戸惑った様子のブネワ族 : 私が双頭に何を願うか…
それを知るには、なぜ同胞たちの大半が、
トライヨラに移住したかを理解する必要があるわ。
戸惑った様子のブネワ族 : 彼らはね、陽の光を……
暖かく安全で暮らしやすい環境を求めて出ていったのよ。
この森で生きていくのは、簡単ではないから……。
戸惑った様子のブネワ族 : それでも私たちにとっては、
他部族と暮らすことの怖さの方が受け入れがたかった。
戸惑った様子のブネワ族 : だからこの森に残って願い続けてきたのよ。
いつか双頭が、この呪われた森から肥沃な土地へと、
マムージャ族だけの安全な場所へと導いてくれることを……。
ウクラマト : 豊かな土地を……
それも自分たちだけの土地を求めてたってことか……。
蜜園のブネワ族 : 私たちの頭上を覆う樹冠を見ればわかると思いますが、
この森は日光が届かないため、農作物が育ちにくい。
蜜園のブネワ族 : 土を耕し、肥料や水を工夫して、
ようやく芽が出たと思っても、すぐに枯れてしまう。
この森は、呪われているのですよ。
蜜園のブネワ族 : 唯一まともに育つのはナジュール……
トライヨラの言葉で言うジャティーカバナナくらいのものです。
何百年もそんな暮らしが続けば、嫌になってしまいますよ。
ウクラマト : 作物が死ぬ、呪われた森……。
そこから抜け出すために、双頭に頼っていたのか……。
ぶっきらぼうなブネワ族 : 食料も資源も豊富にある森で、のうのうと生きてきた奴らに、
我らの願いが理解できるはずもない。
ぶっきらぼうなブネワ族 : もはや戦いで奪うことでしか、
マムークの同胞たちが幸福に暮らせる路はない……。
ウクラマト : だったら探すまでだ、戦い以外の路を……!
フビゴ族の商人 : はるか昔、この森には豊かな鉱脈があったそうだが、
ヨカフイ族が支配していた時代に、粗方掘り尽くされてね。
フビゴ族の商人 : 今では、残っている資源と言えば隕石の欠片ぐらいのもの。
そんな状態で、どうやって他の部族と対等な取引ができる?
この何もない森で生き続けるかぎり、できるはずもない。
フビゴ族の商人 : 生まれ育った森で豊かに暮らしていけるなら、
それ以上に幸せなことはないのだが……。
ウクラマト : 利用しやすい資源がなく、
商いも上手くはいかないってことか……。
ウクラマト : これでひととおり話を聞けたはずだ。
ウクラマト : いろいろな意見はあったけどよ、
みんな、この森の貧しさを語っていたよな。
ウクラマト : 農作物も育たず、利用しやすい鉱脈も尽きちまった上に、
特産物がないから商いの面でも、不利を強いられる……。
ほかの部族の土地を羨む気持ちも理解できるぜ。
ウクラマト : この森に残ってる資源は、
隕石の欠片くらいだなんて意見もあった。
ウクラマト : 下の森に入ったときに、エレンヴィルが言ってたよな。
隕石の異質なエーテルが、植生に影響を与えてる説があるって。
それが本当なら、農作物が育たないことと関係があるのかもな。
コーナ : 隕石の欠片を調べてみるべきだろうね。
この森の暮らしを豊かにする方法が思いつくかもしれない。
コーナ : そして、この森でもっとも強い力を持っているとされるのが、
南にある「幻煌樹」という大樹に取り込まれた隕石の核だ。
サンプルを採取するなら、その近くに行くべきだろう。
ウクラマト : マムークのみんな、話を聞かせてくれてありがとな!
おかげで、この森が抱えてる問題に、
隕石が発するエーテルが関係してるかもしれねぇことがわかった!
ウクラマト : それを解決する方法を見つけるために、
今すぐ隕石の欠片を調べにいってくる!
必ず良い結果を持ち帰ってみせるから、信じて待っててくれ!
『星の欠片を集めて』
ウクラマト : アタシらがやろうとしてることを、
ゼレージャあたりが知ったら、鼻で笑われるんだろうな。
最後の試練を前にして、何を遠回りしてるんだってさ。
ウクラマト : だけどよ、目の前で泣いてる民がいるのに、
それを見て見ぬふりをするなんて、アタシにはできねぇ。
そんな奴が、みんなの笑顔を護る王になれるはずがねぇんだ。
ウクラマト : だから今は、これ以上双頭を生み出さなくてもいいように、
この森が抱える問題を何とかしてやりてぇ。
バクージャジャの奴とも、約束したからな。
ウクラマト : そのために、今のアタシらにできることはしたつもりだ。
あとは、隕石の欠片を託した兄さんたちの帰りを待つだけだな!
コーナ : 皆さんいらっしゃるようですね。
全員に結果を聞いていただきたかったので、
声をかけておいたんです。
コーナ : 少しお時間をいただきましたが、
お三方のご協力のおかげで、すべてわかりましたよ。
コーナ : この問題の本質と……その解決方法がね。
コーナ : 先ほど、あなたがたに問いましたね。
なぜ双頭を求めるのか、と。
コーナ : 結果、多くの方が、
陽光の降り注ぐ土地を求めていると答えてくれました。
コーナ : では、なぜそのように求めるのか……。
その理由は、「ジャティーカ央森」の特殊な環境にあります。
コーナ : 皆さんがご存じのように、この森の土壌は豊かだ。
一方で、高い樹冠に陽光の大部分が遮られてしまい、
農作物が育たずに苦労されてきたそうですね。
コーナ : 加えて、過去にヨカフイ族が行った大規模な資源採掘によって、
利用しやすい鉱石も枯渇しているという……。
これではシュバラール族の土地を羨むのも、無理はないでしょう。
クルル : それだけじゃありません。
ジャティーカ央森には、古の時代に天から降り注いだ星……
つまり、隕石の欠片が今も残っています。
クルル : これを分析したところ、
特殊な波長のエーテルを発していることがわかりました。
クルル : 私たちがジャティーカバナナと呼ぶ、
隕石が放つエーテルに耐性のある植物ならともかく……
多くの農作物にとって、これが発育の妨げになっていたんです。
コーナ : ですが、それも今日で終わりです。
エレンヴィル : 原因がわかれば対処できるってことだ。
俺が働いてるシャーレアンって国には、
世界各地から集めた植物のサンプルが大量にあってな。
エレンヴィル : その中には、隕石が発するエーテルにも耐えるどころか、
それを糧にして、よりよく育つ農作物だって存在する。
エレンヴィル : リンクパール通信を駆使して、
同僚たちにも確認したから間違いない。
上にも掛け合って、提供の約束も取りつけてある。
アルフィノ : かつてエオルゼアは、トラル大陸からポポトやトマトなど、
さまざまな作物をもらい、食卓を豊かにしてきました。
今度は、その恩返しをする番です。
フビゴ族の商人 : 私たちも、ナジュール以外の作物を、
栽培できるようになるのか……?
