段ボールコンポスター

 段ボールコンポスタ(段ボールコンポスト)は、段ボールを利用した生ゴミなどを分解するもの。平たくいえば、段ボールに土を敷き詰め、野菜や食べ残しなどをそのなかに入れて分解させるという装置。
 生ゴミをピートモス等の基材とともに段ボール箱に入れ、その中で減量・堆肥化を行うもので、好気型コンポスターの一種である。


メリット
  • 容器の段ボールが安く簡単に手に入り、生ゴミを堆肥にするのに必要な保湿・水分調整の機能をもっているため、経済・機能の面で使い勝手がいい。
  • 庭のない集合住宅でも仕える。
  • ゴミが減量できる
  • 問題となるような悪臭が発生しにくい
  • 寒冷地でも使用できる
  • ランニングコストがかからない
  • エネルギーを消費しない


デメリット
  • 生ゴミの処理や切返しに手間がかかる
  • 完全な防虫は難しい
  • 容器が段ボールであることから耐久性に問題がある。許容量以上の生ゴミを入れると生ゴミの水分が段ボールにまで到達しふやけてしまう。
  • 虫の発生する恐れがある。アメリカミズアブやショウジョウバエなどは、慎重に管理すれば発生を防止できる。しかしながら、有機物を分解するダニの発生が認められるため、一般には屋外設置が原則となる。食料品等にダニが移らないようにしたい。



段ボールコンポストの作成方法と堆肥化方法

作成方法
 つくるときは、耐久性を考えなければいけない。薄いものより厚いものが丈夫になり、ガムテープよりテーピング用テープのほうが通気性があるため使いやすい。底の部分は水分でふやけたり破れやすいので、別の段ボールをあてがったり新聞紙で補強するのもいい。


 水分や空気(酸素)を保つことのできる素材がいい。簡単に手に入れられるココピートやオガコ(屑)がよく利用されている。ゴミを再利用するので、無料または安く入手できるならオガクズ・ワラなどで代用もできる。
 pHを9程度に保つのが望ましい(ph=7が中性。0に近いほど酸性で、高いほどアルカリ性)ため、アルカリ性に少し傾けるために、籾殻燻炭や竹炭などを混ぜることもある。ちなみにスナック菓子米菓の外袋に入っている乾燥剤の生石灰は、水に溶かすとアルカリ性になる(その際、発熱するので火気に注意しないといけない)。
 少し扱いにくくなるが、腐葉土を使うこともできる。腐葉土には好気性(酸素を好む)の土壌生物がたくさんいるため、コンポスタ作成初期の分解を早めることができる。
 例として、ノコクズにココピートや腐葉土を少し混ぜたものを土として使える。ココピートは輸入品が主なので、代わりとして木材チップ・削り屑・竹パウダーの利用などが見直されている。

堆肥化方法
1. 段ボールをテープで組み立て、土を8分くらい入れる。
2.底の部分の通気をよくするため、風通しのいいブロックなどの上に載せる。瓶ビールのケースのように、床と底とを離せるものを使う。
3.土を混ぜる。これは切り返しとも呼ばれ、ダマになっている土を砕いて酸素を供給するため。この際、段ボール箱を傷めないように注意する。
4.水を切った生ゴミを入れる。投入量の上限は、ミカン箱程度の大きさの段ボール箱を前提にすると、日量500グラムが上限の目安と考えていい。底の段ボールが湿っている場合は入れ過ぎといえる。
5.生ゴミが土で隠れる程度に混ぜる。生ゴミが段ボールに直接触れるとふやけて傷むので注意する。
6.虫が入らないようにする。Tシャツのえりと肩をミシンで縫い合わせたものが便利で、段ボールコンポスト全体を覆うことによって防虫を図る。
7.人が生活できる程度に、暖かく風通しの良いところに置く。冬は屋内に置くことになるが、屋外設置が原則である。
8.生ゴミは土の量に応じて毎日投入することができる。

 土が生ゴミの水分を吸収・分散して、余った水分は段ボールを通して蒸発する。なので段ボール箱の各面は、床や壁などから離さなければならない。
 生ゴミは好気性の微生物によって、最終的に二酸化炭素・水・硝酸塩に分解される。その過程で条件が整えば40℃以上に温度が上がるが、温度による防虫効果は期待しない方がいい。処理前の生ゴミに卵を産み付けられないように注意する必要がある。


