周波数スペクトル

  • 周波数スペクトル(frequency spectrum)とは
 音源は様々な周波数の成分の混合であり、周波数が異なれば人間の耳には違った音として聞こえる。
 特定の周波数の音だけが聞こえる場合、それが何らかの音符の音として識別される。
 雑音は一般に様々な周波数の音を含んでおり、スペクトルが平坦な線となるノイズを(光の場合からのアナロジーで)ホワイトノイズと呼ぶ。

  • スペクトル解析(spectrum analysis)とは
 音は様々な周波数の成分から構成されており、周波数毎の強さを定量的に求める処理をスペクトル解析と呼ぶ。
 関数のフーリエ変換によってスペクトルが生成され、逆変換によって元の関数が合成される。
 逆変換による再現を可能とするには、各周波数の強さ(振幅)だけでなく、位相を保持しなければならない。
 各周波数の成分は2次元ベクトルまたは複素数で表されるか、大きさと位相(極座標系)で表される。
 図示する場合は、一般に大きさだけを示し、これをスペクトル密度とも呼ぶ。
 逆変換が可能であるため、フーリエ変換は関数の表現の一種であり、時間の関数を周波数の関数に変換したものである。
 これを周波数領域表現と呼び、時間領域で適用可能な線形な操作は、周波数領域でも容易に行える。

  • 周波数領域とは
 時間領域のグラフは信号が時間と共にどう変化するかを表すが、周波数領域のグラフはその信号にどれだけの周波数成分が含まれているかを示す。
 周波数領域には、各周波数成分の位相情報も含まれ、それによって各周波数の正弦波を合成することで元の信号が得られる。
 周波数領域の解析では、任意の波形が正弦波の合成によって得られるというフーリエ級数の概念に基づき、フーリエ変換やフーリエ級数を使って関数を周波数成分に分解する。
 実際の信号を周波数領域で視覚化するツールとしてスペクトラムアナライザがある。
  • 振幅と位相
 ラプラス変換(s変換)、Z変換フーリエ変換を使うと、周波数スペクトルは各周波数の振幅と位相の複合したものとして表される。
 多くの応用においては位相情報は重要でなく、位相情報を捨てると周波数領域を表現する情報は簡略化でき、これを一般に周波数スペクトル(スペクトル密度)と呼ぶ。
 スペクトラムアナライザはこのスペクトルを表示する。
 パワースペクトル密度は周波数領域の表現の一種であり、周期的でない信号や二乗可積分でない信号にも適用可能であり、パワースペクトル密度での信号は単に定常過程の出力であればよい。

  • ホワイトノイズのスペクトル解析
 無作為な(確率論的)波形(例えばノイズ)のフーリエ変換結果も無作為的になる。
 周波数成分を明確化するには何らかの平均化が必要であり、一般にはデータを一定区間に分割してそれぞれの区間毎に変換を行い、振幅成分(またはその二乗)の平均を計算
するのが、デジタイズされた時系列データでの離散フーリエ変換で一般的な手法である。
 結果が平坦な線になる場合がホワイトノイズである。

最終更新:2009年08月14日 01:56
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