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第三次ロフィルナ革命

第三次ロフィルナ革命
交戦時期
共立公暦1001年~同1008年
作:AIピクターズ
戦域(区画宇宙域)
セクター・イドゥニア
結果と影響
ティラスト派政権の崩壊
ロフィルナ国土の分裂
主な交戦勢力
共立機構国際平和維持軍
ジェルビア星間条約同盟
ルドラトリス安全保障盟約
ネルヴェサ―民主同盟
イドゥニア中央鉄道
ルドラス同盟軍
ロフィルナ王国コックス政権軍
ロフィルナ国民武装赤軍解放戦線
ヴァルヘラ州軍政府
第三勢力
コルザフラム王都直轄州
サンリクト公国
ユリーベル公国
ルガスト州軍政府
ラグニア州軍政府
ステラム・シュラスト州軍政府
民主革命ロフィルナ軍
主な指導者・指揮官
メレザ・レクネール
(Meleza Lekneer)
ヴァンス・フリートン
(Vans Friiton)
ザルドゥル・ヴィ・ヴェイルストレーム
(Zalduur vi Veilstreem)
トローネ・ヴィ・ユミル・イドラム
(Trone vi Jumir Iduram)
センジュ・アン・アクセルン・ヴィン・アンニオ
(þenʒ an aksern vin annio)
ストーン・アルテルン・ヴィン・ルセリア
(stá'n artern vin luþèlia)
フラウ=ドゥーントフォーント・フェトリーンド
(Fraw=Duuntfoont Fetriind)
レルナルト・ヴィ・コックス
(Lernalt vi Kokks)
アリウス・エルク・ヴィ・セトルラーム=レミソルトインフリー
(Alius Elk vi Setorraam=LemisortInflir)
カイル・ヴィ・ブラストラ
(Kair vi Braustra)
総損害(諸説有り)
死傷者
軍人:約135万人
民間人:約80万人
死傷者
軍人:約300万人(民兵含む)
民間人:700万人超


概要

 第三次ロフィルナ革命は、ロフィルナ王国で発生した内戦である。
王都軍の蜂起に複数の星間勢力の介入が重なり、王国の全域を巻き込む長期戦に転じた。共立史上において、イドゥニア世界の秩序を塗り替えた事件の一つに数えられる。

背景

 王国の対外姿勢を決めた要因は共立公暦より前の数世紀に遡り、開戦の直前まで政策決定を縛り続けた。

遺恨
 旧暦時代のロフィルナは三大国の一角を占めていたが、ツォルマリア人の星間侵攻によって栄光を失う。激動の時代に独立を回復し、新秩序世界大戦の勝者となった後も、進駐したセトルラーム連邦軍は王国を事実上の従属国として遇した。連邦軍の統治下で資源は組織的に持ち出され、苛烈な治安維持策が住民の生活を締めつける。抵抗した者は過激派の名目で処刑され、重い労働を課された国民は駐留軍を深く憎んだ。セトルラームが主導したギールラング戦線では過剰な派兵が課せられ、経済的な負担も重なって、多くの若者が戦場で命を落としている。許し難い所業として代々語り継がれた記憶は、ティラスト派の闘争思想を育む土壌となった。共立公暦に入ってからの数世紀、王国は幾度かの内戦を経て体制を刷新したものの、国際秩序を疑う姿勢は世代を越えて残り、軍拡を促し、孤立主義を後押しする。

旧禍(転移者星間戦争)
 共立公暦590年頃から翌591年にかけて、ラヴァンジェ諸侯連合体政府と転移者革命軍アリス・インテンション(AIn)の間で武力紛争が勃発した。発端は特異難民である転移者の処遇にあり、惑星シアップにおける強制労働が抵抗を招き、管理体制の劣悪さがそれを深めた。紛争そのものは低強度のまま推移したが、住民の被害は戦闘の規模を上回る。グランドウィンド停戦協定によって戦火は収まり、転移者自治領の設立が成果となった。同じ紛争に派遣されたロフィルナ軍の行いは、数世紀続く遺恨を生んでいる。同軍はheldo総司令部の命令を無視し、AInの構成員を殺害した上、非武装の難民にも同じ扱いを及ぼした。ディース・ヴィ・ティラストの指揮下では、シアップの居住区が無差別砲撃を受けている。

