に泣いてくれる方が居るだなんて」

「僕は……っ!」

アストラル体であった頃、まだ何も持たずにいた頃。
雪華綺晶は独りぼっちだった。
別のドールのマスターを奪い去り、糧とする。
でもそこには何の繋がりもなくて、他のドールズが築き上げる絆もない。
ただ満たされぬ愛慕を満たすために、他人の物を横取りする卑しい欲しがりな壊れた子。

「こんな私の為に、涙を流してくれる方が居るのなら……それは命を掛けるに値するでしょう?」

「ぼ、くは……ぼくは、ぁ……!!」

項垂れて、涙を流し声を上げるのび太の頭を小さく撫でて。

「きっと、ニンフさんも同じ思いだったのだと。私は思っています」

そう囁いてから、雪華綺晶はイリヤを一瞥すると、振り返る。
天上に座する黒い悪魔とも取れる金色の少女へと向かって。

「ここに居る誰も。
 誰一人として、死なせたりはしません」

そして、その小さな背を不安げに見つめる美柑にも語り掛けるように。

「雪華綺晶ちゃん……どうして、そこまで……」

誰一人死なせない。それは敵であるヤミすらも含まれている。
美柑にとっては大事な友達だ。だけど、それは他の人達にとっては当て嵌まらないもの。
むしろ、イリヤ達にとっては痴態を晒させた怨敵と言っても過言ではないのに。
雪華綺晶はヤミも助けたいと、そう口にしている。

「……独りの寂しさは、私も良く知っていますから」


────殺されたって良いから。


あの時、美柑にそう言われた時のヤミの表情は、きっとかつての自分と同じだったのだと雪華綺晶は思った。
本当に欲しい物も分からずに、悪戯に誰かを傷付けるしか知らない頃の自分と。

だけど、あの頃の雪華綺晶と違うのは、ヤミはそれを一度認識し手に入れている事。
それを乃亜の手によってゆがめられた事。

「じゃあ、死んじゃってよ! お邪魔虫共!!!」

チャージを完了させたヤミがその膨大なエネルギーの塊を解き放つ。


「イリヤッ!!」

もう時間がない。

「やろう……サファイア!!」

瞳に溜まる涙を拭って、イリヤはサファイアを手にする。
全裸だった肢体にカレイドサファイアとしての衣装を身に纏う。
その姿に、イリヤは親友の姿を連想する。

『イリヤは、生き……』

まだ確証はないが、美遊は殺し合いに乗ったかもしれない。
乃亜の放送時の言及や彼女の妙な態度を合わせれば、その可能性は高い。
再会した後、ルビーをイリヤに託さずサファイアを預けたままだったのは、一人と一本がその罪を背負ってしまったから。
それをイリヤとサファイアに背負わせない為に。

(美遊……)

きっと、友達のイリヤの為に。
それは過ちであるけれど、その行いは間違っていたけれど。
自分のせいで、死ななくても良い人が亡くなってしまったのかもしれない。

(その罪に、どうやって償えば良いのか……まだ、私には分からない……)

もう一枚のクラスカードを手にし、イリヤは叫ぶ。
美柑が持っていた新たなるクラスカード。
この場の希望を繋ぐ、最後の切札。

(だけど今、私の仲間が命を懸けて私達と、私達みたいな女の子達の絆を守ろうとしてる)

サファイアを握る手に力を入れる。
このステッキの本来の主に向けて祈るように。

────力を貸して、美遊!!

もうこれ以上、友達が引き裂かれる場面なんて見たくない。
友情を否定し悦に浸るような、あんな乃亜なんかの思い通りになんかさせない。


────夢幻召喚!!!


英霊の召喚までの道標を、そこに至るまでの過程を構築しその道(ロード)をイリヤと契約し繋がっている雪華綺晶が辿る。


(ありがとう。イリヤ……私の、マスター……)

離れていく。
実体の感触が消えていく。
もう、あの温かさを感じることが出来なくなる。

ああ、それはなんて悲しくて寂しくて冷たくて。

だけど、あんなにも拒んだ孤独がまたやってくるのかもしれない。

でも怖くない。

(だって、私には涙を流してくれるような仲間が居てくれる)


