atwiki-logo
  • 新規作成
    • 新規ページ作成
    • 新規ページ作成(その他)
      • このページをコピーして新規ページ作成
      • このウィキ内の別ページをコピーして新規ページ作成
      • このページの子ページを作成
    • 新規ウィキ作成
  • 編集
    • ページ編集
    • ページ編集(簡易版)
    • ページ名変更
    • メニュー非表示でページ編集
    • ページの閲覧/編集権限変更
    • ページの編集モード変更
    • このページにファイルをアップロード
    • メニューを編集
    • 右メニューを編集
  • バージョン管理
    • 最新版変更点(差分)
    • 編集履歴(バックアップ)
    • アップロードファイル履歴
    • ページ操作履歴
  • ページ一覧
    • ページ一覧
    • このウィキのタグ一覧
    • このウィキのタグ(更新順)
    • このページの全コメント一覧
    • このウィキの全コメント一覧
    • おまかせページ移動
  • RSS
    • このウィキの更新情報RSS
    • このウィキ新着ページRSS
  • ヘルプ
    • ご利用ガイド
    • Wiki初心者向けガイド(基本操作)
    • このウィキの管理者に連絡
    • 運営会社に連絡(不具合、障害など)
ページ検索 メニュー
harukaze_lab @ ウィキ
  • ウィキ募集バナー
  • 目安箱バナー
  • 操作ガイド
  • 新規作成
  • 編集する
  • 全ページ一覧
  • 登録/ログイン
ページ一覧
harukaze_lab @ ウィキ
  • ウィキ募集バナー
  • 目安箱バナー
  • 操作ガイド
  • 新規作成
  • 編集する
  • 全ページ一覧
  • 登録/ログイン
ページ一覧
harukaze_lab @ ウィキ
ページ検索 メニュー
  • 新規作成
  • 編集する
  • 登録/ログイン
  • 管理メニュー
管理メニュー
  • 新規作成
    • 新規ページ作成
    • 新規ページ作成(その他)
      • このページをコピーして新規ページ作成
      • このウィキ内の別ページをコピーして新規ページ作成
      • このページの子ページを作成
    • 新規ウィキ作成
  • 編集
    • ページ編集
    • ページ編集(簡易版)
    • ページ名変更
    • メニュー非表示でページ編集
    • ページの閲覧/編集権限変更
    • ページの編集モード変更
    • このページにファイルをアップロード
    • メニューを編集
    • 右メニューを編集
  • バージョン管理
    • 最新版変更点(差分)
    • 編集履歴(バックアップ)
    • アップロードファイル履歴
    • ページ操作履歴
  • ページ一覧
    • このウィキの全ページ一覧
    • このウィキのタグ一覧
    • このウィキのタグ一覧(更新順)
    • このページの全コメント一覧
    • このウィキの全コメント一覧
    • おまかせページ移動
  • RSS
    • このwikiの更新情報RSS
    • このwikiの新着ページRSS
  • ヘルプ
    • ご利用ガイド
    • Wiki初心者向けガイド(基本操作)
    • このウィキの管理者に連絡
    • 運営会社に連絡する(不具合、障害など)
  • atwiki
  • harukaze_lab @ ウィキ
  • 物堅い事

harukaze_lab @ ウィキ

物堅い事

最終更新:2020年01月10日 14:43

Bot(ページ名リンク)

- view
管理者のみ編集可
物堅い事
徳田秋声


【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)或《あ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|年《ねん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#「じり」に傍点]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)積《つも》り/\

濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」



 或《あ》る午前《ごぜん》――といつてもお昼《ひる》に近《ちか》い時刻《じこく》に、私《わたし》は寝衣姿《ねまきすがた》で、門《もん》のうちにある穴《あな》へ、何《なに》か運《はこ》びこんでゐた。それは植木屋《うゑきや》が伐《き》りおろした木《き》の枝《えだ》や竹屑《たけくづ》のやうなもので、さう云《い》ふものも私《わたし》は土《つち》を作《つく》る原料《げんれう》として、穴《あな》へ埋《うづ》めるのであつた。町中《まちなか》の土《つち》はどこも彼処《かしこ》も滋味《じみ》や脂肪気《あぶらつけ》がなくなつてゐた。どんな質《しつ》の好《よ》い土《つち》でも、最初《さいしよ》の処女性《しよぢよせい》は言《い》ふまでもなく、中年性《ちうねんせい》をさへ疾《とつ》くに失《うしな》つて、瓦《かはら》の砕片《かけら》や、石炭殻《せきたんがら》や、乃至《ないし》はブリキ屑《くづ》、硝子片《がらすきれ》、瀬戸《せと》もの壊《こは》れ、さう云《い》ふものがいつとなし土《つち》のなかに積《つも》り/\してゐるうへに、土其物《つちそのもの》の質《しつ》が、年々《ねん/\》荒《あ》れ衰《おとろ》へて来《く》るのであつた。人間《にんげん》の都会的生活《とくわいてきせいくわつ》が年《ねん》一|年《ねん》土《つち》を悪《わる》くするのであつた。そして樹木《じゆもく》の葉《は》や枝《えだ》は煤煙《ばいえん》に窒息《ちつそく》し、根《ね》は養分《やうぶん》の乏《とぼ》しい土《つち》のなかに枯《から》されるのであつた。私《わたし》は木《き》や竹《たけ》の枝葉《えだは》を埃函《ごみばこ》に棄《す》てるのを惜《お》しんだ。土《つち》をセメントで裹《くる》んでしまつたり、庭園《ていゑん》を住宅地《ぢゆうたくち》に開放《かいはう》したりすることが、何《なに》か大《たい》した文化的《ぶんくわてき》な仕事《しごと》のやうに考《かんが》へられてゐることを、私《わたし》は腹立《はらだた》しくさへ思《おも》ふのであつた。人間《にんげん》も樹木《じゆもく》と共《とも》に、窒息《ちつそく》しさうだと思《おも》はれてならないのであつた。
 私《わたし》が鉈《なた》を使《つか》つて、それらの枯枝《かれえだ》や竹《たけ》を穴《あな》へ切込《きりこ》んでゐると、ふいに鈴《すゞ》が鳴《な》つて門《もん》の戸《と》があいたので、私《わたし》は誰《だれ》かと思《おも》つて目《め》をその方《はう》へやつた。私《わたし》は人《ひと》に逢《あ》ひたくなかつた。
 すると入《はい》つて来《き》たのは、二十三四くらゐの一人《ひとり》の女《をんな》であつたが、それも時《とき》に私《わたし》の書斎《しよさい》に現《あら》はれる洋装婦人《やうさうふじん》や、束髪《そくはつ》の若《わか》い人達《ひとたち》ではなくて、銀杏返《いてふがへ》しに結《ゆ》つた下町風《したまちふう》の人《ひと》であつた。それは私《わたし》に用事《ようじ》のありさうな風俗《ふうぞく》の人《ひと》ではなかつたが、それにしても何《なん》の用向《ようむ》きで来《き》たのか、ちよつと想像《さうぞう》のつかない種類《しゆるゐ》の女《をんな》であつた。
