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第四回放送

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第四回放送 ◆EboujAWlRA



やあ、皆。
今回の放送で四回目の放送……つまり、これで丸一日だね。
こちらが提示した情報を見た人たちもかなりの数が居るよね。
でも、忘れないでほしい。
これは殺し合いで、殺し合いはまだ終わってなんか居ないってことをね。
まあ、その心配は要らないかな?
なにせ君たちは、僕の想像よりもよっぽど上手に殺し合ってくれているんだから。

……少しお喋りになってしまったかな。
ごめんね、僕も少し興奮しているのかもしれない。
皆はもっと聞きたいことがあるよね。
そう、禁止エリアと死亡者だね。

それじゃあ、禁止エリアの発表に移るよ。

G-3

B-8

E-5

これが次の禁止エリアだよ。
無造作に選んでるように見えるかもしれないけど、これでも色々と考えているからね。

じゃあ、次は死者の発表。


以上、この十二人が前の放送からの六時間で死んだ参加者。
これで八割の人間が死んでしまったことになるけど、ある意味ではここからが本番だからね。
君たちが希望を紡ぐのか、それとも絶望を呼ぶか……それは君たちが重ねてきた選択が運んでくる。
そう、これで一つの答えが出る。
その先にまた新たな選択が強いられるかもしれないけど、それが人生というものだからね。

それじゃあ、夜明けを見れるのが何人なのか……僕も楽しみしてるよ。

頑張ってね、みんな。


   ◆   ◆   ◆


「人間とは弱いものだ……」

円卓には四人と一体の人形が並んでいた。
コード所有者、V.V.
怪人、志々雄真実
百年の魔女、古手梨花
孤独な人形、薔薇水晶
死の商人、武田観柳
この四人の前には上等な牛肉が人数分だけ並べられている。

「口では理想を語るが、結局は三つのものの前では獣と同じ。
 金のため、快楽のため」

武田観柳は右手で五つのグラスにワインを注ぎながら、左手で数えるように指を一本ずつ折りながら呟く。
ワインレッドの名に相応しい赤ワインが、グラスに満たされていく。
このワインはV.V.の用意したものではなく、観柳がV.V.の部下に用意させたものだ。
観柳にはそれを可能とする程度の権威が与えられていた。

「そして、自分のため……では、乾杯」

観柳はワインを注ぎ終えると、素っ気ない言葉で乾杯の音頭を取った。
そして、観柳は目の前のビーフステーキへとナイフを滑らせる。
ひと目で上等な肉と分かるそのステーキ肉は、ゼリーやプリンかと勘違いするほど簡単にナイフが沈み込んだ。
観柳は脂の乗ったビーフステーキをハムハムと咀嚼し、赤ワインを口に含む。

「このワインは肉によく合いますな」

その味に満足したのか、観柳は自身の細い目をさらに細める。
志々雄と違い、すでに観柳は二十一世紀の暮らしに順応しているようだった。

「何よりも人の金で食べているという事実がいい、箸がこれ以上なく進む」

観柳は今までのV.V.の協力者とは少々違っていた。
苛立ちに襲われ続けていた鷹野とも。
紳士を装いながらもその奥底を一切見せないラプラスの魔とも。
一切の感情を見せずにV.V.に従っている薔薇水晶とも、誰とも違う。
観柳はいわゆる『俗欲』というものに溢れた協力者だった。

「……なんのつもりよ」

そんな観柳に対して、鷹野三四によって強制的に『観客』とされた古手梨花の表情は冴えなかった。
先ほど、梨花の最後の友人である竜宮レナが死んだ。
また、時を同じくして鷹野も死んだ。
鷹野の死に爽快感などない、ただひたすら後味の悪い終わりだ。

「お嬢様にはジュースでも出したほうがよろしかったですかねぇ?」
「ッ!」

そんな梨花に浴びせられるものは観柳の嘲りだった。
梨花は観柳を鋭く睨みつけ、作法もへったくれもなくワインを豪快に飲んでいく。
グラスの中にあった赤ワインは見る見るうちに姿を消していく。

「品のない……お里が知れますな」

観柳はニヤつきながら言い放つ。
その笑みは圧倒的な優位に立つ者だけが浮かべることの出来る笑みだ。
梨花は苛立ちを隠そうともせずに、ワイングラスをテーブルへと乱暴に叩きつけた。

