デシベル

  • ベル(B)とは
 ある物理量を基準となる量との比の対数によって表す(レベル表現)際に、対数として底が10である常用対数を採る場合の単位がベル(bel,B)である。
 二つの基準値AとBに10xの比があるとき、これをx[B]とする量である。
 すなわち、ある基準量Aに対するBの比がXベルであるとき、***の関係がある。
  • デシベルとは(decibel,dB)とは
 電気工学や振動・音響工学などの分野で使用される無次元の単位。
 ベルで表される量を10倍したものを表すために、ベル[B]に10-1を意味するSI接頭辞であるデシ[d]を付けた単位が、デシベル[dB]である。
 レベル表現の単位としては、ベル[B]がそのまま用いられることは少なく、通常はデシベル[dB]が用いられる。
 ある基準値Aに対するBのレベル表現をデシベル[dB]によって表すと、***[dB]となる。

 デシベルによる表現は、音の強さ(音圧レベル)や、電力の比較、減衰量などをエネルギー比で表すのに使用される。
 オペアンプなど増幅器の、入力と出力の電圧比(利得、ゲイン)をあらわす単位としても用い、次の換算式にあてはめて求める。
 *** [dB] [dB]
(ただし、G:デシベル換算した入力/出力比 x:入力 y:出力)

 電圧比の2乗が電力比だから、先の電力比の定義式を電圧比に書き換えると対数の係数が2倍の20となる。

 入力と出力の比は、0に近い数値から、100万単位の非常に大きな数値まで幅広い桁数を取る可能性があるので、このような措置をとる。

 電力は電圧(あるいは電流)の2乗に比例するので、10倍の電圧(電流)比は100倍の電力比となり、デシベルで表すと20dBになる。
 音圧レベルについても同様である。

 音圧レベル、振動加速度レベル、電磁波の減衰量の3量については、計量法においてデシベルを定めている。
 音圧レベル、振動加速度レベルは、音圧(Pa)および振動の加速度(m/s²)に基づいて定義された、レベル化表現した量(絶対デシベル)である。
 電磁波の減衰量は、相対比をデシベル表現したもの(相対デシベル)である。

<絶対値としてのデシベル>
 デシベルは本来二つの電力の比を表す次元のない量であるが、工学では慣習により絶対基準値を定めて絶対単位として使うことが広く行われている。
  • dB(音の強さレベル)
 音の強さレベル(単位断面積を単位時間に通過する音のエネルギー)の単位は(W・m-2)であるが、10-12W・m-2を基準値(0dB)とした値をdBで表す。
  • dBSPL(sound pressure level,音圧)
 音圧(音を構成する空気の圧力の実効値)の単位はパスカル(Pa)であるが、2×10-5Paを基準値(0dBSPL)とする。
  • dBm
 1mWを基準値(0dB)とする。
 例えば、600Ωの抵抗負荷に1mWの電力を供給するのに必要な交流電圧は、約0.775Vrmsである。
  • dBv,dBu
 0.775Vを基準値(0dB)として、電圧の強さをdBで表す。
 負荷のインピーダンスは無関係。
 主に業務用オーディオ機器で利用される音声信号レベルの基準である。
  • dBV,dBs
 1Vを基準値(0dB)としたもので、電圧の強さをdBで表す。
 負荷のインピーダンスは無関係。
 主に家庭用オーディオ機器で使われる音声信号レベルの基準である。
 通常のマイクロホン出力が-40dB(10mVrms)~-50dB(3mVrms)程度。
  • dBi
 アイソトロピックアンテナ(全ての方向に均等に電波を放射する仮想的なアンテナ)を基準としたアンテナの利得。
 ダイポールアンテナを基準にする場合はdBdまたは単にdBと表す。
 dBi表記はdBdより2.14大きい。
  • dBμ
 1μVrms(0.000001Vrms)を基準値(0dB)とする。
 主に無線通信の分野で使用される。
  • dBμEMF,dBμ(emf)
 無線通信の分野で高周波信号発生器(SG)の出力電圧を表現する場合、SGの出力を信号源インピーダンスで終端したときの電圧(終端電圧)で表現する場合と、SGの出力を開放したときの電圧(開放電圧)で表現する場合がある。
 両者は6dBの差があり、開放電圧で表現する場合は、dBμに続けてEMF(Electro Motive Forceの略)と付記する。
 例えば50Ωの場合、113dBμEMFと107dBμはどちらも同じであり約0dBmである。
 日本では、業務用無線機やPDC方式携帯電話機で、dBμEMFが使われることが多い。
 米国やアマチュア無線では、dBμが使われることが多い。
 -6dBμの受信感度の業務無線機と、-12dBμの受信感度のアマチュア無線機は、どちらも同じ受信感度であるが、アマチュア無線機のほうが受信感度が良いと誤認するおそれがある。
 dBmで表示すれば間違うおそれはない。

<相対値としてのデシベル>
 相対的な値であるデシベルは「基本の電圧(または電力)との比」を対数で示すものである。
(「元の値との倍率」と「電圧比・電力比」のdB表記)
倍率(比) 電圧比 電力比
1倍 0.00dB 0.00dB
2倍 6.02dB 3.01dB
3倍 9.54dB 4.77dB
5倍 13.98dB 6.99dB
10倍 20.00dB 10.00dB
50倍 33.98dB 16.99dB
100倍 40.00dB 20.00dB
500倍 53.98dB 26.99dB
1000倍 60.00dB 30.00dB
5000倍 73.98dB 36.99dB
10000倍 80.00dB 40.00dB
 「1Vが100Vに」なら「40dB上昇」、「1Wが100Wに」なら「20dB上昇」と呼ぶ。

最終更新:2009年08月09日 21:33
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。