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痛快水雷三勇士

最終更新:2019年10月29日 05:58

harukaze_lab

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管理者のみ編集可
痛快水雷三勇士
山本周五郎

-------------------------------------------------------
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)日向《ひなた》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)艦|夕凪《ゆうなぎ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数)
(例)※[#感嘆符二つ、1-8-75]
-------------------------------------------------------

[#3字下げ]一、親友三水兵[#「一、親友三水兵」は中見出し]

「おい、見ろ見ろ、またエムデンが日向《ひなた》ぼっこをしているぜ」駆逐艦|夕凪《ゆうなぎ》の左舷《さげん》第三砲についていた、三等水兵が、二人の戦友に振返《ふりかえ》っていった。
「馬鹿《ばか》だな貴様、独逸《ドイツ》の軍艦さえ見りゃあエムデンだってやがら、どれ――どこに」
「何をいやあがる、見てっから物をいえ、あれがエムデンでなかったら、晩飯のお菜《かず》はくれてやらあ」
「どれどれ、晩飯の菜《さい》ときたら黙っちゃあいられねえ、どこだ」と残った一人も乗出《のりだ》してきた。
「そらあすこよ、モルトケ砲台の下んところに、もやもやと煙を――」いいかけた時、突然三人の後ろで、
「気をつけ!」と叫ぶ声だ。三人は吃驚《びっくり》仰天、一人などは慌《あわ》てて、
「はい!」といいながら反りかえった。
「気をつけに返辞はいらん。山田《やまだ》だな――」
 近よってきたのは、砲長の吉川《よしかわ》兵曹だ。三人の前へ立つと、山田という水兵の上衣《うわぎ》の釦《ボタン》をはめてやりながら、
「お前達三人は、寄るとさわると雀《すずめ》のように囀《さえず》ってばかりいる、何をしゃべっていた。返辞をせいっ、山田!」
「はっ、我らは」
「我らという奴《やつ》があるか、元へ!」
「はっ、僕達――でもない」
「でもないとは何だ、元へ!」山田水兵すっかり慌ててしまった。それを見て次にいた清水《しみず》という水兵が、
「はっ、清水三等水兵が申上げます。自分らは、エムデンと晩飯を、じゃなく、晩飯のお菜《かず》とエムデンを取換えようと、――ちがった、えーと」
「もうよろし、分っている」吉川兵曹ついにふきだして、
「モルトケ砲台の下にいる艦《ふね》が、エムデンかどうかと話していたのだろう。エムデンは今ごろはもう南洋あたりをうろついている時分だ、しっかりせい確《しっか》り、それだからお前達は、古参兵のくせにいつまでも三等水兵などにうろうろしているんだぞ、分ったら休め!」
 三人はほっとしたように顔を見合せる、兵曹は声をやわらげて、
「それから、飯の菜《さい》なぞを賭《か》けちゃいかん、士官にみつかるとどやされるから、わかったか――山田!」
「はっ、分ったであります」
「よし!」頷《うなず》いて、吉川兵曹は去った。兵曹の姿が見えなくなると、山田は拳骨《げんこつ》で二人を殴る真似《まね》をしながら、
「貴様らが間抜《まぬけ》だからだぞ、叱《しか》られるのはいつも己《おれ》だ、何か事があると山田! 喧嘩をすれば山田! 何でもかんでも山田だ! いまに雨が降っても己《おれ》のせい[#「せい」に傍点]にされるだろう、へっ、よくできてやがる」
「だがあの兵曹は素晴しい人だぜ、あんな情深《なさけぶか》い兵曹は艦隊中さがしたって二人とは無《ね》えよ、なあ秋山《あきやま》」
「そうだ、己《おれ》なんざあ吉川兵曹の顔を見る度に、こいつ一番どえらい手柄《てがら》をたてて、兵曹を悦《よろこ》ばしてみてえと思うからな」
 山田もつりこまれて、
「それやあその通りよ、己だって兵曹のためなら、いますぐにだって海ん中へとび込んでみせらあな。あ! いけねえ、甲板士官だ」
 三人は急いで砲架についた。

[#3字下げ]二、意外な失策[#「二、意外な失策」は中見出し]

