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エレンヴィル : ……随分と自然豊かな地だ。
いろんな動物たちが棲んでるんだろうな。
ワーリカ : お、来てくれたか!
ここから先が、ヘイザ・アロ族の中でも、
特に自然を愛し伝統文化を重んじる一団の集落だ。
ワーリカ : 実は俺も、彼らと取引するのは初めてなんだ。
いつもなら、契約を結んでるヨカ・トラルの商人から、
木材を買い付けてるもんでな。
エレンヴィル : へえ、空気が澄んでいて気持ちいいな……。
青燐水の匂いを嗅いできたから、余計にそう感じる。
エレンヴィル : 沃野(よくや)と呼ばれるだけあって水源も豊富だ。
動物にとっても人にとっても、楽園みたいな場所だな。
???? : 気に入ってもらえたようで、何よりです。
フーワト : あたしはフーワト、この集落の首長をやっとります。
よくここまでおいでくださいました。
フーワト : こやつは、あたしの倅でして……
名をシェペットと言います。
シェペット : よろしくね。
ワーリカ : っと、こりゃ丁寧にどうも。
突然押しかけちまってすまねえな!
ワーリカ : 俺はワーリカ。
「サカ・トラル・レールロード」って鉄道会社を、
運営している者だ。
ワーリカ : 先の地震の影響で、線路の枕木が破損しちまってな……
木材を少し分けてもらえないかと思って来たんだ。
ワーリカ : んで、このふたりは……
Tobariとエレンヴィル。
うちの会社に手伝いを申し出てくれた、親切な奴らだ。
シェペット : ……あなたは、いろいろな匂いがするね。
鋼と脂、鞣した革に、ほんの少しの果実の香り……
もしかして、外つ国から来た人?
▼エオルゼアから来た
シェペット : いいね……いろいろな話を聞いてみたいな。
エレンヴィル : ……おたくらは伝統文化を重んじると聞いていたが、
異なる文化に対しても寛容なんだな。
フーワト : そうですねぇ……あたしたちは自然に「導かれし者」。
大地を愛し、そして祖霊(ヘイゾ)がもたらす導きに従い、
常に彼らとともに、より良い地を求めて移動する。
フーワト : ですから、新しい風を感じ取ることにかけては、
ほかの部族よりも敏感なのかもしれません。
エレンヴィル : なるほどな……。
祖霊(ヘイゾ)っていうのはたしか、
「生活を導く動物」を指す言葉……だったか?
フーワト : はい、家系や集落によって祖霊とする動物は様々ですが、
ここメワヘイゾーンで暮らす我々は、
ロネークを尊びます。
フーワト : 自然や祖霊への深い愛は、あたしたちにとって変わらないもの。
一方で、そこにあるエーテライトのように、
新しい事物がもたらす変化を受け入れることもあるのです。
フーワト : ですが、あたしたちには恐れていることもある……。
フーワト : 木材が必要というのなら譲りましょう。
ですが、もしよければ同じ大地に生きる者同士、
少し話をしていきませんか?
ワーリカ : おう、もちろんだぜ!
フーワト : ありがとうございます。
倅もあなた方との出会いを喜んでいるようですので……
さあ、こちらへ。
『自然に導かれし人々』


フーワト : ……恐れていることというのは、
先ほども話に上がった「変化」そのものなのです。
フーワト : 先ほども申し上げましたが、
あたしたちにとって何より大切なもの……
それが祖霊、つまりロネークです。
フーワト : 聞いたことがありませんか?
ここ最近、ロネークの気性が荒くなっていると……。
エレンヴィル : そういえば、ロネーク使いの男が似たようなことを言っていたな。
……原因はわかってるのか?
フーワト : 詳しいことまでは……
しかし、青燐水を求める人々が増え続け、
シャーローニ荒野の環境は、日々刻々と変わっています。
ワーリカ : ……鉄道もまた然り、ということか。
フーワト : 大柄で力も強いロネークですが、
見た目に反して、繊細な一面もあるのです。
大地を揺らし轟音を立てて走る鉄の塊を見れば……。
シェペット : でも、どうか勘違いしないで。
僕たちは新しい風を拒んでいるわけじゃない。
ワーリカ : ああ、わかっている。
正直に話してくれて、ありがとよ。
ワーリカ : この問題はヘイザ・アロ族だけの問題じゃねぇ……
シャーローニ荒野全体の問題だな。
エレンヴィル : コーナ様なら、知恵を貸してくれそうなものだが……。
フーワト : 新しい理王、コーナ様ですか……。
あたしたちが噂で知る限りでは、
彼の人柄は、何と言いますか……その……
シェペット : 頭が固くて不愛想。
民の心よりも効率を重んじ、技術革新を進める冷徹な人物。
フーワト : これっ! 何ということをッ……!
エレンヴィル : ふっ……半分くらいは合ってるかもな。
だが、俺たちが知るコーナ様の印象とは違うようだ。
▼彼は旅を通じて変わったよ
フーワト : ほう……
彼が変わりゆく様子を、その目で見てきたと……。
エレンヴィル : 実際に継承の儀を通じて競い合い、
共闘までしたTobariの言うことだ。
そこらの噂話よりは信憑性があるんじゃないか?
シェペット : 継承の儀に!? すごい……!
ワーリカ : そうだったのか!?
知らなかったとはいえ……
とんでもない奴に手伝いを頼んじまったもんだぜ。
フーワト : どうやら、あたしたちの方も知らないことが多くありそうです。
王が代わったことで、皆不安を抱いていたのですが……
フーワト : 新王への継承という、新しい風が吹いている今だからこそ、
もっと心を開き、知る努力をしてみる必要があるようですね。
シェペット : 理王コーナ様……
いつかこのメワヘイゾーンに来てくれるといいね。
フーワト : ああ、かつてのグルージャジャ様のように、
我々を導いてくださるかもしれない。
その日を楽しみに待つとしよう。
フーワト : 話を聞いてくださり、ありがとうございました。
あなた方と話せてよかった。
フーワト : さあ、約束どおり木材は持っていってください。
湖のほとりに置いてあるものでしたら、お好きなだけどうぞ。
ワーリカ : 恩に着るぜ……!
ワーリカ : 鉄道が及ぼすロネークたちへの影響については、
俺たちもしっかりと調査した上で検討する。
んで、必要とあらばコーナ様にも相談に行くからよ!
ワーリカ : それじゃ、ありがとな!
この礼は近いうちに必ずさせてくれ!
シェペット : ばいばい!
またいつでも遊びに来て!
『自然に導かれし人々』



エレンヴィル : なかなかの迫力だな。
ナミーカさんもあの便に乗ってるはずだ。
シェンダ : 列車が通るよー!
ワーリカ : お前さんたちのおかげで想定よりも早く復旧できた。
本当にありがとな!
シェンダ : やっぱこれだよー!
青燐機関車ってほんと最っ高!!
ダーピャ : ああ、走る青燐機関車は何度見てもいいもんだな!
荷車とはスケールが桁違いだぜ。
シェンダ : 線路さえ敷けば、列車でどこまでも走れるんだよ!
どんどん路線を延ばして、目指せ大陸横断、だよね?
ワーリカ : 鉄道の発展はまだまだこれからだ。
実際、隣接するヤースラニ荒野までしか開通できていない。
ワーリカ : 俺たちの技術力もそうだが、
運用の面でも未熟なところが多くてな。
細かなトラブルが絶えやしねえ……。
ワーリカ : だから、これからはもっと改良を重ねながら線路を延ばす。
そしていつか、東海岸から西海岸まで……
大陸を横断できるようにするのが、俺たちの夢なのさ!
ワーリカ : すっかり話し込んじまったな。
さっきの列車も、そろそろヤースラニ荒野に、
到着している頃合いだろう。
ワーリカ : 折り返して戻ってきたら、約束どおりお前さんたちの番だ!
出発準備は今のうちに……
シェンダ : また地震!?
ダーピャ : おいおい、勘弁してくれよ……!
ワーリカ : ありゃあ……なんだ……!?
シェンダ : 嘘でしょ!? どうなってんの!?
ダーピャ : 乗客は……ニトウィケさんは……!?
エレンヴィル : あの方角……俺の、故郷も……。
ワーリカ : チッ……とにかく状況確認だ!
エレンヴィル : 何だよあれ……!
トライヨラに向かってるのか!?
▼あの飛空艇のようなものを追おう!
エレンヴィル : これはいったい……。
ウクラマト : 来てくれたのか!
見たこともない空飛ぶ船と、妙な連中が現れて、
街を襲ってるんだ!
ウクラマト : 今はとにかく、みんなを助けないと……!
アルフィノ : 立てますか?
クルル : 落ち着いて避難してください!
アリゼー : 何なのよあいつら!?
人じゃないみたいだわ……!
ペシワ : お願い、誰かたすけてえ……!
クルル : 今……何をしたの……!?
トナワータ族の少年 : あ、ありがとう……!
戦のバクージャジャ : ゲッグッグッグ!
そんなことより、とっとと逃げな!
戦のバクージャジャ : この場はオレサマが引き受けたぜェ!
お前らは王宮に急ぎやがれ!
魔のバクージャジャ : たくさんの敵が向かっていったからね!
ウクラマト : バクージャジャ……ありがとよ!!
戦のバクージャジャ : これが、オレサマの新しい生き方だ……
戦のバクージャジャ : ぶっ飛ばされたい奴は、かかってこいやァー!!

