ウクラマト : なあ、本当にそいつがヴァリガルマンダなのか?
ズームーウー : 然り。
トラル大陸の歴史において、過去幾度も覚醒し、
生ける天災として恐れられたトラルヴィドラール……。
ズームーウー : かつて大陸の覇者であった我らヨカフイ族ですら、
その強大な力の前では、ただ蹂躙されるばかりでした。
ズームーウー : 80年前にオルコ・パチャが襲われた際にも、多くの死者が出た。
グルージャジャ様と、その仲間たちの助けがなくば、
全滅していたでしょう。
ズームーウー : 彼らとヴァリガルマンダの戦いは、実に10日間も続きました。
死闘と呼ぶに相応しき戦いが繰り広げられたのです。
ズームーウー : 先に限界を迎えたのは、グルージャジャ様たちでした。
並外れた生命力を誇る敵を前に、
ついに体力が底をつき、窮地に立たされたのです。
ズームーウー : そんなとき、グルージャジャ様の理の頭が奇策を思いつかれた。
ヴァリガルマンダが有する氷の魔力を暴走させ、
自らを氷漬けにさせたのです。
ウクラマト : その結果がこれか……さすがは理のオヤジだぜ!
ウクラマト : けど、オヤジの力でもこいつを倒すことはできなかったんだな。
もし封印が解けちまったら、どうなっちまうんだよ……。
ズームーウー : その心配には、我々も頭を悩ませているところ。
事実、この80年間で封印の力は弱まってきておりましてね。
ズームーウー : 先の大嵐も、火、氷、雷を操るヴァリガルマンダの力が、
封印から漏れ出したために起こったもの……。
そう考える者もいるのです。
エレンヴィル : 俺たちが遭遇した、あの大嵐が……。
ズームーウー : それはそうと、皆さんは「墓の試練」を受けにきたのでしょう?
「連王の選者」である祭司長グーフールーから、
継承候補者の方々に言伝を預かっております。
ズームーウー : 「この険しく広大な山の中から、オレを見つけだしてみせよ。
それがお前たちに与える『墓の試練』である」……以上です。
アルフィノ : 連王の選者を探しだすこと自体が試練というわけか。
ウクラマト : ところで、兄さんたちもここにきたのか?
ズームーウー : 然り。
すでに祭司長を探しに出ておりますよ。
ウクラマト : なら急がねぇとな……!
アルフィノ : 探すにしても、手がかりが必要だ。
まずはこの集落の人たちから話を聞いてみよう。
『記憶の民、ヨカフイ族』
ウクラマト : へへっ、アタシが一番乗りだ!
ウクラマト : んじゃ、みんな揃ったところで、こいつに話を聞いてみるか。
ウクラマト : なあ、お前がグーフールーか?
穏やかなヨカフイ族 : いいや、俺は祭司長ではないよ。
ただ、彼から頼みごとをひとつ引き受けている。
自分を探しに来た者がいたら、この墓のことを教えるようにと。
ウクラマト : そうか、ならここに来たのは、
まったくのハズレってわけじゃないんだな!
それじゃ教えてくれよ、ここには誰が眠ってるんだ?
穏やかなヨカフイ族 : 誰も眠ってなどいないさ。
役目を終えた肉体は火葬され、
オルコ・パチャの山々に散骨されるからな。
穏やかなヨカフイ族 : そもそも我らが考える「死」は、君たちのそれとは異なる。
人が死ぬのは、心臓が止まったときではない。
自己の存在が、すべての人々の心から消え去ったときだ。
穏やかなヨカフイ族 : だから俺たちは、肉体が終わりを迎える前に墓を建てる。
皆の心の中で、永遠に生き続けるために。
穏やかなヨカフイ族 : これは、俺の親しい友人の墓でな。
彼の肉体は、数年前にその役目を終えたが、
友人は今でも俺の心の中で生きている。
穏やかなヨカフイ族 : あの中には、俺の墓もあるんだ。
穏やかなヨカフイ族 : 墓がある限り、俺の存在は残り続ける。
友人のように、墓に刻まれた絵文字を読んだ者の心の中で、
生きていくことができるからな。
クルル : ヨカフイ族の「死」に対する考え方は、
もともとあなたたちが持っていたものだったの?
穏やかなヨカフイ族 : 「忘れじの深奥(しんおう)」に行ってみるといい。
そこで我らの歴史を知ることで、
今の問いの答えが見えてくるだろう。
ウクラマト : なら、そっちにも行ってみようぜ。
もっと知りたくなってきたからな。
アタシたちとは違う、ヨカフイ族の生き方ってやつをさ!