 捕虜と民間人は吊るされ、あるいは焼かれた。切断による殺害も同じ部隊の手で行われ、遺体は放置されたまま朽ちている。難民は肉の壁として戦闘に用いられ、人道危機を深めていく。殺戮は戦場の外側にも広がり、医療施設の破壊が食料庫にまで及んだ結果、生存者は生活の手立てを奪われた。文明共立機構は人道に対する罪として非難を加え、オクシレイン大衆自由国も同じ立場を取る。ソルキア諸星域首長国連合の抗議が続いたにも関わらず、処罰は形式で終わり、戦争犯罪者の訴追は停滞したままとなった。不処罰は国内でティラスト派を英雄視する風潮を強め、抑圧に抗う者として祭り上げる動きを助長する。暴力的な闘争思想が社会に根を下ろす契機となり、国民の間には深い憎悪が残った。


王の決断
 共立公暦998年、イドルナートの大火が両国の対立を決定づけた。コックス大宰相はティラスト主義を前面に掲げ、国際社会に対抗する姿勢を強めた。大宰相の思想は旧暦以来の遺恨を国家の方針に翻案するもので、国際社会との断絶を正当化する根拠となる。共立機構が準備指定レベル4を発令すると、大宰相は同機構からの脱退を宣言し、王国内の緊張は頂点に達した。王都コルナンジェではアリウス公王が軍事クーデターを決意し、支配構造の解体に向けた準備に入る。セトルラームのヴァンス・フリートン大統領は、混乱を併合の好機と捉えて軍事介入の下準備を進めた。介入の気配は国民の怒りを爆発させ、地方軍閥もそれぞれの利権を守るために動き始める。徴税の強化に軍事動員令が重なり、王都の駐屯地では兵の離反が相次いだ。

首脳間の確執

 革命前、アリウス公王は連邦共同体の元首としてフリートン大統領との協力を保っていた。旧暦時代の不幸を背景に、王国の軍事恫喝への対応の違いが重なり、両者の間に不信の溝が横たわっていた。公王は反セトルラーム感情を抱くラマーシャ公国を宥め、フィンスパーニア王国の説得にも動いて連邦の均衡を保とうとした。ユピトル連合との接触の噂を含む裏工作疑惑は、大統領の警戒を招いた。連邦総会の議論で、制裁を穏健な範囲に収めようとした公王に、大統領は軍事介入の準備で応じ、対立が表面化した。公王は相手の覇権主義を連邦分裂の要因と見なし、大統領は公王の指導力を計算高く予測不能と疑う。コルザフラムにおける公王の演説が国民の支持を集める一方、大統領のセトルラーム議会での強硬演説は連邦内の緊張を高め、革命の火種を準備した。そして、共立公暦1001年、両者は明確な敵対関係に入った。

経緯

 戦線は各方面へ順に移り、局面ごとに参戦勢力の顔ぶれを変えながら、王国の全域に拡大した。


革命初期

海戦
 共立公暦1001年、王都軍は王宮周辺のティラスト派駐屯地を急襲し、守備隊を短時間で制圧した。厳格な徴税を施行し、軍事動員令を重ねたティラスト派政権に、国民の不満が積もっている。公王のもとに集まった部隊はサンリクト公国の支持を取りつけ、ユリーベル公国も同調した。内陸ではルガスト州軍政府が兵を送り、ラグニア州軍政府が補給物資を送り出す。各勢力はそれぞれ歩兵部隊を提供し、装甲車両の供出も行われた。沿岸から陸戦部隊を派遣した市民勢力もあり、連合軍の動向を妨害する動きが初期の作戦を後押しする。西部では山岳地帯の要塞が占拠され、南部では港湾都市への進軍が食い止められた。共立機構とセトルラームが主導する連合軍は大規模な軍事侵攻を開始し、ロフィルナ王国の全域が戦場に変わる。公王は短期間のうちに王国の西部を掌握し、南部の主要都市にも支配を及ぼした。


