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真贋バトルロワイヤル

不可逆廃棄物 マイ

最終更新:2025年07月31日 09:04

sinjitsurowa

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だれでも歓迎! 編集
 家族とは何かと問われ、帰ってくる答えは個人によって変わってくるはずだ。

 ルルーシュ・ランペルージにとっては『かけがえのないもの、あるいは私の道を阻む敵』。前者に該当するのは実妹のナナリー・ランペルージのみだろう。

 神戸しおにとっては『私を解き放ってくれたものであり、私が選ばなかったもの』。家族と愛を天秤にかけ、後者を選んだのが彼女である。

 覇世川左虎にとっては『継ぐべき二つの意志であり、意志を託した者』。二人の父の魂を、死の間際に弟に託して彼はここに居る。

 「じゃあ、貴方にとっては?」
 マイ=ラッセルハートの心の中、マイの持つ指輪に宿る意志『ツィベタ=コオリスカヤ』は、雪の降る孤児院で呟いた。
 心象風景というべき景色だが、これはあくまで心遺物が見せるツィベタの記憶の残滓だ。
 孤児院から巣立った外の世界で摩耗し疲弊し潰れ、娘を残して死んだ一人の女の無垢なる楽園(アマラリルク)。
 だが、この場でこの女のことを語る意味もなければ余白もない。

 肝心なのは、支給品に宿る意志ではなく、使用する参加者(プレイヤー)のこと。
 マイ=ラッセルハート。
 幼少の折に家族を喪い、死の運命を覆す巻戻士(ヒーロー)に救われなかった女。

 ――家族とは、何か。
 喉元まで出かかった問いかけに口をつぐみ、ツィベタは孤児院の扉を開く。
 扉を開く。噴き出した火の粉と熱風が、ツィベタの髪をわずかに焼いた。 

「聞くまでもないのでしょうね。
 ・・・
 あなたの中に燃え続てている、この光景が全ての答え。」
 ツィベタの視界の先、ツィベタの記憶の奥底に残り続けていたマイ自身の心象風景。
 孤児院の中に広がるとは思えない、巨大なビルを思わせる吹き抜けた建造物。
 その全てが、炎と黒煙に包まれていた。
 無数の火柱が立ち上り、上階に溜まった黒煙のせいで景色は曇天のように暗い。
 地面に散らばったガラスが足を裂き、火のついた空気が喉と目を焼く。生存確率ゼロパーセントの地獄。

 ツィベタはマイ=ラッセルハートの記憶から、この光景を知っている。
 2068年8月1日。
 マイ=ラッセルハートの命を奪うはずだった、インベントビル爆発火災。
 彼女はその火災を生還した。同じく救われた397名と同じく。巻戻士(ヒーロー)に救われて。

「でもそのヒーローは、貴方の両親だけは救わなかった。」
 吹き抜けたフロントの中央。最も目立つ場所に並ぶひときわ大きな火柱を前にツィベタは呟いた。
 ぱちぱちと油が弾け焼けた匂いが乾いた空気に漂っている。
 火柱のの中では人型の何かが動き続け。口も喉の焼き切れているのに身を焦がす苦痛からくぐもった悲鳴を絶えず響かせていた。

 言葉を失うツィベタだったが、その耳にガタリと崩れたような音が届いた。
 振り替えるとさっきまで燃えていた小さな火柱が崩れ、その中で燃えていた物の姿が露になる。
 無数の懐中時計を継ぎ合せた等身大の人形だった。無数に燃え上がる火柱は全て同じものが燃えているだろう。
 最も大きく燃え上がる、悲鳴が響く2つの火柱――救われなかった2人の炎を除いては。

 「私が言える言葉じゃないけれど。
 貴方のご両親は、こんなものを遺したくはなかったはずよ。」
 十年以上経ってもなお、マイ=ラッセルハートの中で燃え続ける炎。
 それは彼女の砕けた心の象徴であり、命を選ぶ者への恩讐の炎。
 マイ=ラッセルハートの身を焦がし、愛を喪った彼女を突き動かす。
 あるいはそれはルルーシュ・ランペルージや神戸しおと同質のものかもしれない。

 1人の人の親として娘にそのようなものを遺してしまった悲劇にツィベタは悲壮な目を向け呟いた。
 その眼もその言葉も誰に届くものではないと知りながら。

 家族とは何か。

 それは愛すべきものである。
 それは失ってしまった者である。
 それは英雄が救わなかった者である。

 それは、マイ=ラッセルハートが世界を否定する原罪となったものである。

 家族を否定した不平等な世界を壊すために進む彼女の時間は。
 ひょっとしたら、家族が死んだ瞬間から止まったままかもしれなかった。

 ◇◆◇

 はっきりと言ってしまえばこの会場において銃は弱い。
 ヒースクリフらが用意した箱庭についてザラサリキエルはそう結論付けた。

 素の状態で弾丸程度ものともしない参加者は10や20ではきかない上に、仮面ライダーや起動キーが大量に支給され参加者の防御力の平均値は大幅に底上げされている。
 キョウリュウジャーのガブリボルバーのような特殊な武器ならまだしも、キヴォトスで市販されている銃火器が脅威となる参加者は実力下位の3割がせいぜいだろう。

「こいつもその枠、のはずなんだがな。」
 目の前の敵、マイ=ラッセルハートは生身である。
 特異な異能を持つわけでも、肉体を極限まで高めているわけでもない。
 蜘蛛の足にも見える腰から生やした4本の氷柱は別として、その姿は白衣を纏い薄ら笑いを浮かべるただの女だ。

 銃口を向け、引き金を引く。ノワルの使い魔を撃滅した時の『権能』さえ必要がない。
 ただの人間なら致命傷になりうるその動作に、ほんの10mほどしか離れていないマイは舌打ちを返した。

「もしかしてリキエルっち、まだアタシを舐めてるわけ?」
 苛立たし気に指を鳴らす。
 雪の結晶のような指輪を中心に冷気が漏れ、マイとザラサリキエルの間に生えた分厚い氷の壁が銃弾を閉じ込め勢いを殺す。
 仮面ライダーやモビルスーツと違い、今のマイ=ラッセルハートだろうと銃弾が当たれば死ぬ。
 だが当たらない。だから今までザラサリキエルは彼女を殺せずにいた。

「舐めているわけではないんだがな。だが覇世川左虎ならともかく貴様の動体視力で銃弾を見切り防ぐなど不可能なはずだ。
 貴様、未来を見ているな。『誓約女君(レジーナゲッシュ)』に飽き足らず『覇瞳皇帝(カイザーインサイト)』の権能も再現したか。盗人猛々しいなクソハッカー。」
「どうだろうねぇ。アンタが射撃下手(クソエイム)なだけかもしれないよ!リキエルっち!」
「減らず口を叩くなパクリ女!!」
 氷壁の多くで屈折する笑みに向けて駆けだすザラサリキエル。
 マイの挙動はそれより早い。
 再度指輪が光ると同時に、ザラサリキエルとマイを遮る氷の壁が生き物のようにもぞりと蠢いた。

「えーと、なんだっけ。『編集(エディット)。 迷宮女王(クイーンラビリンス)。』
 いや、こう言っちゃおうか。『オブジェクト変更』!!」
 迷宮女王(クイーンラビリンス)の権能を受け、ザラサリキエルの目の前で平坦な氷壁を埋め尽くすようにびっしりと棘が生え、その1つ1つが触手のように延びザラサリキエルに襲い掛かった。
 キヴォトス人からさらに強化された動体視力をもって、ザラサリキエルはその正体を見極める。
 先端に楔のついた氷の鎖だ。芸術品のように精巧な作りをしていたのがザラサリキエルの癪に障った。

