あなたは唐突に中空に浮かんでいた。
そこは、まるで小惑星帯のように星々が動き、またぶつかり合っている宇宙空間のようだ。
周囲を見渡すと、銀髪の青年が目の前に立っていることに気づいた。
「やあ。この地に最後まで残ったマスター」
青年は柔らかい物腰で語り掛ける。
「改めて自己紹介しておこう。僕はこの聖杯戦争を司る裁定者、ルーラーのサーヴァント『アルヴィース』だ。
聖杯戦争の本選開始まで、後1時間も無い。そこで君に質問を一つしよう」
アルヴィースは指を一本立てた。
「『この聖杯戦争は聖杯のあるべき場所『楽園』に辿り着く者が既に確定している。そして、それは君ではない』」
その言葉をアルヴィースが口にした瞬間、あなたの頭の中を何かが通り抜けた。彼の言ったことは真実であると思うようになった。
「そう知ったとしても、君は戦えるかい? 奇跡に手を伸ばせるのかい?」
聖杯を手に入れるのは自分ではない。そう悟ったあなたの返答は――
そこは、まるで小惑星帯のように星々が動き、またぶつかり合っている宇宙空間のようだ。
周囲を見渡すと、銀髪の青年が目の前に立っていることに気づいた。
「やあ。この地に最後まで残ったマスター」
青年は柔らかい物腰で語り掛ける。
「改めて自己紹介しておこう。僕はこの聖杯戦争を司る裁定者、ルーラーのサーヴァント『アルヴィース』だ。
聖杯戦争の本選開始まで、後1時間も無い。そこで君に質問を一つしよう」
アルヴィースは指を一本立てた。
「『この聖杯戦争は聖杯のあるべき場所『楽園』に辿り着く者が既に確定している。そして、それは君ではない』」
その言葉をアルヴィースが口にした瞬間、あなたの頭の中を何かが通り抜けた。彼の言ったことは真実であると思うようになった。
「そう知ったとしても、君は戦えるかい? 奇跡に手を伸ばせるのかい?」
聖杯を手に入れるのは自分ではない。そう悟ったあなたの返答は――
『そうだとしても、確定した未来の後は白紙でしょ? 勝者の横からぶん殴って聖杯を手に入れられる可能性がある以上、未来が決まっていても、まだ現在を変える余地があるなら私は決してあきらめないわ』
『だったらそいつが聖杯にたどり着く道を探り、横から令呪をかっさらって私が願いを叶える』
『辿り着く者が決まっていたとしても、その後聖杯を手に入れるとは限りません。あなたが測定した未来でも現在を変える権利は今を生きる僕たちにあり、そして聖杯を手に入れるのは僕です』
『だったら私は……その未来を超えて聖杯戦争を止める!』
『私は! そんなこと信じない! 私は聖杯を手に入れて過去をやり直す!』
『波紋の催眠術みてーなこと使って言われても信じられねーな。それに俺は黒幕をぶちのめすのが目的なんだ。聖杯は悪人の手に渡らなければそれでいい』
『だとしても、私は『歌で人を幸せにするため』動き続け、だからこそ人が互いを傷つけあうこの聖杯戦争を止めたいです』
『私が辿り着かなくても、マスター皆が幸せになれる。そんな願いを叶えてくれるマスターを探してご奉仕します!』
『私はきっといるだろう誰も傷つけずに聖杯を手に入れて願いを叶えたいマスター達を探してみんなでその場所へ行きます。そうすれば本当にたどり着ける人間が誰だか分からなくなっちゃいますから」
『私自身が辿り着かなくても、そのマスターを傀儡にすれば結果は変わらないですねぇ』
『…………うるせー! 勝手に未来なんて決めてんじゃね―!! 私は絶対ゆりねをブッ殺すんじゃオラ―!!』
『俺は聖杯にたどり着く結果より、そこまでの過程で何を信じたくて、何を願いたいかを知りたい。だから手に入らないとしても戦う』
『私は聖杯も奇跡も何もわかりません。ですけど聖杯戦争を止める気持ち、ライダーさんを信じる気持ちだけは持ちたいです』
『あらかじめ決まってる出来レースだったらそんな問いかけ意味あるの? ただのチートじゃない。私はそんなことを信じずに聖杯へとたどり着いてみせるわ』
『私が辿り着かなくても、マスター皆が幸せになれる。そんな願いを叶えてくれるマスターを探してご奉仕します!』
『……だったら全てぶっ潰してやる』
