2ちゃんねる(ネット勢力)について

 2ちゃんねるは掲示板形式の、アマチュア・メディアである。

 大まかなジャンルを「板」という形で分割し、さらにその板のなかのテーマでさらに細分化したものや時事的なものなどを「スレッド(通称スレ)」という形で構成している。板は新設されたり廃絶されることは頻繁にはないが、スレッドは板によって更新がなくとも年単位で保存されている場もあれば、数時間・数十分単位で消去がなされる場もある。


 利用者の年齢・性別・職業などのいわゆるスペックはハッキリとせず、男・ニートが多いとされることもあるが、もちろん女も当然いれば、工作員と呼ばれる者がいることもある。しかしどれも自己言及と他人によるレッテル貼りばかりであり、明確なものではない。


 ちなみに元2ちゃんねる管理人の「ひろゆき」曰く「2ちゃんねるのユーザーで一番多いのは30代後半。活字にアレルギーがない人じゃないと使えない。今の本当に若い人は、時間をかけて活字をそこまで読めない」(「博士の異常な鼎談」より)。



街としての2ちゃんねる

 2ちゃんねるは、大きな街のようなものである。「板」という通りに面した「スレッド」という部屋に、人々が集まる。人の出入りがなくなった部屋は潰される。この部屋の新設と廃絶は、ほぼ同じスピードで行われ、一方的に新設ばかりされたり廃絶ばかりされることはほとんどない。

 「詩板」や「創発(創作発表)板」、「創文(創作文芸)板」「哲板(哲学板)」などは、あまりスレッドの交換(新設と廃絶)が行われず、またパートスレも多い。スレッドを部屋と見なす比喩がきれいに当てはまる板である。

 「VIP(ニュー速VIP)」などの出入りの特に激しい板は、頻繁にスレッドの交換が行われ、パートスレもあるものの利用しない外部からは嫌われる傾向にあり、また新しいスレッドがまったく人が集まることなく(クソスレ)潰れることも多い。街としての比喩があまり当てはまらない板である。

 上記の2つのように極端にスレッドの交換や人の集まり(総称して「流れ」や「勢い」という)が遅かったり早かったりする板もあれば、「オカ板(オカルト板)」のように割と中庸的な流れを保持している板もある。VIPのように面白半分で人も集まるし、哲板のように議論目的で集まることもあれば、パートスレでROM専(発言せずに流れを見る専門)になる人の多いスレがあったりもする。

 特定のパートスレなどに頻繁に訪れる人のことを「住人」と称することがあるが、VIPなど板のコンセプトが明確ではない(使用者の感覚では、流れの早さこそがコンセプトで、集まる人が求めるものが多様になってしまう)では定着してもスレの交換が激しいため常時居つく人はさほど多くなく、さながらタコ部屋の様相を呈することもある。逆にコンセプトのハッキリとしたオカ板や詩板などでは定期的に発言をする人がいるような安定した状態であることが多い。この安定した状態こそが、「スレ=部屋」であり、「居つく人=住人」という比喩が当てはまりやすいパターンである。



衰退


 ここ数年、とくにニコニコ動画やTwitterが台頭してからは、2ちゃんねるをまったく利用しなくなった。これが俺の独り善がりな主観なのは云わずもがなだが、先日久しぶりにvipのパースレであるbnskの現状を見ようとしたら、スレがなかった。数日ヲチしていたが、気づかぬうちに立てられては気づかぬうちに落ちて、探してみようと思ったその瞬間にはスレがないということが続いた。結局、避難スレをちらっと見ただけで、本スレには辿りつけなかった。

 とあるまとめブログで、「ステマ」が取り上げられた。「ステルスマーケティング」の略で、CM(コマーシャルメッセージ。TVなどの映像に限らず、商品の販促に関するもの)とは知らせずに、あくまで「一般」を装ってCMを流すこと。2011年のフジ騒動からこちら、フジTVの随所で韓国の情報を紛らせるなどのステルスマーケティングを疑わせるようなものが多々あり、また食べログでのステルスマーケティングに対して法的措置を検討するニュースも流れた。これは2ちゃんねるに限らず、Twitterなどでもあきらかに商品の販促しかツイートしないアカウントがはびこっていたり、Amazonへ誘導するリンクばかりを呟くアカウントもある。またブロガーやブログをしているタレントが特定の商品や企業に肩入れし、あからさまに偏向していることをまとめたページもある。

 こういったステルスマーケティングの真偽は他に任せるとしても、現在のネットの意義は、TVや新聞・ラジオなどの既存のニュースでは、規制や権力関係などで流されないニュースや情報を、雑多ではあっても得られるという点にある。ところが商品や企業に関する情報というのは、とくに汚されていると疑ってしまうことになる。実際、俺は自分から検索するでもない限り、特定商品に関する情報が流れてきても、相手にしないようにしている。その情報を疑うようにしたとして、それがネガティブキャンペーン(競合他社などをけなす情報。ペプシがコカコーラをけなすようなパターン。ネガキャンと略される)であった場合は、結局そのネガキャンに乗せられることになってしまう。つまり2ちゃんねるに限らず、ネット上での商品に関する情報とは、操作されている可能性が常につきまとうようになってしまっている。

 一時期は、ネットで商品を探す場合は「○○(商品名) 2ch とは」と検索すれば、その商品に関する情報(「○○とは」といったようなもの)が気軽に調べられる、という利点があったが、既に過去となってしまった。そういった利便性は、ネットから消えている。
 また2ちゃんねるを見なくとも、まとめブログで事足りる……といったことも云える。特定の目的があって或るパースレや板を見るというのはいいが、とくに興味のない板などから情報を収集するというには、2ちゃんねるはあまりに収集率が悪く、良し悪しは別としても、まとめブログに任せてしまいがちになる。またどうせまとめブログを「メディア崩れ」として偏向的な情報ばかり流していると見れば、わざわざ2ちゃんねるに赴いてまで疑うという手順を省くことにもなる。

 実際のネット事情はどうだかはわからない。あくまでも個人的な主観としては、2ちゃんねるは他のメディアに場を奪われたパッとしない掃き溜めと化してしまった感がある。


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最終更新:2012年01月05日 04:32
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