概要
自己紹介
えっと、セラニーヤ・フォルクネールです。まあ、あんまり面白いことは言えないけど、よろしくね。戦闘訓練を受けてるけど、まだまだだし、得意なことって言えるほどのものはないかな。人の顔色を見るのは、ちょっとだけ得意だけど……あ、今ちょっと身構えたでしょ。大丈夫、覗いたことは言いふらさないから。ただ、ちょっと歴史とか心理学に興味があって、暇なときに本を読んだりしてる。古い本の匂いって、落ち着くんだよね。部活は遊理部。騒がしいところだけど、止め役がいないと回らないから、気づいたら毎日顔を出してるの。あと、たまにお菓子を焼いてくるから、よかったら食べてね。形はちょっと面白くしてあるけど、味は保証するよ。ここには勉強しに来たんだけど、思ってたよりずっと賑やかで、退屈だけはしなさそう。別に難しい話はしないから、気軽に話してくれたら嬉しいな。あ、そんなに出しゃばるタイプじゃないから、無理に話しかけなくても全然平気だよ。怒ることも、あんまりないし。……あんまり、ね。気楽にやっていこうね。
来歴
セラニーヤは、惑星ギルマリスの
辺境の村で生まれ育った。父親は小さな技術開発会社を切り盛りしており、家の食卓では工学や科学の話題が当たり前に飛び交っていた。健全な理系の家庭にありながら、娘の関心は幼いうちから書棚の歴史書に向き、親不孝の芽は早々に顔を出している。古今東西の資料を片端から読み漁った彼女は、
共立世界の歴史や他国の文化にまつわる雑学を、長い年月をかけて溜め込んだ。尤も、積み上げた知識はどこまでも紙の上のもので、戦場の空気も、よそ者と生身で交わす言葉も、書物の頁の中で知ったものばかりだった。読んだ情報の数だけが増えていく日々に本人が飽き始めた頃、進路を選ぶ時期が重なった。連邦内の進学先はいずれも条件が揃っていたものの、彼女が選んだのは
ユピトル連合への留学である。動機を尋ねられた本人は『面白そうだったから』と軽く流すのが常で、何度問い直しても同じ答えが返るため、周囲は早々に追及を切り上げた。裏側には、他国の教育を直に見てみたい好奇心が潜んでいた。連邦の外で自分がどこまで通用するかを試す気持ちも、家業から離れた場所で進路を組み立て直す思いも、決断の底に束になって沈んでいる。要するに、全部本当だが、全部を口にするのは面倒臭いだけである。教育水準で名を馳せるユピトルの評判も、背中を押す材料に加わった。留学後は
リンベルーク・アカデミア付属のサー・フォス・カレッジに学籍を得て、歴史学を軸に据えながら、士官候補生の訓練課程にも籍を置いた。
人物
セラニーヤは普段、物事をじっくり考えてから口を開く穏やかな気性の持ち主である。周囲との調和には気を配るほうだが、落ち着いた外見の内側には旺盛な好奇心が詰め込まれており、蓋を開けると面倒臭い中身が飛び出してくる。古書を手にしているときや珍しい遺物を前にしたとき、控えめな顔つきが崩れて、『楽しい』がそのまま表に出る。落差の大きさたるや、同じ人間かどうか疑わしい水準である。心理学への関心も、好奇心と同じ根から伸びた。相手の仕草や言葉選びから内心を読み取る癖がついた結果、仲間内には、嘘は見抜かれる前提で話す、という暗黙のルールが敷かれている。珍獣揃いの
遊理部において、彼女が回るのは止め役である。誰かが暴走し始めれば冷静な突っ込みで場を元に戻す手際が板につき、今や収拾役の指定席が出来上がった。本人が望んだ配置かどうかは、別問題である。本気で怒らせた相手の前では、
