そうは言ってみたものの、はっきり言って、こいつが出しゃばるのは面白くない。
これは、わたしと葵のゲームだ。金持には全く関係がない。
「金持、あんた、葵に何か隠し事してない?」
「はぁ?」
金持の首が、ゴム人形みたく、くるんと捩れた。
「なに? 西園寺くん」
葵が、金持に尋ねる。
「な、なんでもないよ!」
金持は慌てた様子で、両手を振る。
いい気味。
金持は私のそばに歩み寄ると、耳元でぼそぼそと何か呟く。
「……こ、今夜も付き合うから……!」
「何話してるの?」
葵が不思議そうにこちらを見ている。
「なんでもないよー」
わたしは、したり顔でそう言った。
最終更新:2009年04月10日 22:28