穏やかなヨカフイ族 : こちらこそ、話を聞いてくれて感謝する。
俺の存在を、君たちの心に残すことができたのだから。
「忘れじの深奥」はこの道の先だ、気をつけて行きなさい。
『墓の試練』
実直なヨカフイ族 : 祭司長の命により、あなたがたをお待ちしておりました。
我が家系は、語り部としてこの壁画に描かれた伝承を、
祖先より継承しております。
アリゼー : ずいぶん立派な壁画ね。
もしかして、これはヨカフイ族の歴史を描いてるの?
実直なヨカフイ族 : そのとおり。
あなたがたには、試練に臨む前に知っていただきたいのです。
我らヨカフイ族の、これまでの在り方を……。
ウクラマト : ああ、望むところだぜ。
ぜひ聞かせてくれよ!
実直なヨカフイ族 : では、さっそく……
実直なヨカフイ族 : これは、ヨカフイ族の隆盛期を描いた壁画です。
伝承によれば、千百年以上もの大昔とのこと……。
実直なヨカフイ族 : 他の部族よりも体躯に恵まれたヨカフイ族は、
その圧倒的な力をもとに、ヨカ・トラルの大半を、
支配下に収めたといいます……。
実直なヨカフイ族 : 多くの部族を制圧した祖先たちは、
さらなる勢力の拡大を狙い、北を目指した……。
実直なヨカフイ族 : そのサカ・トラル出征の様子を描いたのがこちらの壁画。
船では渡れぬ海峡を渡るため、祖先たちは100年の歳月をかけ、
北へ渡る大橋を完成させました。
ウクラマト : トライヨラに今も遺ってる、ゾーゴー永結橋のことだよな。
あんなデカい橋まで作って、サカ・トラルに攻め入るだなんて、
やることが大き過ぎるぜ……。
ウクラマト : あれ、でもあっち側の大陸に、
ヨカフイ族がいるなんて聞いたことないぞ?
実直なヨカフイ族 : 次の壁画をご覧いただければ、その疑問も解消されるでしょう。
クルル : これは……ヨカフイ族が大勢倒れているように見えるけれど、
サカ・トラルの出征時に、いったい何が起こったというの?
実直なヨカフイ族 : 千年ほど前に行われた出征において、
サカ・トラルに足を踏み入れた祖先たちを待っていたのは、
正体不明の病でした。
ウクラマト : 病気か……。
実直なヨカフイ族 : これは特段、新しい病ではありませんでした。
現地で暮らすトナワータ族やシャトナ族にとっては、
季節ごとに流行る、ちょっとした風邪程度のもの……。
実直なヨカフイ族 : ところが、ヨカフイ族が感染すると、
なぜか命を奪い去るほどの恐ろしい力を発揮しました。
実直なヨカフイ族 : こうして同胞の実に9割が、北の大地で命を落とし、
生き残った者も、子が生まれづらくなる後遺症に苦しんだのです。
エレンヴィル : 異国の地で耐性のない病に罹ると、
現地民よりも強く症状が現れることがある……。
サカ・トラル出征が失敗に終わったのも、頷ける話だ。
アルフィノ : 遺体を土葬せず、火葬するようになった要因でもありそうだね。
実直なヨカフイ族 : 最後の壁画は、ここオルコ・パチャを描いたもの。
サカ・トラルへの出征で多くの同胞を喪った祖先たちは、
故郷であるこの山へと戻ってきました。
実直なヨカフイ族 : そもそも、私たちが戦い続けていたのは、
このオルコ・パチャの平和を護るためだったのです。
実直なヨカフイ族 : 遙か昔、ヨカフイ族の始祖は、この大陸に我らとは違う見た目、
違う考え方を持った部族がいると知りました。
そしていつか彼らが、私たちのもとへ攻めてくると考えた。
実直なヨカフイ族 : 故に、先にこちらから打って出ることにしたのです。
ですが、そうして戦い続ければ戦い続けるほど、
本当に欲しかった平和は遠ざかっていった……。
実直なヨカフイ族 : そして、サカ・トラル出征が失敗に終わって故郷に戻ったとき、
祖先たちは……ようやく気づいたのです。
実直なヨカフイ族 : 私たちが望んだものは、始めからここにあったのだ、と。
生まれ育った場所で、記憶を石に刻みながら生きる。
それこそが私たちにとっての真の平和だったのです。
ウクラマト : 戦い続けるかぎり、
目の前の平和に気づくことができない……。
実直なヨカフイ族 : 私の話はこれで終わりです。
我らヨカフイ族の歴史、おわかりいただけましたか?
