「んだテメェら!余所様の縄張り(シマ)に入っちゃいけませんって習わなかったのかぁっ!?」
「こっちは悪事(おしごと)中なんだよ!内蔵(モツ)だけ置いて失せ――ごべっ」
「はいはいご苦労さん。でもそろそろ永眠(おねむ)の時間よ?」
「こっちは悪事(おしごと)中なんだよ!内蔵(モツ)だけ置いて失せ――ごべっ」
「はいはいご苦労さん。でもそろそろ永眠(おねむ)の時間よ?」
社会の爪弾き者、悪事(わるさ)しなけりゃ生きられない脆弱生物(ヤクザもん)。
か弱いながらに毎日を必死に生きる極道(じぶんたち)を、蟻を踏み潰すが如く殺す忍者(きちくげどう)。
連中の手で一方的に狩られるだけの現状に否を唱える、救世主たる8人の極道(ロクデナシ)。
内の一人、孔富が何をしたかと言うと見ての通り。
因縁を付けドスをチラつかせる極道(チンピラ)三名を、纏めて瞬殺してみせた。
か弱いながらに毎日を必死に生きる極道(じぶんたち)を、蟻を踏み潰すが如く殺す忍者(きちくげどう)。
連中の手で一方的に狩られるだけの現状に否を唱える、救世主たる8人の極道(ロクデナシ)。
内の一人、孔富が何をしたかと言うと見ての通り。
因縁を付けドスをチラつかせる極道(チンピラ)三名を、纏めて瞬殺してみせた。
分かっちゃいたが、この地で破壊の八極道という肩書(ビッグネーム)は単なる装飾品(アクセサリー)に過ぎなかった。
号令一つで命も捨てる、使い勝手のいい兵隊(コマ)なぞ手には入らない。
なれば行うはゴミ掃除、元は同胞なれど場所が違えば単なる邪魔な石くれ。
無駄に喧しくして増援を呼ばれる前に、剛腕を振るい始末。
戦利品(ドロップアイテム)を拾ってみれば、何とも懐かしさを覚える。
号令一つで命も捨てる、使い勝手のいい兵隊(コマ)なぞ手には入らない。
なれば行うはゴミ掃除、元は同胞なれど場所が違えば単なる邪魔な石くれ。
無駄に喧しくして増援を呼ばれる前に、剛腕を振るい始末。
戦利品(ドロップアイテム)を拾ってみれば、何とも懐かしさを覚える。
(一回死んだ程度じゃ、そうそう簡単に縁(つみ)は消えないってことね)
地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)を指先でなぞり、自嘲めいた吐息が零れる。
予期せぬ形で与えられた延長戦(コンティニュー)、嘗てとは違う方法で救済(すく)うことを諦める気はない。
しかし消せぬ過去に間近で顔を覗かれ、すまし顔を保てる程図太くもなれない。
文字通り自分の体で有用性を知った為に、僅かに目を逸らし懐に仕舞う。
少なくとも、定時放送前の襲撃(バトルパート)のような醜態は晒さないだろう。
予期せぬ形で与えられた延長戦(コンティニュー)、嘗てとは違う方法で救済(すく)うことを諦める気はない。
しかし消せぬ過去に間近で顔を覗かれ、すまし顔を保てる程図太くもなれない。
文字通り自分の体で有用性を知った為に、僅かに目を逸らし懐に仕舞う。
少なくとも、定時放送前の襲撃(バトルパート)のような醜態は晒さないだろう。
それに、現状の悩みは自分自身より同行者達にある。
(立ち直ってる、なんて口が裂けても言えないわよねぇ。……あらやだ、アタシの場合はバックリ裂けちゃってるじゃないのよ)
自身の奇抜な風貌への自答(ノリツッコミ)はさておき、同行者達を一瞥。
先の遭遇(エンカ)を経て移動を再開し、あれ以降正規プレイヤーとの接触はなかった。
時折NPCとぶつかることがあれど、五道化レベルでもなければただの作業(ヌルゲー)同然。
誰しも気は抜いていないが、道中は比較的平穏だったと言えよう。
先の遭遇(エンカ)を経て移動を再開し、あれ以降正規プレイヤーとの接触はなかった。
時折NPCとぶつかることがあれど、五道化レベルでもなければただの作業(ヌルゲー)同然。
誰しも気は抜いていないが、道中は比較的平穏だったと言えよう。
尤も、各々の内面は違う。
銀髪の襲撃者への憤りを隠さず、ずんずんとの擬音を幻視する様で進むちひろ。
そんな彼女を誇らし気にしつつ、傍らで警戒を怠らないアストルフォ。
正規の聖杯戦争とは異なる形で契約を結んだ、あの主従は現状問題無い。
相も変わらず不機嫌な空気を纏うドゴルドと、涼しい顔のシノア。
両名共に、良くも悪くも普段通りなのでこちらもまだいい。
そんな彼女を誇らし気にしつつ、傍らで警戒を怠らないアストルフォ。
正規の聖杯戦争とは異なる形で契約を結んだ、あの主従は現状問題無い。
相も変わらず不機嫌な空気を纏うドゴルドと、涼しい顔のシノア。
両名共に、良くも悪くも普段通りなのでこちらもまだいい。
一方で少々宜しくないのが、トランクスとホシノだ。
親しい者の情報で踊らされた後者のみならず、前者も何かしらの動揺を引き出されたらしい。
大丈夫、自分は平気だと強気な言い方をしながらも。
仲間を安心させる為ではなく、自分自身に無理やり言い聞かせている気がしてならない。
本人達は平静を取り繕えているつもりだろうが、言い知れぬ不安が表情(かお)へ出てるのを孔富は見逃さなかった。
親しい者の情報で踊らされた後者のみならず、前者も何かしらの動揺を引き出されたらしい。
大丈夫、自分は平気だと強気な言い方をしながらも。
仲間を安心させる為ではなく、自分自身に無理やり言い聞かせている気がしてならない。
本人達は平静を取り繕えているつもりだろうが、言い知れぬ不安が表情(かお)へ出てるのを孔富は見逃さなかった。
(一旦腰を下ろして、ちょっとでも落ち着かせるのが良いんでしょうけれど……)
生憎、今の状況を考えると悠長にもしていられない。
最凶のプレイヤーにして優勝候補筆頭、メラの凶悪(ヤバ)さは知っての通り。
神殺しを倒さねば生還どころか、数時間後の日の出を見るのも不可能。
加えてもう一人、元運営のヒースクリフ討伐も必須なのは言うに及ばず。
“亡失鎮魂”が黒の剣士達に語ったのと同様の詳細は、既に孔富達もしかと耳に入れた。
倒せない参加者が倒せない主催者に変わる、何一つ好転しない最悪の結末は絶対に回避せねばなるまい。
先んじてヒースクリフの元へキリト達が向かい、凡そ3時間以上が経過している。
1秒たりとも無駄に出来ないとあらば、下手な休憩は十分悪手になるのだ。
最凶のプレイヤーにして優勝候補筆頭、メラの凶悪(ヤバ)さは知っての通り。
神殺しを倒さねば生還どころか、数時間後の日の出を見るのも不可能。
加えてもう一人、元運営のヒースクリフ討伐も必須なのは言うに及ばず。
“亡失鎮魂”が黒の剣士達に語ったのと同様の詳細は、既に孔富達もしかと耳に入れた。
倒せない参加者が倒せない主催者に変わる、何一つ好転しない最悪の結末は絶対に回避せねばなるまい。
先んじてヒースクリフの元へキリト達が向かい、凡そ3時間以上が経過している。
1秒たりとも無駄に出来ないとあらば、下手な休憩は十分悪手になるのだ。
胸中に秘めた憂いを明かす事無く、やがて一同は目的地に到着。
城主たる檀正宗を喪って尚も聳え立つ幻夢コーポレーションには、遠目にも少なくない破損が確認出来た。
月の無い夜空を背に、地上を見下ろす様は絵巻に登場する怪物のよう。
荘厳さと不気味さへ思わず唾を飲み込むちひろへ、あえて反応は取らず。
戦場と化したろう城の前で、全員が共通の疑問を抱く。
城主たる檀正宗を喪って尚も聳え立つ幻夢コーポレーションには、遠目にも少なくない破損が確認出来た。
月の無い夜空を背に、地上を見下ろす様は絵巻に登場する怪物のよう。
荘厳さと不気味さへ思わず唾を飲み込むちひろへ、あえて反応は取らず。
戦場と化したろう城の前で、全員が共通の疑問を抱く。
「誰もいない、それにやけに静かだな……」
「ひょっとして、もうとっくに戦いは終わっちゃってる?」
「まあその線が妥当でしょうね。さっきのエリアに続き、私達ってつくづく出遅れの名人だと思いません?」
「ひょっとして、もうとっくに戦いは終わっちゃってる?」
「まあその線が妥当でしょうね。さっきのエリアに続き、私達ってつくづく出遅れの名人だと思いません?」
戦った痕跡だけが見付かり、戦闘を行った当人達は不在。
状況から読み取れる正解など、自分達の到着が遅れた以外に無し。
ヒースクリフは元より、ここから北上したエリアもそう。
幻夢コーポレーションへ来るまでに通ったが、H-7は最早マトモに機能していない。
ランドマークの天ノ川学園高校のみならず、エリア全体が壊滅的な被害を受けてあった。
トランクスも気を感じ取れず、戦闘音の類も聞こえなかった以上。
自分達が銀髪の剣士とぶつかっている間に決着が付き、参加者達も何処かへ去ったのだろう。
そしてヒースクリフ討伐もまた、こちらが加勢に出るより早く終結したと見て違和感はない。
状況から読み取れる正解など、自分達の到着が遅れた以外に無し。
ヒースクリフは元より、ここから北上したエリアもそう。
幻夢コーポレーションへ来るまでに通ったが、H-7は最早マトモに機能していない。
ランドマークの天ノ川学園高校のみならず、エリア全体が壊滅的な被害を受けてあった。
トランクスも気を感じ取れず、戦闘音の類も聞こえなかった以上。
自分達が銀髪の剣士とぶつかっている間に決着が付き、参加者達も何処かへ去ったのだろう。
そしてヒースクリフ討伐もまた、こちらが加勢に出るより早く終結したと見て違和感はない。
「戦いが終わったとして、シロコちゃん達は何処に行ったの?というか、勝って生きてるよね……?」
「生死はともかく、負けちまったなら俺らにも最悪の展開だがな」
「生死はともかく、負けちまったなら俺らにも最悪の展開だがな」
決着が付いたにしろ、勝敗の行方までは不明。
付近に骸でも転がってるならともかく、参加者どころかNPCの残骸一つ見当たらない。
ヒースクリフの死体がゴミのように投げ捨てられていたら、ドゴルドとしても多少は溜飲が下がったろう。
付近に骸でも転がってるならともかく、参加者どころかNPCの残骸一つ見当たらない。
ヒースクリフの死体がゴミのように投げ捨てられていたら、ドゴルドとしても多少は溜飲が下がったろう。
「いえ、元運営(ヒースクリフ)の死体は残ってないんじゃないかしら」
「それってつまり……どういうこと?」
「それってつまり……どういうこと?」
意外な所から否定が飛び、ちひろもつい聞き返す。
まさか、キリト達はヒースクリフに負けたとでも思っているのか。
奇怪な風貌に反し、孔富は理知的に物事を判断出来る男女(おとめ)だ。
よもや無駄に不安を煽りたくて、言った訳ではあるまいに。
まさか、キリト達はヒースクリフに負けたとでも思っているのか。
奇怪な風貌に反し、孔富は理知的に物事を判断出来る男女(おとめ)だ。
よもや無駄に不安を煽りたくて、言った訳ではあるまいに。
「言い方を変えましょう。キリトって坊や達が勝ったとしても、ほぼ確実にヒースクリフの死体を回収(ゲット)する可能性が高いと思うわ」
「えっ……?ま、まさか不貞野郎なだけでなく猟奇趣味まで……!?」
「いや、そんなわけないから」
「えっ……?ま、まさか不貞野郎なだけでなく猟奇趣味まで……!?」
「いや、そんなわけないから」
口に出すのも憚れる特殊性癖でも想像したのか、頬を引き攣らせ仰け反る。
とんだ冤罪を掛けられた黒の剣士へ内心同情しつつ、キッパリと誤解を解く。
ちひろとホシノのやり取りで、戦場跡には不釣り合いに空気が緩み出す。
が、一人考え込んでいたトランクスがハッと目を見開いた。
とんだ冤罪を掛けられた黒の剣士へ内心同情しつつ、キッパリと誤解を解く。
ちひろとホシノのやり取りで、戦場跡には不釣り合いに空気が緩み出す。