東西対峙
 コックス政権軍は王都での長期戦を避け、革命記念都市グロノヴェイルへ戦略的な撤退を実施した。中部を挟んだ逆側のヴァルヘラ州軍政府(東軍)と連携し、東西の戦線から反攻する準備を進める。ヴァルヘラ州は鉱山から抽出した鉱物を活用して弾薬を供給し、装甲車の引き渡しも続いた。グロノヴェイルには臨時の兵器工場が置かれ、前線への補給は内陸の経路に切り替えられている。この時期の戦闘は散発的かつ局地的で、王都コルナンジェの周辺では市街戦が発生した。連合軍は南部戦線の港湾都市を制圧し、王国の海上補給路を遮断する作戦を成功させる。heldo艦隊の砲撃によって港湾施設の倉庫群が破壊された一方、政権軍は内陸の山間部に設けた拠点から小規模部隊を運用し、連合軍の補給線を突いた。戦闘地域では民間人の死傷者が増え、西部から北部への難民移動が記録される。インフラの破壊が進んで通信網の一部が機能を止め、地方政府の統治能力は低下した。制圧地域に置かれた臨時行政機関は治安維持を試みたが、抵抗勢力による夜間襲撃が頻発し、行政の実務は昼間の市街に集中する。


膠着
 共立公暦1002年に入ると、戦局は一進一退に移る。連合軍は北部戦線への攻勢を強め、国際社会は大規模な戦力を投入した上で工作機械を展開した。ステラム・シュラスト州軍政府(北軍)が第三勢力として台頭すると、山岳地帯の防御拠点からの奇襲が繰り返され、連合軍の進軍は妨げられる。北軍は補給車両を鹵獲し、自前の輸送力に組み込んだ。王党派はコルザフラム西部の山脈に防御陣地を築き、重火器を据えた上で対空砲の配備も進める。地元民兵の動員によって守備の層が厚くなり、偵察任務も強化された。政権軍は西部戦線でヴァルヘラ州の鉱物資源を用い、装甲車両の生産を増やしたほか、無人ドローンの量産にも着手する。グロノヴェイルから南東部のルギナス渓谷へ反攻をかけて同地域を奪還し、渓谷には防御用のトーチカが建設され、補給基地が置かれた。

増派
 連合軍にはネルヴェサ―民主同盟(サーネ)が加わり、南部戦線に追加の戦力が投じられた。長期化した戦線では厭戦感情が表面化し、共立同盟に属する中小国は順次撤退を始める。セトルラームは単独での増派を強いられ、フリートン大統領の指示のもと、北部戦線の都市に絨毯爆撃を加えた。焼夷クラスター弾の使用によって民間人を含む死傷者が発生し、国内外の反発が同国の孤立を深めていく。爆撃の映像は星域の各地に伝わり、連邦議会でも作戦の妥当性が問われた。王党派では志願兵が増え、西部戦線での動員力が向上する。公王の演説は前線の士気を保ち、補給の不足を人手で補う体制が整えられた。南部沿岸では小規模な砲撃戦が続き、制海権の帰属は年を越えても宙に浮く。


革命中期

帝国参戦
 ユミル・イドゥアム連合帝国は共立公暦1004年、セトルラームの要請に応じて参戦を表明した。東部戦線へ機械化部隊を送り込み、重装甲艦の投入によって政権軍の拠点であるヴァルヘラ州軍要塞を攻撃する。帝国軍のプラズマ砲が要塞の外郭防御を破り、戦車部隊の突入によって生産施設が損壊した。無人偵察機の運用は守備隊の配置を露わにし、砲撃の精度を高めている。セトルラームとの連携で東部戦線の補給線分断が図られ、政権軍の後方支援は弱まった。守勢に回った部隊は予備兵力を投入して防衛線を組み直したが、補給不足が顕著となる。政権側は、これに対抗して傘下の高速戦隊を動員し、僻地からのゲリラ戦法をもって連合軍の輸送隊を壊滅させた。共立機構の平和維持軍(FT2部隊)が陸戦部隊を展開すると、アリウス率いる王都軍は首都の守りを固めつつセトルラームを牽制する籠城戦へと転じた。西部沿岸での戦闘は長期化し、連合軍が据えた防衛用の砲台は王党派の海上作戦を封じ込めた。

赤軍離反
 同じ年、ロフィルナ国民武装赤軍解放戦線がルギナス渓谷の拠点を掌握し、政権の統制から離れた。ティラスト主義を最も過激な形で継いだ武装組織であり、大宰相の指揮命令を拒んで独自の攻勢に踏み切る。渓谷のトーチカを足場として連合軍の補給隊を襲い、王党派の後方にも被害を及ぼした。双方に損害を与えた行動は、戦線の区分そのものを曖昧にしていく。政権軍は鎮圧に兵力を割く余裕を失い、東部の防衛を優先する道を選んだ。両陣営は組織の孤立を黙認し、消耗を待つ姿勢を取る。渓谷の補給基地は解放戦線の手に落ち、政権軍の補給網は南東部で断たれた。ヴァルヘラ州からの搬入路だけが、東西を結ぶ経路として残る。