攻撃モード(謎のスケバンモード)が顔を出す。普段の柔らかな語尾は影を潜め、巻き舌の罵声と物騒な脅し文句が淀みなく流れ出すため、初めて居合わせた部員は、声の主を探して周囲を見回す羽目になる。困っている相手に手を差し伸べたがる性分を持つ一方、助けに入る前には、相手が信頼に値するかを見極める段を一つ挟む。行動の出どころは純粋な善意と合理的な判断にあるものの、帰結は毎回少しずつ常識の外側に着地した。部員全員に与えられる番号入りの称号が、彼女に限っては部の外でも本名より先に口に出るのも、ズレの積み重ねが招いたことである。周囲の評価は『穏やかな優等生』と『得体の知れない怪人』の間を絶えず揺れ動き、『クーデレ系』と評す声もあるが、本人は涼しい顔で聞き流している。
人間関係
収拾役として騒ぎの後始末に駆り出される日々の中、セラニーヤが観察の目を最も長く向けてきた相手は、同じ部の名簿に並ぶ面々である。
正規怪人への昇格を決め、番号入りの名札を渡した張本人が部長である。准怪人の時期に持ち込んだ差し入れの焼き菓子を、部長は形を一目見るなり笑い転げて受け取り、昇格条件の『部長を楽しませること』は菓子の一箱で満たされた。以後のセラニーヤは、部長の企画を止める収拾役に回っている。予算と規模を勝手に上乗せする癖については、過去の企画で膨らんだ額を帳面に控えておき、会議で上乗せが始まる前に数字を読み上げて牽制する。牽制の成功率は低いものの、読み上げの時間だけは会議の定番になった。部長が懲罰独居房に連行された週には差し入れを届ける役も引き受けており、格子越しの受け渡しに許可の下りる菓子の形状を、毎回風紀委員と相談して決めている。
同じ連邦から来た年上の留学生で、自国の大統領の令嬢でもあるのがシーナである。肩書を気にかける素振りは最初から皆無で、セラニーヤは歌詞の筋の食い違いや公演ごとの差を淡々と指摘し、選曲に迷った相手の相談にも乗ってきた。古代文献の物語を題材に取った歌詞に対しては、歴史学の立場から史料の裏付けを探し出し、該当する箇所の写しを楽譜の束に挟んで返す。写しの余白には、物語が書かれた時代の暮らしぶりが細かな字で書き添えられており、シーナは次の歌詞を練る際に、余白の注記から言葉を拾っている。公演の前夜に楽屋へ呼び出された日は、張り詰めた相手の呼吸の速さを見て、茶を淹れる頃合いを決めるのがセラニーヤの役目である。
同い年の副部長とは、研究者と聞き取りの相手の関係で結ばれている。共感の強さを心理学の題材に据えたセラニーヤは、聞き取りの席で感情が揺れた場面を時刻ごとに書き留め、謝礼として羽根を添えた守り袋を毎回手渡す。調子を崩す兆しを掴んだ日に読書の席を隣に移すのは、見守りと観察の実地を兼ねた行動である。菓子の形については副部長に監修を仰いでおり、解剖学の知識を借りた差し入れは、回を追うごとに本物に近づいた。包丁の刃の曲線を語る副部長の熱弁には、セラニーヤも身を乗り出して耳を傾け、刃物の意匠の変遷を史料から拾い出して返礼に添えている。互いの偏愛を材料として交換する二人は、部内でも指折りの物騒な組み合わせに数えられる。
前世の人格が住むヨークの内側を最初に見抜いたのは、セラニーヤの観察眼であった。長広舌の前に瞳孔の動きが変わる癖を拾った彼女は、人格が表に出る周期を表にまとめ、聞き取りの日程を周期から逆算して組んでいる。歴史学を学ぶ身にとって、旧世界の発掘現場を語る声は一次資料そのもので、録音の書き起こしは、地名と暦を照らし合わせた注釈付きの帳面に綴じられた。元帥の肩書を持つ相手が語る軍略の話も、戦闘訓練の座学を補う材料として重宝している。謝礼の菓子は量を重んじる相手の好みに合わせて大きく焼き上げ、聞き取りが長引いた日は枚数を足す。前世の最期について、セラニーヤは見当をつけた様子を見せながら、問いを胸の内に留めたまま聞き取りの席を重ねている。