が、一人考え込んでいたトランクスがハッと目を見開いた。
「そうか……確か奴は放送でバグスターとかって姿になった。つまり――」
「殺し合いを強要させるいやーな頭でっかちは、同時にマスター達を救う鍵にもなるってことだね」
「殺し合いを強要させるいやーな頭でっかちは、同時にマスター達を救う鍵にもなるってことだね」
言葉を引き継いだアストルフォへ、ウインクで正解と伝える。
SAOで君臨したラスボスと違い、殺し合いでのヒースクリフは自らをバグスターに変えた。
ゲームマスターとしての権能を完備し、並々ならぬ力で以てプレイヤーに立ちはだかる強さや。
独断専行の果てに運営の座を降ろされた顛末へ、意識が向かいがちだが。
バグスターウイルスの除去という観点で見れば、これ以上ない情報の宝物庫に他ならない。
SAOで君臨したラスボスと違い、殺し合いでのヒースクリフは自らをバグスターに変えた。
ゲームマスターとしての権能を完備し、並々ならぬ力で以てプレイヤーに立ちはだかる強さや。
独断専行の果てに運営の座を降ろされた顛末へ、意識が向かいがちだが。
バグスターウイルスの除去という観点で見れば、これ以上ない情報の宝物庫に他ならない。
「ふむふむ、確かに理に適っています。降格処分(クビ)になったとはいえ、元々運営側。彼の体そのものに大きな価値があるでしょう。怪獣医(ドクター・モンスター)ならではの着眼点、といった所ですかね」
「褒め言葉として受け取るわ、小悪魔少女(スパイス・ガール)」
「シロコちゃんやキリト達が勝って、そうしたんなら良いけど……肝心の皆は――」
「褒め言葉として受け取るわ、小悪魔少女(スパイス・ガール)」
「シロコちゃんやキリト達が勝って、そうしたんなら良いけど……肝心の皆は――」
孔富の言いたい事は分かったが、戦闘の結果は未だ不明のまま。
至極当然の疑問をホシノが口にしかけるも、遮るように鳴り響く電子音。
ホットラインの通知に、正規プレイヤー達は何事かと取り出す。
運営による定時通達はまだ先の筈、となるとこれは参加者が発信したものか。
至極当然の疑問をホシノが口にしかけるも、遮るように鳴り響く電子音。
ホットラインの通知に、正規プレイヤー達は何事かと取り出す。
運営による定時通達はまだ先の筈、となるとこれは参加者が発信したものか。
「もしかして流ちゃん達が?」
鉄華兵団と協力体制を結ぶ為、ひみつ道具博物館へ向かった仲間達が。
ゼロと無事に話が纏まり、二回目となる放送を行ったのか。
順調に事が運んだらしい面々の顔を思い浮かべ、早速アプリを起動。
ホットラインを持たない三人も、それぞれ横から覗き込む。
ゼロと無事に話が纏まり、二回目となる放送を行ったのか。
順調に事が運んだらしい面々の顔を思い浮かべ、早速アプリを起動。
ホットラインを持たない三人も、それぞれ横から覗き込む。
残念ながら、流れた映像は彼らの予想を悪い意味で裏切る類だが。
「…………………………は?」
たっぷり十数秒の沈黙を挟み、ようやっと一文字を絞り出す。
キラ・ヤマトなる青年の挨拶に始まり、色んな意味で殺し合いの中心と化した皇帝の登場。
乱入やら謝罪やらを経て、よく分からないが凄い感じになって映像は終了。
脳の処理が追い付かないちひろは、間の抜けた表情で真っ黒に戻った画面を凝視。
軽音部の新入生歓迎の演奏を見た時のような、共感性羞恥とは違うけど。
わなわなと震え、どうにかこうにか頭を落ち着かせようと試みる。
映像に出てる奴ら、どいつもこいつも顔が良いなだの。
矢賀ちゃんなら的確にビシっと言うのかなだの、現実逃避染みた雑念を追い出す。
キラ・ヤマトなる青年の挨拶に始まり、色んな意味で殺し合いの中心と化した皇帝の登場。
乱入やら謝罪やらを経て、よく分からないが凄い感じになって映像は終了。
脳の処理が追い付かないちひろは、間の抜けた表情で真っ黒に戻った画面を凝視。
軽音部の新入生歓迎の演奏を見た時のような、共感性羞恥とは違うけど。
わなわなと震え、どうにかこうにか頭を落ち着かせようと試みる。
映像に出てる奴ら、どいつもこいつも顔が良いなだの。
矢賀ちゃんなら的確にビシっと言うのかなだの、現実逃避染みた雑念を追い出す。
(これ……ヤバくない……?)
ちひろは特別頭の回転が速い訳ではない。
刑事ドラマやどこぞの少年探偵が主役の漫画みたいに、優れた観察力と洞察力だって皆無。
同じ争いと無縁の参加者でも、横山千佳と小宮果穂のような芸能界に身を置くのとも別。
至って普通の、ありふれた日常の中で精一杯に藻掻く少女だ。
そんなちひろでさえ、今しがた行われた放送は爆弾だと理解出来てしまう。
刑事ドラマやどこぞの少年探偵が主役の漫画みたいに、優れた観察力と洞察力だって皆無。
同じ争いと無縁の参加者でも、横山千佳と小宮果穂のような芸能界に身を置くのとも別。
至って普通の、ありふれた日常の中で精一杯に藻掻く少女だ。
そんなちひろでさえ、今しがた行われた放送は爆弾だと理解出来てしまう。
「ケッ!ブレイブの欠片もねェクソガキが“戦隊”名乗るだぁ?腹立たしいを通り越して忌々しいぜ!!」
表情が変わらぬ鎧だというのに、近寄る事すら憚れる憤怒で顔部分が歪みつつある。
怒りに身を任せ、そこら一帯に電撃でも撒き散らすんじゃあないか。
ほんの僅かでも目を離せば暴れ回るのではと、今のドゴルドを見てそう思わずにいられない。
怒りに身を任せ、そこら一帯に電撃でも撒き散らすんじゃあないか。
ほんの僅かでも目を離せば暴れ回るのではと、今のドゴルドを見てそう思わずにいられない。
「へぇー……間接的に学郎が死ぬ原因作って、散々皆を振り回して。何より、セリカちゃんまで巻き込んでこれかぁ。こいつの舌が何枚あるのか、おじさん引き千切って確かめたくなっちゃったよ」
激怒戦騎とは反対に、ホシノの反応は静かなもの。
だが間違っても冷静さを保ち、軽口を叩いたんじゃあない。
打倒運営を共通目的にする相手に向けるとは思えない、軽蔑と嫌悪が綯い交ぜになった瞳が画面を見下ろす。
だが間違っても冷静さを保ち、軽口を叩いたんじゃあない。
打倒運営を共通目的にする相手に向けるとは思えない、軽蔑と嫌悪が綯い交ぜになった瞳が画面を見下ろす。
「…………」
トランクスに至っては、最早言葉を発する気にすらなれないらしい。
一言でも口にすればその瞬間、抑え付けた憎悪に全てを委ねかねない。
握り締めたホットラインを破壊しないだけでも、奇跡と呼ぶ他なかった。
一言でも口にすればその瞬間、抑え付けた憎悪に全てを委ねかねない。
握り締めたホットラインを破壊しないだけでも、奇跡と呼ぶ他なかった。
「あ、孔富さん。これって……」
「……皇帝の坊やも、とんでもない真似してくれるわね。あの三人、特にトランクスとホシノにとっちゃ挑発(ファックサイン)どころの話じゃないわよ」
「……皇帝の坊やも、とんでもない真似してくれるわね。あの三人、特にトランクスとホシノにとっちゃ挑発(ファックサイン)どころの話じゃないわよ」
露骨に目を泳がせるちひろへ、孔富も神妙さを露わに頷く。
発信されたばかりの放送、ルルーシュを含む複数人の参加者による同盟の締結。
即ち、王様戦隊結成を会場全域へ堂々と知らしめた。
やり方はともかく、行動力と叩き出して来た成果は参加者随一と言っても過言ではないルルーシュ。
一番初めに羂索へ反抗の意を示した、脱出派のプレイヤーの代表格である一ノ瀬宝太郎。
前者の謝罪を後者が受け入れ、ここからは同じ志の下で戦う。
善性なプレイヤーには、希望を植え付けるだろう光景。
発信されたばかりの放送、ルルーシュを含む複数人の参加者による同盟の締結。
即ち、王様戦隊結成を会場全域へ堂々と知らしめた。
やり方はともかく、行動力と叩き出して来た成果は参加者随一と言っても過言ではないルルーシュ。
一番初めに羂索へ反抗の意を示した、脱出派のプレイヤーの代表格である一ノ瀬宝太郎。
前者の謝罪を後者が受け入れ、ここからは同じ志の下で戦う。
善性なプレイヤーには、希望を植え付けるだろう光景。
但し、トランクス達の話を聞いた面々は別の見方を行う。
「彼、松阪さとうや成見亜里紗の件には一言も触れませんでしたね。あえてあの場で蒸し返す話ではない、と思ったのかもしれないですけど」
「ええ、そこは何も言わなかったわね」
「ええ、そこは何も言わなかったわね」
だからこそマズいのだと、憂い籠めてため息を零す。
亜里紗に関してはあくまでも綾小路清隆の独断であり、ルルーシュからしても寝耳に水だった。
という可能性を、微塵も考えないとは言わない。
しかし、さとうを大道克己諸共始末した件は言い逃れ出来ない。
都合が悪いと自覚しており、故に一切触れずに事を進めたのか。
或いはルルーシュからすれば、さとうの件は糾弾される謂われは一切ないと言い切る程なのか。
理由が何であれ、さとうの死に触れる事無く謝罪と償いの意志を済ませた以上。
松坂さとうの殺害は、自身が頭を下げるに足る理由に非ずと断言したとも捉えられる。
という可能性を、微塵も考えないとは言わない。
しかし、さとうを大道克己諸共始末した件は言い逃れ出来ない。
都合が悪いと自覚しており、故に一切触れずに事を進めたのか。
或いはルルーシュからすれば、さとうの件は糾弾される謂われは一切ないと言い切る程なのか。
理由が何であれ、さとうの死に触れる事無く謝罪と償いの意志を済ませた以上。
松坂さとうの殺害は、自身が頭を下げるに足る理由に非ずと断言したとも捉えられる。
「ガッチャードくん、じゃなくて宝太郎だっけ。僕も顔は初めて見たけど、立ち向かう勇気を知ってる子なんだろ?」
「そうね、ルルーシュとは別の意味で有名(ビッグネーム)よ」
「そうね、ルルーシュとは別の意味で有名(ビッグネーム)よ」
なれば、余計にルルーシュへ警戒や敵意を持つ者には頭の痛い展開だ。
『仮面ライダーガッチャードが協力を決めたんだから、大丈夫なんじゃないか?』と。
今回の放送で、実情を知らぬ者がそう考えても何ら不思議はない。
いや、宝太郎だけではないだろう。
キラ・ヤマトが、黒見セリカが、華鳥蘭子が、柳瀬舞衣が。
滅びたキヴォトスの残滓にして生き証人、桐藤ナギサが協力するのであればと。
少年少女達と信頼を結んでいるプレイヤー達は、王様戦隊との友好的な関係を望む。
『仮面ライダーガッチャードが協力を決めたんだから、大丈夫なんじゃないか?』と。
今回の放送で、実情を知らぬ者がそう考えても何ら不思議はない。
いや、宝太郎だけではないだろう。
キラ・ヤマトが、黒見セリカが、華鳥蘭子が、柳瀬舞衣が。
滅びたキヴォトスの残滓にして生き証人、桐藤ナギサが協力するのであればと。
少年少女達と信頼を結んでいるプレイヤー達は、王様戦隊との友好的な関係を望む。
「差し当たっては、皆さんを宥めるのが先決では?このままだと、ルルーシュの所に襲撃(カチコミ)仕掛けますよ?」
「シ、シノアちゃん?そんな言葉どこで覚えたの……?」
「女の子は秘密が多い程、魅力的ですから」
「シ、シノアちゃん?そんな言葉どこで覚えたの……?」
「女の子は秘密が多い程、魅力的ですから」
人差し指を唇に添え、蠱惑的に微笑み返す。
齢一桁にしか見えない幼女には、不釣り合いな妖艶さに。
驚くより先にドン引くあたり、ちひろの感性が如何に常識寄りかが分かる。
齢一桁にしか見えない幼女には、不釣り合いな妖艶さに。
驚くより先にドン引くあたり、ちひろの感性が如何に常識寄りかが分かる。
ともあれ、シノアの言う通りだろう。
見るからに不快感を燻らせるドゴルドは勿論、大事な後輩までもがルルーシュに利用されてると知ったホシノ。
今回の一件で火に油を注がれたトランクス、三名共にいつ爆発してもおかしくない。
