午後8時 サイフェルバン北東沖80マイル地点
アメリカ艦隊は、サイフェルバン沖に急遽、増援艦隊を派遣した。
サイフェルバン沖には重巡洋艦サンフランシスコ、軽巡洋艦ブルックリン、ホノルル、
駆逐艦5隻が二手に分かれて警戒に当たっていたが、スプルーアンス大将はレキシントン偵察機の
報告を受けるや、護衛部隊から戦艦3隻、重巡3隻、軽巡2隻、駆逐艦6隻を抽出し、
増援に向かわせた。
午後7時30分、警戒部隊は増援部隊と共に、再び二手に分かれて警戒に当たった。
まず沿岸から距離30マイルの海域まで警戒するA部隊、次に30マイルから60マイルの距離を
警戒するB部隊に分かれた。
A部隊は戦艦アイオワ、重巡洋艦ウィチタ、キャンベラ、軽巡洋艦オークランド、ホノルル、
駆逐艦モンセイ、ゲスト、ヤーノール、ベネット、セルフブリッジ、バグリーの計11隻。
B部隊は戦艦ワシントン、サウスダコタ、重巡洋艦サンフランシスコ、ニューオーリンズ、
軽巡洋艦ブルックリン、モントピーリア、駆逐艦バターソン、フラム、ハドソン、カニンガム、
トワイニングの計11隻。
合計22隻の艦隊がバーマント第3艦隊を待ち構えた。
アメリカ艦隊は、サイフェルバン沖に急遽、増援艦隊を派遣した。
サイフェルバン沖には重巡洋艦サンフランシスコ、軽巡洋艦ブルックリン、ホノルル、
駆逐艦5隻が二手に分かれて警戒に当たっていたが、スプルーアンス大将はレキシントン偵察機の
報告を受けるや、護衛部隊から戦艦3隻、重巡3隻、軽巡2隻、駆逐艦6隻を抽出し、
増援に向かわせた。
午後7時30分、警戒部隊は増援部隊と共に、再び二手に分かれて警戒に当たった。
まず沿岸から距離30マイルの海域まで警戒するA部隊、次に30マイルから60マイルの距離を
警戒するB部隊に分かれた。
A部隊は戦艦アイオワ、重巡洋艦ウィチタ、キャンベラ、軽巡洋艦オークランド、ホノルル、
駆逐艦モンセイ、ゲスト、ヤーノール、ベネット、セルフブリッジ、バグリーの計11隻。
B部隊は戦艦ワシントン、サウスダコタ、重巡洋艦サンフランシスコ、ニューオーリンズ、
軽巡洋艦ブルックリン、モントピーリア、駆逐艦バターソン、フラム、ハドソン、カニンガム、
トワイニングの計11隻。
合計22隻の艦隊がバーマント第3艦隊を待ち構えた。
戦艦アイオワに座乗している迎撃部隊司令官のウイリス・リー中将は司令官席に座っていた。
その表情は微かに緩んでいる。
「どうかされたのですか、司令官?」
艦長のハンス・ブラック大佐が訝しげに聞いてきた。
「艦長、わからんのかね?艦隊決戦だよ。この世界に来てこの軍艦の使いどころは大して無いだろうと
確信していたが、敵も大したものだ。戦艦を持ち出してくるとは。」
リー中将は笑みを消して真顔でそう言った。それ以前に、バーマント軍が意外に強力な海軍を持ち、
戦艦も保有していることはオブザーバーと話したときに聞いている。
だが、リーはどうせこっちの軍艦を恐れて1隻も出てこないのではないかと思っていた。
だが、敵は出てきた。それも2度も。
1度目は巡洋艦クラスの艦を基幹とした艦隊で、警戒部隊の艦隊に撃滅されたが、警戒部隊も軽巡2隻、
駆逐艦1隻を大破させられ、戦列を離れている。
そして今回は戦艦である。大艦巨砲主義者であるリー中将は、久しぶりに戦艦同士の砲撃戦が
起こりそうな気配に満足している。
ウイリス・リー中将はレーダー射撃の権威としても知られている。それに実戦経験も積んでいる。
ガダルカナル島を巡る戦いでは、戦艦ワシントンとサウスダコタを指揮し、サウスダコタが集中砲火
を浴びて叩きのめされたが、ワシントンで戦艦霧島を撃沈すると言う戦果を挙げている。
あの時の興奮は、未だに根強く残っている。そしてその興奮を再び味わえることができるのだ。
彼はそう思うと、身震いした。
その表情は微かに緩んでいる。
「どうかされたのですか、司令官?」
艦長のハンス・ブラック大佐が訝しげに聞いてきた。
「艦長、わからんのかね?艦隊決戦だよ。この世界に来てこの軍艦の使いどころは大して無いだろうと
確信していたが、敵も大したものだ。戦艦を持ち出してくるとは。」
リー中将は笑みを消して真顔でそう言った。それ以前に、バーマント軍が意外に強力な海軍を持ち、
戦艦も保有していることはオブザーバーと話したときに聞いている。
だが、リーはどうせこっちの軍艦を恐れて1隻も出てこないのではないかと思っていた。
だが、敵は出てきた。それも2度も。
1度目は巡洋艦クラスの艦を基幹とした艦隊で、警戒部隊の艦隊に撃滅されたが、警戒部隊も軽巡2隻、
駆逐艦1隻を大破させられ、戦列を離れている。
そして今回は戦艦である。大艦巨砲主義者であるリー中将は、久しぶりに戦艦同士の砲撃戦が
起こりそうな気配に満足している。
ウイリス・リー中将はレーダー射撃の権威としても知られている。それに実戦経験も積んでいる。
ガダルカナル島を巡る戦いでは、戦艦ワシントンとサウスダコタを指揮し、サウスダコタが集中砲火
を浴びて叩きのめされたが、ワシントンで戦艦霧島を撃沈すると言う戦果を挙げている。
あの時の興奮は、未だに根強く残っている。そしてその興奮を再び味わえることができるのだ。
彼はそう思うと、身震いした。
司令官、このアイオワの16インチ砲がいよいよ敵に向かって放たれる時がやってきましたな。」
「ああ。敵戦艦、正確には重武装戦列間と言うが、情報によると33・8センチ砲を持っているらしい。
それも8門だ。あのザイリン級とやらは5年前に次々と竣工してから各地の侵略戦争でそれなりの働き
をしてきているようだ。」
「と、言うことは、相手も実戦を大分積んでいることになりますね。」
「そうだ。敵戦艦が何隻いるかは分からないが、それでも我々のほうが遥かに有利だろう。
夜間では砲戦距離も2万メートルほどに下がるが、こっちは16インチ、あっちは13インチだ。
なめてかからなければ、負けはしない。」
リー中将は自信たっぷりの表情でそう言った。彼がそう思うのも無理はない。
旗艦のアイオワは1943年1月に竣工した最新鋭戦艦である。
主砲はこれまでの16インチとは異なる50口径の長砲身砲で、威力が従来の砲よりアップしている。
それに33ノットの快速を発揮できる。
それに残りの戦艦ワシントン、サウスダコタも開戦前後に竣工した新鋭戦艦であり、実戦も経験している。
こちらはスピードが28ノットとアイオワより一段劣るが、それでもバーマント軍の戦列艦よりは優れている。
このスピード差で敵艦にT字を描き、全主砲で撃ちまくれば、敵重武装戦列艦は全て撃破できる。リーはそう確信している。
「まもなく敵艦が来る頃だろう。さあ、戦いが始まるぞ。気を引き締めておけよ。」
リーは強い口調で皆に向けて言った。
「ああ。敵戦艦、正確には重武装戦列間と言うが、情報によると33・8センチ砲を持っているらしい。
それも8門だ。あのザイリン級とやらは5年前に次々と竣工してから各地の侵略戦争でそれなりの働き
をしてきているようだ。」
「と、言うことは、相手も実戦を大分積んでいることになりますね。」
「そうだ。敵戦艦が何隻いるかは分からないが、それでも我々のほうが遥かに有利だろう。
夜間では砲戦距離も2万メートルほどに下がるが、こっちは16インチ、あっちは13インチだ。
なめてかからなければ、負けはしない。」
リー中将は自信たっぷりの表情でそう言った。彼がそう思うのも無理はない。
旗艦のアイオワは1943年1月に竣工した最新鋭戦艦である。
主砲はこれまでの16インチとは異なる50口径の長砲身砲で、威力が従来の砲よりアップしている。
それに33ノットの快速を発揮できる。
それに残りの戦艦ワシントン、サウスダコタも開戦前後に竣工した新鋭戦艦であり、実戦も経験している。
こちらはスピードが28ノットとアイオワより一段劣るが、それでもバーマント軍の戦列艦よりは優れている。
このスピード差で敵艦にT字を描き、全主砲で撃ちまくれば、敵重武装戦列艦は全て撃破できる。リーはそう確信している。