具体的な作り方の例

材料
  • 段ボール箱……40リットル程度のもの
  • 箱の底と同じ大きさの段ボール……1枚
  • 籾殻燻炭(もみがらくん炭)……7リットル
  • ピートモス……15リットル
  • 箱を覆う布……古Tシャツなどを縫い合わせる
  • 布ガムテープ
  • 段ボールが乗るくらいの金網(バーベキュー用など)……1枚
  • レンガや角柱など、金網を載せるもの……適量
  • 園芸用スコップ

やり方

1 段ボールの底を、もう一枚の段ボール紙で二重にする(ほかの段ボール箱から切り取って用意)。段ボールの合わせ目は、ガムテープでよく貼り合わせ、スキマをふさぐ。段ボールのフタは切ったりせずそのまま使う。段ボールは、引越し用などの大きめのものがよい

2 もみがらくん炭とピートモスを入れ、スコップでよく混ぜる

3 レンガ(角柱でも)の上に金網を載せ、その上に段ボールを載せる。レンガと金網ではなく、ビールケースなどでもよい。これは、段ボール下部の通気性を保つため

4 生ゴミをスコップで混ぜ込む

5 フタをし、布(古いTシャツなどを縫い合わせて作るとよい)を全体にかぶせて虫よけにし、ベランダの奥など雨のかからない場所に置く。ビニールなどで覆ってはダメ


水分に気をつけて、土が湿ってきたらしばらく休ませたりピートモスを追加したりする。






準備するもの

  • 段ボール(縦30センチ、横45センチ、高さ30センチ程度のものと底敷き用として縦30センチ、横45センチ程度のもの、二重のものが望ましい)
  • ピートモス 15リットル
  • くん炭   10リットル
  • 網目の台
  • (必要であれば)虫よけカバー(Tシャツで代用できます)
  • 温度計
  • シャベル



段ボールコンポストの作り方

 段ボールの底と側面は補強のため二重にし、段ボールの下には、風通しを良くするため、かごなどを置きます。段ボールは蓋の部分を立ててテープで止めます。
 虫を防ぐために段ボールでコンポスト専用の蓋をつくります。夏場は虫が発生しやすいため、頭と袖の部分をふさいだTシャツをかぶせてもいいでしょう。
 段ボールを置く場所は家の中でも、また雨にあたらなければベランダでも大丈夫です。

 ピートモス15リットル、くん炭10リットルを入れ、よくかき混ぜます。ピートモスとくん炭は3対2の割合です。
 ピートモスとくん炭はホームセンターなどで販売しています。

 適度に水切りをした生ゴミを入れ、よくかき混ぜます。この時、生ゴミが段ボールの側面に直接触れると生ゴミの水分で段ボールがふやけてしまうので注意してください。
 土はしっとりしている程度で十分です。乾き過ぎやべたつき過ぎは微生物の活性化の妨げとなりますので、ご注意を。

 混ぜた後は、温度計をさしておきます。
 段ボール内の温度が5度から10度以上程度上昇すれば、発酵が始まっている(微生物が働いている)証拠です。

一日に入れる生ゴミの量
 500グラムから800グラム

入れない方がよいもの(分解がされにくいもの)
 塩分の多いもの、動物の骨、貝がら、繊維質の多い野菜(とうもろこしの芯や玉ねぎの皮)は不向きです。また、草や花はあまり分解されません。

生ゴミを入れない日でもかき混ぜることは忘れずに
 よくかき混ぜることで、空気が入り、微生物が活性化されることで、分解が促進します。
 旅行などでかき混ぜることができない時は、出かける前によくかき混ぜて、陽のあたらない涼しい場所に置いてください。外出前は生ゴミを入れるのは避けた方がいいようです。


堆肥を熟成させます
 発酵が遅くなり生ゴミが分解しなくなる(約3か月後)と熟成期に入ります。熟成期には生ゴミを入れるのをやめますが、1週間に1回程度、水分を500ミリリットル程度補給して、かき混ぜることは忘れずに。1か月で堆肥ができあがります。
 実際に使用する場合は、1か月から2か月ほど、土に埋めてから使用するとより土に馴染みやすくなります。
熟成期に入ったら、もう一つ段ボールコンポストをつくり、生ゴミは新しい方に入れてください。




ピートモス (英: peat moss)とは、ミズゴケ類などの蘚苔類、アシ、ヨシ、スゲ、ヌマガヤ、ヤナギなどの植物が堆積し、腐植化した泥炭(でいたん)を脱水、粉砕、選別したもの。農業、園芸用土、もしくは土壌改良材として用いられる。














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最終更新:2011年08月10日 22:26
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