アルフィノ : ええ、そのとおりです。
環境に悪影響を与えないよう慎重に事を進める必要はありますが、
新たな名産品が生まれることも期待できるでしょう。
ウクラマト : 双頭という力に頼らなくたって、お前らは生きていける。
この森の呪いを、恵みに変えてな!
ぶっきらぼうなブネワ族 : 俺たちは、もとより戦う必要など……
無辜の命を犠牲にすることだって……なかったのか……。
戦のバクージャジャ : オレたちの罪は、どうしたって消えるもんじゃねェ。
だとしても、これ以上の犠牲をなくせるんだったら、
やるべきことはひとつなんじゃねェか?
魔のバクージャジャ : 「双血の教え」は、もう終わりにしようよ。
ウクラマト : 絶対的な力を捨てるってのは、簡単なことじゃねぇと思う。
だからアタシが、お前らに証明してみせる。
ウクラマト : 教えや力に縋らなくても、みんなで手を取り合えば、
どんな困難だって超えていけるってな!
ぶっきらぼうなブネワ族 : だったら俺は……ウクラマト王女を、信じたい……。
戸惑った様子のブネワ族 : 私たちだって、多くの子どもを犠牲にする行いを、
なんとも思ってないわけじゃないもの……。
ウクラマト : 王女らしくしねぇとって、虚勢を張って生きてきたアタシが、
素直に誰かを頼れるようになったのは、お前らのおかげだ。
ウクラマト : だからよ、あいつらにも何か一言かけてやってくれねぇか?
▼強力しあえば、ヴァルガリマンダだって倒せる
ぶっきらぼうなブネワ族 : グルージャジャ様ですら、封印するに留まった、
あのトラルヴィドラールを倒したのか!?
ウクラマト : みんなに伝えたかったことは、これで全部だ!
ウクラマト : アタシらはマムークに戻って、「友の試練」に挑む。
そして……「双血の教え」に頼らない、
新たな路を切りひらいてみせる!
ぶっきらぼうなブネワ族 : ……なら、必ずゼレージャ様の試練を打ち破ってくれ。
いま語った言葉が夢物語ではないと、
我々に信じさせてほしい……。
ウクラマト : へっ、任せとけ!
ウクラマト : そうだ。
ゼレージャにも隕石のことを教えてやらねぇとな。
あいつだって、腹いっぱい美味いもん食いてぇだろうしよ!
コーナ : そんなこと、僕は思いもしなかったよ。
これが君との差、か……。
コーナ : ならば、僕は……!
戦魔のバクージャジャ : 頼むぞ、ウクラマト……。
『友の試練』
ウクラマト : ゼレージャ!
最後の試練を始めようぜ!
ゼレージャ : ふん、何をしていたのか知らんが、悪あがきは終わりか。
ウクラマト : ああ、よくわかったぜ。
マムークのことも、お前らのことも。
ゼレージャ : それを知ったところで何だと言うのだ?
ウクラマト : お前の言う「双頭を超える」ってのがどういうことなのか、
アタシなりの答えが出た。
ウクラマト : マムークの連中が笑えていないのは、
自分たちが背負った罪の重さに苦しんでるからだ。
ウクラマト : だからアタシは、オヤジの幻影を超えることで、
「双血の教え」をぶっ壊す!!
ゼレージャ : 何を言うかと思えば……「双血の教え」を壊すだと?
我々は双頭なくしては生きてはいけぬ、
弱者の集まりだというのに!
ウクラマト : そりゃ、ひとりひとりの力はちっぽけなもんさ。
ウクラマト : だけどよ、みんなで手を取り合ってひとつになれば、
ヴァリガルマンダだって倒せるほどの、大きな力になるんだ!!
ゼレージャ : くだらぬ……ならば証明してみよ。
トラル大陸の歴史上、最強の存在である、お前の父親を相手に!
ウクラマト : へっ、上等だぜ。
トライヨラを受け継ぐ身として、
オヤジの幻影なんかに負けてられるかよ!
コーナ : 僕もラマチとともに戦います。
ゼレージャ : 困りますな、第二王子殿。
この試練では、候補者同士の共闘は認めていない。
せいぜい、妹君がなぶられる様を見学しているのだな。
コーナ : 候補者同士……ですか。
それなら……!
コーナ : これで、僕は継承候補者ではなくなった。
ラマチに協力するのだって、自由のはずです。
ゼレージャ : どういうつもりだ。
コーナ : ここまでの旅でわかったんですよ。
父上の跡を継ぐに相応しい人物が、誰なのかということがね。
コーナ : トライヨラの人々を幸せにできるのは……
ゾラージャ兄さんでも、バクージャジャでも……僕でもない。
コーナ : どんなときも、民の笑顔を護ろうとしている……君だけだ。
だから僕は、全身全霊をかけて、ラマチを王にしてみせるよ。
コーナ : それが、僕に機会をくれた父上と、
トライヨラのためにできる、最大の恩返しになると信じて!
ウクラマト : ありがとよ。
やっぱ、コーナ兄さんは頼りになるぜ!
ゼレージャ : ふん、好きにするがいい。
所詮は劣等種、何人集まろうが同じことだ!
ゼレージャ : いでよ、トラル史上最強の双頭……
グルージャジャよ!
ウクラマト : みんな、準備はいいか!
ウクラマト : さあ行くぜ、オヤジ!
アタシを信じてくれる奴らの想いに応えるため……
アンタを超えてみせる!!
武王グルージャジャ : 旅で磨いた「武」を見せてやろう!
理王グルージャジャ : 歩んで知った「理」とともに……。
ウクラマト : 証明してやるよ!