「まもなく敵艦が来る頃だろう。さあ、戦いが始まるぞ。気を引き締めておけよ。」
リーは強い口調で皆に向けて言った。
午後8時、A部隊旗艦アイオワのレーダーが敵艦隊を捉えた。
「CICより報告。敵艦隊発見、針路は南、距離25マイル。艦種は不明。」
彼はそう聞くと、すぐさまB部隊に連絡を取った。
「こちらA部隊だ。敵艦隊を発見した。敵はまっすぐこっちに向かっている。こちらの位置は沿岸より30マイル地点だ。」
「こちらB部隊、我が部隊はそちらより15マイル離れている。現場到着までは約25分ほどかかります。」
「OK、できる限り急いで来てくれ。」
リーはそう言うと無線のマイクを元に戻した。その直後にCICから第2報が入った。
「敵艦隊は戦艦クラス5、巡洋艦クラス6、駆逐艦クラス12、さらに後続に巡洋艦クラス3、駆逐艦クラス8の艦隊あり。
なお、敵艦隊はこちらに向けて針路を変更。」
「CICより報告。敵艦隊発見、針路は南、距離25マイル。艦種は不明。」
彼はそう聞くと、すぐさまB部隊に連絡を取った。
「こちらA部隊だ。敵艦隊を発見した。敵はまっすぐこっちに向かっている。こちらの位置は沿岸より30マイル地点だ。」
「こちらB部隊、我が部隊はそちらより15マイル離れている。現場到着までは約25分ほどかかります。」
「OK、できる限り急いで来てくれ。」
リーはそう言うと無線のマイクを元に戻した。その直後にCICから第2報が入った。
「敵艦隊は戦艦クラス5、巡洋艦クラス6、駆逐艦クラス12、さらに後続に巡洋艦クラス3、駆逐艦クラス8の艦隊あり。
なお、敵艦隊はこちらに向けて針路を変更。」
「高速艦を分離したか。よし、これより戦闘に入る。敵戦艦を伴う艦隊をアルファ、
高速艦部隊をベータと呼ぶ。」
この時を境に、米艦隊は警戒運動をやめ、敵艦隊に向かった。
A部隊に随伴する軽巡ホノルルとリノは、ゆっくりと戦艦、重巡列から離れ始めた。
敵の高速艦の突撃に備えるためである。
距離が18マイルになった時、敵戦艦が発砲してきた。そして米艦隊の頭上にぱあっと光が沸きあがった。
「敵艦、照明弾を使用!」
「面舵一杯!」
リーはすぐさま叫んだ。艦長がこれを操舵員に伝える。
やがて、アイオワの艦首が波を切り裂きながら、次第に右舷に回頭をしはじめた。
速度は30ノット。米艦隊は敵の頭を押さえる形になりつつあった。
「敵アルファより巡洋艦、駆逐艦クラスの艦が分離、我が艦隊の後方に回ろうとしています!」
リーは舌打ちした。せめてB部隊が到着するまで待てばよかったかな?その思いが頭をよぎった。
だが、B部隊も向かっているから、不利な状況はすぐに挽回されるはず。
そう思ったリーは新たな命令を下した。
「ウィチタとキャンベラを分離させろ!敵巡洋艦、駆逐艦クラスを迎撃。戦艦クラスはわがアイオワが引き受ける!」
彼の命令が伝わると、後続のウィチタとキャンベラは、後方に回りこもうとしている敵巡洋艦、駆逐艦に向かっていった。
「敵艦回頭!」
高速艦部隊をベータと呼ぶ。」
この時を境に、米艦隊は警戒運動をやめ、敵艦隊に向かった。
A部隊に随伴する軽巡ホノルルとリノは、ゆっくりと戦艦、重巡列から離れ始めた。
敵の高速艦の突撃に備えるためである。
距離が18マイルになった時、敵戦艦が発砲してきた。そして米艦隊の頭上にぱあっと光が沸きあがった。
「敵艦、照明弾を使用!」
「面舵一杯!」
リーはすぐさま叫んだ。艦長がこれを操舵員に伝える。
やがて、アイオワの艦首が波を切り裂きながら、次第に右舷に回頭をしはじめた。
速度は30ノット。米艦隊は敵の頭を押さえる形になりつつあった。
「敵アルファより巡洋艦、駆逐艦クラスの艦が分離、我が艦隊の後方に回ろうとしています!」
リーは舌打ちした。せめてB部隊が到着するまで待てばよかったかな?その思いが頭をよぎった。
だが、B部隊も向かっているから、不利な状況はすぐに挽回されるはず。
そう思ったリーは新たな命令を下した。
「ウィチタとキャンベラを分離させろ!敵巡洋艦、駆逐艦クラスを迎撃。戦艦クラスはわがアイオワが引き受ける!」
彼の命令が伝わると、後続のウィチタとキャンベラは、後方に回りこもうとしている敵巡洋艦、駆逐艦に向かっていった。
「敵艦回頭!」
レーダーに映るバーマント艦がアイオワと並ぶように向きを変えた。
その艦影はうっすらとだが、確認できた。
照明弾に映し出されたその形は、意外にほっそりとして、スマートな形だった。艦橋はどことなく
ニューメキシコ級のような感がある。煙突は3つあり、砲塔は前部に2基、後部に2基背負い式に配置している。
「左主砲戦!距離17マイル、速力23ノット!目標、敵1番艦!」
リーは凛とした口調で次々に指示を与える。3つの巨大な16インチ砲塔が、敵艦に向けられる。
主砲が生き物のように仰角を上げられる。
(アイオワよ。お前の力を見せ付けてやれ。)
リーは心の中でそう呟いた。
「発射準備よし!」
「撃て!」
リーが命じた瞬間、各砲塔の1番砲が咆哮した。ズドオーン!という大音響が鳴り響き、戦艦特有の発射音が海面を轟かせた。
その時、回頭を終えた敵艦隊も一斉に撃ち始めた。
アイオワが各砲塔1門ずつの交互撃ち方とは違い、バーマント側はいきなり全門斉射である。
シュー!という砲弾特有のうなり声が聞こえた、と思った瞬間、それは通り過ぎて行った。
アイオワの右舷側の海面2000メートル付近に多数の水柱が上がった。
「照準が甘いな。」
リーはバーマント側の射撃に対してそう評価した。
「弾着、今!」
敵1番艦の左舷側に3本の水柱が立ち上がった。25秒後に2番砲が唸った。その5秒後に敵艦隊が第2斉射を放ってきた。
アイオワの第2弾は敵1番艦の左舷側に着弾した。敵の砲弾はまたアイオワを飛び越えていった。
3番砲が放たれた。第3弾はまたしても敵1番艦の左舷側に着弾したが、弾着は400メートル手前に迫っている。
「よし、いいぞ。その調子だ。」
リーは精度が上がっていることに満足した。敵艦隊の第3弾が、今度はアイオワの左舷側に海面に着弾し、高々と水柱を上げた。
その艦影はうっすらとだが、確認できた。
照明弾に映し出されたその形は、意外にほっそりとして、スマートな形だった。艦橋はどことなく
ニューメキシコ級のような感がある。煙突は3つあり、砲塔は前部に2基、後部に2基背負い式に配置している。
「左主砲戦!距離17マイル、速力23ノット!目標、敵1番艦!」
リーは凛とした口調で次々に指示を与える。3つの巨大な16インチ砲塔が、敵艦に向けられる。
主砲が生き物のように仰角を上げられる。
(アイオワよ。お前の力を見せ付けてやれ。)
リーは心の中でそう呟いた。
「発射準備よし!」
「撃て!」
リーが命じた瞬間、各砲塔の1番砲が咆哮した。ズドオーン!という大音響が鳴り響き、戦艦特有の発射音が海面を轟かせた。
その時、回頭を終えた敵艦隊も一斉に撃ち始めた。
アイオワが各砲塔1門ずつの交互撃ち方とは違い、バーマント側はいきなり全門斉射である。
シュー!という砲弾特有のうなり声が聞こえた、と思った瞬間、それは通り過ぎて行った。
アイオワの右舷側の海面2000メートル付近に多数の水柱が上がった。
「照準が甘いな。」
リーはバーマント側の射撃に対してそう評価した。
「弾着、今!」
敵1番艦の左舷側に3本の水柱が立ち上がった。25秒後に2番砲が唸った。その5秒後に敵艦隊が第2斉射を放ってきた。
アイオワの第2弾は敵1番艦の左舷側に着弾した。敵の砲弾はまたアイオワを飛び越えていった。
3番砲が放たれた。第3弾はまたしても敵1番艦の左舷側に着弾したが、弾着は400メートル手前に迫っている。
「よし、いいぞ。その調子だ。」
リーは精度が上がっていることに満足した。敵艦隊の第3弾が、今度はアイオワの左舷側に海面に着弾し、高々と水柱を上げた。
だが、距離は1500メートルとまだ大分離れている。
「これじゃ落第だな。」
