エレンヴィル : 出航まではまだ少しばかり時間がある。
話しておきたいことがあるなら、今のうちだぞ。
ウクラマト : なら、念のため確認しとくぜ。
お前ら、トラル大陸に行く目的を忘れちゃいねぇよな?
アルフィノ : もちろんだよ。
アルフィノ : トラル大陸を統べる国家、トライヨラ連王国。
その次期国王を決めるための儀式、継承の儀……。
アルフィノ : 私たちは、第一王女であるウクラマトの協力者として、
ともに継承の儀に参加するために同行する。
アリゼー : それはそれとして、
私とアルフィノには別の目的もあるんだけどね。
アリゼー : 復興途上のガレマルドでは、諸外国や異種族とどう和解して、
相互協力を行っていくかという課題が残されている。
アリゼー : 多部族国家のトライヨラ連王国に行けば、
何か学び得るものがあるかもしれない……。
アリゼー : もちろん、継承の儀には全力で協力するわ。
ウクラマト : それさえ約束してくれりゃ、
あとはお前たちの好きにしてもらって構わねぇさ。
ウクラマト : クルルだって、じいちゃんのことを調べたいんだろ?
クルル : ええ……私が見つけた古い手紙は、
ウクラマトさんのお父様でもある連王グルージャジャ陛下が、
ガラフおじいちゃんに「黄金郷」の調査を依頼したものだった。
クルル : 不思議なことに、その調査についての記録は残っていない。
本当に実施されたのかどうか……
そして、手紙と一緒に残されていた、この耳飾りは何なのか。
クルル : 私はバルデシオン委員会の代表代行として、
これらの真実を知っておきたいの。
ウクラマト : トライヨラに着いたら、オヤジと話す機会もあるはずだ。
いっそ、直接聞いてみたらいいんじゃねぇか?
クルル : ええ、その機会があればぜひ。
ウクラマト : 黄金郷のことなら、
ほかにも気になってる奴がいるみてぇだしな。
エレンヴィル : ……悪いが黄金郷なんて、俺は信じちゃいない。
おたくらに同行するのは、トライヨラの王女殿下から、
現地のガイド役を仰せつかったからだ。
ウクラマト : 相変わらずの陰険ぶりだな。
ウクラマト : お前も、いいんだよな?
今さら、やーめたってのは勘弁してもらいてぇけどさ!
▼ウクラマトを王様にしてみせよう
ウクラマト : ハッハッハ!
いいねぇ、頼りにしてるぜ!
『未知なる冒険へ』
ルガディン族の探検家 : 約80年前……あのメルウィブ提督が安全航路を発見する以前に、
トラル大陸にたどり着いた初めてのエオルゼア人、ケテンラム。
俺の憧れの偉大な先達よ。
ルガディン族の探検家 : 当時、彼はトラル大陸に初めて訪れた異邦人として、
マムージャ族の王様に手厚くもてなされたらしい。
帰り際には、友好の証として大量の銀製品を贈られたんだとか。
ルガディン族の探検家 : 加えてケテンラムは、ポポトやトマト、コーンなど、
様々な作物をエオルゼアに持ち帰って広めた。
食卓にまで変革をもたらしたってことさ!
ルガディン族の探検家 : その後もケテンラムは、何度かトラル大陸を訪れたようだが、
航海の最中に行方不明になってそれきり、消息が途絶えたんだ。
偉大な探検家ですら命を落としてしまうのが、海の怖さだな。
『未知なる冒険へ』
アルフィノ : エレンヴィル、君もトラル大陸の出身らしいね。
ならば向こうには、ヴィエラ族の集落が?
エレンヴィル : 現地じゃ、シャトナ族って呼ばれてるんだが……
主に大陸の北側、サカ・トラルで暮らしてる。
アルフィノ : ご家族もそちらに?
エレンヴィル : さて、父親は生まれたときからいなかったしな。
名前すらわからないってのが正直なところだ。
エレンヴィル : だが、母親は……
『未知なる冒険へ』
ウクラマト : バカでかい門だろ?