それでも憎悪を撒き散らし飛び出さないのは、キリト達が行方知れずな事実で辛うじて己を制しているからか。
見るからに不快感を燻らせるドゴルドは勿論、大事な後輩までもがルルーシュに利用されてると知ったホシノ。
今回の一件で火に油を注がれたトランクス、三名共にいつ爆発してもおかしくない。
それでも憎悪を撒き散らし飛び出さないのは、キリト達が行方知れずな事実で辛うじて己を制しているからか。
「おいおい、一つ対応間違えれば即効こっちの首が落ちるなこりゃ……」
「待ってパラドさん。あれは……小鳥遊さんだ!」
「待ってパラドさん。あれは……小鳥遊さんだ!」
どうしたものかと悩むちひろへ、助け船は齎された。
幻夢本社の正面玄関を潜り、現れるは二人の男。
長身の青年は怒れるトランクス達の姿に、迂闊に近付けないようだが。
もう一人、縮れ毛が特徴の少年は驚き駆け寄る。
彼らの、正確に言うと少年の登場にホシノも目を見開く。
幻夢本社の正面玄関を潜り、現れるは二人の男。
長身の青年は怒れるトランクス達の姿に、迂闊に近付けないようだが。
もう一人、縮れ毛が特徴の少年は驚き駆け寄る。
彼らの、正確に言うと少年の登場にホシノも目を見開く。
「デクくん!?こっちに来てたの!?発電所で襲われて、それからどうなったか全然知らなくて……」
「うん、話せば長いんだけど……でも、小鳥遊さんが無事で良かったよ」
「うん、話せば長いんだけど……でも、小鳥遊さんが無事で良かったよ」
安堵の笑みを浮かべる少年、デクの和らいだ雰囲気を間近で感じ。
ホシノもむず痒さと気まずさで、目を泳がせ頬を掻く。
お互い、再会までに仲間を幾人も喪った。
顔を合わせる二度目の機会を保障されない場で、無事を確かめ合い嬉しくない訳がない。
とはいえ、喜びも長続きは出来ないのが悲しい現実だ。
ホシノもむず痒さと気まずさで、目を泳がせ頬を掻く。
お互い、再会までに仲間を幾人も喪った。
顔を合わせる二度目の機会を保障されない場で、無事を確かめ合い嬉しくない訳がない。
とはいえ、喜びも長続きは出来ないのが悲しい現実だ。
「私もデクくんが無事で嬉しいけどさ、今は色々とゴタついてて……あ、待って。デクくんがここにいるなら、シロコちゃんやキリトも中にいるの?」
「……っ」
「……っ」
ルルーシュへの激しい負の念は健在なれど、デクとの再会もあって思考を他に回す余裕も幾分取り戻せた。
最も気掛かりな点、自分達がここに来た本来の理由。
ヒースクリフ討伐はどうなったのか、ゲームマスターと戦った者達は何処へいるのか。
デクと共に中で待機してるのかと、一抹の期待を籠めて問いを投げる。
だが予想と違い即答はせず、顔を強張らせる少年にホシノの背を不快な汗が滴り落ちた。
最も気掛かりな点、自分達がここに来た本来の理由。
ヒースクリフ討伐はどうなったのか、ゲームマスターと戦った者達は何処へいるのか。
デクと共に中で待機してるのかと、一抹の期待を籠めて問いを投げる。
だが予想と違い即答はせず、顔を強張らせる少年にホシノの背を不快な汗が滴り落ちた。
「なに、その反応……まさか……!」
「落ち着け。シロコって女なら生きてる。今は一緒じゃないけどな」
「落ち着け。シロコって女なら生きてる。今は一緒じゃないけどな」
血相を変え、掴みかかろうとするも傍らの青年が阻止。
デクとの様子を見るに、取り敢えずは話が通じる手合いと理解。
ホシノだけでなく、気付けば他の面々の視線もがパラドへ集まる。
奇抜にも程がある外見の奴や、レジスターを付けていない者。
ゲームのキャラクター染みてクセの強い面々だが、こちらの話に耳を傾けるならそれで良し。
デクとの様子を見るに、取り敢えずは話が通じる手合いと理解。
ホシノだけでなく、気付けば他の面々の視線もがパラドへ集まる。
奇抜にも程がある外見の奴や、レジスターを付けていない者。
ゲームのキャラクター染みてクセの強い面々だが、こちらの話に耳を傾けるならそれで良し。
「お前らも羂索達をぶっ潰して、このクソゲーを攻略する気なら中に入れよ。お互い、知ってる事は全部話しとこうぜ?」
○
何をするにしても、先ずは現状を正しく把握せねば自ら泥に嵌りに行くようなもの。
情報開示の場を設けられたとあっては、にべなく断る理由も無し。
パラドの案内で社内の休憩室へ、戸を開けるとそこには年齢もタイプもバラバラな4人の少女。
顔の良さは共通しており、己とはルックスに天と地程も差がある。
などと、自分で考え勝手に悲しくなるちひろを置き去りに話は進む。
情報開示の場を設けられたとあっては、にべなく断る理由も無し。
パラドの案内で社内の休憩室へ、戸を開けるとそこには年齢もタイプもバラバラな4人の少女。
顔の良さは共通しており、己とはルックスに天と地程も差がある。
などと、自分で考え勝手に悲しくなるちひろを置き去りに話は進む。
仲間が見知らぬ面々を引き連れ戻り、しかもその内一人は怪人と見紛う異様な風体。
ギョッとするのも無理はなく、一番幼いまふゆも怯えを露わにユフィリアの背へ隠れようとする。
が、『他人を見た目で判断してはいけません』との言葉を思い出したのか。
おずおず前に出て、緊張しつつもしっかり目を合わせる。
ギョッとするのも無理はなく、一番幼いまふゆも怯えを露わにユフィリアの背へ隠れようとする。
が、『他人を見た目で判断してはいけません』との言葉を思い出したのか。
おずおず前に出て、緊張しつつもしっかり目を合わせる。
「あ、朝比奈まふゆ、です。かくれちゃって、ごめんなさい……」
「ウフフ、無問題(ノープロ)だから気にしなくて良いのよ?」
「ウフフ、無問題(ノープロ)だから気にしなくて良いのよ?」
舌足らずに名を告げペコリと頭を下げる様は、小動物のように庇護欲を誘う。
本人が意図しないまま空気が解れるも、直後にヒリ付き出す。
室内へ大股で足を踏み入れた、獅子を模した鎧。
忘れもしない、富良洲高校で受けた傷が完治して尚疼く。
今度こそ凍り付くまふゆを背に庇い、ユフィリアが剣の柄に手を掛けた。
本人が意図しないまま空気が解れるも、直後にヒリ付き出す。
室内へ大股で足を踏み入れた、獅子を模した鎧。
忘れもしない、富良洲高校で受けた傷が完治して尚疼く。
今度こそ凍り付くまふゆを背に庇い、ユフィリアが剣の柄に手を掛けた。
「ドゴルド……何故あなたがここにいるのですか!?」
「あ?何だ、テメェらもいたのかよ」
「あ?何だ、テメェらもいたのかよ」
面倒さを隠す気もなく見やり、交戦経験のある二人と気付く。
華奢な小娘ながら、鍛え抜いた戦闘技能はドゴルドをして感心せざるを得ない程だ。
乱入者共のせいで決着が有耶無耶となり、フラストレーションが溜まる結果となったが。
まだ24時間も経っていないとうのに、妙に懐かしい気さえする。
華奢な小娘ながら、鍛え抜いた戦闘技能はドゴルドをして感心せざるを得ない程だ。
乱入者共のせいで決着が有耶無耶となり、フラストレーションが溜まる結果となったが。
まだ24時間も経っていないとうのに、妙に懐かしい気さえする。
勇気を出して訂正を求めるも、返答は実に辛辣だ。
縮こまるまふゆの足元では、不遜な激怒戦騎へミニティラが猛抗議。
相も変わらず人間の幼女に使われっ放しの獣電竜へ、仮面の瞳が呆れをぶつける。
縮こまるまふゆの足元では、不遜な激怒戦騎へミニティラが猛抗議。
相も変わらず人間の幼女に使われっ放しの獣電竜へ、仮面の瞳が呆れをぶつける。
「ちょっと?子供いじめて喜ぶ陰険野郎なんざ、お呼びじゃないっつーの」
「す、すみません!ドゴルド!彼らはまだ敵と決まった訳じゃないんだぞ!?」
「ケッ」
「す、すみません!ドゴルド!彼らはまだ敵と決まった訳じゃないんだぞ!?」
「ケッ」
不遜を咎められ、面白くないとばかりにそっぽを向く。
「アンタの方がガキでしょ」と、ホシノが白い目をぶつけるも無視。
協力者に代わり頭を下げ、ややあってトランクスも言葉を紡ぐ。
「アンタの方がガキでしょ」と、ホシノが白い目をぶつけるも無視。
協力者に代わり頭を下げ、ややあってトランクスも言葉を紡ぐ。
「突然のことで済みません。ただ俺達に殺し合いに乗る意思はないし、こっちのドゴルドも今は俺達と協力関係にあるんです」
「亡失鎮魂の奴から聞いてねェのか?アイツ、説明省きやがったんじゃねぇだろうな……」
「五道化の一人も一応味方側ってのは、もう聞いてる。ただ、俺達も色々取り込んでたんだよ」
「亡失鎮魂の奴から聞いてねェのか?アイツ、説明省きやがったんじゃねぇだろうな……」
「五道化の一人も一応味方側ってのは、もう聞いてる。ただ、俺達も色々取り込んでたんだよ」
ヒースクリフとの戦闘で全員が疲労困憊、今の今まで体力回復に時間を充てていた。
旧幻夢本社近くに参加者が近付いてると察知し、対応に当たるべくパラドとデクが社内を駆け。
その矢先、ホットラインに王様戦隊結成の映像が流れたのである。
シロコから事情は聞いてあったが、諸々が重なり話すタイミングもやって来ない。
ユフィリア達が目を覚まし、ドゴルド自らここへ足を運んだのは情報を纏めて共有する良い機会だろう。
旧幻夢本社近くに参加者が近付いてると察知し、対応に当たるべくパラドとデクが社内を駆け。
その矢先、ホットラインに王様戦隊結成の映像が流れたのである。
シロコから事情は聞いてあったが、諸々が重なり話すタイミングもやって来ない。
ユフィリア達が目を覚まし、ドゴルド自らここへ足を運んだのは情報を纏めて共有する良い機会だろう。
殺し合いが始まり出会った参加者、潜り抜けて来た死線、味わい続けた喪失。
各々が冗長になり過ぎず、尚且つ説明不足にならないよう話を進める。
時折、補足を入れる形で横合いからの説明を挟み。
互いに欠けていた情報の穴を埋めていった。
各々が冗長になり過ぎず、尚且つ説明不足にならないよう話を進める。
時折、補足を入れる形で横合いからの説明を挟み。
互いに欠けていた情報の穴を埋めていった。
「本当に、それ程の力と軍勢を揃えているのですか……?」
「信じたくないって気持ちは分かるけど、全部事実だよ。……空蝉丸を殺したあの四本角でさえ、替えの利く人形に過ぎないんだからさ」
「信じたくないって気持ちは分かるけど、全部事実だよ。……空蝉丸を殺したあの四本角でさえ、替えの利く人形に過ぎないんだからさ」
動揺を出さぬよう努めるも、声の震えは誤魔化せない。
戦慄に心が悲鳴を上げ、己が恐怖を感じているとハッキリ分かるのも。
アニスフィアと共に離宮で暮らし、情緒を育んだが故なのか。
半ば逃避に似た雑念が走るくらいには、衝撃的な内容であり。
神殺しの脅威を我が身で味わった、ホシノの鬼気迫る様子も拍車を掛けていた。
戦慄に心が悲鳴を上げ、己が恐怖を感じているとハッキリ分かるのも。
アニスフィアと共に離宮で暮らし、情緒を育んだが故なのか。
半ば逃避に似た雑念が走るくらいには、衝撃的な内容であり。
神殺しの脅威を我が身で味わった、ホシノの鬼気迫る様子も拍車を掛けていた。
「実際に襲われたわけだし、ヤバいってのは分かってたんだけどねぇ……」
「そこまでの強さなんだ……」
「そこまでの強さなんだ……」
拠点だったテレビ局跡地に襲撃を受け、命辛々逃走には成功したものの。
ルルーシュが常に頭を回し臨機応変に動き、更に陽介達の献身もあって最小限の被害に留められた。
ほんの僅かでも躓きが起きていれば、キャルも沙耶香も瓦礫の真下で息絶えた最期は想像に難くない。
起こり得たIFの末路へ、ブルリと全身が震える。
ルルーシュが常に頭を回し臨機応変に動き、更に陽介達の献身もあって最小限の被害に留められた。