 時は大正三年九月末。――日独宣戦を断行したのが八月、すでに九月に入ると陸上はもちろん、制海の権はまったく我《わが》艦隊の手に帰していた。しかし、まだ膠州湾《こうしゅうわん》内には独逸《ドイツ》海軍の精鋭として名ある、戦闘艦、巡洋艦が多数|蟠居《ばんきょ》しているので、わが艦隊はこれら独逸《ドイツ》軍艦の、膠州湾脱出を厳重に監視していなければならなかった。
 ところで、敵艦脱出を監視するにあたって、厄介千万なのは浮游《ふゆう》水雷である。敵は夜闇《やあん》に乗じて小汽艇で外へでては、日本艦隊の通る水道へ浮游水雷を撒《ま》いて歩くのだ。そこで日本艦隊では駆逐艦に命じて掃海をさせるが、あとからあとから仕かける浮游水雷のために、ついに軍艦二|隻《せき》が大きな損害を被《こうむ》るにいたった。
「掃海作業を厳重にせよ!」という命令が掃海隊に飛んだ。数隻の駆逐艦は水道をたえず上下して、懸命に掃海作業に任じていた。「夕凪」ももちろんその一隻である。
 寒い晩だった。第三砲についていた、山田、秋山、清水の三人は、例によって気楽な口喧嘩をやっていた。三人とも位地こそ三等水兵だが、「夕凪」の乗組員中、揃《そろ》いも揃った射撃の名手、後舷《こうげん》甲板砲の中でも、第三砲は命中率では遥《はるか》に群をぬいていた。吉川兵曹が、表面では三人を叱りとばしながら、かげへ廻ると、
「あの三人は素晴しいぜ、今にきっとどえらい事をやらかすから見ていたまえ」
 と自慢するのも無理のないことであった。
「おい山田」秋山三等水兵がいう。
「貴様、五円と[#「と」に傍点]――拾円と[#「と」に傍点]――で幾らになるかわかるか」
「べら棒め、拾五円にきまってらあ」
「はっはっは、だから貴様いつまでも三等水兵なんぞにまごまごしているんだぞ、しっかりしろよ、五円とう[#「とう」に傍点](十)拾円とう[#「とう」に傍点](十)じゃ百五拾円にきまってらあな」
「はっはっは」清水もそばで笑う。
「殴るぞ!」と山田が拳《こぶし》を振上げた時、
「あっ、なんだ?」と秋山が制して、耳を傾けた。
「どうした」
「いま、なんだか空《くう》をひゅう[#「ひゅう」に傍点]って飛んだぜ、大砲|弾丸《だま》のようだった」
「止《よ》せやい、夢でも見やあしめえ!」という刹那《せつな》!
「全備砲《ぜんびほう》発射用意、敵艦八百|米《メートル》!」と伝令が飛んだ。とたんに探照燈《たんしょうとう》がさっと迸《ほとばし》って、彼方《かなた》の海上に一隻の独逸《ドイツ》軽巡洋艦をうつし出した。
「野郎!」と呻《うな》って砲架につく三人。照準点に合せるとハンドルをとった山田が、
「あっ!」と叫んだ、ハンドルが凍りついているのだ、口喧嘩にかまけて、うっかりしている間に、黄海上の寒風が、いつか固く凍結させてしまったのだ。
「早く、湯を持ってこい」必死に叫ぶ山田、清水が脱兎《だっと》のように走り去る、ほとんど同時だ。
「各砲、発射!」という命令、甲板砲は一時に、
 だだだあーん※[#感嘆符二つ、1-8-75] 海面をゆるがして一斉射撃だ。清水が夢中で湯沸しを持って駈《かけ》もどってきた。
「ありがとう、早く!」
 ぐらぐら※[#「睹のつくり/火」、第3水準1-87-52]《に》たった湯をぶちかけるところへ、甲板士官が息せききって駈けつけてきた。
「どうした三番砲!」
「――」無言で山田がハンドルに捉《つか》まって、懸命に操縦しようとしている、湯沸しの湯は無くなった、が未《ま》だハンドルは動かない。
「待ってろ、もう一ぱい持ってくる」清水が狂気のように走り去る、甲板士官は癇癪筋《かんしゃくすじ》をたてながら、
「お前ら、何をしているかあ!」とわめいた。

[#3字下げ][#中見出し]三、やろうぜ、兄弟※[#感嘆符二つ、1-8-75][#中見出し終わり]