みんなで手を取り合えば、双頭だって超えられるって!
アルフィノ : 魔力が凝縮して…
ならば!
ウリエンジェ : お守りします
サンクレッド : 周囲に警戒を!
来るぞ!
コーナ : ぐっ…
さすが…理の父上…!
武王グルージャジャ : ヴァリガルマンダの鱗すら
切り裂いた剣技だ!!
ウリエンジェ : 太刀筋を見極めるのです…
ウリエンジェ : コーナ王子
これを!
ウクラマト : ぐっ…
さすが武のオヤジ!
理王グルージャジャ : 炎の刃よ、降り注ぎなさい……!
アリゼー : なっ…負けてなんか…!
アルフィノ : アリゼー!
大丈夫かい…?
クルル : なんて…
圧力なの…!
武王グルージャジャ : そらそら!
武王グルージャジャ : グハハハハハ!
ウクラマト : 離れろ、みんな!
理王グルージャジャ : やれやれ…
理王グルージャジャ : 喧嘩バカはこれだから……長引く前に終わらせますよ。
クルル : 勢いを削ぐわ!
理王グルージャジャ : さあ行きなさい
アルフィノ : 援護する!
武王グルージャジャ : 指図するんじゃねぇよ
理王グルージャジャ : これはどうです?
コーナ : 火属性の術式…
理の父上の策です!
ウクラマト : な、なんだ!?
炎で身動きが…!
サンクレッド : やってくれる…!
アルフィノ : 理王の魔法か!?
ウリエンジェ : これは…!
コーナ : 身動きを封じられたようですね。
全員でカバーを!
クルル : 炎の縛めを狙って!
理王グルージャジャ : わたくしの炎からは逃げられませんよ?
コーナ : ラマチを護ってみせるッ!
コーナ : 破壊しきれなかったか!
それでも……みんなの力が合わされば!
ウクラマト : ありがとな!
頼りになるぜ…!
コーナは、炎の縛めを壊した。
アルフィノ : ありがとう…!
アリゼーは、炎の縛めを壊した。
サンクレッド : 悪い、助かった…!
クルルは、炎の縛めを壊した。
ウリエンジェ : 感謝を…
アリゼーは、炎の縛めを壊した。
アリゼー : これでどう…!
ウリエンジェ : お守りします
アルフィノ : 援護する!
理王グルージャジャ : 炎の刃よ
降り注ぎなさい
武王グルージャジャ : 何者か知らんが、なかなか楽しませてくれる!
理王グルージャジャ : これを受ければ、諦めもつくでしょう?
ウクラマト : うわぁっ!
コーナ : なにっ
サンクレッド : うおっ!?
ウクラマト : みんな、アタシの後ろに来い!
なんかやばそうだ!
コーナ : わかった…!
アリゼー : …任せるわ!
アルフィノ : 了解だ…!
クルル : ええ!
武王グルージャジャ : こいつを受けてなお、立ってられるか?
コーナ : 手を貸しますよ
アルフィノ : 支えてみせる…!
サンクレッド : 援護する!
ウリエンジェ : 支援いたします
燃えよ天道、進めよ吾道 発動まで 5
燃えよ天道、進めよ吾道 発動まで 4
燃えよ天道、進めよ吾道 発動まで 3
燃えよ天道、進めよ吾道 発動まで 2
燃えよ天道、進めよ吾道 発動まで 1
ウクラマト : アタシは……みんなの笑顔を護る王になるんだぁぁぁ!!
ウクラマト : ま、負けねぇ…!
ウクラマト : へへっ……。
アンタの力はそんなもんかよ!
武王グルージャジャ : オレの全力を受けきるとはな。
だが、まだだ!
コーナ : あなたを超えて、ラマチを王にしてみせる!
トライヨラの未来のために!
ウクラマト : みんなを…
守ってみせるッ…!
ウクラマト : はぁ、はぁ……
幻影とはいえ、さすがの強さだったぜ……。
ゼレージャ : このような結果……私は認めんぞ!
???? : この期に及んで、往生際が悪いんじゃないか?
アルフィノ : ルガディン族……まさか!
ウクラマト : タンカのじいさんじゃねぇか!
ひっさしぶりだなぁ!
タンカと呼ばれた老人 : よう、ウクラマト。
少し会わないうちに、いい面構えになったな。
アルフィノ : タンカ……?
タンカと呼ばれた老人 : タンカというのは、
グルージャジャにもらった、こっちでの通名だ。
元の名前は、マムージャ族の舌じゃ発音しにくいらしい。
アルフィノ : あなたの本名……ケテンラムとおっしゃるのでは?
ウクラマト : えぇぇぇぇぇぇぇ!
ウクラマト : ケテンラムってあれだろ、
エオルゼアのすっげぇ船乗りの……!?
ケテンラム : ま、その話はあとだ。
ケテンラム : ゼレージャ。
この子らは、お前が出した試練を超えてみせたじゃないか。
ケテンラム : それを認めないということは、お前に連王の選者を任せた、
グルージャジャの信頼を裏切ることになるんだぞ。
ゼレージャ : 超えたと言っても、数に物を言わせてではないか!
▼マムークの長としての誇りを見せてくれ
ゼレージャ : ふん、私の誇りなど、もはや残っておらん。
すべて、この試練に懸けてきたのだからな。
ゼレージャ : ……故にこそ、容易に打ち破れる試練でなかったことは、
私自身がよくわかっているが。
ウクラマト : みんなで手を取り合えば、オヤジだって超えられるんだ。
もう、双頭ひとりに願いを背負わせる必要はねぇのさ。
ゼレージャ : ならば、我らにどうしろと言うのだ。
ウクラマト : ともに生きようぜ、みんなでさ。
ゼレージャ : お前が本気で王を目指すつもりなら、
そう安々と、ともに生きようなどと言うべきではない。
特に、多くの赤子の命を奪ってきた男に向けてはな……。
ゼレージャ : だが、連王の選者としての使命は果たそう。
ウクラマト王女が「友の試練」を超えた証として、
この秘石を授ける。
コーナ : おめでとう、はまだ早いかな。
いずれにしても、君たちならきっと黄金郷を見つけられるさ。
コーナ : 君はもう、僕が護ろうとしてきた、
か弱い妹なんかじゃない。
コーナ : この旅をとおして、次代の王として相応しい成長を遂げた。
兄として、とても喜ばしく思うよ。
ウクラマト : 兄さん……ありがとな。
コーナ : ここまでのご協力、ありがとうございました。
遠いところまでお越しいただいたのに、
ご期待に添えず……すみません。
サンクレッド : 謝る必要なんてないさ。
お前がウクラマト王女を信じて王位を託したなら、
俺たちは、その選択を信じるだけだ。
コーナ : それから……
最後ぐらい、想いを言葉に乗せてみようと思います。
慣れていないので、月並みな言い方になってしまいますが……
コーナ : おふたりに出会えて、良かったです。
ウリエンジェ : あなたの気持ち、たしかに届きました。
ウリエンジェ : 私たちの旅はここで終わりですが、
3人で紡いだ思い出は、この胸に残り続けるでしょう。
サンクレッド : ああ。
また俺たちの力が必要になったときは呼んでくれ。
お前のためなら、すぐに駆けつけるさ。
サンクレッド : それに、まだ俺たちの依頼は終わっちゃいない。
依頼主を無事に、王都へと送り届けるまではな。
コーナ : 皆さん!