北軍自立
 北部では北軍が勢力圏を広げ、交戦する両陣営の間で中立を保った。鹵獲した装備を分解し、自軍向けに改良した火砲を生産する。交易ルートの確保によって独自の自治体制が固まり、住民の登録制度も整えられた。FT2執行本隊は混乱に乗じて介入を強め、ロフィルナ中央部の主要都市を制圧している。執行本隊の展開は中央部の行政機能を機構の管理下に移し、王国政府の指揮系統は中部で断たれた。平和維持を名目とする駐留軍が増派され、夜間外出禁止令が敷かれたうえ、食料配給制度も始まる。駐留部隊は陸上戦力を中心に配備され、都市の治安維持にあたった。戦闘が王国の全域に拡大するにつれ、農村部では略奪行為が頻発し、穀物倉庫が焼かれ、農機具も持ち去られる。医療資源の補給は滞り、難民キャンプの過密化が衛生状態の悪化を招いた。

同盟崩れ
 共立公暦1005年以降、各地の戦線は一層複雑になる。連合軍は南部戦線でラグニア州の首都を包囲して補給路を断ち、長期の包囲戦の末に同州軍政府が降伏を表明した。王党派は同盟者を失い、降伏地域には連合軍の駐屯地が築かれ、補給基地も設けられる。北部では北軍が独立を保ち、密林に拠点を設けたほか、洞窟の内部にも司令所を隠した。ゲリラ戦術によって両陣営を牽制し、鹵獲した装備を改良した小規模な遊撃隊を編成する。機動力を活かした攻撃が双方の補給線を分断し、奪った物資は自軍の兵站を賄った。東部でヴァルヘラ州の支援を受けていた政権軍には内部対立が生じ、同州軍政府の高官がティラスト派の方針に反発して中立を宣言する。東部戦線の戦力は分断され、政権軍は予備部隊の動員を強いられた。ヴァルヘラ州は独自の資源管理体制を築き、西部戦線への弾薬供給を削減している。

南部反攻
 公王は王都でレミソルト級スイートクルーザーを旗艦とする艦隊を再編し、南部の奪還を試みた。サンリクト公国は主力部隊を南部沿岸へ集中させ、一部の港湾都市を取り戻す構えを見せる。セトルラームの集中空爆は戦闘機の多数を損壊させ、作戦は失敗に終わった。空爆に投入されたT-4は、温存のため、最小限の運用に留められた。一部の陸戦部隊は王都の郊外で孤立し、補給を欠いたままの消耗戦を余儀なくされた。平和維持軍は中部戦線に増派され、難民保護を目的とする駐留拠点を広げる。仮設基地の増強とともに武装解除区域が指定されたものの、ラグニア軍残党によるテロ攻撃が頻発した。自爆攻撃が記録され、待ち伏せによって国際部隊の車両が損壊し、通信施設も破られる。和平交渉は各勢力の利害対立によって停滞し、戦況は泥沼の様相を呈した。長期化した戦争のもとで、イドゥニア経済は低迷の一途を辿る。


革命後期

制空作戦
 共立公暦1007年の春頃、セトルラーム空軍第4世代ゾラテス級を南部戦線へ投入し、制空権を固めた。連合軍は南部戦線の補給拠点を強化し、艦の展開に合わせて地上部隊の再編成を実施する。制空権を失った王国側は昼間の部隊移動を封じられ、補給の多くを夜間に回した。西部戦線、とりわけグロノヴェイルへの総攻撃が始まると、平和維持軍は政権軍の防衛線を次々に打ち破る。市街地は連日の爆撃で瓦礫の海と化し、ティラスト派の権威を体現した革命聖堂が黒煙を上げながら崩れ落ちた。周辺の軍事施設は爆撃の度に稼働率を落とし、臨時兵器工場の生産も細っていく。政権軍は対空砲で応戦し、移動式迎撃システムも投入したが、抵抗は局所の遅滞に終わった。公王は王党派の全戦力を結集し、新たな連合部隊を編成する。