ゾラージャ : よもや、父上が生きていようとはな。
ウクラマト : ゾラージャ兄さん……なのか……?
コーナ : あの姿は、いったい……。
ウクラマト : ……こいつは、アンタの仕業なんだな?
ウクラマト : 第一王子としてオヤジを支えてきたアンタが、
なんでこんなことを!
ゾラージャ : こちらの要求は、至極単純だ。
トライヨラ連王国の解体と、全領土の割譲。
ゾラージャ : 従わない場合は……ひとり残らず殲滅する。
ウクラマト : 乱心したのか!?
ゾラージャ : 俺の考えは、これまでと変わりはせん。
ゾラージャ : 人々に戦の愚かさを知らしめ、平和を願う心を育むことで、
世界をひとつに束ねるのだ。
武のグルージャジャ : その姿、その力……
少し見ない間に何をしでかしやがった。
武のグルージャジャ : お前、自分のしてることがわからないとは言わんな?
剣を向けたんだぞ、トライヨラの民に……!
武のグルージャジャ : 許されると思うなよ。
我が息子であれば、なおさらだ……ッ!
ゾラージャ : ならばどうするというのだ?
武のグルージャジャ : わしが取るべき路はひとつよ。
武のグルージャジャ : 武を以て、お前を討ち倒す。
ウクラマト : 待てよオヤジ! それなら、アタシが……!
武のグルージャジャ : 手出しは無用!
こいつが犯した過ちの責は、父のわしにある!
コーナ : たしかに兄さんは強い。
それでも、今まで一度も父さんに勝てたことはないんだ。
ゾラージャ : とっくに死んだと思っていたお前を、
この手で討ち取る機会を得ようとは……まさに僥倖だ。
武のグルージャジャ : ゾラージャ……我が息子よ。
さらばだ……。
ゾラージャ : 老いさらばえたとはいえ、
さすがはトラル大陸を統一した初代連王だ。
ゾラージャ : 片方の魂が消えても、
肉体に宿る生命力はふたり分、といったところか。
ゾラージャ : ならば、こちらも追加するとしよう。

ウクラマト : オヤジ…………?

ゾラージャ : ……たかが双頭、こんなものか。
コーナ : 父さん!!!
ウクラマト : ゾラージャァァァァ!!
ゾラージャ : お前ごときでは、俺に傷ひとつつけることもできん。
ウクラマト : よくもトライヨラのみんなや、オヤジを!!
この国の武王として、絶対に許さねぇ!!
ゾラージャ : 臆病な様子ばかりが記憶に残っていたが、
なるほど、それが王としての眼差しか。
ゾラージャ : ならば、この俺との力の差を知らしめるため、
「決闘」の機会をくれてやる。
ゾラージャ : 武王ウクラマト。
お前が持つ最大の力を以てして、
「我が国」に攻め入ってこい。
ゾラージャ : そして俺が先代にしたように、この首を討ち取り、
武王に相応しき器だと証明してみせよ。
ウクラマト : 待て、ゾラージャ!
ゾラージャ : 我が軍の艦隊を、上空に待機させておく。
ゾラージャ : お前が王たるに相応しきを証明できなかったときには、
即座に攻撃命令を下し、トライヨラを蹂躙してみせよう。
ゾラージャ : よく考えて行動することだな。
ウクラマト : うそだろ……オヤジ……。
『大地が鳴いた日』



ウクラマト : オヤ……ジ…………。
武のグルージャジャ : もういい……
もはや……手遅れだ……。
コーナ : 父さん……諦めないでください……!
武のグルージャジャ : 友よ……そこにいるか……?
ケテンラム : もちろん、いるさ。
武のグルージャジャ : 我が子らを……たのむ……。
ケテンラム : 俺だって、お前と同じくジジイなんだ。
そこまで時間は残されちゃいないが……
ケテンラム : わかった、引き受けよう。
武のグルージャジャ : なあ……またいつか、旅をしようじゃねぇか……。
ケテンラム : ああ、きっとな。
武のグルージャジャ : ウクラマト……コーナ……そばに。
ウクラマト : オヤジ……。
武のグルージャジャ : お前たち……ヨカフイ族の墓は見たな……?
わしは……あいつらの考えが好きでな……。
コーナ : 父さん……お願いです、無理に喋らないで……。
武のグルージャジャ : 肉体はいつか終わりを迎えても……
忘れられぬ限り、真の死には至らない……
武のグルージャジャ : わしの想いを、お前たちが受け継ぐ限り……
連王グルージャジャは死んだことにはならんのだ……
武のグルージャジャ : だから……悲しむな……胸を張って歩め……
新たな国の……夜明けの路を…………
ウクラマト : オヤジ……オヤジ……!!
ウクラマト : くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

ウクラマト : えっと、それで……アタシたちはこの後……。
勇連隊の隊士 : ご報告します……。
都を襲撃した謎の軍勢は上空の船へと撤退、
現在は勇連隊が総出で救助活動にあたっております。
勇連隊の隊士 : しかし、隊士にも死傷者が多く、
人手が足りないというのが正直なところです……。
コーナ : ……報告に感謝する。
別命あるまで、このまま人命救助を優先するよう、
隊司令部に伝えてくれ。
ウクラマト : みんなを……
トライヨラのみんなを……助けにいかねぇと……。
アルフィノ : 救助活動なら、私たちも手伝わせてもらうよ。
ウクラマト : 悪い、そうしてもらえると助かる……。
今はひとりでも多くの民を救いたい……。
アリゼー : 当然じゃない!
そうと決まったら、手分けして被害状況を確認するわよ!
ウクラマト : なら、アリゼーとアルフィノはベイサイド・ベヴィー周辺を、
クルルとエレンヴィルは、連王宮周辺を頼む……!
ウクラマト : Tobariは……
アタシと一緒に「翼鏡の街」に来てほしい。
助けが必要な人に声をかけて、終わったら一度合流しよう。
『血の涙を拭って』



困惑した市民 : ふう……。
ありがとう、恩に着るよ……。
困惑した市民 : なあ、気になる噂を耳にしちまったんだ。
敵将が、ゾラージャ様に似てたって……。
困惑した市民 : そんなの嘘だよな?
だって、あの方はグルージャジャ様の実の子どもで、
ウクラマト様やコーナ様の義兄なんだぞ!?
困惑した市民 : わけのわからないことだらけだよ……。
これからどうすればいいんだ……。
怯えた様子の商人 : うう…………ありがとう、少し落ち着いたよ。
でも、まだ震えが止まらない……。
怯えた様子の商人 : どうしてこんなことになっちまったんだ……。
それに、あの空に浮かぶ黒い塊は、なんでまだ街の上に……?
怯えた様子の商人 : グルージャジャ様が連王だったときは……
こんなことは起きなかったのに……!
呆然とした市民 : ありがとう……大丈夫だ……どうにか……。
呆然とした市民 : なあ……あんたは見たか……?
あいつら、たしかに人の形をしてたのに……。
呆然とした市民 : 人を殺すことに何の躊躇もなかった……!
なんで、あんなことができるんだ?
呆然とした市民 : 次また襲われたらおしまいだ……。
涙に濡れた市民 : ううっ……ありがとうございます……。
おかげでどうにか動けそうです……。
涙に濡れた市民 : でも……子どもと……夫が目の前で……
うううっ……あああ……っ……。
怒りに燃える勇連隊士 : すまねぇ……助かったぜ……。
怒りに燃える勇連隊士 : だけど、ちくしょう……!
市民たちを守れなかった……!!
怒りに燃える勇連隊士 : 何でトライヨラが襲われなきゃなんねぇんだ……!
新しい連王たちは、何やってたんだ……!!
怒りに燃える勇連隊士 : くそおっ、わかってるさ……新連王のせいじゃないって。
だけどッ…………だめだ、頭を冷やしてくる……。
『血の涙を拭って』



