グレープ(ぐれーぷ)は、羽村市動物公園で生まれ、東武動物公園で飼育されていたオスのフンボルトペンギン。

基本情報
種族 フンボルトペンギン(Spheniscus humboldti)
愛称 グレープ君、グレープおじいさん、グレ爺
職業 飼育動物(Wikipediaより)
生年月日 1996年4月16日
生誕地 羽村市動物公園
死亡年月日 2017年10月12日
死没地 東武動物公園
関連性 東武動物公園のペンギン舎に設置された『けものフレンズ』のフンボルトペンギン(フルル)の
キャラクターパネルを見続けていたことで「二次元に恋したペンギン」として国内外で話題になる
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生涯

1996年4月16日、東京都羽村市の羽村市動物公園で生まれる。

同園では個体識別のためにオスは左翼*1の付け根に翼帯(リング)を着けており、その色が紫色であったことから「グレープ」と命名された。その後、グレープは同園でメスのフンボルトペンギン「ミドリ」とつがいになった。

2007年、埼玉県宮代町にある東武動物公園でペンギン舎が新造されたため、ミドリとともに移されることとなった。なお、同園での個体識別の翼帯は、オスは右翼に、メスは左翼に着けているが、グレープの翼帯は右翼に着け直されることはなく、生涯を通じて左翼の紫リングがトレードマークであり続けた。

2009年にはミドリとの間に1羽の子*2をもうけたものの、2010年ごろにミドリが若いオスのフンボルトペンギン「デンカ」とつがいになったため、グレープとのペアは解消*3された。

また、詳細な時期は不明だが足を負傷したため、治療生活の過程で飼育員から優しくされることとなった。そのためか、怪我が完治しても自ら餌の魚を獲らず、飼育員が口元に運んでくるのを待つほどの甘えん坊な性格になったという。

「二次元に恋したペンギン」

2017年4月22日から6月25日にかけて、東武動物公園は「けものフレンズ」とのコラボレーション企画を開催し、26体のアニマルガールのキャラクターパネルが動物展示場各所およびその周辺に設置された。

ペンギン舎ではフンボルトペンギンのパネルが岩上*4に設置されたが、グレープは設置初日からこのパネルに強い関心を示したようにパネルをじっと見つめていたほか、給餌の時間にも食事をとらずパネルの前を離れない姿が連日見られたため、来園者の間で話題となった。この件は「フルルに恋をしているのでは」として瞬く間にTwitter上で話題になり、ネットニュースやワイドショーでも取り上げられた結果、「二次元に恋したペンギン」として国内だけではなく海外でも認知されることとなった。
そして、飼育係による解説から「グレープ」の個体名や独り身となった来歴が話題を集めることとなり、21歳という高齢(人間に換算すると80歳ほどにあたる)から「グレープおじいさん」「グレ爺」という愛称がつけられた。また、5月4日にはテレビアニメ『けものフレンズ』でフンボルトペンギン役を務めた築田行子がグレープとの対面を果たしている。*5

コラボレーション企画の終了翌日の6月26日、東武動物公園と『けものフレンズ』の再度のコラボレーション企画が発表され、フンボルトペンギンのパネルは特別に同日以降も設置され続けることとなった。また、9月3日夜にニコニコ生放送チャンネル「東武動物公園 ZOOっと友達 チャンネル」で放送された『けものフレンズとのコラボイベント最後の夜』内にて、「フルル継続」の紙と共にイベント終了後のパネル設置継続が発表され、実に半年近くもパネルが展示されることとなった。
なお、パネルのイラストはテレビアニメ『けものフレンズ』*6のものではなく、吉崎観音によるイラストを一貫して使用していた。

