概要
セクター・イドゥニア戦域は、同宇宙域において生じた諸戦線の総称である。当記事では、その歴史について纏める。
歴史
セクター・イドゥニア大戦とは、主にイドゥニア世界の戦争に端を発する複数セクターの戦いを纏めた歴史用語とされる。ただし、広義の意味において用いられる
イドゥニア中心史観的な総称でもあり、共立時代において長らく国際問題となった。当セクター内に限っては同世界において
ユミル・イドゥアム連合帝国の覇権が成立するまでの過程を第一次大戦とし、連合帝国が
セトルラーム領内に遠征軍を差し向けて以降の総力戦を第二次大戦として分類する。当時は恒星間世代戦闘艦による亜光速航行が主流であり、宇宙空間における伝達の遅れや、停戦合意以降の戦争状態の継続に苦しめられていたことから必然的に長期化した。そのため、正式な勃発時期を巡る見解の相違を始め、終結時期に関する齟齬も見られたが、共立公歴1000年現時点においては当記事で示される通りの統一した説を採用している。
第一次セクター・イドゥニア大戦
中央大陸を巡る総力戦
『共存?この惨状を見てみろ。我らが英雄たる祖先は、こんな楽しい戦争を誘うために革命を起こしたのかい?』名もなき帝国兵
宇宙新暦1428年.6月1日。本大戦は、フィンスパーニア半島を根拠地とするサンパレナ国軍(共和国)のラマーシャ方面への北進を契機に勃発した。同年6月3日にレナリス帝国がジェルビア諸国(大陸連合)の招集を宣言。6月10日。北のインスニア海軍が東方3国(カラネア地方)へ南下すると、それに対抗する形で東のレシェドルティが参戦し、中央大陸全土を巡る総力戦となった。1435年。ロフィルナ半島での戦いに苦戦する連合国軍が水素爆弾をグロノヴェイルに投下。その報復としてロフィルナ空軍が原子核ミサイルをジェルビア各地に投射し、最終的にはレシェドルティによる同等の熱核弾頭が北方大陸東域に降り注いだ。1456年。西部戦線における共和国の優勢が報じられると、レシェドルティはラル・リーネリア地方へ南進し、これを征服する。西部戦線に主力を投じていた共和国政府は、このレシェドルティの裏切りに激怒。間もなくリーネリア地方の奪還に動き始め、レシェドルティの本隊と衝突した。1482年。これまでの戦いで北側に押し戻されていた王政連合諸国は再び南進を開始し、窮地に陥っている西部戦線(ジェルビア諸国)の救援に動き始めた。この間、中央大陸における三つ巴(連合、枢軸、共和国)の戦いは泥沼化の一途を辿っていき、1488年、フィンスパーニア半島における共和国軍の撤収をもって現状維持による休戦協定が結ばれた。リーネリア地方の奪還に失敗した共和国は以降、中央大陸への干渉を諦め、本土の守りを固めていく。
主なき後の無秩序
『星間機構による選別は正しかったのかもしれない。それでも私達は、その先の儚い理想に全てを投じてきたのです』王政連合外相リクス・ヴィ・レベラソール伯爵
宇宙での戦いは更に過酷な様相を呈していた。星間機構からの独立を果たし、その後、100年に渡る発展を遂げた
フォフトレネヒト皇国は、1374年、へズレル共和国との軍事同盟を再開。未だ周辺宙域に燻るツォルマリアの脅威を取り除くべく、イドゥニア方面へと活動範囲を広げた。1395年。イドゥセクメ星系において、新興帝国ダムラリニ>ダムラリニ帝国がへズレル・コロニーを制圧すると、直ちに外縁艦隊を差し向け同盟国の支援に動いたのである。1415年。ヴァルヌク星系にダムラリニ艦隊が襲来するも、へズレル本国軍の抵抗を受け戦線は膠着状態に。1425年以降はフォフトレネヒトからの増援もあり、徐々にへズレル側が盛り返していった。
1428年。イドゥニアの大地に降り立ったフォフトレネヒト使節団は、帝政レシェドルティを訪れ、同盟条約の締結に成功する。
この同盟は当初、チャルチルフ星系(フォフトレネヒト本国)から遠く距離が離れていることもあり、直ちに抑止力として機能するものではなかった。しかし、レシェドルティと交戦中の連合諸国にとっては過ぎた脅威として受け止められ、フォフトレネヒトに敵対する近隣諸星系との連携を加速させたのだという。1435年。フォフトレネヒト艦隊がメティア領アーディティムシ星系に侵攻すると、対枢軸同盟の更なる拡大を促し、王政連合による宇宙艦隊の増強も進められた。1459年。キクロハヌマ星系に存在する同盟二ヶ国(ケレス・バルネル連合王国、ユピセヴィオ国)は、メティア星系連合に対する独立保障を宣言。アーディティムシ方面への軍事行動を活発化させ、メティア領内を荒らすフォフトレネヒト艦隊と激突した。一方、ヴァルヌク星系において苦戦するダムラリニ艦隊はイドゥセクメ星系に撤退。イドゥニア世界における大陸諸国の戦争は宇宙規模における連合国と枢軸国の総力戦へと推移し、より流動的で激しさを増す流れとなった。
イドゥニア世界における連合帝国の威光
『歴史から学ぼう。だが自重はしない。次はもっと上手くやるからだ』ロフィルナ王国大宰相レルナルト・ヴィ・コックス侯爵
宇宙新暦1500年。帝政レシェドルティにて、ガルロ・イドラム准将率いるクーデター軍が首都を掌握。この行動は帝国臣民の熱烈なる歓迎を受けたが、イドラム自身はフォフトレネヒト皇国の支援を受けており、初代傀儡皇帝(1世)として
ユミル・イドゥアム連合帝国の樹立を宣言する。以降は中央大陸東端のジャゴラス半島に遷都し、同直轄領を盟主とする星間国家となってイドゥニア世界における制空権の確保に乗り出した。大陸西方を含んで、北半球の大部分を占める連合諸国はメティア星系連合との共闘を宣言。続いてダムラリニ帝国、ケレス・バルネル連合王国、ユピセヴィオ国との同盟を締結し、惑星イドゥニアにおける一度目の決戦を迎えたのである。ロフィルナ王国は、旧レシェドルティとの同盟を継承する形でイドゥアム帝国に追従した。1575年。中央大陸西方のジェルビア連合諸国がイドゥアム帝国に降伏すると、北の王政連合も和睦に同意。相互不可侵の条件として南進の要とされるブルセカ地峡(ブルシェンドルーク王国)を失い、時のインスニア公王は完全に戦意を削がれた。南のサンパレナ共和国は武装中立路線へと転換。以降のイドゥニア世界においては、連合帝国、共和国、王政連合の三大列強による相互確証破壊が成立し、新たな代理戦争の時代を迎えたのである。イドゥアムによる宇宙覇権は、その後の戦いにおいてメティア、ケレス・バルネル、ユピセヴィオを降伏へと追いやり、1957年、ダムラリニ帝国の絶滅をもって黄金期を迎える。フォフトレネヒトへと至る広大な帝国領域を完成させたイドラム1世は、ケルフィリア人のコントロールから外れ、自らが唯一にして最大の神であることを認めさせた。
果てなき文明の衝突
ファーリルスト・ショック
『国を代表し、お悔やみを申し上げる。我々は接触するべきではない時に出会ってしまった』共立連邦大統領
ヴァンス・フリートン侯爵
宇宙新暦2000年7月28日。向かうところ敵なしと評されたイドゥアム遠征軍は、フォフトレネヒト方面とは真逆の未踏の領域へと進出し、予想通り未確認の艦隊と接触する。船体のフォルムから見て重度の武装を施していることは一目瞭然であり、構造上の特色に大きな違いを見いだせないことから、時の遠征軍司令総監は星間機構系列の後継組織である可能性に期待した。その正体は、かつて星間機構統治下のイドゥニアから決死の脱出を果たした移民船団にルーツを持つ、