ウクラマト : この扉の先には、
これまたバカでかい橋が架かっててな。
数百年前に、ヨカフイ族って巨人たちが造ったらしい。
ウクラマト : トラル大陸は、厳密にはふたつの大陸に分かれてる。
トライヨラの街がある母なる南部大陸「ヨカ・トラル」と、
橋の先に広がる父なる北部大陸「サカ・トラル」だな。
ウクラマト : 神話では、もともとひとつの大陸だったそうだ。
太古の昔に二柱の神が戦ったとき、一方の神が倒れた衝撃で、
大地に亀裂が入って、ふたつに分かれたって伝えられてる。
クルル : なんだか、ハイデリンとゾディアークの関係を思い起こさせる、
壮大な神話ね。
クルル : ところで、北側のサカ・トラルも、
トライヨラ連王国の領土と考えていいのかしら?
ウクラマト : ああ、そうだぜ。
アタシのオヤジはすげぇだろ?
ふたつの大陸をまとめ上げて、ひとつの国を興したんだから。
ウクラマト : トラル大陸じゃ、長いこと部族間の争いが絶えなくてな。
だけど、オヤジが各地を巡って戦いを終わらせたことで、
ようやく平和な世が訪れたのさ。
ウクラマト : だからアタシは……
その平和を護るために王位を継ぎたいんだ。
ウクラマト : って、人が決意を語ってるっていうのに、
扉の先に広がるサカ・トラルの方が気になるのか?
ウクラマト : 橋を渡るには通行許可証が必要なんだけどよ、
継承の儀が終わるまで、新規の発行は中断されてるんだ。
ま、アタシが王になったら、くれてやるから楽しみにしてろよな!
▼約束だぞ
ウクラマト : へっ、アタシに二言はねぇ!
絶対に王位を継いで、お前を向こう側に行かせてやるよ!
『トライヨラ連王国』
クルル : それにしてもトライヨラの人たちは、
どうやってこんな山の上に街を造ったのかしら。
ウクラマト : 元々ここには、ヨカフイ族が建てた神殿があったのさ。
サカ・トラルに大橋を架ける際、
大海溝の底に眠る神を起こさないように、鎮めるためのな。
ウクラマト : 数百年前にヨカフイ族が去って、長らく放置されてたんだが、
オヤジが国を興すとき、ちょうどトラル大陸の中心にあった、
その神殿跡を改築して王宮にしたんだ。
ウクラマト : このとき集まった労働者たちの住居が、
トライヨラの街の基礎になっていったわけだな!
ウクラマト : よし、ちょうど話に出たことだし、
トライヨラ最大の居住区「翼鏡の街」を通っていくぞ!
ここの階段を上った先さ!
『王都遊覧』
クルル : これらの石塔に刻まれてるのは、絵……
いえ、絵文字かしら?
クルル : まるで物語のように異なる場面が連なっていて、
その大半にふたつ頭のあるマムージャ族が描かれているわ。
ということは、もしかして……
ウクラマト : ああ、アタシのオヤジ、連王グルージャジャが、
この国を興すまでに辿った旅路が描かれてるんだ。
その名も「トライヨラ叙事詩」!
ウクラマト : オヤジと絆を結んだヨカ・トラルの部族たちや、
いろいろな偉業が刻まれてるのさ。
ウクラマト : この国を知る上で、こいつの存在は欠かせないからな。
時間をかけてじっくり見ていいぜ!
ウクラマト : こいつは「友(とも)の章」の石塔だ。
描かれてるのは、外つ国から来たナントカって探検家が、
オヤジに謁見してるところらしい。
クルル : もしかして、ケテンラムのことかしら?
ウクラマト : ああ、たしかそうだ。
そのケテンラムってのがトラル大陸を訪れたことが、
オヤジが旅に出るきっかけだったらしい。
ウクラマト : オヤジは外つ国からの来訪者をえらく気に入って、
友と呼べる間柄になったらしいが……
その後、そいつがどうなったのかは知らん!