アリゼー : ……おつかれさま、
こっちもひととおり見回り終わったところよ。
負傷していた人たちは、応急処置をして勇連隊に託してきたわ。
アリゼー : 犠牲者が出てしまったことは残念だけど……
勇連隊やバクージャジャたちが奮戦してくれたおかげで、
助かった人たちも大勢いたそうよ。
アリゼー : ……これは私個人の見立てだけどね、
ゾラージャが本気で住民を狙っていたら、
被害はこんなものじゃ済まなかったと思うわ。
アリゼー : 見て、商品の多くがダメになってしまったけど、
建物そのものには、大きな被害がないの。
アリゼー : ゾラージャの目的は、あくまでも示威行為……
自分がいつでもトライヨラを攻撃できることを示して、
恐怖心を植えつけることだったんだわ。
アリゼー : ……それで、ラマチの様子はどう?
アリゼー : グルージャジャ様のこともあったばかりなのに……
大好きなトライヨラを必死に護ろうとしているのね。
アリゼー : でも、このまま走り回っていたら、あの子まで倒れちゃうわ。
アリゼー : さっき、海辺の方に向かうのを見たって言っている人がいたから、
「ゴーニトルクの宝浜」の辺りで探してみましょう。

ウクラマト : しっかりしろ……!
ウクラマト : 薬を持ってきたぞ。
さあ、飲め……!
アリゼー : ラマチ……!
ここにいたのね、よかっ……
ウクラマト : おい、飲んでくれよ。
頼むから、薬を飲んでくれ……。
アリゼー : ……ラマチ。
アリゼー : ラマチ……ッ!
ウクラマト : アタシ……何して……。
アリゼー : 大丈夫よ、ラマチ。
こっちを見て。
アリゼー : あとは私に任せなさい。
あなたは、この人と一緒に休んでいて。
ウクラマト : でも……
トライヨラが……みんなを助けねぇと……。
アリゼー : 勇連隊が中心になって、被害者の救助にあたっているわ。
だから今は少し休みなさい。
アリゼー : 次にヤツらが襲ってきたとき、
指揮を執るべき武王の頭が鈍っていたら、どうなるの?
アリゼー : 休むことも王の務めよ。
ウクラマト : 約束したのに……
トライヨラを、みんなが笑って暮らしていける国にするって……
なのに、このザマだ……。
ウクラマト : ぜんっぜんダメじゃねぇか!!
ウクラマト : 何のための武王だ!
王なら……みんなを救ってみせろよ、クソッ!!
▼お前は独りなのか?
ウクラマト : また、お前を頼ってもいいのか……?
ウクラマト : ありがとよ、少し落ち着いたぜ。
今は、トライヨラの武王として……アタシのできることをする。
ウクラマト : これまでにも、トライヨラを狙う奴らはいた。
チーワグー塩田のヴォーポーローたちや、
かつての「双血の教え」の連中のようにな。
ウクラマト : だから戦いになる前に、対話して互いのことを知れば、
どんな奴とでも、手を取り合うことができるって信じてた。
ウクラマト : だが……ゾラージャは違う。
平気で国のみんなや実の父親を手にかけるような奴だ。
対話なんて望んじゃいないだろう。
ウクラマト : そしてなにより、今のあいつには力がある。
トライヨラの平和を壊すことのできる、絶対的な力が。
ウクラマト : だから、アタシは武王として戦う。
これ以上、みんなの笑顔を奪わせないために……
ウクラマト : この手で兄さんを……ゾラージャを、討ち倒す!!

ウクラマト : やるべきことがハッキリしたら、
少しは落ち着いて考えられるようになってきたぜ……。
ウクラマト : 弱音を吐き出すようなことになっちまったけど、
話を聞いてくれてありがとよ、Tobari。
ウクラマト : ……全然王様らしくないし、格好悪いけどさ。
ウクラマト : 今はとにかく、わからねぇことだらけ。
考えなきゃいけねぇことが山積みだ。
ウクラマト : あの人形みたいな兵士や、空に浮かぶ艦隊はいったい何なのか。
それに、ゾラージャの力の秘密も……。
ウクラマト : 理解し合うためじゃねぇ……
戦うためにも、相手を「知る」事は必要だ。
ただ無鉄砲に突っ込むだけじゃ、今までと変わらねぇからな。
ウクラマト : ここからはちゃんと、武王ウクラマトだ。
この悔しさを胸に刻み込んで……必ずやり遂げてみせる!
ウクラマト : それじゃあ、アタシは先に連王宮に戻ってるよ。
コーナ兄さんと、急いで今後のことを話さなきゃならねぇからな!
ウクラマト : Tobariも、
あとで金凰の間に来てくれねぇか?
みんなとも情報を共有しておきたいからさ。
ウクラマト : それから、アリゼーにもずいぶん気を遣わせちまったよな。
きっとベイサイド・ベヴィーに戻って手伝いをしてるはずだ……
悪いけど、声をかけてきてもらえると助かるぜ。
『血の涙を拭って』



アリゼー : おかえりなさい。
どうだった……って、あなたのことだから聞くまでもなさそうね。
アリゼー : ……ラマチはきっと、必死に強くあろうとしている。
だから私も、彼女を支えてあげたい。
アリゼー : あの子が戦うなら、私も一緒に戦うつもりよ。
あなただって、そうなんでしょ?
アリゼー : よし、そうと決まれば……
アリゼー : っと、まずは足元のこれを、あなたも見てみてくれない?
動かなくなった敵兵なんだけど……
やっぱり生き物じゃなさそうなの。
アリゼー : これ、人じゃないのは確かなんだけど……
エオルゼアの魔法人形とも、帝国の魔導兵器とも似ていないわ。
アリゼー : だから、あなたの意見も聞いてみたいと思ってたの。
私よりも、いろいろな物を見てきたと思うから……。
アリゼー : ゾラージャが手に入れた力が何なのか知るためにも、
この「横たわる兵士」を、少し観察してもらえないかしら?
気づいたことがあれば、あとでみんなに共有しましょ。

目や口にあたるものは見られないが、
光を帯びた文様が浮かび上がっている。
遠目には甲冑のように感じたが、
近くで見ると複雑な部品で構成された機械だとわかる。
ただし、その材質はよく知る金属ではない。
青燐機関のようなものも見られず、動力源も不明だ。
襲撃中に兵士が扱っていた武器だ。
どうやら銃のようだが、一般的なそれとは形状が異なり、
高度な文明の産物であることを伺わせる。

アリゼー : どう?
何か気づいたことはあった?
▼今までに見たことがない文明のものだ
アリゼー : あなたでも知らない文明の機械なのね……。
気味が悪いほど、人に似た形をしているし、
顔は甲冑みたいで味気ないけれど……動力源は何かしら?
アリゼー : なるほど、青燐機関のようなものも見られないし、
動力源も不明、か……。
アリゼー : さっき、試しにエーテルを込めてみたんだけど、
特になにも反応しなかったわ……。
もしかしたら、魔法生物のように動くかもと思ったのだけど。
アリゼー : いったい何なのかしら……。
襲撃中は絶えまなく動き回ってたのに、
今はピクリともしないし。
アリゼー : そもそも素材すらわからないわ。
金属でもないし、質感はどちらかと言えば、石……?
って……つい最近、どこかで似たようなものを見なかった?
▼天深きセノーテで見た
アリゼー : そう、そうよ……!
黄金郷の扉がある部屋の、光る石……!
アリゼー : ねえ、この兵士の黒い部分や、空に浮かんでる軍艦は、
「黄金郷の扉」を構成していた石材に、
そっくりだと思わない?
アリゼー : 何か繋がりがあるかもしれないし、
「金凰の間」に戻ったら、みんなに共有しましょ!
アリゼー : それにしても、不気味なほど人に近い動きをしていたのよね。
本当に誰かが中に入ってるんじゃないかって、
疑っちゃうくらいに……。
『頼れる仲間と共に』