大切な妹のこと、頼みましたよ!
『友の試練』
ウクラマト : 約束どおり、「友の試練」を超えて証明してきたぜ。
手を取り合えば、あのオヤジが相手でも、
打ち破ることができるんだってな。
ミーラジャ : ふふ、信じていたわ。
あなたたちなら、やってみせるだろうって。
フビゴ族の商人 : ウクラマト王女は、宣言どおりに示してみせた。
ならば、次は我らが応える番ではないだろうか。
蜜園のブネワ族 : 双頭に縋る必要がないとわかれば、
罪悪感に苛まれながら「双血の教え」に従う必要もありません。
今後は、ほかの部族と手を取り合うことだって……。
戸惑った様子のブネワ族 : でも、どうやって……?
ウクラマト : 同じ大陸で生まれても、同じ村で育っても、
同じ毛の色をしていたって、アタシらはそれぞれ別の人間だ。
ウクラマト : だから、違うところがあって当たり前なのさ。
その違いにびびって、相手を遠ざけちまうのはもったいねぇ。
まずは、そいつのことを知ることだ。
ウクラマト : そうして深く知っていくうちに、
気づけばそいつのことを気に入っちまうことがある。
ウクラマト : 好きになった奴らとなら、真正面から向き合える。
知らずに嫌って憎み合うより、よっぽどいいだろ?
ウクラマト : 最初の一歩は怖ぇかもしれねぇけど、
踏み出してこそ、前に向かって進むことができるのさ。
フビゴ族の商人 : まずは相手のことを知ること、か……。
たしかに、我らは他部族のことを知ろうともしてこなかった。
フビゴ族の商人 : だが、これまでの罪をなかったことにして、
今さらトライヨラの一員になるなど、許されるのだろうか。
???? : 待て。
ゼレージャ : 「双血の教え」を信奉する者たちの中には、
双頭を生むことが犠牲を伴うのだと知らない者もいたはずだ。
歴代の族長が、ひた隠しにしてきたからな……。
ゼレージャ : ゆえに、マムークが犯してきた罪の責は、
族長たる私にのみある。
犠牲になった命に対する償いは、我が命をもって果たそう。
ゼレージャ : だからどうか、ウクラマト王女……
彼らに累が及ばぬよう取り計らってはくれまいか……。
ウクラマト : そりゃもちろん構わねぇけど、
死んで罪を償うって話は聞けねぇな。
ウクラマト : お前が命を投げ出せば、
生きているバクージャジャの心に重荷が残っちまう。
ウクラマト : ゼレージャ、責任を感じてるのなら、
お前が率先して、ほかの部族に語り聞かせてくれよ。
マムークの文化を、みんなの想いを知ってもらうためにな!
ウクラマト : それに、言っただろ。
ともに生きよう……ってさ。
ミーラジャ : あなた……もう一度、やり直しましょう。
ショブリト灰戦場でシャブルク・ピビルが生まれた、
あの日から……。
ミーラジャ : ありがとう、ウクラマト王女。
私たちのことを、知ろうとしてくれて……。
『友の試練』
ウクラマト : んじゃ準備も出来たところで、
さっそく黄金郷探しに出発しようぜ!
どこから始める?
???? : 提案があるわ。
ミーラジャ : 黄金郷を探しているのでしょう?
ひとつだけ、思い当たる場所があるの。
ウクラマト : ミーラジャ……!
それにゼレージャまで……!?
ゼレージャ : 私は黄金郷について口にするつもりはない……が、
彼女の意志で話そうとするのを、わざわざ止める理由もない。
ウクラマト : んじゃ、ありがたく聞かせてもらうぜ!
ミーラジャ : 長年この森で暮らしてきた私たちにも、
一カ所だけ、深くまで立ち入ったことのない場所があるの。
黄金郷がこの森にあるとすれば、きっとそこよ。
ミーラジャ : あなたたちに双頭の真実を伝えた場所、ゴクドラーク岩窟……
その奥に大きな扉があったでしょう?
ミーラジャ : 扉の向こうは、双頭の代償となった赤子たちの魂が眠る慰霊堂。
「天(あま)深きセノーテ」と呼ばれているわ。
ミーラジャ : 「双血の教え」の信奉者ですら、
入口付近しか立ち入ることを許されておらず、
その深部がどうなっているのかは誰も知らないのよ。
ウクラマト : そんなところにアタシらが入っていいのかよ?
ゼレージャ : ……「双血の教え」を捨てるからには、
禁足地の掟も過去のものとする必要があるだろう。
ゼレージャ : それに、私たちがやってきた行いを白日の下に晒してこそ、
皆がその過ちに気づくことができるはずだ。
ゼレージャ : いずれは、あの暗く冷たい水の底で眠る子らを、
もっと安らかに眠ることができる場所に移すつもりだ。
ウクラマト : いい考えだな!
そのときは、アタシにも手伝わせてくれよ!
ミーラジャ : それに、天深きセノーテについて、
こんな話を聞いたことがあるの。
ミーラジャ : およそ20年前に、異国の魔道士を連れたグルージャジャ様が、
天深きセノーテを訪れたらしい、と。
クルル : きっと、おじいちゃんのことだわ!
