◆
写シも全集中の呼吸も、人が人ならざる者を討つ為に編み出された。
膂力で劣り、速さで劣り、打たれ強さで劣る。
肉体の性能に根本的な差が生まれ、生命力すら届かない。
狩られるのを待つしかない人々の刃を、人外に突き立てる為の技と術。
ではもしその力を、人ではなく魔の者が使えばどうなるか。
膂力で劣り、速さで劣り、打たれ強さで劣る。
肉体の性能に根本的な差が生まれ、生命力すら届かない。
狩られるのを待つしかない人々の刃を、人外に突き立てる為の技と術。
ではもしその力を、人ではなく魔の者が使えばどうなるか。
明快な例を挙げるなら、黒死牟という名の鬼がいた。
戦国時代の武家に生を受け、妻を娶り家を継ぐ順風満帆な人生に背き。
最強の剣士たる弟を超える為に家族を捨て、鬼狩りの技術を学び。
果てに、人である事すら捨てた。
鍛え抜いた達人とて届かぬ領域へ君臨する鬼の身体能力に、呼吸法を重ね更なる強化を行ったことで。
黒死牟は十二鬼月最強の座を数百年以上にも渡り、死守し続けたのだ。
得物や技そのものに罪はなく、善良な者が生み出した技であろうと。
悪しき者の手に渡らない保障は、探すだけ無駄だ。
戦国時代の武家に生を受け、妻を娶り家を継ぐ順風満帆な人生に背き。
最強の剣士たる弟を超える為に家族を捨て、鬼狩りの技術を学び。
果てに、人である事すら捨てた。
鍛え抜いた達人とて届かぬ領域へ君臨する鬼の身体能力に、呼吸法を重ね更なる強化を行ったことで。
黒死牟は十二鬼月最強の座を数百年以上にも渡り、死守し続けたのだ。
得物や技そのものに罪はなく、善良な者が生み出した技であろうと。
悪しき者の手に渡らない保障は、探すだけ無駄だ。
此度の闘争でもまた、魔を祓い人を守る術が凶器へと貶められていた。
「くっ、こいつ……!」
パトレン1号の苦悶の声は、休む暇なく繰り広げられる剣戟に掻き消された。
テガソードとパトメガホーン、短剣と警棒による二刀流スタイルで手数は自分が上の筈。
なのにどうだ、攻めるどころか防戦一方に追い詰められる有様じゃあないか。
テガソードとパトメガホーン、短剣と警棒による二刀流スタイルで手数は自分が上の筈。
なのにどうだ、攻めるどころか防戦一方に追い詰められる有様じゃあないか。
「俺を殺すと息巻いて、もうこの体たらくか?失望させるなよ」
「お前の期待なんか知ったことじゃない……!」
「お前の期待なんか知ったことじゃない……!」
怒声と共にテガソードを突き刺してやりたいが、首へ迫る魔戒剣を防ぐだけでも手一杯だ。
強化スーツを着込んでいるから、致命傷は避けられる。
そう楽観的に思えないのは、絶えず全身の細胞を震わせる存在感が故か。
急所へ走った刃を防いだ傍から、複数の斬撃が同時に襲うようなスピード。
時折スーツを刀身が掠める度、隠れた皮膚へ熱さが走る。
一度防ぎ次は何処を守るかなどと、悠長に思考を回していられない。
休むな、動き続けろと己に言い聞かせ両腕の得物を振るう。
強化スーツを着込んでいるから、致命傷は避けられる。
そう楽観的に思えないのは、絶えず全身の細胞を震わせる存在感が故か。
急所へ走った刃を防いだ傍から、複数の斬撃が同時に襲うようなスピード。
時折スーツを刀身が掠める度、隠れた皮膚へ熱さが走る。
一度防ぎ次は何処を守るかなどと、悠長に思考を回していられない。
休むな、動き続けろと己に言い聞かせ両腕の得物を振るう。
持ち前の能力に、冥黒の炎を用いた烈火炎装。
そこへ写シを加える事で、魔獣ホラーの力を数段階一気に引き上げた。
キヴォトスでもトップクラスの強さを持つホシノすら、危険と見なす程に。
そこへ写シを加える事で、魔獣ホラーの力を数段階一気に引き上げた。
キヴォトスでもトップクラスの強さを持つホシノすら、危険と見なす程に。
近接戦に持ち込まれ分かったが、純粋な剣の腕では確実に己を上回る。
となると、敵の得意な土俵にいつまでも付き合う義理はない。
得物を交差し防御の構えを取って後退、スーツ越しに痛みと衝撃が襲うもこの程度なら捨て置ける。
ルパンレンジャー以上に耐久性に優れた、パトレンジャーだから耐えられた。
距離を取りVSチェンジャーを装備、的確に狙いを絞りトリガーを引く。
となると、敵の得意な土俵にいつまでも付き合う義理はない。
得物を交差し防御の構えを取って後退、スーツ越しに痛みと衝撃が襲うもこの程度なら捨て置ける。
ルパンレンジャー以上に耐久性に優れた、パトレンジャーだから耐えられた。
距離を取りVSチェンジャーを装備、的確に狙いを絞りトリガーを引く。
「“ファイアーボール”!」
離れた位置で攻撃を仕掛けるのは、一人に限った話じゃない。
火炎を球体状に練り固め放つユフィリアと共に、まふゆも銃形態のミニティラを撃ち援護。
キョウリュウレッドのスーツ機能が働き、射撃能力を全力でアシスト。
エネルギー弾の嵐にジンガは怯まず、魔戒剣一本で防ぎ切る。
火炎を球体状に練り固め放つユフィリアと共に、まふゆも銃形態のミニティラを撃ち援護。
キョウリュウレッドのスーツ機能が働き、射撃能力を全力でアシスト。
エネルギー弾の嵐にジンガは怯まず、魔戒剣一本で防ぎ切る。
「ちょっとは加減しなさいよ!この銀髪野郎!」
――霞の呼吸 弐ノ型 八重霞
太陽の石を媒介に電撃を放ち、示し合わせたかのタイミングで沙耶香が得物を振り被る。
体幹を捻り、瞬きすら終わらぬ間に幾重もの斬撃を放った。
ホシノを筆頭に弾幕の嵐で、ジンガが防がざるを得ない状況を作り。
迅移と呼吸法を用いて加速し、刃の餌食と化す。
アッパレブシドーの力も付与された、三重の強化ならば届く筈。
体幹を捻り、瞬きすら終わらぬ間に幾重もの斬撃を放った。
ホシノを筆頭に弾幕の嵐で、ジンガが防がざるを得ない状況を作り。
迅移と呼吸法を用いて加速し、刃の餌食と化す。
アッパレブシドーの力も付与された、三重の強化ならば届く筈。
「ガキの浅知恵が通用すると、本気で思ったか?」
「――っ!」
「――っ!」
胴体を捉えた御刀は皮一枚斬れず、それ以上は数ミリとて進まない。
技を当てられる範囲に近付くとは、相手の剣の範囲に自ら飛び込むこと。
攻撃のチャンスが一転、死神の鎌を首に添えられる。
沙耶香が後退する隙を作ろうと、光弾が殺到するも無意味だ。
技を当てられる範囲に近付くとは、相手の剣の範囲に自ら飛び込むこと。
攻撃のチャンスが一転、死神の鎌を首に添えられる。
沙耶香が後退する隙を作ろうと、光弾が殺到するも無意味だ。
「っあ……!」
咄嗟に回避は間に合わないと、八幡力を発動し双剣を交差。
迫る凶刃へ備えるも、今のジンガも刀使の術は使えるのだ。
同じく八幡力で膂力を強化、回転斬りを繰り出し目障りな弾幕を一振りで消し去る。
刀身を震わせながら、余りの力の差に沙耶香の小柄な体は吹き飛ばされる。
迫る凶刃へ備えるも、今のジンガも刀使の術は使えるのだ。
同じく八幡力で膂力を強化、回転斬りを繰り出し目障りな弾幕を一振りで消し去る。
刀身を震わせながら、余りの力の差に沙耶香の小柄な体は吹き飛ばされる。
写シと呼吸の併用に加え、痣の発現で身体機能が強化されて尚これだ。
どれか一つでも欠けていれば、防ぎ切れずその身に刃を受けただろう。
受け身を取り立ち上がった時、目の前には既にジンガの姿が。
先程まで無手だった左手に、黒い刀身の刀を構え振り下ろす。
全身を強引に捻り躱し、地を蹴って距離を取った。
どれか一つでも欠けていれば、防ぎ切れずその身に刃を受けただろう。
受け身を取り立ち上がった時、目の前には既にジンガの姿が。
先程まで無手だった左手に、黒い刀身の刀を構え振り下ろす。
全身を強引に捻り躱し、地を蹴って距離を取った。
おちょくるように追及を躱すも、語気を強め問い質す。
嫌な予感が止まらない、そんなまさかと悪い想像が浮かんでしまう。
大丈夫、きっとアクシデントがあったけど無事な筈。
不安を誤魔化す為に言い聞かせる少女へ、酷く滑稽なモノを見る顔で笑みを作る。
嫌な予感が止まらない、そんなまさかと悪い想像が浮かんでしまう。
大丈夫、きっとアクシデントがあったけど無事な筈。
不安を誤魔化す為に言い聞かせる少女へ、酷く滑稽なモノを見る顔で笑みを作る。
「大荒魂のお姫様なら……“美味かった”ぜ?」
「――――――っ!?」
「守りし者を気取ろうと、所詮はホラーと同じ側だ。陰我をたっぷりと溜め込んでやがったなぁ」
「――――――っ!?」
「守りし者を気取ろうと、所詮はホラーと同じ側だ。陰我をたっぷりと溜め込んでやがったなぁ」
正確には、お姫様を喰った奴を俺が喰ったんだがな。
とあえて細かくは告げず、相手の反応を見やれば案の定。
平時でさえ色白の肌は血の気が引き、呼吸も荒くなっている。
とあえて細かくは告げず、相手の反応を見やれば案の定。
平時でさえ色白の肌は血の気が引き、呼吸も荒くなっている。
「タギツヒメ、が……」
デタラメだと言えれば楽でも、己が目に映る現実が証明になる。
刀使と大荒魂、本来ならば相容れない敵同士だとは沙耶香も承知の上。
それでも、黒崎一護を想い流した涙は本物だった。
真人に操られた己を、殺さずに止めようとしてくれた。
刀使の使命や種族の垣根だけでは計れない、タギツヒメを信じてみたいと本心から思えた。
刀使と大荒魂、本来ならば相容れない敵同士だとは沙耶香も承知の上。
それでも、黒崎一護を想い流した涙は本物だった。
真人に操られた己を、殺さずに止めようとしてくれた。
刀使の使命や種族の垣根だけでは計れない、タギツヒメを信じてみたいと本心から思えた。
けどもう、自分の声は彼女に二度と届かない。
「お姫様は随分と愛されたようだな。折角だ、伝えたい事があるなら言ってみろ。今あいつは俺の腹の中だ、もしかすりゃ――っと」
気遣いの意図など有る筈もない、徹底的に絆を蹂躙する言葉の刃。
心の最も脆い部分へ容赦なく突き刺さり、見えぬ血を沙耶香に流させる。
負傷はないのに止まらない痛みを、更に加速させようと言を吐き出すも。
頭上より降り注ぐ雷に中断、横へ跳んでやり過ごす。
だがジンガの好き勝手を、このまま許す気は皆無。
真紅の魔剣を振るいし少女と、警察戦隊の力を纏う少女が別方向から攻め立てる。
心の最も脆い部分へ容赦なく突き刺さり、見えぬ血を沙耶香に流させる。
負傷はないのに止まらない痛みを、更に加速させようと言を吐き出すも。
頭上より降り注ぐ雷に中断、横へ跳んでやり過ごす。
だがジンガの好き勝手を、このまま許す気は皆無。
真紅の魔剣を振るいし少女と、警察戦隊の力を纏う少女が別方向から攻め立てる。
「その下賤な口を……!」