雛苺の無垢さも。
金糸雀の愛しさも。
真紅の気高さも。
翠星石の烈しさも
蒼星石の切なさも。
水銀燈の孤高さも。

幾つもの私になれるのなら。
人の願いによって形作られた幻想であろうとも、私はなってみせる。

真紅(おねえさま)から頂いた体を失くしてしまうけれど。
きっと、お姉様が私ならこうしただろうから。

「約束された(エクス)────」

イリヤが道を示し、雪華綺晶が具現化した英霊は青き甲冑の騎士。
ブリテンの王、アーサー王その人。

束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。

意志を持たず具現化したアーサーが駆る聖剣の光が集約する。

「────勝利の剣(カリバ―)!!!」

天から降り注ぐ破壊の光と、大地より放射される人の願いを集った光。
二つの光の放流が衝突する。

今、ここに最強の対惑星兵器と人々願いが集った最強の幻想が激突した。



「邪魔、を……しないでよ!! このガラクタァ!!」


二つの巨大なエネルギーの塊の衝突は、その余波だけで莫大な破壊を齎す。
雪華綺晶の周りのコンクリートは耐え切れず罅割れ、その閃光は太陽の光すら凌駕する程に暴力的な眩さで輝く。
雲はその風圧により蹴散らされ、今空には雲一つない。


「いえ……退きません。ここで退けば、貴女は本当に独りになってしまう……ッ!」


「うる、さいなァ!!」


押し切れない。
あんな小さな人形の何処にあれだけの膨大なエネルギーを持っているのか。
制限さえなければ、惑星を軽く数回は吹き飛ばされるだけの攻撃なのに。

「さっさと、潰れてよ!!」

よりエネルギーの圧を強めていく。先ほど悟飯にペース配分を指摘したヤミとは思えない程に、今はヤミが感情に支配されていた。

「────ッ!?」

こいつは必ず倒さなくていけない。
イリヤにえっちぃ事を完遂せずに殺すのは非常に惜しいが。
それ以上に、この妙な感情の沸き上がりを抑えないと。
自分を否定されているようで、間違っていない事を無理やり正されるようで。

「とにかくもう、全員消えて!!」

結城リトを手に入れるのなら、誰だろうと何だろうと消す。
それでいい。それで間違ってない。その筈だ。
だからもう、邪魔をするな。私を乱すな。私を惑わすな。お願いだから────。


(なんて力強さ……これほどとは……)


約束された勝利の剣、その光の放流が徐々に弱まっていく。
ヤミのエネルギー波が大地へと距離を縮める。
実体を捨てアストラル体に戻り、英霊という最上位の幻想を具現化するという荒業を顕現させた。
その上で、宝具の解放まで行う。一度はドールズを全滅寸前にまで追い込んだ雪華綺晶でなければ出来なかった神業だ。
だがその英霊もその宝具も、本来想定された召喚方法ではないイカサマで具現化したもの。
性能は著しく劣化している。
それはともすれば、ヤミに科せられた制限以上の枷となって雪華綺晶を苛む。

(駄目……なんて、燃費の悪さ…力が、抜けて……)

死した英霊を現世に繋ぎとめるには、想像もできない奇跡と魔力を消化する。
例え、幻を現実のように作り上げる事に長けた雪華綺晶も例外ではない。
ここに為した奇跡は、だが長くは持たない。

「せめて、マスター達が逃げられる時間だけでも……!」

現実という物質世界に拒絶され、召喚された騎士王の幻影諸共、雪華綺晶は消失していく。
それでも抗い続ける。
確定された破滅を、突き付けられようとも。
その意思を託した仲間を生かす為に。

この島を支配する神が決定する惨劇に逆らう為に。

「サファイアさん、私の力を雪華綺晶ちゃんに送れないの?」

悟飯に抱えられる中、美柑が思い付きを口にする。
ローゼンメイデンについて詳しい事は知らないが、人間と契約し力を分け与えるというのは聞いていた。
だからサファイアの返事も待たずに、イリヤの握るサファイアへと触れる。

(ヤミさんは私の友達なのに、私は何も出来ない。何もしてあげられない……!
 せめて、これくらいは…雪華綺晶ちゃんにちょっとでも、力をあげられたら)

『美柑様……』

「ぼ…僕も、やるよ! 少しでも雪華綺晶の力になるんだ! 
 僕だって、少しは魔法が使えるんだ!!」


────チンカラホイ!!