ゼレージャ : 連王が訪れた目的はわからぬが……
あの場所は、ヨカフイ族が石切場として掘った遺跡を、
我々が秘した慰霊堂として、再利用した経緯がある。
クルル : ヴォーポーローさんもこう言っていたわね。
かつて、ヤクテル樹海で採石に携わっていたヨカフイ族が、
黄金郷の夢を視た、と……。
クルル : そしてその後、
おじいちゃんが連王とともに天深きセノーテを訪れている……。
きっとこれは、偶然の一致なんかじゃない。
ウクラマト : 本当にありそうじゃねぇか……!
天深きセノーテの奥に、アタシたちが探してる黄金郷が!
ウクラマト : ありがとよ、ふたりとも!
絶対に黄金郷を見つけてくるからな!
ミーラジャ : 天深きセノーテに降りるなら、
私たちが使役している飛獣を使うといいわ。
バクージャジャの鱗を持ってるあなたたちには、従うはずよ。
ミーラジャ : 信じてるわね。
あなたが、私たちの王になることを。
ウクラマト : よし、そうと決まればすぐに行こうぜ!
目指すはゴクドラーク岩窟の先……「天深きセノーテ」だ!
『黄金郷に至る路』
ウクラマト : ここが、双頭の代償となった子どもたちが眠る慰霊堂……
天深きセノーテへの入口ってわけか。
エレンヴィル : 継承の儀のためとはいえ、
赤子たちの魂が眠る場所に踏み込むのは気が引けるな。
ウクラマト : せめて祈りを捧げておこうぜ。
眠りを乱すことがないようにさ……。
ウクラマト : さあ、行こうぜ。
ウクラマト : これが、お前たちとの旅の終わりになるかもしれねぇし、
ちゃんと最後まで、この路を進みたいんだ!
『黄金郷に至る路』
クルル : ここは、ヨカフイ族の遺跡と聞いていたけれど……
この発光する奇妙な石材も、彼らの文明の産物なのかしら?
エレンヴィル : いや……こんな物、これまで一度も見たことがない。
クルル : だとしたら、さらに古い時代の文明のもの、ということ?
アリゼー : まさか、また古代アラグ帝国絡みじゃないでしょうね。
アルフィノ : 詳しく調べてみないことには断定できないが……
見た限りでは、アラグの魔科学とは別系統のように思う。
クルル : 黄金の光……まさか、あそこが……?
ウクラマト : 向こうに何か見えるけど……どうやって渡ればいいんだ?
エレンヴィル : これで渡れそうだな。
ウクラマト : よ、よし……行ってみようぜ。
クルル : 見て、あの扉を覆っているのは、
シャーレアン製の封印機構よ!
ウクラマト : どうやったら開けられるんだ?
アルフィノ : こっちに来てくれ!
アルフィノ : ウクラマト、ここに石板を嵌めてみてくれないか?
ウクラマト : さすがアルフィノだぜ!
ウクラマト : ここが、黄金郷……なのか?
クルル : どうかしら……。
ヨカフイ族たちが視たという夢の光景とは、
似ても似つかないように思えるけれど……。
???? : グハハハハハ!
よくぞここまでたどり着いた!
武王グルージャジャ : 見事、継承の儀をやり遂げたな、ラマチよ。
ウクラマト : じゃあ……やっぱりあれが「黄金郷」への扉なんだな。
ウクラマト : アタシら……最後まで、やり遂げることができたんだ……!
武王グルージャジャ : 喜びよりも、疑問が上回ってるって様子だな。
クルル : 見たことのない石材といい、これまで旅してきたトラル大陸と、
なんだか結びつかなくって……。
クルル : あの扉の向こうにあるものは……黄金郷とは、いったい……?
武王グルージャジャ : 疑問はもっともだが、ただひとつ確かなのは、
この扉の向こうに伝説の黄金郷が広がっているということだ。
今は訳あって開くことはできないがな……。
武王グルージャジャ : 黄金郷とは何なのか、なぜ隠しているのか……
そして、ガラフ・バルデシオンに依頼した調査の内容……。
武王グルージャジャ : 継承式のあと、ラマチにはすべてを話そう。
その後、真実をどう扱うかは、お前が決めればよい。
エレンヴィル : 何にしても、黄金郷は実在する……。
エレンヴィル : ……ずいぶん遅くなったが、ここまで来たぞ。
武王グルージャジャ : さあ、トライヨラへ帰るぞ!
ウクラマト : ああ!
『黄金郷に至る路』
コーナ : あなたに、伝え忘れていたことがあります。
コーナ : ラマチが無事に旅を終えることができたのは、
皆さんの……特にあなたの協力があったからでしょう。
コーナ : ……兄として、感謝しています。
▼ウクラマトが頑張ったからだ
コーナ : それと、ラマチからあなたへの言伝を預かってきました。
継承式が終われば、彼女はこの国の王となるわけですが……
コーナ : あなたには、ラマチが作る新たな政権の、
要職に就いていただきたい……とのことです。
コーナ : 僕としては、若干の嫉妬を覚えないわけではありませんが……。
コーナ : 急な話ですから、驚くのも無理はありません。
継承式の後、彼女から改めて要請するつもりのようですので、
答えはそのときでいいでしょう。
コーナ : ラマチとともに、この国を護っていくのか……
それとも、また次の旅に出るのか……
どちらを選ぶもあなたの自由です。
コーナ : 言伝は以上です。
たしかに伝えましたよ。
コーナ : これは僕の個人的な願いになりますが……
あなたには、これからも彼女を支えていただきたい。
コーナ : 今回の旅は、ラマチにとって特別な経験だったようですから。
兄としては、少し悔しいですがね……。
『新たなる夜明け』
武王グルージャジャ : 愛すべきトライヨラの民たちよ!
よくぞ集まってくれた!
武王グルージャジャ : これより、現国王であるわしの退位……
そして、次期国王の即位を宣示するべく、継承式を執り行う!
武王グルージャジャ : ……とまぁ、堅苦しいのはここまでだ。
さっそくだが、伝説の黄金郷を見つけ出し、
継承の儀を勝ち抜いた、次代の王を紹介させてもらおう!
武王グルージャジャ : 我が娘、ウクラマトだ!