「さっさと閉じて死ね!」
「さっさと閉じて死ね!」
VSチェンジャーとアタッシュショットガンの銃撃を、黒き斬魄刀で捌きつつ。
斬り掛かるユフィリアとは、ジンガ本来の得物で斬り結ぶ。
一刀の打ち合い毎に両腕へ掛かる負担も増加、膂力は敵が上と理解してからの動きは早い。
魔戒剣越しに襲う勢いへ反発せず、自身の剣を添えあらぬ方へと受け流す。
単純なパワーの差を思えば、この戦法でも負担は発生するも。
ユフィリアも沙耶香と同じく、支給品の効果で全集中の呼吸を発動可能だ。
空気を切り裂く音を立てながら、血液が煮え滾り身体能力の限界の更に上を行く。
斬り掛かるユフィリアとは、ジンガ本来の得物で斬り結ぶ。
一刀の打ち合い毎に両腕へ掛かる負担も増加、膂力は敵が上と理解してからの動きは早い。
魔戒剣越しに襲う勢いへ反発せず、自身の剣を添えあらぬ方へと受け流す。
単純なパワーの差を思えば、この戦法でも負担は発生するも。
ユフィリアも沙耶香と同じく、支給品の効果で全集中の呼吸を発動可能だ。
空気を切り裂く音を立てながら、血液が煮え滾り身体能力の限界の更に上を行く。
「二人共どいて!巻き込まれても責任負わないわよ!」
仲間達が稼いだ時間で、キャルも必要な準備は終えた。
キングストーンは体内に取り込まねば世紀王の本領を発揮しないが、石自体が膨大な力の塊。
自身の魔法の出力を、底上げするのに持って来いだ。
両手に掻き集めた魔力を収束、キングストーンのエネルギーも加わり破壊力は普段の数倍。
瞬時の判断でユフィリア達が退いた直後、ジンガを標的に遠慮なく叩き付ける。
キングストーンは体内に取り込まねば世紀王の本領を発揮しないが、石自体が膨大な力の塊。
自身の魔法の出力を、底上げするのに持って来いだ。
両手に掻き集めた魔力を収束、キングストーンのエネルギーも加わり破壊力は普段の数倍。
瞬時の判断でユフィリア達が退いた直後、ジンガを標的に遠慮なく叩き付ける。
「女の子いじめて喜ぶゴミ野郎!二度とその面見せんな!!」
仲間の命を奪い、弄ぶ外道への怒りを籠めて放つ。
アビスバースト、キャルが扱える術の中でも強力な一つだ。
広範囲の魔物を纏めて焼き払う輝きが、魔獣ホラーを地獄へと送り返す。
光の壁が視界いっぱいに広まる光景へ、ジンガは無言で佇む。
抵抗の意味が無いと理解したから、ではない。
アビスバースト、キャルが扱える術の中でも強力な一つだ。
広範囲の魔物を纏めて焼き払う輝きが、魔獣ホラーを地獄へと送り返す。
光の壁が視界いっぱいに広まる光景へ、ジンガは無言で佇む。
抵抗の意味が無いと理解したから、ではない。
自身の血を滲ませた掌を基点に、膨大な霊力を収束する。
光の向こう側で驚愕する気配を感じるが、中断してはやらない。
破面化した死神代行の霊力を喰らったのだ、使えない理由がどこにあるという。
光の向こう側で驚愕する気配を感じるが、中断してはやらない。
破面化した死神代行の霊力を喰らったのだ、使えない理由がどこにあるという。
「確かこう言うんだったか?――王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)」
「嘘でしょ――――っ!?」
「嘘でしょ――――っ!?」
真紅が混じった黒き熱線は、キャルの術を真っ向から打ち消す。
激突の余波で吹き飛び、アスファルトへ剥き出しの肌が擦れた。
痛みに呻き転がっていたい衝動も、この状況では自殺行為。
極大の熱線同士の喰らい合いで生じた光は、全員の視界を一時的に奪った。
激突の余波で吹き飛び、アスファルトへ剥き出しの肌が擦れた。
痛みに呻き転がっていたい衝動も、この状況では自殺行為。
極大の熱線同士の喰らい合いで生じた光は、全員の視界を一時的に奪った。
「よう、俺じゃなけりゃ死んでたかもな」
「こ、いつ……!」
「こ、いつ……!」
その一瞬の隙さえあれば、ジンガには十分過ぎた。
持ち前の走力と迅移を掛け合わせ、得物の間合いへ到達。
駆け巡る悪寒に急かされるまま、術を撃ち込む為の片手を跳ね上げ。
持ち前の走力と迅移を掛け合わせ、得物の間合いへ到達。
駆け巡る悪寒に急かされるまま、術を撃ち込む為の片手を跳ね上げ。
あっさり追い抜く速度で肉へ食い込んだ魔戒剣が、無駄の二文字を突き付けた。
「がっ、ぁ…………」
強烈な痛みと熱さへ、泣き叫ぶ声すら出せない。
ケミー達の声が聞こえるも、平気と言い返すだけの力も抜けていく。
決して忘れ得ぬ青春を送った、アンブローズ学園の制服が。
己が流した大量の赤で染められ、派手に汚しちゃったなぁと。
どこか他人事に思いながら、広まる血溜まりへと沈んでいった。
ケミー達の声が聞こえるも、平気と言い返すだけの力も抜けていく。
決して忘れ得ぬ青春を送った、アンブローズ学園の制服が。
己が流した大量の赤で染められ、派手に汚しちゃったなぁと。
どこか他人事に思いながら、広まる血溜まりへと沈んでいった。
「キャル……!」
思考が状況をようやく理解して、悲鳴混じりに名を呼ぶも返事はない。
迅移を発動し急ぎ駆け付けようとし、立ち塞がるは紅い鬼。
キャルを斬り、執拗に妨害へ出る男への怒りにに身を委ね呼吸を練り上げる。
迅移を発動し急ぎ駆け付けようとし、立ち塞がるは紅い鬼。
キャルを斬り、執拗に妨害へ出る男への怒りにに身を委ね呼吸を練り上げる。
――霞の……
「猫娘に気を取られたな?技を繰り出すのがさっきより遅い」
焦燥と憤怒で翳りが見えた技を、あえて食らってやるものか。
一手早く駆ける漆黒の刀身に喰らい付かれ、斬り飛ばされた。
宙を不格好に泳いだ後、未だ原形を保つビルに激突。
一手早く駆ける漆黒の刀身に喰らい付かれ、斬り飛ばされた。
宙を不格好に泳いだ後、未だ原形を保つビルに激突。
「なん、で……」
写シを剥がされ、体力が纏めて持って行かれる。
体中に重りを括り付けられたに等しい倦怠感に、息が上がるも。
それ以上に、写シを発動中にも関わらず感じた激痛への困惑が強い。
霊体となった刀使は痛みを感じず、実態へのダメージを肩代わり出来るのが常識だ。
しかしジンガが持つ二振り目の得物は斬魄刀、天鎖斬月。
負の魂を持つ虚を斬り浄化する性質が、霊体にも効果を表し痛みを与えるに至ったのだ。
よもやタギツヒメが振るった得物は今になり、自分へ害を及ぼしたとは気付けず。
激痛と消耗で、荒い呼吸を繰り返すばかり。
再び立ち上がる事は勿論可能だろう、ジンガが黙って見てるかは別だが。
体中に重りを括り付けられたに等しい倦怠感に、息が上がるも。
それ以上に、写シを発動中にも関わらず感じた激痛への困惑が強い。
霊体となった刀使は痛みを感じず、実態へのダメージを肩代わり出来るのが常識だ。
しかしジンガが持つ二振り目の得物は斬魄刀、天鎖斬月。
負の魂を持つ虚を斬り浄化する性質が、霊体にも効果を表し痛みを与えるに至ったのだ。
よもやタギツヒメが振るった得物は今になり、自分へ害を及ぼしたとは気付けず。
激痛と消耗で、荒い呼吸を繰り返すばかり。
再び立ち上がる事は勿論可能だろう、ジンガが黙って見てるかは別だが。
「”ファイアーアロー”……!」
進み掛けた歩を引き留める、複数の炎の矢。
サタンサーベルを媒介に放った魔法も、ジンガを仕留めるには程遠い。
サタンサーベルを媒介に放った魔法も、ジンガを仕留めるには程遠い。
「火遊びが好みなんざ、お嬢様は大変爛れていらっしゃる」
魔導火を使いこなした元魔戒騎士に、炎で挑むとは笑わせてくれる。
黒炎で逆に薙ぎ払い霧散、気怠い動作で振り向くや。
一転、電光石火を実現した速度を弾き出し急接近。
嬉々として振り下ろされる二本の牙を、世紀王の魔剣が寄せ付けまいと抗う。
黒炎で逆に薙ぎ払い霧散、気怠い動作で振り向くや。
一転、電光石火を実現した速度を弾き出し急接近。
嬉々として振り下ろされる二本の牙を、世紀王の魔剣が寄せ付けまいと抗う。
踊り狂うかの激しさで双剣を操るジンガは、正に寄らば全てを消し飛ばす天災。
暴風の脅威に晒されようと、ユフィリアはひたすらに斬撃を捌き食らい付かんとする。
時折掠める傷は致命傷に非ず、なれば捨て置いて問題無い。
激怒戦騎や贋作の四凶相手の時と同じ、此度も集中力を切らせば死ぬ。
時に魔法を牽制に使って意識を逸らし、無駄の一切合切を削ぎ落した動作で対処へ出ていた。
暴風の脅威に晒されようと、ユフィリアはひたすらに斬撃を捌き食らい付かんとする。
時折掠める傷は致命傷に非ず、なれば捨て置いて問題無い。
激怒戦騎や贋作の四凶相手の時と同じ、此度も集中力を切らせば死ぬ。
時に魔法を牽制に使って意識を逸らし、無駄の一切合切を削ぎ落した動作で対処へ出ていた。
「大したもんだなお嬢様!パパに頼み込んで稽古でも付けてもらったか?」
「答える義理はありません!あなたこそ……」
「答える義理はありません!あなたこそ……」
どうしてこれ程の、弛まず修練を積まねば手に入らない強さがあるのに。
悪へ堕ちてしまったのかと、問い質し掛けた己を押し留める。
今はそんな事を尋ねてる場合じゃない、急ぎ負傷した仲間の元へ駆け着けねば。
刻一刻と命が零れ落ちつつある少女が視界の端へ映る度、焦りが徐々に表面化し、
悪へ堕ちてしまったのかと、問い質し掛けた己を押し留める。
今はそんな事を尋ねてる場合じゃない、急ぎ負傷した仲間の元へ駆け着けねば。
刻一刻と命が零れ落ちつつある少女が視界の端へ映る度、焦りが徐々に表面化し、
「おっと、仲間外れにされて拗ねたか?」
「うるさい……!」
「うるさい……!」
不意を突きエネルギー弾をぶち込むつもりだったのに、あっさり対処。
ぐるりと振り向き吐き出された嘲笑を、苛立ちを露わに切り捨てる。
弾切れを気にせず撃てる銃の存在は、パトレン1号にとって有難い限りだ。
トリガーが壊れかねない勢いで連射し、少しでもジンガの動きに制限を掛ける。
ぐるりと振り向き吐き出された嘲笑を、苛立ちを露わに切り捨てる。
弾切れを気にせず撃てる銃の存在は、パトレン1号にとって有難い限りだ。
トリガーが壊れかねない勢いで連射し、少しでもジンガの動きに制限を掛ける。
「早く猫耳ちゃんのとこに行って!」
「っ、申し訳ありません……!」
「っ、申し訳ありません……!」
長々と議論している余裕はない。
躊躇を捻じ伏せ背を向けたユフィリアを、追わせない為にパトレン1号が相手を引き受ける。
強化形態はその重厚さ故に走力低下は免れないが、ホシノ本来の機動力でカバー。
接近戦に持ち込まれない尚且つ、ユフィリアの方へ行かせない適切な距離を瞬時に弾き出す。