リーは思わずそう呟いた。1番砲が再び咆哮した。
今度も弾着は敵1番艦の左舷側400メートル付近に落下した。
(あと1射か2射で夾叉が出るかも知れんな)
リーはそう思った。アイオワのレーダー射撃は大分精度を増している。現に弾着は敵艦に近寄りつつある。
アイオワの2番砲が火を噴いた。そして、弾着した。敵1番艦の左舷に1本、右舷に2本の水柱が立ち上がった。
「よし!夾叉を得たぞ!」
リー中将は満足げな口調でそう叫んだ。この時、敵の第4斉射がアイオワの右舷側海面に落下してきた。距離は約800メートル。
第1斉射に比べれば、少しだが良くなっている。敵も照準を修正しながら撃っているのだ。
「早めに敵艦を減らさんと、こっちが危ないな。」
艦長が双眼鏡を見ながらそう呟いた。
3番砲が咆哮した。右舷側に2本、左舷側に1本、先と変わらない。
だがもはや命中弾を出すのは時間の問題である。
そして25秒後、1番砲が再び咆哮した。
砲弾はまっしぐらに敵艦に向かっていき、そして待望の光景が目の前に現れた。
敵艦の左舷側に2本の水柱が高々と立ち上がり、次に敵艦の中央部から命中弾の閃光が走った。
この時、リーは思った。
「これじゃ落第だな。」
リーは思わずそう呟いた。1番砲が再び咆哮した。
今度も弾着は敵1番艦の左舷側400メートル付近に落下した。
(あと1射か2射で夾叉が出るかも知れんな)
リーはそう思った。アイオワのレーダー射撃は大分精度を増している。現に弾着は敵艦に近寄りつつある。
アイオワの2番砲が火を噴いた。そして、弾着した。敵1番艦の左舷に1本、右舷に2本の水柱が立ち上がった。
「よし!夾叉を得たぞ!」
リー中将は満足げな口調でそう叫んだ。この時、敵の第4斉射がアイオワの右舷側海面に落下してきた。距離は約800メートル。
第1斉射に比べれば、少しだが良くなっている。敵も照準を修正しながら撃っているのだ。
「早めに敵艦を減らさんと、こっちが危ないな。」
艦長が双眼鏡を見ながらそう呟いた。
3番砲が咆哮した。右舷側に2本、左舷側に1本、先と変わらない。
だがもはや命中弾を出すのは時間の問題である。
そして25秒後、1番砲が再び咆哮した。
砲弾はまっしぐらに敵艦に向かっていき、そして待望の光景が目の前に現れた。
敵艦の左舷側に2本の水柱が高々と立ち上がり、次に敵艦の中央部から命中弾の閃光が走った。
この時、リーは思った。
(もしかして、敵は魔法使いを乗せて防御の強化を図っているのでは?)
彼は第1次サイフェルバン沖海戦で起きた出来事を思い出した。
あの時はモービルとデンヴァーが敵の魔法防御によって何発かの砲弾が無力化されている。
危惧は現実となった。命中と共に閃光の中に薄い緑色の光が混じっていた。
「くそ!敵艦は魔法防御を施しているぞ!」
艦長がうめくように言う。だが、いくら魔法防御とはいえ、それを打ち破ることは可能だ。
「一斉撃ち方!」
頃合いよしと判断した艦長は、ついに9門斉射に踏み切った。
砲の修正のため、しばらくアイオワは沈黙した。
その間に敵艦の第5斉射が襲ってきた。第5斉射はアイオワの左舷500メートル付近に落下した。
合計で40本はある。
「あんなのをまともに食らったら、アイオワといえどもひとたまりもない。」
リー中将は眉をひそめた。水柱が崩れ落ちると同時に、斉射が放たれた。
バゴオオーーーン!!という先とは比べもにならない轟音と衝撃が、アイオワをゆさぶり、わずかながら右舷に傾いた。
敵1番艦の周りにドカドカと水柱が立ち上がり、その中に3つの閃光が走った。
「3弾命中!」
第1斉射から40秒後に第2斉射が放たれた。今度は2発が命中した。
そして命中の瞬間、何かの破片も一緒に舞い上がった。
「よし、魔法防御を打ち破ったぞ!どんどんいけ!」
彼は第1次サイフェルバン沖海戦で起きた出来事を思い出した。
あの時はモービルとデンヴァーが敵の魔法防御によって何発かの砲弾が無力化されている。
危惧は現実となった。命中と共に閃光の中に薄い緑色の光が混じっていた。
「くそ!敵艦は魔法防御を施しているぞ!」
艦長がうめくように言う。だが、いくら魔法防御とはいえ、それを打ち破ることは可能だ。
「一斉撃ち方!」
頃合いよしと判断した艦長は、ついに9門斉射に踏み切った。
砲の修正のため、しばらくアイオワは沈黙した。
その間に敵艦の第5斉射が襲ってきた。第5斉射はアイオワの左舷500メートル付近に落下した。
合計で40本はある。
「あんなのをまともに食らったら、アイオワといえどもひとたまりもない。」
リー中将は眉をひそめた。水柱が崩れ落ちると同時に、斉射が放たれた。
バゴオオーーーン!!という先とは比べもにならない轟音と衝撃が、アイオワをゆさぶり、わずかながら右舷に傾いた。
敵1番艦の周りにドカドカと水柱が立ち上がり、その中に3つの閃光が走った。
「3弾命中!」
第1斉射から40秒後に第2斉射が放たれた。今度は2発が命中した。
そして命中の瞬間、何かの破片も一緒に舞い上がった。
「よし、魔法防御を打ち破ったぞ!どんどんいけ!」
リー中将は興奮してそう叫んだ。と、その時、敵艦隊の砲弾が降ってきた。
そして着弾した時、6本の水柱が反対側の右舷に立ち上がった。
「いかんな、夾叉されたぞ。」
リー中将は眉をひそめてそう呟いた。とりあえず、B部隊が来るまでに持ちこたえねば。
B部隊はあと10分ほどで現場海域に到着すると言う。
その時、敵艦隊の前方からこれまで以上に早いスピードでアイオワの右舷に回り込もうとする艦がいた。
それも10隻以上もいる。
「まずい、ベータ艦隊だ!」
28ノット以上のスピードで飛び出してきたベータ艦隊は、あっという間にアイオワの右舷側に回り込もうとした。
照明弾を放って視界を明るくすると、距離10マイルで前部の14・3センチ砲を放ってきた。
「右舷両用砲、目標敵高速船1番、撃ち方始め!」
右舷の5基の連装砲が4秒おきに咆哮し、無数の5インチ砲弾を敵艦に叩きつける。
敵のベータ艦隊に砲撃を開始して2分が経過した。
両用砲弾4発が、立て続けに高速戦列艦に命中した。5インチ砲の猛烈な弾幕は、敵のベータ艦隊を寄せ付けなかったが、
リーが安堵しかけた次の瞬間、ガーン!という強い衝撃がアイオワを揺さぶった。
「敵弾被弾!左舷第1両用砲使用不能!」
バーマント重武装戦列艦が放った砲弾がついに命中したのである
。命中弾数は5発、そのうち4発はまとまって中央部に命中したが、いずれも分厚い装甲版を抜けなかった。
5発目が1番両用砲を叩き潰した。
だが、アイオワも負けてはいない、9門の長砲身16インチ砲が大音響と共に咆哮する。
3発が敵1番艦に叩きつけられた。そして敵1番艦が中央部から火災を起こした。
そして着弾した時、6本の水柱が反対側の右舷に立ち上がった。
「いかんな、夾叉されたぞ。」
リー中将は眉をひそめてそう呟いた。とりあえず、B部隊が来るまでに持ちこたえねば。
B部隊はあと10分ほどで現場海域に到着すると言う。
その時、敵艦隊の前方からこれまで以上に早いスピードでアイオワの右舷に回り込もうとする艦がいた。
それも10隻以上もいる。
「まずい、ベータ艦隊だ!」
28ノット以上のスピードで飛び出してきたベータ艦隊は、あっという間にアイオワの右舷側に回り込もうとした。
照明弾を放って視界を明るくすると、距離10マイルで前部の14・3センチ砲を放ってきた。
「右舷両用砲、目標敵高速船1番、撃ち方始め!」
右舷の5基の連装砲が4秒おきに咆哮し、無数の5インチ砲弾を敵艦に叩きつける。
敵のベータ艦隊に砲撃を開始して2分が経過した。
両用砲弾4発が、立て続けに高速戦列艦に命中した。5インチ砲の猛烈な弾幕は、敵のベータ艦隊を寄せ付けなかったが、
リーが安堵しかけた次の瞬間、ガーン!という強い衝撃がアイオワを揺さぶった。
「敵弾被弾!左舷第1両用砲使用不能!」
バーマント重武装戦列艦が放った砲弾がついに命中したのである
。命中弾数は5発、そのうち4発はまとまって中央部に命中したが、いずれも分厚い装甲版を抜けなかった。