ウクラマト : お前たちが、これまでどうやって生きてきたのか……
そして、これからどうやって生きていきたいのか……
同じ国に生きる同胞として、たしかに受け取った!
実直なヨカフイ族 : ならば今こそ明かしましょう。
祭司長は、かの霊峰……ウォーコー・ゾーモーの山頂にて、
あなたがたをお待ちしています。
ウクラマト : へっ……やっぱあの山を登ることになんのかよ。
上等だぜ、それでこそ王を決める試練だ!
『墓の試練』
ウクラマト : 壁画の語り部が言ってたよな。
戦い続ければ戦い続けるほど、本当に欲しかった平和は、
遠ざかっていった……ってさ。
ウクラマト : ゾラージャ兄さんも「墓の試練」に挑んでるなら、
きっと同じ話を聞いてるはずだよな。
ウクラマト : だったら、戦を以て、人々に平和の価値を思い起こさせる……
なんて考えは、思い直してくれねぇかなぁ。
『墓の試練』
ウクラマト : うはぁー! めちゃくちゃ高ぇな!
今からこれを登んのか!!
ヴォーポーロー : 確認だ。
お前たちは、トライヨラから、来たのか?
エレンヴィル : ところどころしか聞き取れないが、
ヨカフイ族の古語のようだ。
ヴォーポーロー : やはり、通じんか。
反吐が出そうだが、貴様らにもわかるよう、
トライヨラ公用語を使ってやろう。
ヴォーポーロー : 貴様ら、継承の儀とやらの参加者だな?
ウクラマト : お……?
まあ、そうだけど。
ヴォーポーロー : ならば貴様らを亡き者とすれば、
トライヨラは次代の為政者を失うということか。
ウクラマト : なーんか感じ悪ぃじゃねぇか。
これまで出会ったヨカフイ族とは、違う事情がありそうだな。
ヴォーポーロー : グルージャジャの下僕となった恥知らずどもと、
一緒にしてもらっては困る。
ヴォーポーロー : 我ら、チーワグー塩田を拠点とするヨカフイ族は、
再び大陸の覇者となり、かつての栄華を取り戻すべく戦う、
偉大な一族だ!
アルフィノ : 「ウォーラーの残響」に暮らすヨカフイ族とは、
別の一派ということか。
ウクラマト : あいつらは軟弱者じゃねぇし、オヤジの下僕でもねぇよ。
ウクラマト : ただ気づいただけだ。
本当にほしかった平和は、最初からここにあったんだってな。
ヴォーポーロー : それこそ軟弱者の言い訳に過ぎん!
千年以上も受け継がれてきた悲願から目をそらし、
先祖たちの想いを忘れ去った恩知らずどもだ!
ヴォーポーロー : もはや奴らを当てになどしておらん。
一族の悲願は、我がこの手で掴み取る。
ヴォーポーロー : 忌むべきトライヨラの王女である貴様の命を、
反撃の狼煙としてな!
ウクラマト : やめろ! できれば戦いたくねぇ!
ヴォーポーロー : なら…………大人しく死ね。
ヴォーポーロー : クッ……ウォーコー・ゾーモーの怪鳥め!
騒ぎを聞きつけて、我らを狩りにきたか!
ウクラマト : 間に合ったぜ!
ヴォーポーロー : どういうつもりだ。
ウクラマト : どうもこうもねぇよ。
勝手に身体が動いただけさ。
ウクラマト : それに、お前らが死んじまったら、二度と話せねぇだろ。
話せなきゃお前らのことを知ることもできなくなっちまう。
アタシはお前らのことが知りてぇんだ。
ヴォーポーロー : 知る……だと?
何のためにだ。
ウクラマト : 何のためにって、そりゃ……
ウクラマト : 同じ大陸で生きるお前らのことを、好きになりてぇからだよ。
ウクラマト : そいつの具合はどうだ?
アルフィノ : 命に別状はないよ。
しかし、歩けるようになるまでもう少しかかりそうだ。
ウクラマト : よし、ならアルフィノはそいつの治療を続けててくれ。
アタシらはウォーコー・ゾーモーを目指す。
アルフィノ : ああ、わかった。
気をつけて行ってきてくれ。
ヴォーポーロー : こんなことで、我らは悲願を捨てたりはせんぞ。
ウクラマト : それでいいさ。
アタシを殺してぇなら、いくらでも受けて立ってやる。
だから、お前も一族の長なら、今は仲間の心配をしろ!
エレンヴィル : これだけの山ともなれば、
俺の知らない生き物も多く生息してるはずだ。
露払いは頼んだぞ。
ウクラマト : 行くぞ!