のび太も美柑と同じように手を伸ばしサファイアへ触れる。



「ッ────こ、これは…結城リt…いや、ちが……ぁ♡」


その時、ヤミに異変が起こった。
股下の細い布が突如として浮かび上がり、ヤミの股間へと食い込んだのだ。
それも的確に、ヤミの性感帯(じゃくてん)を突くように。

まるでそれは結城リトの愛撫もように。

何もハレンチの化身は結城リトただ一人ではない。
長年、ただ一人の少女の入浴現場に何度も突撃し続けてきたこの少年、野比のび太もまたハレンチの化身たる存在。

「ゆ、ゆう…き……リ、ト、いが、い……に、ぃ……」

怒りと快感が入れ混じった表情で、のび太を睨む。
悟飯がヤミの実力を見誤ってしまったように、ヤミもまたのび太の潜在能力を誤認していた。
初対面の女の子の前で、お漏らしできる男だ。結城リトに並ぶハレンチでない筈がない。

(力が流れ込んでくる……これらなら……!)

ヤミが一瞬隙を作り、攻撃の手を緩めたこと。
そしてもう一つ、イリヤを通じて美柑とのび太の力が魔力へと変換したこと。
それが騎士王の幻影と雪華綺晶を存続させる糧となる。

簡単なことだ。

イリヤの内に秘められた願望機の力、それは人の願いを叶える。
極めて限定的ではあるが、イリヤと契約し繋がっていることでそれを通じ美柑とのび太の願いを小規模の範囲でイリヤも意図しない内に叶えたのだ。

「う…鬱陶しい、んだって…もう!!」

怒りに駆られ、股下の布を引き千切り快感の元を断つ、
そのままヤミは再度攻撃に力を込める。
結城リト以外に感じさせられた。その事実に怒りを覚える。
殺す。あの男、野比のび太は絶対に殺す。あのスケベガキ、絶対に許さない。


「な!? ぐ、ぁぁああ!!」


より強大さを増した攻撃に雪華綺晶の顔は歪んでいく。
まだこれだけの力を残していたなんて。
あの少女は見掛けと言動と行動以上に、巨大な力を秘めている。



「負けません……! 絶対に、私は……」

「しつこいって言ってるでしょ!!」

ウザイウザイウザイ。
もう本当に、誰も彼も邪魔しかしてこない。
そんなにも自分と結城リトが結ばれるのが、気に入らないのか。

「早く、消えてよォ!!」

「ッッ!!」

雪華綺晶が押し返した攻撃はより強い圧力を伴い押し返される。
イリヤとのび太と美柑の力を上乗せしても。
それでも、まだ届かない。
どんなに強い思いを抱いても、それを貫く強さがないとでもいうのだろうか。

(そ、んな……いえ、まだ私は……)

絶望が迫る。
それでも、耐えて抗い続ける。
最後の最後まで。
この身を捨てて、イリヤと仲間達の想いを乗せたこの一撃を無駄にするわけにはいかない。

きっと、諦めない。

あの人なら。

誇り高きローゼンメイデン第五ドールなら。

気高い紅薔薇の姉ならば。



「あと、もう一押しっと……」

「ぐっ…!?」

そんな雪華綺晶を嘲笑うように、ヤミは残ったエネルギーを一点集中させる。
拮抗が完全に崩される。
己の光がヤミの放つそれに飲み込まれていく。

破壊の権化が大地へと降り注ごうとする。

僅かに背後を見る。

流石の悟飯といえども三人を抱き抱えての移動では、1エリアを抜け出すには時間が掛かる。
その背はまだ雪華綺晶の視界の中に小さく留まっていた。
これでは、ヤミの攻撃で全員が死んでしまう。


「そん────」


駄目だ。いけない。
そんなの。

自分は良い。だけど、せめて皆だけは。




「全く、手の掛かる末妹なのだわ」



「え?」


ぴしゃりと、鞭のようなもので叩かれる。
いや鞭ではなく、それは髪の毛だった。
細長い絹のような金髪のツインテールで、その主は赤いドレスを着て。

「何を呆けた顔をしているの?」

その瞳は、イリヤに似ていて。


「な、にが────」


赤い光と共に紅の薔薇の花びらが瞬く。
上空のヤミからは何も見えない。
エネルギーの激突による閃光が、彼女の視界を狭めている。
ただ、視界の節々に赤い薔薇の花弁が写りだす。

そして、何よりも重大なのは。


(どうして、私は圧されて……!!)