 私《わたし》はその瞬間《しゆんかん》はつと思《おも》つた。別《べつ》に理由《りいう》はなかつたが、どこかに風《ふう》の悪《わる》い借金《しやくきん》でもありはしなかつたかと、ふとそんな気《き》が差《さ》したからであつた。まるきり記憶《きおく》にないやうなことが、何《ど》うかするとまるで不用意《ふようい》でゐるところへひよつこり現《あら》はれたりしないとも限《かぎ》らないやうな気《き》がした。正《たゞ》しい人間《にんげん》には、或《あるひ》は絶対《ぜつたい》にそんな事《こと》は有《あ》りえないのかも知《し》れない。しかし私《わたし》は何《ど》んな一|日《にち》でも、まるきり外界《ぐわいかい》に対《たい》する不安《ふあん》なしに、ほんとうに安心《あんしん》して生《い》きてゐられたとは思《おも》へなかつた、自分《じぶん》の行為《かうゐ》とまるで没交渉《ぼうかうせふ》な災害《さいがい》が、屡《しばし》ば私達《わたしたち》の心《こゝろ》を脅《おびや》かすのであつた。
 それほど大業《おほげふ》ではなかつたが、兎《と》に角《かく》私《わたし》ははつとした。すると其《そ》の女《をんな》は遠慮《ゑんりよ》がちに、臆病《おくびやう》らしく入《はい》つて来《き》て私《わたし》に言葉《ことば》をかけた。
『こちらは××さんのお宅《たく》でございますね。』
『は。どちらから来《き》たんです。』
『私《わたし》は××座《ざ》から参《まい》つたんですが……。』
『××座《ざ》?』
 私《わたし》はまた軽《かる》く胸《むね》を轟《とゞろ》かせた。私《わたし》は妻《つま》と同行《どうかう》で、昨日《さくじつ》其《そ》の××座《ざ》の芝居《しばゐ》を見物《けんぶつ》したのであつた。しかもそれはドラマリーグの仲間《なかま》としてゞあつた。
『して見ると私《わたし》は食事《しよくじ》をしてから、代金《だいきん》を払《はら》ふことを忘《わす》れて来《き》たか知ら。』私《わたし》はさう思《おも》つて、一|応《おう》その場合《ばあひ》のことを思《おも》ひかへして見《み》たが、私自身《わたしじしん》が払《はら》つたことは確《たし》かであつた。
 私《わたし》はその時《とき》どこで食事《しよくじ》をしようと、ちよつと迷《まよ》つてゐた。××座《ざ》は時々《とき/″\》見物《けんぶつ》して、その度毎《たびごと》に食事《しよくじ》もしてゐるけれど、いつも失敗《しつぱい》してゐた。不味《まづ》い支那料理《しなれうり》にぶつかつたり、貧弱《ひんじやく》な鰻弁当《うなぎべんたう》で遣《や》りぞくなつたりしてゐた。一|体《たい》どこの劇場《げきぢやう》に限《かぎ》らず、震災後《しんさいご》の劇場《げきぢやう》の食堂《しよくだう》はひどくお粗末《そまつ》になつてゐて、しかも値段《ねだん》が高《たか》いのであつた。食堂《しよくだう》へ入《はい》ればきつと腹《はら》の立《た》つのが例《れい》であつた。それに僅《わづ》かの時間《じかん》で晩飯《ばんめし》を取《と》るわけなので、何《なに》か注文《ちゆうもん》してゐれば、すぐじり[#「じり」に傍点]/\とベルが鳴《な》るのであつた。為方《しかた》なし準備《じゆんび》のあるもので間《ま》に合《あは》せるより外《ほか》なかつた。勿論《もちろん》おきまり以外《いぐわい》のものも、皆《みん》な暴利《ばうり》で不味《まづ》いのであつた。我々《われ/\》の劇場《げきぢやう》は、飲食《のみく》ひをしなければならないやうに出来《でき》てゐる。飲食《のみく》ひをするなら、いつそ場席《ばせき》に坐《すわ》りこんで自由《じいう》に飲食《いんしよく》を享楽《きやうらく》する方《はう》が、どんな呑気《のんき》で便利《べんり》だか知《し》れないのである。そして又《ま》た我々《われ/\》の芝居《しばゐ》はさういふ風《ふう》に出来《でき》てゐるのである。舞台装置《ぶたいさうち》や、俳優《はいいう》の科白《せりふ》や、脚本《きやくほん》の筋《すぢ》や、総《すべ》てが、西洋風《せいやうふう》に圧搾《あつさく》されてもゐなければ、率直明瞭《そつちよくめいれう》でもない。それは随分《ずゐぶん》呑気《のんき》に、悠長《いうちやう》に出来《でき》あがつてゐるのである。あすこは単《たん》に劇《げき》を鑑賞《かんしやう》する場所《ばしよ》ではない。
