グローディ・ロイコディウム

「余さず残さず死に晒せ…!」

【名前】 グローディ・ロイコディウム
【読み方】 ぐろーでぃ・ろいこでぃうむ
【声】 天野浩成
【登場作品】 王様戦隊キングオージャー
【初登場話】 第30話「凍てつく天秤」
【退場話】 第47話「神を黙らせろ」
【所属】 宇蟲王
【分類】 宇蟲五道化
【BMA】 ロイコクロリディウム
【異名】 「静謐」のグローディ
昆虫界のアンデッドキング
【昆虫最終奥義】 グローディバイド
【観察ポイント】 実はすでに死んでおり、自分自身をも自らの能力で蘇らせていたようである。
【分布】 シュゴッダム(夜)
【好物】 死体
【モチーフ】 ロイコクロリディウム、ジェノサイド(ニンジャスレイヤー)
【名前の由来】 ロイコクロリディウム

【詳細】

カタツムリに寄生しておかしくする虫「ロイコクロリディウム」のBNAを備え、「静謐」の異名を持つ「宇蟲王」ダグデド・ドゥジャルダン配下の宇蟲五道化の一人。

宇蟲王陣営の中では唯一、一般的なチキュー人と変わらない見た目を持つが、ダボッとした黒いコートに広いつばを持つ黒い帽子、丸メガネをかけた血の気の薄い幽鬼のような貌、折りたたみ式の真っ黒な大鎌「大鎌銃シックルシーカー」を持ち歩いている。
全体的に生気が欠けた風貌であり、「死神」めいた雰囲気を漂わせた男。

常に気だるげに振る舞い、やる気もなく薄気味悪い男にしか見えないがそこはダグデド・ドゥジャルダンの配下だけあって一癖も二癖もある人物。

「死者を生前の姿のまま蘇らせる」という固有能力を持ち、彼自身も「死」というモノをこよなく愛する危険人物見たまんまとか言うな
能力を行使する際には自分の瞳に渦巻き模様が光り、蘇った死体の瞳にも同じ模様が光る(これにより蘇生された死体であるか判別できる)。
「無駄だとわかりながら足掻く生き物が嫌い」と公言しつつも、グローディ本人は「死」から最も遠いところにいる。
なぜなら彼自身が不死身であり、いかなる負傷をしても死ぬことが出来ないから。
死体をこよなく愛し、死を求めて彷徨い続ける非常な不死身の戦士にして、昆虫界のアンデッドキング。

なおグローディが蘇らせた死者の質は、その死体の保存状態にも左右される。
長年放置されていた死体であれば「脳みそが腐っている」が故に行動を操作できず、無作為に死体を蘇らせれば当然自我まで蘇らずにただ本能のままに暴れまわる危険なゾンビが存在するだけとなる。
死体の状況が良ければ生前のように振る舞う事もできるが、そこまで良質な保存状況の死体は稀であり、劇中ではもっぱらサナギムを蘇らせ手近な戦力として使い潰している。
その性質上、傷が少ない死体を好むのか、自ら手を下す際には毒物を多用する傾向がある。
その毒はゴッドスコーピオンのものであることが分析で明らかになっているが、どのように入手したのかは不明。
後に全ての昆虫型生命体を生み出したのがダグデドであることが判明したことから、ダグデド経由で入手した可能性が高い。

シックルシーカーは相手の斬った部位を腐らせ一時的に身体機能を封じる能力を持ち、大鎌でもあり銃でもあることから常に広い間合いで立ち回る。
大鎌とライフルどちらの攻撃が来るのか読みにくく変幻自在に相手を責め立てる。

他の宇蟲五道化と違って彼は人間態のまま王鎧武装した王様戦隊の面々と渡り合うが、それでも戦闘に使える特殊な能力は持たない。
しかし第37話では怪人態を披露。
漆黒のコートで全身を包み込んだ影そのものが人の形を取ったかのような、ますます死神めいた姿となった。
この姿になると大鎌で切り裂いた対象の部分を一時的に腐敗させ能力を減退させる事が可能になる。
今風に言えば切った部分限定に対してデバフをかける事が可能。目の部分を切り裂けば視力が低下しまともに者を認識できなくなる。

17年前に引き起こされた神の怒りと呼ばれる大災害の実行犯であり、イシャバーナの先代国王夫妻をゴッドスコーピオンの毒で毒殺した張本人。
さらにはトウフにて猛毒入りの米を流通させ多くの民を犠牲にしようと暗躍していたなど、劇中では昔から多くの事柄に関わっていた。
さらにはダグデドへの反逆を計画していた先代シュゴッダム国王、コーサス・ハスティーをカメジムと共に粛清する等、過去が回想されると共に際限なく重ねてきた罪が重くなっていっている。