クルル : エオルゼアでも、彼の消息については伝わってないわね。
しばらくの間は、トラル大陸との間を行き来したみたいだけれど、
何度目かの航海で行方不明になったそうよ。
ウクラマト : こいつは「葦(あし)の章」の石塔だな。
コザマル・カに集落を持つハヌハヌ族と、
オヤジの出会いを描いてる。
クルル : カラフルな羽根を持つ、バヌバヌ族とよく似た人たちのことね。
雲海のバヌバヌ族をよく知るアルフィノ君は、
気になって仕方がなかったみたい。
ウクラマト : そのバヌバヌってのは知らねぇけど、
ハヌハヌ族の連中は、陽気で面白い奴らでよ。
集落で変わった祭りを開くことでも有名だぜ。
ウクラマト : これは「食(しょく)の章」の石塔だな。
見りゃわかると思うが、
描かれてるのは、アタシと同族のシュバラール族だ。
ウクラマト : シュバラール族とマムージャ族は、長年戦争を繰り返してきた。
根拠地にしていた森の支配権を賭けてな。
ウクラマト : その戦いをオヤジが止めたことが、
トライヨラ建国のきっかけになったと言われてるらしい。
クルル : シュバラール族……私たちがロスガル族と呼ぶ種族。
ボズヤ地方のヘリオンは、指導者であるひとりの女王を、
多くの男性が支える社会構造をしているらしいけれど……。
クルル : トラル大陸では、
男性と女性の間に身分の違いはないように見える。
所変われば品変わる、ということかしら。
ウクラマト : えーと、これは「壺(つぼ)の章」の石塔だな。
コザマル・カのモブリン族のことが描かれてる。
ウクラマト : おかしなマスクを被って、「モブモブ」言ってる奴らだけど、
こいつらが売る金細工や銀細工は、そりゃあ見事でさ。
贈り物の定番って言われてるくらいだ。
クルル : バヌバヌ族だけじゃなくて、
ゴブリン族に似た種族までいるなんてね……。
ウクラマト : 手前の分はよく見たか?
だったら、次は奥の石塔を見てみようぜ!
ウクラマト : 「金(きん)の章」に描かれているのは、
オルコ・パチャを根拠地にするペルペル族だ。
ウクラマト : 通貨を生みだしただけあって、
商売の民として知られていて、各地を行商で回ってる。
トライヨラの市場だって連中が仕切ってるんだぜ。
ウクラマト : 見た目は、仮面を被った子どもみたいに見えるけど、
計算高くて口もうまい、まさに商売上手さ。
ウクラマト : おっと、こいつはアタシが一番好きな石塔だ。
名付けて「封(ふう)の章」……
伝説のトラルヴィドラール、ヴァリガルマンダとの戦いだ!!
ウクラマト : トラルヴィドラールってのは、長く生きることで、
獣の枠を飛びこえて、尋常じゃねぇ力に目覚めた存在のことさ。
クルル : 前にタタルさんから聞いた、東方の瑞獣を彷彿とさせるわね。
同一か、それとよく似た存在ということかしら。
ウクラマト : かつてヴァリガルマンダは、「生ける天災」と呼ばれたらしい。
歴史の中で幾度も目覚めては破壊の限りを尽くして、
人々を恐怖に陥れたとか……。
ウクラマト : だけど、80年前に事態が変わった!
オヤジと仲間たちが死闘の末にぶっ倒して、
オルコ・パチャの山奥に封印したのさ!!
ウクラマト : ヴァリガルマンダは、トラル大陸では力の象徴でもある。
だから、トライヨラ連王国の国章にも描かれているし、
連王宮の装飾にも用いられているわけだ!
ウクラマト : これは「墓(はか)の章」……
トラル大陸いち身体の大きな連中、ヨカフイ族が描かれてる。
ウクラマト : その昔ヨカフイ族は、生まれ持ったでかい図体を武器に、
ヨカ・トラルの支配者として君臨してたらしい。
ウクラマト : 南を制した奴らは、次にサカ・トラルへと進出した。
サカ・トラル関門の先に、大橋を架けることでな。
ウクラマト : その後何があったのか、いっときを境に支配者の座を棄て、
オルコ・パチャの山奥でひっそり暮らすようになったんだ。
あいつらがトライヨラに降りてきたとこなんて、見たことねぇ。
クルル : こんな山の上に神殿や大橋を造る力を持ったヨカフイ族が、
どうして歴史の表舞台から姿を消したのかしら……。
クルル : この石塔には何も描かれていないみたいね。
ウクラマト : オヤジいわく、この国が新たな路を進むときのために、
残してあるんだとさ。
何のこっちゃわからねぇがな。
『王が歩んだ旅路』
茶色頭のマムージャ族 : これはこれは。
誰かと思えば、王女サマじゃありませんかァ。
ウクラマト : げっ……。
茶色頭のマムージャ族 : オマエたちは……このあたりじゃ見ない顔だなァ?