 私《わたし》はその時《とき》もまごついたが、或《あ》る一《ひと》つの日本風《にほんふう》の食堂《しよくだう》では、色々《いろ/\》な献立《こんだて》が書《か》き出《だ》されてあつたので、私《わたし》は好《よ》ささうな其《そ》の一《ひと》つを選《えら》んで、それが出来《でき》るか否《いな》かを確《たしか》めて上《あが》りこんだが、矢張《やはり》出来《でき》ないことが事実《じじつ》のうへに明《あきら》かになつて来《き》た。しかも私《わたし》は何時《いつ》までも待《ま》たされた。
 時間《じかん》が切迫《せつぱく》して来《き》た。私《わたし》は女給仕《をんなきふじ》にきいて見《み》た。
『普通《ふつう》のお弁当《べんたう》ですと、すぐ出来《でき》ます。お椀《わん》もついてをりますが……。』
 女給仕《をんなきふじ》がいふので、私《わたし》は仕方《しかた》なしそれにした。しかし来《き》て見《み》ると、やつぱり不味《まづ》かつた。食《く》はなければよかつたと思《おも》ふくらゐ粗末《そまつ》であつた。
『やつぱり駄目《だめ》だね。』食《く》ひしん坊《ばう》の私《わたし》は失望《しつぼう》して呟《つぶや》いた。
『ずゐぶんお高《たか》いぢやありませんか。』妻《つま》も笑《わら》つた。
 私《わたし》は胃《ゐ》がわるかつたので、そこ/\に食《た》べちらして箸《はし》をおくと、ポケツトから原稿紙《げんかうし》に一|回分《くわいぶん》だけくるんで来《き》た常用《じやうよう》の胃腸薬《ゐちやうやく》を取出《とりだ》して呑《の》んだ。この夜《よ》はもう是《これ》で何《な》んにも食《く》へないのかと思《おも》ふと、頭《あたま》が憂鬱《いううつ》になつた。勿論《もちろん》私《わたし》は美食家《びしよくか》ではない。ただ食《く》ひしん坊《ぼう》なのであつた。その食《く》ひしん坊《ばう》の食慾《しよくよく》を裏切《うらぎ》るやうな弁当《べんたう》を食《く》はなければならないのが、この頃《ごろ》の観劇《くわんげき》の怠屈《たいくつ》に伴《ともな》ふ一《ひと》つの苦痛《くつう》であつた。
 私《わたし》はその時《とき》、三|円《ゑん》いくらかの金《かね》を、自分《じぶん》の財布《さいふ》から出《だ》したことを、確《たしか》に記憶《きおく》してゐた。
『何《なん》の用事《ようじ》ですか。』
『あの、昨晩《さくばん》私共《わたしども》のところでお食事《しよくじ》なさいましたですね。』
『貴女《あなた》のとこだつたかな。』
『その節《せつ》三|円《ゑん》いただいたとばかり思《おも》つてをりましたら、少《すこ》し余計《よけい》ございまして、後《あと》で気《き》がつきましたけれど……。』
 私《わたし》は何《なん》だか面倒《めんだう》になつて来《き》た。目《め》の悪《わる》いせゐもあるが、ぼんやりなので、失敗《しつぱい》は有《あ》りがちだつた。といふと慾《よく》がないやうだが、慾心《よくしん》は人並《ひとなみ》にもつてゐるのであつた。たゞ事務的《じむてき》なことに疎《うと》いので、後《あと》で妻《つま》が財布《さいふ》をしらべて、計算《けいさん》の合《あ》はないことも、偶《たま》には発見《はつけん》されるのであつた。いつか田舎《ゐなか》の兄夫婦《あにふうふ》を観劇《くわんげき》にさそつて、場代《ばだい》を払《はら》ふとき、札《さつ》を帽子《ばうし》の内輪《うちわ》の縁革《ふちかは》のなかへ入《い》れておいたことを忘《わす》れて、大騒《おほさわ》ぎをしたこともあつた。しかし私《わたし》は人《ひと》一|倍《ばい》金《かね》を粗末《そまつ》には思《おも》つてゐないのであつた。
