神骸騎ディ・カダーベルTRPG

亡命の戦火

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◆サンプルシナリオ「亡命の戦火」


 著:凪ノ香
 プレイ人数:2~3人用

 本シナリオのリプレイはウェブ、同人誌、動画等々にて公開して構いません。
 その際は二次創作についてのガイドラインに従ってください。



○プレイガイド

 このシナリオはサンプルとして場面の切り替えをわかりやすくするため、
「オープニングフェイズ」「ミドルフェイズ」「クライマックスフェイズ」「エンディングフェイズ」などの区分を行っています。
 ですが神骸騎TPRGは、本来もっと自由なかたちで遊んで良いゲームです。
 これはあくまではじめて遊ぶ際の補助を意識したものであり、必要ならこの枠を取り払ってしまっても良いでしょう。

 またプレイヤーたちの所属する国家はそれぞれ、PC1が海沿いの「都市国家」、PC2-3が「集落」となっています。
 その他の設定についてはあえて詳細を描写していません。
 地形や位置、産業については「○国家の作成」ルールを参考に仲間たちと創作してみるか、ダイスで決定してみてください。



○キャラクターリスト

 2人で遊ぶ場合、プレイヤーは「PC1」「PC2」のどちらかの背景を選択してください。
 3人で遊ぶ場合、プレイヤーは「PC1」「PC2」「PC3」のいずれかの背景を選択してください。
 複数のプレイヤーが同じ背景を選択することはできません。


  • PC1:亡命の魂魄
  • 推奨サンプル:嵐を呼ぶもの
 君は都市国家アイオーリア王国(※名称変更自由)に属する神骸騎の、優れた魂魄だった。
 だが敵国との戦争のさなか、肩を並べて戦うはずの歴戦の叔父は、己の神骸騎を用いて祖国に牙を剥いた。
 混乱する戦況のなか、君と君の御者は必死に神骸騎を操り、近隣の集落に逃げ込んだ。
 ……君には、なぜ叔父が裏切りを働いたのかはわからない。
 しかし裏切りには報いを与えねばならない。それが戦乱のイクタリ大陸のならいだ。


  • PC2:平和の魂魄
  • 推奨サンプル:遺跡の守り姫
 君はとある平和な集落、トロヤ(※名称変更自由)に属する神骸騎の魂魄だ。
 故郷はそれほど大きくはなく、そして君と神骸騎がいるため、ここしばらくは平和を謳歌している。
 神骸騎の仕事といえばたまの魔獣退治や、大きな土木工事くらいのものだ。
 隣の都市国家がどこかと戦争をするという噂も聞いたが、君の周囲は相変わらず平和なものだった。
 戦火に煤けた神骸騎が、君たちの元へ逃げ込んでくるまでは。


  • PC3:守護の魂魄
  • 推奨サンプル:鉄血の医神
 君はPC2と同じ、平和な集落トロヤ(※名称変更自由)に属する神骸騎の魂魄だ。
 しかし君はこの集落の出身ではない、故あってこの集落に身を預けている食客だ。
 君はなぜこの集落にいるのだろう。故郷を失ったのだろうか、それとも故郷など元から無かったのか。
 いずれにせよこの集落とPC2は、そんな君と君の御者を暖かく迎え入れてくれた。
 君はそのことに、この上ない恩義を感じている。命を賭しても彼らを守らねばならない。





○PC1オープニングフェイス:裏切り者


 都市国家アイオーリア王国と、海を挟んだイオニア王国は今まさに戦争のさなかにあった。
 アイオーリアの港に押し寄せる軍船から雨のように火矢が放たれ、家々が燃え上がっている。
 無理矢理に港につけた船からは敵兵が押し寄せ、防ごうとする自軍と必死の形相で切り結んでいる。

兵士A:「くそ、もうだめかっ!」
兵士B:「もうもたないぞ、援軍はまだなのか!」

(GM、PC1に神骸騎での登場を促す)

兵士A:「おお、PC1さまだ!」
兵士B:「神骸騎がきたぞ! いける、押し返せ!」

 GMはここでイオニアの王女サイダンの神骸騎オリオンを出し、演出的な撃ち合いなどを行ってもよい。
 サイダンは浮遊機構(ホバー)で海上を移動し、棒火矢や大筒を用いて港への揚陸を援護する。
 ただしデータ的な戦闘は行わず、軽く交戦した後に敵勢に撤退させること。(※サイダンと揚陸部隊は陽動であるため)