同じ方向には決して留まらず、常に位置を変え銃撃を続行。
切り裂かれた光弾が弾け、夜の市街地が照らされる中。
とうとう背後を取ったパトレン1号が、無防備な背に引き金を引く。
躊躇を捻じ伏せ背を向けたユフィリアを、追わせない為にパトレン1号が相手を引き受ける。
強化形態はその重厚さ故に走力低下は免れないが、ホシノ本来の機動力でカバー。
接近戦に持ち込まれない尚且つ、ユフィリアの方へ行かせない適切な距離を瞬時に弾き出す。
同じ方向には決して留まらず、常に位置を変え銃撃を続行。
切り裂かれた光弾が弾け、夜の市街地が照らされる中。
とうとう背後を取ったパトレン1号が、無防備な背に引き金を引く。
「がっ!?」
命中と共に火花が散り、生身まで響く痛みへ短い悲鳴を上げた。
但しジンガではなく、パトレン1号からだ。
ホシノは知らない事だが、ジンガは冥黒シノンを捕食しリフレクトモスの力も得ている。
背を撃たれる寸前、わざと構えを解き光弾を反射し自爆へ追い込んだ。
何故敵を撃った筈なのに、自分の方がダメージを受けたのか。
懇切丁寧に教えてやる仲になっておらず、返答は全て刃だけ。
天鎖斬月が周囲一帯の霊力を喰らい、自身の力に変換。
護る為に非ず、踏み躙って奪う為に解き放つ。
但しジンガではなく、パトレン1号からだ。
ホシノは知らない事だが、ジンガは冥黒シノンを捕食しリフレクトモスの力も得ている。
背を撃たれる寸前、わざと構えを解き光弾を反射し自爆へ追い込んだ。
何故敵を撃った筈なのに、自分の方がダメージを受けたのか。
懇切丁寧に教えてやる仲になっておらず、返答は全て刃だけ。
天鎖斬月が周囲一帯の霊力を喰らい、自身の力に変換。
護る為に非ず、踏み躙って奪う為に解き放つ。
「月牙天衝」
「ぎっ、あああああああああっ!?」
「ぎっ、あああああああああっ!?」
黒崎一護の代名詞たる技が炸裂、漆黒の三日月が赤き戦装束を切り裂く。
大量に散った火花は血飛沫の代わりだ、出血だったら確実に致命傷だろう。
スーパーパトレン1号に変身中の恩恵でダメージを大幅に削げたが、ジンガの放った斬撃とて生半可な破壊力じゃあない。
地面を転がった先で解除、生身のホシノが歯を食い縛り痛みを堪える。
大量に散った火花は血飛沫の代わりだ、出血だったら確実に致命傷だろう。
スーパーパトレン1号に変身中の恩恵でダメージを大幅に削げたが、ジンガの放った斬撃とて生半可な破壊力じゃあない。
地面を転がった先で解除、生身のホシノが歯を食い縛り痛みを堪える。
そしてホシノが倒れた以上、ジンガの足は必然的にユフィリアの元へ。
急接近する気配へ弾かれたように振り向き、サタンサーベルを翳す。
叩き付けた双剣に弾き飛び、飛行魔法の応用で体勢を整える暇すら無しに建造物へ叩き付けられた。
急接近する気配へ弾かれたように振り向き、サタンサーベルを翳す。
叩き付けた双剣に弾き飛び、飛行魔法の応用で体勢を整える暇すら無しに建造物へ叩き付けられた。
「が……ふっ……」
痛みが強過ぎれば目の前が白に染まると言うが、本当だったらしい。
仲間を、敵を映し出したユフィリアの視界は。
白以外の色が失われた世界が映り、うつ伏せに倒れ込む。
サタンサーベルを握る手の力だけは緩めておらず、そこは流石と言うべきか。
仲間を、敵を映し出したユフィリアの視界は。
白以外の色が失われた世界が映り、うつ伏せに倒れ込む。
サタンサーベルを握る手の力だけは緩めておらず、そこは流石と言うべきか。
死屍累々の光景をたった一人で生み出し、不意にジンガの目は離れた位置の戦場へ。
戯れで造った玩具が、少しは愉快な絵面でも実現してるかと微かに期待を籠め、
戯れで造った玩具が、少しは愉快な絵面でも実現してるかと微かに期待を籠め、
「…………」
悪い意味で予想を裏切る光景へ、つまらないと目を細めた。
○
「こんの……!」
焦りか苛立ちか、どちらが理由か分からない悪態を吐き出す。
トリガーは引きっ放しで、フルオート射撃を行うも肝心の弾が当たらないなら無駄撃ちだ。
大柄な異形の外見からは予想も付かない、軽やかに踊るような動きで悉く躱される。
反対に向こうが撃つ光弾は、背筋が冷たくなる程正確だ。
危うげながら避けるも、掠めた二の腕に嫌な熱さが走る。
だが多少の痛みは無視し、異形の一挙一動へ集中するべきだろう。
持ち得る手札は未だ未知数、一つ対処した傍から別の能力や武器を使ってくる。
本当に何故自分の友達は、このような姿になっているのか。
トリガーは引きっ放しで、フルオート射撃を行うも肝心の弾が当たらないなら無駄撃ちだ。
大柄な異形の外見からは予想も付かない、軽やかに踊るような動きで悉く躱される。
反対に向こうが撃つ光弾は、背筋が冷たくなる程正確だ。
危うげながら避けるも、掠めた二の腕に嫌な熱さが走る。
だが多少の痛みは無視し、異形の一挙一動へ集中するべきだろう。
持ち得る手札は未だ未知数、一つ対処した傍から別の能力や武器を使ってくる。
本当に何故自分の友達は、このような姿になっているのか。
「アヤネちゃん……っ!」
名を呼んだところで、正気に戻ってはくれない。
距離を詰められ、一瞬で銃を片手斧に組み替える。
元の彼女と似ても似つかない巨椀は、見掛け倒しに非ず。
セリカの頭部を一撃で粉砕するくらい、息を吐くようにやってのける。
距離を詰められ、一瞬で銃を片手斧に組み替える。
元の彼女と似ても似つかない巨椀は、見掛け倒しに非ず。
セリカの頭部を一撃で粉砕するくらい、息を吐くようにやってのける。
「離れろ黒見!」
分厚い刃がめり込む寸前、阻止に動くは緑の装甲を纏うライダー。
銃型の召喚機を撃ちながら、、ZECTが開発した携行武器を構える。
ゼクトマイザーを扇状に展開させ、小型の追尾爆弾を射出。
昆虫型の破片手榴弾はサイズに反し、成体ワームをも怯ませる威力だ。
セリカが跳び退くや連続し爆発、巨体が爆風で覆い隠された。
銃型の召喚機を撃ちながら、、ZECTが開発した携行武器を構える。
ゼクトマイザーを扇状に展開させ、小型の追尾爆弾を射出。
昆虫型の破片手榴弾はサイズに反し、成体ワームをも怯ませる威力だ。
セリカが跳び退くや連続し爆発、巨体が爆風で覆い隠された。
「効いてねぇのかよ……!」
ゾルダの悪態を無視し、煙を振り払って異形が斬り掛かる。
ライダーカードと融合される前から宿す、トリロバイトアンデットの硬化能力は健在。
青い薙刀を振り被るも、不意に足を止めその場で長得物を振り回す。
ライダーカードと融合される前から宿す、トリロバイトアンデットの硬化能力は健在。
青い薙刀を振り被るも、不意に足を止めその場で長得物を振り回す。
「ん、気付かれた」
目論みの失敗を簡潔に告げつつ、引き金に掛けた指をシロコは外さない。
愛用の得物と別の誰かの愛銃、二丁のアサルトライフルを掃射。
標的一人相手には過剰と取れる弾幕も、異形の力を考えれば足りないくらいだ。
薙刀を振るう度に暴風が発生、風の結界を生成し銃弾を細切れに変える。
防御だけがこの武器の全てじゃない、四方八方に真空刃を拡散。
アギト・ストームフォームの力を存分に発揮し、纏めて不可視の刃の餌食にする気だ。
愛用の得物と別の誰かの愛銃、二丁のアサルトライフルを掃射。
標的一人相手には過剰と取れる弾幕も、異形の力を考えれば足りないくらいだ。
薙刀を振るう度に暴風が発生、風の結界を生成し銃弾を細切れに変える。
防御だけがこの武器の全てじゃない、四方八方に真空刃を拡散。
アギト・ストームフォームの力を存分に発揮し、纏めて不可視の刃の餌食にする気だ。
『COPY VENT』
「この手の得物は趣味じゃねぇんだがな……」
カードショップで手に入れた一枚を読み込み、ゾルダの手にも異形と同じ長得物が生成。
本来はカードデッキで変身するライダーに作用する効果も、複数の世界出身者が集められた殺し合い故か。
運営側の調整により装備の複製が可能になったと、細かい事情は考えず。
薙刀を振るい暴風を発生、敵の斬撃波を打ち消す。
本来はカードデッキで変身するライダーに作用する効果も、複数の世界出身者が集められた殺し合い故か。
運営側の調整により装備の複製が可能になったと、細かい事情は考えず。
薙刀を振るい暴風を発生、敵の斬撃波を打ち消す。
だが手数で圧倒的に勝るのは、どこまで行こうと敵の方だ。
薙刀状の得物、ストームハルバードを振り回す本体とは別に3体の異形が出現。
ディケイドが所持するイリュージョンのカードの効果で、分身を生み出したのだ。
それぞれ異なるライダーの銃を生成し、一斉に銃口を突き付けた。
ディケイドが所持するイリュージョンのカードの効果で、分身を生み出したのだ。
それぞれ異なるライダーの銃を生成し、一斉に銃口を突き付けた。
「ちょっ、インチキ効果過ぎるでしょ!?」
「それならこっちも火力で対抗するしかない。あとこの銃、ちょっと借りる」
「勝手に持って行ってから言う台詞じゃねぇだろ……」
「それならこっちも火力で対抗するしかない。あとこの銃、ちょっと借りる」
「勝手に持って行ってから言う台詞じゃねぇだろ……」
ゾルダに変身中は使わずにいたアサルトライフルを、いつの間にやら持って行かれた件はこの際重要じゃない。
慌てふためいても状況は変わらない、蜂の巣か消し炭の二択が待つのみ。
オーインバスター50をセリカに投げ渡しつつ、ゾルダも最大火力のカードを切る。
慌てふためいても状況は変わらない、蜂の巣か消し炭の二択が待つのみ。
オーインバスター50をセリカに投げ渡しつつ、ゾルダも最大火力のカードを切る。
『FINAL VENT』
『スタンプバイ!オーイングストライク!』
『SHOOTING BLAST!』
銃弾をばら撒き、シロコが異形達の意識を少しでも自身へと逸らす傍ら。
オーインスタンプとプログライズキー、二つのエネルギーを充填した光弾と。
マグナギガに搭載された全武装の展開、一斉掃射が異形達の銃撃と激突。
互いに打ち消し合いながらも、限界が来たのは相手側だ。
耐久力は本体に大きく劣る故か、爆炎に飲み込まれ塵へと還る。
オーインスタンプとプログライズキー、二つのエネルギーを充填した光弾と。
マグナギガに搭載された全武装の展開、一斉掃射が異形達の銃撃と激突。
互いに打ち消し合いながらも、限界が来たのは相手側だ。
耐久力は本体に大きく劣る故か、爆炎に飲み込まれ塵へと還る。
であれば、本体が直接仕留めにいくのみ。
「なっ……!?」
立ち込める炎の中から現れるは、カード状のエネルギー体。
数十枚が重なって道を形成、突き進む先には牛型のミラーモンスター。