「恋した」理由の考証

グレープがパネルの側から離れなかった理由について、以下のような可能性が挙げられている。
  • メスのペンギンと誤認している
    ペンギンの求愛行動である「上をむいて背を伸ばし、羽を広げて鳴く」ような行動を来園者がたびたび目撃していたため、「グレープはパネルを『同じフンボルトペンギンのメス』だと思い求愛しているのではないか」という説が広がった。この説が「二次元に恋したペンギン」という評価を広めるに至ったが、同園の広報担当は「メスとは認識していないのではないか」と推測している。
  • 餌給担当の飼育員と誤認している
    ペンギンの飼育担当である山田飼育員によれば、グレープは加齢に伴い視力が衰えているため、パネルを人間、とりわけ給餌担当の飼育員と間違えている可能性があることを指摘している。グレープは餌のアジを飼育員から直接食べさせて貰いたがるほど人懐こい性格のため、信憑性の高い説となっている。ただし、給餌時間以外でも四六時中パネルの側にいるため、飼育員誤認説を疑問視する声もある。
  • パネルを設置した岩の周辺を気に入っている
    山田飼育員によれば「ペンギンにはそれぞれの個体に気に入った場所があり、時間とともに場所が移り変わることもある」という。その点から「グレープの気に入った場所が、たまたまパネルを設置している岩周辺に移ったたからではないか」とも推測している。

死去

2017年10月10日ごろより、食欲があるにもかかわらず体重の減少と挙動の違和感が見られたため、翌10月11日より展示を中止してバックヤードで静養することとなった。また、パネルも静養中のグレープのそばに移され、台風18号のために9月17日午後から9月18日朝にかけて一旦撤去されたのを除き、4月からのコラボレーション開始以来初めてパネルがペンギン舎から取り除かれることとなった。

静養当初のグレープは食欲もあり羽繕いをするなど元気そうであったが、その様子に違和感を覚えたペンギン担当の山田飼育員は泊まり込みで観察に当たることとなった。
翌10月12日朝には自力で起き上がれなくなり、獣医により点滴が行われた。14時に根本飼育員が声をかけた時には首を上げるなど反応を示していたが、その後容態が急変し、獣医による処置もむなしく14時30分頃に死亡した。特に苦しむ様子はなく、安らかに死を迎えたという。死因は老衰に伴う腎不全であった。

グレープの死去は翌10月13日に報告*7され、けものフレンズファンの間では深い悲しみに包まれることとなった。
この訃報はTwitterの世界トレンド10位に入るほどの反響を呼び、国内だけにとどまらず、BBCを筆頭として世界のマスメディアでも報道された。
同園では10月14日から10月22日まで園内に献花台とメッセージボードが設けられ、のちに台が拡張されるほどの沢山の花束やグレープジュース、ワイン等が手向けられた。その献花台には半年にわたってペンギン舎に設置されていたパネルとともに、吉崎観音から新たに寄贈された記念のイラストパネル*8が設置された。そのイラストは、フンボルトペンギンの「フルル」が左腕に紫色の腕章をつけて、グレープと連れ添っているものであった。
同年11月11日と25日には追悼イベント「秋のグレープ感謝祭」*9が開催され、多くのファンが参加した。11日夜には飼育係によるトークショー「YMDとNMTのグレープメモリーナイト」が開催され、築田行子も本人の希望によりゲストとして登壇した。

影響

同園のペンギン担当である山田飼育員は、時事通信社による取材や10月14日のニコニコ生放送において「これまで『東武のペンギン』として一まとめに扱われていたものを、それぞれ名前を持った『個』として見てもらえるようにしたグレープの功績は大きい」と語っている。

実際にグレープへの注目以後、ペンギン舎への来場者数は以前の約20倍にまで増加した。そのため、同園で飼育されているフンボルトペンギンは個体別によく認知されており、現在でもペンギン舎で行われている動物解説や給餌体験イベントは、同園屈指の人気を誇っている。

けものフレンズのフンボルトペンギン役の声優である築田行子にとってもグレープは思い入れの深い存在であり、折に触れてグレープについての思い出を語っているほか、2020年10月12日にはジェンツーペンギン役の田村響華を伴って東武動物公園を訪問している。