 港の戦局はPC1の神骸騎が現れたことで一転し、兵士たちは一掃され、軍船が次々に転覆していく。
 だが、そこに息せき切った伝令が駆け込んできた。

伝令:「大手門陥落! 大手門陥落! PC1さま、一大事で御座います! 一大事で御座います!」

 PC1が仔細を聞くと、大手門を守っていた叔父エウオージが、神骸騎カルキノスを駆り門を開け放ったのだという。
 乱心かと思われたが、どうやら敵国であるイオニア王国の部隊と同調した計画的な裏切りであるようだ。
(GMは、この状況では勝ち目がないとPC1に伝えること)

伝令:「PC1さま、お、おにげ、おにげ……くだ、さい……」

 説明を終えると、伝令はそう言い遺してその場に倒れる。
 その背中には深い刀傷が刻まれていた。すでに瀕死であったのを隠していたのだ。
 PC1が撤退を決断したらシーンを終了する。

 登場キャラクター各自の良いロールプレイをひとこと褒め、GMはそれぞれに絆ダイスを1つ渡すこと。



○PC2オープニングフェイズ:亡命者


 集落に、ガヤガヤと人々の喧騒が響いている。
 昨晩の雨で地すべりがあり、土砂と大きな岩が道を塞いでいるのだ。
(プレイヤーが2人である場合、原因は地すべりではなく、近頃徘徊する魔獣の仕業であるとすると良い)

村人A:「ううむ、ひでえ」
村人B:「どうするかなあ……」

(GM、PC2に非搭乗状態での登場を促す)

村人A:「こりゃPC2さま!」
村人B:「もしや神骸騎を出してくださるんですかい!?」

(GMはここで、PC2の神骸騎への搭乗と起動の演出を助けること)

 PC2の神骸騎が大岩をどかし、土砂をいくらか掬う。
 たったそれだけで、人力では数カ月はかかろうかという土石の山が半ばまで片付いてしまう。
 集落の人々たちが歓声をあげ、感謝の声をPC2に向ける。しかし――

村人A:「ん、ありゃあ……なんだ?」
村人B:「神骸騎!? 神骸騎だ!?」

 PC2が開いた道の向こうから、ボロボロの神骸騎がやってくるのが見える。
 戦火に煤け、ところどころ装甲が破損したそれをPC2が目撃し、シーンを終了する。



○PC3オープニングフェイズ:守護者


 踏み荒らされた畑がある。
 巨大な蹄の跡、紙くずのように突き破られた柵。
 尋常な獣のものではないだろう。

村人A:「こ、こりゃ魔獣のじゃないか?」
村人B:「ひええっ」

(GM、PC3に登場を促す。搭乗は自由)

村人A:「PC3さま!」
村人B:「見てください、こいつを!」

 GMは魔獣はイスタリ大陸辺境の、大きな脅威であること。 
 大型の神骸騎のみがそれを駆除できることをPC3に説明すること。
 PC3が村人に対処を約束するなどしていると、集落の反対側から大声があがる。

村人C:「大変だあ! 神骸騎だ! 神骸騎がやってきた!」

 PC3がそれを聞いたところで、シーンを終了する。
 登場キャラクター各自の良いロールプレイをひとこと褒め、GMはそれぞれに絆ダイスを1つ渡すこと。



○ミドルフェイズ シーン1:会合


 集落にある最も広い集会場は、緊張と沈黙に包まれていた。
 集会場の外には、神骸騎が鎮座している。

(GM、全てのPCに非搭乗状態での登場を促す)

村の長老:「つまりPC1さまは、裏切られて落ち延びてきたとおっしゃるのですね?」
村の長老:「……おそらく数日中に、エウオージ殿から引き渡しを要求する使者が来るでしょう」

 どのように対応すべきか、検討を行うこと。
 戦火を避けるためPC1を殺害し、エウオージにその首を献上することも選択肢にあがるかもしれない。

 しかしエウオージは不明な理由で祖国を裏切った、信頼ならない人物である。
 たとえPC1の首を献上したところで、彼の野心や狂気次第でこの集落は蹂躙される。
 そしてその場合、既に首だけになったPC1は戦力として勘案できない。
 そのことをGMはプレイヤーに提示し、再考を促そう。