ウクラマト : ……旅に出るまで、アタシは知らなかった。
それぞれの部族が、今日まで大切に受け継いできた、
文化を、歴史を、願いを。
ウクラマト : この街で暮らしてるだけで、
トライヨラのすべてを知った気になってたんだ。
ウクラマト : でも、ハヌハヌ族の集落では、
イヒーハナ祭に込められているのが、
すべての命に繁栄を願う祈りだと知った。
ウクラマト : ペルペル族が大切にしているアルパカが、
どんなふうに育まれているのかも知ったよ。
そしたら、苦手だったはずのアルパカを好きになっちまった。
ウクラマト : モブリン族と壺匠の関係を知ったら、
彼らが力を合わせて生み出す創作物のすべてが、
今まで以上に輝いて見えるようになった。
ウクラマト : ヨカフイ族の歴史や思想には、胸を打たれた。
人が死ぬのは、肉体的な終わりを迎えたときじゃない、
誰かの心から忘れ去られたときだってな。
ウクラマト : 400年以上も争い続けた、シュバラール族とマムージャ族が、
和平を結んだことで生まれた、シャブルク・ピビル。
その美味さは、平和の意味を教えてくれた。
ウクラマト : それから……マムークでは双頭に願いを託す連中に出会い、
悲しみの歴史を知った。
ウクラマト : でも、彼らが感じてきた苦しみに向き合い、
それを取り除く希望を見つけ出して、手を取り合うことができた。
あいつらは、これからトライヨラと交流を始めるだろうぜ。
ブネワ族の老人 : 「双血の教え」の人たちが、ほかの部族を受け入れた……?
ウクラマト王は、どんな魔法を使ったの……。
ウクラマト : とまぁ、トライヨラの愛すべき文化や人々に出会えた一方で、
この国には、まだたくさんの問題が残ってることもわかった。
ウクラマト : コザマル・カでは、メシが食えず盗賊行為に走る奴らがいた。
ヨカフイ族の一部には、未だに戦いを望む連中もいる。
誰もがみんな、平和で幸せに生きてるわけじゃねぇ。
ウクラマト : それに、アタシが旅してきた土地以外にも、
まだ出会ってねぇ、多くの部族が暮らしてる。
知らない文化も、歴史も、願いも山ほどあるはずだ。
ウクラマト : だからアタシはトライヨラの王として、
みんなのことを、もっと知り、もっと好きになって、
笑って暮らしていける国にしていきたい。
ウクラマト : だってアタシは……この旅で見てきたみんなの笑顔が、
何よりも好きだからだ!!
ウクラマト : ところでよぉ、
王になれるのはひとりだけ、なんて決まりはねぇよな!?
エレンヴィル : あいつ……何を言い出すつもりだ?
ウクラマト : みんなも知ってのとおり、
アタシのオヤジには頭がふたつある。
武王と理王、ふたつの心が力と知恵を合わせて国を興したんだ。
ウクラマト : そんな国を、さらによく変えていこうとするなら、
未熟なアタシの力だけじゃ、無理ってもんだ。
ウクラマト : だからよ、アンタの知恵を貸してほしい。
ウクラマト : アタシとともに、この国の王になってくれ……コーナ兄さん!!
コーナ : 本気なのかい、ラマチ。
ウクラマト : アタシが武王で、兄さんが理王……ふたり合わせて新たな連王!
ってのはどうだ?
武王グルージャジャ : グハハハハハ!
武王グルージャジャ : ま、いいんじゃねぇか?
王がふたりいたところで、困るこたぁねぇしな!
武王グルージャジャ : すべては、民がそれを受け入れるか、否かだ。
コーナ : ……僕は、シャーレアンへの留学を経て、
外つ国の技術を伝え、広めてきました。
コーナ : その結果、ヨカ・トラルでは気球が飛び、
サカ・トラルでは鉄道が走り始めています。
コーナ : トライヨラの技術力と生活水準を高めることで、
他国に対して国力を示し、侵略に対する抑止力とする。
それが、僕なりの国防戦略だったのです。
コーナ : ですが、僕はみなさんが大切に受け継いできた文化に、
あまりにも無関心で、無理解だった。
コーナ : 文化とは……人が脈々と受け継いできた、生きた証。
僕は継承の儀をとおして、その尊さを知りました。
コーナ : もしも、僕のことを認めていただけるなら、
皆さんに寄り添った方法で、この国を豊かにしていきたい。
それが、先代より理王を受け継ぐ者としての責務だと信じて。
コーナ : 何よりも、皆さんには幸せであってほしい。
それが、僕の……素直な想いです。
ウクラマト : へへっ。
こいつが無駄にならずに済んでよかったぜ!
ウクラマト : こいつは、アタシとコーナ兄さんが王となったことを描いた、
トライヨラ叙事詩の新章……さしずめ「継の章」ってところか!
コーナ : まったく……継承式を前に忙しそうに走り回ってると思ったら、
これを造らせていたわけか。
ウクラマト : 言っとくが、ただの思いつきじゃねぇぜ?
継承の儀を経て、アタシがたどり着いた答えさ。
武王グルージャジャ : ともかくこれで、長らく不在にしてた理王が、
戻ってきたってことだな。
武王グルージャジャ : 隠してても、我が子にはわかっちまうか。
武王グルージャジャ : こいつが死んじまって、もう3年になる。
トナワータ族の青年 : そんな……理王様がお亡くなりになっていたなんて!
ハヌハヌ族の老人 : とても、とても、悲しい……。
ウクラマト : そうじゃなきゃいいとは思ってたが……。
武王グルージャジャ : 黙ってて悪かったな。
だが、こいつは最後の最後まで理王としての責務を果たした。
継承の儀が、それよ。
武王グルージャジャ : 王が代替わりするなんざ、トライヨラにとって初めてのこと。
理王は死ぬ間際まで、計画を進めてたのさ。
この国を想い、この国を生きる奴らのことを想ってな。
武王グルージャジャ : ったく……決めるだけ決めたら、
あとはわしに押しつけて逝っちまいやがって。
武王グルージャジャ : ま、お前たちふたりが「連王」を受け継いでくれて、
こいつも満足してるだろうさ。
武王グルージャジャ : 多少、予想外のことはあったが……これにて継承式は終いだ!
武王グルージャジャ : 新たな連王とトライヨラに、輝かしい栄光があらんことを!