青色頭のマムージャ族 : きっと、外つ国から連れてきた人たちだよ、兄者。
茶色頭のマムージャ族 : なるほどな、弟よ。
つまり王女サマは、継承の儀を勝ち抜く自信がないから、
わざわざ異国人に泣きついたということか!
ウクラマト : いきなりご挨拶じゃねぇか、バクージャジャ。
戦のバクージャジャ : おっと、王女サマに名前を覚えていただいているとは、
光栄ですなァ!
魔のバクージャジャ : さすが、兄者だねェ!
戦のバクージャジャ : ゲッグッグッグ!
オマエだって、バクージャジャだろォ?
ウクラマト : ふん……。
王位を争う相手なんだから、名前ぐらいは知ってるってだけだ。
クルル : じゃあ、彼も連王の子なの?
ウクラマト : いや、こいつは……
戦のバクージャジャ : くだらねェ家族ごっこをしてる連中と、
一緒にするんじゃねェよ!
戦のバクージャジャ : こんな劣等種のメスネコちゃんと違って、
オレサマは選ばれし双頭、「祝福の兄弟」だ!
連王グルージャジャを継げる唯一の存在ってわけよ!
ウクラマト : トライヨラは多部族国家だ!
どの部族だろうが、王になる権利はある!
戦のバクージャジャ : なら、ここで試してみようじゃねェか。
メスネコちゃんに、その力があるかどうかをなァ?
クルル : どちらにしても、王位に座ることができるのは、
継承の儀で選ばれた人だけ……でしょう?
なら、今無駄な体力を使うこともないんじゃないかしら。
魔のバクージャジャ : キャハハハハ!
メスネコちゃんが、チビネコちゃんにかばってもらってるねェ!
戦のバクージャジャ : こいつァ傑作だ!
ここはいつからネコちゃんの王国になったんだァ?
ウクラマト : てめぇ……!
『王が歩んだ旅路』
武王グルージャジャ : これで全員揃ったな。
武王グルージャジャ : 我が長子、ゾラージャ。
武王グルージャジャ : 次子、コーナ。
武王グルージャジャ : 末子、ウクラマト。
武王グルージャジャ : そして、祝福の子、バクージャジャよ。
武王グルージャジャ : お前たち4名には、これより継承の儀に挑んでもらう。
わしの跡を継ぎ、この国の次代の王となるべき者を選ぶためにな。
武王グルージャジャ : わしも歳を取って、半身である理の頭は眠ってばかり。
いい加減、「連王」としての体裁を保てんというわけだ。
武王グルージャジャ : しかし、いかんせんトライヨラの王が代わるのは初のこと。
どうしたもんかと考えて……
この国を興す前からあった方法を借りることにした。
武王グルージャジャ : それが、継承の儀だ。
もともとは、マムージャ族が王を決めるための儀式でな……。
武王グルージャジャ : もっぱら双頭同士で競ってたもんだったが、
わしが興したトライヨラは、多部族によって成る国。
2代目の王は双頭どころか、マムージャである必要さえない。
武王グルージャジャ : そこで、我が実子ゾラージャのみならず、
養子であるコーナとウクラマトにも、
その資格を与えることにしたわけだ。
武王グルージャジャ : だがそれだけでは、
真にすべての部族に機会を与えたとは言えん。
故に、先の武闘大会の勝者も、参加させることにしたのさ。
戦のバクージャジャ : それでオレサマがここにいるってわけよ!
戦のバクージャジャ : そっちのヒトツアタマくんは、
ビビって武闘大会に参加しなかったようだがなァ!
コーナ : 兄さんは、トラルヴィドラール討伐の任で、
勇連隊を率いてサカ・トラルまで遠征に行っていただけ。
コーナ : そうとも知らずに言いがかりをつけるとは、なんとも滑稽ですね。
武王グルージャジャ : んじゃ、次はお前らがもっとも気にしているであろう、
継承の儀の内容についてだ。
武王グルージャジャ : 儀式の勝者となって、王位を継承する条件、
それは、ヨカ・トラルのいずこかにある……
武王グルージャジャ : 「黄金郷」を見つけだすことだ。
コーナ : 父上、ひとつよろしいですか。
武王グルージャジャ : おう、なんだ。
コーナ : 黄金郷といえば、この大陸に古くから伝わる伝説……
いえ、誰も見たことがないのですから、
もはやおとぎ話のような存在と言えるでしょう。
コーナ : それを探せということは、実在する確証があると?