「照準把《しょうじゅんは》が凍ったのであります」
「ばかっ!」士官の声をかき消すように、だだだだあ――ん※[#感嘆符二つ、1-8-75] だだだあーん※[#感嘆符二つ、1-8-75] と砲撃はつづいた。そして三番砲が砲撃を開始した時、独逸《ドイツ》軽巡洋艦は、すでに火災を起して惨たん[#「たん」に傍点]たる有様で沈没に瀕《ひん》していた。
 砲撃はおわった。
 我艦隊監視の眼をのがれて、膠州湾を脱出した独逸《ドイツ》巡洋艦は、かくてあえなくも寒夜《かんや》の黄海に沈没してしまったのである。
 砲の手入をしていると、蒼白《あおじろ》い顔をした吉川兵曹がきて、
「山田、清水、秋山、己《おれ》についてこい、副長がおよびだ」
「は!」三人は顔見合せて、思わずうなだれた。
 副長室には、さっきの甲板士官もきていたが、吉川兵曹達の入ってくるのを見るとすぐに出て行った。
 三人が整列するのを見ると、副長はしばらく黙っていたが、やがて、
「休め」といって顔をあげた。そして静かな声で、
「お前らは――」いいかけると、吉川兵曹が決然と進み出て、
「副長。その前に吉川兵曹が一言申上げます、三番砲は非常に風当りが強いのであります、そして飛沫《しぶき》をうけることも、艦中で一番ひどいのであります、照準把が凍って動かなくなったについては、この三名の怠慢ではなく、もし罪ありとすれば、砲長吉川兵曹にあると思います、どうか御寛大な処置が願いたいとぞんじます!」
「――」副長は、じっと兵曹の顔を見上げていた。が――やがてにっこり頬笑んだ。
「よし、罪は黄海の寒風と飛沫《ひまつ》にある。帰ってよし!」
 三人ははっとして挙手の礼だ。副長はやさしい声でつけ加えた。
「山田、秋山、清水!」「は!」
「確《しっか》りやるんだぞ!」「は!」
 吉川兵曹の頬を涙が流れていた。
 副長室を出ると、吉川兵曹は泣声《なきごえ》を知られまいとするように、わざと乱暴な声で呶鳴《どな》った。
「お前たち、副長の恩を忘れちゃあいかんぞ。今夜のことは兵曹は何もいわん、男ならめざましい働きをして、今夜の失敗の償いをしろ、わかったか」
「――」三人とも返辞ができなかった。涙がこみあげてきて、舌が動かなかったのだ。
「わかったら行け、風邪をひかんようにしろ」
 そういって兵曹は去っていった。
 三人は受持の砲へかえってきた。みんな石のように黙って、せっせと手入れをはじめた。三人とも時々腕で眼をこすった。
「やけに風が、眼にしみ[#「しみ」に傍点]やがる」
 山田は泣いているのを知られまいとするように呟《つぶや》いた。
 しばらくすると秋山が、
「おい、吉川兵曹は、泣いていたぜ」
「知らなくってよ!」山田が泣声で、「己《おれ》ゃ、兵曹にすまなくって、すまなくって。泣きだしそうになったからな、うんと我慢していたら、臍《へそ》が痒《かゆ》くなりやがって――」
「ふふふふふ」清水が泣き笑いにふきだした。
「やろうぜ、兄弟!」秋山が元気のある声でいった。
「御国《みくに》のために、副長のために、それから我らの吉川兵曹のために、なあ!」

[#3字下げ]四、命を投げ出す[#「四、命を投げ出す」は中見出し]