理由もなく、突然雪華綺晶の攻撃が重くなったことだ。

どうして? 私が戦っているのは、ただの一人。

ただ一体の小さな人形の筈なのに。



「真紅……お姉様────」




雪華綺晶は体を捨てた。
元のアストラ体に戻る為に。
それは、真紅から与えられた体を放棄し、そして真紅がアリスとなり再分配したローザミスティカを放棄したということ。

言い方を変えれば、雪華綺晶は真紅へと体と薔薇乙女の魂であり命でもあるローザミスティカを与えたとも言える。


「お姉様……どうやって……」


ああ、きっとそれは永くはない。本当の奇跡なのだろう。


「決まっているでしょう。この真紅は貴女の姉なのだもの────」

イリヤと契約しパスが繋がった事で、聖杯の力が僅かに雪華綺晶にも現れたのだ。
そして、雪華綺晶が放棄した肉体とローザミスティカという条件を満たした事で、その願いを叶えるに至った

「妹が助けを求めているのなら…私は、貴方を一人にはしないわ」

だけど、それはあまりにも無理を通した限定的な復活。
真紅の魂も定着しきれていない。
雪華綺晶が具現化した騎士王のように、一時の幻でしかない。

「だから、もう泣かないで」

しかし、そんな理屈は必要ない。

「泣いて、なんか……いま…せん……」

妹の涙を姉が拭うのに理由など要らないのだから。



────





「嘘でしょ、どうして、私が……」

ヤミの放つ攻撃をより膨大な力に飲み込まれていく。
分からない。急なことだった。
赤い薔薇の花弁が舞い始めてから、急激に力が増していって────。

「そんな、どうして……これ、は……」

────ヤミお姉ちゃん。

なんで、こんな時にメアの事を思い出してしまうのだろう。
なんで、この薔薇を見ると、おねえちゃんという響きを心地よく感じてしまうのだろう。
まるで私が置き去りにした大事なものを、今目の前で見せられているようで。

聖剣の光を浴びて、だが直撃は避けたものの撃墜されてしまった。

悟飯に偉そうに言った癖に、自分も後先考えず全力全開になってガス欠だ。
凄い上空から飛ぶ余力もなくて落っこちていく。
まあ、この程度で死にはしないからいいけど。

「美柑……メア……私、は……」

もう考えるのも疲れてきてしまった。だからいいや。
取り合えず落下に身を任せて、それで……後で考えれば……。



「どうして、こんなに悩んでるのに……貴方は来てくれないんですか、結城…リト……」


疲労とダメージに耐え切れず、ヤミはそのまま意識を手放した。


【一日目/朝/E-8】

【金色の闇@TOLOVEる ダークネス】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(極大)、興奮、ダークネス状態、迷い(極大)、気絶
[装備]:帝具ブラックマリン@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~2(小恋の分)
[思考・状況]
基本方針:殺し合いから帰還したら結城リトをたっぷり愛して殺す
0:……。
1:えっちぃことを愉しむ。脱出の為には殺しも辞さない。もちろん優勝も。
2:えっちぃのをもっと突き詰める。色んな種類があるんだね...素敵?
3:さっきの二人(ディオ、キウル)は見つけたらまた楽しんじゃおうかな♪
4:あの女の子(リル)は許せない。次に会ったら殺す。
5:もしも美柑がいるならえっちぃことたくさんしてあげてから殺す。これで良い…はず。
6:イリヤもえっちぃことをたくさんして殺す。
7:のび太は絶対殺す。
[備考]
※参戦時期はTOLOVEるダークネス40話~45話までの間
※ワームホールは制限で近い場所にしか作れません。





悟飯さん達は、無事逃げられたみたいだった。

あの攻撃を跳ね返して、それで最期に確認したのは自分の期待通りのもの。

良かった。


さよなら、悟飯さん、美柑さん、のび太さん…そして二人のマスター、イリヤと巻かなかった世界のマスター。

私は、あなた達の幸せな……お人形。



全ての戦いが終わった後に残されたのは。
力を使い果たし、自ら魂を消失させた。一体の罅割れた物言わぬ白薔薇の少女人形だけだった。



【雪華綺晶@ローゼンメイデン 死亡】



【一日目/朝/F-8】

【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:全身にダメージ(大)、疲労(極大)、精神疲労(大)、雪華綺晶と契約、全裸、全身敏感状態(極大)
[装備]:カレイドステッキ・サファイア@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3、クラスカード『アサシン』&『バーサーカー』&『セイバー』(美柑の支給品)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ、雪華綺晶のランダム支給品×1
[思考・状況]
基本方針:殺し合いから脱出して───
0:雪華綺晶ちゃん……。
1:美遊、クロ…一体どうなってるの……ワケ分かんないよぉ……
2:殺し合いを止める。
3:サファイアを守る。
4:みんなと協力する
[備考]
※ドライ!!!四巻以降から参戦です。
※雪華綺晶と媒介(ミーディアム)としての契約を交わしました。

