東京新都心高速3000系
3000系
概要
アーバンメトロ新都心線はⅢ期区間以降、高規格路線として建設され、またⅠ・Ⅱ期区間の一部も高規格化工事を行い、高速化に備えていたが他社との競合もそれほどなく、また予算の関係もあり車両の高性能化は行われてこなかった。
しかし90年代に入ってからVVVFインバータ制御が普及してくると競合他社にもローコスト・ハイパフォーマンス・メンテナンスフリーな新車が続々と台頭してきた。また、JR湘南新宿ラインや東京メトロ副都心線など新路線の開業の煽りも受け、ついに高速化という切り札を使うことになった。
しかし90年代に入ってからVVVFインバータ制御が普及してくると競合他社にもローコスト・ハイパフォーマンス・メンテナンスフリーな新車が続々と台頭してきた。また、JR湘南新宿ラインや東京メトロ副都心線など新路線の開業の煽りも受け、ついに高速化という切り札を使うことになった。
ここで投入されたのが3000系である。親会社の東鷹快速鉄道の車両をベースに、足回りは最高速度160km/h以上に耐えうる設計とし、斬新なスタイルの軽量ステンレス車体を組み合わせた。
武蔵野鉄道及び東海道湾岸鉄道への直通を前提とした設計である。
武蔵野鉄道及び東海道湾岸鉄道への直通を前提とした設計である。
車体
車体は片側3扉を有する軽量ステンレス製車体であり、先頭部のみ普通鋼製で中央に貫通扉を備える近郊型としては一般的なスタイル。武蔵野車輌製造の技術により実現したFSW(摩擦攪拌接合)を用いた継ぎ目のない美しいステンレス車体が特徴。雨樋部は張り上げ屋根構造である。側窓はヒドンピラーで戸袋窓から連続したデザインが印象的。先頭部は銀色に塗装され、前面・側面にコーポレートカラーである紺色をベースに、直通対応車であることを示す水色のラインが入る帯を巻いている。
車体表面は全体をフラットなヘアライン仕上げとした上に、薄いブルーパールの入ったクリア塗装を施すことで質感の高い適度な光沢を放つ。通常、ステンレス車体に落ち着きを持たせるにはダルフィニッシュ(梨地)仕上げが用いられることが多いが、ダルフィニッシュ仕上げは汚れが落ちにくいため、美しい車体を保つためにクリア塗装が施された。
また、これらはカッティングシートの面積の広さと合わせて溶接時のステンレスの歪みを目立たなくさせるためでもある。
また、これらはカッティングシートの面積の広さと合わせて溶接時のステンレスの歪みを目立たなくさせるためでもある。
また、JR西日本225系に習った衝撃吸収構造を持ち、従来車両よりも高運転台化やスカートの強化を行って万が一の際の乗務員の安全性も向上させた(そのため、先頭車は中間車より360mm全長が長くなった)。
座席はドア間が転換クロスシート、車端部はロングシートとなっている。
座席はドア間が転換クロスシート、車端部はロングシートとなっている。
旅客案内表示
前面および側面の種別・行先表示器は明るく視認性の良い高輝度フルカラーLEDを採用した。
車内には窓上及び車端部に有機ELディスプレイを設置、停車駅・所要時間・運行情報・広告などを表示する。
車内には窓上及び車端部に有機ELディスプレイを設置、停車駅・所要時間・運行情報・広告などを表示する。
種別・行先表示(フルカラーLED)
機器構成
本系列はこれからの東京新都心高速を担う車両であり、また東鉄直通用を前提としている。そのため従来の車両よりも高性能であることは当然として、他社の新系列とも一線を画す性能ではならないとされた。そこで東京地下鉄やJR東日本、連合会加盟他社等での実績を踏まえ、東鷹快速グループとして初めて主電動機に永久磁石同期電動機を採用した。これにより従来の三相誘導電動機よりも高効率かつ省電力での運用が可能になった。
主電動機は前述の通り永久磁石同期電動機で、1時間連続定格出力は250kw。
主制御器は東芝製のIEGT素子を使用した2レベル方式1C1M4群制御(制御開放は2群単位)のVVVFインバータ制御装置を採用した。各軸個別制御となるが、2台のインバータを1台の冷却フィンに集約した2in1形インバータ装置を採用することで装置の大形化を抑えている。
主制御器は東芝製のIEGT素子を使用した2レベル方式1C1M4群制御(制御開放は2群単位)のVVVFインバータ制御装置を採用した。各軸個別制御となるが、2台のインバータを1台の冷却フィンに集約した2in1形インバータ装置を採用することで装置の大形化を抑えている。
編成組成
武蔵野鉄道および東海道湾岸鉄道への直通優等列車に使用される前提で設計されているため、編成組成も直通先の武蔵野鉄道50000系電車や東海道湾岸鉄道8500系電車?に合わせ、基本8両・付属4両の編成となる。
- 8両基本編成
Tc 3300 | M1 3000 | M2 3050 | M1 3100 | M2 3150 | M1 3200 | M2 3250 | Tc 3350 |
ATS | VVVF | SIV CP | VVVF | SIV CP | VVVF | SIV CP | ATS IR |
- 4両付属編成
Tc 3400 | M1 3500 | M2 3550 | Tc 3450 |
ATS | VVVF | SIV CP | ATS IR |
←新宿 八潮市→
主要諸元(共通)
起動加速度 | 3.4km/h/s |
営業最高速度 | 165km/h |
設計最高速度 | 180km/h |
減速度 | 4.4km/h/s(常用) 5.2km/h/s(非常) |
車両定員 | 先頭車138/中間車153 |
全長 | 20,360mm(先頭車) 20,000mm(中間車) |
全幅 | 2,910mm |
軌間 | 1,067mm |
電気方式 | 直流1,500V |
モーター出力 | 250kW |
編成出力 | 250kW×24=6000kW(8両編成) |
歯車比 | 1:5.61 |
駆動装置 | WN継手平行カルダン駆動方式 |
制御方式 | IEGT-VVVFインバータ制御 |
ブレーキ方式 | 回生併用電気指令式空気ブレーキ |
保安装置 | ATS-M,ATC-NS,武鉄ATS |
最高速度試験編成"RS"
3000系 3901F "RS"
在来線最速を目標として3000系をベースに製作された試験車両。
車体は徹底的な軽量化を図り、ドア・屋根・スカート・一部の窓・内装はドライカーボン製、窓はアクリル、前面はCFRPで貫通扉を廃止、軽量化と空力性能向上のため非冷房とするなど、究極の性能を追求した。
車体は徹底的な軽量化を図り、ドア・屋根・スカート・一部の窓・内装はドライカーボン製、窓はアクリル、前面はCFRPで貫通扉を廃止、軽量化と空力性能向上のため非冷房とするなど、究極の性能を追求した。