5発目が1番両用砲を叩き潰した。
だが、アイオワも負けてはいない、9門の長砲身16インチ砲が大音響と共に咆哮する。
3発が敵1番艦に叩きつけられた。そして敵1番艦が中央部から火災を起こした。
「敵1番艦火災発生!」
「よし、いいぞ。その調子だ。」
アイオワは30から33ノットにスピードを上げて、バーマント艦隊の頭を抑えにかかった。
一方、右舷の両用砲と砲戦を行っていたベータ艦隊は、28ノットの猛スピードで通り過ぎていった。
この間、敵1番艦に8発、2番艦5発の5インチ砲弾が命中していた。
アイオワは12発の14・3センチ砲弾、6発の9センチ砲弾が命中し、40ミリ機銃座3基が破損したものの、
幸いにも両用砲は全て無事である。
33ノットの韋駄天ぶりを発揮し始めたアイオワは、3分後には敵1番艦の頭を抑えかけていた。
このため、バーマント艦隊は前部の砲しか撃てなくなっていた。
一方、アイオワは全門斉射を続け、合計で7発の16インチ砲弾が敵1番艦に叩きつけられていた。
「よし、いいぞ。その調子だ。」
アイオワは30から33ノットにスピードを上げて、バーマント艦隊の頭を抑えにかかった。
一方、右舷の両用砲と砲戦を行っていたベータ艦隊は、28ノットの猛スピードで通り過ぎていった。
この間、敵1番艦に8発、2番艦5発の5インチ砲弾が命中していた。
アイオワは12発の14・3センチ砲弾、6発の9センチ砲弾が命中し、40ミリ機銃座3基が破損したものの、
幸いにも両用砲は全て無事である。
33ノットの韋駄天ぶりを発揮し始めたアイオワは、3分後には敵1番艦の頭を抑えかけていた。
このため、バーマント艦隊は前部の砲しか撃てなくなっていた。
一方、アイオワは全門斉射を続け、合計で7発の16インチ砲弾が敵1番艦に叩きつけられていた。
バーマント第3艦隊司令官であるバーミワンム中将は、33ノットで頭を抑えようとするアイオワを睨みつけていた。
バーミワンム中将はヴァルレキュアと開戦する6ヶ月前にこのバーマントでも最も打撃力に勝る
第3艦隊の司令官に任命された。
任命されて当初は少将だったが、ヴァルレキュア戦では指揮下の第3艦隊を縦横無尽に操って数々の武勲を挙げた。
その功績によって4ヶ月前に中将に昇進した。
バーミワンム中将は、今回の出撃に関してはなんら不安も無かった。
第2艦隊の生き残りの証言を聞いても、
「このザイリン級の砲戦力には遠く及ぶまい。それに敵の警戒部隊はたったの10隻というではないか。
こっちは30隻以上はいる。10隻そこらの艦隊など、包囲して袋叩きにしてやる。」
と息巻いている。それに彼は積極果敢な提督であるため、以前からサイフェルバンに艦隊を進めようと
思っていたが、海軍上層部は一向に許可を出さなかった。
だが、4日前にようやく出撃命令が出た時には、彼は大喜びした。
そしてこの日の午後3時に軍港を出撃したのである。
だが、彼の余裕は、1隻の戦艦によって完全に吹き飛んでしまった。
突如目の前に立ちはだかった敵艦隊は、それぞれ分離していき、ついにはザイリン級のネームシップ
であるザイリンとグラングス、エリーブ、グリルバン、ファルアットの5隻と、敵のやたらにどでかい
戦艦1隻のみとなっていた。
初め、照明弾に移された米戦艦を見た時、提督はその洗練された形に思わず見とれてしまった。
ほっそりしながらも、力強そうな印象を持ち、中央部には尖塔のような艦橋、そしてコンパクトに
まとめられた2本の煙突、そして3基の巨大な砲塔。
艦体の中央部にこれでもかとばかりに取り付けられた副砲群、どれもこれもこの次元の物ではない。
そしてその巨大さたるや、まるで化け物である。
そして砲撃戦が始まって既に20分、旗艦のザイリンは中央部に4発、後部に3発の命中弾を受けていた。
その1発1発がこれまでに経験したことのない凄まじい物だった。
この砲撃で3本の煙突のうちの1本が根元から叩き潰され、右舷の副砲6門は5門までもが破壊され、
後部の第3主砲は16インチ砲弾によって叩きのめされ、沈黙している。
魔法防御を施していた魔道師は、最初の4発の着弾ですぐに限界を来たし、
今や自らの装甲でなんとか持ちこたえている有様である。
高速艦部隊が、右舷側に回り込んで、無数の砲弾を浴びせたものの、米戦艦はそれでも応えずに、
バーマント艦列の行く手を遮ろうとしている。
「取り舵!取り舵いっぱい!」
艦長が叫ぶ。操舵係が必死の形相で舵を回す。
その間にも、米戦艦は砲撃を浴びせてきた。ヒューッ!という空気を切る音が極限に達した、と思ったとき、
ドドーン!というもの凄い衝撃がザイリンの艦体を揺さぶった。後続艦も負けじと前部のみの主砲を打ち返す。
バーミワンム中将はヴァルレキュアと開戦する6ヶ月前にこのバーマントでも最も打撃力に勝る
第3艦隊の司令官に任命された。
任命されて当初は少将だったが、ヴァルレキュア戦では指揮下の第3艦隊を縦横無尽に操って数々の武勲を挙げた。
その功績によって4ヶ月前に中将に昇進した。
バーミワンム中将は、今回の出撃に関してはなんら不安も無かった。
第2艦隊の生き残りの証言を聞いても、
「このザイリン級の砲戦力には遠く及ぶまい。それに敵の警戒部隊はたったの10隻というではないか。
こっちは30隻以上はいる。10隻そこらの艦隊など、包囲して袋叩きにしてやる。」
と息巻いている。それに彼は積極果敢な提督であるため、以前からサイフェルバンに艦隊を進めようと
思っていたが、海軍上層部は一向に許可を出さなかった。
だが、4日前にようやく出撃命令が出た時には、彼は大喜びした。
そしてこの日の午後3時に軍港を出撃したのである。
だが、彼の余裕は、1隻の戦艦によって完全に吹き飛んでしまった。
突如目の前に立ちはだかった敵艦隊は、それぞれ分離していき、ついにはザイリン級のネームシップ
であるザイリンとグラングス、エリーブ、グリルバン、ファルアットの5隻と、敵のやたらにどでかい
戦艦1隻のみとなっていた。
初め、照明弾に移された米戦艦を見た時、提督はその洗練された形に思わず見とれてしまった。
ほっそりしながらも、力強そうな印象を持ち、中央部には尖塔のような艦橋、そしてコンパクトに
まとめられた2本の煙突、そして3基の巨大な砲塔。
艦体の中央部にこれでもかとばかりに取り付けられた副砲群、どれもこれもこの次元の物ではない。
そしてその巨大さたるや、まるで化け物である。
そして砲撃戦が始まって既に20分、旗艦のザイリンは中央部に4発、後部に3発の命中弾を受けていた。
その1発1発がこれまでに経験したことのない凄まじい物だった。
この砲撃で3本の煙突のうちの1本が根元から叩き潰され、右舷の副砲6門は5門までもが破壊され、
後部の第3主砲は16インチ砲弾によって叩きのめされ、沈黙している。
魔法防御を施していた魔道師は、最初の4発の着弾ですぐに限界を来たし、
今や自らの装甲でなんとか持ちこたえている有様である。
高速艦部隊が、右舷側に回り込んで、無数の砲弾を浴びせたものの、米戦艦はそれでも応えずに、
バーマント艦列の行く手を遮ろうとしている。
「取り舵!取り舵いっぱい!」
艦長が叫ぶ。操舵係が必死の形相で舵を回す。
その間にも、米戦艦は砲撃を浴びせてきた。ヒューッ!という空気を切る音が極限に達した、と思ったとき、
ドドーン!というもの凄い衝撃がザイリンの艦体を揺さぶった。後続艦も負けじと前部のみの主砲を打ち返す。
命中弾はザイリンの3番目の煙突を根元から吹き飛ばし、艦内で炸裂した。
「艦中央部の火災拡大!」
応急班の悲痛な報告が届く。このまま行けば、艦中枢の機関部もやられるかもしれない。
今のところ、奇跡的に機関室はまだやられていない。
だが、今後も機関室が無事だという保証は無い。
味方の弾着が敵戦艦の周囲で着弾した。3発の砲弾が前部砲塔、中央部、後部と満遍なく命中した。
その内、中央部からちろちろと火災のようなものも見えた。