クルル : ウクラマトさん、とても立派だったわ。
クルル : まさか継承式の場で、コーナ王子を理王に指名するだなんて、
想像していなかったから、少し驚いたけれど……。
クルル : あの兄妹(ふたり)なら、
互いに支え合って良い国を作っていけるって信じているわ。
『新たなる夜明け』
ウクラマト : よう、みんな!
ウクラマト : 継承式を見にきてくれて、ありがとよ!
上からも、みんなの顔がよく見えたぜ!
アリゼー : なかなか様になってたわよ、武王ウクラマトさま。
ウクラマト : だから、そういうのはよせって!
ウクラマト : 互いの肩書きなんてどうでもいい。
お前らは、ともに旅しながら心を通わせた仲間……
もはやアタシにとっちゃ、家族も同然の存在だ。
ウクラマト : なんて……
そう思ってるのはアタシだけか?
▼そうだな、ラマチ
ウクラマト : ラマチ……。
クルル : 家族も同然と言ってくれるのなら、
私もラマチって呼んでもいいかしら。
アリゼー : ま、もう短い付き合いでもないしね。
私も呼ばせてもらうわよ、ラマチ。
アルフィノ : では、私も。
構わないかい?
ウクラマト : 言っただろ、家族も同然の存在だって。
そう呼んでくれたら、アタシも嬉しいぜ。
ウクラマト : へっ、なんか照れくせぇな!
『すべての路は希望とともに』
ウクラマト : それで、お前にはもうひとつ話があるんだけどよ……
コーナ兄さんから聞いてるだろ?
ウクラマト : お前をこの国の要職に就けたいって話、
言っとくがアタシは本気だぜ。
ウクラマト : これからも、そばにいてほしいんだ。
ウクラマト : ……ま、無理強いするつもりはねぇ。
ただ、お前が旅を続けていく先に、
そういう道も選べるんだって、知っておいてほしくてよ。
ウクラマト : そうそう、こいつを渡しておかなくちゃな。
ウクラマト : 大陸の北側、サカ・トラルへの通行許可証だ。
トラル大陸には、お前が歩いてない土地がまだまだある。
ウクラマト : 冒険者なら、惹かれるだろ?
ウクラマト : あーあ!
これで、お前らとの旅も終わっちまうんだな……。
ウクラマト : ……こんなアタシを、仲間と認めて、
最後までともに旅をしてくれたこと。
ウクラマト : お前らには、どれだけ感謝してもしきれねぇよ。
本当に、ありがとな。
ウクラマト : さてと、こっからはやることが山積みだ!
王としての公務も覚えなきゃならねぇし、
黄金郷についても、オヤジから聞かなきゃならねぇ。
ウクラマト : そこで知ったことをどうするにせよ、
一緒に旅したお前らには必ず報告する。
ウクラマト : それまで好きに過ごしててくれて構わねぇから、
折を見て連王宮に寄ってくれよな。
エレンヴィル : 俺は、まだしばらくこっちに残るつもりでいる。
シャーレアンに戻ってグリーナーの仕事を再開する前に、
会っておきたい相手がいるからな。
ウクラマト : お前らはどうだ?
アルフィノ : もとは、ガレマール帝国と諸国の関係改善を図るべく、
多部族国家のトライヨラから学びを得るための旅だった。
アルフィノ : シュバラール族とマムージャ族に対話の機会を与えた前連王、
そして「双血の教え」を知り、彼らと手を取り合ったラマチ……
両者がもたらした融和を見て、あらためて実感したよ。
アルフィノ : 他者を受け入れるということは、
まず相手を知ることから始まるのだ、とね。
アリゼー : 今回の継承の儀で、ラマチがトライヨラの人々を知ったように、
思いもよらない方法で、他人を知ることだってあるはず。
アリゼー : あとは、どうやってそれを促すか……
もう少しこの国を見て回らせてもらいながら、考えるつもり。
クルル : 私は、引き続きこの街に滞在してもいいかしら?
ラマチがグルージャジャさんから黄金郷について聞いたら、
すぐに共有してもらえるように……。
ウクラマト : もちろんだ!
宿も引き続き押さえてあるから、遠慮なく使ってくれ!
アリゼー : あなたはどうする?
もらった通行許可証でサカ・トラルを見に行くとか?
▼そのつもり
アリゼー : そう言うだろうと思ったわ。
まだ半分も楽しい冒険が待ってるなんて知ったら、
じっとしてられるわけないもの。
エレンヴィル : なら、一緒に行かないか?
エレンヴィル : 俺の会っておきたい相手っていうのが、
前に話した師匠のことでな。
都合、サカ・トラルにある故郷に里帰りするつもりだ。
エレンヴィル : おたくにこれといった目的がないなら、
道すがら、簡単なガイドをするくらいはできるが……どうだ?
ウクラマト : それじゃみんな、いったんここでお別れだ。
ウクラマト : 元気でな! あばよ!!
『すべての路は希望とともに』
――一方 天深きセノーテ 最深部
ゾラージャ : これが、黄金郷への扉……。
こんな場所へ到達することが、王の条件であったと……?
サレージャ : 20年ほど前、私はグルージャジャ様に命じられ、
外つ国の賢者に黄金郷の調査を依頼する手紙を代書しました。
サレージャ : 実際、調査は行われ……
連王は遺跡の力を恐れるあまり、封印を施したのだとか。
継承の儀は、その封を開くためのものだった、と……。
サレージャ : それにしても、あのタンカが遺跡の守人として、
すべての秘石を持っていたとは。
面倒な試練など経ずとも、よかったわけですな。
サレージャ : さてさて、この先にいかなる力が眠っているやら。
グルージャジャ様が恐れるほどのものとなれば、
王座を奪うのにも役立ちましょう……。
ゾラージャ : 言うは易しだな。
新たな連王は未熟なれど、私が敗れた父上の幻影を破った相手。
あのふたりから王位を簒奪するのは、容易ではない。
サレージャ : 連王の血を受け継いだ奇跡の子が、こうも弱気になられるとは。
ですが、どうかご安心を。
サレージャ : 扉の「鍵」にございます。
王宮の宝物庫に保管されておりましたが、
継承式で警備が薄くなったところを狙えば、このとおり。
サレージャ : あなた様はただ、扉を開けさえすればいい。
継承の儀の結果も、幻影相手の勝敗も、
もはや取るにたらぬ些事……。
サレージャ : さあ、この「鍵」を用いて、真なる王となるのです!