 それから十日ばかりすぎた。
「夕凪」は例のとおり掃海作業に従事していたが、やがて根拠地へ引揚げようとして、水道を上《のぼ》ってきた。すると、
「左舷を距《さ》る千|米《メートル》のあたりに、多数の浮游水雷を認む!」
 という見張兵の報告がきた。
「それ※[#感嘆符二つ、1-8-75]」と艦長はじめ、望遠鏡を取って見る。なるほど――明けかかる暗い海面に、およそ十七八箇の水雷が、ぷかりぷかりと浮いている。しかし残念ながら、モルトケ砲台が近い。
「素晴しい獲物《えもの》だが、惜しいかなだめだ、艦《ふね》をやれば砲台の一斉射撃をくらう、たいていあそこまでは近づけない!」
「じゃあボートを下《おろ》したら?」
 と副長が提議した。艦長は躊《ためら》って、
「とにかく、砲台が近すぎる、水雷の浮游点まで行かぬうちにやら[#「やら」に傍点]れるのは分りきった事だからな――」
「しかし、あれだけの水雷を、みすみす見のがしはできますまい」あれかこれかと思案している。
 そばに聞いていた山田三等兵、何を思ったかそっと秋山、清水の二人を蔭《かげ》へ引張っていった。
「何だなんだ!」と秋山。
「服を脱げよ!」と山田がいいながら、自分では早くも、くるくると裸になる。
「此奴《こいつ》、気でもちがったのか、裸になってどうするんだ」
「貴様らあ智恵《ちえ》が無《ね》えなあ」山田がうそぶいた。
「砲台が近くって本艦も行けねえ、ボートも危険だってんだ。だからよう――我々三人が泳いで行って、あの浮游水雷を集めて、一どにぼやあ[#「ぼやあ」に傍点]ーんとやっつけるんだ」
「あっ!」
「旨《うま》い! さすがは山田だ!」秋山も、清水も呻った。
「綱がいるぞ、それから雷管に、防水マッチ、それから――」
「おっと承知だ!」
「仕度はいいぞ」三人ともみるまにすっ裸。用意の品を体へ縛りつけ、舷側《げんそく》へ出ていった。
「じゃあ、行こうか」というと、身を躍らせてざぶーり、黄海の波へ跳《おど》り込んだ。
 水音に驚いた艦長はじめ副長達。
「何だなんだ!」と見る。
「あっ、水兵が三人、海へとび込みました」
「誰だ?」
「は、どうやら三番砲の秋山と清水と山田のようであります」聞くより吉川兵曹が、
「なに三番砲!」と身を乗出してきた。そして、狂おしい眸《ひとみ》で、じっと三人の泳ぐ姿を見守った。
「何をやらかそうというんだ」
 艦長が審《いぶか》しそうにきく。誰にもわからない、と――しばらくすると吉川兵曹が、にっこり笑って頷きながら、
「やったな!」と呟いたが、すぐに大声で答えた。
「は、彼ら三名は、浮游水雷を爆破に行ったのだと思います!」
「ほほう」副長もにっこり頷いた。
「痛快なことをやりおったな!」
「しっかり、やれ――!」
 それと知った水兵達は、一せいに声をあげて叫んだ。
 三人はやがて浮游水雷にたどり着いた。
「さあ、その綱をかせ」と山田が綱をとる。
「これで、此奴《こいつ》らをひと纏《まと》めにするんだ、おい秋山、貴様|顫《ふる》えてるのか」
「顫えるったってべら棒め、恐ろしくて顫えるんじゃねえぞ、水が冷めてえんだ」
「全くよ、黄海の水ってえ奴ぁ、やけに冷えてやがるぜ、そら! そこにも一つ浮いてるぞ」
「ようし、これで全部だ!」
 三人は十七箇の水雷を綱でひと纏めにした。なんたる胆力、何たる勇気、寒風すさぶ黄海、敵砲台を眼前にして、すっ裸の三勇士が、悠々閑《ゆうゆうかん》たる作業である。雷管も仕かけ終った。
「ようし、さあ帰ろうぜ、これでぼやあーんといくんだ」山田がいった。三人は抜手《ぬきで》を切って母艦の方へ急ぐ、凡《およ》そ百|米《メートル》も来たかと思われるころ。どどどどどっ※[#感嘆符二つ、1-8-75]
 という大爆発の響《ひびき》だ。見かえると水煙|天《てん》に冲《ちゅう》して、凄《すご》いとも壮観とも譬《たと》えようがない。
「ざまあ見やがれ」と山田がいった。
「なあ兄弟、これで吉川兵曹へのお詫《わ》びもできたというもんだぜ」
「さ、急ごうか」
 三勇士は悠々として泳ぎつづけた。
 秋山、清水、山田の三人は、直ちに等級を昇進され、膠州湾外三勇士の名は、世界の耳目を驚倒させた。黄海の波とこしえに、三人の英名のつくるときはあるまい。


底本:「周五郎少年文庫 南方十字星 海洋小説集」新潮文庫、新潮社
   2019(平成31)年2月1日発行
底本の親本:「少年少女譚海」
   1933(昭和8)年5月号
初出:「少年少女譚海」
   1933(昭和8)年5月号
入力:特定非営利活動法人はるかぜ

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山本周五郎
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