セトルラーム共立連邦.ファーリルスト星系軍の防衛艦隊であった。同年8月9日。セトルラーム艦隊は当初、帝国側の如何なる信号弾にも応じず、静観の構えを取っていたが、同8月12日、帝国艦が重要区域に接近しつつあることを脅威と見なし、威嚇射撃による自発的後退を促した。件の司令総監はこれを敵対行動と断定。数で圧倒的に勝る自国艦隊の力を過信し、全面攻撃へと踏み切ったのである。結論から述べると、この判断は空前絶後の誤りであった。帝国側が攻撃に転じたことで交信に傾きかけていた連邦側の思惑は
殲滅へと切り替えられ、夥しい数の自律戦闘機が帝国艦隊に襲いかかったからだ。そして、その一つ一つが反物質爆弾に匹敵するほどの主兵装を持ち、正確かつ規格外の射程性能を誇る。瞬く間に瓦解の憂き目を見た生存者は本国で裁かれることを恐れ、そのまま帰投することなく連邦側に投降した。彼らがもたらした情報は後の二国間交渉において利用され、2185年、相互不可侵を軸とする講話条約の締結へと繋がった。この時、支配領域を含む連邦側の情報は殆ど開示されず、神を自称する皇帝の怒りを買った。
新たなる連合帝国の挑戦
固定された支配構造。搾取される国民
『彼らが掲げる闘争主義の理想は素晴らしいものだ。彼ら自身がツォルマリア人であることを除けばだが』初代連合帝国皇帝ガルロ・ヴィ・ユミル・イドラム1世
宇宙新暦2248年。イドゥニア世界の情勢は概ね帝国による抑止力のもとで安定しており、地上世界において頻発する王政連合や共和国との代理戦争を除けば概ね平和な時代であったと評される。帝国の影響圏で虐げられるツォルマリア人を覗いてだが。この1000年の間に大きく立場を向上させたロフィルナ王国は、小国でありながら帝国の政財界に広く関わりを持つ死の商人としてイドラム皇帝家の圧政に加担していた。一方、西方大陸に位置するフリーネア王国は過去の戦いに貢献しなかったことを咎められ、一定の力を持つ地域大国でありながら不平等条約による自国産業への搾取を課されていたのである。彼らの血税は漏れなく帝国の軍事費に充てられ、更なる搾取の原動力となっていた。フリーネアを含む小国家の多くが王政連合による核の傘で名目上の独立を保つ一方、大国間の政治的妥協による支配が横行しており、出自や階級、不正による貧富の格差も深刻化の一途を辿っていった。永世中立を謳うサンパレナ共和国のスローガンは嘘と欺瞞に満ちているという。同国政府は自国の復権のために各地の過激派を焚き付け、小規模な衝突を誘うなど率先してイドゥアム帝国との冷戦を演じたからだ。共和国の挑発は帝国にとって腹立たしいものではあったが、レッドラインを敷く王政連合の手前、実力を振るうわけにもいかず、大敵を滅ぼし尽くすまでの暫しの忍耐として許容された。
そうした情勢が数十年、数百年と続き、そして、2502年、当時代に相応しき新たな侵略者が来航する。その名を
ギールラング星域戦国軍事同盟と称し、闘争を是とするガルロ・イドラム1世の歓心を誘った。しかし、空港に降り立つその存在を見た帝国側の反応は、極めて冷淡かつ事務的なものであったと伝えられる。戦士であることを誇りとする屈強な男たちは、帝国が最も忌むべき存在とされるツォルマリア人の特徴を持っており、それを隠しもせず、堂々と会議の場に案内するよう要求してきたからだ。彼らの艦隊は暫くイドゥニアの衛星に留まり、3年の時をかけて共闘条約の締結に至った。唯一皇帝たるイドラム1世にとっては、ツォルマリア人に対する憎悪よりも利益が圧倒的に勝る。ギールラングが提供してくれた情報の中には先の未確認勢力に関する詳細が綴られており、少なくとも現時点においてイドゥアムに勝てる見込みは少ないからだ。逆に攻め込まれる危険性すら帯びている以上、セトルラームと交わした相互不可侵を利用して近代化に務めるのが打倒であるとの判断に至った。一方のギールラングにとっても帝国と組まなければならない事情があった。闘争主義を掲げる彼らにとって、戦う理由に正当性など必要ない。2150年。ゴルヴェドラスが率いる海賊艦隊は、これまでの価値観に従ってセトルラームの星を襲った。その結果、大敗を喫する様相となり、本拠点であるギールラング経済圏の奥深くまでセトルラーム艦隊の侵攻を許してしまった経緯がある。現在も戦争は続いており、時のグラハウド大公は共に事態を打開できる文明の力を必要としていた。
第二次セクター・イドゥニア大戦
対セトルラーム遠征。2つの矛先
『教えてやろう。我らが勝利の果てに手にするものは無数の屍と、無人の廃墟である。それ以外は何も残らない』帝国連合艦隊司令総監ミリトヴィチ・ココヴィリ宙軍大将
宇宙新暦2185年.ファーリルスト・ショックを教訓とするイドゥアム帝国は、その後、セトルラーム艦隊が活動する周辺空域の解析を急がせ、多くの偵察艦を失った。同2200年代においては互いの支配領域を巡る小競り合いを繰り返し、前線拠点(クロキルシ太陽系圏)の開拓を断念。連邦の12隻に対して、80隻もの大損害を被る。2314年。更なる調査艦隊の犠牲と引き換えにセトルラーム本国の位置情報を特定した。この間、双方の不可侵は守られず、2342年、連邦側の恫喝に屈する形でクロキルシ以遠の探索を打ち切った。一方のセトルラーム政府は、ネルトヴィンリル及びジェクステルナ星系の2方面からなるイドゥニア解放計画を準備。ギールラング領リーティマス星系における侵攻作戦を繰り上げ、2400年以降、同首脳に対して現状維持を条件とする早期の停戦交渉を模索した。この試みは、帝国軍の激発を煽るグラハウド大公の思惑によって拒否されてしまう。2500年代。ギールラング領バジタルーナ戦線の崩壊が予想される中、イドラム1世はセトルラーム攻略の機会を伺いつつ、主力艦隊の増強を進めた。そして、2614年。イドゥニア星系における海賊艦隊との緊張が高じたところで、断絶して久しいクロキルシの奪還に動き始めた。
勅令の解釈を巡る帝国遠征第2総隊の焦り
『降伏は許さん。死守せよ。奴らが欲する全てを灰と化せ』ネルトヴィンリル方面軍機動遠征艦隊総司令官ローツェルド・クラルプランダル上級大将
連邦領ネルトヴィンリル星系は、中央首都圏パレスポル方面に繋がる要所の一つとして発展し、当時代においては帝国領クロキルシと接する防衛の最前線となっていた。宇宙新暦2657年。1000隻からなる帝国遠征軍(第2総隊)が押し寄せると、連邦の外惑星艦隊は本国の事前命令に従って同空域から撤退。寄せ集めの懲罰艦隊に防衛ラインの死守を強制しつつ、自国領内における焦土作戦を実行したのである。当初の予想を超える頑強な抵抗に直面した遠征軍は、一般市民に対する形だけの避難勧告を発し、2665年、同首都惑星における反物質弾頭の投射をもって早期の降伏を促した。この決定は当初、帝国将官をして人道上の士気の低下に苦しめられるものであったが、億単位を数える民間人を養うためのインフラが失われ、その後の作戦に致命的な遅れをもたらしたこと。また、併合政策を進めている間にギールラング方面の連邦軍主力が転進し、イドゥニア戦域に累が及ぶことを疎んじて下されたのだという。時間切れによる海賊艦隊の裏切りを予想したイドラム1世は、今時大戦における早期の勝利を望んでおり、処刑の危機に瀕する前線指揮官の焦りに拍車をかけたことも先の虐殺に至らしめる大きな要因として重なった。以上の経緯から、ネルトヴィンリル星系は主要経済圏としての価値を失い、両軍の残骸が散らばる不毛の汚染領域と化してしまったのである。帝国艦隊による一連の行為はセトルラーム本国で報道され、後の反攻作戦における戦争犯罪の正当化に利用された。