帝国撤退
 東部戦線ではイドゥアム帝国の撤退が始まった。セトルラームと連携してヴァルヘラ州軍部隊を追い詰めていた帝国軍だが、戦争の長期化を受けて国内の厭戦感情が高まり、トローネ皇帝が段階的な引き揚げを決行する。東部戦線の勢力バランスは崩れ、セトルラームの補給線には一時的な支障が生じた。孤立した政権軍では食料の不足が深刻になり、弾薬の備蓄も底を突く。大宰相は東部戦線の立て直しに向けた動員を試みたが、一部の指揮官から失策の責を問われて消耗を重ねた。混乱は軍の全体に波及し、通信網が寸断される中で多くの市民兵を降伏へと追いやった。あるいは、敵対勢力に寝返って反乱に転じる者も続出した。グロノヴェイルは敵味方に異形の怪物が入り乱れる地獄の戦場と化した。空には灰色の雲が垂れ込め、焼け焦げた大地には無数の遺体が散乱していた。

北軍離脱
 北部戦線では北軍が連合軍との休戦を締結し、戦線から離脱した。戦後の国家建設を見据えた判断であり、全面対決を避けつつ自治権の拡大を目指す交渉が優先されている。休戦協定には北部資源地帯の管理権を確保する条件が含まれ、連合軍は同地域への進軍を一時停止した。北軍は軍備増強を続け、独立勢力としての地位を固める。北部が戦闘から切り離されると、連合軍主力の大部分が東西の戦線に移った。生存者の多くは避難民と化し、都市部では食料庫が焼き払われる。行政機構を失った町では配給の順番を巡る争いが起き、治安の空白が広がった。北軍の管理下に入った資源地帯だけが、戦火を免れた区域として残る。


終戦
 共立公暦1008年、共立機構のメレザ・レクネール常任最高議長は、戦況の泥沼化を重く見て、PLコマンド・ヒュプノクラシアを発令した。共立機構の最強戦力に位置する特異存在(XaP)を総動員する最終手段であり、通常の軍事力の外にある力が戦場へ投じられた。発令と同時に精鋭の異能力者が戦線に一斉に展開すると、セトルラーム軍は攻撃の前に停戦を強いられた。異能の投入は戦線の力関係を一度に覆し、地上の部隊配置は意味を失う。猛攻は公王率いる王都軍にも及び、空爆で傷ついていた艦隊は残らず沈められた。旗艦の甲板で異能の力を目の当たりにした公王は、満身創痍の深手を負う。戦力の喪失を前に、国民の疲弊も極まり、全滅を避ける唯一の道として停戦が決断された。王都コルナンジェの広場では、生き残った市民がラジオ越しに声明を聞き、祈りを捧げた。砲声も異能の轟音も沈黙し、風が瓦礫の間を吹き抜ける音だけが残った。


戦略兵器
 王国が大量破壊兵器の使用を見送った要因は複数ある。グロノヴェイル周辺の軍事施設は戦争末期、連合軍の爆撃で壊滅状態に陥り、北軍のゲリラ攻撃も追い打ちをかけたため、製造能力は、ほぼ失われていた。臨時兵器工場は通常弾薬の供給で手一杯となり、特殊な弾頭の生産に回す余力を欠いている。政権内部では、使用が国土の一層の荒廃を招き、国民の支持を根こそぎ奪うとの懸念が広がった。大宰相自身は旧暦時代に使用された化学兵器の悲劇を国民に想起させる事態を避け、ティラスト主義の軟化を試みたとされる。共立機構がXaPを投入した時点で、異能の力が戦場を支配し、大量破壊兵器の効果は相対的に小さくなると判断された。これらの要因が重なり、政権は最後まで一線を超えることなく一定の理性を保ち続けた。

拘束
 停戦の成立後、大宰相はグロノヴェイルの地下壕で王党派の部隊に拘束された。抵抗を試みたものの、疲弊した護衛もろとも鎖に繋がれ、市中を引き回される。焼け跡を進む中、群衆は罵声を浴びせ、石を投げつけた。血と泥にまみれた顔から、かつての威厳は失われている。平和維持軍が混乱に介入して身柄を群衆から救い出し、後方基地への移送が直ちに行われた。大宰相は国際的な軍事裁判の被告として、戦争責任の追及を受ける立場になる。市街では政権の庁舎が接収され、投降した部隊の武装解除が進められた。街角にはティラスト派の旗が風に揺れ、焼けた壁に刻まれたスローガンが読み取れる。瓦礫の下には多くの遺体が埋もれたままで、生存者の捜索は停戦の後も続いた。