だが、敵戦艦はスピードを全く緩めない。また新たな砲撃を放った。
今度は2発がザイリンの後部を叩き据えた。この被弾で、早くも後部砲塔は完全に使い物にならなくなった。
砲戦開始わずか21分でザイリンは50%の戦闘力を失ったのだ。
バーミワンム中将は敵艦が悪魔の化身のように見え、ぞっとした。
ザイリンや他の戦列艦も負けずに打ち返す。敵艦にも新たに4発が命中した。その時敵艦の中央部から別の閃光が走った。
目立った損傷の無かった敵艦から明らかに火災炎が吹き出ている。
「やったぞ!敵艦に手傷を負わせたんだ!」
この時、33.8センチ砲弾の1発が左舷2番両用砲を直撃した。砲弾が炸裂した際、
たまたま別の両用砲弾にも引火し、一気に10発以上の5インチ砲弾が誘爆したのである。
「どんどん撃ち込め!敵も所詮船だ、たらふくぶち込めばいずれ沈むぞ!!」
彼は小躍りしながらそう叫んだ。これに応えるかのようにザイリンの前部4門、
後続艦の主砲が次の砲弾をぶっ放す。
「艦中央部の火災拡大!」
応急班の悲痛な報告が届く。このまま行けば、艦中枢の機関部もやられるかもしれない。
今のところ、奇跡的に機関室はまだやられていない。
だが、今後も機関室が無事だという保証は無い。
味方の弾着が敵戦艦の周囲で着弾した。3発の砲弾が前部砲塔、中央部、後部と満遍なく命中した。
その内、中央部からちろちろと火災のようなものも見えた。
だが、敵戦艦はスピードを全く緩めない。また新たな砲撃を放った。
今度は2発がザイリンの後部を叩き据えた。この被弾で、早くも後部砲塔は完全に使い物にならなくなった。
砲戦開始わずか21分でザイリンは50%の戦闘力を失ったのだ。
バーミワンム中将は敵艦が悪魔の化身のように見え、ぞっとした。
ザイリンや他の戦列艦も負けずに打ち返す。敵艦にも新たに4発が命中した。その時敵艦の中央部から別の閃光が走った。
目立った損傷の無かった敵艦から明らかに火災炎が吹き出ている。
「やったぞ!敵艦に手傷を負わせたんだ!」
この時、33.8センチ砲弾の1発が左舷2番両用砲を直撃した。砲弾が炸裂した際、
たまたま別の両用砲弾にも引火し、一気に10発以上の5インチ砲弾が誘爆したのである。
「どんどん撃ち込め!敵も所詮船だ、たらふくぶち込めばいずれ沈むぞ!!」
彼は小躍りしながらそう叫んだ。これに応えるかのようにザイリンの前部4門、
後続艦の主砲が次の砲弾をぶっ放す。
だが、敵艦もだまれと言わんばかりに新たな砲撃を行った。そして、ついにザイリンに破局が訪れた。
突如ガガーン!という今までに感じたことのない衝撃を感じ、バーミワンム中将を含む艦橋要員、
いや、ザイリンの乗員全員が飛び上がった。
衝撃でバーミワンム中将は床に叩きつけられた。この時、アイオワが放った砲弾は、
3発がまとまって後部に命中した。
そして砲弾のパワーは、ザイリンの第4砲塔から10メートル後ろを引きちぎったのである。
後部のスクリュー部分を叩き割られたザイリンはガクッとスピードを落とし、惰性でノロノロとしか
前に進まなくなった。ザイリンが完全に停止するのもそのすぐ後だった。
ザイリンが最後に放った砲弾は、惜しくもアイオワの後部、スクリュー付近に着弾し、
水柱を上げたに過ぎなかった。
突如ガガーン!という今までに感じたことのない衝撃を感じ、バーミワンム中将を含む艦橋要員、
いや、ザイリンの乗員全員が飛び上がった。
衝撃でバーミワンム中将は床に叩きつけられた。この時、アイオワが放った砲弾は、
3発がまとまって後部に命中した。
そして砲弾のパワーは、ザイリンの第4砲塔から10メートル後ろを引きちぎったのである。
後部のスクリュー部分を叩き割られたザイリンはガクッとスピードを落とし、惰性でノロノロとしか
前に進まなくなった。ザイリンが完全に停止するのもそのすぐ後だった。
ザイリンが最後に放った砲弾は、惜しくもアイオワの後部、スクリュー付近に着弾し、
水柱を上げたに過ぎなかった。
アイオワに新たな命中弾が襲った。今度は4発の砲弾が左舷にぶち当たった。
1発は後部の第3砲塔に命中したが跳ね飛ばされた。
2発は中央部に命中し、火災を一層ひどくさせた。1発は2つある煙突のうち、後ろのほうの根元に命中した。
この被弾で煙突は破片でずたずたに引き裂かれた。
アイオワが級にスピードを落とし始めた。今まで33ノットの快速で突っ走っていたアイオワだが、
いきなり減速を始めたのだ。
「どうしたのだ、艦長?」
リー中将は艦長に聞いたが、艦長も突然の事に理解できなかった。
1発は後部の第3砲塔に命中したが跳ね飛ばされた。
2発は中央部に命中し、火災を一層ひどくさせた。1発は2つある煙突のうち、後ろのほうの根元に命中した。
この被弾で煙突は破片でずたずたに引き裂かれた。
アイオワが級にスピードを落とし始めた。今まで33ノットの快速で突っ走っていたアイオワだが、
いきなり減速を始めたのだ。
「どうしたのだ、艦長?」
リー中将は艦長に聞いたが、艦長も突然の事に理解できなかった。
「敵1番艦大破!後部付近に大火災!!」
見張りの上ずった声が聞こえた。敵1番艦は、艦の後部から火災を発生させている。
双眼鏡でよく見ると後ろの一部が千切れてなくなっている。それに微かながらだが、
後部にやや傾いている。今は判断できないが、恐らく撃沈に近い損害を与えたに違いない。
それに急速にスピードを落としており、停止するのも時間の問題である。
「敵1番艦戦闘不能!」
艦長の言葉に、アイオワの艦内は沸き立った。初めての砲戦で敵戦艦を叩きのめしたのである。
これが異世界の軍艦であろうと、喜びは大きかった。
「浮かれるのはまだ早い!」
リーは荒々しく声を上げた。いつもは冷静沈着な彼には珍しかった。
「敵艦はまだ4隻いる!それにワシントンとサウスダコタはまだ到着してはいないぞ。
B部隊が来るまで気を抜くな!」
リーの声によって、喜びに満ちていた艦橋内は再び元の状態に戻った。そこに電話がかかってきた。
艦長は急いでそれに飛びつく。
すると、なぜか艦長の表情がみるみるうちに変わっていく。もしかして、この急な速度低下に関係があるのでは?
彼は思い立った。そして艦長が電話を置くと、リーに何事かを説明し始めた。
「閣下、先の被弾で、艦尾付近の至近弾がありましたが、実はその至近弾の影響で、
左舷側のスクリューが2基とも破損し、先ほどから1度も回転していないのです。」
「何だと!?」
リーは思わず絶句した。実はこの時、撃破されたザイリンの砲弾は、アイオワの艦尾にあるスクリューを痛めつけていたのだ。
爆圧によって捻じ曲げられた2つのスクリューは電器系統を断ち切られ、本来の活動を停止してしまった。
これにより、アイオワのスピードは一気に22ノットまで低下したのである。
「起きてしまったことは仕方がない。速度が低下せれども、こっちにはまだ9門の16インチ砲があるんだ。
やれるだけやってみるぞ。」
見張りの上ずった声が聞こえた。敵1番艦は、艦の後部から火災を発生させている。
双眼鏡でよく見ると後ろの一部が千切れてなくなっている。それに微かながらだが、
後部にやや傾いている。今は判断できないが、恐らく撃沈に近い損害を与えたに違いない。
それに急速にスピードを落としており、停止するのも時間の問題である。
「敵1番艦戦闘不能!」
艦長の言葉に、アイオワの艦内は沸き立った。初めての砲戦で敵戦艦を叩きのめしたのである。
これが異世界の軍艦であろうと、喜びは大きかった。
「浮かれるのはまだ早い!」
リーは荒々しく声を上げた。いつもは冷静沈着な彼には珍しかった。
「敵艦はまだ4隻いる!それにワシントンとサウスダコタはまだ到着してはいないぞ。
B部隊が来るまで気を抜くな!」
リーの声によって、喜びに満ちていた艦橋内は再び元の状態に戻った。そこに電話がかかってきた。
艦長は急いでそれに飛びつく。
すると、なぜか艦長の表情がみるみるうちに変わっていく。もしかして、この急な速度低下に関係があるのでは?