けものフレンズとの関係

けものフレンズプロジェクトにおいても、知名度の向上にグレープの存在が大きく寄与したことから、その後のコンテンツにおいてグレープを偲んだ要素が追加されることとなった。
特に、フルルのキャラクターソング『やくそくのうた』はグレープを想起させる内容になっており、ライブにおいては会場が紫色のサイリウムで覆いつくされるなと、フルルのイメージカラーにピンクのほかに紫色があげられることが多くなった。

また、けものフレンズVプロジェクトの「フンボルトペンギンちゃんねる」では、2021年10月12日の配信にて『やくそくのうた』が歌唱され、グレープとのエピソードについて触れられる一幕があった。
『けものフレンズ3』のストーリーでは「フルルがグレープ味のジャパリまんじゅうを食べる」シーンが描かれているほか、PPPの楽曲『フルーツ!フルーツ!フルルーツ?』はグレープとの関係を踏まえており*10、メインの歌唱担当を務めるフルル(CV. 築田行子)が「グレープ」という歌詞を発する場面がある。

フンボルトペンギンのアニマルガールである「フルル」の服のデザインは、『けものフレンズ2』以降はグレープの誕生星座である牡牛座の形をした斑点が追加されるようになった。

KFPアンチによる誹謗中傷への利用

グレープの死去はたつきショックから間もない頃の出来事であったため、インターネット上では「けものフレンズというコンテンツの終焉」であるとする風潮が生まれていた。これらを受けてKFPアンチの一部では「たつきを降板させたことでグレープがショック死した」すなわち「カドカワがグレープを殺した」と主張されていた。
また、後の『けものフレンズ3』での「フルルがグレープ味のジャパリまんじゅうを食べる」描写に対しては「グレープの死体をミンチにしてじゃぱりまんに混ぜ、フルルに食べさせた」という解釈をして、『けものフレンズ3』への批判、KFPへの中傷に用いていた。*11
ジン @otobokemaru
けもフレ3、さすがにこれはもうかなり
笑えない域に達してるのだけれども
フルルにグレープ味のジャパまん発言て
意味が分からん・・・
午前9:52 · 2020年1月10日·Twitter for Android
ジン @otobokemaru
フルルにグレープ君を食わせるとも
取れる描写過ぎて悲しくなってきた・・・
午前10:04 · 2020年1月10日·Twitter for Android

関連項目

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最終更新:2022年11月15日 23:16

*1 ペンギン科の鰭状の翼は「フリッパー」と通称されている。

*2 この子供は卵の状態で江戸川区の江戸川区自然動物園に送られて2009年6月3日に孵化し、「はんぺん」と命名された。

*3 通常、ペンギン科の鳥は一旦つがいになると片方が死ぬなどして失われない限り、ペアを変えない傾向が強い。デンカの誕生は2010年春でありミドリとは大きく歳の離れたつがいだったが、デンカは2018年1月25日に死去している。

*4 後にこの岩は飼育員や訪れるファンからは「フルル岩」と呼ばれるようになった。

*5 築田はグレープが話題になった頃から「グレープ君に挨拶に行きたい」と語っており、グレープに関するニュースには「グレープ君の写真を見ていると娘を見守っている感覚になる」とも語っている。

*6 テレビアニメ『けものフレンズ』のキャラクターデザイン担当はirodoriの伊佐佳久。

*7 東武動物公園【公式】リュウくんの2017年10月13日のツイート

*8 このイラストは展示パネル化され、コラボレーションの際には従来のパネルに代わってペンギン舎の岩上に設置されるようになった。

*9 同イベントは10月9日に「秋のグレープ祭り」として11月に開催する旨告知されていたが、グレープの死去に伴い「秋のグレープ感謝祭」に名称が変更された。

*10 どうぶつビスケッツ×PPP、グループの変化の中で強まった一体感 「これが新しいどうビスなんだな」 - Real Sound

*11 「けものフレンズ3」にグレープ味のジャパまんが登場 フルルが食いたがる - けもちゃん(魚拓)