反応速度の課題を詰める稽古相手として、セラニーヤが頼りにしているのが班長である。射撃場では不意打ちの的を出す稽古が繰り返されており、彼女は反応の速さの推移を記録して、稽古の組み立てに役立ててきた。見返りとして渡しているのは、観察から読み取った部隊員の癖の見立てで、班長は任務の組み分けに見立てを取り入れる。一方、部員の小銭に伸びる班長の手癖は袖口の動きから先に読まれており、財布に指が届く前に名前を呼んで止めるのが、セラニーヤの日課となった。路上で生き延びてきた班長の話は、辺境の村の書斎で育った身にとって新鮮で、稽古の帰り道に聞く裏通りの暮らしぶりを、彼女は生きた社会史の資料として帳面に書き付けている。
日露戦争の生き証人である兵一郎を、セラニーヤは聞き取りの相手として最も長く追いかけている。陸軍仕込みの号令と敬礼を仕込まれる教え子の立場にありながら、稽古の合間には従軍の経緯を根掘り葉掘り尋ね、聞いた中身を日付順に帳面に綴じてきた。戦友の話に差しかかった箇所で講義が途切れるたび、彼女は帳面の該当箇所に余白を残し、続きが語られる日を待つ。号令の稽古では、踵を鳴らす角度の指導を受けながら、指導役の口元や袖の汚れから前夜の食事を言い当ててしまい、稽古の後半は毎回、生活指導の問答に変わっている。髪を添えた守り袋を押し戴いて受け取った部員は兵一郎ただ一人であり、軍服の胸に収まった袋の在りかを、セラニーヤは稽古のたびに目で確かめる。
騒ぎを収める側の相棒として、セラニーヤはマキラスと組む機会が最も多い。騒動の現場では彼女が原因の側に声を飛ばし、退路の確保は後輩に任せる分担が固まった。後始末の報告書は彼女の下書きに後輩が退路の図面を添えて仕上がり、提出までの手順も二人の間で決まっている。感情が振り切れると白い塔を生やす後輩の性質について、セラニーヤは心理学の見地から前兆を記録しており、声の高さと瞬きの回数が変わった時点で、騒ぎの原因を先に取り除く。黙って組まれた逃走の算段は、鞄に残った地図の折り目から毎回見抜かれ、後輩は下見の後に地図を畳み直す習慣を身につけた。静けさを好む点は二人で重なっており、週の終わりには部室の隅で、無言のまま本を読む時間が続いている。
戦闘能力
セラニーヤの戦闘技能は、士官候補生の訓練課程でアサルトライフルを軸に仕込まれたものである。穏やかな顔で銃を構える絵面は違和感が強いものの、本人は訓練に真面目に取り組んでおり、射撃精度は回を重ねるごとに目に見えて伸びてきた。的に当てるだけの段階はとうに過ぎ、今ではどの位置から撃つか、周囲の状況がどう動いているかまで読み込んだうえで引き金を引く。回避行動とポジショニングも並行して叩き込まれ、体の動きから余計な力みが徐々に抜けた。射撃位置の選び方には、観察癖と心理学の素養が直に流れ込んでいる。模擬戦闘演習場で標的役の学生と向き合う際、彼女は相手の重心の偏りと視線の行き先を先に拾い、次に身を移す遮蔽物を割り出してから銃口を据える。シミュレーション訓練設備での演習でも手順は同じで、仮想の敵が物陰から顔を出す前に、足音の間隔と影の伸び方から出現の位置を絞り込む。読みが当たった回は射撃の手数が少なく済み、弾倉の交換も一度で足りた。指導官の見立てでは、本人の資質で一番効いているのは冷静さらしい。普段の落ち着いた気質が緊張下でも保たれ、判断を素早く回せる点が強みとされる。ただし、状況が一気に動いた瞬間の反応速度には、まだ詰めるべき余地が残っている。課題を片付けた暁には、部の番号付きの呼び名に物騒な響きが一つ加わる見込みもある。
語録
「教官、合図の前に左の眉が上がる癖、直したほうがいいですよ。次から撃つ前に分かっちゃうので」
射撃訓練の講評の場で、指導役の教官に向けて真顔で告げた一言。
「まあ、無駄に動かないのが私のモットーだから、あまり気にしないで」
遊理部内の騒動に冷静に対応しながらも、余裕を見せる。
「人は、嘘をついてるときより、本当のことを言ってるときの方が目を逸らすらしいよ。本当かな?」
雑談の流れで唐突に披露した、どこで仕入れたのか判然としない豆知識。
「あー、すみません、今ちょっと『スケバン』のオフモードなので、暴れたくないんです」