ウクラマト : みんな、わざわざ集まってもらってすまねぇ。
ウクラマト : それから、率先して手伝ってくれてありがとな。
本当に助かった。
アリゼー : 当たり前のことをしただけよ。
それよりも、状況を整理しましょう。
ウクラマト : 今回の襲撃で命を落とした者は、少なくとも50名……。
怪我人は宮廷賢士と勇連隊が総出で治療にあたってる。
ウクラマト : 一方で、建物や施設については、
生活に支障をきたすほどの大きな被害はなかった。
ウクラマト : ただ、ほとんどの民が激しく動揺しているはずだ……。
一刻も早くこの事態を収めて、平穏を取り戻してやりたい。
コーナ : それから……なにより不気味なのは、
敵の正体も目的も判明していないことです。
コーナ : シャーレアンをも上回る技術で作られた、
機械仕掛けの兵士たち……。
コーナ : ゾラージャ兄さんはいかにして、
この短期間で、あれほどの軍勢を用意したのか……。
エレンヴィル : 出処はヤースラニ荒野を包んだ、あの光り輝くドームだ。
俺たちは、例の軍勢がドームの方から現れるのを見た。
ウクラマト : ああ、そのドームとやらについてだが……
実は、少しばかり心当たりがあるんだ。
クルル : その話をするなら、同席してもらいたい「助っ人」がいるの。
ここに招いてもいいかしら?
ウクラマト : ああ、もちろんだ!
クルル : 許可が出たわ。
ふたりとも、王宮に来てくれるかしら。
???? : みんな、待たせたな……!
アリゼー : ラハ?
それに、ヤ・シュトラまで!?
ヤ・シュトラ : ……長い船旅だったわ。
少し休んでから合流しようと思っていたけれど、
そうも言っていられない状況のようね。
グ・ラハ・ティア : ああ、バルデシオン委員会の方は心配ないさ。
急ぎの仕事はきっちり片付けてきたし、
クルルが呼んでるならって、みんなが留守を預かってくれた。
クルル : 継承式のあとのことよ……。
グルージャジャさんが、新たなふたりの王に、
黄金郷にまつわる過去を語ってくれることになったの。
クルル : ラマチが気を利かせて、待機していた私にも声をかけてくれた。
それで、恐れ多くも同席させてもらったの。
クルル : その内容は、バルデシオン委員会として看過できないものだった。
だから代表代行として、「専門的知識」の持ち主である、
ふたりを招聘(しょうへい)していたの。
クルル : でも、予想外にもドーム出現に始まる一連の出来事が起きた。
おそらく、そのあたりとも無関係じゃない話よ。
ヤ・シュトラ : 私たちもまだ詳しい話は何も聞いていないわ。
クルル、順を追って話してくれる?
クルル : そもそも、私がトラル大陸に来ようと思ったのは、
一通の手紙を見つけたことがきっかけだった。
クルル : それは20年前に、連王グルージャジャさんから、
ガラフおじいちゃんに宛てた手紙だったわ。
アルフィノ : 内容はたしか、
黄金郷の調査に協力してほしい、というものでしたね。
クルル : ええ……だけどバルデシオン委員会に、
黄金郷に関連する調査記録は存在していない……。
クルル : 私はおじいちゃんが何をしていたのかを知るために、
継承の儀に参加させてもらったわ。
クルル : そしてついに、グルージャジャさんから、
20年前の出来事が明かされたの……。
クルル : ガラフおじいちゃんは、
実際に天深きセノーテの最奥を訪れ、調査をしていた。
私たちも見た、あの「黄金郷の扉」をね……。
グ・ラハ・ティア : 扉……それが、オレたちを呼んだ理由なのか?
クルル : ええ、実はね、その扉が開くと……
ヤ・シュトラ : 繋がったんでしょう?
いずこかの鏡像世界と……。
ケテンラム : ここからは、俺が引き継ごう。
俺も20年前のあの日、調査に同行していたもんでな。
……当事者として、何があったか説明させてくれ。
ケテンラム : 忘れもしねえ。
俺とグルージャジャ、そしてバルデシオン委員会のガラフが、
天深きセノーテの最奥を調べていたときのことだ……。
ガラフ・バルデシオン : この黒い石材はいったい……?
ガラフ・バルデシオン : ここに至るまでに広がっていた遺跡に、
まったく異なる文明の遺物が侵食しているようだ……。
理のグルージャジャ : ヨカフイ族の記録によれば、
彼らの祖先が石切場としてこの遺跡を拓いたのは、
千年以上も昔のこと……。
理のグルージャジャ : 当時、このような光る石は存在しなかったようです。
ガラフ・バルデシオン : ふむ……。
ガラフ・バルデシオン : 石材の内部にエーテルが蓄積されているようだ。
表面に浮かぶ文様は、ある種の魔法陣にも見えるが……
ガラフ・バルデシオン : 古代アラグ文明とは異なり、魔大戦期のそれとも似ていない。
強いて言えば、南洋諸島の算術に近い整然さを感じるが、
到底一致しているとは……
ケテンラム : なんだ!?
武のグルージャジャ : お、おい……!
お前さん、何かやったのか?
ガラフ・バルデシオン : いえ、私は何も……
ケテンラム : 地震か!?
ふたりとも、気を付けろ!
武のグルージャジャ : なにが起こってやがるんだ!?
こんなこと、今の今まで一度だって……!
ガラフ・バルデシオン : ヴォイドゲート!?
いや、違う……これは……?
ガラフ・バルデシオン : え……あ、赤子……?
ガラフ・バルデシオン : 待ってください、これはいったいどういうことですか!?
ケテンラム : これは……!?
武のグルージャジャ : お前さんたちは、何者だ!?
ケテンラム : それからガラフは数年にわたって調査を続けたが、
以降、再び扉が開くことはなかったよ。
……そして最終的に、彼はこう結論づけた。
ケテンラム : かの扉は、未知の技術体系で作られたものであり、
ヴォイドとも異なる世界に通じるものであった……。
ケテンラム : 俺たちは、金色の光を帯びたあの遺跡を、
黄金郷だと考えて調査を依頼したわけだが……
開いた扉の先にこそ「本物の黄金郷」があったわけだ。
ケテンラム : 渡された人工物(アーティファクト)についても、
用途の解明までには至らなかったよ。
ケテンラム : しかし、遺跡で見られた黒い石との類似性から、
何らかの重要な意味を持つものと判断……
王宮で厳重に保管することとなったのだ。
ケテンラム : そうしてガラフは調査を終えると、
女性から託された赤子を養子として引き取り、
シャーレアンへと帰還していったという次第さ。
アリゼー : じゃあ、その赤ちゃんっていうのは……!
クルル : 手紙と一緒に隠してあったこの耳飾りも、
おくるみに入れられていたものみたい。
アルフィノ : 驚いたな……それが事実だとするならば、
クルルさんは原初世界の生まれではないことになる……。
クルル : そういうことになるわよね。
私もまだ、完全に受け入れられたわけじゃないんだけれど……。
クルル : でも、振り返ると思い当たる節もいろいろ出てくるの。
おじいちゃんに私を拾ったときのことを尋ねても、
いつも、はぐらかされていたし……。
クルル : だとしても、今気にすべきは私の生まれじゃないわ。
ヤ・シュトラ : ここトライヨラを襲ったという謎の軍勢が、
黄金郷の扉の「向こう側」と関連している……
そう疑っているのね?
アリゼー : たしかに、あの機械仕掛けの兵士たちの体は、
天深きセノーテの奥で見た物質と似たような素材でできていたわ。
ケテンラム : 加えて、それを率いていたのが、
ゾラージャだったという点も、
黄金郷との関連を疑う要因になりえる。
ケテンラム : 実は、継承式があった日のこと、
ヤクテル樹海にある俺の家に賊が侵入してな……。
不意を突かれ、無様にも昏倒させられちまったんだ。
ケテンラム : どうにか気がついたときには室内が荒らされ、
グルージャジャから預かっていた品々が消えていた……。
ケテンラム : 扉の監視という役目のため、保管していた秘石がな……。
アルフィノ : まさか、その賊というのは……!
ケテンラム : 朦朧とする意識の中、去りゆく賊の背中を見たんだが……
青い鱗のフビゴ族だったよ。
そんな特徴を持つのは「奇跡の子」であるゾラージャのみだ。
コーナ : 加えて、王宮で保管されていたアーティファクトも、
継承式で手薄になった隙をついて盗まれていました……。
アルフィノ : つまりゾラージャが、盗んだ石板を使って封印を解除、
何らかの方法で「黄金郷の扉」を開き……
鏡像世界の技術と軍勢を手に入れた、と?
コーナ : そうなるとヤースラニ荒野のドームもまた、
鏡像世界とやらに由来している可能性が高いことになりますね。
エレンヴィル : ……待ってくれ。
鏡像世界がどうのって……さっきから……!
俺の故郷はどうなってるんだ……!?
▼今こそ「暁」の出番かな?
アリゼー : ええ!
天の果てに行ったんだもの。
謎のドームの中くらい、乗り込んでいってやろうじゃないの!
ヤ・シュトラ : 表向き「暁」は解散したことになっているから、
内密にしておいてもらえると助かるわ。
グ・ラハ・ティア : 大丈夫、調査はぬかりなくやるさ。
なんといっても、うちの英雄が乗り気なんだからな!
ウクラマト : アタシも行くぞ。
ゾラージャがそこにいるなら、
行って決着をつける必要があるからな。
ウクラマト : 正直、お前たちの話はさっぱりだが……
それでも、アタシは決めたんだ。
ウクラマト : 武王として、トライヨラのみんなの笑顔を取り戻すために、
ゾラージャを討ち倒すって……!!
コーナ : ……僕もラマチと想いは同じ。
ですが、連王がそろって玉座を空けるわけにはいきません。
コーナ : 遺憾ながら……
僕は理王として、トライヨラに残りましょう。
コーナ : 何があっても、僕が必ず民と国を守ってみせるよ。
だからラマチは、君の思うとおりに……
目の前に広がる路を、思いきり突き進めばいい。
ウクラマト : ……ありがとよ。
アルフィノ : それなら私たちの方も、
ドーム突入組と、残留組の二手に分かれてはどうだろう?
ヤ・シュトラ : 賛成よ。
私はこちら側で調べておきたいことがあるの。
アルフィノ : 私もヤ・シュトラとともに残留しよう。
トライヨラの上空には未だに巨大戦艦が停泊している。
いざという時のために、手を打っておく必要があるからね。
クルル : 私は……ドームに行きたい!
クルル : バルデシオン委員会として、
世界の脅威を調査すべきだというのはもちろん……。
クルル : 自分の出自探しを優先するつもりはないけれど、
やっぱり知りたいのよ。
扉の向こう側のことを……。
エレンヴィル : それなら俺も連れていってくれ……!
エレンヴィル : 頼む……あのドームの中には俺の故郷があるんだ。
おたくらみたいには戦えないが、その分、土地勘はある。
ウクラマト : 頼りにしてるぜ!
元々、アタシの方からガイド役を頼むつもりだったしな!
アリゼー : 私も突入組に回るわ。
報告を待ってるだけなのは、性に合わないし!
ヤ・シュトラ : グ・ラハ・ティアも突入組に加わってくれるかしら?
あなたの経験と知識は、きっと現地で役立つものよ。
ヤ・シュトラ : その間に私は、黄金郷の扉について調べておくわ。
情報交換をしながら調査を進めましょう。
グ・ラハ・ティア : そういうことなら、了解だ!
ドームの内外で連絡が取れるようなら、
わかったことは適宜共有するよ。
アルフィノ : 希望が出揃ったようだね。
良い布陣になったんじゃないかな。
アリゼー : そうね、異論はないわ。
鏡像世界にまつわる脅威の調査……そして何より、
このトライヨラを護るために、みんなで協力しましょう!
ウクラマト : ありがとよ、みんな……!
一緒に戦ってくれる仲間がいるってのは、やっぱ心強いぜ!
ウクラマト : ただ、出発の前に、少しだけ時間をくれ。
みんな、突然の襲撃で動揺してるはずだからな……
王として、しっかり想いを伝えておきたいんだ。
ウクラマト : アタシが今やるべきこと……。
これだけは、今向き合わないとならねぇんだ。
『頼れる仲間と共に』