こいつを登った先に、グーフールーがいるはずだ!
『祭司長グーフールー』
グーフールー : 改めて、名乗っておこう。
オレがヨカフイ族の祭司長にして「連王の選者」、
グーフールーだ。
ウクラマト : 村の連中よりも、ずいぶんでかいんだなぁ!
グーフールー : かつては、すべてのヨカフイ族がこうだったという。
だが、一族に病が広まってからというもの、
オレのような体躯で生まれてくる者は稀になった。
エレンヴィル : 千年前のサカ・トラル出征で患ったという、
伝染病のことだな。
壁画にも記されていたが……。
グーフールー : そしてその病こそが、黄金郷の伝説とも繋がっている。
クルル : トラル大陸に広まっている黄金郷の噂は、
あなたたちヨカフイ族が出処だと聞いたわ。
まず、それは確かかしら……?
グーフールー : 正確には、オレたちの祖先の幻視が発端だがな。
グーフールー : サカ・トラル出征の少し前のことだ。
祖先たちは、夢の中で黄金に輝く国を視たという。
グーフールー : 永遠を生きる人々が、争いも貧しさもなく、
ただ幸せのうちに暮らす理想の世界だ……。
グーフールー : この夢を視たのがひとりなら、ただの笑い話で終わっただろう。
だが、同時期に数十、数百の祖先たちが同じ夢を視たことで、
当時の祭司たちは、神からの啓示だと考えた。
クルル : そんなことって……。
グーフールー : サカ・トラルへの出征は、黄金郷探索という意味もあったのだ。
支配下に置いていた各部族も駆り出して、
大規模な捜索が行われたらしい。
エレンヴィル : なるほどな……。
そこに巻き込まれた奴らが黄金郷について語り継いだから、
どの部族にも似た伝説が伝わってたわけだ。
グーフールー : 次の継承候補者が現れたか……。
ならば、お前たちの力も測らせてもらうぞ。
サンクレッド : 準備は万全、というわけか。
グーフールー : 見事……その力、とくと見せてもらった。
ウクラマト王女ともども、「墓の試練」を超えた証を授けよう。
ウクラマト : これで、残りはあと3つ……!
ウリエンジェ : これなる天嶮で、あなた方と競い合えればよかったのですが……
バクージャジャの襲撃をかわしながらでは、望むべくもなく。
ウクラマト : あの野郎、また汚ねぇ真似を!
コーナ : しかし、手出ししてきた割に、
こちらが応戦してみせたら、あっさりと退いていった。
いったい何が目的だったのやら……。
コーナ : 目的と言えば、試練の場として、
ウォーコー・ゾーモーの山頂を選ばれた理由も気になります。
コーナ : 今回の試練は、あなたを探す過程で、
ヨカフイ族の歴史を知るような構成になっていました。
そうであれば、この場所にも意味があるのでしょう?
グーフールー : ああ。
ここはオレたちにとって、特別な場所なのだ。
アリゼー : 周りにあるのって、お墓……よね?
グーフールー : この山頂に祀られているのは、歴代のヨカフイ族の祭司長。
そして、80年前にこのオルコ・パチャを襲った災厄、
ヴァリガルマンダと勇敢に戦った猛者たちだ。
ゾラージャ : 道理で数が多いわけだな。
ウクラマト : ゾラージャ兄さん、やっぱり先に着いてたのか……。
サレージャ : おや、ウクラマト様。
ご壮健のようで何よりです。
ウクラマト : サレージャ、てめえよくも!!
グーフールー : ここをどこだと思っている。
罵り合いで場を乱すようなら、出ていってもらうぞ。
ウクラマト : あっ、そうだったな……悪い。
ゾラージャ : ほかの候補者を待つ必要は、もうあるまい。
父上の生前墓とやらまで案内しろ。
ウクラマト : オヤジの墓……?
グーフールー : これがヴァリガルマンダを封印した者たちの生前墓だ。
グルージャジャの名も刻まれている。
ウクラマト : 『武と理を以て平和をもたらした覇者、グルージャジャ』……。
エレンヴィル : 意外な名前も刻まれてるな。
『世界の広さを知る航海者、ケテンラム』
アリゼー : ケテンラムって、
トラル大陸に初めて渡ったリムサ・ロミンサの探検家よね?
彼も連王と一緒に旅をしてたってこと!?