「なんで私をまだ拘束しているのかって聞いているのよ!」

今の梨花には怒りしかない。
あまりにも悪趣味な催しを見せ続けられているのだから当然だろう。
古手梨花の友人は全員が死んだ。
古手梨花が『観客』となることを望んだ鷹野三四ですら死んだ。
今、梨花がここに居る理由も、ここに居ることを望む人物も死んでしまったのだ。

「ふぅ……あまりギャーギャーと喚くものじゃありませんよ」

梨花の激昂を真っ向に受け止めた人物は観柳だった。
観柳の顔に張り付いていた笑みは消えており、鋭い表情で梨花を睨み返す。

「命がなけりゃワインも飲めんぞ?」
「あんまり梨花をイジメたら可哀想だよ、観柳」

そこでようやくV.V.が口を挟む。
観柳は演技がかった様子で肩をすくめ、再び牛肉にナイフを滑らせる。

「梨花の言いたいことはわかるよ。
 鷹野が死んでしまった以上、僕らに君を拘束する理由はない」
「だったら!」

梨花の言葉に対して、V.V.はワインを一口だけ飲んでから応える。

「だから、君に任せようかと思うんだ」
「……君?」

梨花は思わず振り返るが、そこには人影はない。

「梨花、君って言ってるんだから君のことだよ」
「……私が決める?」
「このまま帰るのか、ここで僕たちと一緒に結末を見守るのか。
 それを君に選んで欲しいんだ」

V.V.の言葉を聞き終えると、梨花は視線を落とした。
テーブルに敷き詰められた料理に目をやっているわけではない。
梨花の脳裏には視覚が伝えてくる情報ではない。
この場でただ黙って見つめるしか出来なかった惨劇の記憶が蘇っているのだ。
シャナという超人に無残に殺された園崎魅音
東條悟という狂人に身勝手な理由で殺された北条沙都子

「私……私は……」
「自分の為となれば……二つとない命のためとなれば人も獣と一緒。
 貴方もそれを見てきたでしょう?」

梨花の回想を邪魔するように観柳が口を挟む。
観柳の言葉によって脳裏をよぎった人物は二人の友人である。
消極的にではあるが、恐怖によって最後まで殺し合いに乗った前原圭一
北条悟史の死によって他者への殺意を向けた園崎詩音
いや、それだけじゃない。
梨花の濃厚な記憶の中には自己を満たすためだけに動いている人々の姿も存在しているのだ。

「無償の愛情だとか永遠の友情だとか……ま、それもいいでしょう。
 そんな金にならないものに重きを置くのも個人の自由。
 ですが、明治に限らず世の中ってものはしごく現金なものですからねぇ。
 そんなものだけじゃ飢えもしのげなきゃ娯楽も楽しめない、自分の命だって守ってくれやしない」

そんな梨花の心中を覗きこんだように、観柳は言葉を続ける。
観柳の言葉に深い意味は無い。
ただ、目の前の少女の心を痛めつけることで自身の心を満たそうとしているだけだ。

「数えきれないほど人生を繰り返してるっていうのなら、いい加減楽しい生き方って言うものを覚えましょうや」

観柳の言葉は梨花にも思い当たるところはある。
この地で、その人の善意というものを求めて呼びかけた北条悟史はすぐに死んでしまった。
雛見沢の地で、梨花が観柳の言う『金』にならないものを追い続けても何度もその希望を潰された。

「私は……私は、ここに残るわ」

だが、同時に梨花は覚えている。
この場に置いても、竜宮レナが狭間偉出夫の心を変える一端を担ったことを。
雛見沢に置いても、観柳の言う『金』にならないものが梨花の脚を進ませたことを。

「レナが残したものを最後まで見届けたい……なによりも、私は貴方たちが気に入らないもの」
「うん、そうしてくれると僕も嬉しいよ」

しかし、V.V.は梨花の決意の言葉を軽い言葉で簡単に流す。

「出来る限りのおもてなしはするからね」
「別に要らないわ」

梨花はV.V.と視線を交錯させる。
梨花はV.V.の真意を測ろうとするが、その真意は一向に見えてこない。
それでも梨花はここに残ると決めた。
竜宮レナが狭間偉出夫に希望を託した、その結果を梨花は知りたい。