ウクラマト : 声、かけてきてくれたみたいだな……。
ほんとにありがとよ。
アルフィノ : 私も今しがた戻ってきたところだけど……
アリゼーは君がまだ粘っていると聞いて、
またすぐに飛びだしていったよ。
コーナ : ……トライヨラの問題にあなた方を巻き込んでしまって、
今更ながら申し訳ありません。
アルフィノ : 私たちも継承の儀を通じて、トラル大陸の各所を巡ってきたんだ。
そして、そこで生きる人々と出会ってきた……
他人事と思えるはずもないさ。
アルフィノ : なにより、これはトライヨラだけの問題ではないはずだ。
かねてから世界統一という野望を抱いていたゾラージャのことだ、
放置すれば、いずれは大陸の外も狙うはずだからね。
アルフィノ : だから、君たちが護りたいものを……
私たちにも、ともに護らせてほしい。
コーナ : ありがとうございます……。
この御恩は、きっと忘れません……。
アルフィノ : それよりも、君たち自身は無理してないかい?
休む間もなかっただろう。
ウクラマト : ……あたしは、もう大丈夫だ。
Tobariのおかげでな。
コーナ : 僕の方もご心配なく。
父さん……いえ、父上から大切なものを受け継ぎましたから。
コーナ : 今の僕には、護るべき大切な人たちがいる……。
悲しみは癒えずとも、立ち止まることはありません。
コーナ : あらゆる手段を駆使して、この国に平和を取り戻す……。
それが父上にできる弔いなんです。
コーナ : その一歩として……
まずは今の僕たちの精一杯の言葉を、みんなに届けてこよう。
ウクラマト : コーナ兄さん……!
ウクラマト : それじゃあ、そろそろ準備してくるぜ。
始まるまで羽毛広場で待っててくれ!
ヤ・シュトラ : いい若者たちね。
グ・ラハ・ティア : ……ああ。
コーナ : ……ラマチ、大丈夫かい?
ウクラマト : ああ、大丈夫だ。
ウクラマト : すべて受け止める覚悟はできてるさ。
悲しみも、怒りも、全部……。
コーナ : 僕はこの国の理王であり、君の兄だ。
ラマチだけに、背負わせはしない。
ウクラマト : すでに知ってる奴も多いと思うが……
先代の連王であり、アタシのオヤジであるグルージャジャが、
先の襲撃で命を落とした。
ウクラマト : 襲撃を率いる頭目に決闘を挑んだオヤジは、
正々堂々と戦い、一度は勝利を手にした……はずだった。
ウクラマト : 敵は不可思議な術を使って蘇ると、
驚くべき力でオヤジの命を奪ったんだ。
ウクラマト : アタシは、それを見ていることしかできなかった。
決闘を申し入れたオヤジの誇りを、
傷つけるわけにはいかなかったんだ。
ウクラマト : みんなの中にも、愛する者を傷つけられたり、
殺されたりした者もいると思う。
ウクラマト : この場を借りて、謝らせてくれ。
武王として、護ってやれなくてすまなかった……。
ウクラマト : そして、もうひとつ……
みんなに詫びなきゃならないことがある。
襲撃を主導したのが、アタシの兄、ゾラージャであったことだ。
シャトナ族の青年 : ゾラージャ様が……!?
シュバラール族の青年 : 俺も見たぞ!
ウクラマト : 奴らはヤースラニ荒野を占拠したらしく、
今やあの地は、巨大な輝くドームによって閉ざされてる。
家族や親しい知人がいる者は、気が気じゃねぇだろう。
ウクラマト : アタシは武王として、これ以上奴らの好きにはさせねぇ。
オヤジが築いた平和を、命を懸けて護ってみせる。
トナワータ族の青年 : 護れるのか!?
見たこともない不気味な機械を使う連中が、
今もまだ、空の上から俺たちを見下ろしているんだぞ!
ウクラマト : そのとおりだ。
ただ待ってるだけじゃ、みんなを守ることはできねぇ。
ウクラマト : だから、向こうが攻め入ってくる前に、
今度はこちらから乗りこんでいって、ゾラージャを討つ。
コーナ : 武王が留守の間、王都の防衛は理王である僕が担います。
もう二度と、皆さんに指一本触れさせはしません。
ウクラマト : オヤジの意思を受け継いだふたつの頭が、
みんなの笑顔を、必ず取り戻してみせる!
だから……信じて待っててくれ!
戦のバクージャジャ : ゲッグッグッグ!
戦のバクージャジャ : 武王が自ら武器を掲げて攻め入り、
理王が守りを固めるっていうなら……
オレサマは異論ないぜェ。
戦のバクージャジャ : だが、ただ黙って見てるだけじゃねェぞ!
この国を守るためなら、オレサマだって戦うぜェ!
魔のバクージャジャ : オイラも戦うよ!
戦のバクージャジャ : さぁ、これでふたり……いや、ふたつか?
戦のバクージャジャ : ええいそんなことはどうでもいい、お前らはどうすんだ!?
ただ黙って連王に守ってもらってるだけか!?
ハヌハヌ族の老人 : 然り、然り……我らもともに抗おう……!
同じ大地に生きる皆がひとつになってこそ、
トライヨラ連王国なのだ!
トナワータ族の青年 : そうだよな。
俺たちだって、この国が大好きなんだ……。
トライヨラの青年 : 俺は戦うぞ! トライヨラのために!
ヘイザ・アロ族の青年 : よっしゃ! 俺もやるぜ!
フビゴ族の女性 : 私たちは、この国のひとりなんだから!
ウクラマト : みんな、ありがとよ!
コーナ : 敵は一度、こちらに手の内を明かしています。
あの空に浮かぶ脅威を打ち払う策も、
必ずや見つけ出してみせましょう。
コーナ : この国を愛する皆さん……
そして外つ国の友人たちと手を取り合うことができれば、
二度目の敗北はありえません!
コーナ : 奴らに、トライヨラの力を見せつけてやりましょう!
ウクラマト : あらためて知ったよ。
アタシ、この国とみんなのことが大好きだ!
ウクラマト : 不安かもしれねぇけど、今は雌伏のとき……
どうか変わらぬ日常を送ってもらいたい。
ウクラマト : そうして力を、食料を、資材を備え蓄えることが、
アタシらの国を揺るぎないものとするはずだ。
ウクラマト : だが、そのときが来たら、みんなの力を貸してくれ!
ウクラマト : トライヨラは決して屈しない!
必ずこの国に平和を取り戻し、みんなで笑おう!
『心をひとつに』



