モンティシェーニュ : おほん……
ではまずエーテル学の基礎をおさらいしよう。
モンティシェーニュ : 我々のような生命が有するエーテルは、
大まかに3種類にわかれておる。
モンティシェーニュ : 魂、記憶、そして……?
▼生命力!
モンティシェーニュ : お見事、正解じゃ!
モンティシェーニュ : 多くの人にとって最も身近なエーテルは、
まさにその生命力じゃろう。
モンティシェーニュ : 魔法を使うことで発散させたり、食事から摂取したりと、
日常的に消費と補給を繰り返している。
とても流動的なものじゃ。
モンティシェーニュ : 一方で魂は、そうそう変化をすることがない。
そして記憶は、魂と固く結びついているのじゃ。
モンティシェーニュ : あくまで例えじゃが、魂を「紙」、
記憶を「そこに書かれた文字」と考えると、
わかりやすいかもしれんの。
モンティシェーニュ : さて……
そこに、記憶と同質のエーテルを強く放射したらどうなる?
アリゼー : 下に書かれた文字が……記憶が、読めなくなる?
モンティシェーニュ : うむ、まさにそういった理屈で、
記憶を封じたり、それにまつわる行動を制限する術があるのじゃ。
モンティシェーニュ : 実は近年、この現象が大規模に発生した事件があった。
何かわかるかね?
アルフィノ : 第七霊災だ……。
アルフィノ : エオルゼアの人々は、ダラガブから現れた竜が、
世界を焼き尽くしたところまでは覚えているという。
アルフィノ : しかし、そのあとどう再生したのかについては、
一様に記憶が曖昧だと証言していた……!
モンティシェーニュ : 正解じゃ。
それが偶然に起きたことなのか、
誰かの意思で成されたのかは、わからんがの。
モンティシェーニュ : ……しかし、記憶に干渉する術は、
シャーレアンにおいても禁忌のものとされておる。
モンティシェーニュ : 哲学者議会にしても、
新たな議員にくだんの使命を告げたときのみ、
秘匿の術を掛けているのじゃ。
モンティシェーニュ : それを濫用して民を操るようなことは、断じてありえん。
どうかそこは信じてほしい。
クルル : ちなみに、そうして塗りつぶされた記憶が、
元に戻ることはないのですか?
モンティシェーニュ : 議員に掛けられている秘匿の術にかぎって言えば、
議会で9割以上の賛成を得れば解除でき、
黙するしかなかった真実を、自由に話せるようになる。
モンティシェーニュ : その機会を得られなければ、星海に還るまで待つしかないのぉ。
モンティシェーニュ : 星海では、すべての魂が洗われる。
まずは汚れ……すなわち魂や記憶に付加されたものが消え……
モンティシェーニュ : 次いで、記憶が溶けて消えるのじゃ。
モンティシェーニュ : ……ごくまれに、
消えない刺青のように残る記憶もあるそうじゃがの。
アリゼー : 洗われた魂は、どうなるの……?
モンティシェーニュ : ほどけて無垢のエーテルとなり、
いずれ別のエーテルと結びついて、
新たな魂を形作るとされておる。
モンティシェーニュ : 一方で、ほどけないままで物質界に流れ、
別の生命として再誕する可能性についても、
長年提唱されておる。
モンティシェーニュ : ワシ個人としては、いずれかが正しいのではなく、
どちらの場合もあり得ると考えておるがの。
『シャーレアン魔法大学』
イルサバード大陸を横断する 中央山脈
連なる険しき山々を 派遣団を乗せた飛空艇は
堅実な航行で越えおおせた
一行が降り立ったのは 帝都外縁
偉大なる雪原 マグナ・グラキエス
外つ者の来訪を拒むかのように
凍てつく風が吹き荒れていた――
『霜雪を踏みしめて』
やはり寒々しいな――と
初代皇帝ソルは その光景を前にして言うだろう
およそ800年前
ガレアン人が この土地にやってきた
中央山脈以南の土地を巡り コルヴォ人と戦うこと数百年
ついに敗北を喫して追いやられたのだ
彼らは血族と肩を寄せ合いながら
いつ襲い来るとも知れぬ異民族を 世界を睨み続けていた
――だから選ばれたのだ
第六星暦1513年 軍団長となった若きソルによって
魔導兵器による革新がはじまった
青燐水を用いた機関が生まれたきっかけは なんだったのか
あるいは内気な一兵卒に過ぎなかったソルが
いかにして急速な出世を果たしたのか
真実を知るものは もういないだろう
ただ 初めて「その身体」で帝都に立った時の記憶を掬い上げるとするならば
上から眺めたときよりずっと 寒々しいな――と
確か そう思ったのだ
『霜雪を踏みしめて』
呆然とした帝都市民 : ……珍しいですか?