連邦領ファーリルスト星系における司令総監の誤算
『これで逃げられると思うなよ。それは間違いだ。懲罰艦隊の諸君!貴様らにはまだやるべきことがある!』ファーリルスト方面軍内域防衛艦隊総司令官エリッツ・ウェリックショーム上級大将
第1次帝国機動遠征軍、通称、第1総隊は敵の岩盤を貫く征服の矛先である。また、全ての帝国主力を率いる宙軍の模範であり、選りすぐりの精鋭集団として皇帝イドラム1世の祝福を受けていた。宇宙新暦2659年。時の司令総監ルネミ・セーデルム宙軍大将は、レッドライン(第三軌道防衛線)に布陣する連邦艦隊ファーリルスト方面軍を一望して懸念の感情を表したのだという。『玉砕だけが取り柄の無能なのか、戦略的撤退の一環なのか』、と。結論から述べると、これは戦いと呼べるようなものではなく、第1総隊による一方的な虐殺をもって終結した。この時、無傷で後退していく敵主力の焦土作戦によって全ての居留地が機能不全の様相を呈しており、一方で防戦を強いられる懲罰艦隊は帝国人を含む連邦の捨て駒であることが判明したのである。劣等集団からなる寄せ集めの戦力は正規軍が後退するまでの時間稼ぎでしかなく、更に多くの民間人が見捨てられ、ファーリルストは侵攻軍を疲弊させるだけの不毛領域と化していた。その残虐さに憤りを覚えたセーデルムは、間もなく連合帝国の名誉に泥を塗るであろう連邦側の思惑を推察し、自らが帝国騎士であることを示すための最善策を導き出した。
「当地に対しては水と食料を投下。もちろん、全てを養う余裕などないのだから、効果的な地点に絞って広報をかけるぞ。それでも連中は抵抗を継続せざるをえんだろうがね。現時点で想定される敵の督戦部隊……いや、扇動者に関しては特定次第潰して私に報告するように。武装民兵など害虫の如き数だが、一部でも説得に応じてくれれば筋金入りの反逆者なんてひとたまりもあるまい。我々が力を行使するまでもなく完璧な統治をお願いしてくれることだろうよ」……以上の作戦方針から、2668年、第1総隊は少数の駐留艦隊に後の攻略を委ね、次なる目標テルスヴィン星系への進軍を開始したのである。この司令総監の決断は極度の飢餓に苦しむ多くの現地人にとって受け入れられるものであったが、先のネルトヴィンリルにおける第2総隊の戦略爆撃が知れ渡ると間もなく態度を硬化させ、駐留艦隊の攻略を断念させる結末となった。2682年。イドラム1世の圧力に恐れをなした時の駐留艦隊指揮官は、戦略爆撃を巡る部下の論争を打ち切り、エールミトナ方面に進撃する第2総隊との合流に転じた。無論、これは騎士道を是とするセーデルムの意思に反することで、身の振り方を熟慮した末の結論となるわけだが。後続の総隊が責任を被ってくれることを期待して地獄の様相を呈するファーリルストの領域を後にした。
連邦領テルスヴィン星系の離反
『彼らにはこう伝えよ。我が軍は依然健在なり。そのまま前進されたし、とな……』共立連邦大統領
ヴァンス・フリートン侯爵
先のパレスポル本国から通達された命令により、テルスヴィン星系の艦隊は深刻な輸送船不足に悩まされていた。人々は軍の広報に促されるまま自宅待機を余儀なくされ、反撃の機会を語り合っていたのだという。しかし、宇宙新暦2681年。その期待は主力艦隊の引き上げという形で裏切られた。2685年。ファーリルスト艦隊が入港すると人々は一斉に彼らの船に殺到し、本国に避難させるよう訴えたのである。ファーリルスト方面軍総司令官ウェリックショーム上級大将の答えは事前命令に基づく物資の略奪だった。2688年。
帝国遠征軍第1総隊が襲来すると、人々は憔悴しきった総督を説得し、無血開城へと踏み切らせたのである。このようにして、連邦領テルスヴィン星系が離反。帝国軍の前哨基地として機能する流れとなった。2701年。第3総隊によるゼルステーラ星系攻略の知らせがもたらされると、セーデルム司令総監はいよいよパレスポル星系侵攻の準備命令を発し、連邦政府に対して交渉の用意があることを打診したのである。それは帝国におけるフリートン一族の身分を一定程度保障する内容であったが、しかし、帰ってきた答えは戦争を愉しむかのような台詞だった。これをもって、セーデルムは
ヴァンス・フリートンの首を跳ねる決意を固めたのだという。
加速する第2総隊。連邦主要4星系における大量虐殺
『奴らの所業は、これから行う我が国の反撃作戦を正当化させてくれる。今暫し放っておくのだ』(発言者不明)
時は宇宙新暦2685年。セーデルム率いる第1総隊がテルスヴィン方面に進撃している頃、ココヴィリ宙軍大将率いる第2総隊は連邦領エールミトナ星系の殲滅にあたっていた。パレスポル方面の連邦軍が増強される中、悠長に占領政策を続けている余裕はないと判断し、ネルトヴィンリル同様の絶滅作戦を実行したのである。この戦いにおいても億単位を数える連邦国民が虐殺され、第1総隊は一度も敵主力に遭遇することなく駒を進めていった。同2701年にアルテラ星系を破壊。この頃の段階に至ると第5総隊による後方支援の強化もなされており、それが功を焦るココヴィリの判断を鈍らせた。同2715年。連邦領ヨルドバラム星系における総力戦において、これまで通り敵の懲罰艦隊の駆逐に主力を費やしていると方々から迫るステルス戦闘機の自爆攻撃を受け、総戦力の5分の1を失う大損害を被ってしまったのである。これに危機感を強めたココヴィリは惑星破壊規模に相当する核弾幕射撃を命令し、これまで以上の苛烈な爆撃をもってヨルドバラムに存在する全ての生命を葬り去った。そして、2729年。ジェクステルナ星系から送られた降伏の用意を信じることなく同様の絶滅作戦を実行させ、第1総隊の不興を買ったのである。この一連の暴挙によって犠牲となったセトルラーム国民の数は実に150億を超えるもので、後の連邦軍による反攻作戦の補強に利用された。
第一次パレスポル戦役
『死守せよ、だと?おう、死守してやるとも!しっかりご期待にお応えして、後始末をつけんとな』パレスポル星系軍ザール・レヴィトクル上級大将
宇宙新暦2750年、帝国第3総隊はパレスポル星系に到達し、両軍の壮絶な激戦が幕を開けた。共立連邦の首都圏であるパレスポル星系は、両軍の命運を賭けた決戦の場となり、宇宙空間は戦火に包まれた。連邦軍のザール・レヴィトクル上級大将は、緻密な戦略と独自の防御戦術を駆使し、侵攻してくる帝国軍に対して激しい抵抗を示した。レヴィトクルの戦術は、「鏡像戦術」と呼ばれるもので、敵の動きを常に一歩先に読み、同時に完全な反映を行うという大胆な手法だった。具体的には、彼の艦隊は帝国軍の動きをリアルタイムで模倣し、敵の戦術を逆手に取ることで、意表を突いた反撃を行った。連邦軍は高性能のAIと量子コンピューティングを駆使し、敵の攻撃パターンを瞬時に解析・予測し、それに対応する対策を即座に実行したのである。例えば、帝国軍が前線に火力を集中させると、連邦軍はその動きを予測し、前線の艦隊を巧みに分散させて攻撃を回避。次の瞬間には、帝国軍の進路に対して鏡像のように配置を変更し、挟み撃ちにする形で反撃を加えた。これにより、帝国軍は自らの戦術が完全に見透かされていることに気付き、進撃を阻まれた。