彼は思い立った。そして艦長が電話を置くと、リーに何事かを説明し始めた。
「閣下、先の被弾で、艦尾付近の至近弾がありましたが、実はその至近弾の影響で、
左舷側のスクリューが2基とも破損し、先ほどから1度も回転していないのです。」
「何だと!?」
リーは思わず絶句した。実はこの時、撃破されたザイリンの砲弾は、アイオワの艦尾にあるスクリューを痛めつけていたのだ。
爆圧によって捻じ曲げられた2つのスクリューは電器系統を断ち切られ、本来の活動を停止してしまった。
これにより、アイオワのスピードは一気に22ノットまで低下したのである。
「起きてしまったことは仕方がない。速度が低下せれども、こっちにはまだ9門の16インチ砲があるんだ。
やれるだけやってみるぞ。」
アイオワがバーマント軍の5隻の大型艦相手に奮戦している間、重巡洋艦のウィチタとキャンベラ、
軽巡洋艦ホノルルもまた、不利な戦いを強いられていた。
本来ならば、軽巡オークランド率いる水雷戦隊がバーマント軍の小型戦列艦を叩きのめして、
6隻の中型戦列艦を相手にするはずだったが、12隻の小型戦列艦はなかなか侮れなかった。
最初の距離4000での魚雷攻撃で2隻の敵艦を撃沈したが、敵もさるもので集中射撃で
駆逐艦セルフブリッジが避退中に敵弾7発を受け、速度が低下したところに集中射撃を受けて大破した。
米水雷戦隊は再び反転してセルフブリッジを叩きのめした小型戦列艦相手に真っ向から向き合い、
激しく打ち合った。
米艦艇の中では、一番オークランドの射撃が凄まじかった。5インチ連装砲を前部に3基、
後部に3基、計12門の集中射撃は、あっという間に1隻の小型戦列艦を叩きのめし、1隻を撃沈した。
バーマント側も負けていない。
彼らも数にものを言わせた集中射撃で駆逐艦ベネットを撃沈した。
そして両者の殴り合いは今でも続いている。
こうした中、重巡ウィチタとキャンベラ、軽巡ホノルルは、最初は有利に戦いを進めていた。
バーマント軍の中型戦列艦は、17センチ連装砲を4基積んでおり、これまでの軍艦と同じように
前部に2基、後部に2基ずつ背負い式に配備し、米巡洋艦に向けて猛射していたが、
ウィチタ、キャンベラ、ホノルルは、5インチ砲が届く距離12マイルまで接近し、猛射を浴びせた。
最初は主砲のみの交互撃ち方で砲撃し、直撃弾が出ると、5インチ砲も交えた全門斉射に切り替えた。
バーマント側はこれまた同じように魔法防御で対応したが、わずか5分ほどで魔法防御は打ち破られ、
みるみるうちに被弾数が増え始めた。
軽巡洋艦ホノルルもまた、不利な戦いを強いられていた。
本来ならば、軽巡オークランド率いる水雷戦隊がバーマント軍の小型戦列艦を叩きのめして、
6隻の中型戦列艦を相手にするはずだったが、12隻の小型戦列艦はなかなか侮れなかった。
最初の距離4000での魚雷攻撃で2隻の敵艦を撃沈したが、敵もさるもので集中射撃で
駆逐艦セルフブリッジが避退中に敵弾7発を受け、速度が低下したところに集中射撃を受けて大破した。
米水雷戦隊は再び反転してセルフブリッジを叩きのめした小型戦列艦相手に真っ向から向き合い、
激しく打ち合った。
米艦艇の中では、一番オークランドの射撃が凄まじかった。5インチ連装砲を前部に3基、
後部に3基、計12門の集中射撃は、あっという間に1隻の小型戦列艦を叩きのめし、1隻を撃沈した。
バーマント側も負けていない。
彼らも数にものを言わせた集中射撃で駆逐艦ベネットを撃沈した。
そして両者の殴り合いは今でも続いている。
こうした中、重巡ウィチタとキャンベラ、軽巡ホノルルは、最初は有利に戦いを進めていた。
バーマント軍の中型戦列艦は、17センチ連装砲を4基積んでおり、これまでの軍艦と同じように
前部に2基、後部に2基ずつ背負い式に配備し、米巡洋艦に向けて猛射していたが、
ウィチタ、キャンベラ、ホノルルは、5インチ砲が届く距離12マイルまで接近し、猛射を浴びせた。
最初は主砲のみの交互撃ち方で砲撃し、直撃弾が出ると、5インチ砲も交えた全門斉射に切り替えた。
バーマント側はこれまた同じように魔法防御で対応したが、わずか5分ほどで魔法防御は打ち破られ、
みるみるうちに被弾数が増え始めた。
砲戦開始から12分後にまず、敵の1番艦がウィチタによって全砲塔を叩き潰され、落伍した。
次いで2番艦がキャンベラの砲撃で爆発轟沈し、3番艦がホノルルの砲弾に艦橋を直撃され、
戦闘不能に陥った。
この時、米側の被害はウィチタが被弾7発で5インチ砲1門喪失、キャンベラが被弾5発で
前部の20センチ砲塔1基使用不能、ホノルルが被弾12発で前部6インチ砲塔1基が
使用不能となったが、まだまだ戦闘は可能である。
「これで勝ったぞ!」
ウィチタに司令部を置く、デイビット・バーケ少将は勝利を確信した。
だが、右舷側の別の標的に狙いをつけようとした瞬間、左舷側から別の艦隊が現れた。
それはアイオワを砲撃したが、たちまち追い払われた敵のベータ艦隊であった。
ベータ艦隊は、調子に乗って残りの中型戦列艦にT字を描こうとする3隻の後ろから追いすがってきた。
ベータ艦隊は距離9マイルに近づくや、3隻の一番後ろのホノルルに集中砲火を加えてきた。
たちまち多数の14・3センチ砲弾を叩き込まれたホノルルは、速度が低下し、23ノットにまで落ちた。
そこに手負いの獲物を狙うハイエナのごとく、8隻の小型高速戦列艦が群がり、ホノルルを滅多打ちにしてしまった。
落伍したホノルルは、それでも奮戦した。
2隻の小型戦列艦を、生き残った前部の6インチ砲や5インチ砲の釣瓶撃ちで撃沈し、1隻を中破させたが、
ホノルル自身も実に58発の9センチ砲弾を受け、敵小型戦列艦がホノルルから離れたときには、
このブルックリン級軽巡は全砲塔を沈黙させ、左舷に傾斜し、力尽きたように停止していた。
残された2隻の重巡、ウィチタとキャンベラは、敵のベータ艦隊と生き残りの中型戦列艦の集中射撃を受け、
一気に不利な体制に陥った。
だが、ウィチタとキャンベラ自慢の8インチ砲や5インチ砲を乱射しながら、荒れ狂った鬼神のように戦い続けた。
次いで2番艦がキャンベラの砲撃で爆発轟沈し、3番艦がホノルルの砲弾に艦橋を直撃され、
戦闘不能に陥った。
この時、米側の被害はウィチタが被弾7発で5インチ砲1門喪失、キャンベラが被弾5発で
前部の20センチ砲塔1基使用不能、ホノルルが被弾12発で前部6インチ砲塔1基が
使用不能となったが、まだまだ戦闘は可能である。
「これで勝ったぞ!」
ウィチタに司令部を置く、デイビット・バーケ少将は勝利を確信した。
だが、右舷側の別の標的に狙いをつけようとした瞬間、左舷側から別の艦隊が現れた。
それはアイオワを砲撃したが、たちまち追い払われた敵のベータ艦隊であった。
ベータ艦隊は、調子に乗って残りの中型戦列艦にT字を描こうとする3隻の後ろから追いすがってきた。
ベータ艦隊は距離9マイルに近づくや、3隻の一番後ろのホノルルに集中砲火を加えてきた。
たちまち多数の14・3センチ砲弾を叩き込まれたホノルルは、速度が低下し、23ノットにまで落ちた。
そこに手負いの獲物を狙うハイエナのごとく、8隻の小型高速戦列艦が群がり、ホノルルを滅多打ちにしてしまった。
落伍したホノルルは、それでも奮戦した。
2隻の小型戦列艦を、生き残った前部の6インチ砲や5インチ砲の釣瓶撃ちで撃沈し、1隻を中破させたが、
ホノルル自身も実に58発の9センチ砲弾を受け、敵小型戦列艦がホノルルから離れたときには、
このブルックリン級軽巡は全砲塔を沈黙させ、左舷に傾斜し、力尽きたように停止していた。
残された2隻の重巡、ウィチタとキャンベラは、敵のベータ艦隊と生き残りの中型戦列艦の集中射撃を受け、
一気に不利な体制に陥った。
だが、ウィチタとキャンベラ自慢の8インチ砲や5インチ砲を乱射しながら、荒れ狂った鬼神のように戦い続けた。