「貴様っ……また私から簒奪した権能で!!」
「取られたくなきゃセキュリティかけときなよ!」
「どの口が!」
 悪びれない態度に舌打ちを返し、蔦のようにとびかかる氷の鎖を体をひねり躱していく。いつの間にか周囲の道路はスケートリンクのように氷で覆われ、地面から生える鎖は20を軽く超えている。
 その全てに、オレンジ色のノイズが掛かったことをザラサリキエルは見逃さなかった。
 そのノイズは、必中を確定させる女君の命令。

「『乱数聖域(ナンバーズアヴァロン)』!!」
「ちっ……『劣化複製(デッドコピー):誓約女君(レジーナゲッシュ)』!!」
 絶対攻撃の権能を受けた鎖を、絶対防御の権能で受ける。
 ノイズとともに蛇のように鎌首もたげ真っ直ぐに突き刺さる鎖を、体との交差する場所にノイズを走らせ透かす。
 本来なら自動(オート)で動く権能も、相手が同じ能力を使えるとなればその精度は8割減だ。相殺されていると言っていい。
 視覚や感覚を駆使して細部の攻撃を透かしながら自発的(リモート)で権能を動かす。マクロを組んで行う仕事をそろばんで行うような過酷な演算に、脳が糖分を求め悲鳴を上げていた。
 躱し、透かし、反らす。鎧越しに肌を掠める冷気を前に、ザラサリキエルはふと疑問を抱いた。

(七冠の権能――レジェンド・オブ・アストルムの"権能"は、元を辿れば園上矛依未の超能力を電脳空間に落とし込んだものだ。
 その技術は同時代の物とは一線を画す。それを奴は2つ……いや、奴の反応速度を見るに『覇瞳皇帝』の権能も使えると見ていいだろう。
 その権能を劣化した再現品とはいえ――あの程度の装備で処理できるものか?)

 マイ=ラッセルハートの演算機構は、マイ自身の脳を除けば氷に閉ざされたカッシーン二機の電子頭脳だ。
 マイ=ラッセルハートとは異なる世界の2068年。時の魔王に仕える機械兵士の頭脳はザラサリキエルから考えても収集な部類である。
 レジェンド・オブ・アストルムよりは2世代ほど未来であるとはいえ、ただの戦闘用アンドロイドの頭脳で複雑な超能力の再現が可能だろうか。

 不可能だ。権能を与えられたザラサリキエルは確信する。
 天才が生み出した架空世界の特権、そのの難易度は同時代の技術より1つ抜けている。生中なアンドロイド程度で処理しきれるものではない。
 実用に耐えうるレベルに劣化させて一機で1つ。それがせいぜいだろう。

(そのレベルに劣化させているのであれば、私の権能と相殺するような真似は出来ないはずだ。そもそも既に3つの権能を起動していることとも矛盾する。
 となればあの2体のこれ見よがしなカッシーンはブラフ……ではないにせよ、サブの演算機の可能性が高い。)

 ならば――。そう思考を巡らせ、ザラサリキエルは手に持ったSIG516を投げ捨てた。
 未来予測ができる上に氷壁や乱数聖域(ナンバーズアヴァロン)で対処可能な武器では意味がない。
 血に飢えた蛇のように迫る鎖を交わし、蛇腔病院の駐車場に紫紺の鎧は足をつける。ここまではマイの凍結は及んでいない。

「『劣化複製(デッドコピー):迷宮女王(クイーンラビリンス)』」
 なおも迫る鎖が、ザラサリキエルの出現させたオブジェクトを前に粉々に砕け散る。
 地面からせりあがったコンクリートでできたタール色の防壁だった。
 マイが作った氷壁とは違う。ザラサリキエルを中心に360度ぐるりと囲み、横から鎖で攻め入るのは不可能だ。
 すぐさま防壁を『オブジェクト変更』させての攻撃を警戒し身構えるマイだが、どれだけ時間がたっても防壁は身じろぎ1つおこさない。

(壁のコンクリを武器に変える。あるいはノワルとの戦いでやったように銃火器を生成して一斉掃射かな。
 いや、アタシのような再現じゃなく本物の『オブジェクト変更』なら、材質も範囲も思いのままに変えられる。そうじゃなくてもワープ能力で逃げている可能性も。)
 マイ=ラッセルハートはシェフィの記憶を覗き、ザラサリキエルの権能を記憶として獲得した。
 故に知っている。七人の天才の持つ権能(チート)はどれをとっても汎用性・対応力に極めて優れていることを。
 ヒースクリフが帝国が冠する48の超兵器や五色の英雄たちが従えた50を超えるユニバースロボと同等に、五道化の権能とするだけのものだということを。

 「……『覇瞳天星』」
 ザラサリキエルが有する無数の手札を前に、マイは未来を見ることを選ぶ。
 周囲の空間全てをマイの持つ『演算機』が情報として捕らえ、防壁の中の存在が次に行う行動を導き出す。
 その負荷はわずかながらマイ自身にも伝わってくる。マイが生み出す氷はツィベタ・コオリスカヤの力で変質してはいるが、元はマイ自身の『心の力』である。

 (まったく、これをゲームとはいえ世界規模でやってのける本物の七冠には恐れ入るよ。
 特にこの『未来演算』。脳が3つは無いと処理しきれないでしょこんな情報!『覇瞳皇帝』ってのはバケモノか何かかな!)

 実のところマイ=ラッセルハートが編集で得た権能は、どこまで行っても再現品だ。同等の精度とは言い難い。
 覇瞳皇帝の権能による未来演算も、世界全てをデータとして閲覧できる七冠のそれより観測できる範囲は狭い。
 それでも『演算機』なしで行えば知恵熱の1つでも出でいただろう。
 脳と情報を扱うプロフェッショナルであるマイからしても、オリジナルの『覇瞳皇帝』の情報処理能力は尋常ではない。七冠と呼ばれる天才が殺し合いに居ないことにマイは心底安堵していた。

 (とはいえアタシが見える・想定できる範囲の情報は予測演算に組み込める!乱戦ならともかく1対1なら行動を読むくらいできるはず!)
 目を凝らし。耳を澄まし。肌で感じ。周囲を掴む。    ・・・・
 そうして演算した『覇瞳天星』に変化が起きるのは、今から15秒後のこと。

 コンクリートの上から、ハンドボールほどの何かが投げ込まれる。
 黒い筒のような何かは、マイがその形状を思い出すのと、筒が光を放つのに時間差が無かった。 

「閃光弾(スタングレネード)ッ!」
 正式名称 XM84
 非致死兵器と呼ばれる分類だが、下手な銃火器や爆弾よりよほど今のマイには効果的だ。
『武装生成(アームズクリエイション)』により生み出された190デシベルの爆発音と100万カンデラ以上の閃光が、マイの目と耳を埋め尽くした。

 ◆

「つぐづく己の甘さを痛感するよ。
 貴様程度の三下を始末するのに、こんな小細工が必要になるとはな。
 一度の放送を生き延びたプレイヤーは、どいつもこいつも一筋縄ではいかないな。」
 閃光と爆音が止んだ中、コンクリートの防壁を解除しザラサリキエルはマイへと歩み寄る。
 既に氷の鎖どころか見える範囲の氷は全て溶け消え、そのど真ん中でマイ=ラッセルハートはうつぶせに倒れ伏していた。