戦闘が長期化する中で、パレスポルの市民たちは地下シェルターでの避難生活を余儀なくされ、飢餓と恐怖が広がった。レヴィトクル上級大将は市民の安全を最優先に考え、市民避難と防衛を同時に進めるため、連邦軍は限界を超える奮闘を続けた。宇宙新暦2755年、連邦軍はついに一斉反攻作戦を開始し、帝国軍に対して強烈な反撃を行った。連邦軍の士気は高まり、戦力を結集して帝国軍を圧倒した。パレスポル星系の宇宙空間は、再び連邦軍の反撃による壮絶な戦闘に包まれた。連邦軍は次々と帝国軍の戦艦を撃墜し、ついに帝国軍を撃退することに成功した。しかし、戦役の代償は甚大であり、多くの兵士と民間人が犠牲となり、パレスポルは荒廃した。この戦役の結果、共立連邦は次なる反攻作戦の準備を進めることとなった。第一次パレスポル戦役は、連邦軍による反撃の象徴的な戦いとして後世に語り継がれ、帝国に対する連邦の決意と力を示す重要な戦役となった。
戦後統治を巡る第1総隊と第2総隊の対立
『まだだ。ここで遅れを取るわけにはいかない。ここで敗北はありえない。殲滅か、死あるのみだ』帝国連合艦隊司令総監ミリトヴィチ・ココヴィリ宙軍大将
第一次パレスポル戦役の後、帝国軍内部では戦術と方針を巡る深刻な対立が浮上した。特に、第1総隊と第2総隊の間でその対立が顕著となり、両者は異なるアプローチを掲げて衝突した。第1総隊の指揮官ルネミ・セーデルムは、戦略的な撤退と再編成を重視し、持久戦を見据えた柔軟な戦術を提案した。彼は、前線を一時的に後退させることで戦力を温存し、連邦軍の反撃に備えることを考えた。一方、第2総隊を率いるミリトヴィチ・ココヴィリ宙軍大将は、即時の決戦を強く主張した。彼の考えでは、圧倒的な力で連邦軍を迅速に殲滅することが最優先であり、持久戦を避けるべきだと断言した。ココヴィリは、第1総隊の方針に対して激しく反対し、即座の総力戦を主導した。この対立は、帝国内部での権力闘争にもつながり、戦術を巡る議論はますます激化した。セーデルムとココヴィリの対立は、単なる戦術の違いにとどまらず、軍内部での派閥抗争や個人の野心とも絡み合った。連邦軍の反攻作戦が迫る中、帝国内部での戦術を巡る混乱は、さらなる戦争への不安を増大させた。長きにわたる両者の対立は、連邦側に更なる反撃の機会を与えた。連邦軍は帝国内部の混乱を利用し、戦略を練り直して反攻の準備を進めた。内部分裂が原因となり、帝国軍は一時的に混乱を極めた。セーデルムとココヴィリの対立は、結局、帝国内部の調停者による仲裁を経て一応の決着を見たが、その影響は長く残り、戦争の行方に大きな影響を与え続けた。この戦術を巡る対立は、帝国の未来を大きく左右する重要な出来事として記憶されることとなった。
第二次パレスポル戦役
『私達は多くの困難を経験し、ここに立っている。そう、この不条理な戦いを終わらせるためにここに立つんだ』帝国連合艦隊司令総監ルネミ・セーデルム宙軍大将
宇宙新暦2801年、第一次パレスポル戦役からおよそ半世紀が過ぎ、共立連邦と帝国の間で再び緊張が高まり始めた。両軍はそれぞれ戦力を再編成し、新たな戦いに向けて準備を進めていた。この期間において、世代航行が進み、兵士たちの間で新たな戦術と技術が取り入れられるようになっていた。第二次パレスポル戦役は、再び連邦の首都圏パレスポル星系を巡る戦いとなり、帝国連合艦隊司令総監ルネミ・セーデルム宙軍大将の指揮の下、帝国軍は総力を挙げて戦いに臨んだ。セーデルムの言葉は、帝国軍の兵士たちに大きな勇気と決意をもたらし、彼らは全力で連邦軍に立ち向かった。しかし、連邦軍はこの攻撃を予期しており、首都圏での決戦をあえて受け入れる形で待ち構えていた。彼らは長い間、主力艦隊の多くを温存し、帝国軍の攻撃に備えていたのである。戦役が始まると、連邦軍は「高精度誘導ミサイルシステム」や「拡張型ステルス技術」といった革新的な技術を駆使し、高速かつ柔軟な機動戦を展開した。
「高精度誘導ミサイルシステム」は、敵艦隊を正確に追尾し、効率的に撃破するためのものであった。これにより、連邦軍は帝国軍の戦艦を次々と撃墜し、効果的な反撃を行った。また、「拡張型ステルス技術」によって、連邦軍の戦艦は敵のレーダーから逃れ、奇襲攻撃を仕掛けることができた。この技術により、連邦軍は戦場での優位性を確保することができた。セーデルムの指揮の下、帝国軍は敵の動きを予測し、先手を打つ戦術で連邦軍を翻弄しようと試みた。しかし、連邦軍は複数の戦線を同時に展開し、敵を分散させる作戦を遂行。特に、帝国軍の補給ラインを狙った攻撃が効果を発揮し、帝国軍の進撃を鈍化させた。戦闘は激化し、宇宙空間は無数の爆発と光に包まれ、戦艦同士の壮絶な戦いが繰り広げられた。連邦軍は主力艦隊を巧みに配置し、決定的な反撃を行うタイミングを狙っていた。宇宙新暦2804年、連邦軍はついに帝国軍に対する決定的な反攻を行い、パレスポル星系の防衛に成功した。セーデルムの指揮の下、帝国軍は連邦軍の巧妙な戦術に翻弄され、多くの戦力を失うこととなった。この戦役の結果、共立連邦はさらなる反攻作戦に向けて士気を高め、帝国に対する決意を新たにした。
終わりの始まり。反撃に転じる連邦軍
『見なさい。敵が我々の思惑通りに足掻いているだろう?後世の復興に支障をきたしたとしても、勝利は勝利!我らが共立連邦は永遠なのだよ!』ネルトヴィンリル方面軍機動遠征艦隊総司令官ローツェルド・クラルプランダル上級大将
宇宙新暦2815年、ネルトヴィンリル星系において、共立連邦と帝国の間で新たな戦いが勃発した。この星系はかつて帝国艦隊の攻撃を受け、不毛の領域と化していた。焼き尽くされた都市や荒れ果てた大地は、そこで戦う兵士たちに深い悲しみと怒りを呼び起こした。ネルトヴィンリル方面軍機動遠征艦隊の総司令官ローツェルド・クラルプランダル上級大将は、巧妙な戦術と無慈悲な決断力で知られていた。彼の指揮の下、連邦軍は大胆かつ計画的に反攻を開始し、帝国軍に対して圧倒的な優位を築き上げた。クラルプランダルは、敵の動きを巧みに操るための「擬装シグナル操作」を採用し、帝国軍のセンサーを混乱させた。これにより、帝国軍は連邦軍の真の位置や戦力を把握することができず、効果的な反撃を行うことが困難になった。また、連邦軍は夥しい数のドローンを投入し、素早く敵の戦力を削減することに成功した。クラルプランダルの戦術は、敵の動きを先読みし、予測不能な攻撃を仕掛けるものであった。彼は戦場の地形を巧みに利用し、要所に偽装陣地を設けることで帝国軍を混乱させた。帝国軍は何度も攻撃を仕掛けたが、そのたびに連邦軍の罠にかかり、進撃を阻まれた。
ネルトヴィンリルの戦場は、両軍の激しい攻防の舞台となり、宇宙空間は無数の爆発と光に包まれた。連邦軍は主力艦隊を巧みに配置し、決定的な反撃を行うタイミングを狙っていた。クラルプランダルの言葉が示すように、彼は勝利を最優先に考え、そのためには後世の復興を犠牲にすることも厭わなかった。連邦軍はその徹底した戦術によって、帝国軍に対して圧倒的な優位を保ち続けた。戦闘が進むにつれ、連邦軍は帝国軍の拠点を次々と制圧し、ついにはネルトヴィンリル星系全域を掌握することに成功した。しかし、勝利の中にも深い悲しみと怒りが渦巻いていた。荒廃した大地と破壊された都市は、兵士たちに戦争の恐ろしさと悲劇を痛感させた。クラルプランダルの無慈悲な決断がもたらした勝利は、同時に深い傷跡を残したのである。この戦いの結果、共立連邦はその軍事力を改めて示し、連邦の永続性を強く印象付けた。クラルプランダルの指揮の下、連邦軍はその卓越した戦術と技術力で敵を圧倒し、連邦の優位を確立した。