 一時的に匿う、祖国の奪回に協力する、結論は出ないがひとまず生かす、など。
 何かしらの結論が出た時点で、

村人:「うわああ、魔獣だァァ!!」

 の叫びとともにシーンを終了する。
 登場キャラクター各自の良いロールプレイをひとこと褒め、GMはそれぞれに絆ダイスを1つ渡すこと。



○ミドルフェイズ シーン2:魔獣


 異常に巨大な猪が、集落に乱入し破壊の限りを尽くしている。
 民家の一つを破壊し、今しも子供を喰おうとしているのだ。

母親:「だ、誰か! 子供が、子供が……!」
兄妹:「く、くるな! こっちだばけもの!」「うわあああんっ!」

(GM、全てのPCに神骸騎での登場を促す)

 神骸騎が現れると、魔獣の視線がそちらに向く。
 不明な理由で、魔獣は神骸騎に強い敵愾心を抱いているためだ。

【装甲猪(エリュマントス)】一体との戦闘を行うこと。
 PCが3人いる場合、【装甲猪(エリュマントス)】は二体登場させる。
 戦闘に勝利した時点でシーンを終了する。
 登場キャラクター各自の良いロールプレイをひとこと褒め、GMはそれぞれに絆ダイスを1つ渡すこと。



○ミドルフェイズ シーン3:御礼


 装甲猪の巨体が倒れている。
 被害はけして小さくはないが、その革や肉は、それを補って余りあるほどに集落を潤すだろう。

(GM、全てのPCに非搭乗状態での登場を促す)

母親:「ありがとうございます、ありがとうございます……!」
 母親は涙ながらにPCたちの手を握り例の言葉を繰り返す。

兄:「お兄ちゃん(またはお姉ちゃん)たち、すごくかっこよかったよ!」
妹:「アリガト……」

村人A:「PC1さまっていったかい? あんたも大変なときだろうに、ありがとうなあ」
村人B:「この集落のもんでもないのに、命を賭けてもらったんだ。このご恩は忘れねえからよ」

 その晩は装甲猪の肉を用いた宴会が行われる。
 宴席でのPCたちのやりとりが一段落ついたあたりで、シーンを終了しよう。
 登場キャラクター各自の良いロールプレイをひとこと褒め、GMはそれぞれに絆ダイスを1つ渡すこと。


○ミドルフェイズ シーン4:情報


 翌日からPC1の祖国の状況について、情報収集を行うことができる。
 成功数1以上で、それぞれの情報を得られる。

1.【肉体】や【魔力】などで偵察をするか、【心力】で噂を聞いて回るなど
 PC1の祖国の城門には、王や女王――つまりPC1の家族の首が吊るされている。
 裏切り者のエウオージは、祖国の新王を僭称し、敵国の第三王女サイダンがその顧問についているようだ。
 だが、この簒奪劇に納得している者は少ない。
 信望の厚いPC1が戻れば、それに呼応してエウオージ派を排除しようとする市民や兵士は多いだろう。

2.【技術】を用いた知識による分析
 敵国から着任した顧問である第三王女サイダンは、裏切り者のエウオージをこのままにしておくつもりはないだろう。
 おそらくエウオージの子を人質として預かり本国で教育し、頃合いを見てエウオージを毒殺。
 PC1の祖国を乗っ取り、完全に属国化するなどの『よくある手』を狙っているはずだ。
 あまり時間をかけていると、取り返しのつかない事態になる。

 PCたちが今後の軍略を話し合ったところでシーンを終了する。
 登場キャラクター各自の良いロールプレイをひとこと褒め、GMはそれぞれに絆ダイスを1つ渡すこと。




○「ミドルフェイズ シーン5」に関する補足

 このミドルフェイズは想定されるプレイヤーたちの軍略により、AとBに分かれている。
 しかしこれは「どちらのほうが正解」という性質でないことをGMは留意しよう。
 また、GMはプレイヤーたちがそれ以外の作戦を考えた場合、柔軟に採用して良い。


○ミドルフェイズ シーン5A:積極攻勢


 プレイヤーたちが攻撃的な選択をした場合、こちらの演出を行うこと。
 神骸騎に乗り込んだPCたちが、PC1の祖国へと向かう。

(GM、全てのPCに神骸騎での登場を促す。都市の大門に並ぶ鋼の巨人を壮大に演出しよう)