『私は……聖杯を手に入れる。そのためならそのたどり着く人が聖杯に向かう途中でその人を殺してでも聖杯にたどり着く』
『もし聖杯が手に入らなくても、私が先輩を殺しさえしなければそれでいいんです』
『それでも俺は最後まであきらめずに戦い、生きるよ』
『オレはどうなってもいい。ただレオが辿り着くために戦うだけだ』
『誰が聖杯にたどり着いても、僕が希望に溢れた聖杯戦争にしてみせるよ』
『洗脳など私にとっては無意味だ。聖杯を手に入れるのは私以外にいない』
『その辿りつく者ってのは『主催者』か『黒幕』の事じゃねえのか? もしくは辿り着いたヤツをそいつらが利用するとか。どっちにしても聖杯に繋がる道を見つけ裏から操ってる黒幕野郎をブチのめしてみせるぜ』
『それなら俺はそのただ一人だけが生き残る未来をぶち壊す!』
『俺は俺が聖杯にたどり着けなくても、戦いを止めるため、人を救うため戦うだけだ』
『……オレはあの時引けなかった引き金のために戦う。無駄死にだとしても奇跡に手を伸ばす』
『それでも例えばマスターみんなでそこに行きさえすれば、誰が本当にたどり着く人間かなんてわからなくなっちゃうでしょ? 私はそのために戦うわ』
『だったらそいつが聖杯にたどり着く道を探り、横から令呪をかっさらって私が願いを叶える』
『辿り着く者が決まっていたとしても、その後聖杯を手に入れるとは限りません。あなたが測定した未来でも現在を変える権利は今を生きる僕たちにあり、そして聖杯を手に入れるのは僕です』
『だったら私は……その未来を超えて聖杯戦争を止める!』
『私は! そんなこと信じない! 私は聖杯を手に入れて過去をやり直す!』
『波紋の催眠術みてーなこと使って言われても信じられねーな。それに俺は黒幕をぶちのめすのが目的なんだ。聖杯は悪人の手に渡らなければそれでいい』
『だとしても、私は『歌で人を幸せにするため』動き続け、だからこそ人が互いを傷つけあうこの聖杯戦争を止めたいです』
『私が辿り着かなくても、マスター皆が幸せになれる。そんな願いを叶えてくれるマスターを探してご奉仕します!』
『私はきっといるだろう誰も傷つけずに聖杯を手に入れて願いを叶えたいマスター達を探してみんなでその場所へ行きます。そうすれば本当にたどり着ける人間が誰だか分からなくなっちゃいますから」
『私自身が辿り着かなくても、そのマスターを傀儡にすれば結果は変わらないですねぇ』
『…………うるせー! 勝手に未来なんて決めてんじゃね―!! 私は絶対ゆりねをブッ殺すんじゃオラ―!!』
『俺は聖杯にたどり着く結果より、そこまでの過程で何を信じたくて、何を願いたいかを知りたい。だから手に入らないとしても戦う』
『私は聖杯も奇跡も何もわかりません。ですけど聖杯戦争を止める気持ち、ライダーさんを信じる気持ちだけは持ちたいです』
『あらかじめ決まってる出来レースだったらそんな問いかけ意味あるの? ただのチートじゃない。私はそんなことを信じずに聖杯へとたどり着いてみせるわ』
『私が辿り着かなくても、マスター皆が幸せになれる。そんな願いを叶えてくれるマスターを探してご奉仕します!』
『……だったら全てぶっ潰してやる』
『私は……聖杯を手に入れる。そのためならそのたどり着く人が聖杯に向かう途中でその人を殺してでも聖杯にたどり着く』
『もし聖杯が手に入らなくても、私が先輩を殺しさえしなければそれでいいんです』
『それでも俺は最後まであきらめずに戦い、生きるよ』
『オレはどうなってもいい。ただレオが辿り着くために戦うだけだ』
『誰が聖杯にたどり着いても、僕が希望に溢れた聖杯戦争にしてみせるよ』
『洗脳など私にとっては無意味だ。聖杯を手に入れるのは私以外にいない』
『その辿りつく者ってのは『主催者』か『黒幕』の事じゃねえのか? もしくは辿り着いたヤツをそいつらが利用するとか。どっちにしても聖杯に繋がる道を見つけ裏から操ってる黒幕野郎をブチのめしてみせるぜ』
『それなら俺はそのただ一人だけが生き残る未来をぶち壊す!』
『俺は俺が聖杯にたどり着けなくても、戦いを止めるため、人を救うため戦うだけだ』
『……オレはあの時引けなかった引き金のために戦う。無駄死にだとしても奇跡に手を伸ばす』