サレージャ : おお、これは……!?
扉の先から響く声 : だれか……える……!?
扉の先から響く声 : ……やっと繋がった!
サレージャ : いったい何者だ、姿を現せ!
扉の先から響く声 : そうしたいのは山々だけど、ゲートを開くことはできないんだ。
でも、キミが手にしているはずの、その「鍵」があれば、
新たに「繋げる」ことができる。
サレージャ : 謎めいた声の主よ。
もしやお前が、大いなる力とやらの守護者か?
扉の先から響く声 : 大いなる力かどうか、わからないけど……。
私の知識があれば、大抵のことは実現できると思うよ。
それこそ、世界を創り変えることだってね。
ゾラージャ : 世界を創り変える、か……。
ゾラージャ : ……フフフ……ハハハハハッ!!
ゾラージャ : おもしろい。
お前が何者かは知らぬが、そのような力を得られるならば、
たとえ悪鬼であっても契りを結ぶ価値はあろうな。
サレージャ : ようやく眼に生気が戻りましたな。
こやつの力を使って、私とあなたで新たなる王国を……
サレージャ : な…………ぜッ…………!?
ゾラージャ : もはやお前は不要だ。
ゾラージャ : 私は求める……新たな世界を。
ただひとつ、私が生きる理由のために!
扉の先から響く声 : キミの願い、叶えてあげる。
けど、その代わり…………
『すべての路は希望とともに』
長大な橋を超えた先に広がるのは
古くからの言葉で「導きの太陽」と呼ばれる荒野
強烈な日差しが乾きをもたらすこの地は
生物たちに過酷な試練を与えてきた
だが その地下に恵みの水――
青燐水が埋蔵されていたことで状況は一変する
理王コーナを支持する革新派の人々は
青い炎に照らされた先に 豊かな未来を夢見て走りだした
そして 俺たちもまた足を踏みだす
新たに敷かれた鉄の道を辿り 旅を続けるために
エスティニアン : お前たちもこっちに来ていたとはな。
エスティニアン : 王が代替わりしたと噂で聞いたが、
黄金郷の扉とやらを見つけたということか。
エレンヴィル : 俺はこっちの出だからな。
諸々の報告で帰郷するついでに、
サカ・トラルを案内してるところだ。
エレンヴィル : おたくは?
エスティニアン : ただの物見遊山だ。
あてのある旅じゃないからな。
▼相変わらず自由だ
エスティニアン : グルージャジャから、
手合わせの報酬をたんまりもらったからな。
しばらくは路銀の心配もない。
エスティニアン : それじゃあ、俺は行くぞ。
エスティニアン : ああ、そうだ……ここらのサボテンダーは美味いぞ。
見た目は多少奇抜だが、試してみるといい。
エレンヴィル : 野生のサボテンダーを……?
『サカ・トラルへ』
イヤーテ : あれっ、もしかしてあんた……!
イヤーテ : エレネッシ……
エレンヴィル : エレンヴィル、だ!
イヤーテ : ……って、すっかり男の子になったんだねえ。
子どものころは、そりゃあ可愛らしかったのに。
エレンヴィル : 何年前の話をしてるんだ……。
3年前に帰ってきたときも会ってるだろう。
イヤーテ : あら、そうだっけ?
ごめんごめん、長く生きてると記憶が曖昧になってさあ。
エレンヴィル : この人は同郷のイヤーテさん。
俺の師であるカフキワの幼馴染みだ。
イヤーテ : よろしくね!
イヤーテ : それにしても、友達連れでふたり旅とはねぇ……
あのエレネッシパが!
▼エレネッ……なんて?
エレンヴィル : ……エレネッシパは俺の故郷での名だ。
グリーナーとして働き始めるときに、面倒が起きないよう、
あっちのヴィエラ族に倣って名前を変えたんだ。
エレンヴィル : まあ、帰郷するなら、
どのみちおたくには知られてただろうけどな。
……とりあえず、今までどおりに呼んでくれ。
イヤーテ : なるほど、里帰りのついでに立ち寄ってくれたんだね。
いいなあ、私もカフキワに会いたくなってきちゃったよ。
イヤーテ : カフキワはエレネッシパの師であり、母親なんだよ。
あの子、すんごい弓の名手でさあ……
会うたびに、ご馳走を狩ってきてくれるんだ。
エレンヴィル : 俺から見れば、イヤーテさんも相当だったけどな。
シャトナ族は、自然の恵みを受けて生きる狩猟採集民……
一流の狩人が多い。
イヤーテ : カフキワは別格だよ!
武器の扱いもだけど、何より動物に詳しいのなんのって!
イヤーテ : なにせ、その知識を見込まれて、
グルージャジャ様の一行に加わっていたくらいなんだから!
イヤーテ : もともと好奇心が強い方だったけど、
あの旅で大陸のあちこちに行って、火が付いたんだろうね。
イヤーテ : 子ども……エレネッシパが生まれてからも、
折を見ては私に預けて、未知の動物を探しに行ってさ。
イヤーテ : あの頃のエレネッシパ、寂しくて泣いちゃったり、
一緒に連れていけって必死にせがんだり……
大変だったよねえ?
エレンヴィル : ……おい、余計なことを喋るな。
イヤーテ : いいじゃないの、せっかく友達を連れてきてるんだから。
イヤーテ : でもカフキワは、
「一人前になるまでは連れていかない」って……。
それが、あの子なりのケジメだったんだろうね。
エレンヴィル : で、その一人前として認める条件として出されたのが、
黄金郷を見つけだすこと、だったわけだ。
……前にも話したとおりな。
エレンヴィル : 俺はバカ正直に探し始めて、その努力が無駄に終わると、
「おとぎ話」だったんだと考えるようになった。
俺の目を外に向けさせるための方便だったんだろうってさ。
エレンヴィル : だが、本当に「黄金郷の扉」を見つけられた。
イヤーテ : え、うそ!?
見つけたの!?
エレンヴィル : 継承の儀の課題だったんだ。
トラル大陸に住んでて、なんで知らないんだよ……。
イヤーテ : すごい……すごいよ、エレネッシパ!
カフキワ、ぜったい喜ぶよ……!
エレンヴィル : まあ、今回の旅について、あれこれ聞いてはくるだろうな。
『ロネークの背に揺られて』
最終更新:2024年09月01日 03:01