マグナギガから銃を引き抜き照準を合わせるも、異形の速さを追い抜くには至らない。
数十枚が重なって道を形成、突き進む先には牛型のミラーモンスター。
マグナギガから銃を引き抜き照準を合わせるも、異形の速さを追い抜くには至らない。
「クソッ……!」
間に合わないと悟り咄嗟に地面を転がり退避、代わりの被害は契約モンスターへ及ぶ。
激情態の蹴り技を叩き込まれたマグナギガは、悲鳴も上げられずに爆散。
モンスターの死に伴い契約も切れ、ゾルダの装甲は途端に色を失う。
激情態の蹴り技を叩き込まれたマグナギガは、悲鳴も上げられずに爆散。
モンスターの死に伴い契約も切れ、ゾルダの装甲は途端に色を失う。
「なん、だ……!?力が……」
契約継続時の身体機能に慣れていた為か、急激なスペック低下に体が追い付かない。
キレを失くした動きへの困惑も束の間、接近した異形がライドブッカーを一閃。
ただでさえライダー相手に有利な補正が働くのに加え、耐久力もガタ落ちした装甲だ。
生身で斬られるのと然して変わらない痛みが襲い、堪らず苦悶の声を発す。
キレを失くした動きへの困惑も束の間、接近した異形がライドブッカーを一閃。
ただでさえライダー相手に有利な補正が働くのに加え、耐久力もガタ落ちした装甲だ。
生身で斬られるのと然して変わらない痛みが襲い、堪らず苦悶の声を発す。
「やめてアヤネちゃん……!」
友の蛮行を阻止せんと銃を向けるが、切な想いも無意味に終わる。
己が身に宿すライダーの一人、龍騎の力を発動。
付近の建造物の窓ガラスから、赤龍モンスターのドラグレッダーを召喚。
とぐろを巻いた太い胴が盾となり、主を傷付ける銃弾を寄せ付けない。
己が身に宿すライダーの一人、龍騎の力を発動。
付近の建造物の窓ガラスから、赤龍モンスターのドラグレッダーを召喚。
とぐろを巻いた太い胴が盾となり、主を傷付ける銃弾を寄せ付けない。
「くぅ……っ!」
巨大な尾が地面を叩き、強制的にセリカを引き離す。
隙が生まれたら後は片付けるまでだ、口内に膨大な熱を掻き集める。
同時に異形も拳を突き出す体勢を取り、自身を止めようと奮戦した友を灼熱地獄に――
隙が生まれたら後は片付けるまでだ、口内に膨大な熱を掻き集める。
同時に異形も拳を突き出す体勢を取り、自身を止めようと奮戦した友を灼熱地獄に――
『CONFINE VENT』
送る光景は実現されず、赤龍はガラスが砕ける音を立て消え失せた。
「交換しといて大正解だったな……」
痛みに顔を顰めながらも、してやったりと笑みを浮かべた。
マグナギガの破壊に伴い大半のカードも使用不可能になったが、例外も存在する。
コンファインベントは元からゾルダのデッキに入っていたのではなく、ショップでの交換で入手した一枚。
よってモンスターとの契約が切れようと、関係無く使える。
マグナギガの破壊に伴い大半のカードも使用不可能になったが、例外も存在する。
コンファインベントは元からゾルダのデッキに入っていたのではなく、ショップでの交換で入手した一枚。
よってモンスターとの契約が切れようと、関係無く使える。
対象のアドベントカードの発動を無効化する、強力無比な効果。
正史にて仮面ライダーガイに使われ城戸真司達を苦戦させたカードは、仲間を助ける役目を果たす。
正史にて仮面ライダーガイに使われ城戸真司達を苦戦させたカードは、仲間を助ける役目を果たす。
「セリカ!今の内にアヤネを……!」
「うん!」
「うん!」
驚き立ち尽くすだけでは、生じたチャンスをドブに捨てるのと同じだ。
シロコの姿がプログライズキーに戻り、流れる動作で得物に装填。
蒼狼のライダモデルを銃弾に変換、倒す為ではなく助ける為の一発を撃ち出す。
シロコの姿がプログライズキーに戻り、流れる動作で得物に装填。
蒼狼のライダモデルを銃弾に変換、倒す為ではなく助ける為の一発を撃ち出す。
『SHOOTING BLAST!』
「戻って来て、アヤネちゃん……!!」
一切の抵抗を許す気のない、蒼き弾丸が異形へと突き刺さる。
瞬間、信頼の銃弾(ムニツィオーネ・シンシアリティ)の効果が発動。
セリカを異形に変えた、無数のライダーカードに異変が起き始める。
マジアベーゼであれば魔物に変え、己が支配下へ置くのだろうがセリカではその領域に届かない。
しかしライダーカードの変質によって、錬金術の影響を薄める事は可能だ。
膝を付き苦しむような素振りを見せ、ノイズの走る度にセリカ本来の姿へ戻る。
瞬間、信頼の銃弾(ムニツィオーネ・シンシアリティ)の効果が発動。
セリカを異形に変えた、無数のライダーカードに異変が起き始める。
マジアベーゼであれば魔物に変え、己が支配下へ置くのだろうがセリカではその領域に届かない。
しかしライダーカードの変質によって、錬金術の影響を薄める事は可能だ。
膝を付き苦しむような素振りを見せ、ノイズの走る度にセリカ本来の姿へ戻る。
「アヤネちゃん……!」
完全に戻った訳ではないが、間違いなく親友だと分かれば居ても立ってもいられない。
駆け寄るセリカを見上げたその顔は、正気を取り戻せた喜びじゃあない。
諦めと申し訳なさが籠められた、今にも消えそうな笑みだった。
駆け寄るセリカを見上げたその顔は、正気を取り戻せた喜びじゃあない。
諦めと申し訳なさが籠められた、今にも消えそうな笑みだった。
「ごめんねセリカちゃん……迷惑かけて……」
「迷惑だなんて思ってない!アヤネちゃんが謝る必要なんてないでしょ!?悪いのは全部……っ」
「迷惑だなんて思ってない!アヤネちゃんが謝る必要なんてないでしょ!?悪いのは全部……っ」
レジスターが存在せず、そもそも参加者名簿にアヤネの名は載っていない。
自分の知る友とは異なる世界、恐らくナギサと同じ滅びたキヴォトスのアヤネと察しは付く。
しかし住まう世界を違おうと、中学時代からの親友なことに変わりはない。
自分の知る友とは異なる世界、恐らくナギサと同じ滅びたキヴォトスのアヤネと察しは付く。
しかし住まう世界を違おうと、中学時代からの親友なことに変わりはない。
だからこそ、長剣を自分自身へ突き刺そうとするアヤネを黙って見ていられる訳がなかった。
「アヤネちゃん!?何やって……」
「今の私は、一時的に話せてるだけだから……いつまた、アヤネちゃん達を襲ってもおかしくないんだよ……?」
「っ、そんなの……!」
「今の私は、一時的に話せてるだけだから……いつまた、アヤネちゃん達を襲ってもおかしくないんだよ……?」
「っ、そんなの……!」
暴走こそ、ジンガの手で引き起こされたものの。
仮に錬成されずともヒースクリフの領域を出た以上、自我の喪失は時間の問題だった。
生き延びてこれ以上、セリカやアヤネを傷付けるのは真っ平御免。
運営の駒に扱われ対策委員会の皆に合わせる顔などなかったが、自分の手で終わらせられるなら何を戸惑う必要がある。
仮に錬成されずともヒースクリフの領域を出た以上、自我の喪失は時間の問題だった。
生き延びてこれ以上、セリカやアヤネを傷付けるのは真っ平御免。
運営の駒に扱われ対策委員会の皆に合わせる顔などなかったが、自分の手で終わらせられるなら何を戸惑う必要がある。
「私が死んでも、セリカちゃんのいた世界には“私”がいる……だから……」
「そういう問題じゃないわよ……!」
「そういう問題じゃないわよ……!」
彼女を救う方法が何かある筈と、必死に頭を回す。
マジアベーゼ程の才能はなく、彼女を蝕む全てを完全には引き剥がせない。
バグスターや錬金術の知識だって、自分にはない。
こんなにも近くで友が傷付いてるのに、何の役にも立てないのか。
悔しさと惨めさで、視界が滲む。
うてなやシノンを喪った時から何も変わっていない、デクとの約束も守れない。
どうして自分は、こんなにも弱いままなのか。
マジアベーゼ程の才能はなく、彼女を蝕む全てを完全には引き剥がせない。
バグスターや錬金術の知識だって、自分にはない。
こんなにも近くで友が傷付いてるのに、何の役にも立てないのか。
悔しさと惨めさで、視界が滲む。
うてなやシノンを喪った時から何も変わっていない、デクとの約束も守れない。
どうして自分は、こんなにも弱いままなのか。
「私は……っ!」
「今すぐどうにか出来なくても、生かしたまま動けなくしときゃ良いのか?」
「今すぐどうにか出来なくても、生かしたまま動けなくしときゃ良いのか?」
己への罵声が飛び出し掛けた時、頭上からそんな言葉が振って来た。
呆けた顔で見上げれば、灰色の装甲を纏ったゾルダの姿。
何を言われたのか理解が追い付かないでいると、先にアヤネが答えを返す。
呆けた顔で見上げれば、灰色の装甲を纏ったゾルダの姿。
何を言われたのか理解が追い付かないでいると、先にアヤネが答えを返す。
「根本的な解決にはなりません……あくまで先延ばしにするだけで……」
「方法が絶対に見付からないって、断言も出来ねぇだろ。それに――」
「方法が絶対に見付からないって、断言も出来ねぇだろ。それに――」
一旦区切り、思い浮かべるのはここにいない男。
成り行きで組み、友情だなんだのを築くつもりもなかったが。
気付けば背中を預け合う、同じクランの仲間になった奴を。
成り行きで組み、友情だなんだのを築くつもりもなかったが。
気付けば背中を預け合う、同じクランの仲間になった奴を。
「お前を利用したクソ運営どもの悔しがる顔を、一緒に拝んだって罰は当たらねぇさ」
「――――」
「――――」
驚くアヤネが何かを口に出す前に、片手のカードを翳す。
粒子状に解け吸い込まれると、先程までいた場所には影も形も見当たらない。
死線を落とすと、異形と背中合わせで眼鏡の少女が描かれてあった。
ライダーカードと融合している影響で、アヤネにもチェンジケルベロスの封印が有効なのは不幸中の幸いだろう。
粒子状に解け吸い込まれると、先程までいた場所には影も形も見当たらない。
死線を落とすと、異形と背中合わせで眼鏡の少女が描かれてあった。
ライダーカードと融合している影響で、アヤネにもチェンジケルベロスの封印が有効なのは不幸中の幸いだろう。
「な、何したの……?アヤネちゃんは……!」
「死んでねぇ。カードに閉じ込めた、って言うよりは封印か。そういう効果があるんだとよ」
「死んでねぇ。カードに閉じ込めた、って言うよりは封印か。そういう効果があるんだとよ」
チェンジケルベロスは説明通りの効果を発揮し、アヤネの封印に成功。
本当ならレベル10のケミーを対象に、最終手段で用いるつもりだった。
だというのに何をやってるのかと、仮面に隠れた顔が自嘲を作る。
本当ならレベル10のケミーを対象に、最終手段で用いるつもりだった。