「ただ、一本だけもらっていくわよ」

だが、今はこの場には留まることはしない。
梨花はワインを丸々一本片手に持って、残りの三人と一体に背中を見せた。
梨花の足取りは重々しかった。
梨花は残ると言ったが、自分が残って一体何ができるのだという気持ちも当然あった。
所詮ただの少女だ、この殺し合いの打破をサポートできる奇跡の力などあるわけがない。

「それでも、私は……!」

圭一を追い詰めたものを。
レナが残したものを。
魅音の命を奪ったものを。
沙都子を残酷に殺したものを。
詩音の全てを翻弄したものを。
悟志が破ろうとしたものを。

そんな、殺し合いに対して何も出来ずに逃げ帰るという選択だけは出来なかった。
観柳は『何度も人生を繰り返してきた』と言ったが、本当はそんなものじゃない。
梨花は繰り返しているのではなく、続けているだけだ。
楽な生き方よりも、もっと欲しい物がある。

毎日が宝石のように輝いていたあの日々を無為にすることが出来ない。
梨花にとって、あの日々はかけがえのない宝物だから。


   ◆   ◆   ◆


「では、私も失礼しますかね」

梨花に続くように観柳が席を立つ。
布巾で口元を丁寧に拭くその姿は紳士そのもの。
だが、この観柳の胸の内はどす黒い欲望だけが渦巻いている。

「さて……」

観柳は緩んでいる心を引き締めるように、顔を無表情なものへと変化させた。
そして、ある場所へと足を向ける。
そこにはV.V.から与えられたものが眠っている。

「フ、フフ……!」

引き締めた顔から思わず笑みが溢れるほど、観柳は梨花と対照的に興奮していた。
もっとも、拉致同然に連れて来られた監禁されていた梨花とでは待遇が違うのだから当然であるが。
ある場所へと辿り着き、その扉を開ける。
そこにはあるものが眠っている。
観柳が使うことを許された、未来の兵器が眠っているのだ。

「……悪魔、召喚プログラム!」

その名は悪魔召喚プログラム。
悪魔召喚の儀式に必要な作業をコンピュータで単純化した情報を発信する。
本来ならば必要である緻密な作業を全て不要にする、画期的なプログラムだ。
そして、その召喚の儀式を受信した悪魔は、『生体マグネタイト』と呼ばれる未知の物質をタンパク質などに変化させて肉体を構築させる。
悪魔召喚の儀式と同じく、召喚された悪魔は召喚主に従うのだ。

「こいつを……ク、クク……!」

悪魔召喚プログラムとはあくまでソフトである。
ソフトを起動させるハードさえあれば、誰もが使うことが出来る。
特別な力を持たない観柳でも扱うことが出来るのだ。

(このプログラムで悪魔どもを召喚する。
 そして、私の命令だけを聞く悪魔どもを潜ませるのだ……何処に?
 日本中に……いや、世界中に!
 悪魔の力で富や力を支配すれば……!)

観柳はその薄い頬を歪ませる。
人はそこまで汚い表情が出来るのかと思うほど、その表情は貪欲に富を求めていた。

「観柳帝国だ……!」

笑いをこらえる観柳の足取りは軽かった。


   ◆   ◆   ◆


「志々雄、君はどうするんだい? バトルロワイアルの会場に戻ろうとは思わないのかい?」
「変わらず、状況次第で対応って言ったところだ」

新たに手に入れたカードを収めたライダーデッキを触りながら志々雄は応える。
志々雄が望めば会場に舞い戻ることもできる。
このままV.V.とともに主催側と対話を続けるか。
それとも、会場に舞い戻って殺し合いに復帰するか。
その選択権は志々雄の手に委ねられている。

「俺としては殺し合いやあのガキよりも、そっちの人形が気になるんだがな」

志々雄の視線は一度も梨花に向いていなかった。
ただ、獣のように、今にも喰らいつくんばかりに薔薇水晶へと向けられている。

「ローゼンメイデン、だったか?」
「私は……ローゼンメイデンじゃないわ」

薔薇水晶は寡黙を保ったまま、志々雄と視線を交錯する。
人形そのものといった色のない瞳を見て、志々雄は笑みを深めた。
志々雄が出会ったローゼンメイデンは翠星石だけだが、その翠星石と決定的に違う何かを感じたのだ。