※クラスカードは一度使用すると二時間使用不能となります。
のび太、ニンフ、雪華綺晶との情報交換で、【そらのおとしもの、Fate/Kaleid liner プリズマ☆イリヤ、ローゼンメイデン、ドラえもん】の世界観について大まかな情報を共有しました


【孫悟飯(少年期)@ドラゴンボールZ】
[状態]:疲労(極大、スタミナ切れ気味)、ダメージ(小)、激しい後悔(極大)、SS(スーパーサイヤ人)、SS2使用不可、雛見沢症候群“???”、普段より若干好戦的、悟空に対する依存と引け目
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2(確認済み、「火」「地」のカードなし)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
0:イリヤ、のび太、美柑を連れて安全な場所まで退避する
1:眼鏡の子や魔法少女の子を美柑さんの所に連れて行って、それから。
2:海馬コーポレーションに向かってみる。それからホグワーツも行ってみる。
3:お父さんを探したい。出会えたら、美柑さんを任せてそれから……。
4:美柑さんを守る。
5:スネ夫、ユーインの知り合いが居れば探す。ルサルカも探すが、少し警戒。
6:シュライバーは次に会ったら、殺す。
7:雪華綺晶さん……ごめんなさい。
[備考]
※セル撃破以降、ブウ編開始前からの参戦です。
※殺し合いが破綻しないよう力を制限されています。
※SSは一度の変身で12時間使用不可、SS2は24時間使用不可
※舞空術、気の探知が著しく制限されています。戦闘時を除くと基本使用不能です。
※雛見沢症候群を発症しました。発症レベルはステージ1です。
※原因は不明ですが、若干好戦的になっています。
※悟空はドラゴンボールで復活し、子供の姿になって自分から離れたくて、隠れているのではと推測しています。

【結城美柑@To LOVEる -とらぶる- ダークネス】
[状態]:疲労(大)、強い恐怖、精神的疲労(極大)、リーゼロッテに対する恐怖と嫌悪感(大)
[装備]:ケルベロス@カードキャプターさくら
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~2(確認済み、「火」「地」のカードなし)
[思考・状況]基本方針:殺し合いはしたくない。
0:海馬コーポレーションに向かってみる。それからホグワーツも行ってみる。
1:ヤミさんや知り合いを探す。
2:沙都子さん、大丈夫かな……
3:正直、気まずい。
4:リト……。
5:ヤミさんを止めたい。
6:雪華綺晶ちゃん……
[備考]
※本編終了以降から参戦です。
※ケルベロスは「火」「地」のカードがないので真の姿になれません。


【野比のび太@ドラえもん 】
[状態]:強い精神的ショック、悟飯への反感(緩和気味)、疲労(大)、肩に切り傷(小)
[装備]:ワルサーP38予備弾倉×3、シミ付きブリーフ
[道具]:基本支給品、量子変換器@そらのおとしもの、ラヴMAXグレード@ToLOVEる-ダークネス-
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。生きて帰る
0:雪華綺晶……。
1:ニンフ達の死について、ちゃんと向き合う。
2:もしかしてこの殺し合い、ギガゾンビが関わってる?
3:みんなには死んでほしくない
4:魔法がちょっとパワーアップした、やった!
[備考]
※いくつかの劇場版を経験しています。
※チンカラホイと唱えると、スカート程度の重さを浮かせることができます。
「やったぜ!!」BYドラえもん
※四次元ランドセルの存在から、この殺し合いに未来人(おそらくギガゾンビ)が関わってると考察しています
※ニンフ、イリヤ、雪華綺晶との情報交換で、【そらのおとしもの、Fate/Kaleid liner プリズマ☆イリヤ、ローゼンメイデン、ドラえもん】の世界観について大まかな情報を共有しました
※魔法がちょっとだけ進化しました(パンツ程度の重さのものなら自由に動かせる)。
※リップが死亡したため、肩の不治は解除されています。


077:不平等な現実だけが、平等に与えられる 投下順に読む 079:空と君のあいだには
時系列順に読む
056:BATTLE ROYALE 命尽き果てるまで戦い続ける者たち 孫悟飯 082:スプーン一杯のグロテスク
結城美柑
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
雪華綺晶 GAME OVER
060:Escape~楽園の扉~ 野比のび太 082:スプーン一杯のグロテスク
金色の闇 106:贄【わたしのはじめて】

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