『さうですかね。ぢや何《ど》うぞそつちへ行《い》つて……。』私《わたし》はさう言《い》つて、風呂《ふろ》の傍《そば》にゐた女中《ぢよちう》に妻《つま》を呼《よ》んでもらつた。
 妻《つま》が玄関《げんくわん》へ出《で》て来《き》たところで、女給仕《をんなきふじ》がそこへ入《はい》つて行《い》つた。私《わたし》は庭《には》へまはつて、茶《ちや》の室《ま》へあがつてしまつた。
「……三|枚《まい》いただきましたお札《さつ》の中《うち》に、五|円札《ゑんさつ》が一|枚《まい》ございましたので、その時《とき》はごた/\してをりまして、後《あと》で気《き》がついたものですから、方々《はう/″\》お捜《さが》し致《いた》しましたけれど、判《わか》りませんでしたの。すると座布団《ざぶとん》の傍《そば》に紙片《かみきれ》がおちてをりまして、それにお名前《なまへ》があつたものですから、N――先生《せんせい》に伺《うかゞ》ひましたところ、漸《やうや》くお処《ところ》が知《し》れましたので……。』
『まあ、さうでしたか。それはどうもわざ/\有難《ありがた》うございました。』
 そんな対話《たいわ》と笑声《わらひごゑ》が聞《きこ》えたが、妻《つま》はやがて茶《ちや》の間《ま》へ入《はい》つて来《き》た。
『あなたは随分《ずゐぶん》そそつかしいのね。』
『しかし驚《おどろ》いたね。金《かね》をわざ/\届《とゞ》けに来《く》るなんて、近頃《ちかごろ》めづらしい事《こと》ぢやないか。少《すこ》し遣《や》つてくれ。』
『さうですとも。』
『五十|銭《せん》ばかり。』
『まさか……勘定《かんぢやう》は勘定《かんぢやう》、遣《や》るものは遣《や》るものでせう。』彼女《かのぢよ》はいつもの流儀《りうぎ》で言《い》つた。そして札《さつ》を紙《かみ》にくるんで出《で》て女《をんな》に与《あた》へた。
『飛《と》んだお手数《てすう》でしたね。これは電車賃《でんしやちん》ですのよ。』
 女《をんな》は物堅《ものがた》く幾度《いくど》も辞退《じたい》してゐた。
『だから真《ほん》の電車賃《でんしやちん》なのよ。』
『どうも恐入《おそれい》ります。』と言《い》つて、女《をんな》は帰《かへ》つて行《い》つた。
『ちつと少《すく》なうございましたね。』
『さうさね。』
『余計《よけい》なことをする必要《ひつよう》もないんですよ、それにしても能《よ》く原稿紙《げんかうし》に気《き》がついたもんぢやありませんか。』
『出《で》がけに急《いそ》いで引裂《ひきさ》いた紙《かみ》が名前《なまへ》を印刷《いんさつ》した部分《ぶぶん》だつたんだね。ちつとも知《し》らなかつた。××座《ざ》は昔風《むかしふう》に物堅《ものがた》くできてゐるんだね。』
『あの女《をんな》も下町《したまち》の芝居《しばゐ》ものらしい風《ふう》ぢやありませんか。』
『しかしあの食堂《しよくだう》へはちよつと入《はい》りにくいね。僕《ぼく》はあの時《とき》ちよつと弁当《べんたう》の悪口《あくこう》をついたから。』
『私《わたし》なんか一|円札《ゑんさつ》を二|枚《まい》にも剥《は》がして使《つか》ひたいくらゐなのに、お父《とう》さんは綺麗《きれい》なんだね。』妻《つま》は傍《そば》に笑《わら》つてゐる子供《こども》に言《い》つて、又《ま》た大笑《おほわら》ひした。
『綺麗《きれい》なんぢやない。頭《あたま》が悪《わる》いんだ。数理的《すうりてき》の頭《あたま》がないんだ。金《かね》なんかは兎《と》に角《かく》、そのために己《おれ》は一|生《しやう》では大変《たいへん》な損《そん》をしてゐる。』私《わたし》は思《おも》つた。[#地付き](大正15[#「15」は縦中横]年2月「キング」)