ほんの僅かでも躓きが起きていれば、キャルも沙耶香も瓦礫の真下で息絶えた最期は想像に難くない。
起こり得たIFの末路へ、ブルリと全身が震える。
「ふざけんじゃねぇぞクソッタレのエンタメ野郎が!とことん舐め腐りやがって!腹立たしい!」
最凶の二文字を欲しいがままにするメラへ、誰もが絶望的な現実を痛感する中。
激情を露わに叫ぶのはドゴルドだ、怒りの余り軽く放電を起こしている。
誰ぞ彼ぞが神殺しの手に掛かったと知り、憤ってるんじゃあなく。
苦労の末撃破した神将エグゼイドまで、テレビ局を襲った事実が腹立たしくて仕方ない。
メラ自身の持つ力や、グランドジオウの能力を考えれば不可能とは言えないが。
こうもあっさり自身の戦いを覆され、軽く受け流せるものか。
激情を露わに叫ぶのはドゴルドだ、怒りの余り軽く放電を起こしている。
誰ぞ彼ぞが神殺しの手に掛かったと知り、憤ってるんじゃあなく。
苦労の末撃破した神将エグゼイドまで、テレビ局を襲った事実が腹立たしくて仕方ない。
メラ自身の持つ力や、グランドジオウの能力を考えれば不可能とは言えないが。
こうもあっさり自身の戦いを覆され、軽く受け流せるものか。
「落ち着けよ。正直聞いてるだけでうんざりするクソゲーだけど、攻略不可能って決まった訳じゃない。現にお前も、その金ぴかエグゼイドを一度は倒せたんだろ?」
「チッ!簡単に言いやがる!」
「チッ!簡単に言いやがる!」
パラドにしてみれば、エグゼイドにそのような形態があったこと自体初耳だ。
自分が実際に戦った訳でなくとも、いっそ笑ってしまう程に馬鹿げた強さとは分かる。
そのようなガシャット、作り出せるのは檀黎斗しかおるまい。
己を神と自称し憚らない男の才能は、本人が不在の場でも厄ネタと化す。
自分が実際に戦った訳でなくとも、いっそ笑ってしまう程に馬鹿げた強さとは分かる。
そのようなガシャット、作り出せるのは檀黎斗しかおるまい。
己を神と自称し憚らない男の才能は、本人が不在の場でも厄ネタと化す。
(そんな馬鹿同然に性能を盛ったエグゼイドを、支配下に置いてるか……)
ゲーム開始当初に予想した戦力バランスが、馬鹿らしく思えるレベルで殺し合いの環境は地獄だ。
恐れる気持ちが全くないと言ったら、嘘になる。
宇蟲王の絶望的な強さを知った時と同じく、怯えて耳を塞ぎ続ければ楽なのだろうけど。
嘗ての自分に戻れない事は、パラド自身が良く分かっている。
恐れる気持ちが全くないと言ったら、嘘になる。
宇蟲王の絶望的な強さを知った時と同じく、怯えて耳を塞ぎ続ければ楽なのだろうけど。
嘗ての自分に戻れない事は、パラド自身が良く分かっている。
邪悪の王、魔法に愛された公爵令嬢、小さな体に大きな勇気(ブレイブ)を宿す少女。
恐れを知らないのではなく、恐れを知るからこそ戦う意味を彼らに教えられた。
利害関係でゲームクリアを目指すに非ず、本当の意味での協力プレイを共に為すと決めた以上。
最高難易度(ベリーハード)の神殺しだろうと、攻略を投げ出す気はない。
恐れを知らないのではなく、恐れを知るからこそ戦う意味を彼らに教えられた。
利害関係でゲームクリアを目指すに非ず、本当の意味での協力プレイを共に為すと決めた以上。
最高難易度(ベリーハード)の神殺しだろうと、攻略を投げ出す気はない。
「まぁ、ヒースクリフの野郎がくたばったってのは朗報だがよ」
「だからって、素直に喜べないよ……」
「だからって、素直に喜べないよ……」
齎されたのは悪い話ばかりでなく、ドゴルド達の懸念事項も一つ減った。
SAOの生みの親にして、優先的な討伐対象の一人。
剣の世界が終焉(ゲームクリア)を迎えた日以来、浮遊城(ろうごく)に自ら囚われた男。
ヒースクリフは撃破され、殺し合いの舞台から永遠に降りた。
ザフトの元エースパイロット、雷刃を振るいし忍者、そして黒の剣士。
三人の犠牲を経ての、苦い勝利だが。
SAOの生みの親にして、優先的な討伐対象の一人。
剣の世界が終焉(ゲームクリア)を迎えた日以来、浮遊城(ろうごく)に自ら囚われた男。
ヒースクリフは撃破され、殺し合いの舞台から永遠に降りた。
ザフトの元エースパイロット、雷刃を振るいし忍者、そして黒の剣士。
三人の犠牲を経ての、苦い勝利だが。
怒りと焦燥に駆られ掴み掛かり、あの時は薫に窘められたけど。
結局謝罪も出来ぬまま、ホシノは彼と永劫の別れになった。
ちゃんと謝りたかったなと、寂し気に小さく独り言ちる。
涙こそ流れないが、見えぬ部分が剥がれ落ちる痛みは慣れそうもない。
結局謝罪も出来ぬまま、ホシノは彼と永劫の別れになった。
ちゃんと謝りたかったなと、寂し気に小さく独り言ちる。
涙こそ流れないが、見えぬ部分が剥がれ落ちる痛みは慣れそうもない。
「そう……そうなのね……」
二度と届かない、遠い場所へ旅立った宿敵(にんじゃ)を孔富は想う。
決して相容れぬ敵だった。
忍者にとって、極道は悪事(わるさ)を働き民衆(カタギ)の命を踏み躙る悪党(ひとでなし)だから。
極道にとって、忍者は自分達(よわきもの)を甚振り絶望を齎す悪党(ロクデナシ)だから。
生存(いき)るか死滅(くたば)るか、片方のみしか選べない。
決して相容れぬ敵だった。
忍者にとって、極道は悪事(わるさ)を働き民衆(カタギ)の命を踏み躙る悪党(ひとでなし)だから。
極道にとって、忍者は自分達(よわきもの)を甚振り絶望を齎す悪党(ロクデナシ)だから。
生存(いき)るか死滅(くたば)るか、片方のみしか選べない。
しかし孔富は知っている、孔富だけは知っている。
生前、最後に対峙した兄弟が起こして見せた奇跡(オペ)を。
麻薬(ヤク)だ何だのに縋った救済(すく)いじゃない、もっと純粋で飾る必要のない。
眼前で尽き果てんとする命を、たった一人の家族を救済(すく)わんとした神業。
兄(さこ)が弟(うりゅう)を救済(すく)った瞬間を、己が両目に焼き付けた。
生前、最後に対峙した兄弟が起こして見せた奇跡(オペ)を。
麻薬(ヤク)だ何だのに縋った救済(すく)いじゃない、もっと純粋で飾る必要のない。
眼前で尽き果てんとする命を、たった一人の家族を救済(すく)わんとした神業。
兄(さこ)が弟(うりゅう)を救済(すく)った瞬間を、己が両目に焼き付けた。
「ちょ、ちょっと待ってよ、キリトが死んだって……」
親しき者を喪ったが為とは異なる理由で、ちひろも顔を青褪めさせる。
ちひろ個人としては例のアルバムの件もあり、キリトへ良い印象は抱けないが。
かといって死んで欲しいと望む程、歪んだ性根になった覚えもない。
なれど現実問題、キリトはヒースクリフとの死闘でゲームオーバー。
厳密に言うとトドメを刺したのは覇王十代だが、今重要なのはそこじゃあない。
ちひろ個人としては例のアルバムの件もあり、キリトへ良い印象は抱けないが。
かといって死んで欲しいと望む程、歪んだ性根になった覚えもない。
なれど現実問題、キリトはヒースクリフとの死闘でゲームオーバー。
厳密に言うとトドメを刺したのは覇王十代だが、今重要なのはそこじゃあない。
(サっちゃんがこのことを知ったら……)
ただでさえメラに囚われ、精神的に相当な負担を強いられてるだろうに。
その上、知らぬ内に想い人が死んだと知ったら。
ショックを受けるどころの話ではなく、正気を保てるかすら定かではない。
NPCモンスターに陵辱され、純潔を失った時の比じゃない苦痛にサチが苛まれる。
遠くない未来に起こる光景を想像し、ちひろも嫌な汗が止まらない。
その上、知らぬ内に想い人が死んだと知ったら。
ショックを受けるどころの話ではなく、正気を保てるかすら定かではない。
NPCモンスターに陵辱され、純潔を失った時の比じゃない苦痛にサチが苛まれる。
遠くない未来に起こる光景を想像し、ちひろも嫌な汗が止まらない。
「小鳥遊さん、もう一つ話しておかなきゃいけないことがあるんだ」
「へっ?私に?いやに改まっちゃってるみたいだけど……」
「へっ?私に?いやに改まっちゃってるみたいだけど……」
姿勢を正し表情を引き締めるデクに、ホシノも困惑しつつ聞く体勢を取る。
名指しで自分に伝えたい内容とは、もしやアビドスに関係するものか。
だがユメを見付けたとかなら、先に言っても良いだろうに。
気安く伝えられる類でないのか、浮かんだ予想に顔が強張る。
名指しで自分に伝えたい内容とは、もしやアビドスに関係するものか。
だがユメを見付けたとかなら、先に言っても良いだろうに。
気安く伝えられる類でないのか、浮かんだ予想に顔が強張る。
「実は……今僕達の元には奥空アヤネさんがいる」
「……は?」
「……は?」
紡がれた言葉に、思考は暫し凍り付く。
対策委員会の書記で、大切な後輩の一人。
参加者名簿に名前は無く、忌々しい腐肉人形(デスマスク)は既に片付けた。
何故その名が出て来るのか、問い質すより先に横から答えが出る。
対策委員会の書記で、大切な後輩の一人。
参加者名簿に名前は無く、忌々しい腐肉人形(デスマスク)は既に片付けた。
何故その名が出て来るのか、問い質すより先に横から答えが出る。
『伝えてしまったんですね……』
「ごめん……黙っている事も考えたけど、でも……」
『いえ、良いんです。私の勝手であなた達を悩ませるのは本意じゃありませんから……』
「ごめん……黙っている事も考えたけど、でも……」
『いえ、良いんです。私の勝手であなた達を悩ませるのは本意じゃありませんから……』
聞き覚えのある声は、キャルの手元のデバイスが発生源。
ヒュッと喉を鳴らし、ほとんど引っ手繰るように奇妙な機械を手に取った。
傍らでキャルが抗議の声を上げるも、申し訳ないが今は後回し。
画面一枚隔てた先で、赤い縁の眼鏡を掛けた少女が見つめ返す。
ヒュッと喉を鳴らし、ほとんど引っ手繰るように奇妙な機械を手に取った。
傍らでキャルが抗議の声を上げるも、申し訳ないが今は後回し。
画面一枚隔てた先で、赤い縁の眼鏡を掛けた少女が見つめ返す。
「アヤネ、ちゃん……?」
『はい。お久しぶり、とこちらのホシノ先輩に言うのは変ですね。この場合は初めまして、でしょうか』
『はい。お久しぶり、とこちらのホシノ先輩に言うのは変ですね。この場合は初めまして、でしょうか』
自嘲を籠めた笑みを、薄っすらと浮かべるのは。
シロコ達の突拍子もない考えに振り回され、顔を赤くし怒る彼女とは。
自分一人で全てを終わらせようとした時、本気の怒りをぶつけた彼女とは。
似ても似つかぬ程に、脆く砕けかねない儚さだった。
シロコ達の突拍子もない考えに振り回され、顔を赤くし怒る彼女とは。
自分一人で全てを終わらせようとした時、本気の怒りをぶつけた彼女とは。
似ても似つかぬ程に、脆く砕けかねない儚さだった。
「…………もしかして、アヤネちゃんも私が知ってるキヴォトスとは別の……?」
混乱を無理やり飲み込み問いを投げれば、小さく頷かれた。
ノノミを助けるべく、単独で総会に乗り込んだ自分を追い掛け。
先生の保証の元、アビドス生徒会長になったアヤネではなく。
ラウ・ル・クルーゼの手で滅ぼされた、異なる次元のキヴォトス出身のアヤネ。
愕然とするホシノへ、おずおずとパラド達が補足を入れる。
二大ライダー討伐クエスト、その標的の片割れ。
本来であれば参加者を見つけ次第殺すだけの、自我無き傀儡に過ぎなかったが。
ヒースクリフ撃破の切札を入手するべく、覇王の手で仮面ライダーブレイドの力の大半を失い。
紆余曲折を経て、デク達に保護されるに至った。
ノノミを助けるべく、単独で総会に乗り込んだ自分を追い掛け。
先生の保証の元、アビドス生徒会長になったアヤネではなく。
ラウ・ル・クルーゼの手で滅ぼされた、異なる次元のキヴォトス出身のアヤネ。