だというのに何をやってるのかと、仮面に隠れた顔が自嘲を作る。
(ここで死なせてやる方が、良かったのかもしれねぇがよ……)
アヤネ本人の望みを叶えさせるだけじゃなく、自分達の今後の憂いを断つ意味でも。
合理的に考えれば、手を出さず成り行きを見守るだけでも良かっただろう。
誰も彼もに手を差し伸べるヒーローになった覚えはなく、なりたいとも思っていない。
その手の熱血さは、もっと相応しい奴がやれば良い。
合理的に考えれば、手を出さず成り行きを見守るだけでも良かっただろう。
誰も彼もに手を差し伸べるヒーローになった覚えはなく、なりたいとも思っていない。
その手の熱血さは、もっと相応しい奴がやれば良い。
(ったく……キツいもん言い遺しやがるぜ)
手を掴む馬鹿は多い、赤い鳥の王が最後に伝えた言葉。
そんな都合の良い奴がいるものかよと、呆れて聞き流すのは簡単だが。
自分が今生きてるのは、生きて王への復讐を果たし過去に決着を付けたのは。
カナメが自分を助ける為に、命懸けの交渉へ臨んだからだ。
暴きたくもない真実を知ってしまうシギルを、初めてただのクソじゃないと思えた。
そんな都合の良い奴がいるものかよと、呆れて聞き流すのは簡単だが。
自分が今生きてるのは、生きて王への復讐を果たし過去に決着を付けたのは。
カナメが自分を助ける為に、命懸けの交渉へ臨んだからだ。
暴きたくもない真実を知ってしまうシギルを、初めてただのクソじゃないと思えた。
カナメの真似事に出たつもりもないが、それでもアヤネを生かすと選択したのは。
手を汚さねば生きられないとの価値観が実は、一人の刀使の心を壊すだけと知ったが故か。
最後は己が嫌われ役を引き受けて済ませるんじゃない、違うやり方に委ねてみても。
遅くないと、自分にしては妙に甘い事を考えたからなのか。
手を汚さねば生きられないとの価値観が実は、一人の刀使の心を壊すだけと知ったが故か。
最後は己が嫌われ役を引き受けて済ませるんじゃない、違うやり方に委ねてみても。
遅くないと、自分にしては妙に甘い事を考えたからなのか。
「とにかく、こいつをどう戻すか考えんのは後だ。他はまだドンパチやってるしよ」
「う、うん……!」
「う、うん……!」
アヤネが言うように根本的な解決ではないが、一先ずは殺さずに事を収めた。
戦闘は未だにそこかしこで継続中、自分達だけ休んでもいられない。
涙を拭い立ち上がったのを見計らい、ラウズカードを差し出す。
二度と手放さないと固く誓い、受け取ろうと手を伸ばし、
戦闘は未だにそこかしこで継続中、自分達だけ休んでもいられない。
涙を拭い立ち上がったのを見計らい、ラウズカードを差し出す。
二度と手放さないと固く誓い、受け取ろうと手を伸ばし、
「つまらない真似するなよ、折角のお膳立てが台無しだ」
ラウズカードを握ったままのリュージの手が、腕ごと斬られた。
「ぐぉおおおおおおおおおっ!?」
骨まで断たれ、激痛が思考を支配する。
渋谷駅での攻防で、王に右手を奪われた際の苦い記憶が嫌でも思い起こされた。
絶叫を軽く聞き流して拳が飛び、殴り飛ばされ生身を晒す。
今の一撃でデッキも破壊されたらしく、破片が散らばるのが見えた。
渋谷駅での攻防で、王に右手を奪われた際の苦い記憶が嫌でも思い起こされた。
絶叫を軽く聞き流して拳が飛び、殴り飛ばされ生身を晒す。
今の一撃でデッキも破壊されたらしく、破片が散らばるのが見えた。
悶えるリュージを冷めた目で見やり、ジンガはラウズカードを回収。
持ち前の走力に迅移を掛け合わせ急接近、片腕を斬り飛ばしてやった。
耐久力が落ちたブランク態に、ジンガの剣を防げるだけの耐久性能は存在しない。
持ち前の走力に迅移を掛け合わせ急接近、片腕を斬り飛ばしてやった。
耐久力が落ちたブランク態に、ジンガの剣を防げるだけの耐久性能は存在しない。
「なっ……なにしてんのよアンタ……!」
「見て分かるだろ?空気の読めないコソ泥に、ちょいとキツ目のお仕置きしてやっただけだ」
「っ!ふざけんな!アヤネちゃんを返せ!!」
「見て分かるだろ?空気の読めないコソ泥に、ちょいとキツ目のお仕置きしてやっただけだ」
「っ!ふざけんな!アヤネちゃんを返せ!!」
仲間を斬ったのみならず、友が封印されたカードまで強奪。
ここまでされて、平静を保てる筈がない。
激昂するセリカと反対に、ジンガはどこまでも余裕綽々な態度を崩さない。
奪ったカードを見せ付けるようにヒラヒラと翳し、ありったけの嘲笑をぶつける。
ここまでされて、平静を保てる筈がない。
激昂するセリカと反対に、ジンガはどこまでも余裕綽々な態度を崩さない。
奪ったカードを見せ付けるようにヒラヒラと翳し、ありったけの嘲笑をぶつける。
「こいつはもうお前のダチじゃない、俺の玩具だ。遊ぶも壊すも俺次第の、な」
「――――お前ぇえええええええええええええっ!!!!!」
友を道具かそれ以下にしか見ていない挑発へ、怒りは一瞬で振り切れた。
跳ね上がった右腕が銃口を突き付け、銃弾を吐き出す。
されどジンガの速さはそれをも上回る、魔戒剣が銃身を弾き狙いを強引に逸らす。
照準を再度合わせる暇もなく、放たれた蹴りが腹部へと刺さった。
跳ね上がった右腕が銃口を突き付け、銃弾を吐き出す。
されどジンガの速さはそれをも上回る、魔戒剣が銃身を弾き狙いを強引に逸らす。
照準を再度合わせる暇もなく、放たれた蹴りが腹部へと刺さった。
「ご……ぁ……っ」
キヴォトス人の打たれ強さに加え、今は魔法少女に変身中だ。
肉体の頑丈さも相応に上がったというのに、内臓がひしゃげる錯覚を覚えた。
骨が軋むのを嫌でも感じ、蹴り飛ばされ地面にダイブ。
転がった先に同じく倒れ込むホシノ達がいる事に、意識を回す余裕もない。
肉体の頑丈さも相応に上がったというのに、内臓がひしゃげる錯覚を覚えた。
骨が軋むのを嫌でも感じ、蹴り飛ばされ地面にダイブ。
転がった先に同じく倒れ込むホシノ達がいる事に、意識を回す余裕もない。
「がっ……」
「寝てろ、どうせすぐにあいつらとも会える」
「寝てろ、どうせすぐにあいつらとも会える」
無事な方の手で拳銃を引き抜こうとしたが、引き金を引く機会は訪れない。
うつ伏せのリュージへ魔戒剣を突き刺し、骨も砕き腹まで一直線。
引き抜きビクンと震えるも、最早見向きもしない。
少女達が横たわる場へ悠々と足を運び、順番に視線を落とす。
自分相手に健闘し、楽しませてもらったが結局はこの程度らしい。
斬り落とした首を流牙やユメに放ってやれば、存分にやる気を引き出すだろう。
うつ伏せのリュージへ魔戒剣を突き刺し、骨も砕き腹まで一直線。
引き抜きビクンと震えるも、最早見向きもしない。
少女達が横たわる場へ悠々と足を運び、順番に視線を落とす。
自分相手に健闘し、楽しませてもらったが結局はこの程度らしい。
斬り落とした首を流牙やユメに放ってやれば、存分にやる気を引き出すだろう。
目論見を決して許さない、牙の勇者がいなければだが。
「だ、だめ!おねえちゃんたちに、手を出さないで……!」
自身の膝までか、或いはもっと下しかない幼い少女。
強化スーツを身に纏ってはいるも、緊張と恐怖は隠せていない。
マスクの下で精一杯睨みつけているだろう顔を思い浮かべ、失笑が漏れた。
強化スーツを身に纏ってはいるも、緊張と恐怖は隠せていない。
マスクの下で精一杯睨みつけているだろう顔を思い浮かべ、失笑が漏れた。
「遊園地と勘違いしてここに来たのか?こんなガキまで殺し合いに引っ張り出すなんざ、こいつらもロクな女じゃないな」
「っ、みんなをそんな風に言わないで!」
「っ、みんなをそんな風に言わないで!」
自分への嘲りじゃない、大事な仲間を馬鹿にされ。
恐怖はそのままに、怒りをぶつける。
ユフィリア達を想っての激昂も、ジンガはどこ吹く風。
吹けば塵と化すちっぽけな命に抱くのは、嘲り以外にない。
恐怖はそのままに、怒りをぶつける。
ユフィリア達を想っての激昂も、ジンガはどこ吹く風。
吹けば塵と化すちっぽけな命に抱くのは、嘲り以外にない。
「自分から死ににいく悪い子になっちゃいけませんと、お前の両親は教えてやらなかったらしいな?」
幼い子供であっても、殺さない理由にはならない。
老若男女、年齢に関係無くホラーは人間を餌食にする。
NPCの鬼殺隊隊士の、見当違いな憎悪とは違う。
ヒースクリフの苛立ち混じりの殺意とも異なる、徹底的に玩具としか見なさない悪意。
幼い肢体を絡め取り離さず、少しでも気を抜くとへたり込んでしまいそうだけど。
老若男女、年齢に関係無くホラーは人間を餌食にする。
NPCの鬼殺隊隊士の、見当違いな憎悪とは違う。
ヒースクリフの苛立ち混じりの殺意とも異なる、徹底的に玩具としか見なさない悪意。
幼い肢体を絡め取り離さず、少しでも気を抜くとへたり込んでしまいそうだけど。
「……ふはは」
殺戮遊戯での、幾つもの出会いと別れを繰り返しまふゆは知った。
どうして皆が戦うのかを。
痛くて恐くて、嫌な思いしかしないのに。
何故彼らは戦うのか、その理由にもう気付いている。
どうして皆が戦うのかを。
痛くて恐くて、嫌な思いしかしないのに。
何故彼らは戦うのか、その理由にもう気付いている。
「ふはははは……はーっはっはっはっ!」
尊大とは到底言えまい、震えを誤魔化し切れていない。
舌足らずに、なれど恐怖も不安も吹き飛ばす。
まるで兄のように優しく強かった、邪悪の王ならそうしたから。
舌足らずに、なれど恐怖も不安も吹き飛ばす。
まるで兄のように優しく強かった、邪悪の王ならそうしたから。
「邪悪の王は、し、死ぬためにお前の前に出たんじゃない!大事な人をみんな守るために、ここにいるのだ!」
「ハッ……どっかの魔戒騎士にも聞かせてやりたいもんだ」
滑稽な強がりと見下し、鼻で笑って当然の啖呵に。
無数に思い浮かぶ嘲りは、何故か一文字も出て来ない。
遠い過去にいた誰かへ向けるような、まるで己への呆れにも聞こえる呟きが零れ落ちる。
無数に思い浮かぶ嘲りは、何故か一文字も出て来ない。
遠い過去にいた誰かへ向けるような、まるで己への呆れにも聞こえる呟きが零れ落ちる。
尤も、次の瞬間には世界を足蹴にする傲慢な顔へ早戻りだ。
抱いた決意も心へ響かず、一刀で幕切れ。
刀身へ小さな勇者の血を塗りたくる、慈悲無き刃が走り――
抱いた決意も心へ響かず、一刀で幕切れ。
刀身へ小さな勇者の血を塗りたくる、慈悲無き刃が走り――
「……なに?」
紅い肉体を絡め取る黒い布が、まふゆの命を繋いだ。
首を断つまでほんの数ミリの距離にも関わらず、腕が動かない。
