「はぁ……はぁ……」
井ノ上たきなの死に生かされた少女、一之瀬帆波は走っていた。
視界を塞ぐ鬱陶しい涙をぬぐい、夢中で脚を動かし続けた。
途中ふり返る事もせず、また出来なかった。
振り向かずとも、最期の意地でたきながレジィを足止めしてくれたのが分かったとも言う。
視界を塞ぐ鬱陶しい涙をぬぐい、夢中で脚を動かし続けた。
途中ふり返る事もせず、また出来なかった。
振り向かずとも、最期の意地でたきながレジィを足止めしてくれたのが分かったとも言う。
(……駄目だ。私、ここに来てから何もできてない)
実際は既に奪われたサウザンドジャッカーを使って混沌とした戦場に一石を投じるぐらいは出来ているのだが、二度もまじかで命を失うという普通でない学校に通う帆波からしても異常事態の連続に彼女の精神は大分疲弊していた。
もしこの独白をコンパスに所属している方のキラ・ヤマトが聴けばそんなことはないと言ってくれただろう。
もし井ノ上たきながもう少し一之瀬帆波とお互いを知る為の会話をできていれば互いに励まし合うこともあったかもしれない。
だが現実にはそうならず彼女は自分を責め、運命を嘆き、疲労に膝を突く。
一応物陰に隠れてはいたが、生存本能にせかされるままに体力考えず一時間も走り続けたせいで呼吸も整っていない。
どうにか呼吸を整え、体力とバクバクと煩い心臓が落ち着くのを待つ。
時計を見ると、もう午後2時30分だった。
そんな帆波に
もしこの独白をコンパスに所属している方のキラ・ヤマトが聴けばそんなことはないと言ってくれただろう。
もし井ノ上たきながもう少し一之瀬帆波とお互いを知る為の会話をできていれば互いに励まし合うこともあったかもしれない。
だが現実にはそうならず彼女は自分を責め、運命を嘆き、疲労に膝を突く。
一応物陰に隠れてはいたが、生存本能にせかされるままに体力考えず一時間も走り続けたせいで呼吸も整っていない。
どうにか呼吸を整え、体力とバクバクと煩い心臓が落ち着くのを待つ。
時計を見ると、もう午後2時30分だった。
そんな帆波に
「ハァイ。どうしたの?死にそうな顔してるけど」
死人の顔した女が、魔獣装甲のエケラレンキスがするりと這い寄った。
「……ッ!」
急に現れた気配に飛びのき、レジスターの装着されていない両腕を観て即座に起動鍵でバエルを纏う帆波。
その様子に悦楽の呪詛師の新派である死体人形は気味悪く目を細める。
その様子に悦楽の呪詛師の新派である死体人形は気味悪く目を細める。
「その状態でもその判断力……流石Bクラスの天使ホナミエルちゃん。
的確な判断ね」
的確な判断ね」
「なんで私の名前を……」
「そりゃあホットラインぐらい持ってるからね。
どうやって手に入れたか、聞きたい?」
どうやって手に入れたか、聞きたい?」
ガンダムフェイス越しにも帆波の顔がこわばるのが分かった。
(警戒するのもいいけど、悪い方に想像が行きすぎ。
今絶対誰か他のプレイヤーから殺して奪ったと思ったでしょ)
今絶対誰か他のプレイヤーから殺して奪ったと思ったでしょ)
そうするように仕向けた女がどの口で、とザラサリキエルが居れば呆れたことだろう。
だがこの程度では済まない。
通達の内容が本当なら近くテレビ局は混沌のるつぼと化す。
但し、綾小路清隆を欠いて。
それでは勿体ない。
それでは何のために清隆の関係者が呼ばれたのか分からない。
だがこの程度では済まない。
通達の内容が本当なら近くテレビ局は混沌のるつぼと化す。
但し、綾小路清隆を欠いて。
それでは勿体ない。
それでは何のために清隆の関係者が呼ばれたのか分からない。
「こっちばっか質問するのも変だよね。
何か聞きたいことない?
今キスちゃん機嫌がいいから大体答えてあげちゃうかもよ?」
何か聞きたいことない?
今キスちゃん機嫌がいいから大体答えてあげちゃうかもよ?」
「……あなたは何者なんですか?」
バエルソードの切っ先を向けたまま問いかける帆波にエケラレンキスは不敵な笑みを崩さぬまま続けた。
「最強のNPCモンスターが一騎。
冥黒の五道化が1人、魔獣装甲のエケラレンキス。
何故だかぜーんぜんみんなそう呼んでくれないけど、なるだけ可愛くキスちゃんって呼んでね」
冥黒の五道化が1人、魔獣装甲のエケラレンキス。
何故だかぜーんぜんみんなそう呼んでくれないけど、なるだけ可愛くキスちゃんって呼んでね」
バチーンとウインクを決めるエケラレンキスだが、帆波に緊張がほぐれたような様子は見られない。
それはそうだろう。
何せ目の前に立つ一見ただの少女にしか見えないそれは自分たちをこんな死の蔓延る箱庭に閉じ込めた側だと言ってるのだから。
それはそうだろう。
何せ目の前に立つ一見ただの少女にしか見えないそれは自分たちをこんな死の蔓延る箱庭に閉じ込めた側だと言ってるのだから。
「もー、そんなに警戒しないでよ。
リラックス、リラックス!