グ・ラハ・ティア : ……ウクラマトとコーナの演説を聴いて、
第一世界での日々を思い出したよ。
グ・ラハ・ティア : 水晶公は王だったわけじゃないが、
それでもクリスタリウムのみんなに語りかける機会は多かったし、
彼らは言葉で、行動で応えてくれた。
グ・ラハ・ティア : トライヨラの人々からも、同じ気風を感じたんだ。
……いい国だな。
アルフィノ : さて、いよいよ出発するときだね。
アルフィノ : 突入組はこのままサカ・トラルへ向かうとして……
残留組の私たちも、途中までは同行させてもらうつもりだよ。
ヤ・シュトラ : ええ、あのドームがどういう性質のものか……
直接この目で視ておきたいの。
アルフィノ : それでは、準備が整い次第出発しよう。
ラマチには私から声をかけて……
???? : おおーーい!
アリゼー : あ……ラマチ!
アルフィノ : ちょうど呼びにいこうと思っていたところだよ。
もういいのかい?
ウクラマト : ああ、時間をくれてありがとよ。
おかげでトライヨラのみんなから、勇気までもらえちまった!
ウクラマト : よっしゃ、この勢いのまま出発しちまおうぜ!
「サカ・トラル関門前」に集合だ!
ウクラマト : みんな、準備はよさそうだな。
ウクラマト : トライヨラのみんなのために、絶対に負けられねぇ。
どんなことがあっても、ゾラージャ兄さんを……
いや……ゾラージャを討って、トライヨラに平和を持ち帰る。
ウクラマト : それじゃ、まずは「シャーローニ荒野」へ急ごう!
現地で監視にあたっている勇連隊から、
向こうで動きがあったって報告も上がってきてるからな……。
ウクラマト : 勇連隊から報告が上がってきてたんだ。
この数刻の間に、次々とあの船がドームの方角から飛来してきて、
威圧するように留まり始めたってな……。
アリゼー : 嫌な感じ……。
トライヨラのものと同じで、攻撃してくる様子はないわね。
ウクラマト : ああ、だが念のため各地の様子を見ておきてぇ。
ウクラマト : ヤースラニ荒野に向かうにせよ、ドームの様子を見るにせよ、
シャーローニ駅の辺りに行くことになる。
その道中にある集落に寄って、状況を確認しておいてもいいか?
エレンヴィル : 俺も手伝おう。
ここらの連中とは交流があったばかりだからな。
ウクラマト : 助かるぜ!
それなら二手に分かれよう。
ウクラマト : エレンヴィルとアリゼー、それからTobariは、
アタシと一緒に集落を回って、住人たちから情報収集を……
その間に、残りのメンバーはドームの様子を確認しておいてくれ。
アルフィノ : 了解だよ。
では、後ほどシャーローニ駅で合流しよう。
ウクラマト : まずは、フーサタイ宿場町に行こう。
たしかあそこは、自警隊が仕切っていたはずだな。
エレンヴィル : ああ、隊長の「ケマッカ」に話を聞けばいいだろう。

ケマッカ : 君たちは先日の……
それにウクラマト様までご一緒とは……!
ウクラマト : 自警隊のケマッカ隊長だよな?
町のみんなの様子はどうだ?
ケマッカ : ええ……幸いにも、この町に直接的な被害はありません。
空に浮かぶ船がやってきたときには騒然としましたが、
今のところ動きもなく……。
ケマッカ : しかし、いろいろな情報が錯綜してましてね……
自警隊総動員で確認に当たっているのですが、
まだシェシェネ青燐泉の方までは手が回っていない状況です。
ケマッカ : 向こうの方には、
機械仕掛けの兵士が現れたという情報もあったのですが……。
ウクラマト : 何だって!?
住民を襲ってたら大変だぞ……!
エレンヴィル : だとすると、ほかの集落も心配だな……
俺はメワヘイゾーンを見てくる。
おたくらは「シェシェネ青燐泉」へ向かってくれ。
アリゼー : 私もエレンヴィルに同行するわ。
またあとで落ち合いましょう!
ウクラマト : 機械仕掛けの兵士は……。
ウクラマト : よかった。
今のところ見当たらねぇな。
ウクラマト : ひとまずは安心だが、情報の出処は確認しておかねぇとな。
手分けして調べてみようぜ。
XTRR社の事務員 : あなたはたしか、先日手伝ってくださった……!
XTRR社の事務員 : ワーリカ社長たちは状況確認のために出払っていますが、
ニトウィケさんは無事だと連絡がありました……!
XTRR社の事務員 : 一番列車がヤースラニ駅に到着した後、
こっちに引き返す途中で例のドームが出現したようです。
XTRR社の事務員 : ですので、折り返し便の乗員乗客は無事なのですが、
ヤースラニ駅で下車した方々の安否までは……。
XTRR社の事務員 : せっかく線路が直ったのに、
直後にこんなことが起こって、本当に大混乱ですよ……。
イヤーテ : あっ、Tobariさん!
来てくれたんだね……こっちはなんとか無事だよ!
イヤーテ : 実は上のアレが来てから、
白黒の甲冑を着込んだ不気味な連中が現れてさ。
ここを包囲しようとしてきたんだ……。
イヤーテ : でもね、すっごく強い旅人さんが助けてくれたんだ!
あっという間に敵を薙ぎ払ってくれててさ。
イヤーテ : 名前を聞きそびれちゃったんだけど……
槍使いの男の人だったよ!
イヤーテ : その人のおかげでここは無事だけど、
ヤースラニ荒野のみんなは大丈夫かな……連絡がつかなくてさ。
ナミーカさんも無事だといいけど……。
ウクラマト : ……そうか、お前も聞いたみてぇだな!
機械仕掛けの兵士から守ってくれた、槍使いの男……。
ウクラマト : それってやっぱり……
???? : なんだ、なんだ? 俺様の噂話か!?
デコワ : へっへっへー!
デコワ様の大活躍のおかげで、この町は無事だぜ!
デコワ : それから、この旦那もな!
ばっさばっさと敵をなぎ倒してさ……すごかったんだぜ!
エスティニアン : ……来たか。
いったいこれは、どういう状況なんだ……?
ウクラマト : エスティニアン、やっぱりお前だったんだな!
みんなを守ってくれたって聞いたぜ……ありがとよ!
エスティニアン : 礼には及ばん。
あの鎧を着た人形もどきそのものは、大して強くはなかった。
それよりも……
エスティニアン : 町の連中から、グルージャジャが殺られたと聞いたが本当か?
衰えていたとはいえ、並みの相手に負けるとは思えんが……。
ウクラマト : ああ、本当だ。
オヤジは卑怯な手を使われて、ゾラージャに……。
ウクラマト : この落とし前は絶対につける。
グルージャジャの娘として、連王として……絶対にだ。
エスティニアン : Tobariのことだ。
こいつと一緒に、敵地に乗り込むつもりなんだろう?
エスティニアン : ……なるほどな、「暁」の奴らも一緒なら心配あるまい。
ならば、俺は今しばらくこの地に留まり、守りに手を貸そう。
ウクラマト : そうしてもらえると心強いぜ!
コーナ兄さんにも報せておくから、
いざという時は連携をとってもらえるとありがてぇ!
デコワ : コーナ兄さん……?
デコワ : え、もしかしてこの人……武王様ぁ!?
ウクラマト : ああ、デコワって言ったか?
お前のことも頼りにさせてもらうぜ!
デコワ : うおおお、任せてくれよ武王様!
あんな奴ら、バンバンバンってやっつけるからよ!
デコワ : 俺様の銃の腕前は、
Tobariがよく知ってるもんな!?
ウクラマト : へへっ、そいつは頼もしいぜ。
ふたりとも、シャーローニ荒野をよろしくな!
デコワ : っしゃあ、エスティニアンの旦那!
さっそく見回りに行こうぜ!
エスティニアン : くれぐれも、無茶だけは……
エスティニアン : ……いや、言っても仕方ないか。
相棒、お前の納得できるようにやりきってこい。
ウクラマト : それじゃあ、そろそろヤ・シュトラたちと合流するか。
「シャーローニ駅」に向かおう!