『それでも例えばマスターみんなでそこに行きさえすれば、誰が本当にたどり着く人間かなんてわからなくなっちゃうでしょ? 私はそのために戦うわ』
「君の『覚悟』は受け取った。その意志が強く保たれん事を」
あなたとアルヴィースの距離が離れてゆき、小惑星帯のような景色は暗闇に塗りつぶされていった。
あなたとアルヴィースの距離が離れてゆき、小惑星帯のような景色は暗闇に塗りつぶされていった。
◇ ◇ ◇
No.01 遠坂凛 セイバー
No.02 巴あや セイバー
No.03 レオナルド・ビスタリオ・ハーヴェイ セイバー
No.04 衛藤可奈美 セイバー
No.05 二階堂ルイ アーチャー
No.06 ジョセフ・ジョースター アーチャー
No.07 ヴィヴィ アーチャー
No.08 桃宮いちご アーチャー
No.09 オネスト ランサー
No.10 ルビー・ローズ ランサー
No.11 邪神ちゃん ランサー
No.12 吉野順平 ライダー
No.13 香風智乃 ライダー
No.14 七海千秋 ライダー
No.15 ウィキッド/水口茉莉絵 ライダー
No.16 新条アカネ キャスター
No.17 間桐桜 キャスター
No.18 千翼 アサシン
No.19 ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ アサシン
No.20 狛枝凪斗 アサシン
No.21 ザキラ バーサーカー
No.22 エドワード・エルリック バーサーカー
No.23 上条当麻 バーサーカー
No.24 衛宮士郎 アルターエゴ
No.25 コラソン/ドンキホーテ・ロシナンテ アルターエゴ
No.26 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン ブレイド
No.XX ミザリィ アヴェンジャー、フォーリナー
No.02 巴あや セイバー
No.03 レオナルド・ビスタリオ・ハーヴェイ セイバー
No.04 衛藤可奈美 セイバー
No.05 二階堂ルイ アーチャー
No.06 ジョセフ・ジョースター アーチャー
No.07 ヴィヴィ アーチャー
No.08 桃宮いちご アーチャー
No.09 オネスト ランサー
No.10 ルビー・ローズ ランサー
No.11 邪神ちゃん ランサー
No.12 吉野順平 ライダー
No.13 香風智乃 ライダー
No.14 七海千秋 ライダー
No.15 ウィキッド/水口茉莉絵 ライダー
No.16 新条アカネ キャスター
No.17 間桐桜 キャスター
No.18 千翼 アサシン
No.19 ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ アサシン
No.20 狛枝凪斗 アサシン
No.21 ザキラ バーサーカー
No.22 エドワード・エルリック バーサーカー
No.23 上条当麻 バーサーカー
No.24 衛宮士郎 アルターエゴ
No.25 コラソン/ドンキホーテ・ロシナンテ アルターエゴ
No.26 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン ブレイド
No.XX ミザリィ アヴェンジャー、フォーリナー
「ミザリィを除いた全マスターの端末に回線を接続」
綺礼が口を開く。
「只今を以って聖杯戦争の本戦開始を宣言する。これより各自元の世界に戻るための扉は消え去り、聖杯を手に入れ帰還できるのはただ一人となった。
その事実を認識し、皆存分に殺し合い給え。そして汝自身を以って最強を証明せよ。
されば『天の聖杯』は勝者の元にもたらされん」
綺礼が口を開く。
「只今を以って聖杯戦争の本戦開始を宣言する。これより各自元の世界に戻るための扉は消え去り、聖杯を手に入れ帰還できるのはただ一人となった。
その事実を認識し、皆存分に殺し合い給え。そして汝自身を以って最強を証明せよ。
されば『天の聖杯』は勝者の元にもたらされん」
◇ ◇ ◇
ビッグアイ屋上。
真下で正月のパレードが行進している中、ガラクシアはそれを怒りの念を込めて睨みつけた。