エレンヴィル : 『未知を追い求める探求者、カフキワ』
……まさか、この名前まで刻まれてるとはな。
グーフールー : ヨカフイ族以外の者が生前墓を建てることなど、
異例のことであったが……
彼らは、それに相応しい偉業を成したのだ。
ウクラマト : 『武と理を以て平和をもたらした覇者』か……
やっぱ、オヤジはすげぇや。
ゾラージャ : ……武によって覇道を進む者か。
コーナ : ヴァリガルマンダを封印することができたのは、
氷の魔力を暴走させた理があってこそだけどね。
ウクラマト : 武と理……か。
ウクラマト : 武に関しちゃ、武のオヤジの技を継いだ、
ゾラージャ兄さんには敵わねぇ。
ウクラマト : 理だって、理のオヤジの知識を継いだ、
コーナ兄さんの方が優れてる。
ウクラマト : なら、アタシがオヤジから受け継いだものって、
いったいなんなんだ……。
▼平和を愛する心とか
ウクラマト : ……そっか、そうだよな!
ウクラマト : アタシは、オヤジから平和を愛する心を受け継いだ。
トラル大陸に生きるみんなのことが好きだって気持ち、
こればっかりは、誰にも負ける気がしねぇ!
ウクラマト : アタシはアタシのやり方で、平和を護ってみせるぜ!
ウクラマト : なんだなんだ!?
アルフィノ : 皆、大変だ!
すぐに「ウォーラーの残響」へと戻ってきてくれ!
アルフィノ : ヴァリガルマンダの封印が解かれたんだ!!
サンクレッド : 今の轟音に関する報告か?
グーフールー : なんだと、ヴァリガルマンダが!?
ウクラマト : とにかく、急いで戻るぞ!
サレージャ : ほっほっほっほ、これは好都合。
ほかの候補者たちに先行する好機ではありませんか。
『祭司長グーフールー』
祭拝殿の門番 : 祭司長はすでにお戻りになっています。
さあ、どうぞ中へ……!
ウクラマト : これは!?
コーナ : 本当に、封印が解かれたというのか……。
グーフールー : 祭司ズームーウー。
状況を……。
ズームーウー : 先刻のこと、
継承候補者のひとりが訪ねてきたのですが……
ズームーウー : 何者です?
ズームーウー : おや、あなたも継承候補者でしたか。
戦のバクージャジャ : はァ~、こいつが噂のヴァリガルマンダってやつか。
ズームーウー : 然り。
トラル大陸の歴史において、過去幾度も覚醒し、
生ける天災として恐れられたトラルヴィドラール……。
戦のバクージャジャ : ゲッグッグッグ……可愛い奴だ。
戦のバクージャジャ : オレサマの役に立つために、
今日まで眠っていてくれたんだからなァ!
ズームーウー : どういう意味だ?
魔のバクージャジャ : なるほどね……
こいつの氷の魔力を暴走させて、自らを氷漬けにさせたんだ。
さすがはグルージャジャ様、アッタマイイ!
魔のバクージャジャ : ハァ~……
これを破るのは、とても一筋縄じゃいかないよ。
魔のバクージャジャ : この氷を溶かしきるだけの火の魔法と、
眠れるヴァリガルマンダの魂に火を灯す魔法を、
ふたりの術者が、まったく同時に放つ必要があるんだから。
魔のバクージャジャ : そんな離れ技ができる息の合った術者は、
武王グルージャジャ様と理王グルージャジャ様……
魔のバクージャジャ : そして、オイラと兄者だけだよ!
ズームーウー : やめろォ……!
魔のバクージャジャ : いやいや、もうやっちゃったし……。
魔のバクージャジャ : さあ、おねんねは終わりだよ。
戦のバクージャジャ : あっちィなァ、ちょいとやりすぎちまった。
ズームーウー : ……なぜ、こんな馬鹿なことを!?
戦のバクージャジャ : オレサマが王になるために決まってるだろうが!
ズームーウー : それだけのために、災厄を解き放ったと!?
また多くの人が死ぬことになってもか!!
戦のバクージャジャ : せいぜい、大暴れしてくれよォ。
伝説のトラルヴィドラールくん。
ズームーウー : トライヨラには、すでに使者を向かわせました。
やがて、トラル勇連隊から討伐部隊が送られてくるでしょう。
到着がいつになるかは、わかりませんが……。
ウクラマト : バクージャジャの野郎……
アタシらの邪魔をするためにしちゃ、度が過ぎてるぜ!
今回ばかりは、許しちゃおけねぇ!!
アリゼー : 一応聞いておくけど、どうする?
ウクラマト : ヴァリガルマンダを放っておいたら、
また多くの人が死んじまう。
ウクラマト : それを見捨てて王になったって、
フォンジャンテーンや、アタシを応援してくれたみんなに、
胸を張ることなんてできねぇ!
