闘争競技


概要

 闘争競技ロフィルナ語:Fealia-フェアリア)は、文明共立機構.闘争競技国際理事会が主催する模擬戦闘スポーツで、各国政府により様々な戦闘種目が提供されている。現在、最も高い視聴率を誇る娯楽番組とされ、一攫千金を夢見る数多くの腕自慢達の注目を集めた。主な種目は現実世界における艦隊戦を始め、ランクに応じた個人戦、武装車両によるブラッドレース等、様々なジャンルに対応する。開催にあたっては、主に該当競技に参入する提携企業の協力金を原資とし、挑戦者が納める登録手数料や、視聴者による掛け金、番組視聴料、その他のグッズ販売など複数のルートを通じて確保される。参列企業にとっては自社の商品を売り込む絶好のセールスチャンスとして期待され、事業分野を問わず、かなりの経済効果を生み出した。個人戦を得意とする挑戦者にとっては、一攫千金を追い求める壮大なロマンがあり、毎年激烈な戦いが繰り広げられるという。国家規模から見ても、自国の輸出に見合うだけのリターンが期待できるため、世界経済(秩序の維持)に寄与する新しい形の戦争ビジネスとして発展した。

歴史

戦後秩序を形成する国際共立監視軍の戦い

 国際社会は戦後、加速度的に数を増した宇宙海賊の脅威に対処するため、その収入源を断つ必要に迫られた。多くの海賊は既存国家のコントロールから外れた非属星系を拠点として活動し、違法採掘を含む様々な未承認事業を拡大していく中で結束に至ったのだという。闘争競技もそうした原資を得るために有効な星間ビジネスとして開催され、戦後処遇に不満を抱く知的エリート層(退役軍人、官僚、政治家、その他の専門家)を取り込みながら各地の市場規模を拡大させていった。以上の経緯を経て、更なる軍事化を遂げた国際犯罪シンジケートは前大戦で疲弊した星間諸国を襲うようになり、夥しい数のリソースを略奪したのである。既存の国家機構に失望した多くの者が非属星系に流れ込むと、ブラッド・コミュニティと呼ばれる巨大な裏社会のマーケットが形成され、皮肉にも規制されて久しい数々の贅沢品が流通するようになった。各地で略奪された違法物資は、人種、性別、思想、犯罪歴の有無を問わず供給されるようになり、望むと望まざるに関わらず各宙域を彷徨する多くの被差別難民を惹きつけてしまったのである。彼らはブラッド・コミュニティの発展に必要不可欠な労働力となって非属星系における生産力の向上を促した。危機感を募らせた主要各国は、ともに国際共立監視軍を強化する形でブラッド・コミュニティに対する制裁を強めた。

違法賭博の公式化

 闘争競技の成り立ちは元々、数多の宇宙海賊からなる国際犯罪シンジケートによって開催された違法賭博に由来するものである。過去、長きに渡って続いた世界大戦が終結し、復興が進み始めて間もない頃。世界は公に差別される多くの漂流難民で溢れ、大規模な略奪を繰り返していた。中には戦争で国を追われた闘争主義者や、軍隊崩れの集団もおり、それはやがて巨大な連合艦隊となって各国の警備が行き渡らぬ辺境拠点へと襲いかかったのである。方々において被害が拡大すると、ツォルマリアを中心とする国際共立監視軍が動き出し、本格的な掃討作戦を実行した。しかし、帰る場所がない漂流難民は年々増加の一途を辿っていき、航路外において巨大なブラッド・コミュニティが形成されるなど、その勢力は次第に国家規模にも相当する数へと膨れ上がってしまった。

 以上の経緯から、難民の受け入れを巡る国家間の対立が激化すると、国際世論は、やがてこの世界に蔓延する差別構造そのものを危険視するようになった。先の大戦における無差別攻撃で夥しい数の漂流難民を生み出したセトルラーム共立連邦は、その責を問われ、フリートン独裁政権(当時)による全面的な保護政策への転換を促したのである。有志連合(旧主権企業連合体)とともにセトルラーム政府を非難したユミル・イドゥアム連合帝国もまた、人種政策の欺瞞を突かれ、同様のプロセスを辿っていった。世界は特定国家の負担を増やす形で一応の安定を見たが、膨れ上がるブラッド・コミュニティに対しては有効な対処法が少なく、その活動源泉とされる違法取引の需要を奪う必要に迫られた。共立公暦1世紀初頭。文明共立機構による違法賭博の公式化が推し進められると、脅威となるブラッド・コミュニティは徐々に数を減らしていき、今日、開催される死人が出ない健全な闘争競技の発展へと繋がった。

主な種目

 基本的には、それぞれ独立した種目として常設されているが、国家間の合意により一部共有エリアにおいて開催される場合もある。

個人戦闘競技

 個人戦闘競技は、主に何らかの技能を持つ個人の戦いを指し、所定のエリアにおいて純粋な戦闘能力を競い合う。戦場となるエリアは基本的に無限空間上のオープンワールドにおいて行われるが、予め合意されたデスマッチの条件により、様々な『状況』を再現することも可能とした。無事予選を勝ち抜き、正式な選手権を得ると現実世界において実戦さながらの『果し合い』を行うことになる。この模擬戦闘では、どちらか一方が死亡判定を受けるか、降参の意思を示すまで戦い続けることになるが、観客の盛り上がりを考慮し、最後まで続行するケースが殆どである。そして、この場合の死亡判定は実際に殺害されることであり、予め用意された器に意識転送することによって蘇生する。神経操作によって痛みを抑制することも出来るが、卑怯者と見なされるケースが多く、あまり推奨されていない。