同盟自治領ファーリルスト星系における外交問題
『今頃、のこのこと帰ってきて、何を言う。共立連邦の勝利だと?あれから何年経った?ここはもう独立国だ』ファーリルスト共和国大統領ミルデス・カレントラ
宇宙新暦2815年、ファーリルスト星系は長い間放置され、荒廃した環境と化していた。かつての戦闘の傷跡が未だに残り、住民たちは自力で生活を維持しながら、共立連邦の影響力が及ばない独立を目指してきた。共立連邦が再びこの星系に関与しようと試みる中、ファーリルスト共和国大統領ミルデス・カレントラは、断固として独立を守る姿勢を示した。カレントラ大統領は、共立連邦の勝利を謳う使節団に対し、冷ややかな態度で迎えた。「今頃、のこのこと帰ってきて、何を言う。共立連邦の勝利だと?あれから何年経った?ここはもう独立国だ」と言い放ち、ファーリルスト星系の自立を強調した。彼の言葉には、長年にわたる放置と自治への決意が込められていた。ファーリルスト星系は、共立連邦からの支援を断ち切りながらも、自らの資源を効率的に活用し、他の独立を志向する星系との同盟を模索してきた。これにより、共立連邦の再統治に対する抵抗は強まり、独立勢力としての地位を確立していった。
しかし、共立連邦はファーリルスト星系の再統治を断念することはなかった。宇宙新暦2815年、共立連邦はついに軍事介入を決定し、ファーリルスト星系に大規模な侵攻を開始した。連邦軍は圧倒的な物量と最新技術を駆使し、迅速に星系内の重要拠点を制圧していった。カレントラ大統領は最後まで抵抗を続けたが、連邦軍の前に次第に劣勢となっていった。ファーリルスト共和国の市民たちは、その圧倒的な力に対して為す術もなく、連邦軍の進撃を見守るしかなかった。最終的に、ファーリルスト星系全域は共立連邦の支配下に置かれることとなった。この結果、ファーリルスト共和国の独立は終焉を迎え、共立連邦の再統治が確立された。カレントラ大統領の言葉は虚しく響き、星系の住民たちは再び連邦の支配下での生活を余儀なくされた。この戦いは、共立連邦の軍事力と統制力を再確認させるとともに、独立を志向する勢力に対する厳しい警告となった。
帝国領クロキルシ星系における大量破壊
『講和?するわけなかろう。そのまま前進あるのみ。この際、戦後政策も気にしなくて良いとのことだ』新ファーリルスト方面軍機動遠征艦隊総司令官エリッツ・ウェリックショーム上級大将
宇宙新暦2871年、セトルラーム共立連邦は次なる戦略的目標として帝国領クロキルシ星系への侵攻を決定した。新ファーリルスト方面軍機動遠征艦隊の総司令官エリッツ・ウェリックショーム上級大将は、この作戦を指揮することとなった。彼の目標は明確であり、帝国に対する圧倒的な力を示し、戦争の主導権を完全に掌握することだった。ウェリックショームは、敵の抵抗を打ち砕くために
「EIPP」および「プラズマ焼夷弾頭」といった破壊的な兵器を用いる戦術を採用した。彼の指揮の下、連邦軍はクロキルシ星系の主要な軍事拠点を次々と攻撃し、破壊していった。その戦略は徹底しており、戦後の復興を顧みない無慈悲な攻撃が続いた。連邦政府からの命令を受け、講和の余地を一切認めない強硬な態度を貫いたウェリックショームは、全軍にさらなる攻勢を命じた。
その指示に従い、連邦軍はクロキルシ星系全域にわたる徹底的な焼き払いを行った。クロキルシ星系の住民たちはこの侵攻に対して絶望的な状況に追い込まれ、逃げ惑う者、抵抗する者、それぞれが混乱の中で苦しんだ。戦闘の激化に伴い、星系のインフラは壊滅的な被害を受け、多くの人命が失われた。ウェリックショームの戦術は、占領を行わず、単に帝国軍の拠点とその周辺地域を完全に焼き払うことに主眼を置いていた。これにより、クロキルシ星系は荒廃し、再び居住可能になる見込みはほとんどなくなった。この戦いの結果、共立連邦はクロキルシ星系を完全に破壊し、その軍事力と意志の強さを改めて示した。ウェリックショームの無慈悲な戦術は、戦後政策を無視した圧倒的な力の行使として後世に語り継がれることとなった。
第一次イドゥニア戦役
『セーデルム司令は死んだ!いま、この場において総指揮権を持つのは、この私である!!』帝国連合艦隊司令総監ミリトヴィチ・ココヴィリ宙軍大将
宇宙新暦3952年、共立連邦はついに行動を起こした。イドゥニア星系の多くの国々を帝国の支配から解放するため、大規模な作戦を開始したのだ。イドゥニア星系内ではフリーネア王国軍を主軸とした連合軍が戦力を急速に強化し、帝国に対する反攻の準備が進められていた。一方、帝国側では帝国連合艦隊司令総監ミリトヴィチ・ココヴィリ宙軍大将が防衛の指揮を執っていた。共立連邦の攻撃が開始されるや否や、ココヴィリは毅然と防衛戦を展開した。戦役の初期段階で、帝国軍はイドゥニア星系内の重要拠点を守ろうとしたが、共立連邦の圧倒的な攻撃力に圧倒されてしまった。戦闘が激化する中で、ココヴィリ司令は何度も反撃を試みたが、共立連邦の主力艦隊は次々と帝国の防衛線を突破し、イドゥニア星系内の主要な軍事拠点を制圧していった。前線は炎に包まれ、爆発が宇宙空間に鮮烈な光を放っていた。帝国軍のセーデルム司令が先のパレスポル戦役で死亡し、ココヴィリが総指揮権を握った。この出来事は帝国軍の士気を高める重要な意味を持ったが、戦況は依然として厳しかった。
共立連邦軍は無分別な破壊行為を避けながらも、帝国および枢軸陣営に対しては容赦なく攻撃を続けた。連邦軍の戦艦が高精度誘導ミサイルを発射し、敵の艦隊を次々と撃破する光景は圧巻だった。連邦軍は圧倒的な火力で敵を圧倒し、ココヴィリ司令の戦術を次々と打ち破ることに成功した。結果として、帝国軍は次第に劣勢に追い込まれ、イドゥニア星系内の支配を維持することが困難となった。戦役の最終段階において、大陸解放アライアンス(連合国軍)はイドゥニア星系内の各地を順次解放し、共戦国間の連携をさらに強化した。解放された国々では、歓喜の声が上がり、連邦軍の支援のもとで再建が始まった。しかし、イドゥニア星系内での戦争はまだ続いており、平和の確立には程遠い状況であった。第一次イドゥニア戦役は、共立連邦の軍事力と戦術の優位性を示すとともに、解放対象となる国々に希望と支援をもたらした重要な戦いとして記憶されることとなったが、戦争の終結にはなお多くの課題が残されていた。
帝国領キクロハヌマ星系における連邦化政策
『ここから先は敵の本陣です。壊しがいがあって退屈しないでしょう?』アルテラ方面軍機動遠征艦隊総司令官マルシア・ゼルカノス上級大将
宇宙新暦4038年、帝国領キクロハヌマ星系は共立連邦の勢力圏に組み込まれるべく、連邦化政策の対象となった。アルテラ方面軍機動遠征艦隊総司令官マルシア・ゼルカノス上級大将は、この政策を指揮し、星系全域にわたる作戦を展開した。ゼルカノス上級大将は、その豪胆さと戦術眼で知られており、今回の作戦でもその実力を存分に発揮した。彼の目標は、帝国の勢力を削ぎ、キクロハヌマ星系を共立連邦の統治下に置くことであった。作戦は精密かつ効率的に進行した。連邦軍はまず、星系内の主要な軍事拠点を攻撃し、帝国軍の防衛線を次々と突破していった。爆発音と共に戦艦が撃墜される光景は、戦場の激しさを物語っていた。帝国軍は連邦軍の猛攻に圧倒され、次第に抵抗力を失っていった。