眼前の童女も驚いている様子なあたり、小賢しい真似にでたのは別の者。
瞳だけを動かし術の発生源を辿れば、すぐに見付かった。
眼前の童女も驚いている様子なあたり、小賢しい真似にでたのは別の者。
瞳だけを動かし術の発生源を辿れば、すぐに見付かった。
夥しい血を流した獣人の小娘が、片目に紫焔を宿す様を。
「フン……!」
物理的な拘束と異なり、魔力で生成された類と理解。
捕食を繰り返し力を高め続けた自分なら、打ち破るのは困難に非ず。
霊力や異次元超人が操る闇の力、本来持つホラーのエネルギーを放出。
小癪な抵抗を引き剥がすも、僅かな隙で少女達も再び動き始める。
捕食を繰り返し力を高め続けた自分なら、打ち破るのは困難に非ず。
霊力や異次元超人が操る闇の力、本来持つホラーのエネルギーを放出。
小癪な抵抗を引き剥がすも、僅かな隙で少女達も再び動き始める。
「まふゆ……っ!」
両足が地に付いた途端に肉体が苦痛を訴えるが、意思一つで黙らせる。
倒れ伏す自分達を守ろうと、まふゆは一人で立ち向かった。
ならばいつまでも横たわってる場合じゃない。
必ずや守ると決めた、亡き邪悪の王の石を継ぎ共に戦うと誓ったのだ。
空気を切り裂く呼吸音と共に血が沸き立ち、抗う術をユフィリアに齎す。
倒れ伏す自分達を守ろうと、まふゆは一人で立ち向かった。
ならばいつまでも横たわってる場合じゃない。
必ずや守ると決めた、亡き邪悪の王の石を継ぎ共に戦うと誓ったのだ。
空気を切り裂く呼吸音と共に血が沸き立ち、抗う術をユフィリアに齎す。
「お嬢様は続きがご所望か?なら飽きるまで遊んでやるよ」
まふゆの前に身を躍らせれば、望む所と双剣が咆える。
魔戒剣と天鎖斬月、護る為の刃が命を刈り取る凶器と化す。
なれど、悪しき剣士に奪わせるものは一つもない。
華麗さと苛烈さ、両方を宿す魔剣が神の牙と渡り合う。
魔戒剣と天鎖斬月、護る為の刃が命を刈り取る凶器と化す。
なれど、悪しき剣士に奪わせるものは一つもない。
華麗さと苛烈さ、両方を宿す魔剣が神の牙と渡り合う。
「エンゲージ……!」
「汚い手でベタベタと……アヤネちゃんに触るな……!」
「汚い手でベタベタと……アヤネちゃんに触るな……!」
負傷を捨て置き戦う者がいるのに、自分達だけ一足先にダウンはお断りだ。
対策委員会の先輩と後輩同士、再会の喜びを分かち合うのも後回し。
仲間を弄ぶ外道を共に打ち倒す、全てはそれからだ。
パトレン1号へ再変身したホシノと横で、セリカも口元の血を拭い立ち上がる。
合図は不要だ、両者共に得物が輝く弾丸を放つ。
対策委員会の先輩と後輩同士、再会の喜びを分かち合うのも後回し。
仲間を弄ぶ外道を共に打ち倒す、全てはそれからだ。
パトレン1号へ再変身したホシノと横で、セリカも口元の血を拭い立ち上がる。
合図は不要だ、両者共に得物が輝く弾丸を放つ。
片手て斬り合い、片手で銃撃に対処。
先程の光景の焼き直しになると思われた戦闘は、再びジンガに黒い布が巻き付いた事で変化を表す。
エネルギーを放出し抜け出し、直後に光弾が殺到。
魔戒剣に黒炎を纏わせ薙ぎ払い、勢いはそのままにセリカ達へ炎の斬撃を飛ばそうと振るう。
が、刀身に魔力の弾が命中し妨害。
タイミングをズラされたジンガに向け、ユフィリアが風属性の魔法を放った。
先程の光景の焼き直しになると思われた戦闘は、再びジンガに黒い布が巻き付いた事で変化を表す。
エネルギーを放出し抜け出し、直後に光弾が殺到。
魔戒剣に黒炎を纏わせ薙ぎ払い、勢いはそのままにセリカ達へ炎の斬撃を飛ばそうと振るう。
が、刀身に魔力の弾が命中し妨害。
タイミングをズラされたジンガに向け、ユフィリアが風属性の魔法を放った。
「温いな……!」
剣の一振りで打ち消し、距離を詰め天鎖斬月を突き刺す。
黒き切っ先が柔らかな肢体を貫く、思い描いた光景はジンガ目掛け降り注ぐ電撃で無に還る。
横へ跳び退いた瞬間に銃弾が群れを成し襲い掛かり、斬り落とした傍からパトレン1号が別方向より引き金を引く。
ならばと回転し、黒炎と斬撃波を広範囲へ撒き散らし打ち消す。
撃った当人らを直接仕留めるべく、天鎖斬月に霊力を喰らわせる。
黒き切っ先が柔らかな肢体を貫く、思い描いた光景はジンガ目掛け降り注ぐ電撃で無に還る。
横へ跳び退いた瞬間に銃弾が群れを成し襲い掛かり、斬り落とした傍からパトレン1号が別方向より引き金を引く。
ならばと回転し、黒炎と斬撃波を広範囲へ撒き散らし打ち消す。
撃った当人らを直接仕留めるべく、天鎖斬月に霊力を喰らわせる。
「おいおいまたかよ……!」
まるで見計らったように魔力弾が狙い撃ち、月牙天衝に必須の『溜め』を妨害。
悪態を吐く間にもユフィリアが距離を詰め、エアニードルを打ち出す。
サタンサーベルを術の媒介に用いる事で、岩石をも砕く威力へ引き上げた。
迎撃に動けばすかさず、三方向より銃撃を受ける。
決して攻めには転じさせない、言葉無くとも斬撃一つ弾丸一つがそう告げているように思えた。
悪態を吐く間にもユフィリアが距離を詰め、エアニードルを打ち出す。
サタンサーベルを術の媒介に用いる事で、岩石をも砕く威力へ引き上げた。
迎撃に動けばすかさず、三方向より銃撃を受ける。
決して攻めには転じさせない、言葉無くとも斬撃一つ弾丸一つがそう告げているように思えた。
死が近付くと痛覚が鈍るというのは、どうやら本当らしい。
本当だったら微塵も嬉しくないが、少なくとも今の自分には都合が良い。
誰に告げるでもなく独り言ち、キャルの意識は標的の撃破へ全神経を注ぐ。
贋作の四凶との戦闘で掴んだ、覇瞳天星の兆し。
致命傷を負い焼け付く激痛も徐々に薄れた事が、却って思考乱さずに研ぎ澄ませている。
脳の処理能力は限界を超えても更に引き上げられ、戦場という名のデータを余さず掌握。
何処へどのタイミングで術を放つか、疑似的な未来予知で敵の動きへ制限を掛ける。
加えて、劣化版とはいえ闇檻まで発動するとあっては自前の魔力だけでは当然不足。
令呪の使用に躊躇は抱かず、尚も足りない分は生命力を削ってリソースに回し続けた。
本当だったら微塵も嬉しくないが、少なくとも今の自分には都合が良い。
誰に告げるでもなく独り言ち、キャルの意識は標的の撃破へ全神経を注ぐ。
贋作の四凶との戦闘で掴んだ、覇瞳天星の兆し。
致命傷を負い焼け付く激痛も徐々に薄れた事が、却って思考乱さずに研ぎ澄ませている。
脳の処理能力は限界を超えても更に引き上げられ、戦場という名のデータを余さず掌握。
何処へどのタイミングで術を放つか、疑似的な未来予知で敵の動きへ制限を掛ける。
加えて、劣化版とはいえ闇檻まで発動するとあっては自前の魔力だけでは当然不足。
令呪の使用に躊躇は抱かず、尚も足りない分は生命力を削ってリソースに回し続けた。
「キャル……っ!?」
刀を支えに立ち上がった沙耶香が、息を呑むのも無理はない。
斬られた時は出血で熱さを感じたのに、今や恐ろしい程に寒い。
顔中を彩る血が一体どの穴から流れてるのか、考えたくもなかった。
あえて指摘されずとも、理解出来ることだ。
令呪の効果が切れるのを待たず、終わりの時が来るのだろう。
斬られた時は出血で熱さを感じたのに、今や恐ろしい程に寒い。
顔中を彩る血が一体どの穴から流れてるのか、考えたくもなかった。
あえて指摘されずとも、理解出来ることだ。
令呪の効果が切れるのを待たず、終わりの時が来るのだろう。
「あんたが持ってなさい。ホウタロウって奴に、こいつらを返してやって」
ケミーライザー共々、ケミーカードを投げ渡す。
最初にデイパックから見付けた時は手を焼かされたが、何だかんだ賑やかで嫌いにはなれない奴らだ。
自分に付き合わせ、心中させる必要もあるまい。
最初にデイパックから見付けた時は手を焼かされたが、何だかんだ賑やかで嫌いにはなれない奴らだ。
自分に付き合わせ、心中させる必要もあるまい。
『ホッパー!?ホッパ!ホッパー!』
「文句言わないでよ。本当はあたしが直接、あんたの友達に返したかったけど……」
『ホッパー……』
「文句言わないでよ。本当はあたしが直接、あんたの友達に返したかったけど……」
『ホッパー……』
これが別れになると察したのだろう、ホッパー1が必死に言い縋るも。
申し訳なさそうに笑うキャルを見てしまっては、言いたい事も引っ込んでしまう。
申し訳なさそうに笑うキャルを見てしまっては、言いたい事も引っ込んでしまう。
「待ってキャル、私は……」
沙耶香もまた、このような形の別れは望んでいない。
口に出す言葉を探し、だけどどれもこれも喉奥から出て来ない。
分かっているのだ、何を言った所でどうにもならないと。
喪失を嘆き、駄々を捏ねても現状を変える効果などあるものか。
こんなにも近くにいて、手が届く距離なのに。
彼女に訪れる終焉を、跳ね返す力は自分にない。
口に出す言葉を探し、だけどどれもこれも喉奥から出て来ない。
分かっているのだ、何を言った所でどうにもならないと。
喪失を嘆き、駄々を捏ねても現状を変える効果などあるものか。
こんなにも近くにいて、手が届く距離なのに。
彼女に訪れる終焉を、跳ね返す力は自分にない。
「ったく、しょげた顔してんじゃないわよ。あんた折角可愛いのに、それじゃ台無し」
「キャル……」
「キャル……」
残された時間は僅か、話しておきたい全てを言う余裕は皆無。
だからせめて、これだけは伝えておきたい。
特級呪霊の手で操られ、大事な友達が死後も利用され、信頼を結んだ少年を喪い。
傷付いてばかりだった彼女の明日が、どうか悪いものにならないようにと願い籠めて。
だからせめて、これだけは伝えておきたい。
特級呪霊の手で操られ、大事な友達が死後も利用され、信頼を結んだ少年を喪い。
傷付いてばかりだった彼女の明日が、どうか悪いものにならないようにと願い籠めて。
「あんたは生きなさい。この先きっと、心から笑える日は幾らでも来る筈なんだから」
「…………っ、うん……っ!」
「…………っ、うん……っ!」
交わした言葉は、それが最後だった。
背を向け駆け出した沙耶香は、もう振り向かない。
瞳が見据えるのは命の灯火が消えゆく仲間に非ず、この手で祓うべき敵だ
絶えず苛む肉体の消耗すら、胸を突き刺す苦痛の前では気にもならない。
頬を濡らす雫を拭いもせず、神の牙の元へとひたすらに駆ける。
背を向け駆け出した沙耶香は、もう振り向かない。
瞳が見据えるのは命の灯火が消えゆく仲間に非ず、この手で祓うべき敵だ
絶えず苛む肉体の消耗すら、胸を突き刺す苦痛の前では気にもならない。
頬を濡らす雫を拭いもせず、神の牙の元へとひたすらに駆ける。