武王グルージャジャ : ああ、黄金郷は間違いなく存在する。
ほかならぬわしが、この4つの眼(まなこ)で見てきたからな。
エレンヴィル : まさか……本当にあるのか……。
武王グルージャジャ : この国を興す前、わしは仲間と各地を旅し、
最後には黄金郷へ至る扉に辿り着いた。
武王グルージャジャ : お前たちにも同じことをしてもらう……が、
そこへ到達するには、わしが施した封印を解く必要があってな。
武王グルージャジャ : あれを持て。
ウクラマト : あの絵文字は、トライヨラ叙事詩か……?
武王グルージャジャ : わしがこの国を興すまでに歩んだ旅路をなぞれ。
その道中に、お前たちの器を量る、
「連王の選者」が7人待ち受けている。
武王グルージャジャ : そいつらの出す試練を超えて、秘石を手に入れろ。
武王グルージャジャ : 7つの石板は、そのすべてに秘石をはめることで、
黄金郷の扉にかけられた封印を解く魔具となるのだ。
コーナ : つまり、選者の試練を超え、7つの秘石を手に入れなければ、
黄金郷に至る扉にはたどり着けない……。
武王グルージャジャ : いかにも、そのとおりよ。
どうだ、心躍るだろう?
ウクラマト : 先の武闘大会といい、季節ごとの狩猟祭といい、
ホント、オヤジはこういうの好きだよなぁ……。
武王グルージャジャ : もう少し若ければ、わしも参加して、
お前たちを蹴散らしてやったんだがな!
武王グルージャジャ : まどろっこしい真似をと思うかもしれんが、
王位をくれてやるんだ。
武王グルージャジャ : これくらいのワガママには付き合ってもらうぞ。
戦のバクージャジャ : チッ、めんどくせェ。
双頭のオレサマを後継者に指名すりゃ済む話だろうが。
武王グルージャジャ : ではこれより、継承の儀を始めるぞ!
誰がわしの王位を継ぐか、楽しみに見届けさせてもらおう!
武王グルージャジャ : 候補者たちは、別室で石板を受け取るのを忘れるなよ!
武王グルージャジャ : 嬢ちゃんはたしか……ラマチの協力者だったな。
わしに何か?
クルル : 私は、バルデシオン委員会の代表代行。
クルル・バルデシオン……と名乗れば、おわかりいただけますか?
クルル : 過去にあなたがバルデシオン委員会に宛てた手紙です。
残念ながら、大半がかすれて判読できませんでしたが……
クルル : それでも、あなたが私の育ての親である、
ガラフ・バルデシオンに黄金郷の調査を依頼したことは、
どうにか読み取れました。
クルル : そして、同封されていたこの耳飾り。
クルル : わざわざおじいちゃんが来たことを思えば、
黄金郷と、この耳飾りには、何か重大な秘密があるはず。
クルル : 私は、バルデシオン委員会の代表を継いだ身として、
そのことを調べにきたのです。
何かご存じなら、教えていただけませんか?
武王グルージャジャ : 悪いが、今は何も話せんな。
武王グルージャジャ : これから黄金郷を探させようっていうんだ。
お前に詳しい経緯を伝えれば、継承の儀の公平性が崩れちまう。
武王グルージャジャ : ……だが、すべてが終わったあと。
次期国王となった者には、ありのままを話すつもりでいる。
そんなに知りたければ、ラマチを勝たせることだな。
クルル : わかりました。
必ず黄金郷を見つけてみせます。
クルル : それでこそ、バルデシオン委員会の一員ですから!
クルル : 話を聞いてくださって、ありがとうございました。
武王グルージャジャ : あのときの赤子が、ずいぶん頼もしく育ったじゃねぇか。
なぁ、ガラフよ……。
エレンヴィル : なあ……今さらこんなことを言うのも何だが、
本当に来てよかったのか?