B部隊の戦艦サウスダコタ、ワシントンが砲戦に加わろうとしたとき、警戒部隊旗艦のアイオワは
敵の乱れうちにあっていた。
アイオワに砲戦を戦っている敵艦は3隻。いずれも200メートルはありそうな大型艦である。
そのずっと後方には2隻の軍艦が海面に停止し、激しく炎上している。
だが、アイオワ自身も左舷側がひどく損傷しており、既に5基の連装両用砲は破壊され、
大火災が起こっている。
砲撃を行っている砲も後部砲塔がなぜか沈黙している。砲撃を行っているのは前部だけである。
「アイオワが頑張っているが、かなりやばい状況だな。」
B部隊の指揮官であるサウスダコタ艦長のブルース・ウッドワード大佐は額に汗を浮かべながら
そう呟いた。海戦は3つの海域で行われている。
まずこの戦艦同士の海戦、次に巡洋艦同士の砲戦が行われているここから8マイル南西の海域、
そして軽巡オークランドが率いる水雷戦隊と小型戦列艦が戦っているここから12マイル離れた
西の海域。
ここで死闘が繰り広げられている。やがて、増援に向かった各部隊の指令艦から報告が入ってきた。
「こちら重巡ニューオーリンズ、敵巡洋艦部隊との交戦を開始せり、既に重巡キャンベラとホノルルが
大破、落伍せり。」
「こちら駆逐艦バターソン、敵艦と戦闘を開始、軽巡オークランド、駆逐艦バグリーが大破、落伍、
駆逐艦ベネットが沈没せり。」
各艦の通報から、A部隊がどれだけ苦しい戦いを迫られていたかがよく分かる。
「戦力分散のつけが一気に来たな。」
ウッドワード大佐はしかめっ面でそう呟いた。この時、急にアイオワが右に回頭し始めた。
もはや危険な状態になりつつあるのだろう。
敵の乱れうちにあっていた。
アイオワに砲戦を戦っている敵艦は3隻。いずれも200メートルはありそうな大型艦である。
そのずっと後方には2隻の軍艦が海面に停止し、激しく炎上している。
だが、アイオワ自身も左舷側がひどく損傷しており、既に5基の連装両用砲は破壊され、
大火災が起こっている。
砲撃を行っている砲も後部砲塔がなぜか沈黙している。砲撃を行っているのは前部だけである。
「アイオワが頑張っているが、かなりやばい状況だな。」
B部隊の指揮官であるサウスダコタ艦長のブルース・ウッドワード大佐は額に汗を浮かべながら
そう呟いた。海戦は3つの海域で行われている。
まずこの戦艦同士の海戦、次に巡洋艦同士の砲戦が行われているここから8マイル南西の海域、
そして軽巡オークランドが率いる水雷戦隊と小型戦列艦が戦っているここから12マイル離れた
西の海域。
ここで死闘が繰り広げられている。やがて、増援に向かった各部隊の指令艦から報告が入ってきた。
「こちら重巡ニューオーリンズ、敵巡洋艦部隊との交戦を開始せり、既に重巡キャンベラとホノルルが
大破、落伍せり。」
「こちら駆逐艦バターソン、敵艦と戦闘を開始、軽巡オークランド、駆逐艦バグリーが大破、落伍、
駆逐艦ベネットが沈没せり。」
各艦の通報から、A部隊がどれだけ苦しい戦いを迫られていたかがよく分かる。
「戦力分散のつけが一気に来たな。」
ウッドワード大佐はしかめっ面でそう呟いた。この時、急にアイオワが右に回頭し始めた。
もはや危険な状態になりつつあるのだろう。
現に左舷側からもうもうと黒煙を噴出している。それにアイオワ自身のスピードもどことなく遅い。
彼らは知らなかったが、この時、撤退していくアイオワを見て、バーマント軍の3隻の重武装戦列艦
の乗員たちは、狂喜していた。
だが、彼らの喜びは続かなかった。先のどでかい戦艦よりは少々形は小さいが、それでも彼らの
艦より巨大な軍艦が、今度は2隻も現れたのだ。
2隻の大艦は戦列に入ってくるなりいきなり主砲をぶっ放してきた。
だが、3隻のバーマント艦もアイオワを大破させ、戦列から追い払ったため、士気は旺盛だった。
それに射撃の精度も増しているため、余計に始末が悪い。
「左主砲戦!サウスダコタ目標、敵3番艦!ワシントン目標、敵4番艦!」
ウッドワード大佐は、それぞれの目標を決めた。まず、サウスダコタは火災を上げつつも、
いまだに戦列に留まっている3番艦を狙うことにした。
「発射準備よし!」
「撃ち方始めぇ!」
各砲塔の1番砲が吼えた。その時、敵艦もサウスダコタ、ワシントンに向けて33・8センチ砲を放った。
20秒後に2番砲が撃つ。その時、風邪を切り裂く音が聞こえてきた。次の瞬間、サウスダコタの
左舷側1000メートルの海域に水柱が立ち上がった。
敵3番艦の右舷にはそれ以上の水柱が立ち上がった。
20秒後に3番砲が放たれる。その間に第2弾が落下した。位置は先とあまり変わらない位置だ。
敵バーマント艦は3番艦と4番艦がサウスダコタを、5番艦がワシントンを狙っている。
「ワシントンに1弾命中!」
彼らは知らなかったが、この時、撤退していくアイオワを見て、バーマント軍の3隻の重武装戦列艦
の乗員たちは、狂喜していた。
だが、彼らの喜びは続かなかった。先のどでかい戦艦よりは少々形は小さいが、それでも彼らの
艦より巨大な軍艦が、今度は2隻も現れたのだ。
2隻の大艦は戦列に入ってくるなりいきなり主砲をぶっ放してきた。
だが、3隻のバーマント艦もアイオワを大破させ、戦列から追い払ったため、士気は旺盛だった。
それに射撃の精度も増しているため、余計に始末が悪い。
「左主砲戦!サウスダコタ目標、敵3番艦!ワシントン目標、敵4番艦!」
ウッドワード大佐は、それぞれの目標を決めた。まず、サウスダコタは火災を上げつつも、
いまだに戦列に留まっている3番艦を狙うことにした。
「発射準備よし!」
「撃ち方始めぇ!」
各砲塔の1番砲が吼えた。その時、敵艦もサウスダコタ、ワシントンに向けて33・8センチ砲を放った。
20秒後に2番砲が撃つ。その時、風邪を切り裂く音が聞こえてきた。次の瞬間、サウスダコタの
左舷側1000メートルの海域に水柱が立ち上がった。
敵3番艦の右舷にはそれ以上の水柱が立ち上がった。
20秒後に3番砲が放たれる。その間に第2弾が落下した。位置は先とあまり変わらない位置だ。
敵バーマント艦は3番艦と4番艦がサウスダコタを、5番艦がワシントンを狙っている。
「ワシントンに1弾命中!」
見張りの声が艦橋に響いた。ワシントンが先に敵弾を浴びてしまったのである。
だが、ワシントンの装甲は敵弾の貫通を許さなかった。
第3弾が敵艦の周囲に落下した。右舷側に2本、左舷側に1本、一気に夾叉を得た。
「ようし!いいぞ、その調子だ。」
その時、砲弾が落下してきた。3、4番艦の主砲、合計12門分の砲弾がサウスダコタの周囲に
ドカドカと落下してきた。ガーン!という衝撃が伝わり、35000トンの巨体は揺れ動いた。
敵弾はサウスダコタの左舷中央部に落下し、甲板上で炸裂した。
この被弾で40ミリ4連装機銃1基が叩き壊されたが、貫通しなかったので被害はそれだけである。
周囲の水柱が晴れるのを待ってから第4弾を放った。今度は敵艦を飛び越してしまった。
20秒後に第5弾が放たれた。第5弾は敵艦の周囲に落下し、再び夾叉を得た。そして次の第6弾で命中弾を得た。
敵艦の中央部にピカッと閃光が走り、中央部から猛烈な黒煙が噴出した。
「一斉撃ち方に切り替えろ!」
ウッドワード艦長はすかさずそう命令を発した。サウスダコタの主砲がしばらく鳴りを潜める。
サウスダコタが斉射を撃つ前に12発の敵弾が落下してきた。
3発がサウスダコタに命中した。1発は後部甲板の被装甲部に命中して第1甲板で炸裂し、
あたりをめちゃくちゃにぶち壊した。
2発は中央部に命中して5インチ砲1基を破壊したものの、分厚い装甲は貫けなかった。
「お返ししてやれ!」
サウスダコタの主砲が唸った。
16インチ砲9門の一斉射撃は物凄い轟音と共にサウスダコタ自身も揺さぶる。