愕然とするホシノへ、おずおずとパラド達が補足を入れる。
二大ライダー討伐クエスト、その標的の片割れ。
本来であれば参加者を見つけ次第殺すだけの、自我無き傀儡に過ぎなかったが。
ヒースクリフ撃破の切札を入手するべく、覇王の手で仮面ライダーブレイドの力の大半を失い。
紆余曲折を経て、デク達に保護されるに至った。
「そっか、そうなんだ……」
画面越しとはいえ後輩が見てる前だ、取り乱す真似には出ない。
尤も、内心が大災害もかくやの有様で荒れ狂ってるのは言うまでもない。
アビドス高校を踏み潰され、先輩が遺したものも大事な後輩たちも命を落とし。
挙句、ユメは呪術師が操る空の器に利用された。
シロコは五道化なんて存在に堕とされた。
セリカは贋作のアスラン・ザラの皮を、無理やりに被せられた。
そして今度はアヤネまでもが、運営の都合で生死すらも弄ばれた。
異なる世界のキヴォトスだろうと、彼女達を想う心に嘘はない。
故に、湧き上がる憎悪は到底言葉じゃ表せないだろう。
尤も、内心が大災害もかくやの有様で荒れ狂ってるのは言うまでもない。
アビドス高校を踏み潰され、先輩が遺したものも大事な後輩たちも命を落とし。
挙句、ユメは呪術師が操る空の器に利用された。
シロコは五道化なんて存在に堕とされた。
セリカは贋作のアスラン・ザラの皮を、無理やりに被せられた。
そして今度はアヤネまでもが、運営の都合で生死すらも弄ばれた。
異なる世界のキヴォトスだろうと、彼女達を想う心に嘘はない。
故に、湧き上がる憎悪は到底言葉じゃ表せないだろう。
ああ本当に、羂索達はどこまで自分を怒らせれば気が済むのだろうか。
奥歯が砕けんばかりに噛み締め、顎が痛むも知った事か。
こうでもして僅かでも気を逸らさねば、己を抑えられる自信がない。
奥歯が砕けんばかりに噛み締め、顎が痛むも知った事か。
こうでもして僅かでも気を逸らさねば、己を抑えられる自信がない。
「話は良く分かったわ。改めて、悠長(マイペース)に事を構えてられないってこともね」
ホシノが爆発寸前なのを察し、孔富が得られた情報を纏めに掛かる。
ヒースクリフは倒され、予想通り死体を使ってバグスターウイルスを取り除く方法も見付かった。
となれば次はパラドが持つワクチンガシャットを元に、他の仲間の分も確保。
及び、パラド自身が使用しても問題無いよう解析を行う。
ヒースクリフは倒され、予想通り死体を使ってバグスターウイルスを取り除く方法も見付かった。
となれば次はパラドが持つワクチンガシャットを元に、他の仲間の分も確保。
及び、パラド自身が使用しても問題無いよう解析を行う。
バグスターが関わる問題は、アヤネについてもだ。
偶発的に自我を取り戻したが、彼女は元々二大ライダー討伐クエストで用意されたNPC。
ヒースクリフの死亡に伴い領域も消滅、自我無き傀儡へ戻るまで一刻の猶予も無い。
偶発的に自我を取り戻したが、彼女は元々二大ライダー討伐クエストで用意されたNPC。
ヒースクリフの死亡に伴い領域も消滅、自我無き傀儡へ戻るまで一刻の猶予も無い。
加えて目下最大の脅威、メラへ対抗する為に協力可能なプレイヤーと合流せねばなるまい。
鉄華兵団との接触に向かった立香一行や、先んじてヒースクリフのラボへ足を運んだシロコ達。
何より、王様戦隊を結成した宝太郎達も心強い仲間となるだろう。
鉄華兵団との接触に向かった立香一行や、先んじてヒースクリフのラボへ足を運んだシロコ達。
何より、王様戦隊を結成した宝太郎達も心強い仲間となるだろう。
「ガッチャード達と協力するのは俺も賛成です。だけどアイツは、ルルーシュとは……!!」
生真面目な態度が一転、多大な怒りを滲ませ吐き捨てる。
室内の威圧感が数段階膨れ、敵意の類が無くとも身が引き締まった。
尋常ではない様子に、キャルと沙耶香も顔を見合わせる。
ルルーシュと宝太郎達の放送ならば、こちらも確認済だ。
派手な演出に呆れる一方で、舞衣達の無事に安堵していたのがついさっき。
ドゴルドという不安要素こそあれど、いざこざも無く情報交換が落ち着くと思ったら。
予期せぬ方へと話が転がり出したではないか。
周りを見ればホシノ達まで険しい顔に変わり、トランクスと同意見らしい。
一体全体あの皇帝は何をやったのか、猛烈に嫌な予感がしてならない。
室内の威圧感が数段階膨れ、敵意の類が無くとも身が引き締まった。
尋常ではない様子に、キャルと沙耶香も顔を見合わせる。
ルルーシュと宝太郎達の放送ならば、こちらも確認済だ。
派手な演出に呆れる一方で、舞衣達の無事に安堵していたのがついさっき。
ドゴルドという不安要素こそあれど、いざこざも無く情報交換が落ち着くと思ったら。
予期せぬ方へと話が転がり出したではないか。
周りを見ればホシノ達まで険しい顔に変わり、トランクスと同意見らしい。
一体全体あの皇帝は何をやったのか、猛烈に嫌な予感がしてならない。
数分後、自身の予感が的中しキャルは頭を抱える羽目になった。
トランクス一行が語った、ルルーシュを激しく憎み嫌悪するに至った理由。
松阪さとうと神戸しおを巡る背景、綾小路が亜里紗を殺した事実等々。
視線を他の面々に移すと、案の定困惑や警戒がチラホラ。
トランクス一行が語った、ルルーシュを激しく憎み嫌悪するに至った理由。
松阪さとうと神戸しおを巡る背景、綾小路が亜里紗を殺した事実等々。
視線を他の面々に移すと、案の定困惑や警戒がチラホラ。
「あの馬鹿……なにやってんのよ……」
理解者とまで言う気はないが、仮にもルルーシュと数時間を共にし分かったことがある。
あの男は喧嘩を売る言動こそ、策の一種で頻繁に行ったが。
相手が明確に殺し合いに乗っているか、そうでなくとも余程の敵対行為を行わない限り殺害には出なかった。
良心や善性云々というより、リスクとリターンを冷静に天秤に掛けた結果だろう。
そのルルーシュが、放送で堂々とさとう殺害を誇示したのはつまり。
ルルーシュから見たさとうという少女は、排除せねば今後間違いなく自陣営。
ひいては将来的に脱出派の参加者全体へ害を及ぼすと、確信を得るだけのナニカがあった筈。
あの男は喧嘩を売る言動こそ、策の一種で頻繁に行ったが。
相手が明確に殺し合いに乗っているか、そうでなくとも余程の敵対行為を行わない限り殺害には出なかった。
良心や善性云々というより、リスクとリターンを冷静に天秤に掛けた結果だろう。
そのルルーシュが、放送で堂々とさとう殺害を誇示したのはつまり。
ルルーシュから見たさとうという少女は、排除せねば今後間違いなく自陣営。
ひいては将来的に脱出派の参加者全体へ害を及ぼすと、確信を得るだけのナニカがあった筈。
(アンタがそういうことする奴だって分かる、分かるけど!全員がそれで納得できるかは別でしょうが!)
陣営を内部から蝕む毒性が、本当にさとうにあったとしても。
「じゃあ仕方ないな」で済ませるかどうかは、トランクス達がこれ以上ない答え。
アイツも捻くれてるけど、言う程悪い奴じゃないとかなんとか。
下手にフォローを口にしても、却って向こうを怒らせるだけに違いない。
頭痛を必死に抑えつつ、可能な限り刺激しないよう言葉を探す。
「じゃあ仕方ないな」で済ませるかどうかは、トランクス達がこれ以上ない答え。
アイツも捻くれてるけど、言う程悪い奴じゃないとかなんとか。
下手にフォローを口にしても、却って向こうを怒らせるだけに違いない。
頭痛を必死に抑えつつ、可能な限り刺激しないよう言葉を探す。
「アイツが馬鹿やったってのは、まあ分かったわよ。正直、絶対にやらないとも言えないし。でも、ルルーシュを殺すのだけは待ってもらえない……?贔屓目って言われればそうなんだけど、アイツのお陰で助かってるのも本当だから……」
キャルとて、さとうの一件でルルーシュに思う所が全くない訳ではない。
もしもルルーシュやロロに会わず、トランクス達と行動を共にしていたら。
嫌悪を籠めて痛罵を吐き捨てもしたろうが、所詮それはIFの話。
ロロに連れられ引き合わされた時から、信用し切れない青年ではあったけど。
酷く不器用な素顔を、悪逆皇帝の仮面で覆い隠してると知った。
ゲームオーバーを突き付けられそうになるも、その度に命を拾い上げて来た。
もしもルルーシュやロロに会わず、トランクス達と行動を共にしていたら。
嫌悪を籠めて痛罵を吐き捨てもしたろうが、所詮それはIFの話。
ロロに連れられ引き合わされた時から、信用し切れない青年ではあったけど。
酷く不器用な素顔を、悪逆皇帝の仮面で覆い隠してると知った。
ゲームオーバーを突き付けられそうになるも、その度に命を拾い上げて来た。
嫌悪しかない、見限るのに躊躇が無い男であったら。
きっと自分は放送の最中、乱入してまで激昂しなかった筈。
きっと自分は放送の最中、乱入してまで激昂しなかった筈。
「……うん。私も、ルルーシュにはあなた達とちゃんと話をして欲しい」
沙耶香もまた、ルルーシュの奮戦で命を拾った側の人間。
それに、ロロの死へあっさり切り替えた男でないとも知っている。
ほんの一瞬、都合の良い幻覚と鼻で笑われるかもしれないけど。
世界を手玉に取る皇帝の仮面が外れ、弟の喪失を嘆く兄の素顔が見えたのは。
気のせいなんかじゃないと、信じてるから。
彼は心を捨てた人間ではないと、信じたいから。
それに、ロロの死へあっさり切り替えた男でないとも知っている。
ほんの一瞬、都合の良い幻覚と鼻で笑われるかもしれないけど。
世界を手玉に取る皇帝の仮面が外れ、弟の喪失を嘆く兄の素顔が見えたのは。
気のせいなんかじゃないと、信じてるから。
彼は心を捨てた人間ではないと、信じたいから。
「……っ。二人がルルーシュと長い付き合いで、何を言われたのかまでは知らない。だが!しおちゃんの大事な人が奴に利用され、命まで奪われたことは……!」
「落ち着けよ。今の話を聞いて、ルルーシュを素直に信じる気は俺だってゼロだ。俺がバグスターだって知られたら、何されるか分かったもんじゃないしな」
「落ち着けよ。今の話を聞いて、ルルーシュを素直に信じる気は俺だってゼロだ。俺がバグスターだって知られたら、何されるか分かったもんじゃないしな」
けど、そう一拍置いて自身の答えを返す。
「俺はルルーシュも松阪さとうも、話の中でしか知らないんだ。アイツが本当に他のプレイヤーの背中を刺すって確信は、自分の目で見るまで持てねぇ」
ルルーシュを擁護する気はないが、即座に排除へ賛同するかは別。
他者の言葉でスタンスを定めるのではなく、直に会って判断を下したい。
パラド自身が、殺し合いでの“出会い”によって今の己がある身だ。
死の恐怖と命を踏み躙る罪悪感、その両方を抱え戦う本当の強さ。
邪悪の王達との出会いで気付けたからこそ、結論を逸らない。
他者の言葉でスタンスを定めるのではなく、直に会って判断を下したい。
パラド自身が、殺し合いでの“出会い”によって今の己がある身だ。
死の恐怖と命を踏み躙る罪悪感、その両方を抱え戦う本当の強さ。
邪悪の王達との出会いで気付けたからこそ、結論を逸らない。
「そうですね……私も、彼に直接会って見極めねばなりません」
「ギラおにいちゃんがいないのに、キングオージャーって言ってたから?」
「はい。その名が持つ意味を知り掲げたのか、そうではないのか。彼が真実を口にし、返答によっては……」
「ギラおにいちゃんがいないのに、キングオージャーって言ってたから?」
「はい。その名が持つ意味を知り掲げたのか、そうではないのか。彼が真実を口にし、返答によっては……」
王の証(オージャカリバー)を、このまま彼らの手に持たせてはおけないかもしれない。
国を背負う王の使命を、王様戦隊の名に宿る重みをルルーシュが理解せず。
