80-5.5

アレンヴァルド : ずいぶんとアッサリ来ちまったな……。
お前に見おろされる日がさ。
アルフィノ : まさか……足が……
アレンヴァルド : どうも、動かないらしい。
これから、一生な。
アレンヴァルド : おいおい、そんな顔するなよ。
悲しませに来たわけじゃないんだぜ……?
お前に、頼みがあるんだ。
アレンヴァルド : 俺もさ……戦い続けたかった。
自分のためじゃない、誰かのために戦う英雄のように……
なりたかったんだ。
アレンヴァルド : だから、アルフィノ……
お前に、俺の夢を継いでほしいんだ。
アルフィノ : そんな……私はとても英雄の器ではないよ。
アレンヴァルド : 英雄を名乗れと言うつもりはないさ。
みんなが英雄と呼ぶ、我らが冒険者殿だって、
自称してるわけじゃないだろう?
アレンヴァルド : ……それでもお前は、間違いなく俺たちの英雄だ。
今も、世界を護ろうと集った人たちの中心で、力強く立ってる。
そうして、自分の想う未来のために戦っているんだろう?

▼ 因縁に、決着をつけねばならない

アレンヴァルド : お前も、おなじでいいんだ……。
これまでどおり、自分が信じる未来のために戦ってくれればいい。
アレンヴァルド : ただそこに、俺の夢を一緒にのせてやってほしいんだ。
かつて、アバとオリが俺に夢を託してくれたみたいに……。
アルフィノ : ……昔の私ならば、迷いなく頷き、
任せてくれと言い切れたのだろうね。
アルフィノ : けれど、ここまで歩んできたからこそ、
託される夢の重みがわかるんだ。
アルフィノ : 今、私は迷いの渦中にいる。
犠牲を生む「戦い」こそが正しい道なのかと問われ、
私は即答できなかったんだ。
アルフィノ : そんな私が、君の大切な夢を背負うことなど……。
アレンヴァルド : わがままを言ってるのは俺だし、決めるのはアルフィノだよ。
でもさ……ひとつだけ、いいか?
アレンヴァルド : それでもお前は……ここにいるじゃないか。
アレンヴァルド : 迷っているのかもしれないが、
誰かのために、未来のために、前に進もうとしている。
そんなお前を、俺は友として誇りに思っているぜ。
アレンヴァルド : 俺の頼みも伝えられた。
さあ、お前たちを必要とする人たちのところへ向かうんだ。
……答えは、いつか聞かせてくれればいいさ。
アルフィノ : 必ず、また君に会いにいく。
この胸に生まれた答えを、伝えに……。

『黎明の死闘』


アレンヴァルド : さあて、俺の夢もここで終わりか……。
フォルドラ : ……お前は、存外に狭量な英雄像を抱いていたのだな。
フォルドラ : 戦場に立つ勇猛さだけが、英雄の条件か?
剣を手に斬り結ぶだけが、誰かのための戦いなのか?
フォルドラ : 折れた剣に込めていた夢はアイツに託した。
なら、今度は……違うかたちの英雄を目指せばいいだけだろう?

『黎明の死闘』


アリゼー : 私はまだ……まだまだ未熟だけど……
これからもまっすぐ、走っていくから……
アリゼー : 伝えてくれて、ありがとう。
あなたたちの言葉に、私の方が救われたわ。
アルフィノ : 決して、完全なる勝利ではない……。
それでも、私たちは、きっと前に進んでいる……!
アルフィノ : ここで……ここで、立ち止まってなるものか……。
そうだろう?

▼決着をつけるまで逃げはしない

『黎明の死闘』





お願い――聞いて――

危機が――終わりのときが――迫って――

護って――あなたの――星の未来を――



終の担い手が見上げる黎明の空に、暁月が静かに輝く
そして今、フィナーレの幕が上がる――

『黎明の死闘』
最終更新:2023年09月22日 02:32