 閉ざされた大手門の前で、PC1に任意の能力で演説などを行わせること。
 この時GMは、プレイヤーが提案したさまざまな軍略への報奨として、成功数に+1のボーナスをつけても良い。

 成功数が2以上で反乱が起こり、門が開く。
 更に成功数が1増えるごとに、クライマックスで配置される兵隊および投石機の数が-1される。

 なお万が一、成功数が2に満たなかった場合でも、神骸騎で門を強引に突き破って突入することは可能だ。
 この場合は無理な突破で消耗したものとして、突破にあたった神骸騎のHPを「-10」すること。
 都市国家に乗り込んだPCたちの前に、神骸騎に乗り込んだエウオージが現れる。

「ノコノコと戻ってきたか。PC1よ……」
「だがそれこそが命取り。ここがお前の墓場よ!」

※なぜ裏切ったのか? と尋ねた場合
「PC1。お前は、お前たちは、自身の素質に気づいているか?」
「お前たちがこのまま育てば、きっとこの国の歴史に名を残すだろう」

「俺はこの国に尽くしてきた。ずっと、ずっと……」
「……だがお前たちの才能を目の当たりにして、気づいてしまったのだ」
「お前たちほどの逸材が世に羽ばたけば、俺の名など、すぐに忘れられる! 誰にも省みられはしない!」

「お前たちを引き立てる端役になるくらいならば……」
「俺は梟雄として、薄汚い裏切り者として名を残そう!」

 エウオージとのやりとりに区切りがついた時点で、シーンを終了しクライマックスに移行する。
 登場キャラクター各自の良いロールプレイをひとこと褒め、GMはそれぞれに絆ダイスを1つ渡すこと。



○ミドルフェイズ シーン5B:降伏勧告


 プレイヤーたちが防御的な選択をした場合、こちらの演出を行うこと。

 見張りの村人が、慌てた様子で防衛の予定地点に駆け込んできた。
 たくさんの兵隊と神骸騎が、こちらへ向かってきているというのだ。
 君たちは神骸騎に乗り込んだ。

(GM、全てのPCに神骸騎での登場を促す。起動演出を格好良く行おう)


 また、この時点での任意のPCに適切と思わせる能力値で戦闘準備の判定を行わせよう。
 この時GMは、プレイヤーが提案したさまざまな軍略に応じて成功数に+1のボーナスをつけても良い。

 成功数が2以上で想定した状況で戦える。
 更に成功数が1増えるごとに、クライマックスで配置される兵隊および投石機の数が-1される。
 この時GMは、プレイヤーが提案したさまざまな軍略への報奨として、成功数に+1のボーナスをつけても良い。

 なお万が一、成功数が2に満たなかった場合でも、神骸騎が無理をすれば十分な交戦準備を整えることは可能だ。
 その場合、作業を負担したプレイヤー側の任意の神骸騎のHPを「-10」すること。


 会敵地点に待ち伏せるPCたちの前に、神骸騎に乗り込んだエウオージが現れる。

「やってくれたなトロヤの民どもよ。まさかPC1を匿うとはな……」
「見せしめとして、皆殺しにしてやろう」


※なぜ裏切ったのか? と尋ねた場合
「PC1。お前は、お前たちは、自身の素質に気づいているか?」
「お前たちがこのまま育てば、きっとこの国の歴史に名を残すだろう」

「俺はこの国に尽くしてきた。ずっと、ずっと……」
「……だがお前たちの才能を目の当たりにして、気づいてしまったのだ」
「お前たちほどの逸材が世に羽ばたけば、俺の名など、すぐに忘れられる! 誰にも省みられはしない!」

「お前たちを引き立てる端役になるくらいならば……」
「俺は梟雄として、薄汚い裏切り者として名を残そう!」


 エウオージとのやりとりに区切りがついた時点で、シーンを終了しクライマックスに移行する。
 登場キャラクター各自の良いロールプレイをひとこと褒め、GMはそれぞれに絆ダイスを1つ渡すこと。




○クライマックスフェイズ:決戦

 戦闘前に、各自に絆ダイスを1つ配布する

 GMは各キャラクターの絆ダイスが、4~5個あることを確認しよう。
 ミドルシーンは5つある、極端な使い方をしていない限りは、ほぼ上限値になっているはずだ。

 絆ダイスはキャラクターたちの勝利を支える重要な要素である。
 もし明らかに絆ダイスが不足している様子であれば、GMはロールプレイを促し、更に絆ダイスを与えても良い。