「凶星病理ほどの派手さはないが、故にこそ七冠の権能は扱う者の才覚が問われる。
 ノワルといいお前といい、いい経験になったよ。その点だけは感謝しよう。」
 アスファルトを踏みしめ歩くザラサリキエルの右腕に、漆黒の槍が生成される。
 グランシャリオを模した紫紺の鎧と相まって、歴戦の騎士のようにその武器はザラサリキエル腕に馴染んでいた。

 マイの傍まで歩み寄ると、氷を維持できなくなったのかカッシーンの残骸がマイの周囲に転がっている。
 四肢を捥がれ、喉元にも深々と傷がある。こうなれば動くことも語ることもままならず、ただ演算するためだけの部品でしかない。
 金色の金属を蹴り飛ばすと、カランと軽い音と共にカッシーンは転がっていく。空き缶を蹴ったような気分である。

「やはりこの程度の連中で、権能の完全再現など不可能だ。
 何らかの演算機を持っていることは確実だろうが……まあ、殺してから考えるか。」

 死告邪眼のザラサリキエルはNPCモンスターである。
 柊シノアや坂柳有栖のような例外を除き参加者を殺すことを至上命題としている。運営直下の五道化とあらばなおさらだ。
 マイ=ラッセルハートを殺すことに何のためらいもない。
 槍の先端にオレンジ色のノイズが走る。
 うつぶせに倒れ伏し、身動き一つしない相手だろうと死告邪眼のザラサリキエルは手を抜かない。
 絶対攻撃の権能を纏った槍が振り下ろされ、マイ=ラッセルハートの心臓部を貫いた。

 パリンという軽い音と共に、絶対攻撃の槍がアスファルトに突き刺さる。
 力なく両腕を垂らしモズの早贄のような様でわずかに浮き上った骸を前に、ザラサリキエルが抱いたのは達成感ではなく違和感だった。

「……妙だな。手ごたえが無さすぎる。」
 心臓を貫いた一撃はあまりに容易かった。軽かった。
 マイ=ラッセルハートの死体は一滴の血も流さず、一切の反射も示していない。
 死体の指先からぽたぽたと垂れ落ちているのは、無色透明の液体だ。その事実を前に不快な想像が頭によぎる。
 これではまるで、目の前の女がただの氷の彫像か何かのような――。

「アタシの神殺し(ディーサイド)は、4つの腕(アーム)に伝説の武芸者の記憶を編集(エディット)し、自在に動かす。」

 声が聞こえた。目の前の女から。

血も流れず、息もしておらず、心臓を貫かれた女が喋る。
 衛藤可奈美や黒崎一護のように死者が活動する例はこの会場ではいくつも確認されているが、そのどれとも経路が異なる。

「でもその技量を十全に発揮するには、持ち主に合わせた腕(アーム)のカスタマイズが必須になる。
 ツィベタっちの氷と『オブジェクト変更』があればここはどうにかなるけれど、やっぱりネックなのは記憶の保存。
 『覇瞳皇帝』の劣化(デッドコピー)だけでも人が扱うには無茶な権能(スキル)だ。アタシの脳以外の記憶を保存するユニットが必要だった。」
「そのためのカッシーンとでもいうつもりか?
 だが、いかにあの機械が2068年の魔王が配下だとしても、権能を処理するのは出来て1つ、それも私のようなゲーム全般に干渉できるものではなくなるはずだ。」
「大正解。bonne réponse(ボン・レスポンス)。
 アタシの権能が影響を及ぼせるのは、アタシ自身かアタシの所有物がせいぜい。
 跳躍王(ワープ)や変貌大妃(変身)みたいな演算でどうにもならないものだって、アタシが使うのは難しい。
 でも逆に言えば、心遺物(メイドインハート)の氷と演算で再現できるものならアタシは自由に使えるんだよん。」

 武器も作れる。絶対攻撃も付与できる。未来だって演算できる。
 たとえ自分自身の複製だろうと、作る手段はマイ=ラッセルハートの手の中にあった。

「……そういうことか。
 己を模した氷像を『オブジェクト変更』で生みだし、変貌大妃(メタモルレグナント)の分身で上書きしたのか!」
「『ミラーミラー』でいいのかな。シェフィっちの記憶じゃここまで詳細には読めなくてね。」

 変貌大妃(メタモルレグナント)。その権能は『変身』と『コピー』。
 自分自身の複製を生み出すことなど、彼女にとっては造作もない。
 となればその権能を与えられたザラサリキエルは元より、その記憶から権能を再現しているマイにだって同じことはできる。
 1つの疑問が解けたとはいえ、ザラサリキエルの頭にはさらなる疑問が浮かぶ。
 これでマイ=ラッセルハートの使える権能は4つになる。いよいよもってカッシーン2台で賄える情報量ではなくなってくる。

「やはり持っているんだな、カッシーンとは比にならない本命の演算機を!」
 分身体に突き刺さった槍を強引に引き抜き、マイ=ラッセルハートの姿をした氷像を蹴り飛ばす。
 ガラスが砕けるような軽快な音と共に女の死体が破片となって飛び散ってもなお、ザラサリキエルの気は晴れない。
 演算機の心当たりなどまるでなかった。
 彼女の知る支給品の中で、そのようなことが可能なアイテムは蛮野天十郎の宿るタブレットくらいだが、蛮野天十郎であればマイ=ラッセルハートなどという我の強い参加者と協調するとは思えない。
 自分の想定していない何かが起きている。その事実がザラサリキエルの神経を逆撫でし続ける。

「……まあいい。どのような道具だろうと貴様の本体ごと破壊するだけだ。」
「何イラついてるのか知らないけどさ、アタシは大したことなんてしてないよ。」
 アスファルトを転がるマイ=ラッセルハートの分身はもはや頭部を残すのみだ。
 ころころと煤け、熱を浴びて体積と縮む女の顔と目が合った。
 笑っていた。
 何かを成し遂げたかのように晴れ晴れとした笑いだった。

「ただ、マイクで言っただけだよ。『スパコンになれ。』ってね。」

 その言葉を最後にマイの分身は色を喪い、シャーベット状の塊となってザラサリキエルの手足に纏わりついた。
 分身はマイ=ラッセルハートが生み出した氷。すなわち『オブジェクト変更』にていかようにも操作できる。
 紫紺の鎧ごと手足の動きを封じられ。レプリカの装甲が急速に冷え鈍く嫌な音を立てる。

 ――しまった。油断した。
 ザラサリキエルが悔いる理由は動きを塞がれたからでも、鎧が劣化したからでもない。
 キヴォトス人の肉体の上で強化が施されているザラサリキエルなら、この程度の拘束は鎧の劣化を考慮しても数秒立たずに破壊できる。
 だがこの場は重畳跋扈する殺し合い。
 数秒の隙は致命的だと、ザラサリキエルも知っている。

「ありがとう。分身の無駄話に付き合ってくれて。
 おかげで閃光で潰れた目や耳も、すっかりもどったよ。」

 背後から聞こえる耳障りな声に、ザラサリキエルは振り返る。
 腰から生やした蜘蛛の足のようなパーツ。左右後部にあるその部位から勢いよく氷を生成しマイ=ラッセルハートがザラサリキエルめがけ飛び掛かる。
 走るよりもはるかに速い勢いの中、はためく白衣に何かがくっついているのが見えた。