ウクラマト : だからアタシは……ヴァリガルマンダを討つ!!
ウクラマト : 相手はあのオヤジが倒しきれなかったほどの敵だ。
アタシひとりで太刀打ちできるとは思えねぇ。
ウクラマト : 継承の儀への協力者として呼んだお前らに、
そんな義理はねぇのはわかってる、けど……!
ウクラマト : アタシとともに、ヴァリガルマンダと戦ってくれ!
このオルコ・パチャの平和を護るために!!
▼言われなくても、そのつもりだ!
アリゼー : 今さら、見て見ぬフリなんてしないわよ。
仲間が困ってるんだもの。
ウクラマト : 仲間……。
ウクラマト : へへ、そっか……。
いいな、仲間って!
ウクラマト : 一緒に戦ってくれる奴がいるだけで、
こんなにも心強い気持ちになるんだからさ……!
サンクレッド : 俺たちはどうする。
コーナ : 継承の儀に勝つことを優先するなら、
ここは先に進むべき……でしょうね。
エレンヴィル : ヴァリガルマンダを倒すにしても、
まずは奴がどこへ向かったかを調べないとな。
ウクラマト : へっ、そこは幼なじみをあてにしてるぜ!
グーフールー : 急ぎ、ペルペル族にも警告しておけ……。
場合によってはオルコ・パチャから退避せよ、とな。
『騒乱の残響』
エレンヴィル : ウォーコー・ラァ・ドー。
様々な属性のクリスタルを含んだ地層が、幾層にも成ることで、
虹色の輝きを放つ奇景が出来上がったと言われている。
エレンヴィル : 80年間も封印されて、さぞ空腹だっただろうからな。
餌場を探して飛び回った挙げ句、
あの山のエーテルに惹かれた、ってとこだろ。
クルル : つまり、ヴァリガルマンダは、
エーテルを補給しようとしている……。
ウクラマト : なら、一刻も早く……
???? : 待て!
ヴォーポーロー : あの山はヨカフイ族の聖地。
何人たりとも立ち入ることは許さん。
ウクラマト : そうだったのか……
悪い、お前らの聖地に無断で入ろうとしたことは謝る!
ウクラマト : だけどよ、この先には、
覚醒したヴァリガルマンダがいるはずなんだ!
ウクラマト : あいつを倒さなきゃ、昔みたいに多くの人が死ぬ!
アタシらは、それを止めるために来た!
だから、お前らの聖地に立ち入ることを認めてくれねぇか!
ヴォーポーロー : できぬ相談だな。
ヴォーポーロー : そもそも貴様らだけで、
あのヴァリガルマンダを倒せるとも思えん。
騒ぎに乗じて聖地を荒らそうとしているだけではないのか?
???? : 頭数が足りないというなら、これでいかがです?
コーナ : 父上の生前墓に刻まれていた、
ヴァリガルマンダを封じた英雄たちの名は7つ。
これで、僕たちも7人です。
ヴォーポーロー : ……軟弱者がいくら増えたところで。
ウクラマト : ゾラージャ兄さんまで来てくれたのかよ!
サレージャ : やれやれ、私は反対したのですよ。
皆様がヴァリガルマンダの対応に追われている今こそ、
先行する好機だと。
ゾラージャ : この程度の迂回では、我が勝利は揺るがん。
ゾラージャ : そんなことよりも……
父上が倒しきれなかったというトラルヴィドラール、
興味がある。
ウクラマト : へへっ、兄さんたちがいれば百人力だぜ!
ヴォーポーロー : 我らを差し置いて盛り上がるな。
まだ一言も、通すとは言っていない。
ウクラマト : やめろ、兄さん!
民に刃を向ける気か!
サレージャ : これは異なことを。
チーワグー塩田の者どもは、
トライヨラには属さぬ一派だったはず。
サレージャ : ならば、我が国の民とは言えぬでしょう。
ウクラマト : 関係ねぇよ!
トライヨラがトラル大陸にあるただひとつの国なら、
そこに生きる奴らが、アタシらと無関係であるはずがねぇ!
ウクラマト : もし手だそうってんなら、アタシが相手になってやる!
ヴォーポーローの手下 : あいつ、ウォーコー・ゾーモーの怪鳥、俺、かばった。
今、そのとき、同じ眼。
本気、俺たち、守る眼。
ヴォーポーロー : たしかに、余計な借りを作ったままだったな。
ヴォーポーロー : これで、貸し借りはなしだ。
ヴォーポーロー : だが、思い違いはするな。
我らは、今後もトライヨラには従属しない。
ウクラマト : ああ、わかった。
継承の儀が終わったら、ゆっくり話そうぜ!