抱え込むと愛しの清隆君に会う前に皴が増えちゃうよ?」
リラックス、リラックス!
抱え込むと愛しの清隆君に会う前に皴が増えちゃうよ?」
「……ッ」
帆波の心など見透かしているとでも言いたげに武器一つ持たない少女は飄々と言葉を紡ぐ。
帆波にはその言葉一つ一つに撫でるだけでピリピリと肌が痛むような悪意がまとわりついているような気がしてならない。
帆波にはその言葉一つ一つに撫でるだけでピリピリと肌が痛むような悪意がまとわりついているような気がしてならない。
「なんで、態々そんな最強が逃げ蟲1人なんかに用事があるんですか?」
「そりゃあ、五道化だからね。
折角の駒(プレイヤー)が犬死する展開は詰まんないじゃん。
別に勝手に死んでもいいっちゃいいけど、目の前でこのザマだったら、ねえ?」
折角の駒(プレイヤー)が犬死する展開は詰まんないじゃん。
別に勝手に死んでもいいっちゃいいけど、目の前でこのザマだったら、ねえ?」
「意味が分からない」
「今からテレビ局に行ってもユーレンの小倅は知らないけど、愛しのきよぽんには会えないよ。
コルコルが言うには大分前にアッシュフォード学園に向かったらしいから。
更に付け加えるならテレビ局はこれまでの8時間とは比にならない火薬庫になってるし、仮にホナミエルがぜーはー言いながら辿り着いたところで死なずに済むかって言われると、ねえ?」
コルコルが言うには大分前にアッシュフォード学園に向かったらしいから。
更に付け加えるならテレビ局はこれまでの8時間とは比にならない火薬庫になってるし、仮にホナミエルがぜーはー言いながら辿り着いたところで死なずに済むかって言われると、ねえ?」
どろりとした物が心に流れ込んでくるのを感じる。
エケラレンキスのもたらす言葉にあの放送以来、いやこの殺し合いに巻き込まれる前から己の心をかき乱してやまない少年の仏頂面がブラッシュバックする。
エケラレンキスのもたらす言葉にあの放送以来、いやこの殺し合いに巻き込まれる前から己の心をかき乱してやまない少年の仏頂面がブラッシュバックする。
「そんな事情を踏まえた上でおりこうさんなホナミエルにクエスチョン。
怪しいお姉さんの異能力に頼って何があるか分からないけどきよぽんは確かに向かってるアッシュフォードに放り出されるのと、確実に次なる派手な戦場になる上にきよぽんはいないテレビ局を目指すのとどっちがいい?」
怪しいお姉さんの異能力に頼って何があるか分からないけどきよぽんは確かに向かってるアッシュフォードに放り出されるのと、確実に次なる派手な戦場になる上にきよぽんはいないテレビ局を目指すのとどっちがいい?」
一之瀬帆波は目の前の道化の手を取った。
「さーて、一仕事したし引き続き薫ちゃんさーがそ」
偶々目についた一之瀬帆波を偶然コルファウスメットから聞いていた情報を基に劣化複製権能で送り届けたエケラレンキスはわざとらしく伸びをするとホットラインのマップを開く。
「会えたら何して遊ぼうかな。
それより前に舞衣ちゃんか沙耶香ちゃんあたりを使ってもいいよねぇ。
んんんーーー、ダイスキな薫のことを考えるとドキドキ止まらないデース!」
それより前に舞衣ちゃんか沙耶香ちゃんあたりを使ってもいいよねぇ。
んんんーーー、ダイスキな薫のことを考えるとドキドキ止まらないデース!」
他の五人の刀使たちが見れば最低最悪としか評さないだろうサル真似を挟み、エケラレンキスはその場を後にした。
【エリアG-10/???/9月2日午後2時45分】
【魔獣装甲のエケラレンキス】
状態:健康
肉体:古波蔵エレン@刀使ノ巫女
装備:魔獣装甲エケラレンキス
小烏丸@刀使ノ巫女
???の魔戒剣@牙狼<GARO>シリーズ
令呪:NPCモンスター扱いの為無し
ドロップアイテム:????@????
道具:神炎皇ウリア@遊戯王GX 幻魔皇ラビエル@遊戯王GX 五道化専用ホットライン@オリジナル
基本:冥黒の五道化として行動する。
01:思うままに楽しむ。
02:エルちゃんったら、真面目が過ぎるんだから♪
03:さーて、一仕事終えて薫ちゃん探し続行!