氷によって白衣に張り付いた、大判の文庫本ほどの緑色をした直方体。
 そのアイテムの名を――オコノミボックスという。
 四角い道具であればあらゆる機能を持たせられる。
 テレビでも、レコードプレイヤーでも、ストーブにでも、クーラーにでも――そして当然、演算機にだってなれる。

 「22世紀の……ひみつ道具!」
「だから言ったでしょ。2033年の技術なんて中古品(レトロゲー)だって!
 22世紀製のスパコンと2068年の機械兵なら、4つや5つ演算くらいできて当然なんだよん!」
 机に置けるサイズのスパコンは2025年の時点で存在する。
 そこから70年も先、それも魔王が支配する荒廃した未来ではなく自立型ロボットが貧乏家族でさえ所有できるほど技術が進歩した未来なら、スパコンの大きさと演算能力をとっても天才の権能を演算することは難しい話ではない。

「じゃあ種明かしも出来たところで。さよならだよリキエルっち!」
 右腕を動かし、空中を引っ搔くように振り下ろす。
 それが無意味な動作ではないことを、ザラサリキエルの卓越した動体視力は捕らえていた。

 氷でできた極細の糸。
 それがマイ=ラッセルハートの右腕から伸びていた彼女の武器の正体だった。
 マイの指の動きと合わせ糸が空気中で揺らめくたびに、小さな氷の結晶が次々と生まれていく。
 これはマイ=ラッセルハートの使える、どの権能とも一致しない。
 だがザラサリキエルは知っている。それはマイと共にいた男の技だ。

「覇世川左虎の凍剣執刀(とうけんしっとう)……」
 空気を揺らし凍てつかせる糸の暗刃。天才の権能とはまた異なる、達人が有する技術(スキル)。
 氷の糸はザラサリキエルの紫紺の鎧に食い込んだと思えば、その装甲を裂きザラサリキエルの全身を絡めとっていく。
 本物のグランシャリオなだまだしも、ただのレプリカではこの暗刃は防げない。
 何よりもその鋭利な糸には――オレンジ色のノイズが掛かっていた。

「乱数聖域(ナンバーズアヴァロン)そして凍剣執刀(とうけんしっとう)!!
 自分で言うのもなんだけど、いいコンボだと思わない?」
「きっ……さまぁ!!!」
 切断し氷結する糸に重なる絶対攻撃の権能。
 マイ=ラッセルハートの言う通り、2つの能力の相性はまさに抜群だった。
 声をあげ身をよじらせるが、無数の糸が意志を持つかのようにザラサリキエルの体に食い込んでいく。
 凍てついた鎧に身を守る機能はとうになく、ばらばらと音を立って氷の上に屑が積もる。
 そのたびに氷の糸はザラサリキエルの体に食い込み、その肉体を裂き始めていた。

 肘にかかる。とうに鎧は切断され手にした槍が音を立てて地面に落ちた。
 膝にかかる。氷に覆われた足が全く動かないまま、鋭利な痛みだけがザラサリキエルに伝わっていく。
 首にかかる。いかに最強のNPCとはいえ首を切断されれば死ぬ。

(回避――不能?
 撤退――不能?
 ギアスキャンセラー――駄目だ、既に肉体に届いている以上誓約女君(レジーナゲッシュ)の権能を消したところで意味はない!
 現在の出力でこの状況を打開するには――)
 敗北の2文字がよぎる。
 死の結末が目前に迫る。
 ノワルのような強者との戦いならいい。
 キリトのような英雄との戦いならいい。
 だが、目の前にいるのは強者でもなければ英雄でもない。
 復讐に呑まれた時空犯罪者。その程度の女に追い詰められるどころか既に負ける段階に来ている。

(私の切り札。……『カード』を使うか!
 いや、それでは遅い!起動するより早く私の頸が飛ぶ、であれば……) 
 懐にある『カード』へと伸びた手を止め、ザラサリキエルは唱える。

 「『劣化複製:幻境(ヴィジョンズ)……」
 「ッ!シャレにならないねそれは!!」
 ザラサリキエルの決断と同時に、マイ=ラッセルハートは己の肌が粟立つのを知覚していた。
 これまでザラサリキエルが使用していた権能とはまったく別種の何かがくる。
 何かを成し遂げるための技術(スキル)ではなく、何かを排除するための超常(スキル)。
 ザラサリキエルから権能の情報を得たマイは――その能力を知っている。

 それは、あらゆる恐怖を否定する女の純粋な感情。
 それは、現実世界にさえ干渉可能な惑星外の超常。
 電脳世界の特権などでは到底収まらない。文字通りの『超能力』。
 彼女のもう1つの切り札。最後にして最凶の七冠。その権能(チート)――否、異端(チート)。

「竜(エンプ)……」
 詠唱は止まらない。
 ザラサリキエルの全身から赤い稲妻のようなエネルギーが迸る。冷却と損傷でボロボロになっていた首から下の装甲が、四肢を縛る氷の糸ごと弾けとんだ。
 鎧の下からはザラサリキエル本来の肉体――引き締まった女性の肉体が露出する。
 へその出たノースリーブインナーと、薄い紺色のパンツスタイル。ベルトには頭蓋骨を思わせる髑髏のマークが描かれている。
 それが誰の姿なのか、キヴォトス人の知識がないマイには知りようがないし。考える余裕もない。

「させないって……言ってるでしょうが!」
 右腕から伸ばした氷の糸をさらに伸ばし、マイ=ラッセルハートは両腕でザラサリキエルの頸を締め上げる。
 腰から生やした氷柱ももはやなく、周囲にはバチバチと音を立てながらカッシーンの残骸が無造作に転がる。カランという軽い音は2人の耳には届かない。

「アンタはここで殺す!そうじゃなきゃ……アタシの願いは叶わない!」
 ザラサリキエルが言っていた通り、マイ=ラッセルハートは参加者の中では明確に格下である。
 最上位の参加者を仮想敵と定めている五道化を単体で殺すなど本来なら不可能だ。
 その上、ザラサリキエルの射程圏内に入ると同時に、マイの武器である編集(エディット)も削除(デリート)も意味をなさなくなる。
 まさに天敵だ。ギアスキャンセラー本来の対象であるルルーシュ以上に相性が悪いといえた。

 覇世川左虎の髪刃を再現させた氷糸の強度は低いが、削れくだけるたびに生まれる氷が糸を復元し、ザラサリキエルの頸を断たんと形を変える。
 より鋭く、より冷たく、より強靭に。
 触れるだけで皮を剥ぎ取りそうな冷気を纏う糸が神秘の宿る表皮を突き破り、首から噴き出る緋色の水が冷気を受けて凍り付く。
 常人なら間違いなく致命傷。それでもマイは糸を握る力は弱まらず。むしろ確実に頸を断つまで話さないという覚悟が糸を通してザラサリキエルに伝わってくる。

 全ては、マイ=ラッセルハートの願いのため。
 平等な世界。命を区別されない世界。
 大好きな両親が死ななくてもよかった、あったかもしれない世界のために。

 マイ=ラッセルハートは、命を賭けて命を奪う。

 「后(レ)……」
 そこまで唱え、器官にまで届いた糸が詠唱を阻む。
 ガフッ。という溺れたような声を上げ、ザラサリキエルの口から血と空気の混ざった泡が零れる。
 喉から噴き出る赤い氷は肌を隠すほどにまで増えて、内側からザラサリキエルの喉を抉っていた。