 エウオージの神骸騎カルキノス
 サイダンの神骸騎オリオン
 兵隊(ウェリテス) PCと同数
 投石機(カタパルト) PCと同数

 以上のエネミーを適切と思われる布陣で登場させること。 
「兵隊」および「投石機」に関してはひとかたまりの[接敵(エンゲージ)]範囲で登場し、攻撃標的はダイスでランダムに決定すること。
 彼らはイオニア王国とアイオーリア王国の兵隊が入り混じっており、統率に難がある。
 サイダンやエウオージがいくら檄を飛ばしても、〈神骸騎〉と上手な連携を行うことはできない。

 さらに兵隊および投石機は、ミドルフェイズ5の成功数によって減少する。
 攻撃的に振る舞うのであれば、PC1を支持する兵士たちが反抗の決起を行う。
 防御的に振る舞うのであれば、仕掛けた罠などによって行動不能になるなど、GMはふさわしい演出を行おう。

 また、もしクリティカルが出たり、成功数があまりに多い場合。
 あるいはPC側が2機かつ戦闘やデータ構築に不慣れな場合。
 GMは「兵隊」×1と「投石機」×1がエウオージを裏切り、PCたちの味方として振る舞うと裁定しても良い。

 仮にPCの誰かがエウオージの説得を試みた場合、GMはエウオージのライフパスについて説明しよう。
 エウオージのライフパス「儀式表」は、「4.感情」である
 彼は神骸騎カルキノスに心を奪われ、いびつに残った虚栄心や野心が彼を突き動かしているのだ。
 エウオージに対する説得は、基本的に成立しないものと裁定しよう。

 もし反射ダイスを削る場合、「カルキノス」及び「オリオン」に《首魁(ボス)》補正を1つずつ付与する。
 つまり両機とも【HP】+10、【LP】+2である。
 プレイヤーが不慣れなようであれば、GMは任意に《首魁(ボス)》補正を減らしても良い。

 カルキノスが撃破された時点で、オリオンの魂魄であるサイダンは悔しげな声をあげ、撤退を試みる。
 傀儡となるエウオージとカルキノスが無ければ、アイオーリア王国の占領維持は困難と判断するためだ。
 GMは撤退が可能かどうか、状況によって判断しよう。
 もし不可能であれば、サイダンは降伏を宣言し捕虜としての取り扱いを求めてくる。

 「○ミドルフェイズ シーン4:情報」で関連情報をキャラクターたちが全て調べきっている場合、
 GMは開戦前に「カルキノスを撃破することが、この戦いの勝利条件である」と明言しても良い。




○GM用判定早見表

  • カルキノス
【HP】56/56 【LP】6/6 【防御力】肉体:6 技術:2 魔力:3 心力:3
[白兵攻撃]6D 命中時ダメージ:10+2D6
[突き返し]6D 命中時ダメージ:10+2D6
[射撃回避]3D
[反射ダイス]1/1
※セットアップに《彗星の如し》を使用して敵一体に接敵し攻撃を行います。

  • オリオン
【HP】33/33 【LP】4/4 【防御力】肉体:2 技術:6 魔力:1 心力:3
[射撃攻撃]5D 命中時ダメージ:17+2d6または8+3d6(範囲/1回のみ)
[白兵回避]2D
[射撃回避]5D
[反射ダイス]3/3
※常に浮遊機構(ホバー)で敵と距離を取りつつ砲撃を行います。

 反射ダイスを削る場合、「カルキノス」にプレイヤーキャラクター側と同数の《首魁(ボス)》補正をつける。
 つまり両機とも【HP】+10、【LP】+2である。
 プレイヤーが不慣れなようであれば、GMは任意に《首魁(ボス)》補正を減らしても良い。

《首魁(ボス)》
 一勢力の棟梁である事を示す。その分だけ、その武威は高まるだろう。
 【HP】の最大値を+10【LP】の最大値を+2する
 この戦技は複数回取得することができる。