「じゃああたしも、もうちょい踏ん張ってやるかぁ……」
銀毛の刀使の背を見送り、ふっと気の抜けた息を吐き出す。
格好つけてみたものの、本音はもっと見苦しい泣き言だ。
格好つけてみたものの、本音はもっと見苦しい泣き言だ。
嫌だ。
死にたくない。
どうしてあたしが死ななきゃならないの。
今すぐに帰りたい。
シェフィと共に、美食殿の仲間の元に帰して。
ペコリーヌと離れたくない、コロ助とお別れなんて嫌だ。
あいつと、ユウキとこれから先もずっと一緒にいたい。
誰かあたしを助けてよ。
死にたくない。
どうしてあたしが死ななきゃならないの。
今すぐに帰りたい。
シェフィと共に、美食殿の仲間の元に帰して。
ペコリーヌと離れたくない、コロ助とお別れなんて嫌だ。
あいつと、ユウキとこれから先もずっと一緒にいたい。
誰かあたしを助けてよ。
思い付くままにぶち撒けたい衝動に、従いたい気持ちに嘘はつけない。
死にたくなんかないと、恥も外聞も投げ捨て叫びたくないと言えば嘘になる。
死にたくなんかないと、恥も外聞も投げ捨て叫びたくないと言えば嘘になる。
だけど、同じくらいこう思うのだ。
美食殿の仲間達なら、馬鹿が付くらいのお人好しなら。
見限られて当然の裏切り者を、変わらず友と見てくれた王女様なら。
危ない橋を渡り、自分の為に涙を流したエルフの少女なら。
今もずっと恋をしている、騎士の少年だったらきっと。
どんな時でも、死なせたくない奴の為に最後まで戦うんだろうと。
美食殿の仲間達なら、馬鹿が付くらいのお人好しなら。
見限られて当然の裏切り者を、変わらず友と見てくれた王女様なら。
危ない橋を渡り、自分の為に涙を流したエルフの少女なら。
今もずっと恋をしている、騎士の少年だったらきっと。
どんな時でも、死なせたくない奴の為に最後まで戦うんだろうと。
「だったら、あいつらの仲間のあたしが……泣き言なんて抜かしてらんないわよ……!」
ルルーシュがここにいたら、もっと良い方法で勝ったのだと思う。
自分には無理だ、あの皇帝と同じやり方が出来る程器用じゃない。
でもそれで良い、無理してルルーシュと同じになる必要も無い。
華麗な勝利なんて口が裂けても言えず、情けないくらいズタボロになっても。
自分らしく戦い抜いたなら、笑いながら言ってやるのだ。
自分には無理だ、あの皇帝と同じやり方が出来る程器用じゃない。
でもそれで良い、無理してルルーシュと同じになる必要も無い。
華麗な勝利なんて口が裂けても言えず、情けないくらいズタボロになっても。
自分らしく戦い抜いたなら、笑いながら言ってやるのだ。
「勝ってやったわよ、ざまーみろ」
黒い布が紅き鬼を捕えて離さぬ光景と、突き進む刀使を視界に収め。
やり切った笑みを浮かべたまま、音も無く崩れ落ちる。
背後で命が尽きたと、気付いて尚も沙耶香は止まらない。
拘束は長続きしない、動揺し足を止めれば全てが無意味と化す。
故に駆ける、キャルが繋いだ勝利への道を駆け抜ける。
やり切った笑みを浮かべたまま、音も無く崩れ落ちる。
背後で命が尽きたと、気付いて尚も沙耶香は止まらない。
拘束は長続きしない、動揺し足を止めれば全てが無意味と化す。
故に駆ける、キャルが繋いだ勝利への道を駆け抜ける。
(キャル……!)
本当は、あなたにも生きて欲しかった。
可奈美にも、ロロにも、タギツヒメにも。
キャルにだって、死んで欲しくなかった。
もっと一緒が良かったと、届かない想いは胸に閉じ込め、
可奈美にも、ロロにも、タギツヒメにも。
キャルにだって、死んで欲しくなかった。
もっと一緒が良かったと、届かない想いは胸に閉じ込め、
――霞の呼吸 漆ノ型 朧
「――――ッ!!」
闇檻を消し飛ばし、自ら飛び込んだ獲物を逆に仕留めんと斬り付けるも空振り。
手応えの無さは正に霞の如しだ、己のつまらぬ失態に舌を打つよりも早く。
横一文字の斬撃が走り、写シを剥がす。
いいやそれだけではない、霊体にも関わらず刃が駆ける痛みに襲われた。
斬魄刀が霊体に傷を与えられるように、荒魂を祓う御刀も悪しき魂であるホラーにはこの上ない天敵だ。
立て直す機会を与えじと、次いで斬り掛かるはユフィリア。
振り下ろしたサタンサーベルに両断される末路を、ジンガは断じて認めない。
天鎖斬月が半月を描き、魔剣を手から弾き飛ばす。
手応えの無さは正に霞の如しだ、己のつまらぬ失態に舌を打つよりも早く。
横一文字の斬撃が走り、写シを剥がす。
いいやそれだけではない、霊体にも関わらず刃が駆ける痛みに襲われた。
斬魄刀が霊体に傷を与えられるように、荒魂を祓う御刀も悪しき魂であるホラーにはこの上ない天敵だ。
立て直す機会を与えじと、次いで斬り掛かるはユフィリア。
振り下ろしたサタンサーベルに両断される末路を、ジンガは断じて認めない。
天鎖斬月が半月を描き、魔剣を手から弾き飛ばす。
「こんなもんか――っ!?」
挑発が引っ込む程の悪寒が走り、探り当てれば原因は即座に判明。
ユフィリアの片手に握られた、サタンサーベルとは異なる得物。
世紀王の魔剣は囮に過ぎず、本命は漆黒の王剣だとようやく気付いた。
どこから取り出した等を考えていては、確実に自身の命を縮めるだけ。
魔戒騎士の得物よりも質が悪い、視界に映しただけで激しく『死』を予感させる。
触れれる前に叩き落とさんと、双剣を操り、
ユフィリアの片手に握られた、サタンサーベルとは異なる得物。
世紀王の魔剣は囮に過ぎず、本命は漆黒の王剣だとようやく気付いた。
どこから取り出した等を考えていては、確実に自身の命を縮めるだけ。
魔戒騎士の得物よりも質が悪い、視界に映しただけで激しく『死』を予感させる。
触れれる前に叩き落とさんと、双剣を操り、
『バモラ!カーニバル!』
「チィッ……!」
恐竜の頭部を模した銃がエネルギー弾を発射、ジンガの抵抗を封じる。
キョウリュウレッドに変身中とはいえ、まふゆ自身の射撃能力が劇的に引き上げられた訳ではない。
イアン・ヨークランドとは雲泥の差、下手に乱射すれば味方への被弾は避けられない。
故にチャンスをじっと待った。
自分以上に上手く剣を振るえる仲間、ユフィリアに不死殺しの王剣を託し。
ここぞのタイミングで、引き金に指を掛けた。
キョウリュウレッドに変身中とはいえ、まふゆ自身の射撃能力が劇的に引き上げられた訳ではない。
イアン・ヨークランドとは雲泥の差、下手に乱射すれば味方への被弾は避けられない。
故にチャンスをじっと待った。
自分以上に上手く剣を振るえる仲間、ユフィリアに不死殺しの王剣を託し。
ここぞのタイミングで、引き金に指を掛けた。
平時であれば歯牙にもかけず、魔戒剣の一振りで打ち消すだろう光弾も。
今この時に至っては、全く以て忌々しい妨害だ。
直撃のダメージを捨て置き身を捩り、肉体を焼く熱さが駆け巡る。
今この時に至っては、全く以て忌々しい妨害だ。
直撃のダメージを捨て置き身を捩り、肉体を焼く熱さが駆け巡る。
「がぁっ!?」
だがキョウリュウレッドの銃撃以上に強烈なのは、片目を襲う激痛。
急所を斬られるのこそ回避出来たが、完全には避けられなかった。
あらゆる不死の生命をも殺す宇蟲王の力は、強靭な魔獣ホラーの生命力とて無関係。
視界の片方がブラックアウト、無事な瞳が二撃目に移るユフィリアを捉えた。
急所を斬られるのこそ回避出来たが、完全には避けられなかった。
あらゆる不死の生命をも殺す宇蟲王の力は、強靭な魔獣ホラーの生命力とて無関係。
視界の片方がブラックアウト、無事な瞳が二撃目に移るユフィリアを捉えた。
「二度目を許可した覚えはないぜ……!」
失明を瞬時に捨て置き迎撃に出るのは、流石の神の牙か。
心臓目掛け突き出したオージャカリバーを、双剣を叩き付け退けた。
如何に不死を殺すと言っても、使い手の膂力はジンガに劣る。
腕の痺れに得物を取り落とさないよう耐えるが、次に振るう機会を与えはしない。
代わりにくれてやるのは、確実な死だ。
心臓目掛け突き出したオージャカリバーを、双剣を叩き付け退けた。
如何に不死を殺すと言っても、使い手の膂力はジンガに劣る。
腕の痺れに得物を取り落とさないよう耐えるが、次に振るう機会を与えはしない。
代わりにくれてやるのは、確実な死だ。
『グレイトパトライズ!超!警察チェンジ!』
『SHOOTING BLAST!』
尤も、此度の闘争はジンガとユフィリアだけによるものじゃあない。
スーパーパトレン1号に二度目の変身を果たしたホシノ、愛銃にプログライズキーを叩き込んだセリカ。
怒れる対策委員会の少女達が、ジンガの猛威へ待ったを掛ける。
スーパーパトレン1号に二度目の変身を果たしたホシノ、愛銃にプログライズキーを叩き込んだセリカ。
怒れる対策委員会の少女達が、ジンガの猛威へ待ったを掛ける。
「っ!そういや忘れてたよ、玩具のお友達もいたんだったな!」
「アヤネちゃんを玩具呼ばわりしてんじゃないわよ!」
「私達の前から、永遠に消えろ!!」
「アヤネちゃんを玩具呼ばわりしてんじゃないわよ!」
「私達の前から、永遠に消えろ!!」
オージャカリバーへ気を取られ過ぎたか、熱線の発射を許す羽目となった。
両肩のキャノンとライダモデルを付与した弾、共に持ち得る最大火力が放たれる。
リフレクトモスとて、一定以上の威力は反射不可能と冥黒シノンが証明済。
交差させた双剣を盾に使い、焼き潰される末路の回避へ動く。
両肩のキャノンとライダモデルを付与した弾、共に持ち得る最大火力が放たれる。
リフレクトモスとて、一定以上の威力は反射不可能と冥黒シノンが証明済。
交差させた双剣を盾に使い、焼き潰される末路の回避へ動く。
「今の内に……!」
「感謝します!」
「感謝します!」
防御へ意識を割かざるを得ない状況は、チャンス以外の何ものでもない。
頷き返すユフィリアに並び、沙耶香も呼吸を練り上げ突撃。
標的が足を動かせずにいるならば、まふゆも狙い撃つ事が可能だ。
5人全員が仕掛け、決して逃がさぬ王手(チェックメイト)を掛ける。
頷き返すユフィリアに並び、沙耶香も呼吸を練り上げ突撃。
標的が足を動かせずにいるならば、まふゆも狙い撃つ事が可能だ。
5人全員が仕掛け、決して逃がさぬ王手(チェックメイト)を掛ける。
「…………」
首に刃を添えられたに等しい、絶体絶命に晒され。
ジンガは焦り出すでもなく、沈黙し少女達を順に見やる。
予想以上の当たりとの見立ては間違っておらず、現にこうも追い詰められた。
遊んでやるつもりが、手痛いしっぺ返しを食らう。
自身の命で代償を支払う末路も、あり得ぬ妄想とは言い切れない。
ジンガは焦り出すでもなく、沈黙し少女達を順に見やる。