 ――ザラサリキエルは間に合わない。
 ザラサリキエルとマイの思考が一致した。

 (こんなところで……こんなやつに……負ける?)
 ザラサリキエルは冥黒の五道化の中で、ヒースクリフの思想を最も強く受け継いでいる。
 ゲームとしてのバランスを重んじ、無秩序な道化の中で屈指の穏健派。
 しかしそれは、この殺し合いを最も”ゲームとして”観測していることを意味する。
 故にザラサリキエルは見誤った。
 マイ=ラッセルハートという復讐者が抱く願いの強さ。何を殺してでも生き延びようと望む生き汚なさ。
 ”命がけの戦い”に臨む者の、命を天秤にかけたことによる先の無い足掻きを。

(…………そうか。)
 もし『最後の七冠』の力を起動したのが10秒早ければ勝っていただろうが、そんなものは結果論だ。
 どこか納得したように、ザラサリキエルは己の終焉を受け入れる。
 力を緩めないまでも、マイも己の勝利を確信していた。

 もしここでザラサリキエルかマイのどちらかが『覇瞳皇帝』の未来予測を行っていれば何を見ていただろうか。
 ――少なくともマイ=ラッセルハートが死告邪眼のザラサリキエルに勝利する光景ではない。


 「『劣化複製:魔獣変化(ヘカトンケイル)』」

 マイが振り向き糸に寄せる力が緩んだその瞬間、背後から飛び込んだ大きな口が、氷の糸を残らず噛み砕いた。

全身の力で糸を引いていたマイは、力の行き場を失い膝をつく。
 反対の方向で、ザラサリキエルはうつぶせのままアスファルトめがけて倒れ込んだ。
 ガリガリと音を立て糸をうまそうに飲み込んだその何か、白い犬のように見えたそれは、マイの目の前で煙のように溶け消えた。

「今のは……」
「これは自立型帝具……ということは……。」
「エルちゃんさぁ、真面目過ぎるんだよね。
 相手に合わせて理想的なボスキャラを……ってのはヒースクリフ様の理想だけど、そんなもの律儀に守ってるのエルちゃんだけだよ。
 ま、首チョンパされる寸前まで本気出さないとか真面目じゃなくてマヌケだよね。」

 獣のような唸り声と入れ替わり、落胆したような声が戦場の空気に溶け込んでいく。
 文字通り水を差した闖入者を前に、もはや戦いを続けようという熱気はこの場のどこにも残っていなかった。

「アンタは……」
 ちぎれた糸を手繰り寄せ、マイはその少女を睨んだ。
 長船女学園の制服を纏う刀使の姿をしているが、この女が刀使ではないことなどこの場の全員が知っていた。

 引きつったような表情を向けるマイの目の前で、少女はウインクをしながら両手を合わせた。
 謝っている動作なのにちっとも悪びれていないように見えるのは、少女が薄ら笑いを浮かべているからか。
 こめかみをひくつかせ、マイはその女の名を叫んだ。

「エケラレンキス!」
「ほんとーに悪いんだけどさぁ。
 その攻撃、ちょっと待ってくれないかな。」

 ◇◆◇

 ――なぜ、エケラレンキスがここに?

 ゆっくりと起き上がり、ザラサリキエルは突如現れた同僚の姿を見た。
 へらへらと感情の読めない笑みを浮かべているのは普段通りのふざけた態度だが。増援には違いない。
 べっとりと両手を赤く染めたままザラサリキエルは立ち上がり、悔し気に顔を歪めるマイへと視線を落とす。

「だがちょうどいい!この女は危険だ!
 私とお前で今のうちにゲームから排除……。」
「劣化複製:魔神顕現(デモンズエキス)」

 エケラレンキスが有する帝具が1つ。氷を操り世界を止める血液の帝具。
 その氷が女の――ザラサリキエルの全身を包み。ガッチガチに縛りあげていた。
 マイでさえ唖然と目を見開く中、ザラサリキエルは顔を歪ませ恨めし気に同僚を睨みつけた。

「何のつもりだ!貴様!」
「何のつもりだはこっちの台詞。
 どうみても致命傷でしょその傷。つまりここでの勝負はエルちゃんの負け。
 不意打ちだろうと奇策だろうと、参加者の勝利を後出しで無効なんてヒースクリフ様ならしないでしょ?」
「むぅ……。」
 フルフェイスメットの下にある喉元の傷は未だ顕在。喉の7割が深々と切り裂かれてもなお生きているのは、彼女が死体を元にしたNPCだからに他ならない。
 エケラレンキスの介入がなければ切断されていたことは明らかだ。
 ザラサリキエルとて全力を出していない――出せなかったともいえるし、出さなかったともいえる――ながらも、自身の敗北にいちゃもんをつけるような質ではなかった。

 黙りこくったザラサリキエルを冷ややかに見下ろし、エケラレンキスはマイへと向き直る。
 蛇腔病院の地下で出会った時の嘲笑ばかりの表情とは違う。期待以上の何かを見せてくれた相手を歓待するような、晴れやかで余裕のある笑みを浮かべていた。

「さてマイ=ラッセルハート。私の要求は1つ。
 エルちゃんを見逃してくれない?」
「……アンタがそんな仲間思いだったなんて意外だよ。」
「仲間思いィ?アハハハハハ!!
 アンタの口からそんな言葉が聞けるなんて、悪いジョークでしょ記憶破壊者(メモリースナッチャー)!
 ルルーシュの気持ちが分かるわぁ。端的に言って反吐が出る!」
 作り物のような鮮やかな笑顔を浮かべ、少女はからからと笑う。
 口汚く罵りながらも、その表情からマイに対する嫌悪感は読み取れない。
 道化というだけあって本心が見えない。根が真面目なザラサリキエルよりよほど厄介だとマイは思う。

「ま、こっちも中間管理職だからさぁ。ゲームがつまらなくなる展開は避けるように上から言われちゃうんだよねぇ。」 
「そんな下らない理由でアタシの邪魔してくれたわけ?」
 エケラレンキスが運営側である以上、その言葉はマイにも理解できた。左虎や小夜が聞けば激昂しそうな言い回しではあるが。
 だがマイからしてはそんな思惑はどうでもよく、自分の天敵を殺しうる絶好の機会を無下にされたことに憤りを感じていた。
 ”下らない”という言葉にエケラレンキスがむっと頬を膨らませたが、嫌味を返したりせず続けた。

「ま、アンタの言い分も分かるよ。実際ヒースクリフ様や羂索様ならアンタのようなC級が起こす大番狂わせ(ジャイアントキリング)を嬉々として楽しむだろうしね。
 ただ、伝わるように言うなら――イベントスチルが未回収で終わっちゃうのはもったいないじゃん?」
「……はぁ?」
 ぽかんと口を開けるマイを尻目にエケラレンキスはザラサリキエルの傍にまで歩み寄ると、その頭に残った紫紺の兜を乱雑に投げ捨てた。
 晒されたザラサリキエルの素顔は目つきの鋭いシャープな印象の美しい少女だ。ノワルが気に入り嬉々として戦ったのも納得だと今更ながらマイは腑に落ちる。
 霞掛かった空のような薄い青紫の瞳だが、左目にだけ翼を広げ羽ばたく鳥ををひっくり返したような蒼い紋章が光る。
 さらさらと風に靡く濃紺の髪の上に、浮かぶ歪な光輪(ヘイロー)が一瞬だけ夜空に浮かぶ星のような形を浮かべた。
 その姿にマイ同じ光輪を浮かべた少女の姿を思い出す。