「私はローゼンメイデンを超えるだけ……それだけ」
「じゃあ、あの石はどうなんだよ。ローザミスティカだ」
「私にはローザミスティカはない」

相変わらず目の前の食事には手をつけず、義務的に薔薇水晶は応え続ける。
志々雄は言葉を投げかけるのをやめ、じっと薔薇水晶を睨みつける。
対して、薔薇水晶も志々雄の視線から目を逸らさずに受け止める。

「……フッ、世の中ってのは面白いもんだなぁ」

志々雄の脳裏には様々なものが渦巻いている。
ローゼンメイデンとローザミスティカ。
仮面ライダーとライダーデッキ。
世紀王とキングストーン。
アルターと向こう側の世界。
錬金術という秘術。
悪魔という化け物。
銃や剣よりも恐ろしい異端の兵器を、志々雄は知ってしまった。
そして、知ってしまった以上は求めずにいられない人間が志々雄だ。

「面白い、かい?」
「……」
「お前は欲しくねえのか、力がよ」

志々雄に特別な過去があったわけではない。
ただ、修羅と修羅が刃を交える地獄で生き続けただけだ。
だからこそ、力という美酒に酔い、さらなる力を求めているのだ。
この場における三村信史のように、酔い潰れるその時まで力を求めることは人の性である。
新たなる美酒を知ってしまった以上、志々雄がさらにそれを求めることは当然であった。

「その力を手に入れるためにも、君は勝たないといけないね」

志々雄と薔薇水晶の間にV.V.が口を挟む。
その目からV.V.の真意をうかがうことは出来ない。
巧みに心を隠しているのだ。

「君はあくまで会場から抜けだしただけで、殺し合いから抜けだしたわけじゃない。
 会場で一人になれば僕らはその一人をこの場に呼んで、君と殺し合わせる。
 この殺し合いは『六十四人の死』が成された時にしか終わらないんだからね」
「そんなことはわかっているさ」

余裕ぶるV.V.を前にしても、志々雄は笑みを消さない。
志々雄の目的はV.V.の持つ全てを奪い取ることだ。
決してV.V.は味方ではない。
V.V.を殺して全てを奪い取る、もしくは志々雄の膝下へと従属させるその瞬間まで敵なのだ。
そして、その敵であるV.V.は志々雄の物理的な手札を把握している。
だからこそ、目に見えない心理だけは悟らせてはいけない。

「まあ、楽しくやろうや。まだ祭りは終わってないんだからな」


【一日目第四回放送/???】

【志々雄真実@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】
[装備]:サバイバルナイフ@現実、ヒノカグツチ@真・女神転生if...、サバイブ(烈火)@仮面ライダー龍騎
[所持品]:支給品一式×3、リュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎、確認済み支給品0~3(武器ではない)、林檎×8@DEATH NOTE、鉄の棒@寄生獣
     マハブフストーン×4@真・女神転生if…、本を数冊(種類はお任せ)、工具@現実(現地調達)、首輪の残骸(銭形のもの)、首輪解除に関するメモ
[状態]:各部に軽度の裂傷、疲労(小)、首輪解除済み
[思考・行動]
1:ぶいつぅの掌の上にいる。(飽きるまで)
2:気が向いたらガリア王国のジョゼフを持て成す。
3:可能なら武田観柳を利用する。
[備考]
※クーガー、C.C.、真司らと情報交換をしました。ギアスとコードについて情報を得ました。

【古手梨花@ひぐらしのなく頃に
[装備]無し
[支給品]無し
[状態]健康
[思考・行動]
1:殺し合いを最後まで見届ける。
※銀髪の少年により『鷹野三四に従え』というギアスをかけられています。


時系列順で読む


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160:因果応報―始まりの終わり― V.V. 163聖少女領域/薔薇獄乙女
志々雄真実 163:聖少女領域/贖罪か、断罪か
薔薇水晶
武田観柳 164:3/5
150:2nd STAGE 古手梨花



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