先代のゴッカン国王にして最高裁判長であるカーラス・デハーンではグローディが犯人であると突き止めたが、その不死性から刑罰が意味をなさないため自らもろとも凍りつかせる秘術を行使。
これによって現代まで封印されていたが、その場所をカメジム・ウンカが突き止めたことで復活する。

自分を封印していたカーラスもまた復活したがカメジムによって殺害され、その死体に対し能力を行使して蘇らせる。
暴走して周囲に吹雪を撒き散らし始めた彼女に巻き込まれた上、長年氷漬けにされていたせいか行き倒れとなってイシャバーナへと担ぎ込まれることとなった。

その後意識を取り戻すが自分の顔を見たヒメノが顔を覚えていたため、17年前の神の怒りでイシャバーナに現れた謎の男であることを看破される。
両親の仇として怒りに燃えるヒメノと、それに追従する王様戦隊と交戦するが、ゾンビサナギムの攻撃に巻き込まれ死亡、しかし即復活して死ねないことを嘆くなどその異常性をこれ以上無いほどに披露する。
そして神の怒り再来とばかりに蝉型シュゴッドを蘇らせたため、リタが氷の封印術の使用を決意したが、友人を失いたくないヒメノによってそれは阻止される。
その直後に事前に蘇らせていたネフィラが出現し、彼女の攻撃で王様戦隊の面々共々薙ぎ払われたためその場を後にした。

その後ダグデドによって王様戦隊が転移させられ戻ってくるのに半年掛かっている間にトウフの統治を担当。
かつてカグラギに打倒された先代女王のイロキを蘇らせたものの、彼女にこき使われていた。
しかしそう見えてトウフの米に対しゴッドスコーピオンの毒を混ぜ流通させることで、大規模な殺戮を行おうとしていた上、それが17年前の神の怒り事件と重なる時期に同様のことを企んでいた。
神の怒り事件の際、トウフの先代王族は「食料独占に走り民の反乱を招いて討ち取られた」とされていたが、その真相は毒入りの米が流通するよりも前に城に集めたイロキに対し、カグラギが説得のため登城するものの、トウフの米の信用を落とさないため自ら毒米を食したイロキは火を放ち自分ごとそれを隠蔽したことが真相であった。

つまりイロキにしてみればグローディは怨敵であり、さらには17年前の再現とばかりに再び米に毒を混ぜ流通させようとしたことでカグラギにとってもより深い因縁を持つこととなった(ついてにギラとヤンマは毒米を食べるわけには行かないため空腹のあまりグローディに対して恨みを持った)。

結局再び毒米を自ら脱穀した上でせっせと作り、ご飯まで炊いていたが事前にヒメノがゴッドスコーピオンの毒を匂いで察知したため失敗。
カグラギは毒の混ざった米を燃やしたものの、それを国民に見られたため彼の信頼までも失墜させてしまった。
この話で怪人態を披露したものの、イロキとのやり取りを経たカグラギが王鎧武装したハチオージャーの猛攻を受けたためトウフから追い出されることとなった。

第39話ではゴーマ・ローザリアの情報によって王様戦隊がンコソパ奪還に向かうことを察知した上、ダグデドの命令によって五道化全員で彼らを待ち受ける。
その際ヒメノを待ち受け彼女が持っていた天上天下唯我独尊のダミーを破壊したが、実はそれはダミー…どころかスーパーコンピューターの存在そのものがブラフだった。
オージャカリバーのリミッターを解除するためのエネルギーが狙いだったヤンマの策略に引っかかる形となり、王様戦隊は王鎧武装・凌牙一閃を発動する。
大幅にパワーアップした彼らと渡り合うも、ゴーマが自身の昆虫最終奥義を発動したため能力が入れ替わり興が冷めたカメジムと共に自分も撤退を選択した。

その後ダグデドが討ち取られる事態に陥るもさして興味を示すことはなく、ゴーマに続いてヒルビル・リッチミノンガン・モウズも次々に倒れていったことから第46話にてゾンビ怪ジーム達を引き連れてイシャバーナへ出現。
ジェラミーから死者を蘇らせ戦わせる能力を「物語でも書きたくない邪悪」とさえまで言われてしまうが意に介さず戦闘に入る。

王の証に眠る力を解放したヒメノの「命を刈り取る」攻撃を食らうも彼の不死を砕くことは出来ず、代わりに切り裂かれた腹部から紫に染まった大量のシュゴッドソウルがこぼれ落ちる。
実はグローディは地帝国バグナラクの祖先達の母星で生み出された生体兵器であり、バグナラクの祖先が願ったことでダグデドが用意した生ける屍。
既に死んでいる自分の体を、蘇生能力を利用して動かしている、それがグローディの正体。

既に死んでいるため不死。
どのような攻撃も死んでいるグローディを止められず、自分の起こりをダグデドの口から知ったことで、「どうせ死ねないなら全員黙るまで殺し尽くす」という恐ろしい開き直りをし、宇宙を死に包まれた世界に変えるべく再度イシャバーナに出現。