「……頭の輪っかから薄々予測はしてたけど、ホシノっちと同じキヴォトスの生徒か。趣味悪。」
「大正解♪まあこの女と縁があるのは”そっち”じゃないけどね。」
「そういうことね。五道化のアンタたちにも縁がある参加者がいるんだ。」
「理解が早くて助かるぅ♪」
 病院で左虎が出会った空蝉丸という男は、マイ達を襲った五道化こと激怒戦騎のドゴルドとは不俱戴天の間柄だという。
 他の五道化にとっても似たような関係がある参加者がいると考えるのは、考えてみればごく自然な話だ。
 むしろゲームとしての面白さを求めるのなら、どこの誰とも知らない他人を強敵に据えるよりよほど腑に落ちる。

「で?それをアタシが慮る理由はある?」
「ないね~!うん、ない!
 アタシがアンタならキレると思うよ。今こうしてお話してくれて逆にありがとうって言いたいレベル!
 だから、こうするのさ!」
 大げさにぺろりと舌をだしたエケラレンキスだったが、そのまま右腕をザラサリキエルの側に向けた。
 全身を覆う氷を生み出したのはエケラレンキスだ、手を突っ込むたびに氷が砕け開いた穴を少女の細腕が伸びてゆく。

「何を……」
「じっとしててね~。下手に動いたら殺しちゃうからさ!」
 困惑するザラサリキエルには耳を貸さず、しばらくゴソゴソと手を動かしていたエケラレンキスは、「ああ、あったあった」と満足げな顔で何かを取り出した。
 マイの眼には配線の剥き出しになった小さな黒い直方体に見える。マイの知識で最も近いものはプラスチック爆弾だろうか。

 「貴様!それは……」
 銃火器が格落ちの武器になるこの殺し合いでは価値がある道具には思えなかったが、ザラサリキエルにとっては違うらしかった。
 それが盗られたのがよほど許せなかったのか、抵抗を示し身を悶えさせる。
 氷で動かないまま虫のように足掻くさまは、いっそ哀れですらあった。

「いやぁ。こっちの都合で物言いしてるんだよ。
 勝者には報酬を。ゲームの基礎の基礎デスよ。エルちゃん♪」
 ヘラヘラとした口調ながら、切り捨てるようにエケラレンキスは言い放ち、歯噛みしながらもザラサリキエルは抵抗を止めた。
 既に反論する権利はないらしい。

「さて、マイ=ラッセルハート。
 仮にも五道化に膝をつかせた君にプレゼント。大事に使ってね♪」
 ぽいと黒い直方体を投げ捨てる。
 爆弾だとすればあまりに雑な扱いに「はぁ!?」と頓狂な叫びをあげるが、綺麗な軌道を描いたその直方体はマイの手元にすっぽりと収まった。

「何これ。」
「え?見て分かんない?爆弾だけど。」
 ぽかんと口を開けたエケラレンキスの顔の顔には「貴方は馬鹿なんですか」と書いてあるように思えてならない。
 舌打ちをしながら、マイは最も気になる質問を投げかけた。余計な会話をこの女と交わすつもりはもはや欠片もなかった。

「そうじゃない。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 爆弾程度がこの殺し合いで何の役に立つのかって聞いてるの。」
「うーん。普通の爆弾ならアンタ程度の雑魚参加者を殺すくらいしかできないよね。」
「喧嘩売ってる?」
「買ったら死ぬのはアンタだよ。クロックハンズ。」
 へらへらとした軽口を浮かべていたが少女だったが、爆弾を指さし声色を変えた。
        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「その爆弾は、五道化というNPCを倒したことによるドロップアイテム。
 神秘殺し。キヴォトスにおける禁忌が1つ。
 ――ヘイローを破壊する爆弾。」
「ヘイロー……。」

 ザラサリキエルを見る。額に浮かぶ歪な光輪を。
 頑強な肉体に『神秘』を内包し、概念的なレベルで”死”が希薄なキヴォトスの生徒。
 マイの手元にもたらされた爆弾は物理的な命ごとそうした超常を、悪意を持って奪い去る。
 神秘殺し。という言葉の仔細をマイは分からないが。この爆弾が壊すものが物理的なものではないことくらいは、想像するのは難しくない。

「――五道化から手に入るだけの価値はある代物ってことね。」
 ごくりと生唾を飲み込む。12時(爆弾マニア)に聞くまでもなく、この爆弾は”厄ネタ”だ。
 さっきまで軽かったはずの爆弾の重みが、マイの両手にずっしり伝わってくる。

「ご褒美はここまで、アタシはエルちゃんと話したいからアンタはどっか行ってほしいんだけど。
 こっちもこっちで、面倒なことが起きててさぁ。万が一でも盗み聞きされたら困るんだよね。」
 軽薄なしかし真剣みのある声色でエケラレンキスは指を鳴らす。
 瞬時にマイの足元に淡い光が広がった。エケラレンキスが姿を消した時と同じ、転移の能力だ。

「『劣化複製:次元方陣(シャンバラ)』
 エルちゃんに勝ったサービスとして好きなランドマークに飛ばしてやるから、30秒以内に選んでくれないかなぁ。」
「へぇ、太っ腹だね。
 一応聞くけどアンタが禁止エリアに飛ばしてアタシを殺さないって保証は?」
「ルルーシュならまだしも、アンタ程度にそんな狡い真似するほど落ちてると思ってるワケぇ?」
 嘲笑交じりの言葉は、正面切って戦えばマイにも勝てるという自信に満ちていた。
 マイにしてもルルーシュが戦力を広げている場所から離れたかったし、渡りに船には違いない。

「サービスついでに教えてやるけど、今のルルーシュからは逃げたほうがいい。
 シャルル・ジ・ブリタニアのこともあるし、あの反抗期皇帝サマはどう考えてもアンタを殺すだろうしね。」
「それこそアタシにとって知ったこっちゃないんだけど。
 それで、どうヤバいのかは教えてくれないの?」
「そこまで伝える義理がどこにあるのさ。気になるなら自分で調べたら?
 好奇心に殺されても文句が無いのなら、だけど。」
「じゃあやめとく。
 アタシは別にルルーシュに恨みや因縁があるわけじゃないし。出会ってすぐ殺してくるような暴君に喧嘩売る趣味はないよ。」
「ふーん。で、どこにすんの?決まらないならそれこそ禁止エリアに飛ばしてやるよ。残りじゅう~びょお~。」

 これ見よがしに急かすザラサリキエルに、マイはホットラインの地図を広げある一点を指さした。

「ならアタシは――――」

◇◆◇

「役者だな。」
 マイのいなくなった駐車場で、責めるような視線をザラサリキエルは向ける。

「エルちゃんなんのことぉ?頭に血が上っておかしくなっちゃったぁ?
 あっ、クロックハンズにボコボコにされて血が足りないんだっけ!」 
「ルルーシュの危険度が上昇したことは分かるが、”何が”起きたかまではお前は知らないだろう。」
 バカバカしい挑発など無いかのように、冷淡にさえ思えるほど低く僅かにかすれた声が確信をもって投げかけられる。
 その言葉にエケラレンキスは、わずかに舌を出し悪びれた様子のない笑みを浮かべた。