エレンヴィル : いや、ウクラマトはあのとおり、強引な奴だろ。
一応同意の上とはいえ、無理やりじゃなかったかと思ってな。
エレンヴィル : おたくは黄金郷に釣られたクチかもしれないが……
これは王位を巡る戦いで、いろんな思惑が絡んでくる。
エレンヴィル : もしも手を引きたいと思うなら、
俺が取りなすから遠慮なく言ってくれ……。
出発する前の今が、離れる最後の機会かもしれないぞ。
グ・ラハ・ティア : 生きていく……それが人の答えだとして……
あんたは自分の旅路に、何を見つけるんだろう。
グ・ラハ・ティア : それまで、好きに歩いてみればいい。
グ・ラハ・ティア : 旅の終わりは明日への一歩。
道はまだ、続いてるんだからさ。
▼今はこの旅路を歩いてみようと思う
エレンヴィル : そうか……。
それが、今のおたくの目的なんだな。
エレンヴィル : なら、俺がとやかく言うこともないか。
エレンヴィル : 俺自身、さっきの連王の話を聞いて、
ただのガイド気分じゃいられなくなったことだしな……。
シュバラール族の青年 : すごい迫力だ。
お父上をも凌ぐ、トライヨラ随一の武人と言われるだけある。
トナワータ族の青年 : ゾラージャ王子!
我が村では、冷害により作物の実りが少なく、
子どもたちが飢えをしのぐこともできないのです!
トナワータ族の青年 : あなた様が次代の王となったあかつきには、
どうか、我が一族に新たな領土を!
ゾラージャ : サレージャ。
サレージャ : どうかご安心を。
殿下は連王の血を継ぐ「奇跡の子」……。
きっとあなた方の想いに応えてくださるでしょう。
エレンヴィル : あれが第一王子ゾラージャだ。
トラル勇連隊を率いる隊長でもある。
エレンヴィル : 宮廷賢士サレージャ……あいつの言うとおり、
連王グルージャジャとゾラージャ王子は、
血の繋がった父子でな。
アルフィノ : 賢士の彼が言っていた「奇跡の子」というのは?
エレンヴィル : ……双頭として生まれてきた者は、子を成せない。
それが通説だった。
エレンヴィル : にもかかわらず、ゾラージャ王子は生まれてきた。
武の頭の顔立ちに、理の頭の鱗を持ち合わせてな。
だから「奇跡の子」ってわけだ……。
アリゼー : ずいぶん寡黙なようだけど、
とんでもなく腕が立つってことは、ひと目で理解できたわ。
エレンヴィル : 剣の腕前は連王譲り……
それどころか、すでに勝っているとの評価もあるほどだ。
エレンヴィル : ゾラージャ王子は、その武勇を頼みに、
領土拡大のため外海に打って出ようとしててな。
彼と、それを支持する連中は「外征派」と呼ばれてる。
エレンヴィル : トライヨラの平和を維持したい「穏健派」のウクラマトとは、
正反対の思想ってわけだ。
エレンヴィル : シャーレアンを発つ前……
ラストスタンドでウクラマトが話してた、
「王位に就けちゃならない奴」ってのは、あの人のことさ。
アルフィノ : ……クルルさん?
クルル : 「言葉の壁を超える力」で、
ゾラージャ王子の意思が感じられたの。
クルル : 深い闇のような底知れなさと、
炎のように激しく揺らめく想いが……。
クルル : 正直に言って、怖いと感じてしまったくらい……。
ペルペル族の商人 : あなたが王様になったら、また作ってほしいですねぇ!
気球や鉄道みたいな、便利なもの。
やりやすくなりますから、私らの商売が!
シュバラール族の若者 : 年寄り連中は文化が壊れるなんて言うけどさ、
俺たち若者からしたら、外つ国の技術は興味深いよな!
ペルペル族の商人 : ういうい!
コーナ様の知識と技術があれば、
間違いなく勝てますよ、この継承の儀!