そして距離14マイルの彼方にいる敵戦艦の周囲に、水柱が高々と上がった。そして命中弾の閃光も2つ確認した。
「2弾命中!」
だが、ワシントンの装甲は敵弾の貫通を許さなかった。
第3弾が敵艦の周囲に落下した。右舷側に2本、左舷側に1本、一気に夾叉を得た。
「ようし!いいぞ、その調子だ。」
その時、砲弾が落下してきた。3、4番艦の主砲、合計12門分の砲弾がサウスダコタの周囲に
ドカドカと落下してきた。ガーン!という衝撃が伝わり、35000トンの巨体は揺れ動いた。
敵弾はサウスダコタの左舷中央部に落下し、甲板上で炸裂した。
この被弾で40ミリ4連装機銃1基が叩き壊されたが、貫通しなかったので被害はそれだけである。
周囲の水柱が晴れるのを待ってから第4弾を放った。今度は敵艦を飛び越してしまった。
20秒後に第5弾が放たれた。第5弾は敵艦の周囲に落下し、再び夾叉を得た。そして次の第6弾で命中弾を得た。
敵艦の中央部にピカッと閃光が走り、中央部から猛烈な黒煙が噴出した。
「一斉撃ち方に切り替えろ!」
ウッドワード艦長はすかさずそう命令を発した。サウスダコタの主砲がしばらく鳴りを潜める。
サウスダコタが斉射を撃つ前に12発の敵弾が落下してきた。
3発がサウスダコタに命中した。1発は後部甲板の被装甲部に命中して第1甲板で炸裂し、
あたりをめちゃくちゃにぶち壊した。
2発は中央部に命中して5インチ砲1基を破壊したものの、分厚い装甲は貫けなかった。
「お返ししてやれ!」
サウスダコタの主砲が唸った。
16インチ砲9門の一斉射撃は物凄い轟音と共にサウスダコタ自身も揺さぶる。
そして距離14マイルの彼方にいる敵戦艦の周囲に、水柱が高々と上がった。そして命中弾の閃光も2つ確認した。
「2弾命中!」
水柱が晴れると、敵3番艦の後部から猛烈な黒煙が吹き出ていた。そして敵艦が発砲してきた。
敵3番艦は前部2門の主砲しか使えなくなっていた。
1発がサウスダコタの後部第3砲塔に命中した。
だが、40センチ砲弾にでも耐えられるように作られた砲塔は、敵弾をあっさりと跳ね飛ばしてしまった。
「敵4番艦も大火災!」
ワシントンの砲撃を受けている敵4番艦も後部と中央部から火災を起こしている。
だが、敵艦隊のスピードは相変わらず23ノットをキープしている。
第2斉射が放たれた。砲弾は敵3番艦の中央部に1発命中し、度重なる被弾で悲鳴を上げていた艦体は、
ここにして限界に達した。
「敵3番艦は戦闘力を失いつつある。」
ウッドワード艦長は満足げに頷いた。太平洋戦線では日本艦載機の攻撃を受けたり、敵艦の集中砲火を浴びたりなど、
いい所を見せられなかったサウスダコタだが、ここに来て自身の持つ戦闘力を十二分に発揮できている。
その事が彼は嬉しかった。
その時、敵弾が落下してきた。そして着弾の瞬間、ズガーン!という耳を劈くような轟音が聞こえた。まさか、
「敵弾4、前部に落下!第2砲塔の電路切断!砲操作不能!」
不運なことに、4発の敵弾がまとまって全部に落下したことにより、衝撃で電路が切断してしまったのである。
「残りで砲撃を続ける!敵3番艦に止めを刺すぞ!」
彼の号令の元、第3斉射が放たれる。そして、その砲弾は2発が敵3番艦を打ち据えた。
次の瞬間、敵3番艦がぶれて見えたと思うと、いきなり中央部から大爆発を起こした。
中央部から真っ二つに割れた敵3番艦は、艦首と艦尾をせり立てて、5分も立たずに海面に引き込まれていった。
「敵3番艦、轟沈!続いて敵4番艦沈黙、速度落としています!」
バーマント軍と米軍の態勢が逆転した瞬間だった。
敵3番艦は前部2門の主砲しか使えなくなっていた。
1発がサウスダコタの後部第3砲塔に命中した。
だが、40センチ砲弾にでも耐えられるように作られた砲塔は、敵弾をあっさりと跳ね飛ばしてしまった。
「敵4番艦も大火災!」
ワシントンの砲撃を受けている敵4番艦も後部と中央部から火災を起こしている。
だが、敵艦隊のスピードは相変わらず23ノットをキープしている。
第2斉射が放たれた。砲弾は敵3番艦の中央部に1発命中し、度重なる被弾で悲鳴を上げていた艦体は、
ここにして限界に達した。
「敵3番艦は戦闘力を失いつつある。」
ウッドワード艦長は満足げに頷いた。太平洋戦線では日本艦載機の攻撃を受けたり、敵艦の集中砲火を浴びたりなど、
いい所を見せられなかったサウスダコタだが、ここに来て自身の持つ戦闘力を十二分に発揮できている。
その事が彼は嬉しかった。
その時、敵弾が落下してきた。そして着弾の瞬間、ズガーン!という耳を劈くような轟音が聞こえた。まさか、
「敵弾4、前部に落下!第2砲塔の電路切断!砲操作不能!」
不運なことに、4発の敵弾がまとまって全部に落下したことにより、衝撃で電路が切断してしまったのである。
「残りで砲撃を続ける!敵3番艦に止めを刺すぞ!」
彼の号令の元、第3斉射が放たれる。そして、その砲弾は2発が敵3番艦を打ち据えた。
次の瞬間、敵3番艦がぶれて見えたと思うと、いきなり中央部から大爆発を起こした。
中央部から真っ二つに割れた敵3番艦は、艦首と艦尾をせり立てて、5分も立たずに海面に引き込まれていった。
「敵3番艦、轟沈!続いて敵4番艦沈黙、速度落としています!」
バーマント軍と米軍の態勢が逆転した瞬間だった。
午後9時30分、海戦は終わった。
敵重武装戦列艦の4番艦が戦闘能力を失った後、サウスダコタとワシントンは、逃げる敵5番艦を
追い越して7マイルの距離から16インチ砲を多数叩きつけて撃沈した。
この初めての激戦で、米海軍は軽巡洋艦ホノルル、駆逐艦ベネット、セルフブリッジ、
モンセイを失い、戦艦アイオワ、重巡洋艦ウィチタ、軽巡洋艦オークランド、駆逐艦モンセイが大破し、
戦艦サウスダコタ、重巡キャンベラ、軽巡モントピーリア、駆逐艦ヤーノールが中破し、
戦艦ワシントン、重巡洋艦ニューオーリンズが小破した。
これまでの戦いで、一気に4隻もの沈没艦が出たのは始めてである。
一方、健闘したバーマント第3艦隊はもっと悲惨だった。
米艦隊に立ち向かった事は確かに良かったが、性能の差はやはり埋められなかった。
重武装戦列艦5隻は全て撃沈されるか、降伏し、中型戦列艦6隻のうち、4隻が沈められ、2隻が大破している。
小型戦列艦は12隻全て失われ、3隻高速戦列艦は2隻、高速小型艦は6隻を失った。
残りの艦艇は、よろけるようにして母港へと帰っていった。
この海戦は、比較的沿岸に近い海域で行われたため、付近の住民は何事かと、
無数に明滅する海面にずっと見入っていた。
この海戦は後に第3次サイフェルバン沖海戦と呼ばれた。
敵重武装戦列艦の4番艦が戦闘能力を失った後、サウスダコタとワシントンは、逃げる敵5番艦を
追い越して7マイルの距離から16インチ砲を多数叩きつけて撃沈した。
この初めての激戦で、米海軍は軽巡洋艦ホノルル、駆逐艦ベネット、セルフブリッジ、
モンセイを失い、戦艦アイオワ、重巡洋艦ウィチタ、軽巡洋艦オークランド、駆逐艦モンセイが大破し、
戦艦サウスダコタ、重巡キャンベラ、軽巡モントピーリア、駆逐艦ヤーノールが中破し、
戦艦ワシントン、重巡洋艦ニューオーリンズが小破した。
これまでの戦いで、一気に4隻もの沈没艦が出たのは始めてである。
一方、健闘したバーマント第3艦隊はもっと悲惨だった。
米艦隊に立ち向かった事は確かに良かったが、性能の差はやはり埋められなかった。
重武装戦列艦5隻は全て撃沈されるか、降伏し、中型戦列艦6隻のうち、4隻が沈められ、2隻が大破している。
小型戦列艦は12隻全て失われ、3隻高速戦列艦は2隻、高速小型艦は6隻を失った。
残りの艦艇は、よろけるようにして母港へと帰っていった。
この海戦は、比較的沿岸に近い海域で行われたため、付近の住民は何事かと、
無数に明滅する海面にずっと見入っていた。
この海戦は後に第3次サイフェルバン沖海戦と呼ばれた。