ウクラマト : こっちは大きな被害はなさそうだったぜ。
エスティニアンたちのおかげでな。
エレンヴィル : ヘイザ・アロ族の集落も無事だった。
彼らのところに敵兵は降りてきていないみたいだ。
ウクラマト : ヤ・シュトラたちの方は、何かわかったか?
ヤ・シュトラ : ドームのエーテルを視てみたけど、
かなり強い雷属性の力で覆われていたわ……。
ヤ・シュトラ : あれほどの密度となると、触れるだけでも命取りでしょうね。
無闇に近づくのは避けた方が無難だわ。
ウクラマト : となると、どうやって突破するか……。
ゾラージャや敵兵が出入りしていたわけだから、
どこかに出入口みたいなものがありそうだけどな……。
???? : その出入口なら、僕たちわかるかも!
エレンヴィル : ここの鉄道会社の連中だ。
シャーローニ荒野とヤースラニ荒野を繋ぐ列車を運行している。
ダーピャ : 実は、ヤースラニ荒野の近くまで行って、
途中で立ち往生していた列車を回収してきたんだ。
そのとき、ついでにドームとの境界も確認してな……。
シェンダ : それでね、僕たち望遠鏡で見ちゃったんだよ!
ドームを貫通するように造られた……
どでかい基地のようなものをさ!
アリゼー : 貫通するように……?
ということは、そこから中に通じているのかしら。
ダーピャ : 遠くから観察しただけだが、
建物からはたくさんの兵士たちが出入りしていた。
恐らく、ドームの内外を繋ぐ通路のようなものだと思う。
ダーピャ : だが、周辺に防備が張り巡らされていて、
簡単には近づけそうにもなかったぜ。
エレンヴィル : ところでワーリカ、
一番列車の乗客たちのことは、なにかわかってないか?
ウクラマトの乳母だった人も乗っていたはずなんだ。
ウクラマト : 何だって!?
ナミーカが……!?
ワーリカ : ……列車に乗っていたのは、
ヤースラニ駅からの、折り返し便の乗客だけだ。
ニトウィケ : あたしは機関士だったから、しっかり確認してる。
あの一番列車に乗っていた人たちは、全員無事に下車したし、
折り返すときも、何の異状もなかったんだ。
ニトウィケ : なのにヤースラニ駅を出発して、しばらく走ったところで、
ものすごい地震が起こって……緊急停車させて……
振り向いたときには……。
シェンダ : 線路さえ無事だったら、
ヤースラニ荒野まで列車で送ってあげられるのに……
よりによって、その線路上に基地があるんじゃなあ……。
クルル : 基地がドームの内側へと通じる通路だとして、
どうやって敵に見つからずに近づくかも問題よね……。
ウクラマト : ……隠れる必要なんてねぇ。
正面突破だ。
ウクラマト : 考えなしに言ってるわけじゃねえぜ。
ゾラージャはアタシに、武王としての器を証明しろと言った。
それができなかったとき、みんなが危険に晒される……。
ウクラマト : だからこそ、正面から殴り込んでいって、
アタシが攻めてきたと知らしめる必要があるんだ。
ゾラージャの目を引き付けるためにな!
ワーリカ : へっ、気に入ったぜ!
ワーリカ : みんな、俺の提案を聞いてくれ。
正面突破は上等だが……
近づく前にやられちまったんじゃ意味はねえ。
ワーリカ : だからこそ素早く接近して、
最初の一撃で基地の守りを崩す、そんな策が必要なはずだ。
ワーリカ : だったら……特製の爆弾列車を作ろうぜ!
列車を装甲で覆った上で高濃度の青燐水を積んで、
基地に突っ込ませるんだ!
シェンダ : えええええ!?
ちょっとちょっと……社長、何言ってんの!?
ダーピャ : せっかく青燐機関車が無事だったってのに、
それをわざわざ壊すような真似をするってのかよ!?
ワーリカ : ……俺は本気だぜ。
大陸横断鉄道は、俺たちが描いてきた夢そのものだ。
これから先もたくさんの夢を乗せて走るはずだった……。
ワーリカ : 今、その路の上に障害ができちまった。
それを黙って見ていることなんて、できねえ相談だよな?
ワーリカ : だったら、俺たちがやるしかねえだろうが……!
ワーリカ : それになあ、俺はこいつらの気概が気に入ったんだ!
得体の知れねえドームに乗り込もうなんざ、
よっぽど肝が据わってなきゃできねえ。
シェンダ : で、でもさ……!
ニトウィケ : あんたたち、よく聞きな。
人間、いくらひどい挫折を経験したってねえ、
命さえありゃ、何度だってやり直せるチャンスはあるんだ!
ニトウィケ : 列車のひとつやふたつ、また作りゃいいんだよ。
生きてるくせに、うだうだ文句言ってんじゃないよ!
シェンダ : 死んだら文句言えないじゃん……。
ニトウィケ : それから、その爆弾列車の運転は、
あたしが引き受けさせてもらうよ!
ニトウィケ : この列車は片道切符!
しかも、爆発に巻き込まれないよう到着直前に飛び降りる、
強制途中下車の、暴走特急だ!
ニトウィケ : それでもよけりゃ、乗ってくかい?
ワーリカ : こいつ、こうなったら聞かないからな……。
ワーリカ : ただし、命だけは大事にしてくれよ。
▼ワーリカを飲んだくれにはさせないよ
ワーリカ : あ? 俺は酒は一滴も飲まねえよ。
ワーリカ : 列車に未練が無いと言えば嘘になるが……
ワーリカ : 最高の仲間と、最高の妻がいる。
今の俺には、それで充分なんだよ。
シェンダ : まあ、トラル大陸を救う伝説の列車ってことになるなら、
そんなに悪くないかもね……。
ダーピャ : ……ああ。
こうなったら仕方ねえ、とことん改造するぞ!
アリゼー : 魔導技術の知識があるわけじゃないけど……
手伝えることがあったら、やらせてちょうだい!
ワーリカ : おっ、助かるぜ嬢ちゃん!
ワーリカ : そんじゃ、もしほかにも手を貸してくれる奴がいたら、
倉庫の方まで来てくれよな!
アルフィノ : 現状打破のために、やることは見えたようだね。
私は急ぎトライヨラに戻って、理王コーナに状況を報告するよ。
ヤ・シュトラ : 私も、すぐに戻らないと……。
調べなければならないことが増えたようだから。
ヤ・シュトラ : あのドームと、黄金郷の扉……
属性的な偏り方が似ている可能性がある。
詳しい調査をすれば、役立てることがあるかもしれないわ。
ウクラマト : よくわからねぇが、
この謎だらけの状況を解き明かす手がかりは多いほどいい。
みんなで手を取り合って、日常を取り戻そうぜ!
ウクラマト : ……列車がワーリカたちにとって大切な物だってこと、
ちゃんとアタシにも伝わったよ。
ウクラマト : それでも、トライヨラのためにこの作戦を提案してくれた……。
彼らの厚意を無駄にしねぇためにも、必ず成功させよう。
『荒野に落ちる影』