キクロハヌマ星系の各惑星では、連邦軍が進軍するたびに住民たちが解放され、新たな連邦の秩序が確立されていった。しかし、住民たちの心境は複雑であった。彼らの中には、長年帝国の支配下で生活してきたため、新たな支配者を歓迎する者もいれば、不安や疑念を抱く者もいた。帝国に忠誠を誓っていた一部の住民たちは、連邦軍の進駐に反発し、抵抗を試みる者もいた。ゼルカノス上級大将は、連邦軍の進軍に合わせて統治機構を整備し、星系全域の安定化を図った。連邦化政策は強力に推進され、共立連邦の旗がキクロハヌマ星系に高々と掲げられることとなった。住民たちは、新たな秩序の下で徐々に生活を立て直し、連邦軍との共存を模索するようになっていった。この作戦により、帝国の勢力は大きく削がれ、共立連邦の統治力が新たに示された。キクロハヌマ星系の連邦化は、共立連邦の拡張戦略において重要な一歩となり、星系全体に新たな秩序と安定をもたらす結果となった。
死せる暴君。血肉の嵐
『史上最低のクソ野郎にトドメを刺したのは年若いツォルマリア人の新兵だったな。彼の怯えた視線が奴の悪意を貫いたんだ。爽快だったよ』名もなき連邦兵
宇宙新暦4056年、イドゥニア星内中央大陸東部のジャゴラスは、帝国と共立連邦の間で激しい戦闘の舞台となった。連邦軍の攻勢が激化する中、帝国皇帝自らが前線に立ち、最後の防衛戦を指揮していた。この戦いは壮絶を極め、両軍はあらゆる戦術と技術を駆使して攻防を繰り広げた。ジャゴラスの空は戦闘艦の光跡と爆発の閃光で彩られ、地上では砲撃と白兵戦が熾烈を極めた。戦場には兵士たちの怒号と絶叫が響き渡り、血肉が飛び交う激戦となった。帝国皇帝
ガルロ・ヴィ・ユミル・イドラム3世は、その威厳と力を示すべく、自ら戦場に立った。彼は決して退かず、兵士たちとともに最前線で戦い続けた。彼の雄姿は、帝国軍の士気を高め、絶望の淵に立たされた兵士たちに再び希望をもたらした。
皇帝の防衛線が崩れつつある中、彼は最後の一線を守り抜くために尽力した。その姿はかつての栄光を取り戻そうとする必死の奮闘を物語っていた。運命の瞬間が訪れる。皇帝の前に現れたのは、年若いツォルマリア人の新兵だった。彼は恐怖に震えながらも、皇帝に対して決死の覚悟で立ち向かった。その怯えた視線が皇帝の悪意を貫き、ついに皇帝を討ち取った。皇帝が倒れると、その瞬間は一時的な静寂が戦場を包んだが、次第に帝国軍の士気は逆に上昇し始めた。皇帝の勇敢な死に様は、彼らに新たな決意を抱かせたのである。帝国軍の兵士たちは、皇帝の意志を継ぎ、さらに激しい抵抗を続けた。ジャゴラスの戦場は共立連邦の勝利に彩られ、帝国の支配はここに終焉を迎えたものの、帝国軍の意志はなおも強固であった。この勝利は多くの犠牲を伴い、戦場に残された傷跡は深く、戦争の悲惨さを物語っていた。しかし、皇帝の壮絶な最期は、帝国軍にとって長く語り継がれる英雄譚となり、彼らの闘志を再び燃え上がらせたのである。
解放されたツォルマリア人。捕殺されるテルスヴィネル族
『殺せ。生きて返すな。子供だろうが老人だろうが出せ。逃げるんじゃないぞ。戦え!徹底抗戦しろ!』帝国軍少佐
宇宙新暦4092年、イドゥセクメ星系は共立連邦の攻勢により陥落した。イドゥセクメ星系は帝国の重要な拠点であり、これまでの戦闘の中でも最も激しい戦場の一つとなった。帝国の支配下にあったツォルマリア人は長年にわたり奴隷として扱われ、過酷な生活を強いられていた。彼らは共立連邦の進攻がもたらす解放の希望に歓喜し、自由への期待に胸を膨らませていた。しかし、その背後では悲劇の影が忍び寄っていた。帝国軍の少佐は絶望的な状況下で徹底抗戦を命じ、兵士たちに対して逃げることなく戦うよう厳命した。帝国軍は最終的な防衛線を敷き、共立連邦の進撃を阻止しようと試みたが、連邦軍の圧倒的な火力の前に次第に追い詰められていった。一方、テルスヴィネル族は帝国の協力者として知られており、共立連邦にとって敵対勢力と見なされていた。イドゥセクメ星系の陥落に伴い、テルスヴィネル族は無差別に捕殺される運命に見舞われた。彼らの住む村々から都市に至るまで次々と焼き払われ、家族が引き裂かれる悲劇が繰り広げられた。子供たちの泣き声や老人の嘆きが響き渡り、地獄のような光景が広がった。
連邦軍はツォルマリア人の解放を優先し、彼らに新たな自由を与えることに全力を注いだ。ツォルマリア人たちは新たな希望を胸に、連邦の下で新たな生活を始めることとなった。しかし、テルスヴィネル族にとっては悲劇の幕開けであり、彼らの命運は厳しいものであった。イドゥセクメ星系の陥落は、共立連邦の拡張において重要な一歩となり、帝国の支配体制を大きく揺るがす結果となった。この戦いはツォルマリア人に自由をもたらす一方で、テルスヴィネル族にとっては絶望と悲劇を象徴するものとなった。戦場には数え切れないほどの命が奪われ、残された者たちはその痛みを抱えて生き続けることとなった。アーディティムシ星系の陥落は、共立連邦の拡張において重要な一歩となり、帝国の支配体制を大きく揺るがす結果となった。この戦いはツォルマリア人に自由をもたらす一方で、テルスヴィネル族にとっては絶望と悲劇を象徴するものとなった。戦場には数え切れないほどの命が奪われ、残された者たちはその痛みを抱えて生き続けることとなった。
機動遠征艦隊の消耗。ノニバル戦役
『連邦のマヌケどもは戦後政策を想定してないって話だろ?ちっ……何もかもが欺瞞に満ちてやがる。宙軍のカスどもがしくじらなければ……』ノニバル星系防衛隊・帝国軍曹
宇宙新暦4008年、イドゥセクメ星系の戦役の後、共立連邦はさらなる拡張を目指し、ノニバル星系への侵攻を開始した。この戦役は、機動遠征艦隊の消耗を招く過酷な戦いとなった。連邦軍は初期の段階で圧倒的な勢力を持って攻勢をかけたが、帝国軍の防衛もまた頑強であった。ノニバル星系は戦略的な重要性を持っており、帝国軍は全力を尽くしてこれを守ろうとした。防衛隊の指揮官たちは、連邦の計画を知った上で、全力でこれに対抗する方針をとった。ノニバル星系の戦場では、宇宙艦隊同士の激しい交戦が繰り広げられ、星系全体が戦火に包まれた。爆発音と共に艦船が次々と破壊され、火の海と化した宇宙空間で、兵士たちは生死の狭間で戦い続けた。戦況は一進一退を繰り返し、両軍共に多くの損害を出しながらも、決着は見えなかった。
連邦軍の中には、戦後の政策を考える余裕がなく、前線での戦闘に集中するしかなかった者たちもいた。帝国軍の防衛隊は連邦軍を揶揄し、戦後の混乱を予測していた。戦いが進むにつれ、機動遠征艦隊の消耗は激しさを増し、連邦軍は次第に攻勢を維持することが困難になっていった。多くの兵士が命を落とし、無数の戦艦が破壊され、戦場は絶望的な光景となった。それでも、連邦軍は諦めることなく、最後の力を振り絞って戦い続けた。最終的に、ノニバル星系は連邦軍の猛烈な攻勢に屈し、陥落した。帝国軍の防衛線は突破され、残存兵力は次第に撤退を余儀なくされた。連邦軍は星系内の主要な拠点を制圧し、新たな統治体制を確立した。ノニバルの陥落は、帝国にとって大きな打撃であり、戦局において重要な転機となった。ノニバル戦役は、共立連邦と帝国の間で繰り広げられた過酷な戦闘の象徴として記憶されることとなった。両軍の犠牲と苦悩は深く、戦争の悲惨さを如実に物語っていた。この戦いは、機動遠征艦隊の限界を試し、連邦の拡張政策において重要な試金石となった。