 単なる個人戦闘だけではなく、複数人による集団戦闘も許可されていることから、チームを組んで挑戦する者も多いという。多くの場合においては正規軍出身のランカーで占められることから、稀に経歴を持たない個人が勝利すると大いに盛り上がること間違いなしである。また、実際の対戦にあたっては、運営から提示された装備を用いて戦うモードと、予め自らが用意した装備に依存するモードがあり、参加条件によって様々な戦い方が想定される。無差別モードにおいては、運が悪いと完全武装のプロを相手に戦うことになるため、参加にあたっては自己負担費用も含め、完全に自己責任であることに同意する必要がある。ある程度のランクに到達すると企業の覚えもめでたくなることから、それ目的で参戦する者も多いという。また、戦闘に長けた囚人が出場し、得られた賞金を賠償に充てるケースも散見された。(被害者の同意が必要となる)

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生存競争

 生存競争では、特定エリアにおける参加者の生死を競う。基本的なルールは個人戦と同じく、参加者の条件に合わせてマッチする形式を取るが、全ての装備を現地調達しなければならず、サバイバル能力を問われるところに大きな特色が見られる。また、ハードエリアにおいては正規当局を相手に戦う流れとなり、実地訓練も兼ねることから、プレイヤーは本物の紛争に直面しているかのような感覚を味わえるだろう。更に手配度が上がると公共保安隊が出動するため、毎度異常なまでの盛り上がりを見せる。これらのモードで優秀な戦績をおさめ、一定の資格を得るとエクストラエリアが解放され、架空の戦場に放り込まれる流れとなる。そこでは本格的な兵器を伴った正規軍同士の戦いが繰り広げられており、単なる戦闘能力だけではなく、「傭兵」としてのチームワークも試されることから大抵の場合においては精鋭部隊出身の猛者達で占められるという。敵軍による航空爆撃を受け、「死んでしまう」こともよくあるので心してかからなければならない。以上のサービスは基本的に無限空間において常設されることから、プロ・アマを問わず気軽に参加することが出来てしまう。当然、厳格な利用規約も設定されているが、万が一、接続してトラウマとなった場合は運営による記憶消去を受けることも可能である。

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総合軍事演習

 総合軍事演習は提携各国において催される模擬戦闘訓練であり、共立世界を成り立たせる根幹事業の一つとして注目される。その性質上、兵器需要を満たす最も大規模なビジネスとして有力視され、一種のガス抜きのために利用されている側面も大きいが、その競技種目が示す通り、各部隊の練度を維持するための軍事演習として強調された。同時に新兵器の実働試験も兼ねることから、提携企業に対し、中央省庁など行政組織による入札が広く行われている。また、一般参加は生存競争(エクストラモード)にて一定の成績をおさめた場合に可能とし、各自所定の部隊に配属される形式を採った。当種目における国家間の勝敗は、無限空間で行われるネットワーク上の仮想試合から想定されるが、その基準は共立機構が共有する実働データを含め、予め合意された前提条件に従う形で判定する。実際には国家間の利害調整が行われており、軍需産業の利益も絡むことから現実世界における実働試合へと持ち込む場合が殆どである。係る試合のルールは提携各国の交渉に左右されることから、軍関係を含む全ての参加者は一定の目的に沿って勝利を目指さなければならない。


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ブラッドレース

 ブラッドレースは、主に各ローカル・コミュニティが主催する「短距離走」と、各国政府が主催する「中距離走」、国際大会において設けられる「長距離走」の3種目によって構成される。短距離走ではレースによって異なる団体が主催し、そのエリアでしか通用しない独自の規約等、様々な文化の発展に繋がった。ある程度の資格を得て、中距離走に出場できる段階になると中央省庁へ登録する流れとなり、天地を問わず最速で空域を走り抜けるテクニックが必至となる。当然、機体の性能も隔絶的な投資を要するため、殆どの選手がここで諦めるか中途半端に妥協してしまう。以上の困難をクリアし、長距離走に出場できる段階になると、同じように選び抜かれた精鋭達を相手に競う流れとなり勝利しなければならない。この戦いでは砲撃による妨害も当たり前となるために蘇生保険への加入も必至となるが、時には総合軍事演習と並行する形で開催されることもあり戦場を駆け抜けているような感覚を味わえるという。優秀な戦績を納め、ある程度の名声を得ると企業や自治体、場合によっては国から支援を受けることも不可能ではないが、これは距離を問わず、ほぼ全てのレースに共通するロマンとされる。

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社会問題

 当競技は前述の通り、漂流難民が寄り集まるブラッド・コミュニティから広められた経緯がある。そのため、犯罪抑止を掲げる共立機構によって公式化され、娯楽とガス抜きを兼ねた新時代の戦争ビジネスとなって更なる発展を遂げた。国家間において莫大な利益を生み出す一連の事業は、国際秩序を成り立たせる合理的な試みとして歓迎される一方、擬似的なものとはいえリアルな闘争を伴うところに倫理上の問題が生じる。以上の理由から、該当種目に対し規制を求める声も少なくはないが、当競技に依存する数多くの利益団体が抵抗しており未だ改正の見通しは立っていない。

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娯楽
最終更新:2024年12月08日 01:50

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