過剰に反応しそうになる場面で、冗談めかして言う。なお、
スノータワー
「あ゛ぁ? 今なんつった? 聞こえなかったからもう一遍言ってみろや。……言えねぇのか? だったらその舌引っこ抜いて、古書の栞に挟んどいてやるよ」
部員の差し入れを踏みつけた他校の不良を前に、普段の語尾をかなぐり捨てて凄んだ場面。
「泣いて謝りゃ済むと思ってんのか? 済むよ。済ませてやっから先に泣けや。三つ数えるうちに泣かねぇなら、テメェの骨で焼き型取ってやんよ」
「おい、こっち見ろ。目ぇ逸らしたな? 本当のこと言うときほど目ぇ逸らすらしいじゃねぇか。……で、どっちだ。嘘か? 本当か? 両方ならまとめて殴る」
部室の備品を持ち去った犯人を捕まえ、胸ぐらを掴んだまま始めた尋問。
「……あ、ごめんね。今の、聞かなかったことにしてくれると嬉しいな。お茶、淹れ直すね」
啖呵を切り終えた直後、元の穏やかな口調に戻って、固まった部員たちに向けた一言。
「雨の匂いって、降る前と降った後で違うんだよね。知ってた? 降る前の方が、なんか寂しい感じがするの」
部室の窓辺で外を眺めながら、誰に聞かせるでもなくぽつりと呟いた一言。
「死んだ人の名前って、声に出すと少しだけ蘇るんだって。だから聞き取りの帳面に出てくる名前は、全部一回ずつ読み上げてから綴じてるの」
夜更けの居残り作業中、聞き取りの帳面を綴じる手を休めずに語った呟き。
「紅茶に塩を入れると、甘さが引き立つんだよ。騙されたと思って試してみて。ほんとに騙すから」
新入部員相手に悪戯めいた微笑を浮かべつつ、お茶を勧める場面で。
「昔読んだ本にね、人の影は本人より三秒遅れて動くって書いてあったの。ずっと観察してるけど、まだ一度もズレを見つけられてない」
休み時間に床の影を凝視しながら、隣の仲間に真顔で報告。
「私、生まれ変わったら植物になりたいな。動かなくていいし、考えなくていいし、踏まれたら怒っていいんでしょ?」
授業の合間、窓際の鉢植えを眺めながら口にした将来への希望らしき発言。
エピソード
- 留学して初めて部に持ち込んだ差し入れは骨の形をした焼き菓子で、箱を開けた部員たちは、手を伸ばす前に互いの顔を見合わせた。面白い形を狙っただけとの説明を聞いた後、一人が恐る恐る齧った菓子の味が評判を呼び、箱は昼前に空になった。
- 訓練課程の同期が射撃試験に臨む前夜、セラニーヤはネットで仕入れた作法どおりに、拾った羽根と自分の髪を封じた守り袋を手渡した。同期は試験に合格したものの、捨てる決心と持ち歩く覚悟の間で迷い続け、袋は今も寮の机の上に飾られている。
- 歴史学の講義の後、教授の襟に残った皺と、上着のポケットから覗くレシートを見たセラニーヤは、前夜に立ち寄った古書店と帰宅の時刻を言い当てた。翌週から、教授は講義のたびに上着を替えて現れ、空のポケットで教壇に立つようになった。
- 古書市で手に取った史料の綴じ糸の擦れ方から、セラニーヤは製本の時期が本文の年代より新しい点を見抜いた。偽物と指摘された店主はその場で値札を書き換え、史料は半値で彼女の鞄に収まった。
- 模擬戦闘演習場での訓練中、標的の予備動作を読もうと身構えたセラニーヤは、銃口を据えたまま長考に入った。相手は案山子型の据え置き式の標的で、動く気配を待つうちに持ち時間が尽き、訓練記録には時間切れの判定が残った。
- 心理学の課題で性格診断を受けるたび、セラニーヤの結果は毎回別の型に分かれた。担当の院生は集計の誤りを疑って診断票を刷り直したが、刷るたびに新しい型が現れ、最後には課題の欄に判定保留の印を押している。
L(#@皿@)ノ~💣️📱💣️
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最終更新:2026年04月17日 01:15