概要
コルナンジェ軍事クーデター事件は、
ロフィルナ王国で発生した武装蜂起である。
共立公暦1001年の年頭に王都コルナンジェで起こり、王党派が大宰相府の政権を退けた。王都の政権が倒れた事態は、
第三次ロフィルナ革命の開戦につながった。
背景
共立公暦1000年の秋、コックス大宰相は、
文明共立機構が通告した準備指定レベル4への対抗として軍事動員令を発した。重税は王都の街区に一様に課され、徴募の割り当ても同じ令達のもとで引き上げられている。民衆の街区では暮らしの費えが尽きたため、貴族の街区にも不満が広がった。大宰相府が
武装赤軍を動員し、外縁の街区で無法者の掃討を強行すると、焼かれた家屋の前で住民の怒りが噴き出した。『花祭り』の場では、
アリウス公王が自由の理念を説いて民心を掴み、王都直轄司令官
ガルヴェイン・ゾルドリックとの密議を重ねた。交易の停滞に抗議した街区の商業組合は、王党派に武器を回し、資金の一部も預けた。要塞都市から召された予備役の部隊は軍事偏重の路線に反発し、司令官府との連携を模索している。中立の姿勢を保っていた大聖堂の聖職者からは、異端審問官の目を避けた密使がガルヴェインのもとへ届いた。
経過
戦闘の場は王都の街区と外周の要塞都市に収まり、州域の他の地区は蜂起の外側に置かれたままだった。
王宮制圧
共立公暦1001年1月3日の深夜、アリウスは王宮で評議を招集した。大宰相府の首脳が居並ぶ王宮を、ガルヴェインは直轄軍3000人で包囲し、正面には砲兵部隊が据えられた。午前2時、アリウスが圧政の打破を宣言すると、王宮内に配された歩哨が内側から門を開いた。予備役の装甲部隊は貴族の街区へ突入しており、政権軍を街路の各所で押し返した。武装赤軍は約2000人で応戦し、キメラ部隊も投入して抵抗したものの、直轄軍の遠距離射撃兵器が火を噴いた。大聖堂イドルナートの前では、集まった民衆がガルヴェインに寄せる支持を叫び、直轄軍に加わっている。民衆の街区へ退いた政権軍は路地でゲリラ戦を挑んだが、王党派の契約兵が手榴弾で側面を襲った。夜明けの前に、コックスは護衛の一隊を連れて王宮を抜け、外周の要塞都市へ逃れた。
要塞攻略
1月4日の朝、王宮では解放令が発布され、コックスは王国の裏切り者として断罪された。アリウスは民衆に王国の再建構想を示し、再編された直轄軍が外縁の街区で残党の掃討にあたる。予備役の装甲部隊は街区の班から援軍2000人を集めており、要塞都市の市壁を四方から囲んだ。コックスは残兵500人と立て籠もったが、直轄軍の主力は市壁を砕き、爆裂兵器が内部を直撃する。午前10時に外郭が崩落すると、コックスは捕縛を逃れて州外へ抜けた。外周の集落からは、地元民兵およそ10000人が王党派の戦列に加わっている。手製の爆弾は
ティラスト派の補給路を焼き払い、外縁の連絡を断った。街区の商業組合は身分の安泰を条件にガルヴェインに忠誠を誓い、軍需品の供給を約束した。同日の夕方には、王宮から外縁の街区までコルナンジェの全域が王党派の支配下に入っている。
影響
蜂起の帰結は、共立公暦1008年の停戦に至るまで王国の各地に尾を引き、州の内外で形を変えて現れた。
州政
蜂起の成功によって大宰相府の令達は途切れ、コルナンジェには王党派の臨時政府が発足した。ガルヴェインは王都直轄司令官として直轄軍を再編し、予備役の装甲部隊を市内の要点に配置している。市壁の崩落によって市街の損傷が広がったため、貴族の街区では高級品の取引が止まった。民衆の街区では配給が滞り、街区の班長は倉に残った手持ちの糧食を分ける措置に追われる。王党派の軍備は市街の工房から補われ、資金の融通は帳簿を別立てにした商業組合が引き受けた。外縁の街区では政権軍の残党が略奪を繰り返しており、焼け跡での襲撃も夜ごとに続いた。直轄軍は夜間の巡回を増やし、街区ごとの名簿照合を橋の袂の関門でも改めている。鉱山の町を拠点とする軍閥はコックスの逃亡を支え、坑道から持ち出したロケット砲で直轄軍に小競り合いを挑んだ。
戦線
蜂起の後、大宰相府を支えた勢力は王都の街区を離れ、中部を挟んだ東部に拠点を移した。コックスは州外で軍閥の庇護を受け、西部の革命記念都市グロノヴェイルへ撤退を開始する。
ヴァルヘラ州軍政府は同盟の約定に従っており、東部で反攻の準備に入った。アリウスが
サンリクト公国の支持を取りつけると、
ユリーベル公国も同じ側に加わっている。内陸の
ルガスト州軍政府が兵を送ると、王党派の連合は形を得た。王都の陥落によって中央の集権は崩れ、地方の軍閥はそれぞれ勢力圏を築く道に踏み出す。外周の集落の民兵は農地の防衛で王党派に協力したものの、街区の投資家のうち一部は政権側との取引を続けている。大聖堂の聖職者は巡礼路の宿場に説教師を送り、アリウスに与する声を州境の外にも広げた。大宰相府の政権が王都から消えた事態は、
文明共立機構を含む国際社会が介入を強める契機になった。
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最終更新:2026年08月19日 21:46