底本:「徳田秋聲全集第15巻」八木書店
   1999(平成11)年3月18日初版発行
底本の親本:「キング」
   1926(大正15)年2月
初出:「キング」
   1926(大正15)年2月
入力:特定非営利活動法人はるかぜ

タグ:

徳田秋声
「物堅い事」をウィキ内検索
LINE
シェア
Tweet
harukaze_lab @ ウィキ
記事メニュー

メニュー

  • トップページ
  • プラグイン紹介
  • メニュー
  • 右メニュー
  • 徳田秋声
  • 山本周五郎



リンク

  • @wiki
  • @wikiご利用ガイド




ここを編集
記事メニュー2

更新履歴

取得中です。


ここを編集
人気記事ランキング
  1. 猫眼石殺人事件
  2. 寛永大振袖
  3. 茅寺由来
  4. 上野介正信
  5. 紅扱帯一番首
  6. 新女峡祝言
もっと見る
最近更新されたページ
  • 2010日前

    白魚橋の仇討(工事中)
  • 2010日前

    新三郎母子(工事中)
  • 2010日前

    湖畔の人々(工事中)
  • 2010日前

    鏡(工事中)
  • 2010日前

    間諜Q一号(工事中)
  • 2010日前

    臆病一番首(工事中)
  • 2010日前

    決死仏艦乗込み(工事中)
  • 2010日前

    鹿島灘乗切り(工事中)
  • 2010日前

    怪少年鵯十郎(工事中)
  • 2010日前

    輝く武士道(工事中)
もっと見る
「徳田秋声」関連ページ
  • No Image 共鳴
  • No Image 妥協
  • No Image 屋に迷ふ
  • No Image 贅沢
  • No Image 破談(55310)
  • No Image 曇つた頭
  • No Image 彼の失策
  • No Image 微笑の渦
  • No Image 雨みち
  • No Image 電柱
人気記事ランキング
  1. 猫眼石殺人事件
  2. 寛永大振袖
  3. 茅寺由来
  4. 上野介正信
  5. 紅扱帯一番首
  6. 新女峡祝言
もっと見る
最近更新されたページ
  • 2010日前

    白魚橋の仇討(工事中)
  • 2010日前

    新三郎母子(工事中)
  • 2010日前

    湖畔の人々(工事中)
  • 2010日前

    鏡(工事中)
  • 2010日前

    間諜Q一号(工事中)
  • 2010日前

    臆病一番首(工事中)
  • 2010日前

    決死仏艦乗込み(工事中)
  • 2010日前

    鹿島灘乗切り(工事中)
  • 2010日前

    怪少年鵯十郎(工事中)
  • 2010日前

    輝く武士道(工事中)
もっと見る
ウィキ募集バナー
新規Wikiランキング

最近作成されたWikiのアクセスランキングです。見るだけでなく加筆してみよう!

  1. 鹿乃つの氏 周辺注意喚起@ウィキ
  2. 機動戦士ガンダム EXTREME VS.2 INFINITEBOOST wiki
  3. MadTown GTA (Beta) まとめウィキ
  4. R.E.P.O. 日本語解説Wiki
  5. シュガードール情報まとめウィキ
  6. ソードランページ @ 非公式wiki
  7. AviUtl2のWiki
  8. Dark War Survival攻略
  9. シミュグラ2Wiki(Simulation Of Grand2)GTARP
  10. 星飼いの詩@ ウィキ
もっと見る
人気Wikiランキング

atwikiでよく見られているWikiのランキングです。新しい情報を発見してみよう!

  1. アニヲタWiki(仮)
  2. ストグラ まとめ @ウィキ
  3. ゲームカタログ@Wiki ~名作からクソゲーまで~
  4. 初音ミク Wiki
  5. 発車メロディーwiki
  6. 検索してはいけない言葉 @ ウィキ
  7. Grand Theft Auto V(グランドセフトオート5)GTA5 & GTAオンライン 情報・攻略wiki
  8. 機動戦士ガンダム バトルオペレーション2攻略Wiki 3rd Season
  9. パタポン2 ドンチャカ♪@うぃき
  10. オレカバトル アプリ版 @ ウィキ
もっと見る
全体ページランキング

最近アクセスの多かったページランキングです。話題のページを見に行こう!

  1. 参加者一覧 - ストグラ まとめ @ウィキ
  2. 暦家 - ストグラ まとめ @ウィキ
  3. 魔獣トゲイラ - バトルロイヤルR+α ファンフィクション(二次創作など)総合wiki
  4. 機体一覧 - 機動戦士ガンダム EXTREME VS.2 INFINITEBOOST wiki
  5. 猗窩座(鬼滅の刃) - アニヲタWiki(仮)
  6. マイティーストライクフリーダムガンダム - 機動戦士ガンダム EXTREME VS.2 INFINITEBOOST wiki
  7. Trickster - ストグラ まとめ @ウィキ
  8. MOZU - ストグラ まとめ @ウィキ
  9. 暦 あずみ - ストグラ まとめ @ウィキ
  10. ガヴァイ アッカンマン - ストグラ まとめ @ウィキ
もっと見る

  • このWikiのTOPへ
  • 全ページ一覧
  • アットウィキTOP
  • 利用規約
  • プライバシーポリシー

2019 AtWiki, Inc.