「バレた?
 ま、邪魔者をはぐらかすにはちょうどいい情報だったでしょ。嘘は言ってないしね♪」
 ため息が自然と漏れたザラサリキエルをよそに、エケラレンキスはわずかに姿勢を正した。

「んで、ここからが本命の情報。クルーゼ様からの速報ね。ノワルが死んだ。」
「そうか。」
 勿体つけた割にその程度か、というのがザラサリキエルの本音だった。
 驚きが無いと言えば嘘になるが、アルジュナ・オルタやザラサリキエル自身との戦いで大きく消耗していた上、あの場には同格の実力者たるトランクスを初め多数の参加者がいた。
 束になって挑めばノワルであろうと倒せる可能性は低くはない。

「それが私の醜態を笑ってまで持ってきた報告か?
 サイヤ人の末裔がその気になれば疲弊した魔女を倒すのは自然だ。そもそも奴は死神代行どもどもノワル級を滅ぼすための参加者だろう。」
「そんな予定調和ならクルーゼ様は動かない。
 知ってるでしょ、参加者の生死の情報は私らだって放送までは分からない。ノワルの死だってただ倒れただけならこんな通達が下りてきたりはしないはず。」
 作り物のような笑みではない、真剣そのものの鋭い目つきでエケラレンキスは続けた。

「倒したのはルルーシュだよ。」
「……そう繋がるのか。面倒になったな。」
 トランクスがノワルを倒すだけなら話が速い。戦闘力こそ最強だが良くも悪くも予測がしやすい参加者だ。
 しかしルルーシュともなれば話は違う。
 明確に運営への敵対を宣言するだけならまだしも、放送施設の独占したことで会場への影響力は随一。
 NPCを多数従え、ギアスという異能を別にしても高い知能を最も活用できる参加者と言える。
 唯一の欠点は突出した暴力を持たないことだったが、ルルーシュがノワルを倒したということはその欠点を克服したということに他ならない。

「しかしクルーゼ様を疑うわけではないが、ノワルを倒せる布石はいくつも用意していたはずだろう。速報が下りてくるほどの事態か?」 
「分かってないなァ。
 詳細は分からないけど、ルルーシュの挙動はクルーゼ様も予想外の事態だった。
 憶測だけど全勢力をぶつけて命からがらでの勝利じゃない。余力どころかルルーシュ自身の強化につながるような”何か”を起こした。」
「そうたやすくそんなことが起こるか?」
「現にマイ=ラッセルハートは起こしたじゃん。記憶弄るしか能のない数合わせがエルちゃんをここまで追い詰めるとか誰が想像したよ。
 プレイヤーも馬鹿じゃない。支給品やソードスキル、心意システムも含めあいつらは何でも使う。悪用も外法もやりたい放題じゃん。
 マイ=ラッセルハートと同じことをルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが出来ないとは限らないし、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが出来ることを他の参加者が出来ないとも限らない。でしょ。」
「むぅ。」
 そう言われるとザラサリキエルは言い返せない。納得と共にため息が自然と零れ、諦観とともに空を見上げた。
 大番狂わせだけではない、”何か”は間違いなく起きていた。
 放送を待たずして五道化に情報が下りるほどの、何かが。

「ま、これに懲りたら舐めプするのは止めることだね。」
 エケラレンキスが指を鳴らす。
 帝具によって生み出された氷が砕け、ザラサリキエルの体はようやく自由を取り戻した。
 さっきまで氷の覆われたからだがぐっしょりと濡れていたが、喉元だけは赤く染まる。マイとの戦いによる傷だった。

「……全くだ。返す言葉もない。」
 自戒とともに、ザラサリキエルは喉元の傷に手を翳す。その動作で深々と入った喉物の傷が一瞬で復元された。
 しかしこれは傷が治っているわけでも体力が戻っているわけでもない。
『迷宮女王(クイーンラビリンス)』の権能により固まった血液を操作し傷を塞ぐことで、見た目だけは正常に取り繕っただけだ。
 ノワルとマイの連戦によりザラサリキエルの消耗は著しいものがあった。
 手を握り開くを繰り返す。そんな単純な動作からでも、本人はもとよりエケラレンキスからも消耗が読み取れた。

「出力今どのくらい?」
「ノワルとの戦いも含めれば全快時の半分といったところだ。
 流石に少し休む。その後は私の行くべきところですべき役目を果たすさ。」
「一応聞いてあげるけど。役目って何するつもりデスか♪」
 悪戯っぽく尋ねる姿に、ザラサリキエルは呆れたように肩をすくめた。
 エケラレンキスはザラサリキエルの”肉体”を知っている。分かり切った問いだった。
      ・・・・
「白々しい。聖園ミカのところに決まっている。
 お前の言い方を借りるなら、イベントスチルの回収に向かう。それもまた道化の仕事だろう。」
「さっすがエルちゃん!話がはや~い。
 じゃ、あとは今まで通り。ゲームの円滑な運営のために頑張ろうね♪」

 その言葉を最後に、2人の道化は与えられた権能を行使する。
 空間転移。
 運営としての特権でどこまでも自由に動く道化たちは、未だ顕在だ。

「『劣化複製:次元方陣(シャンバラ)』
 じゃあ頑張ってネ、”錠前サオリ”。」

「『劣化複製:跳躍王(キングリープ)』
 貴様もな、”古波蔵エレン”。」

 互いに名乗り逢うは、素体となった少女たちの名。
 それは悪趣味なジョークであると同時に、互いの目的を確認するための行為でもあった。
 少女達と縁ある者たちが出会うことは、愉快な殺し合い(ゲーム)の刺激として、期待された脚本(シナリオ)の1つだ。

 激怒戦騎は雷鳴の勇者と。
 死告邪眼は純粋なお姫様と。
 魔獣装甲は英雄たる刀使と
 凶星病理は■■■■■■■と。
 ■■■■は――――――

 その全てが果たされるかは、羂索の言を用いれば『手から離れた混沌』の導くまま。誰も知らない物語。

 1つ確約できることがあるならば。

 道化の顔を知る者にとって、試練は未だ、始まってすらいないということだ。



 【?????/?????/9月2日午後14時30分】

 【死告邪眼のザラサリキエル】
状態:ダメージ(大) 自省(大) 首の裂傷(復元済み)
肉体:錠前サオリ@ブルーアーカイブ
装備:
令呪:NPCモンスター扱いの為無し
ドロップアイテム:ヘイロー破壊爆弾@ブルーアーカイブ(マイ=ラッセルハートに強制譲渡済み)
道具:多数の銃火器@???
   ???のカード×?@???
基本:冥黒の五道化として行動する。
01:守護者としての役割を全うする。
02:0005bとマジアアズールは……まあ仕方ないか
03:魔獣装甲の奴、雑な仕事しやがって。
04:誰がエルちゃんだ、誰が
05:凶星病理もだが、アイツらが遊びすぎてないだろうな。
06:流石は闇檻 一筋縄ではいかないが……あれほどの顔ぶれが揃うとはな
07:参加者を侮りすぎていたか。まったく、ルルーシュじゃないがイレギュラー続きには頭を抱えるな
参戦時期:なし
備考
※NPCモンスター扱いの為、令呪無し、名簿に記載無し、支給品無しです。
※ヘイローを有しています。銃撃などに足して異様なタフネスを発揮します。
※肉体が女性の為、魔戒剣をはじめとした生物的に男性であることが前提条件の武器や能力を使えません。
※死告邪眼はギアスキャンセラーをベースにした彼女の固有能力です。
 発動すると有効範囲内の異能力を無効化できますが、その有効範囲に常に自分が含まれます。
※アストルムの七冠の権能@プリンセスコネクト!Re:DIVEを模した劣化複製権能(デッドコピースキル)を持たされています。