「憎み、恨み、叫び、吠え、全ての者に何物とも知れぬ怒りを抱いてきた同志たちよ」
ガラクシアは高らかに宣言する。
「時は満ちた。今こそ、我らガラクシアの底無き憎悪を存分に叩きつける時だ!」
ガラクシアの胴体から機械の部品が作り出され、一つの何かが構築されようとしている。
出来上がっていく形は、巨大な爆弾だ。
完成した瞬間、ガラクシアはためらいなく起爆。轟音が鳴り響き、爆風が夜空を赤く染めた。
真下で正月のパレードが行進している中、ガラクシアはそれを怒りの念を込めて睨みつけた。
「憎み、恨み、叫び、吠え、全ての者に何物とも知れぬ怒りを抱いてきた同志たちよ」
ガラクシアは高らかに宣言する。
「時は満ちた。今こそ、我らガラクシアの底無き憎悪を存分に叩きつける時だ!」
ガラクシアの胴体から機械の部品が作り出され、一つの何かが構築されようとしている。
出来上がっていく形は、巨大な爆弾だ。
完成した瞬間、ガラクシアはためらいなく起爆。轟音が鳴り響き、爆風が夜空を赤く染めた。
◇ ◇ ◇
物質転換炉、特別捜査官ルームにてオペレーターが叫んだ。
「『ビッグアイ』屋上で大規模な爆発が確認されました!」
「録画をズームして爆発の対象を確認」
動揺するオペレーターに対し、冷静にアルヴィースは指示を下す。
「これは……女性です! 女性が爆弾に体を変換しているようです!」
「顔認証システムで全ての監視カメラから同一人物をチェック」
意図が分からないままオペレーターは指示に従い検索を始めた。
「確認できました。対象一致者はB-1地区『Eアイランド』内、D-2地区『ラストアンコール』屋上。D-5地区タウンゼン街、C-6地区ティア―ブリッジ1のケーブル上です。
その全てが、10名以上の武装した人間を連れています」
「起動兵を随伴した防衛隊を出動。武装した人間共々テロリストグループ「ガラクシア」として処理。抵抗するなら射殺も許可」
「了解しました」
驚きを隠せないルーム内のメンバーはアルヴィースに尋ねた。
「捜査官……あれは我々にとって未知の起動兵なのでしょうか……。自我を持つ起動兵は我々も所持していますが」
「あれは憤怒と憎悪の結晶だ。これが未知というならこれから先僕たちはさらに未知なる異変を目撃することになる」
そう言ってアルヴィースはモニターに目を向けた。
「これで全ては始まった。これからは君たちマスターが未来を、世界を創るんだ。
叶うならば、停滞と閉塞の未来ではないことを」
アルヴィースは誰にも聞こえぬ小声で呟く。かつて自身が見届けた『二つ』の『世界創造』を思い起こして。
「『ビッグアイ』屋上で大規模な爆発が確認されました!」
「録画をズームして爆発の対象を確認」
動揺するオペレーターに対し、冷静にアルヴィースは指示を下す。
「これは……女性です! 女性が爆弾に体を変換しているようです!」
「顔認証システムで全ての監視カメラから同一人物をチェック」
意図が分からないままオペレーターは指示に従い検索を始めた。
「確認できました。対象一致者はB-1地区『Eアイランド』内、D-2地区『ラストアンコール』屋上。D-5地区タウンゼン街、C-6地区ティア―ブリッジ1のケーブル上です。
その全てが、10名以上の武装した人間を連れています」
「起動兵を随伴した防衛隊を出動。武装した人間共々テロリストグループ「ガラクシア」として処理。抵抗するなら射殺も許可」
「了解しました」
驚きを隠せないルーム内のメンバーはアルヴィースに尋ねた。
「捜査官……あれは我々にとって未知の起動兵なのでしょうか……。自我を持つ起動兵は我々も所持していますが」
「あれは憤怒と憎悪の結晶だ。これが未知というならこれから先僕たちはさらに未知なる異変を目撃することになる」
そう言ってアルヴィースはモニターに目を向けた。
「これで全ては始まった。これからは君たちマスターが未来を、世界を創るんだ。
叶うならば、停滞と閉塞の未来ではないことを」
アルヴィースは誰にも聞こえぬ小声で呟く。かつて自身が見届けた『二つ』の『世界創造』を思い起こして。
――――聖杯戦争、開幕――――