都合の良い、広告塔程度にしか見ていなければ。
刃を交える未来も起こり得ると、携えた世紀王の魔剣を意識する。
国を背負う王の使命を、王様戦隊の名に宿る重みをルルーシュが理解せず。
都合の良い、広告塔程度にしか見ていなければ。
刃を交える未来も起こり得ると、携えた世紀王の魔剣を意識する。
ここにはいない皇帝へ、偽りを許さぬ瞳を向けるユフィリアを見上げながら。
まふゆも自分なりに考えてみる。
彼女が見たルルーシュは、現状どこまで行っても画面の向こうにいる人でしかない。
良い人なのか違うのか、あの皇帝はギラや本来の王様戦隊を如何なる存在と捉えてるのか。
放送でそれらしき話は一度も出なかった。
まふゆも自分なりに考えてみる。
彼女が見たルルーシュは、現状どこまで行っても画面の向こうにいる人でしかない。
良い人なのか違うのか、あの皇帝はギラや本来の王様戦隊を如何なる存在と捉えてるのか。
放送でそれらしき話は一度も出なかった。
キャルや沙耶香は、ルルーシュの味方でいたいように見える。
トランクス達は、ルルーシュへ強く怒っているのが分かる。
何度も助けられて、放って置けない奴だと知ったから。
許すことなど出来ない卑劣漢と確信を抱き、これ以上犠牲者を増やしたくないから。
どちらが間違ってるとかじゃなく、出会い方が異なる故に見ているものも違う。
トランクス達は、ルルーシュへ強く怒っているのが分かる。
何度も助けられて、放って置けない奴だと知ったから。
許すことなど出来ない卑劣漢と確信を抱き、これ以上犠牲者を増やしたくないから。
どちらが間違ってるとかじゃなく、出会い方が異なる故に見ているものも違う。
――『……そうしたらきっと、あなたは弱いままでよかった』
――『俺は戦う。覇王として。誰より強くあるために』
青の世界で駆け抜けた日々を蹂躙され、憎悪へ身を焦がした狼は。
斬撃の勇者や西の少女にとっては、仲間を手に掛けた五道化の一員だが。
貼り付けた鉄面皮の下の後悔と罪悪感を、まふゆは知った。
紡いだ絆を奪われ、迷走と怒りの果てに心の闇へ囚われた覇王は。
若き錬金術師にとっては、自身の力と譲れぬ信念(ガッチャ)を貶す宿敵だが。
自身が定めた王道を曲げない、ギラ・ハスティーとはまた異なる強き王であるとまふゆは知った。
斬撃の勇者や西の少女にとっては、仲間を手に掛けた五道化の一員だが。
貼り付けた鉄面皮の下の後悔と罪悪感を、まふゆは知った。
紡いだ絆を奪われ、迷走と怒りの果てに心の闇へ囚われた覇王は。
若き錬金術師にとっては、自身の力と譲れぬ信念(ガッチャ)を貶す宿敵だが。
自身が定めた王道を曲げない、ギラ・ハスティーとはまた異なる強き王であるとまふゆは知った。
(それに、一人ぼっちになって寒くないのかな……)
出会った大事な人達に、手を握ってもらった。
遊園地で母に手を握られた時は、恐いくらいに冷たくて。
でもユフィリア達の手は、凄く温かかった。
理由は未だに分かっていない、どっちも大好きな人なのに何故こうも違うのか。
けどルルーシュは、大勢から嫌われ憎まれるようなことをしたらしい。
たとえ冷たい手だろうと、握ってくれる人がいなくなり。
彼は、寂しく思わないのだろうか。
遊園地で母に手を握られた時は、恐いくらいに冷たくて。
でもユフィリア達の手は、凄く温かかった。
理由は未だに分かっていない、どっちも大好きな人なのに何故こうも違うのか。
けどルルーシュは、大勢から嫌われ憎まれるようなことをしたらしい。
たとえ冷たい手だろうと、握ってくれる人がいなくなり。
彼は、寂しく思わないのだろうか。
「ギラおにいちゃんのこと、いろんなこと……ちゃんとお話したいな」
パラドとユフィリアが言うように、直接会ってみたい。
自分の目で見て、耳で聞き、言いたい事を直にぶつけなければ。
知りたいことはハッキリしないままだと、そう思うから。
自分の目で見て、耳で聞き、言いたい事を直にぶつけなければ。
知りたいことはハッキリしないままだと、そう思うから。
「僕も……ルルーシュを信用してはいません。成見さんのこともあるし、事情がどうあれ松坂さんを騙して手に掛けたなら……許す気はない」
ルルーシュがさとうに何を見たのか、デクは知らない。
譲れない理由が、殺さねばならぬと決断に至った理由も知らない。
トランクス達の話を嘘と決めつけはしないし、一方でルルーシュは殺すべきと唱える気も皆無。
テレビ局跡地に長くは留まらず、キャル達のように近くで接する時間もなかった。
譲れない理由が、殺さねばならぬと決断に至った理由も知らない。
トランクス達の話を嘘と決めつけはしないし、一方でルルーシュは殺すべきと唱える気も皆無。
テレビ局跡地に長くは留まらず、キャル達のように近くで接する時間もなかった。
「だから僕はルルーシュのことも松坂さんのことも、ちゃんと知りたい。戦いが避けられなくても、知らないままではいたくないんだ」
やった事だけを聞けば、ルルーシュの行いは悪(ヴィラン)なのだろう。
永遠という名の悪魔や特級呪霊、闇檻の魔女を討ち。
脱出派の参加者達を引き込み、羂索を打ち倒す組織を纏め上げ。
ヒーローたる錬金術師、一ノ瀬宝太郎とも協力を約束した。
打ち立てた功績の数々は偽りに非ず、されど砂糖菓子の少女を使い潰した事実は帳消しにならない。
永遠という名の悪魔や特級呪霊、闇檻の魔女を討ち。
脱出派の参加者達を引き込み、羂索を打ち倒す組織を纏め上げ。
ヒーローたる錬金術師、一ノ瀬宝太郎とも協力を約束した。
打ち立てた功績の数々は偽りに非ず、されど砂糖菓子の少女を使い潰した事実は帳消しにならない。
では問答無用で倒すべきかと問われたら、デクは迷わず首を横に振る。
彼がさとうの排除へ踏み切った理由、抱えるモノ。
放送で語られた過去だけで、ああそうかと納得はしない。
パラドと同じ意見だ、もう一度直接会って確かめる。
答えを得た末に敵対しかないとなれば、迷わず倒すまで。
『崩壊』を操る魔王の奥に、泣きじゃくる幼子がいた事へ唯一気付けたデクが。
『悪意』を支配する魔王をただの悪(ヴィラン)と見なし拳を振るう選択は、最初から無かった。
彼がさとうの排除へ踏み切った理由、抱えるモノ。
放送で語られた過去だけで、ああそうかと納得はしない。
パラドと同じ意見だ、もう一度直接会って確かめる。
答えを得た末に敵対しかないとなれば、迷わず倒すまで。
『崩壊』を操る魔王の奥に、泣きじゃくる幼子がいた事へ唯一気付けたデクが。
『悪意』を支配する魔王をただの悪(ヴィラン)と見なし拳を振るう選択は、最初から無かった。
付け加えると、デクが向き合わねばならない者はもう一人いる。
「ルルーシュの事は放っておけない。でもトランクスさん、僕はあなたの助けにもなりたいって思うんです」
「えっ……?」
「えっ……?」
予期せぬ言葉へ、間の抜けた声が零れる。
童顔ながら精悍さを醸し出す、生きるか死ぬかの世界に身を置く者が身に付ける空気。
戦士(ヒーロー)の瞳が、トランクスを真正面から見つめた。
サイヤの血を引く英雄の戦いを、己が瞳が映した事はない。
“最強”の二文字を背負うだろう彼は、誰よりも強いが為に自分自身を追い込み戦う場面もあった筈。
童顔ながら精悍さを醸し出す、生きるか死ぬかの世界に身を置く者が身に付ける空気。
戦士(ヒーロー)の瞳が、トランクスを真正面から見つめた。
サイヤの血を引く英雄の戦いを、己が瞳が映した事はない。
“最強”の二文字を背負うだろう彼は、誰よりも強いが為に自分自身を追い込み戦う場面もあった筈。
「トランクスさんがルルーシュを許せないって気持ち、その怒りが間違いだなんて偉そうなことは言えません」
恩師が傷付けられ、自分を庇った幼馴染が地に落ち。
血の鉄臭さが漂う戦場で、無駄と嗤われた時。
死柄木弔への激情を抑えられなかった己を、偽りはしない。
憧れへ向けて突き動かす炎ではない、眼前の敵(ヴィラン)を潰せと嘯くドス黒い衝動は。
デクにだって覚えがあった。
血の鉄臭さが漂う戦場で、無駄と嗤われた時。
死柄木弔への激情を抑えられなかった己を、偽りはしない。
憧れへ向けて突き動かす炎ではない、眼前の敵(ヴィラン)を潰せと嘯くドス黒い衝動は。
デクにだって覚えがあった。
「だけどトランクスさんがルルーシュのことを話す時、僕にはあなたが自分で自分を傷付けているような顔に見えました」
「なっ……そんな、ことは……」
「なっ……そんな、ことは……」
ない、断言し否定する為の二文字は。
どうしてか、喉奥でつっかえ出て来ない。
ルルーシュが憎い、憎しみに身を委ね殺したい。
自分の考えは正しさの正反対に位置すると、理解して尚怒りを鎮められない。
どうしてか、喉奥でつっかえ出て来ない。
ルルーシュが憎い、憎しみに身を委ね殺したい。
自分の考えは正しさの正反対に位置すると、理解して尚怒りを鎮められない。
そうやって憎悪を募らせれば募らせる程、聞こえてくるのは複数人の声。
憎き皇帝が、銀髪の剣士が、守れなかった少女が。
嘲笑い、侮蔑を投げ掛け、否定する。
渦巻く言いようのない不安と、己への猜疑心を拭えない。
憎き皇帝が、銀髪の剣士が、守れなかった少女が。
嘲笑い、侮蔑を投げ掛け、否定する。
渦巻く言いようのない不安と、己への猜疑心を拭えない。
「トランクスさん」
なれば余計に、見なかった事になんてするものか。
一番強いヒーローだから、どれだけ傷付き苦しんでも構わないなんて。
そんな理屈を、一体誰が決めた。
ほんの少しの間羽を休め、もう一度飛ぶまで息を整える時間は。
どんなヒーローにだって必要なのだから。
一番強いヒーローだから、どれだけ傷付き苦しんでも構わないなんて。
そんな理屈を、一体誰が決めた。
ほんの少しの間羽を休め、もう一度飛ぶまで息を整える時間は。
どんなヒーローにだって必要なのだから。
「僕もまだまだ仮免で、未熟な部分の方が多いけど……でも、あなたの抱える痛みを拭いたい気持ちに嘘はありません」
誰にも迷惑が掛からないよう突っ走る己を、引き留めてくれたのはA組の仲間だった。
自分だけでは拭えないものを、代わりに拭うと言ってくれたのは勝己だった。
不安に駆られる民衆へ必死に呼び掛け、押し留めていた孤独を壊してみせたのはお茶子だった。
皆を助けるヒーローが、助けを求めていたら。
声なき声を聞き届け、手を差し伸べるのもヒーローの役目なのだと。
降りしきる雨の中、デク自身が教えられた。
自分だけでは拭えないものを、代わりに拭うと言ってくれたのは勝己だった。
不安に駆られる民衆へ必死に呼び掛け、押し留めていた孤独を壊してみせたのはお茶子だった。
皆を助けるヒーローが、助けを求めていたら。
声なき声を聞き届け、手を差し伸べるのもヒーローの役目なのだと。
降りしきる雨の中、デク自身が教えられた。
「俺は……」
打算の宿らない、飾らぬ本心だけで形成された言葉に。
“みんな”のヒーローとして、戦い続けた青年は返すべき言に迷う。
“みんな”のヒーローとして、戦い続けた青年は返すべき言に迷う。
トランクスという男は、戦闘を好んではいない。
たった一人の師が殺され、他に戦える者がいなかったから。
学業や友達との交流、同年代の少女との恋。
真っ当な世界であれば訪れる青春は、人造人間達の手で奪われた。
守らねば、戦わねば。
母を始め、残された人々を殺させる訳にはいかない。
その一心で修練を重ね、技を研ぎ澄ませ続けた。
たった一人の師が殺され、他に戦える者がいなかったから。
学業や友達との交流、同年代の少女との恋。
真っ当な世界であれば訪れる青春は、人造人間達の手で奪われた。
守らねば、戦わねば。
母を始め、残された人々を殺させる訳にはいかない。