【?????/?????/9月2日午後14時30分】

 【魔獣装甲のエケラレンキス】
状態:健康
肉体:古波蔵エレン@刀使ノ巫女
装備:魔獣装甲エケラレンキス
   小烏丸@刀使ノ巫女
   ???の魔戒剣@牙狼<GARO>シリーズ
令呪:NPCモンスター扱いの為無し
ドロップアイテム:????@????
道具:神炎皇ウリア@遊戯王GX 幻魔皇ラビエル@遊戯王GX 五道化専用ホットライン@オリジナル
基本:冥黒の五道化として行動する。
01:思うままに楽しむ。
02:エルちゃんの連れてった二人もあの辺に居るだろうし遊んであげよっかな
03:エルちゃんったら、真面目が過ぎるんだから♪
04:特級呪霊に柊の鬼子……あのクラスの参加者はもっとガンガン暴れてほしんだけどなぁ
05:コルコルも色々考えてるんだねぇ。こっちも好きにやるけど
06:これからどうしよっかなぁ。可奈美ちゃんをネタに薫ちゃんを弄るかそれとも・・・
参戦時期:なし
備考
※NPCモンスター扱いの為、令呪無し、名簿に記載無し、支給品無しです。
※刀使としての能力を概ね高い水準で発揮できます。
※肉体が女性ですが両腕に魔戒騎士の遺骨を埋め込まれているので魔戒剣をはじめとした生物的に男性であることが前提条件の武器は使えます。
※魔獣装甲は魔戒の鎧を召喚出来ない彼女の為の固有武装です。
 冴島鋼牙シリーズに登場した魔獣装甲コダマ同様自由に脱着できます。
※帝具@アカメが斬る!の能力を模した劣化複製権能(デッドコピースキル)を持たされています。

 ◇◆◇

 彼女が転移先に選んだのは、会場の南東にあるオシリスレッド寮だった。
 寮とある以上休息できる場所だろうし、端にあることから合流を目的にするような参加者がとどまってはいないと踏んだことが理由だった。
 病院からごたごた続きのマイ=ラッセルハートには、わずかでも休む時間が必要だった。

 「ヘイロー破壊爆弾。か。」
 木造のベッドに腰を下ろし、手渡された爆弾を眺める。
 神秘を殺す爆弾と銘打たれてはいるが、情報を見る限りその効果範囲はかなり広い。
 ザラサリキエルやホシノのようなヘイロー持ちの少女だけではない。魔力や超能力を持つ人物にだって有効。半面そうした異能の無い人間に対しては通常の爆弾未満の効果しかないらしい。

「つまりノワルやルルーシュ、五道化は殺せるけれど、アタシや左虎っちには効かないのか。」
 強力だが使いどころが難しい武器だ。誰に異能が宿っているかなど、マイが知る知識は乏しい。
 有効に使うためには、他の参加者の情報が必要だ。

「ま、使いどころは後で考えよっか。」
 爆弾をリュックにしまい、白衣のままごろりとベッドに寝転んだ。
 殺し合いの只中に無防備に眠るつもりもなかったが、わずかでも体を休めたい。
 なにせこの殺し合いは長丁場だ。マイのようなソロプレイヤーにとって休息時間は値千金の価値がある。

「こっからどうするかなぁ。」
 興奮と熱気が収まっていくなか、ぽろりと零れる。
 今後のプランは全くと言って決まっていない。それを考える時間も必要だった。

 さしあたって確定していることは1つ。
 マイ=ラッセルハートがこの殺し合いから抜けるという択は、ありえないということだけだ。



 【エリアI-12/オシリスレッド寮/9月2日午後14時30分】

 【マイ=ラッセルハート@運命の巻戻士】
状態:疲労(大) 小鳥遊ホシノへの興味(中) 神戸しおへの興味(中) ルルーシュへの警戒(大)
服装:白衣
装備:マイのタイムマシン装置@運命の巻戻士 オコノミボックス@ドラえもん ツィベタ=コオリスカヤの心遺物(メイド・イン・ハート)@SHY-シャイ-
   カッシーンの残骸×2@仮面ライダージオウ ヘイロー破壊爆弾@ブルーアーカイブ
令呪:残り三画
道具:ホットライン
思考
基本:優勝して、不平等な世界を変える
01:なんだって利用してアタシは勝つよ
02:タイムマシンの使用は慎重に。
  削除と編集も使い所をなるべく考える。
03:巻戻士は許さない。
04:私は優勝する。そのために皆を利用する。
  その意思は揺るがない……誰に何と言われようと
05:――――助けてほしいなんて。私は望んでいない。
06:ホシノっちはなんだか気になる。
  どこかアタシに似てる気がする。
07:病院の地下は蛇の潜む薮だったなぁ。大損しちゃった
08:ツィベタっちの言いたいことは分かる。
  それでもアタシは――。
09:ルルーシュには関わりたくないな。会ったら殺されるし。

参戦時期:クロノたちと出会う前
備考
※編集(エディット)の過程で、『忍者と極道』『魔法少女にあこがれて』『プリンセスコネクト!Re:Dive』『鵺の陰陽師』の世界についてのある程度の知識を得ました。
※ツィベタ=コオリスカヤの心遺物(メイド・イン・ハート)@SHY-シャイ-は意志持ち支給品ですが、夢の中など特定の状況可でしか会話が出来ません。
※冥黒の五道化が必要なほど強力な参加者が5人いるのではないかと考えています。
※22世紀のスーパーコンピューターに変化させたオコノミボックスとカッシーンの残骸にザラサリキエルの権能を付与することで能力を再現しています。
 現在は『オブジェクト変更』『乱数聖域』『覇瞳天星』『氷の像を用いた分身の作成』を限定的に使用できます
 デメリットなどにつきましては後続の書き手様にお任せします。



【ドロップ品紹介】

ヘイロー破壊爆弾@ブルーアーカイブ

 死告邪眼のザラサリキエルを討伐する際に手に入るドロップアイテム
 厳密には『ヘイローを破壊する爆弾』だが上記の名称で登録されている

 見た目は黒いプラスチック爆弾のようだが、神秘をもつ生徒の肉体も神秘も破壊できるというとんでもない作品
 本ロワにおいて神秘のみならずあらゆる魔術・異能の類に有効であり。
 元々魔法や超能力を扱えたり魔力が体に巡っている存在には致死的な効果を及ぼす反面、超常に縁がない人物への効果は非常に薄い。
 ソードスキル持ちに対する効果は現状不明

 完全なワンオペ品であり、現在がマイ=ラッセルハートが所有している
 そのため今のザラサリキエルを倒しても新たにドロップはしない…多分



102:善意の使徒は何故チェイスを誘ったのか 投下順 104:神のいかづちが眠る地下
099:壊乱F:青天井はどうしようもなく澄み渡っている 時系列順 098:ロロ・ランペルージ:エンディング
096:厄災ばかりの攻略未来 ―孤独の雪が王を迎える マイ=ラッセルハート
死告邪眼のザラサリキエル
088:冥黒色の舞台裏にて 魔獣装甲のエケラレンキス

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