ソクラテス・プラトン・アリストテレス

ソクラテス

 ソクラテス(前469年頃~前399年4月27日)は、アテナイの哲学者。毎日仕事もせずにアテナイの街を歩きまわり、ソフィストのように金をとることなしに青年たちに教えた。ソクラテスての教育の方法は「対話」だった。お互いに議論を重ねていくうちに、ソフィストのように議論に勝つためではなく、真理を発見するために対話の弁証法を発揮した。
 ソクラテスに著書はなく、プラトンの書いた「対話篇」など、弟子の記述によってのみ知られる。
 ソフィストたちがみずからを知恵ある人と呼んでいるのを嘲笑して、ソクラテスは「私は自分自身がなにも知らないことを知っている(無知の知)」といった。
 このように弟子などに、彼ら自身が無知であると気づかせ、自分で真理を発見させる「産婆法」をした。
 古いギリシャの言葉「汝自身を知れ」によって、弟子たちに自分の内心の声「ダイモニオン」に耳を傾けさせた。また「徳は知である」と主張して、なにが正しいかを知らなければ正しい生き方はできない、とした。
 また宗教を侮辱して青年を堕落させたとされ、毒を飲む結末を選ぶこととなった。

ダイモニオン

 自分の内心の声。このダイモニオンに素直に従えば、絶対の真理が存在することに気づく、とした。


プラトン

 プラトン(前427~前347)は、ソクラテスの弟子である哲学者。それまでの哲学を批判摂取して一大哲学体系を建設した。プラトンの著書はソクラテスにかかわる「対話篇」のほか、全十巻の「国家」、未完に終わった「法律」などがある。晩年にはアカデメイアに学校をつくって弟子を教育したので、その学派は「アカデメイア学派」と呼ばれる。
 プラトン哲学の根本概念は「イデア」である。

イデア

 認識するに値する真実の実在。われわれがその内に生きていて、五覚に感じている現象は、このイデアの影のようなものでしかない、と有名な「洞窟のたとえ」を使って説く。つまり、この現実と一般にいわれているものは、洞窟の壁に投影された光景でしかない、ということである。そうした光景はいつかは消滅しなければならないが、光源にあるイデアは不滅の原型である。

 イデア論を原論として、プラトンの倫理学と国家論が展開される。プラトンによれば、人間の魂は欲望・意志・理性の3つからなっているが、このうち不死のイデアの世界に結びついているのは理性である。この理性が最高善のイデアを求めて向上をはかるが、そのときに妨げるのが肉体と感性である。イデア探求の援助をしてくれるものが徳であって、それは知恵・勇気・思慮・正義の4つからなっている。

国家

 プラトンの著書。国家の形態として、以下の3つが長短の両面から論評されている。
  • 寡頭制
  • 民主制
  • 僭主制

 国家が正義を実行するためには、理性による指導――哲人政治が必要だとした。


アリストテレス

 アリストテレス(前384~前322)は、プラトンの弟子であり批判者である哲学者。アカデメイアで勉強し、アレクサンドロス大王の家庭教師となる。
 学問が多彩で、哲学・論理学・倫理学・政治学、それに動物学・植物学・天文学などの自然科学、さらに修辞学から芸術論まで多くの著作が残されている。
 なかでもプラトンがイデアを超越的に設定したのに対し、アリストテレスは現実から出発して後世に大きな影響を与えた。アリストテレスもイデアにあたる「形相(エイドス)」を考えながらも、それを現実化するための「質料(フュレー)」を考えた。
 「合理的な思索は概念によって行われる」とした。この概念を整理するのが10の「範疇(カテゴリー)」である。それは実体・量(数)・質・関係・場所・時・位置・所有・能動・受動である。このカテゴリーによって誤りをおかさないで概念を使って判断と推理と証明が行われる、とした。これらはひとつの命題をより普遍的な命題から導き出す、いわゆる演繹法によるものである。



 古典ギリシャ哲学はアリストテレスで最高潮に達して終わるが、ヘレニズム時代・ローマ時代にも哲学者が存在する。たとえばディオゲネス(前412頃~前323)はいわゆる犬儒学派の有名な哲学者で、エピキュロス(前342~前270)は快楽学派と呼ばれる哲学者で、魂の安静を快楽・最高善とする個人主義者だった。

 学派では、ストア学派と新プラトン学派が重要である。
 ストア学派はゼノンから始まり、論理学・自然学など多面的に組み立てられているが、倫理学が中心だった。一切の認識の基礎にあるのは「感覚」であり、感覚の土台には物質があるが、そこにはロゴスが宿っていて物質に秩序を与えている。人はこのロゴスを自覚し、ロゴスの作る秩序に従って生きるべきで、そのために様々な情念や欲望によって乱されない「不動心(アパテイア)」を養い、厳しい克己心をもって理性的に生きよ、と主張した。
 ストア学派では、初期のゼノン、中期のパナイティオスとポセイドニス、後期のセネカやエピクテトスが有名だが、ローマ皇帝のマルクス・アウレリウス(121~180)も「省察録」で知られる。
 新プラトン学派はキリスト教を意識しながら、これをプラトン哲学によって神秘主義的に克服しようとした。
 新プラトン学派の最大の有力者はプロティノス(204~270)で、イデアを神=最高存在とし、それから万物が段階的に放射されている、という立場をとった。その第1は「精神(ヌース)」、第2は「世界霊魂の世界」、第3が「闇黒の物質の世界」であり、第2と第3の間に「個人的霊魂」が存在するとした。こうした世界観に立って、人間は思索によって最高存在と合一し、その恍惚のなかに救いを求めると考えた。


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最終更新:2011年11月27日 11:03
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