無線電信、いわゆる「ラジオ」という装置ですよ。
離れたところで発された声や音を拾い、こうして流せるんです。
呆然とした帝都市民 : ラジオにはいろいろな形がありますが、
ロクス・アモエヌスで採れる鉱石を回路の一部に用いたこれは、
大変な人気があり、帝都で広く普及しています。
呆然とした帝都市民 : もっとも……放送局員ももう、
逃げ出したか、やられてしまったのでしょうね。
流れてくるのはこの曲だけ……ただ繰り返されている……。
呆然とした帝都市民 : 『帰らん、地平の彼方へ』……。
北の地で生きる悲哀と、豊かなるロクス・アモエヌスへの憧れ。
そこを奪還しに向かう兵士たちの決意を歌った名曲です。
呆然とした帝都市民 : 奪還の前は、願いを込めて。
それが成し遂げられたあとは、勝利のしるしとして……
人々は幾度となく、これを口ずさんできました。
呆然とした帝都市民 : 今も、これを聞いていると励まされます。
目の前の現実が苦難に満ちていても、
いつかは必ず、打ち勝てるのだと……。
『帰らん、地平の彼方へ』
血色の悪い帝都市民 : クソ……クソッ……!
情けをかけたつもりか、蛮族め!
血色の悪い帝都市民 : 派遣団なんて名乗ったところで、所詮は野蛮な侵略者……。
混乱に乗じて、ガレマルドを占領しにきたのだろう……!
血色の悪い帝都市民 : お前のような子どもが「助けたい」と言えば、
私たちが本気で信じると思っていたのか?
……下衆どもめ!
血色の悪い帝都市民 : 異民族の考えなど、お見通しだ。
私たちを捕まえ、虐げ、貶めようとしている……
根絶やしにして、土地を奪おうと狙っているのだ!
アリゼー : 外には、猛獣だって徘徊してる。
襲われたら、ひとたまりもないわ……!
血色の悪い帝都市民 : それでもお前たちに捕まるよりはマシだッ!
血色の悪い帝都市民 : 蛮族の魔法を……
同胞を葬ってきた忌まわしい術を、身に使われる恐怖……
まだ若い彼女たちには、耐えがたいだろう。
血色の悪い帝都市民 : 私たちは護らねばならない……。
お前たちの暴虐から、若き同胞を……血の誇りを……!
血色の悪い帝都市民 : そのために、時間を稼いだ!
お前たちに手出しされることを、甘んじて受け入れたのだ!
……救助を試みたが、反応がない。
ふたりとも、すでに事切れているようだ。
アリゼー : 見つけた……!
あっちに血痕があったの、
その子たち、多分獣に襲われ……て……
アリゼー : うそ……。
アリゼー : ……どうして…………。
アルフィノ : 私たちは、化け物よりも……。
アルフィノ : すまない、君を…………怖がらせた。
『高潔なガレアン』
オクタウィア : 私は以前、第XIV軍団にいたんだ。
ガイウス様のもとで、魔導城プラエトリウムを護っていた……。
オクタウィア : お前たちが乗りこんできたときのことは、忘れられない。
私の戦友を打ち倒した男、それが今では、
「エオルゼアの英雄」などと呼ばれていると後日知ったんだ。
オクタウィア : ……わかっているさ、私ではお前に敵わない。
だが見ていろ、間もなく「彼ら」がやってくるはず。
そうしたら、お前なんて……!
マルケリヌス : ッ……お前が「エオルゼアの英雄」か!
よくもまあ、ここで平然としていられるものだな!
マルケリヌス : これまでお前にやられてきた同胞たちの無念、
今ここで俺が……!
マルケリヌス : ぐぅっ……傷口が……っ……うっ……。
マルケリヌス : クソ……なんでこんなときにお前と会っちまうんだ……。
ここに集まってるのは、負傷兵ばかりなんだぞ……!
『冷え切った灰色の駅』
最終更新:2023年10月01日 18:13