帝国領アーディティムシ星系の内乱
『わたくしどもは停戦に合意しました。ただ、主戦派の方々が少々ね……時間をかけざるを得ない状況ですが』パレスポル方面軍機動遠征艦隊副司令官
アリウス・ヴィ・レミソルト(後の連邦筆頭公爵)
宇宙新暦4120年、アーディティムシ星系は帝国内部の深刻な対立により内乱状態に陥った。この対立の背景には、長年にわたる帝国の抑圧的な支配と、中央政府の権力争いがあった。特に、地方諸侯や領主たちの不満が爆発し、彼らは中央政府の腐敗と無能さに反発する形で反乱を起こしたのである。帝国の統治は次第に混迷を深め、各地で独立を求める声が高まった。アーディティムシ星系も例外ではなく、地方勢力と中央政府の間で激しい衝突が繰り広げられた。反乱軍は迅速に勢力を拡大し、帝国の支配下にあった要塞や都市を次々と制圧していった。この混乱を好機と見た共立連邦は、アーディティムシ星系への介入を決定。パレスポル方面軍外域遠征艦隊副司令官アリウス・ヴィ・レミソルトは、この作戦を指揮し、星系内の主要都市と拠点を制圧するための戦略を練り上げた。アリウスの指揮のもと、連邦軍は迅速かつ効率的に進軍し、帝国軍と反乱軍の間で繰り広げられる戦闘に介入した。
内乱により疲弊した帝国軍は、連邦軍の攻勢に対抗する力を徐々に失っていった。反乱軍もまた、連邦軍の介入によって勢力を削がれ、次第に戦闘力を失っていった。アリウスは作戦の最終段階で、停戦の合意を取り付け、双方の戦闘を終結させることに成功した。連邦軍はその後撤退を開始し、アーディティムシ星系には一時的な平穏が訪れた。しかし、内乱の影響は深刻であり、星系全体が安定を取り戻すにはなお時間が必要であった。帝国の統治力が大きく揺らぐ中、共立連邦は星系の再建と安定化に向けた支援を続け、アーディティムシ星系の新たな未来を模索することとなった。この内乱の経験は帝国に大きな傷跡を残しただけでなく、後の宇宙新暦4200年におけるカンバ星系の陥落へと繋がる重要な伏線ともなった。アーディティムシ星系の内乱により、帝国の内部対立が深まった結果、カンバ星系での防衛が弱体化し、連邦軍が容易にこれを攻略する道を開いたのである。
帝国主要4星系における大量虐殺
『我らの陛下は……ごほッ!ガルロ様ただ一人……!それ以外の皇帝などありえないことだ。いまに見ていろ……連邦の野蛮人め。たとえ現在の帝国が滅びようとも、我々は必ずや復権を果たし、イドゥニアの悲願を達成してみせよう……ッ!!』(帝国宙軍ガルロ派将校)
宇宙新暦4149年、連邦艦隊は帝国に対する反攻作戦を継続するよう命じられた。アリウスはこの状況に対して重大な決断を迫られることとなった。帝国側との再調整の結果、戦闘を継続しつつもイドラム2世の連邦本国への移送を阻止することで合意がなされ、今後の更なる交渉に含みを持たせる流れとなった。この頃、帝国主要4星系において恐ろしい大量虐殺が発生していた。連邦軍の侵攻に対して帝国は激しい抵抗を示し、その結果として多数の無実の住民が犠牲となったのである。連邦軍は、帝国側の抵抗の意思を挫くために過激な手段を取ることを決意し、帝国主要4星系において無差別な攻撃を行った。EIPP(
エーテリック・インパルス・プラットフォーム)と呼ばれる巨大な塔のような外見の兵器を使用し、無差別なインパルス爆撃を行った。このEIPPは宇宙船と同じように飛び回り、その圧倒的な破壊力で帝国の都市やインフラを次々と壊滅させた。時には地上に突き刺さり、そこから強力なインパルス攻撃を実行することもあった。
インパルス爆撃の結果、億単位の住民が死傷し、主要4星系は地獄と化した。帝国宙軍ガルロ派将校は、自らの信念を貫き通し、連邦軍に対する徹底抗戦を指示した。彼らは、たとえ現在の帝国が滅びようとも、必ずや復権を果たし、イドゥニアの悲願を達成することを誓った。この大量虐殺は、帝国と連邦の間の対立をさらに深め、戦争がますます激化する一因となった。連邦軍の容赦ない攻撃は、帝国側の憎悪と復讐心を煽り、戦場は絶え間ない悲劇の舞台となった。帝国の主要4星系が壊滅的な打撃を受けたことで、帝国全土に動揺が広がった。生き残った住民たちは避難を余儀なくされ、帝国は混乱の極みに達した。しかし、その一方で、連邦軍の残虐行為に対する反発も強まり、帝国軍の士気は逆に高まった。連邦軍のEIPPによる無差別攻撃は、帝国の復讐心を一層燃え上がらせ、戦いはさらなる激化を見せることとなった。戦場では、一瞬たりとも気を抜けない状況が続き、帝国と連邦の対立はますます熾烈さを増していった。
冷血母公の決断。連邦司令部における粛清
『時間切れです。ただちに艦隊を撤収させなさい。さもなくば、再び二正面作戦を強いられるでしょう』パレスポル方面軍機動遠征艦隊副司令官
アリウス・ヴィ・レミソルト(後の連邦筆頭公爵)
宇宙新暦4275年、アリウス・ヴィ・レミソルトはパレスポル方面軍機動遠征艦隊副司令官として、帝国に対する反攻作戦の指揮を執っていた。連邦司令部では、戦況の変化に応じた迅速な決断が求められており、アリウスはその重責を背負っていた。連邦艦隊は帝国主要4星系への攻撃を続ける中、アリウスは新たな脅威に直面することとなった。それは大敵ギールラングが攻めてくる危険性であった。ギールラングは強力な戦闘力を持つ種族であり、彼らの侵攻が始まれば、連邦は二正面作戦を強いられる可能性が高かった。このため、アリウスは冷徹な決断を下さざるを得なかった。彼女は本国の命令に反して艦隊を撤収させることを決意した。この決断は、戦術的な再編成を行い、帝国に対する攻勢を一旦中止することを意味していた。アリウスは戦闘の継続がギールラングの侵攻を招き、連邦側にとって不利な状況を引き起こすと判断し、そのリスクを最小限に抑えるための戦略を選んだのである。
艦隊撤収に際して、アリウスは反対派の将校たちを粛清することを決断した。彼女の命令に従わない者たちは次々と処刑され、その冷酷な手段によって連邦内の統制は強化された。この粛清は、連邦内の統制を強化し、戦争遂行能力を維持するためのものであったが、その冷酷さは多くの者に恐怖を与えた。アリウスは連邦司令部の会議室で冷ややかな目を光らせながら、反対派の将校たちを次々と処刑していった。彼女の決断は迅速かつ無慈悲であり、その場にいた者たちは震え上がった。彼女の冷血な行動は、連邦内で「冷血母公」として恐れられることとなった。一方で、彼女の命令に従わず戦いに赴く将校たちもいた。彼らは忠誠心と誇りを胸に、命を賭けて戦場に向かった。しかし、アリウスは彼らを見限り、艦隊を撤収させる決断を変えることはなかった。彼らはその後、連邦艦隊に置いていかれ、孤立無援の中で戦い続けることとなった。
戦場では、連邦艦隊が撤退する中、残された将校たちは絶望的な状況に立たされた。彼らは敵の猛攻に晒されながらも、最後の一兵まで戦い抜く覚悟を決めた。爆発音と共に宇宙空間が閃光に包まれ、戦場はまさに地獄絵図と化した。アリウスは艦隊を再編成し、ギールラングの侵攻に備えるための防衛体制を整えた。彼女の指揮の下、連邦軍は新たな戦略を立て直し、帝国に対する攻勢を一時的に中止することで、ギールラングの脅威に対抗する準備を進めた。後の同4350年、連邦艦隊は再び帝国領に侵攻し、カンバ星系が陥落することとなった。この攻撃は、連邦軍の冷徹な戦略が実を結び、帝国の支配をさらに弱体化させる結果となった。アリウス・ヴィ・レミソルトは、冷静かつ果断な指揮官として、連邦の勝利を目指して戦い続けた。彼女の決断は時に冷酷であったが、それは全て連邦の存続と勝利のためであった。後に彼女は連邦筆頭公爵としてその名を歴史に刻み、多くの人々に記憶されることとなった。