それに対してヒメノとジェラミーが立ちふさがり、ヒメノの分析から不死の原理を解明されたためそれを告げられる。
そしてジェラミーが持つ「永遠の命」を「命を刈り取る力」で摘出、それをヴェノミックスシューターで打ち込むことで不死という病気は治療され、不死身では無くなってしまったが体が燃えるような生きているという感覚を得たグローディは歓喜し”神にでもなった気分”と称して地帝国に眠っていた蝉型シュゴッドの死骸を蘇らせ神の怒りの再来を引き起こす。

そしてシュゴッドに捕まってその場から離脱し、大災害を高みの見物していたものの既に対神の怒り用避難計画を練っていた王様戦隊は犠牲を生じさせることなく国民全員をバグナラクに避難させることに成功。
さらにゴッドキングオージャーは超巨大化を果たし、圧倒的な火力で呼び起こしたシュゴッド達は瞬く間に全滅し、地面に叩き落されてしまう。

それでもなおチキューを根こそぎ死の世界に送ると毒づき異常成虫を果たして巨大化。
だが命を得て神のようだと自分を持ち上げたグローディだったが、巨大化したとしてもゴッドキングオージャーには全く歯が立たず、その一刀に切り裂かれ敗北。

手をつなぎ命をつなぐ、宇宙のどこでも紡がれてきた命の力は、グローディが撒き散らす死の脅威を跳ね返す。
今まで死者を冒涜し、踏みにじってきた行為のツケは文字通り自分の命を支払う形で精算するハメになったのだった。

それでも爆散する間際、全身で感じる死を堪能するかのように高笑いしながら爆発に呑まれたグローディであったが、死後ハーカバーカで目を覚ましようやく望み通りの死の世界を味わうように横になる。

――――が、それを邪魔するかのように聞こえてきたのは、ハーカバーカにいる死者たちのうめき声。
望み願った末ようやく手に入れた「死」だったが、それを司るハーカバーカは決してグローディの考える静謐に浸る理想郷では無く、亡者の無念渦巻く理想とはかけ離れた最悪の場所だった。

文字通り死の末に行き着いた墓場の中で、死を冒涜し続けてきた兵器としての生涯を終えたグローディ。
彼は今も、死というものがどういうものであるかを、その身を持って体験していることだろう。

因果応報、この一言に尽きる。

第49話ではダグデドが作り出した複製体が出現。
他の怪ジームの複製体を上回る戦闘力で民達を蹴散らすも、ハーカバーカから現れた援軍であるネフィラの格闘攻撃に手も足も出ず再度消滅した。

最終話ではデズナラク8世がカメジム・ウンカをハーカバーカに引きずりこんだ際に登場。
既にまとわりつく怨念の声で精神を壊したのか、新たにやってきたカメジムに対し静かにするように言っていた。


【余談】

宇蟲五道化としては最も最後の登場となった(後からメンバーになったラクレスは除く)。

人間態を演じる天野浩成氏は特撮界隈では極めて高い知名度を持ち、仮面ライダー剣にて仮面ライダーギャレンこと橘朔也役としてレギュラー出演したのを始めとし、仮面ライダーフォーゼではホロスコープスの一人、てんびん座のリブラ・ゾディアーツに変身する速水公平役として敵幹部を演じた。
それ以上にキャスト陣から語られたり、素の本人がとにかくネタが豊富な面白もとい、愉快な人物であり、特撮ファンへ度々ネタを提供し語りぐさとなっている。

何より、氏の妻である雛形あきこ女史は映画版にてトウフの先代女王、イロキ役として出演。
氏は映画版には一切登場せず関わりが無いにもかかわらず、さも公式側であるかのように映画放映日まで勝手に自身のTwitterアカウントでカウントダウンを行っていた上公式側からそのカウントをリツイートされる(つまり認知されている)と、最近でもネタを供給…

と思いきや、上記の通りグローディ役として本人もキングオージャーに参戦。
如何に本人がボケ側のキャラクターであれども、妻の作品参加を純粋に応援しているだけに見えた氏が、何の前触れもなく敵幹部役としてキングオージャーに出演したため多くの視聴者が驚くこととなった。
ちなみに登場話タイトルが「凍てつく天秤」だったので、元リブラ役としての出演も加味されていると思われる。
また次回予告では「静謐のグローディ」が登場するとされていたものの、その登場シーンは顔が確認できないものばかりで演者は放送当日まで伏せられていた。

不死身ということで劇中でも凄まじいタフさを見せているが、ダグデド・ドゥジャルダンを打倒した「神殺しの刃」が彼にも通じるかは不明。

本人アカウントにより怪人態等のモチーフにはゴーマ・ローザリア同様、余湖裕輝氏の代表作ニンジャスレイヤーコミカライズ版にも登場しているニンジャの一人、「ジェノサイド」=サンがあるとのこと。

最終更新:2024年02月28日 04:39