04:特級呪霊に柊の鬼子……あのクラスの参加者はもっとガンガン暴れてほしんだけどなぁ
05:コルコルも色々考えてるんだねぇ。こっちも好きにやるけど
06:これからどうしよっかなぁ。他の刀使をネタに薫ちゃんを弄るかそれとも・・・
参戦時期:なし
備考
※NPCモンスター扱いの為、令呪無し、名簿に記載無し、支給品無しです。
※刀使としての能力を概ね高い水準で発揮できます。
※肉体が女性ですが両腕に魔戒騎士の遺骨を埋め込まれているので魔戒剣をはじめとした生物的に男性であることが前提条件の武器は使えます。
※魔獣装甲は魔戒の鎧を召喚出来ない彼女の為の固有武装です。
冴島鋼牙シリーズに登場した魔獣装甲コダマ同様自由に脱着できます。
※帝具@アカメが斬る!の能力を模した劣化複製権能(デッドコピースキル)を持たされています。
状態:健康
肉体:古波蔵エレン@刀使ノ巫女
装備:魔獣装甲エケラレンキス
小烏丸@刀使ノ巫女
???の魔戒剣@牙狼<GARO>シリーズ
令呪:NPCモンスター扱いの為無し
ドロップアイテム:????@????
道具:神炎皇ウリア@遊戯王GX 幻魔皇ラビエル@遊戯王GX 五道化専用ホットライン@オリジナル
基本:冥黒の五道化として行動する。
01:思うままに楽しむ。
02:エルちゃんったら、真面目が過ぎるんだから♪
03:さーて、一仕事終えて薫ちゃん探し続行!
04:特級呪霊に柊の鬼子……あのクラスの参加者はもっとガンガン暴れてほしんだけどなぁ
05:コルコルも色々考えてるんだねぇ。こっちも好きにやるけど
06:これからどうしよっかなぁ。他の刀使をネタに薫ちゃんを弄るかそれとも・・・
参戦時期:なし
備考
※NPCモンスター扱いの為、令呪無し、名簿に記載無し、支給品無しです。
※刀使としての能力を概ね高い水準で発揮できます。
※肉体が女性ですが両腕に魔戒騎士の遺骨を埋め込まれているので魔戒剣をはじめとした生物的に男性であることが前提条件の武器は使えます。
※魔獣装甲は魔戒の鎧を召喚出来ない彼女の為の固有武装です。
冴島鋼牙シリーズに登場した魔獣装甲コダマ同様自由に脱着できます。
※帝具@アカメが斬る!の能力を模した劣化複製権能(デッドコピースキル)を持たされています。
「ここが、アッシュフォード学園……」
今より彼が来る場所、そして全く未知の危険が待つ場所。
帆波は一度だけ大きく息を吐くとバエルソードを構えて奥へ、奥へと進んだ。
帆波は一度だけ大きく息を吐くとバエルソードを構えて奥へ、奥へと進んだ。
【エリアG-4/アッシュフォード学園/9月2日午後2時45分】
【一之瀬帆波@ようこそ実力至上主義の教室へ】
状態:ダメージ(中)、疲労(中)、精神的疲労(大)、綾小路清隆への……(大)
服装:高度育成高校の制服(女子)
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ガンダム・バエルの起動鍵@機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ、ランダムアイテム×1~2、ホットライン、ビスマルクのリュック
思考
基本:このゲームから生還する。
01:綾小路くん……もうすぐ会えるんだね
02:ラウ・ル・クルーゼの目的は?ヤマト准将やラクスさんのことも気にかかる。
03:エケラレンキス、本当にアッシュフォードまで送ってくれた……
参戦時期:2年生編12巻終了後から
備考
※キラ准将と情報交換を行いました。
また、その内容を冥黒アヤネに聞かれて追跡されていました。
※ドロップアイテムを回収している可能性があります 個数、内容については後続の書き手様にお任せいたします。
【一之瀬帆波@ようこそ実力至上主義の教室へ】
状態:ダメージ(中)、疲労(中)、精神的疲労(大)、綾小路清隆への……(大)
服装:高度育成高校の制服(女子)
装備:なし
令呪:残り三画
道具:ガンダム・バエルの起動鍵@機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ、ランダムアイテム×1~2、ホットライン、ビスマルクのリュック
思考
基本:このゲームから生還する。
01:綾小路くん……もうすぐ会えるんだね
02:ラウ・ル・クルーゼの目的は?ヤマト准将やラクスさんのことも気にかかる。
03:エケラレンキス、本当にアッシュフォードまで送ってくれた……
参戦時期:2年生編12巻終了後から
備考
※キラ准将と情報交換を行いました。
また、その内容を冥黒アヤネに聞かれて追跡されていました。
※ドロップアイテムを回収している可能性があります 個数、内容については後続の書き手様にお任せいたします。
112:獰悪EX:黄金の悪魔はなぜ蘇ったのか | 投下順 | 114:Mが遺したもの/僕を連れて進め |
098:ロロ・ランペルージ:エンディング | 時系列順 | 118:ミカ、その心のままに |
106:走れ正直者 | 一之瀬帆波 | 122:蛮野天十郎:リサイタル |
103:不可逆廃棄物 マイ | 魔獣装甲のエケラレンキス |