復活せしフォフトレネヒト皇国の栄光
『聞け!新たな皇帝陛下が共立連邦との停戦に合意された。そして、長きにわたり我々の文化を簒奪し続けた暴君は、もはや存在しない!今、この場を脅かしている艦隊は、両国共通の無法者に過ぎぬ!さあ、今こそ反撃の時だ。失われた聖地を取り戻そう!フォフトレネヒトに栄光あれ!』帝国宰相
パヴェル・クロキルシ
宇宙新暦4398年、フォフトレネヒト皇国は長きにわたる内紛と外敵の侵略に苦しんでいた。帝国の中枢であるチャルチルフ星系が共立連邦の艦隊によって攻撃され、絶体絶命の状況に陥っていた。連邦の猛攻により帝国は混乱の極みに達し、住民たちは恐怖と不安に包まれていた。そんな中、かつて停戦が合意されたという知らせが、世代間航行を経てついに帝国内に届いた。その知らせはまるで希望の光のように広がり、新たな皇帝が生きているという事実が判明した。これにより、絶望的な状況下で帝国の士気は一気に上昇したのである。帝国宰相パヴェル・クロキルシは、臣民に向けて力強い演説を行い、暴君の終焉と新たな皇帝の存在を宣言した。そして、現在の脅威は両国共通の無法者によるものであり、共に立ち向かうべきだと訴えた。彼の演説により、国民は結束し、反撃の機運が高まった。その知らせがもたらした影響は絶大で、チャルチルフ星系全体に新たな活力がみなぎった。帝国軍の兵士たちは、かつての栄光を取り戻すために再び立ち上がり、戦意を新たにした。前線の指揮官たちは、再興を目指す帝国の未来を背負い、連邦軍に対する猛攻を指示した。チャルチルフ星系では、帝国軍が決死の覚悟で連邦軍に立ち向かい、激戦が繰り広げられた。帝国艦隊と連邦艦隊が交錯し、空には爆発の閃光が絶えず輝き、戦場は火の海と化した。
兵士たちは祖国の誇りを胸に戦い続け、多くの犠牲を払いながらも、少しずつ連邦軍を押し返していった。連邦艦隊は高度な技術を誇り、その圧倒的な火力で帝国の防衛線を次々と突破していった。彼らの戦術は、奇襲攻撃と電子戦を駆使し、帝国軍の通信網を混乱させることに重点を置いていた。連邦の戦闘機は高速かつ高機動で、帝国艦船の脆弱な部分を的確に狙って攻撃を加えた。一方、帝国側は防衛ラインを強化し、連邦艦隊の進撃を食い止めるための戦術を展開した。帝国艦隊は堅固な陣形を組み、連邦軍の攻撃を分散させることで被害を最小限に抑えた。さらに、帝国の戦術士官たちは巧妙な逆襲作戦を計画し、連邦艦隊の後方支援部隊を奇襲するなど、戦場の主導権を取り戻すための努力を続けた。ある日、戦場に奇跡が起こった。皇帝自らが前線に姿を現し、その姿を見た兵士たちは歓喜とともに闘志を燃やした。新皇帝ガルーネ・ヴィ・ユミル・イドラムの存在は、帝国軍の士気を一層高め、反撃の火花を散らせた。彼女の指揮の下、帝国軍は次々と連邦軍の陣地を突破し、戦況を逆転させていった。連邦艦隊は予期せぬ反撃により混乱し、戦線を維持することが困難となった。帝国軍はその機を逃さず、全力で攻勢を続けた。連邦の主力艦隊が撃破されると、帝国軍はさらなる反撃を繰り広げ、連邦艦隊を包囲殲滅に追い込んだ。最終的に、帝国軍は連邦艦隊をチャルチルフ星系から駆逐し、一時的な勝利を収めた。この戦いは、帝国の再興を目指す壮大な旅の始まりであり、臣民の希望と信念を新たにしたのであった。
決戦。第二次イドゥニア戦役
『この屈辱的な講和条件を受け入れるだと!?そんなことは決して許さない!我々の誇りと名誉を賭けて、最後の一兵まで戦い抜くのだ!この戦場を血で染め、敵を徹底的に打ち砕くのだ!我々の存在を見せつけてやる!全てを破壊し、全てを奪い返すのだ!』帝国連合艦隊司令総監ミリトヴィチ・ココヴィリ宙軍大将
宇宙新暦4495年、第二次イドゥニア戦役の決戦が迫る中、帝国連合艦隊は生存をかけた最後の抗戦を繰り広げていた。長きにわたる戦争で疲弊した帝国軍は、連邦軍を中心とした連合国陣営の圧倒的な戦力に対して必死に抵抗していた。イドゥニア星系全域が戦火に包まれ、宇宙空間では数え切れないほどの艦船が火花を散らしながら激突していた。ミリトヴィチ・ココヴィリは、現実が見えずに戦闘の継続を主張し、帝国の存亡をかけたこの戦いで、絶望的な状況に直面しながらも決して諦めることなく戦闘を指揮していた。ココヴィリは、帝国軍の底力を過信し、無謀な命令を出し続けた。彼の執拗な戦闘継続の主張は、兵士たちを更なる絶望へと追い込んだ。次々と倒れていく仲間を目の当たりにしながらも、彼らは最後の一兵となるまで戦い続けるしかなかった。連合国陣営はその圧倒的な火力と戦術で、次々と帝国の防衛線を突破していった。電子戦や奇襲作戦を駆使し、帝国軍の通信網を混乱させ、指揮系統を切断することで優位に立っていた。連合国の戦闘機は高速かつ高機動で、帝国艦船の弱点を的確に狙い撃ちし、戦場には死と破壊が溢れていた。
帝国艦隊は壊滅的な被害を受け、宇宙空間には無数の艦船の残骸が浮かび、絶え間ない爆発音が響いていた。宇宙空間だけではなく、地上世界も火の海に包まれていた。都市が次々と崩壊し、逃げ惑う人々の悲鳴がこだました。建物が燃え上がり、地表は戦火に覆われ、全てが焼け野原となっていった。生き延びた者たちは瓦礫の中で泣き叫び、助けを求めたが、その声は虚しくも消えていった。そんな中、帝国軍にはまだ希望が残されていた。ココヴィリの狂気とも言える指揮のもと、帝国連合艦隊は戦術を駆使し、連合国陣営の隙を突いて反撃を開始した。決死の覚悟で挑む帝国軍の兵士たちは、連合国軍を押し返し、戦場の均衡を取り戻すための奮闘を続けた。しかし、その努力も虚しく、連合国陣営の圧倒的な力の前には抗えなかった。反撃の度に新たな死者が生まれ、戦場は一層凄惨な光景となった。第二次イドゥニア戦役の終わりに向けて、帝国と連合国陣営は休戦交渉の場に立つこととなった。
激しい戦闘の末、帝国はイドゥニア星系において一部領土を失うことになったが、それでも征服してきた領地の大部分を維持することに成功した。この交渉の結果、それが事実上の和睦となり、正式な停戦は4500年に確定した。連合国陣営側もまた、長期にわたる戦闘で疲弊しきっていた。辛うじて戦勝を収めたものの、その代償は大きく、共立連邦大統領の求心力低下に繋がることとなった。国内では戦争継続の是非や犠牲の大きさに対する批判が高まり、大統領のリーダーシップに対する信頼は揺らぎ始めた。同時に、帝国臣民の間には絶望が広がった。戦勝を信じていた者たちは、イドゥニア星系での領土喪失の報に衝撃を受け、未来への不安に苛まれた。帝国が維持できた領地があるとはいえ、期待していた勝利を手にすることはできず、多くの臣民が失意の中に沈んでいた。希望の光は薄れ、ただ痛みと喪失感だけが広がっていた。この戦いの行方は、帝国と連合国陣営の未来を左右するものとなった。ミリトヴィチ・ココヴィリの頑なな戦闘継続の主張が、帝国連合艦隊にとっての運命を決定づけることとなった。
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最終更新:2024年12月03日 17:45