予想以上の当たりとの見立ては間違っておらず、現にこうも追い詰められた。
遊んでやるつもりが、手痛いしっぺ返しを食らう。
自身の命で代償を支払う末路も、あり得ぬ妄想とは言い切れない。
やがて視線は一点、5人の中で最上位の実力を持つ少女へ固定。
負の感情を全て強さに変換し、これ程に己へ食らい付いた。
金色に輝く胸部装甲を纏い、怒りを籠めた灼熱を撃ち出す戦士をしかと捉え、
負の感情を全て強さに変換し、これ程に己へ食らい付いた。
金色に輝く胸部装甲を纏い、怒りを籠めた灼熱を撃ち出す戦士をしかと捉え、
「悪いが、俺を滅ぼす“黄金”はお前らじゃない」
強さは認めよう、追い詰められたのも否定しない。
だが忘れるなかれ、己が唯一敗北を認めたのは。
これまでもこの先も、黄金騎士ただ一人だということを。
だが忘れるなかれ、己が唯一敗北を認めたのは。
これまでもこの先も、黄金騎士ただ一人だということを。
「何が起きて……!?」
突如異変を察知したホシノの目には、自身が撃ち込む熱線が徐々に勢いを弱める光景。
出力を低下覚えはない、むしろ引き出せる最大レベルで発射中だというのに。
困惑が深まる中で気付く、弱まる熱線と反対にジンガが発するエネルギーが急上昇していると。
出力を低下覚えはない、むしろ引き出せる最大レベルで発射中だというのに。
困惑が深まる中で気付く、弱まる熱線と反対にジンガが発するエネルギーが急上昇していると。
ジンガが取り込んだ怪獣メダル、エースキラーの能力は異次元空間の生成だけではない。
ヤプールの手で生み出されたロボット超人には、エネルギー吸収装置が搭載されてある。
原典の世界において、ウルトラ4兄弟のエネルギーを奪い光線技を手に入れたように。
怪獣メダルの影響でエースキラーの力を得たジンガに、同じ芸当が不可能な理由はなかった。
ヤプールの手で生み出されたロボット超人には、エネルギー吸収装置が搭載されてある。
原典の世界において、ウルトラ4兄弟のエネルギーを奪い光線技を手に入れたように。
怪獣メダルの影響でエースキラーの力を得たジンガに、同じ芸当が不可能な理由はなかった。
「倍にして返すぜ!遠慮しないで受け取れ!」
「な、ん……!っあああああああ!?」
「きゃああああああっ!!」
「な、ん……!っあああああああ!?」
「きゃああああああっ!!」
パトレン1号達の放った熱線が全て吸収され、ジンガの両腕に収束。
振り回し広範囲に拡散、マズいと察し急遽回避へ動くも無駄だ。
地面が消し飛ぶ余波で吹き飛び、或いは得物を防御に回すが防ぎ切れない熱に焼かれる。
追い詰めた筈が一転、地へ横たわり呻く先の惨状の焼き直し。
振り回し広範囲に拡散、マズいと察し急遽回避へ動くも無駄だ。
地面が消し飛ぶ余波で吹き飛び、或いは得物を防御に回すが防ぎ切れない熱に焼かれる。
追い詰めた筈が一転、地へ横たわり呻く先の惨状の焼き直し。
無論、この程度で終わりにはしてやらない。
飛翔態となり浮上、二振りの得物を十字状に引き絞る。
ホラーのエネルギーと霊力、そこへ冥黒の炎もプラスし纏めてあの世行だ。
飛翔態となり浮上、二振りの得物を十字状に引き絞る。
ホラーのエネルギーと霊力、そこへ冥黒の炎もプラスし纏めてあの世行だ。
「道外とまた殺り合う為のウォーミングアップにはなった。こいつは礼だ、仲良く塵に変えてやるよ!」
「ふざ、けんな……くっ……!」
「こんなところで……!」
「わたしは、まだ…………」
「こんなところで……!」
「わたしは、まだ…………」
藻掻く声、悔し気な声、諦めを払い除ける声。
ここが死に場所と嘯くホラーへ、否を叩き付ける声。
無駄でしかないそれらを、まるでクラシック音楽でも堪能するように耳を傾け。
手を取り合い戦った小娘達の全滅で、此度の遊戯に幕を引く。
ここが死に場所と嘯くホラーへ、否を叩き付ける声。
無駄でしかないそれらを、まるでクラシック音楽でも堪能するように耳を傾け。
手を取り合い戦った小娘達の全滅で、此度の遊戯に幕を引く。
「月牙――」
放つ技は正史において、黒崎一護が到達する筈だった領域。
誰かを護る為に使われる機会は、最早永劫訪れない。
ジンガが嗤い、人間達は絶望と敗北の味を噛み締める。
確定された結末を引き寄せ、双剣を解き放つ。
誰かを護る為に使われる機会は、最早永劫訪れない。
ジンガが嗤い、人間達は絶望と敗北の味を噛み締める。
確定された結末を引き寄せ、双剣を解き放つ。
「十字……あ?」
極大の光刃に飲み込まれる、変えようのないエンディングが流れるだろうその瞬間。
ジンガが認識した異変は、二つ。
両腕を振り下ろさせまいとでも言うように、地から伸びた無数の腕が己を掴んでいること。
今正に滅びを与える筈の少女達が、影も形も見当たらないこと。
ジンガが認識した異変は、二つ。
両腕を振り下ろさせまいとでも言うように、地から伸びた無数の腕が己を掴んでいること。
今正に滅びを与える筈の少女達が、影も形も見当たらないこと。
「…………ああ、そういうことか」
心底シラケ切った声色で、気怠く頸を動かす。
見下ろす先では案の定、隻腕の男がしてやったりと笑っていた。
見下ろす先では案の定、隻腕の男がしてやったりと笑っていた。
「残念だったな、思い通りにいかなくてよ……」
出血の止まらない腹部を押さえながら、リュージは笑みを崩さない。
手元に残った薬草を全部使っても、多少の延命が関の山。
都合良く完全回復可能なアイテムや、異能を持った助けが現れる気配も無く。
これは死んだなと理解するのに、時間は掛からなかった。
手元に残った薬草を全部使っても、多少の延命が関の山。
都合良く完全回復可能なアイテムや、異能を持った助けが現れる気配も無く。
これは死んだなと理解するのに、時間は掛からなかった。
だが死が避けられないからといって、何もやれない訳じゃない。
クラスカードを使いジンガを拘束、剣を振るうまでの時間を少しでも遅らせた。
そこへもう一つ、アンクが遺したムツギの転送術を発動。
折角合流で来たろうに分断させて申し訳なく思うも、生きてるだけマシということで大目に見て欲しい。
術を使った本人は効果の対象外、というのが意地の悪い仕掛けだ。
クラスカードを使いジンガを拘束、剣を振るうまでの時間を少しでも遅らせた。
そこへもう一つ、アンクが遺したムツギの転送術を発動。
折角合流で来たろうに分断させて申し訳なく思うも、生きてるだけマシということで大目に見て欲しい。
術を使った本人は効果の対象外、というのが意地の悪い仕掛けだ。
(長生き出来た方、なのかもしれねぇな……)
嘘を吐いてるか否かが分かるだけのクソ異能(シギル)しか持たない男が、よくまあ化け物揃いのデスゲームで10時間以上も残れたものだ。
残念ながら運は全て使い切り、次の脱落者発表へ晴れて自分も仲間入り。
残念ながら運は全て使い切り、次の脱落者発表へ晴れて自分も仲間入り。
進んで死にたい訳ではなかったが、強い後悔を抱いて死なないだけ恵まれてるのだろう。
弟を殺したクソ野郎に復讐し、過去に決着を付けた。
会って間もない自分を本気で助けようとする奴に出会い、仲間と呼べる連中とクランを結成した。
デスゲームでは躓く事の方が多かったが、それでも共に戦う参加者とここまでやって来れた。
王の眉間に銃弾をぶち込めればそれで構わないと突っ走った頃を思えば、上等な結末だろう。
弟を殺したクソ野郎に復讐し、過去に決着を付けた。
会って間もない自分を本気で助けようとする奴に出会い、仲間と呼べる連中とクランを結成した。
デスゲームでは躓く事の方が多かったが、それでも共に戦う参加者とここまでやって来れた。
王の眉間に銃弾をぶち込めればそれで構わないと突っ走った頃を思えば、上等な結末だろう。
(悪いなボス。生憎そっちにゃ帰れねぇ)
弟の仇を討つ為の即席クランがいつの間にか、居心地の良い居場所になった。
帰れないのは残念だが、カナメ達なら自分抜きでも大丈夫な筈。
エイス壊滅を気に一皮剥けたSレーベンズのリーダーに、後は任せよう。
帰れないのは残念だが、カナメ達なら自分抜きでも大丈夫な筈。
エイス壊滅を気に一皮剥けたSレーベンズのリーダーに、後は任せよう。
「まさか、二度もつまらない真似されるとはなぁ」
「余裕ブッこいてるからこうなるんだよ……笑ってみろやクソ野郎……」
「余裕ブッこいてるからこうなるんだよ……笑ってみろやクソ野郎……」
血を吐き捨て中指を立ててやると、向こうは途端に冷え切った空気へ。
全身から噴出させた黒炎が腕を焼き、構えた両手を振り下ろす。
わざわざトドメを刺さずとも死ぬというのに、無駄にサービス精神旺盛だ。
降り注ぐ十字の光を見上げ、想いを馳せるは出会った多くの者達。
全身から噴出させた黒炎が腕を焼き、構えた両手を振り下ろす。
わざわざトドメを刺さずとも死ぬというのに、無駄にサービス精神旺盛だ。
降り注ぐ十字の光を見上げ、想いを馳せるは出会った多くの者達。
弟や可奈美とまた会えるなど、自惚れてはいない。
人殺しらしく、行くべき場所へ落ちるだけだ。
向こうに着いた途端に見知った奴からアイスを要求される、とでもなったら流石に笑うしかないが。
人殺しらしく、行くべき場所へ落ちるだけだ。
向こうに着いた途端に見知った奴からアイスを要求される、とでもなったら流石に笑うしかないが。
けれどもし、願っても許されるなら。
「死ぬなよ、お前ら……」
今も生きて戦う者達が、すぐに自分の後を追わないようにと。
元いた場所へ帰れるようにと、それだけを想い。
視界全てが白く染まる程の輝きへ、飲み込まれていった。
元いた場所へ帰れるようにと、それだけを想い。
視界全てが白く染まる程の輝きへ、飲み込まれていった。
| 205:大天使戦役・Ⅲ章 -空を彩る死の青は- | 投下順 | 205:大天使戦役・Ⅴ章 -What's your FIRE- |
| 時系列順 | ||
| イザーク・ジュール | ||
| 黒見セリカ | ||
| 桐藤ナギサ | ||
| 龍園翔 | ||
| 伏黒甚爾 | ||
| 前坂隆二 | ||
| セレブロ | ||
| ジンガ | ||
| 小鳥遊ホシノ | ||
| 激怒戦騎のドゴルド | ||
| 柊真昼 | ||
| トランクス | ||
| 鳩野ちひろ | ||
| 繰田孔富 | ||
| 柊シノア | ||
| アストルフォ | ||
| 朝比奈まふゆ | ||
| ユフィリア・マゼンタ | ||
| 糸見沙耶香 | ||
| キャル | ||
| 緑谷出久 | ||
| パラド |