グ・ラハ・ティア : ……作戦に異論はないが、少し確認してもいいか?
グ・ラハ・ティア : 爆弾列車で基地の防備に風穴を開ければ、
ドーム内に入るための足がかりは作れるだろう。
だが、ゾラージャ側からの都市部への報復は考えなくていいのか?
ウクラマト : その可能性については、アタシも考えた。
……ただ、ゾラージャはこう言ってたんだ。
ウクラマト : 「決闘」の機会を与える……
そして「我が国」に攻め入ってこいって……。
ウクラマト : つまり、アタシたちに余裕を見せつけることで、
自分の国が、トライヨラより格上であることを誇示したいのさ。
ウクラマト : だから、武王不在の都を攻めて、満足はしねぇはずだ。
ドーム内で堂々と待ち受け、望みどおりアタシらが攻め入れば、
力の差を見せつけ、叩き潰そうとしてくるはずだからな……。
アリゼー : そうね……むしろ、ゾラージャの期待を裏切れば、
トライヨラは危険に晒されると思うわ。
クルル : 少なくともトライヨラの防衛体制が整うまでは、
こっちは彼の望みどおり動くしかないってことね。
ウクラマト : ああ、真正面から乗り込むことで、
アタシがゾラージャの注意を引き付ける。
ウクラマト : その間に、コーナ兄さんたちが必ず、
最良の防衛策を考えてくれるはずだ……!
グ・ラハ・ティア : ……そこまで考えているなら何も言うことはないさ。
ほかでもない、義妹のあんたの言うことだ。
グ・ラハ・ティア : よし……
この作戦を成功させるために、オレも知恵を絞ろう。
敵の抵抗に遭うことは、想定しておくべきだからな!
ウクラマト : へっ……ありがとよ、グ・ラハ!
ウクラマト : それじゃ、悠長にしてる時間もねぇことだし、
「ワーリカ」のとこに行こうぜ。
みんなで列車改造だ!
ワーリカ : よっしゃ、ここから急ピッチで進めるぞ!
お仲間さんたちには、すでに作業を割り振っておいたぜ!
ウクラマト : アタシたちは何を手伝えばいいんだ?
何でもするから遠慮なく言ってくれよな!
ワーリカ : ああ、お前さんたちには、ちと相談したいことがあってな。
改造の方針についてと……必要な職人についてだ。
ワーリカ : 継承の儀で各部族と交流してきたお前さんたちだったら、
協力してくれそうな奴らを知ってるんじゃないかと思ってな。
ウクラマト : そういうことならアタシたちに任せてくれよ!
ばっちり答えてみせるぜ!
ワーリカ : ありがてえ……!
そんじゃ、さっそく質問させてもらうぜ!
ワーリカ : よし、ひとつ目の相談なんだが……
敵の基地に近づけば、当然迎撃される可能性があるだろ?
ワーリカ : お前さんたちに敵の対処を任せるとしても、
青燐水が満杯になった貨車を狙われたら、ひとたまりもねえ。
ワーリカ : 目撃者の話じゃ、敵兵は雷撃を放つ武器を使うらしい。
だから、クリスタル製の避雷針でも付けようと思うんだが……
「大工仕事が得意な知り合い」はいないか?
ワーリカ : ほう、オック・ハヌに優秀な大工がいるんだな。
そいつはぜひとも協力を頼みてえ!
ウクラマト : ああ、ウケブなら申し分ないな!
ちょっと気難しいところもあるけど……
「オフォカリー」って挨拶すれば大丈夫さ!
ワーリカ : ……ただ、いかに腕利きでも、
ひとりだけじゃ、作業がいつ終わるかわからんな。
ワーリカ : 「身体が大きくて、力持ちの知り合い」はいないか?
大きくて重い部品を楽々運べる奴がいれば、
それだけ仕上がりも早くなるはずだ。
ウクラマト : ああ、あいつらなら助っ人としてばっちりだな!
ヨカフイ族の怪力ぶりは有名だし、
トライヨラのためなら、きっと助けてくれるさ!
ワーリカ : おお、ヨカフイ族にまで知り合いがいるのか!
さすがだな、ぜひ当てにさせてくれ!
ワーリカ : んじゃ、次の相談に移らせてくれ。
列車に取り付ける「武装」についてなんだがよ……。
ワーリカ : 高速で爆走する列車の迎撃には、
あの空飛ぶ乗り物を使ってくる可能性が高いだろう。
だから対抗手段が必要だと思ってな。
ウクラマト : たしかに、アタシは魔法を使えないし、
コーナ兄さんみたいに銃が使えるわけでもねぇ……。
ウクラマト : 遠距離攻撃が可能な武装……何か思いつくか?
ワーリカ : なるほどな……バリスタか。
だが、いちいち一発射つごとにボルトを装填して、
弦を引き絞ってとなると、時間がかかってしょうがねえ。
ワーリカ : もっと、装填が楽にできる方法があればいいが、
兵器となると専門外だからな……。
グ・ラハ・ティア : そういうことなら、オレに任せてくれないか?
グ・ラハ・ティア : クリスタリウムにあった「魔装砲」を参考にできそうだ。
いわば魔法版のバリスタってところだな。
グ・ラハ・ティア : オレが造ったわけじゃないが、構造は理解しているから、
材料と金属加工に長けた職人さえいれば、なんとかなるはずだ。
ウクラマト : 金属加工となると、フォンジャンテーンに頼めそうだぜ!
材料は何が必要なんだ?
グ・ラハ・ティア : 砲身はエーテル伝導率が高い金属なら何でもいい。
ただ、エーテル供給源になる高純度のクリスタルが必要……
それも火属性の力を秘めたやつがな。
ワーリカ : うーむ……火属性の高純度クリスタルか……
それならシェシェネ青燐泉の採掘師が詳しいかもしれんな。
グ・ラハ・ティア : なら、クリスタル調達と職人の手配は任せていいか?
その間にオレは、設計図を起こしておこう。
ワーリカ : おうよ!
職人の手配は俺が引き受ける!
ワーリカ : んで、お前さんには、必要な材料の調達を頼みたい。
材料の管理はシェンダに任せてあるから、
奴と話し合って進めてもらえると助かるぜ!
ワーリカ : これで後はどうにかなりそうだな。
相談に乗ってくれてありがとよ!
ワーリカ : よーし、さっそく手配してくるぜ!
最高の素材と最高の職人を集めて、最高の爆弾列車を作るぞ!
ウクラマト : へへっ、うまくいきそうだな!
ウクラマト : アタシもヨカ・トラルのみんなに連絡して、
手伝ってもらえねぇか、掛け合ってくるよ!
ウクラマト : そっちはバリスタの材料の調達、よろしくな!
「シェンダ」なら南東の方で見かけたぜ。
シェンダ : ええと……
装甲に使う木材の発注は済んだから、次は……
シェンダ : うわ、ごめん気がつかなかった!
僕になにか用?
シェンダ : なるほど、魔装砲って奴を作るための材料が必要、と……。
そのエーテル伝導率が高い金属っていうのは、
心当たりがあるから、こちらで引き受けるよ。
シェンダ : ただ火属性の高純度クリスタルとなると、
採掘師の人に聞かないと、調達方法がわからないかも……。
まるっと頼んでもいい……?
シェンダ : 最高! もう、ほんと神様!
シェンダ : たしか、君ってば「イヤーテ」さんと知り合いなんだよね?
彼女は、ここらでは名の知られた採掘師だから、
相談してきてもらえると助かるよ!
イヤーテ : あら、また会いに来てくれて嬉しいよ。
で、どうしたの?
イヤーテ : 火属性の高純度クリスタルかあ……
それなら前に一度、話を聞いたことあるよ。
イヤーテ : たしか……えーと……
すぐ思い出すから、ちょっと待って!
『路を拓くために』



ウクラマト : シェンダから聞いたぜ、
高純度クリスタルの調達に行ってくれたんだって?
ありがとよ!
ウクラマト : アタシの方も、助っ人を募集してきたところだ。
誰が駆けつけてくれるかは、来てのお楽しみだな!
エレンヴィル : こっちも、準備は順調にいってる。
あとはとにかく、人手がそろえばって感じだな。
エレンヴィル : 正直、故郷のことを考えると気が気じゃないが……
今ばかりは待つしかない。
ウクラマト : なあ、エレンヴィル……
お前のおふくろも、必ず見つけだすからな。
ウクラマト : カフキワとは、アタシが小さいころに会ったきりだけど、
80年前にオヤジと一緒に旅したときの話とか、
いろいろ聞きてぇしよ!
エレンヴィル : ふっ……きっと、1聞けば100は答えが返ってくる。
おふくろはそんな奴だから、長話は覚悟しておけよ。
ウクラマト : ああ、そいつは楽しみだ!
ウクラマト : それじゃあ、手伝いに戻ろうぜ!
助っ人たちがそろったら、本格的に作業開始だ!
ウクラマト : 遠いとこまでありがとな。
お前らが来てくれて大助かりだぜ!
ウケブ : トライヨラ襲撃の一件があってから、
何か力になれることはないかと思案していたのです。
ウケブ : そんなときにお声がけいただいたものですから、
まさしく渡りに船でしたよ。
マーブル : ういうい!
平和を取り戻して、みんなに飲んでもらいたいからね!
美味しいメスカルをさ!
マーブル : そのためにできることなら、何だってするよ!
ズームーウー : 王都の方も、先の襲撃の痛手で人手が要るとのことでしたので、
そちらは、祭司長グーフールーがあたっております。
ウクラマト : ありがてえ……!
ウクラマト : こんなにも頼もしい奴らが協力してくれてるんだ。
百人力どころか、百万人力だぜ!
ウクラマト : よっしゃ、アタシもこうしちゃいられねぇな!
みんな、もうひと踏ん張りだ!
エレンヴィル : ……俺も、行ってくる!
ワーリカ : よーし、作業は一旦ここまでだ!
みんなありがとう!
みんなありがとう!
ニトウィケ : 車体に取り付ける装甲や砲座の準備は完了したし、
あとはあたしたちに任せて、みんなは休んどくれ。
ウクラマト : アタシからも改めて礼を言わせてくれ。
呼びかけに応じてくれて、本当に感謝してるぜ。
デコワ : おう、いいってことよ!
俺様の助けが必要な時は、いつでも呼んでくれ!
ウケブ : なに、自国の危機とあらば当然のことです。
マーブル : ういうい!
みんな、大好きなんだよ!
この国と、武王ウクラマトのことが!
ウクラマト : みんなの想いに、絶対に応えてみせるぜ。
アタシも、トライヨラとみんなのことが大好きだからな!
ワーリカ : お前さんたちも、手伝いありがとよ!
おかげでだいぶ捗ったぜ。
ワーリカ : 大半の助っ人にも帰ってもらったし、
あとの作業は俺たちに任せて、お前さんも少し休んでくれよな。
『トライヨラが好きだから』
最終更新:2024年09月28日 01:30