コーナ : すみませんが……継承の儀は始まったばかりです。
ご要望は、王位に就いたあとに伺いますよ。
コーナ : では、僕はこれで。
シュバラール族の若者 : 相変わらず、淡泊だなぁ。
ペルペル族の商人 : フフ。
実にコーナ様らしいじゃないですか、合理的で。
エレンヴィル : あの人が、シャーレアン魔法大学に留学してたという、
第二王子のコーナ様だ。
アリゼー : 言われてみれば、あの顔は何度か構内で見かけた気がするわ。
トラル大陸出身……それも王族だなんて気づかなかったけど。
エレンヴィル : 無理もない。
素性を隠すために、装いを変えた上で、
エオルゼア風の偽名を名乗っていたからな。
アルフィノ : この街の気球は、彼が持ちこんだ技術で作られていたのか。
それに鉄道とも聞こえたが……。
エレンヴィル : あの人が目指すのは、留学中に知り得た技術で、
トライヨラを発展させることなんだ。
だから、「革新派」と呼ばれてる。
エレンヴィル : ああ見えて、義妹であるウクラマトとは仲が良い。
まるで、本当の兄妹みたいにな。
戦のバクージャジャ : 劣等種の諸君、見送りご苦労!
戦のバクージャジャ : 何を怯えている。
オレサマは、連王と同じ「双頭」だぞォ?
戦のバクージャジャ : 双頭が為政者となるのは、
この国が興るより前からの、マムージャ族の伝統!
戦のバクージャジャ : 雑魚どもを蹴散らして、証明してやるぜェ!
オマエらの上に立つべき存在が、誰なのかをなァ?
魔のバクージャジャ : カッコいいよォ、兄者!
ブネワ族の老人 : 大半のマムージャ族は、トライヨラで平和に暮らしてるのに……
「双血の教え」の人たちだけは、まだ……。
エレンヴィル : 双頭バクージャジャ。
先に行われた武闘大会の優勝者。
王族以外だと唯一、継承の儀への参加が許された男だ。
エレンヴィル : 実力は申し分ないが、見てのとおりの奴だからな。
支持してるのは、一部のマムージャ族ぐらいさ……。
クルル : 王位を継いで何をするつもりなのかしら。
エレンヴィル : 政策やら何やら、王になったあとのことなんて、
深く考えてるとも思えないが……。
エレンヴィル : あいつが王になったら、マムージャ族が支配階級となり、
ほかの種族が従属を強いられるのは確実だ。
アリゼー : つまり、あいつも王位に就けちゃならない奴ってわけね。
ハヌハヌ族の老人 : ただ、ただ、我らが望むのはひとつ。
トラル大陸らしく、私たちらしく、平和に生きること。
フビゴ族の女性 : グルージャジャ様が作り上げたこの国を、
どうかお護りください!
ウクラマト : おう、任せとけ!
みんなの願いのために、突っ走るからよ!
エレンヴィル : トライヨラが興る80年前まで、この大陸は戦が絶えなかった。
その時代を知ってる年長者を筆頭とした、
平穏な暮らしを望む者たちがウクラマトを支持してるわけだ。
ウクラマト : 悪い、待たせた!
ウクラマト : こっちは乳母のナミーカだ。
アタシにとっちゃ、おふくろみたいな存在だな!
ウクラマト : いいって言ってるのに、
見送りをするって言い張るもんだから、連れてきた!
ナミーカ : 皆様、ウクラマト王女のこと、
どうかよろしく頼みます。
シャトナ族の若者 : あら、ウクラマト様も継承の儀にご参加されるの?
シュバラール族の若者 : 王族からは、ゾラージャ様とコーナ様だけだとばかり……。
おふたりと比べて、ウクラマト様は実績がないから。
シャトナ族の若者 : 武ではゾラージャ様やバクージャジャに敵うわけもないし、
知識でも、外つ国帰りのコーナ様には……ねぇ。
とても継承の儀を争える器には思えないわ。
ウクラマト : いいさ。
兄さんたちと比べて劣ってるのは、
アタシが一番よくわかってる。
ナミーカ : あら。
私は、ウクラマト様がお兄様方よりも劣ってるだなんて、
思ったことはありませんよ。
ナミーカ : それぞれの王子が何かに秀でているように、
あなた様にも、あなた様にしかないものがあります。
ずっとそばで見てきた私が言うのですから、本当ですよ?
ウクラマト : へへっ……ナミーカ、ありがとよ。
ウクラマト : んじゃ、行ってくるぜ。
ナミーカ : ええ。
あなた様が王位に就くことを信じて、お待ちしております。
『継承の儀』
最終更新:2024年08月10日 04:34