 両者の詳細なデータについてはシナリオ末尾に記載されている。



○エンディングフェイズ


 各キャラクターの希望に沿ってエンディングを演出すること。
 エウオージの反乱によりアイオーリアの現王は弑され、PC1は若くしてアイオーリアの君主とならねばならないかもしれない。
 海を挟んだイオニア王国は依然として脅威であるが、サイダン王女を捕虜としていれば、戦後交渉を有利に進められるだろう。

 アイオーリアの戦乱に巻き込まれた立場のPC2やPC3もまた、これからの去就を考えねばならない。
 この加勢によって、とてつもない謝礼が得られることは間違いないだろう。
 しかし一度アイオーリアに与したことによって、周辺諸国はアイオーリアとトロヤの連帯を警戒するかもしれない。

 イクタリ大陸は戦乱の地である。
 ひとたびの平和は、次の戦争までの準備期間に過ぎないのだ。

 ――しかし、それでも一つの戦争が終息し、平和が訪れたことは喜ばしいことだ。
 課題は多く、戦火の火種は燻っているが、それでも希望は確かにある。
 GMは、プレイヤーたちが十分な達成感を得られるエンディングを演出することを意識しよう。





○国家・人物データ


  • アイオーリア王国
 PC1が所属する都市国家。海に面している。
 あえて詳細は決定していないため、「○国家の作成」ルールに沿って国情を決定すること。

  • トロヤ集落
 PC2およびPC3が所属する、アイオーリア王国の近隣にある平和な集落。
 目立った規模でもない割には神骸騎があるために、これまで戦火を免れてきた。
 あえて詳細は決定していないため、「○国家の作成」ルールに沿って国情を決定すること。


  • イオニア王国
 アイオーリア王国とは海を挟んでおり、現在は対立している大国である。
 大国だが、海を挟んでいるためイオニア王国が派兵できる兵力や神骸騎の数には限度がある。
 あえて詳細は決定していないため、「○国家の作成」ルールに沿って国情を決定し、対立の理由などを考えよう。
 うまく思いつかなければ、「海洋交易をめぐって長年の宿敵である」とすればよいだろう。


  • サイダン王女
 イオニア王国の第三王女。若い女性、非搭乗状態では御者に押された車椅子で移動する。
 浮遊脚を持つ、砲撃型神骸騎オリオンを駆る魂魄。契約により両足を神骸騎にささげている。
 神骸騎の戦いに昂揚する武人肌だが、謀略もまた戦の習いと割り切っている。
 彼女の父であるイオニア王は王弟エウオージに裏切りを持ちかけ、意外な好感触が得られたことを機と判断した。
 そのため海を越えての進軍に向いた彼女を主将として、今回の戦争を発起したのだ。

  • 王弟エウオージ
 アイオーリア王国の王弟。三十代ほどの男性、温良な見た目。
 王が魂魄としての適性が低かったため、アイオーリア王国を長年支えてきた忠良な王族と評価されている。
 大鋏をもつ近接型神骸騎、カルキノスを駆る魂魄だが、契約により心の一部を喪失している。
 しかし彼に残った歪な虚栄心や野心は、彼がアイオーリア王国の柱である間は満たされていた。
 それがために彼があまりに重大なものを喪ったことを、本人も含めて誰もが気づいていなかった。
 ――彼が、若きPC1の才能を目の当たりにし、裏切りを決意するまでは。






○使用エネミーデータ(※ルールブックと同一)


  • 【装甲猪(エリュマントス)】
 異様に巨大化した猪。家々を踏み壊し、鋭い角は城壁を砕き、人を襲い、喰らいます。
 その全身の毛皮は硬質化しており、人の揮う武具は文字通り通じません。
 一部の蛮族はこの猪を飼いならし、文明人に対抗する兵器として用いる事があります。
 【HP】15
 【白兵】2(3D) 【射撃】1(2D) 【反射】2
 攻撃力:【技術】10(白兵)
 防御力:【肉体】3 【技術】3 【魔力】0 【心力】0


  • 【兵隊(ウェリテス)】
 数十人から数百人単位の、生身の兵士たちの部隊です。
 神骸騎の前ではまったくの無力ですが、粘着弾や縄を用いて行動を阻害しようとしてきます。
 そして極稀にその努力が成功することもあるため、決して侮れる相手ではないでしょう。
 【HP】5
 【白兵】0(1D) 【射撃】0(1D) 【反射】1
 攻撃力:なし(白兵・射撃)
 防御力:なし
 攻撃が命中した場合、次の[エンドフェイズ]まで対象は[移動]を封じられる。