ヴォーポーロー : ……名を聞いておこう。
ウクラマト : アタシはウクラマト!
トライヨラの平和を護る王……になる女だ!
アリゼー : 立場や主張が違う相手とだって、
話し合いを続けていけば、いつかわかりあえる……
私はそう信じてるし、実現させてみせるわ。
ウクラマト : 同感だ。
アタシだって、絶対に諦めねぇぜ。
サレージャ : せいぜい、頑張ってください。
私のような老体は、
ここで我が王の帰りをお待ちしていますよ。
コーナ : 昔から何考えてるかわからなかったけど、安心したよ。
さすがの兄さんも、この危機を差し置いて、
継承の儀を進んだりはしないんだね。
ゾラージャ : 民とは、国という砦を築くための石だ。
失うほどにトライヨラは弱く、脆くなる。
ゾラージャ : 石くれの如き命にも、利用価値はあるということだ。
ウクラマト : コーナ兄さん、ゾラージャ兄さん!
今だけは継承の儀のことは忘れて、ふたりの力を貸してくれ!
『最強のトラルヴィドラール』
ウクラマト : 本当に……勝っちまった……。
伝説のトラルヴィドラールに……!!
ウクラマト : あのオヤジですら倒せなかった……ヴァリガルマンダに!!
ウクラマト : うおぉぉぉぉー!! やったぞー!!!
コーナ : だからと言って、
僕たちが父上を超えたわけじゃないけどね。
コーナ : 長き封印によって、
力が削がれていたからこその結果さ。
完全復活を果たしていたら、こうはいかなかった。
ウクラマト : そうは言ってもよ、あいつちゃんと強かったぞ!?
80年前は、こんなもんじゃなかったってことか?
ウクラマト : ハハ、やっぱオヤジはすげぇや……。
▼ウクラマトも頑張った!
ウクラマト : へへっ、ありがとよ!
あんなに強い奴を倒せただけでも、アタシら頑張ったよな!
ウクラマト : いつか、オヤジのことだって超えてみせるぜ!
ゾラージャ : やはり、あれを倒したところで「奇跡」の証明にはならんな。
『最強のトラルヴィドラール』
ヴォーポーロー : ウクラマト、だったか。
ヴォーポーロー : 貴様らがヴァリガルマンダを倒したというのは、
まことのようだな。
ヴォーポーロー : あのトラルヴィドラールを放っておけば、
いずれ我らの同胞たちの命も脅かされていただろう。
帳消しにしたはずが、新たな借りを作ってしまった。
ウクラマト : そんなもん、こっちがやりたくてやったことだ。
ヴォーポーロー : 我らがそう感じている以上、借りは借りだ。
返さなければ夢見が悪い。
ウクラマト : うーん……でも、何をしてもらえばいいんだ……?
クルル : なら、彼らの祖先が視たという、
黄金郷の夢について、聞かせてもらうのはどうかしら?
ウクラマト : あ、それいいな!
どのみち、教えてもらいに行くつもりだったんだ!
ヴォーポーロー : 黄金に輝く国の夢か……
たしかに、サカ・トラルへの進出の直前に、
そのような夢を視たという記録が残っている。
クルル : それはどんな夢だったの?
ヴォーポーロー : 一面が黄金に輝く、天上に創られし国。
そこでは、まるで神々のように永遠の時を生きる人々が、
悩むことも争うこともなく、幸せのうちに暮らしているという。
ヴォーポーロー : 宮殿と見紛うほど壮麗な建造物が並び、
その中央には、ヨカフイ族すら仰ぎ見なければならぬほど、
巨大な女神の像が鎮座していたそうだ。
クルル : 女神像、というのは初耳ね……。
アルフィノ : これまで聞いてきた抽象的な噂と違って、
ずいぶん具体的なイメージが含まれているね。
ヴォーポーロー : その夢を視た者たちは、取り憑かれたように、
黄金の国を探すことに躍起になり……
多くがサカ・トラルへの出征で命を落とすことになった。
クルル : ウケブさんが教えてくれた、
「黄金郷を探しにいった者は、生きて帰ってはこない」って話……
この歴史的な事件を発端としているのかも。
ヴォーポーロー : さあな、真実がどこにあるのかはわからん。
祖先があの森を去ったころから、黄金郷の夢を視る者も、
いなくなったというからな……。
クルル : えっ、どういうこと?