その一心で修練を重ね、技を研ぎ澄ませ続けた。
故に未知の経験なのだ。
誰かを助ける為に奔走した自分が、助けになりたいと言われるのは。
出会って間もないにも関わらず、手を差し出す少年に。
感謝の気持ちと、込み上げる想いが無い訳がない。
だが同時に、デクのヒーローとしての純真さを感じ取れるからこそ。
ルルーシュへの憎悪を捨て去る気の無いまま、握り返すことに抵抗もあった。
誰かを助ける為に奔走した自分が、助けになりたいと言われるのは。
出会って間もないにも関わらず、手を差し出す少年に。
感謝の気持ちと、込み上げる想いが無い訳がない。
だが同時に、デクのヒーローとしての純真さを感じ取れるからこそ。
ルルーシュへの憎悪を捨て去る気の無いまま、握り返すことに抵抗もあった。
「俺は……っ!?」
絞り出した声は、不意に何かを察した驚愕へ早変わり。
異変に気付いたのはトランクス一人じゃない、突如全員の耳に異音が届く。
人の声や獣の雄叫びとは違う、より重々しく生命の存在を感じさせない。
正体を確かめるべく窓に駆け寄り、ソレが視界へ映り込んだ。
異変に気付いたのはトランクス一人じゃない、突如全員の耳に異音が届く。
人の声や獣の雄叫びとは違う、より重々しく生命の存在を感じさせない。
正体を確かめるべく窓に駆け寄り、ソレが視界へ映り込んだ。
「な、なにあれ、飛行機……?」
「どう見ても違うだろ!」
「大型の魔物でも、あれ程の大きさでは……!」
「ミニティラちゃんは知って――あっ、知らないみたい」
「どう見ても違うだろ!」
「大型の魔物でも、あれ程の大きさでは……!」
「ミニティラちゃんは知って――あっ、知らないみたい」
混乱(パニク)る一同が目にしたのは、凡そ生物とかけ離れ。
さりとて一般的な大型航空機とも異なる、巨大な金属の塊。
飛行用のパーツこそ見られるも、左右それぞれに折り畳んだ足状の部位が存在。
ヘリや飛行機に非ず、空飛ぶ戦艦とでも言うべき巨体がエリア上空へ鎮座していた。
さりとて一般的な大型航空機とも異なる、巨大な金属の塊。
飛行用のパーツこそ見られるも、左右それぞれに折り畳んだ足状の部位が存在。
ヘリや飛行機に非ず、空飛ぶ戦艦とでも言うべき巨体がエリア上空へ鎮座していた。
「まさか……アークエンジェルを起動させたんですか?」
未知なる巨大兵器への驚きと異なる、詳細を知るが故の驚愕。
幼い瞳を見開くシノアへ、当然のように視線が集中。
説明を求められていると察し、コホンとわざとらしく咳払いを一つ。
幼い瞳を見開くシノアへ、当然のように視線が集中。
説明を求められていると察し、コホンとわざとらしく咳払いを一つ。
「正式名称はアークエンジェル級強襲起動特装艦・1番艦。ザフトのMSに対抗すべく開発された、地球軍の所有兵器。そのご自慢の『足つき』も、キヴォトス壊滅の主力兵器としてクルーゼ様の『移動玉座』となりましたが」
「――――――は?今なんて言ったの?アレがキヴォトスを……?」
「待って、もしかして奥空さんが話したのは……!?」
「――――――は?今なんて言ったの?アレがキヴォトスを……?」
「待って、もしかして奥空さんが話したのは……!?」
キヴォトスを壊滅させた、クルーゼが操る兵器。
アヤネの話とシノアの解説を照らし合わせ、結論を口にしかけるが。
言い切るより早く、デクの危機感知が警鐘を鳴らす。
マズいことが起きる、全員にとって良からぬ事態が起きてしまう。
警戒を呼び掛けるのを待たず、空中戦艦に動きがあった。
アヤネの話とシノアの解説を照らし合わせ、結論を口にしかけるが。
言い切るより早く、デクの危機感知が警鐘を鳴らす。
マズいことが起きる、全員にとって良からぬ事態が起きてしまう。
警戒を呼び掛けるのを待たず、空中戦艦に動きがあった。
「あれって……」
脚部を思わせるパーツに挟まれた箇所から、人型の物体が射出。
全身鋼鉄の巨人、ジンハイマニューバの正式な機体情報を知るプレイヤーは不在。
ニコル・アマルフィがこちらへ同行していれば、アスラン・ザラが生存していれば。
MSの名を言い当てたかもしれないが、彼らがいなくとも然して変わりはない。
既に全員、これが非常事態と理解せざるを得なかった。
全身鋼鉄の巨人、ジンハイマニューバの正式な機体情報を知るプレイヤーは不在。
ニコル・アマルフィがこちらへ同行していれば、アスラン・ザラが生存していれば。
MSの名を言い当てたかもしれないが、彼らがいなくとも然して変わりはない。
既に全員、これが非常事態と理解せざるを得なかった。
「原寸大のMSだとぉ!?クルーゼの野郎、頭のネジを纏めて引っこ抜きやがったのか!?」
起動鍵や会場に解き放たれたNPCと、明確に違う一点。
本来のサイズのMSが幻夢本社へ接近し、片手を振り被る。
西洋剣に似た形状の得物を、叩き付ける先がどこか。
長ったらしく説明されるまでもなく、分かってしまったが為に。
本来のサイズのMSが幻夢本社へ接近し、片手を振り被る。
西洋剣に似た形状の得物を、叩き付ける先がどこか。
長ったらしく説明されるまでもなく、分かってしまったが為に。
「逃――――――げろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」
腹の底から出した絶叫が、轟音に掻き消され。
太刀と呼ぶことすら烏滸がましい、重斬刀が窓ガラスを叩き割り。
彼らがいる階を削ぎ落したのは、ほぼ同時だった。
太刀と呼ぶことすら烏滸がましい、重斬刀が窓ガラスを叩き割り。
彼らがいる階を削ぎ落したのは、ほぼ同時だった。
真に危機が迫りつつある時、思考を働かせず肉体が勝手に動くとは言うが。
現状は正にそれへ当て嵌まる。
個性の出力上昇、支給品を用いての身体能力強化、全集中の呼吸の発動等々。
各々が力を発揮し回避、或いは回避が間に合わない者を掴む。
ガラス片が雨の如く降り注ぎ、次いで瓦礫がバケツの中身を引っ繰り返した勢いで落下。
現状は正にそれへ当て嵌まる。
個性の出力上昇、支給品を用いての身体能力強化、全集中の呼吸の発動等々。
各々が力を発揮し回避、或いは回避が間に合わない者を掴む。
ガラス片が雨の如く降り注ぎ、次いで瓦礫がバケツの中身を引っ繰り返した勢いで落下。
ジンハイマニューバの視覚センサーを、煙が覆い隠す。
赤く光らせ索敵開始、確実に仕留めるまで戦闘中止はあり得ない。
重斬刀の刀身へ、血痕は僅かたりとも付着しておらず。
参加者達を一人も殺せていない証拠だ、居場所の特定に急ぎ、
赤く光らせ索敵開始、確実に仕留めるまで戦闘中止はあり得ない。
重斬刀の刀身へ、血痕は僅かたりとも付着しておらず。
参加者達を一人も殺せていない証拠だ、居場所の特定に急ぎ、
「変身……!」
『BLACK GENERAL BUJIN SWORD』
響く電子音声が、標的の生存を知らしめた。
そちらから反応するとは好都合、一撃で仕留めんと得物が唸りを上げる。
が、訪れるだろう数秒先の未来は現実にならず。
煙を振り払い飛び出た黒い影が、重斬刀と真っ向より激突。
MSに比べれば、爪楊枝同然の刀で以て打ち返す。
そちらから反応するとは好都合、一撃で仕留めんと得物が唸りを上げる。
が、訪れるだろう数秒先の未来は現実にならず。
煙を振り払い飛び出た黒い影が、重斬刀と真っ向より激突。
MSに比べれば、爪楊枝同然の刀で以て打ち返す。
後方によろけるも、もつれた足を器用に動かす。
直立したジンハイマニューバが今度こそ、相手の姿を明確に捉える。
重装甲を纏い、マントをはためかせる剣士。
世界平和を願った青年が、復讐に憑りつかれ手にした創世の力の一端。
此度はサイヤの血を引く戦士、トランクスの装備として使われる。
仮面ライダータイクーン・ブジンソードが降臨。
直立したジンハイマニューバが今度こそ、相手の姿を明確に捉える。
重装甲を纏い、マントをはためかせる剣士。
世界平和を願った青年が、復讐に憑りつかれ手にした創世の力の一端。
此度はサイヤの血を引く戦士、トランクスの装備として使われる。
仮面ライダータイクーン・ブジンソードが降臨。
ルルーシュやメラとの戦闘を待たず、厄介な事態に巻き込まれた。
だが殺し合いに賛同する相手を野放しにする気は、最初からない。
放って置けば善良な参加者や、仲間達へ危害が及ぶ。
なればここで倒す以外の選択は無し。
だが殺し合いに賛同する相手を野放しにする気は、最初からない。
放って置けば善良な参加者や、仲間達へ危害が及ぶ。
なればここで倒す以外の選択は無し。
『READY FIGHT』
理想の世界を創り上げるゲームではない、生きるか死ぬかの二択のみしかないデスゲーム。
棄権不可能、守る為には戦う以外に道はなかった。
棄権不可能、守る為には戦う以外に道はなかった。
「っとに、どいつもこいつもやりたい放題……!」
刀身の染みと化す末路を避け、外へ身を投げ受け身を取った。
かと思えば瓦礫が次々地面に突き刺さり、悪態を吐く暇も無しに転がって回避。
頭を振りつつ起き上がったホシノの手には、掴んだままのデバイス。
アヤネが収納されたガシャコンバグヴァイザーに、破損はどこも見られない。
ホッと胸を撫で下ろし、
かと思えば瓦礫が次々地面に突き刺さり、悪態を吐く暇も無しに転がって回避。
頭を振りつつ起き上がったホシノの手には、掴んだままのデバイス。
アヤネが収納されたガシャコンバグヴァイザーに、破損はどこも見られない。
ホッと胸を撫で下ろし、
「よう、今度はその玩具に夢中か?」
「っ!!」
「っ!!」
周囲の煙に隠れて聞こえた声に、片腕を跳ね上げ発砲。
対マギア・レイダー用の散弾が当たれば、ミンチが遥かにマシな最期となる。
尤も、当たらないなら無駄に地面を削るだけ。
飛び散る血と肉片はなく、代わりにホシノの死角へ気配が移動。
上半身を逸らし蹴り付けるも、一手早いのは敵の方。
対マギア・レイダー用の散弾が当たれば、ミンチが遥かにマシな最期となる。
尤も、当たらないなら無駄に地面を削るだけ。
飛び散る血と肉片はなく、代わりにホシノの死角へ気配が移動。
上半身を逸らし蹴り付けるも、一手早いのは敵の方。
「しまっ――」
懐に仕舞いかけたデバイスを、黒い鞘が小突き弾き飛ばす。
咄嗟に伸ばした手は虚しく宙を掴むに終わり、ホシノとは別の手が機械をキャッチ。
華麗な足取りで地を蹴り、距離を取ったその男を忘れる筈がない。
咄嗟に伸ばした手は虚しく宙を掴むに終わり、ホシノとは別の手が機械をキャッチ。
華麗な足取りで地を蹴り、距離を取ったその男を忘れる筈がない。
「お前……!」
「数時間ぶりだなチビ。おっと、死んだどっかの男以外にこの呼ばれ方はNGだったか?」
「数時間ぶりだなチビ。おっと、死んだどっかの男以外にこの呼ばれ方はNGだったか?」
獣の如きしなやかな細躯を、闇より尚濃い黒のコーデで包み。
星々の光で銀髪を一層輝かせる、妖しき男。
耳元で安っぽい愛を囁けば、頭の軽い女は瞬く間に轟沈だろう。
生憎、ホシノが男へ向けるのは絶大な敵意のみ。
移動中の自分達を襲って、好き勝手に掻き乱したのを誰が忘れるものか。
ホラー喰いのホラー、ジンガも乱戦へエントリーを果たす
星々の光で銀髪を一層輝かせる、妖しき男。
耳元で安っぽい愛を囁けば、頭の軽い女は瞬く間に轟沈だろう。
生憎、ホシノが男へ向けるのは絶大な敵意のみ。
移動中の自分達を襲って、好き勝手に掻き乱したのを誰が忘れるものか。
ホラー喰いのホラー、ジンガも乱戦へエントリーを果たす
「陰我の匂いに釣られて来てみりゃ、デカい祭りに出くわしたってわけだ。折角なら、こっちにも噛まなきゃ損だろ?」