  • 【投石機(カタパルト)】
 巨大な木製の腕で石を投じる攻城兵器と、それを運用する部隊です。
 無論、神骸騎にそうそう通じるものではありませんが、圧倒的な質量は時として脅威です。
 ほんの少しでも自軍の神骸騎の援護になればと、投石が行われる事もあります。
 【HP】5
 【白兵】0(1D) 【射撃】1(2D) 【反射】1
 攻撃力:【肉体】5(射撃)
 防御力:なし




○ボスキャラクターデータ

(作成:駄天使エイワス)


  • 【神骸騎:カルキノス】
・魂魄:エウオージ
・御者:無名の御者
・国家:アイオーリア王国

・ライフパス
 儀式:感情/【心力】+1
 来歴:兵士/【白兵】+1
 関係:/

・プロフィール

・能力値
 【肉体】5 【技術】1 【魔力】3 【心力】3 【神格】4

 【HP】56/56 【LP】6/6 【常備化ポイント】20

 【白兵】5 【射撃】3 【反射】1

 【攻撃力/防御力】
  肉体5/6
  技術1/2
  魔力3/3
  心力3/3


・戦技
 《彗星の如し》 消費:【HP】5
 周囲の地形を蹴りつければ、神骸騎は想像を絶する加速力を獲得する。
 [セットアップフェイズ]に使用する。[移動]または[離脱]を行える。


・装備(合計常備化ポイント:20/20)
 機体:重装騎(ホプリテス) 常備化P:10
    【HP】+30。【肉体】【技術】の[防御力]+1。【反射】-1。

 主兵装1:竜殺し(ドラゴンバスター) 常備化P:5
      ダメージ:10+2D6【肉体】 
      [白兵攻撃]と[突き返し]のダイスを+1。【反射】-1。[主兵装]枠を2つ使用する。
 主兵装2:
 副兵装:
 オプション1:戦車機構(タンク) 常備化P:3
        装備などの修正にかかわらず、【反射】を1に固定する。【HP】+10。
        浮遊機構(ホバー)他、脚部を置換するオプションと同時に装備する事はできない。
        このオプションは1つしか装備できない。

 オプション2:増加装甲(フルアーマー) 常備化P:2
        【HP】+10。【反射】-1。

 神化:なし




  • 【神骸騎:オリオン】
・魂魄:サイダン
・御者:無名の御者
・国家:イオニア王国

・ライフパス
 儀式:切除/【技術】+1
 来歴:継承/【反射】+1
 関係:/

・プロフィール

・能力値
 【肉体】2 【技術】6 【魔力】1 【心力】3 【神格】4

 【HP】33/33 【LP】4/4 【常備化ポイント】20

 【白兵】2 【射撃】5 【反射】3

 【攻撃力/防御力】
  肉体 2/2
  技術 6/6
  魔力 1/1
  心力 3/3

・戦技
《古強者》 消費:【HP】5
 常に生き残ってきたからこそ、強者と呼ばれるようになったのだ。
 自分が判定を行った後に宣言する。その判定に用いたダイスを振り直す事ができる。
 1[[シナリオ]]中に3回だけ使用可能。


・装備(合計常備化ポイント:19/20)
 機体:狩猟騎(ウェナトール) 常備化P:7
    【HP】+25。[白兵攻撃][射撃攻撃]のダメージ+5。【反射】+2。

 主兵装1:破砕大筒(バスターカノン) 常備化P:5
      ダメージ:17+2D6【技術】
      自身と[接敵]している対象には使用不可能。【反射】-2。[主兵装]枠を2つ使用する。
 主兵装2:

 副兵装:多弾棒火矢(マルチミサイル) 常備化P:2
     ダメージ:8+3D6【心力】
     自身と[接敵]している対象には使用不可能。この武器の対象は[範囲] となる。1[[シナリオ]]中1回のみ使用できる。

 オプション1:望遠鏡(スコープ) 常備化P:2
       【射撃】+1。このオプションは1つしか装備できない。

 オプション2:浮遊機構(ホバー) 常備化P:3
        [マイナーアクション]で[離脱]する事ができる。
        戦車機構(タンク)他、脚部を置換するオプションと同時に装備する事はできない。
        このオプションは1つしか装備できない。

 神化:なし
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