ヴォーポーロー : そもそも件の夢を視たのは、
ヤクテル樹海で採石に携わっていた者たちだと聞く。
ヴォーポーロー : だが、風土病と出生の減少により、勢力を後退させたことで、
かの森からも去らねばならなくなった。
ヴォーポーロー : こうして根拠地たるオルコ・パチャに退いてからというもの、
我らも黄金の国の夢を視ることはなくなったのだ。
クルル : 特定の地域にいたヨカフイ族だけが同じ夢を……
なんとも不思議な話ね。
ウクラマト : アタシらも、これからヤクテル樹海に行くんだ。
旅を続けていけば、なにかわかるかもしれねぇぜ。
ウクラマト : いろいろ聞かせてくれて、ありがとよ。
ヴォーポーロー : 礼を言われる筋合いはない。
借りを返したに過ぎないのだからな。
ヴォーポーロー : 我らの道が交わることも、今後はないだろう。
さらばだ……。
『封の試練』
ウクラマト : ペシワのばあちゃん、もう起きて平気なのかよ。
腰は良くなったのか?
ペシワ : ええ、もうすっかり。
それに、王女様が継承の儀を頑張ってるのに、
寝てばかりもいられないよ。
ペシワ : 私は信じてるのさ。
王女様が、この平和なトライヨラを護っていってくれるって。
ペシワ : 何せ大好きだからね、この国が。
ウクラマト : へへっ……その笑顔を見ちまったら、やるしかねぇよな!
ペシワ : ふふふ。
足りなければ、ほかにも連れてくるわよ。
この国には、まだまだ笑顔が溢れてるからね。
ウクラマト : ばあちゃんの分だけで十分、力がもらえたぜ。
ありがとよ!
ペシワ : こちらこそ。
継承の儀、頑張ってね。
ウクラマト : 笑顔……か。
ウクラマト : 悪い悪い、立ち話に夢中になっちまった。
ウクラマト : ……継承の儀を進めてきたらさ、
なんだか、この街のみんなといつもみたいに話すことさえ、
特別に感じられるようになったんだ。
ウクラマト : なあ、よかったらこの辺をゆっくり散歩していかねぇか?
折角の機会だし、そのあと目的の場所に向かおうぜ。
ウクラマト : ……やっぱ落ち着くな。
ウクラマト : 子どものころ、悩んだときは、よくここに来てたんだよ。
トライヨラの街並みを眺めてると、頑張ろうって気になるからさ。
ウクラマト : ウォーコー・ゾーモーの山頂……オヤジの生前墓の前で、
アタシはこう言ったよな。
ウクラマト : オヤジから平和を愛する心を受け継いだアタシが、
アタシなりのやり方で平和を護ってみせる、って。
ウクラマト : あれから、ずっと考えてたんだ。
ウクラマト : そもそも、平和って何なんだ。
争いがないことだけが平和なのか、ってな。
ウクラマト : そうやって考えてるうちに、
これまでの旅路での出来事が、頭の中に浮かんできてさ。
ウクラマト : 気づいたんだよ。
アタシは、みんなの笑顔が好きなんだ。
ウクラマト : 生きてりゃつらいことだって、悲しいことだってあるけど、
家族や仲間、知り合って好きになった連中と、
笑い合うことができたら乗り越えられる。
ウクラマト : 単純な話にも思えるかもしれねぇけど、
笑顔で暮らせるってのは、平和の証だと思うんだよ。
▼ウクラマトらしくていいと思う
ウクラマト : へっ、嬉しいこと言ってくれるぜ。
ウクラマト : 自分なりのやり方を模索した結果、たどり着いた答えだ。
アタシらしいってのは、これ以上ない、褒め言葉さ。
ウクラマト : だからよ……
ウクラマト : アタシは王になって、創ってみせるぞぉー!
みんなが、笑顔で暮らせる国をなぁー!!
ウクラマト : 前に「朋友の灯火」で野営したとき、クルルが言ってたろ。
ウクラマト : 聞いて、感じて、考えて……
そうして積み重ねていけば、明日のアタシは、
今日のアタシより、理想に近づいていけるだろう、って。
ウクラマト : この旅をとおして、
どれだけ成長できたかなんて、自分じゃわからねぇ。
だけど、ひとつだけハッキリ言えることがある。
ウクラマト : 隣を歩いてくれるのが、お前らで良かったってことだ!
ウクラマト : お前らが一緒に聞いて、感じて、考えてくれるから、
アタシは多くのことを知ることができた。
ウクラマト : 残る秘石はあとふたつ……
この先の旅路に何が待ってるかはわからねぇが、
継承の儀っていう路を、アタシと一緒に進んでくれるか?
ウクラマト : へへ、ありがとな。
『ウクラマトの平和』
最終更新:2024年08月29日 00:34