神殺しを中心に巻き起こるだろう大戦争に、さてどう加わるかと思案しつつ会場を散策。
嫉妬のホムンクルスが持っていたバイクを駆り、マイやグラファイトとは別方向に来てみたら。
空へ陣取る戦艦に、複数人の気配。
何よりホラーが好む陰我を感じ取ったとあらば、無視を決め込む理由は消失。
MSの強襲で混乱冷めやらぬ瞬間を狙い、姿を見せたのだった。
嫉妬のホムンクルスが持っていたバイクを駆り、マイやグラファイトとは別方向に来てみたら。
空へ陣取る戦艦に、複数人の気配。
何よりホラーが好む陰我を感じ取ったとあらば、無視を決め込む理由は消失。
MSの強襲で混乱冷めやらぬ瞬間を狙い、姿を見せたのだった。
「お前の事情なんて知ったことか!」
ジンガが何を考え現れたかなど、知らないし深堀する気も起きない。
殺し合いに乗った悪辣な男が、アヤネを封じ込めたガシャコンバグヴァイザーを奪った。
その事実が怒りに薪をくべ、ホシノ自身を焼かん程に燃え上がらせる。
腕を撃ち抜きアヤネの奪取を試みるも、動きに出たのは敵も同じ。
掌に冥黒の炎を収束し、火球状にばら撒いて牽制。
本格的に殺し合っても構わないが、折角手に入れた玩具(アヤネ)を使わないのも少々物足りない。
殺し合いに乗った悪辣な男が、アヤネを封じ込めたガシャコンバグヴァイザーを奪った。
その事実が怒りに薪をくべ、ホシノ自身を焼かん程に燃え上がらせる。
腕を撃ち抜きアヤネの奪取を試みるも、動きに出たのは敵も同じ。
掌に冥黒の炎を収束し、火球状にばら撒いて牽制。
本格的に殺し合っても構わないが、折角手に入れた玩具(アヤネ)を使わないのも少々物足りない。
「無念か?諦めか?それとも未練か?何にしろ悪くない、俺好みに着飾ってやるよ」
『なにを……!?』
『なにを……!?』
デバイスを握り潰し、強制的にアヤネを外へ出す。
ノイズ混じりに解放され、アビドスの制服を着た少女が実体化。
何をする気か知らないが、ホシノ達にとって確実に良い事態にはならない。
生成した愛銃を突き付けるも、トリガーを引くまで悠長に待ちはしない。
銃身を掴んで引き寄せるや、反対の手に持つ複数のカードを押し当てた。
ノイズ混じりに解放され、アビドスの制服を着た少女が実体化。
何をする気か知らないが、ホシノ達にとって確実に良い事態にはならない。
生成した愛銃を突き付けるも、トリガーを引くまで悠長に待ちはしない。
銃身を掴んで引き寄せるや、反対の手に持つ複数のカードを押し当てた。
「まさか、あなたも……!?」
「難しく考えず楽しめよ。冥黒に――――いや、『陰我に満ちろ』」
「難しく考えず楽しめよ。冥黒に――――いや、『陰我に満ちろ』」
火炎を振り払ったホシノが得物を向けるも、最早手遅れ。
アヤネの肉体にカードが吸収され、翳した手よりエネルギーが発生。
鮮血とコールタールを混ぜたかの、邪悪な光がアヤネを絡め取り離さない。
アヤネの肉体にカードが吸収され、翳した手よりエネルギーが発生。
鮮血とコールタールを混ぜたかの、邪悪な光がアヤネを絡め取り離さない。
「アヤネちゃん……!」
「ホシ、ノ、せん、ぱ――――ァ゛アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!??!!」
「ホシ、ノ、せん、ぱ――――ァ゛アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!??!!」
堕ちていく。
引き上げる為の手は届かず、己を呼ぶ声に返すことも出来ず。
悪意の遥か底まで、引き摺り込まれていく。
消えかけていた自我が急激に薄れ、同時に肉体も造り替えられる。
引き上げる為の手は届かず、己を呼ぶ声に返すことも出来ず。
悪意の遥か底まで、引き摺り込まれていく。
消えかけていた自我が急激に薄れ、同時に肉体も造り替えられる。
「っ……っ…………」
逃げて、若しくは見ないで。
はたまた全く異なる言葉を紡いだかは、当人以外に分からず。
ましてコレを見て、一体誰が奥空アヤネだと気付けるだろうか。
共通する特徴が皆無に等しい鎧を、継ぎ接ぎで纏め上げたとしか思えぬ肉体。
全身各所へ浮かび上がる紋章(クレスト)は、夜闇を奇怪に照らす。
平成という激動の時代を駆け抜けた仮面の戦士達が、少女の戦装束と成り果てた。
はたまた全く異なる言葉を紡いだかは、当人以外に分からず。
ましてコレを見て、一体誰が奥空アヤネだと気付けるだろうか。
共通する特徴が皆無に等しい鎧を、継ぎ接ぎで纏め上げたとしか思えぬ肉体。
全身各所へ浮かび上がる紋章(クレスト)は、夜闇を奇怪に照らす。
平成という激動の時代を駆け抜けた仮面の戦士達が、少女の戦装束と成り果てた。
「アヤネ、ちゃん……?」
「小鳥遊さん!大丈夫で――っ!?」
「小鳥遊さん!大丈夫で――っ!?」
おぞましいと言う以外にない異形へ、後輩が変貌し。
呆然と立ち尽くすも、事態はホシノを待ってくれない。
MSの強襲を同じく生き延びたデクが、パラド達と共に駆け寄るも。
事態の正確な把握は、残念ながら行ってられない。
ジンガが指を鳴らしたのを合図に、傍らの異形が飛び掛かる。
投げ渡したライドブッカーが襲来、紙一重で身を捩り躱す。
呆然と立ち尽くすも、事態はホシノを待ってくれない。
MSの強襲を同じく生き延びたデクが、パラド達と共に駆け寄るも。
事態の正確な把握は、残念ながら行ってられない。
ジンガが指を鳴らしたのを合図に、傍らの異形が飛び掛かる。
投げ渡したライドブッカーが襲来、紙一重で身を捩り躱す。
「初めてにしちゃ悪くない出来だ。お前もそう思うだろ?」
友人との雑談に興じる気安さで話を振るも、マトモな返答なぞ期待しちゃいない。
見開かれた両目が徐々に据わり、顔から表情が削ぎ落される。
あえて説明を受けずとも分かる、軽薄に嗤うこの男がアヤネを怪物へ変えたのは明白だ。
見開かれた両目が徐々に据わり、顔から表情が削ぎ落される。
あえて説明を受けずとも分かる、軽薄に嗤うこの男がアヤネを怪物へ変えたのは明白だ。
今に至るまで、ジンガは戦闘と捕食を続け力を高めて来た。
内の一つ、冥黒のデスマスクへ堕ちた狙撃手。
シノンを喰らった影響こそが、今しがたアヤネを造り変えた原因。
グリオンの手で生み出された人形(デスマスク)は、創造主同様に錬金術を扱える。
元々錬金術師じゃあないジンガだが、シノンの魂というこれ以上ない情報の塊を取り込んだ結果。
ラウズカード以外の力も、行使可能となったのだ。
尤も、ジンガ本人は『造って遊ぶ』より『斬って楽しむ』方が好み。
死蔵されつつあったが、対峙する者にとってロクでもない形で日の目を見た。
内の一つ、冥黒のデスマスクへ堕ちた狙撃手。
シノンを喰らった影響こそが、今しがたアヤネを造り変えた原因。
グリオンの手で生み出された人形(デスマスク)は、創造主同様に錬金術を扱える。
元々錬金術師じゃあないジンガだが、シノンの魂というこれ以上ない情報の塊を取り込んだ結果。
ラウズカード以外の力も、行使可能となったのだ。
尤も、ジンガ本人は『造って遊ぶ』より『斬って楽しむ』方が好み。
死蔵されつつあったが、対峙する者にとってロクでもない形で日の目を見た。
更にジンガが喰らった中には、『荒魂を大量にストックした賢者の石』がある。
ホムンクルスの核としてだけでなく、術法増幅器の面も持ち合わせるのは改めて言うまでもない。
殺し合いにおいて、ノワルを魔力解放形態へ限りなく近付ける高純度なエネルギーの塊だ。
糧に変えた複数の力に加え、ライドブッカーに収納されたライダーカードを纏めて素材に使用。
ドライバーを破壊され用途不要状態だったが、良い機会と錬金術の試運転に使ったのだった。
ホムンクルスの核としてだけでなく、術法増幅器の面も持ち合わせるのは改めて言うまでもない。
殺し合いにおいて、ノワルを魔力解放形態へ限りなく近付ける高純度なエネルギーの塊だ。
糧に変えた複数の力に加え、ライドブッカーに収納されたライダーカードを纏めて素材に使用。
ドライバーを破壊され用途不要状態だったが、良い機会と錬金術の試運転に使ったのだった。
そういった理由を聞かされたとて、ホシノには何一つ耳を傾ける価値がない。
決して変えられぬ現実が、思考を研ぎ澄ませる。
覚えがある感覚だ、後輩の顔を貼り付けた贋物(デスマスク)と対峙し。
耐え難い怒りが限界を超え、殺意一色に染まり切った時。
決して変えられぬ現実が、思考を研ぎ澄ませる。
覚えがある感覚だ、後輩の顔を貼り付けた贋物(デスマスク)と対峙し。
耐え難い怒りが限界を超え、殺意一色に染まり切った時。
仲間が死ぬ原因の一つであり、セリカまでも利用するルルーシュ。
別の世界線とはいえ、後輩たちを悉く苦しめる運営側。
そして、アヤネを目の前で弄んだジンガ。
別の世界線とはいえ、後輩たちを悉く苦しめる運営側。
そして、アヤネを目の前で弄んだジンガ。
これ以上、己を抑える理由がどこにある?
「そう短気を起こすなよ。こいつは俺が何かする前から、弄られた形跡があった。なら、玩具は玩具らしく遊んでやらなきゃ可哀想だろ?」
「―――――――――――――――殺す!!!!!」
『センタイリング!』
叩き込まれた指輪が、封じられた戦士の力を解放。
憎悪を籠めてテガソードを振り下ろし、キヴォトス人の肉体を強化スーツが覆う。
怪盗戦隊と日夜追走劇を繰り広げ、奇妙な友情を築いた熱き漢に非ず。
断じて許し難き外道を討ち、纏う真紅を返り血で更に色濃く染めんとする。
憎悪を籠めてテガソードを振り下ろし、キヴォトス人の肉体を強化スーツが覆う。
怪盗戦隊と日夜追走劇を繰り広げ、奇妙な友情を築いた熱き漢に非ず。
断じて許し難き外道を討ち、纏う真紅を返り血で更に色濃く染めんとする。
「やる気に溢れて結構なこった。そうでなきゃ、足を運んでやった甲斐もない!」
吹き荒れる殺意も、ジンガには心地良い春風に等しい。
向こうがその気とあらば、応えてやるまでのこと。
片手を顔の前に翳し、振り上げる動作は顔の皮を剥ぐかのよう。
荒らしい甲冑を思わせる肉体は、奇しくも敵と同じ紅い色。
向こうがその気とあらば、応えてやるまでのこと。
片手を顔の前に翳し、振り上げる動作は顔の皮を剥ぐかのよう。
荒らしい甲冑を思わせる肉体は、奇しくも敵と同じ紅い色。
キヴォトス最高の神秘。
神の牙と謳われた魔獣ホラー。
正義が入り込む余地などない、文字通り喰うか喰われるか。
憎悪と悪意で彩られた両者の闘争が、幕を開ける。
神の牙と謳われた魔獣ホラー。
正義が入り込む余地などない、文字通り喰うか喰われるか。
憎悪と悪意で彩られた両者の闘争が、幕を開ける。
| 204:XXXX: 最強GK:グランドX | 投下順 | 205:大天使戦役・Ⅱ章 -大地に流れる血の赤は- |
| 203:死告天使の行く先は | 時系列順 | |
| 201:暗雲来る/つかめ!最悪最低のガッチャ! | イザーク・ジュール | |
| 黒見セリカ | ||
| 桐藤ナギサ | ||
| 龍園翔 | ||
| 伏黒甚爾 | ||
| 前坂隆二 | ||
| セレブロ | ||
| 198:決戦間近の悪役集会 | ジンガ | |
| 195:残香 | 小鳥遊ホシノ | |
| 激怒戦騎のドゴルド | ||
| 柊真昼 | ||
| トランクス | ||
| 鳩野ちひろ | ||
| 繰田孔富 | ||
| 柊シノア | ||
| アストルフォ | ||
| 200:ちいさな忠義者/赤が僕の孤独を壊すんだ | 朝比奈まふゆ | |
| ユフィリア・マゼンタ | ||
| 糸見沙耶香 | ||
| キャル | ||
| 緑谷出久 | ||
| パラド |