影響

 停戦の成立後に生じた変化は、王国の内側から星域の国際関係にまで及び、戦後の秩序を規定した。

軍政
 共立機構主導の臨時軍政が停戦の直後に始まり、ロフィルナ社会は新たな統治体制に移った。平和維持軍は焼け跡に仮設基地を設け、生存者の救出と並行して食料を配り、医薬品の供給にもあたる。都市の復旧作業が始まっても瓦礫の下には多くの遺体が残り、難民は家族の安否を尋ね合った。子供は親の名を呼びながら泣き続け、収容所の名簿は連日書き換えられる。ティラスト派の残党によるゲリラ活動が続いたため、駐留は長期化した。地方軍閥の独立志向も根強く残り、治安の回復は遅れる。戦後処理として設置された国際軍事裁判所では、大宰相を含む戦争犯罪容疑者の審議が始まり、司法取引をめぐる暗闘が続いた。公王の指導力は、荒廃した戦後社会の復興に注がれた。

王国分裂
 停戦の後、ユリーベル公国が独立を宣言し、その他の軍閥も続いた。それぞれ独自の議会を開き、軍事組織の再編にも着手する。各地で独自の統治体制が確立され、北部系列政府(ステラム・シュラスト)は戦後政策を巡る混乱から東西に分かれた。民主革命ロフィルナ軍は王党派との対立を深め、以後、長きにわたる衝突を繰り返した。ロフィルナ連邦共同体は正式に解散を宣言され、かつての地域大国は複数の小国家に分かれる。分裂の底には、旧暦時代の植民地政策が植え付けた外部勢力に向けた不信が横たわった。他国の支配を再び受ける事態を拒んだ各地域は独立を優先し、その代償として経済的な纏まりを手放した。

共立連邦の退潮
 セトルラーム共立連邦も政権交代に至る打撃を受けた。ヴァンス・フリートン大統領は革命の失敗によって政治的な敗北を喫し、連合部隊の壊滅が辞職の決め手となる。失脚は国内で反フリートン派を急伸させ、新政権のもとで事態収束を優先させる決定がなされた。一連の妥協策はロフィルナへの報復を求める国民の怒りを誘ったが、公王の停戦勅令に示された姿勢への敬意から、中道派が主流を占める。同国の国際的な孤立が深まる中、ユミル・イドゥアム連合帝国の擁護が続き、オクシレイン大衆自由国ラヴァンジェ諸侯連合体も追随したため、追加の制裁を免れる流れとなった。旧暦時代の植民地支配をめぐる歴史的な対立は戦後も反セトルラーム感情として続き、独立した複数の国が通商協定を拒む要因になる。

共立機構の動揺
 文明共立機構にとって、革命は大きな試練になった。メレザ・レクネールによるPLコマンドの発令は戦争を終わらせた反面、過剰な武力行使として加盟国の批判を浴び、辞職を強いられる。ユピトル連合をはじめとする中小国がレクネール下ろしを主導し、機構の指導体制に亀裂が生じた。混乱は平和維持軍の長期駐留を正当化する一方で、機構内部の統治能力への疑問を増幅させる。機構が主導した停戦の枠組みは星域の安全保障を国際部隊に依存させ、駐留の負担配分を巡る対立を加盟国の間に残した。特異存在の運用を巡る議論も持ち越され、意思決定は停滞している。加盟国の一部は、機構の統制の外側で防衛体制を刷新する動きを見せた。

星域の余波
 反セトルラーム感情の爆発は星域の各地に波及し、ラマーシャ公国が主導する新たな同君連合の機運を生んだ。星域内の小国家群は独自の勢力圏を築き始め、大国による支配への抵抗という意識が周辺国に根を下ろす。テラソルカトル王政連合は独自の軍事強化に乗り出し、サンパレナ共和国も装備の更新を急いだ。交易路の警備は各国の分担に委ねられ、航路の安全は地域ごとに差を残す。旧暦時代の恨みが生んだティラスト派の過激思想は、戦後も地下組織として存続し、星域の全体にテロの脅威を拡散させた。公王は、こうした状況を憂い、スイートクルーザーを駆って復興の現場に立ち、安定に向けた活動を続ける。真の和平までの道は遠く、星域は新たな紛争の火種を抱えた。

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最終更新:2026年08月24日 01:16