エドナ「
アリーシャ」
アリーシャ「はい、なんでしょうエドナ様?」
エドナ「いい加減にしなさい」
アリーシャ「え?」
エドナ「わからないの? 反省しなさい」
アリーシャ「も、申し訳ございません」
エドナ「お詫びにノルミンダンスを踊りなさい。フェローバージョンで」
アリーシャ「え? エドナ様? ふぇろーバージョンとは……」
エドナ「踊れないの? 反省しなさい」
アリーシャ「も、申し訳ございません」
エドナ「お詫びにリスリスダンスを踊りなさい。フェローバージョンで」
アリーシャ「え? エドナ様? ふぇろーバージョンとは……」
エドナ「わからないの? 反省し――」
ミクリオ「エドナ……さっきからなにやってるのさ?」
スレイ、
ライラ、ミクリオがやってくる
エドナ「わからないの?」
ミクリオ「反省はしないよ」
スレイ「さすがに見かねたっていうか……っていうかフェローって……」
ライラ「あ、エドナさんもしかして……」
エドナ「この娘が悪いのよ」
アリーシャ「で、ですがエドナ様。私のノル力(のるりょく)では、まだノルミンダンスを完全に踊ることすらできません」
アリーシャ「リスリスダンスもフワフワバージョンを覚え始めたばかりですし……」
アリーシャ「それにフェローバージョンというのはまだ習っていない気が……」
エドナ「言い訳するの? 反省しなさい」
アリーシャ「も、申し訳ございません」
エドナ「お詫びにフェローの意味を言って御覧なさい」
アリーシャ「え? 古代語か何かですか? その、ライラ様。よろしければ教えて――」
ライラ「火鳥招来!」空に天紅を放つライラ
アリーシャ「……ら、ライラ様の誓約に触れてしまう事なのですか!?」
スレイ「いやいやぜんぜん違うって」
ミクリオ「ライラ、悪ふざけはよしなよ」
ライラ「申し訳ございません」
スレイ「アリーシャ、フェローって言うのは古代語で仲間って意味だよ」
アリーシャ「仲間?」
エドナ「だから言ったでしょ。あなたが悪いって」
アリーシャ「も、申し訳ございません。ですが、どうすれば……」
スレイ「つまりエドナは、仲間なんだからもっと気軽に接しろって言いたいんじゃないかな?」
ライラ「わかりづらすぎですけど……」
ミクリオ「しょうがないよ。エドナお嬢様は面倒な――」
エドナ「グサグサグサグサグサグサ」傘でミボをみだれ突き
ミクリオ「痛っ! いちいち傘でつつかないでくれ!」
エドナ「そう、自分がつつきたいの? 乙女の柔肌を」
ミクリオ「断じて違う!」
ライラ「ミクリオさん! 穢れますよ!」
スレイ「あはは……と、とにかく様付けとか敬語をやめてみたら?」
アリーシャ「ええっ!? 無茶を言うな! そ、そんなの無理に決まっているだろう!」
ライラ「それですわ。スレイさんと同じように接すればいいのです。というよりも、スレイさんだけずるいですわ」
ミクリオ「確かに、仲間なんだから遠慮しなくてもってエドナ! いい加減につつくのをやめてくれ!」
エドナ「そう、やっぱりワタシをつつきたいのね」
ミクリオ「だから断じて違う!」
ライラ「ミクリオさん、穢れてますの?」
ミクリオ「穢れてない!」
アリーシャ「と、とにかく。私にはそんなの無理です! 天族様を呼び捨てとか、敬語を取るとか……」
エドナ「……そう、結局はそうなのね。ワタシの事を仲間と認めてくれてないのね」傘を差してアリーシャに背中を向ける
アリーシャ「え? エドナ様違います! そんな、恐れ多いといいますか……」
エドナ「いいのよ。無理しなくて。ワタシみたいな口も性格も悪い美少女となんて仲間になりたくないわよね」
スレイ「よく回る口だなぁ」ミクリオにぼそぼそと
ミクリオ「本当にいい性格してるよ」スレイにぼそぼそと
アリーシャ「いえ、そうではなくてですね。え、エドナ様……」
エドナ「無理しなくていいって言ったわ」
アリーシャ「違うんです! え……エドナ!」一同ハッとする。エドナは背中を向けたまま
ライラ「アリーシャさん、今……」
スレイ「呼び捨てにできたじゃないか」
ミクリオ「まだ敬語は取れてないけどね」
アリーシャ「よ、呼べました……あ、あの……」
エドナ「………………ま、ギリギリ合格ね」傘で顔を隠したままアリーシャに振り返る
エドナ「ほめてあげるわ、アリーシャ」イヤよのときの顔でアリーシャに笑いかける
アリーシャ「は、はい! ありがとうございますエドナ様!……あ」
エドナ「……………………」キ・エ・ロのメンチ顔でアリーシャをにらむ
エドナ「あなた、ワタシを馬鹿にしてるの?」
アリーシャ「いえ、決してそのような事は……」
エドナ「言い訳するの? 反省しなさい」
アリーシャ「も、申し訳ございません」
ミクリオ「結局こうなるのか……」
エドナ「お詫びにノルミンダンスの練習をしておきなさい。マオクスバージョンの」
アリーシャ「……え? マオクスバージョンですか? ですが、それもならっていませんが……」
エドナ「どういうのがマオクスバージョンなのかは自分で考えなさい。あなたならきっとうまく踊れるわ」
アリーシャ「……は、はい! 頑張ります、エドナ!」マオクス=アメッカになりながら返事
スレイ「やれやれ」
ミクリオ「本当にめんどくさいな、エドナお嬢様は」
エドナ「それと、むこうにいって呼び捨ての練習もしておきなさい。ミボが付き合ってくれるそうよ」
ミクリオ「何で僕が!?」
スレイ「いいじゃん、ミクリオ」
ミクリオ「まぁ、呼び捨てになれるのはいいことだし文句はないけどね」
エドナ「頼んだわよミボ」
アリーシャ「よろしくお願いします、ミボ!」
ミクリオ「それだけは絶対にやめてくれ!」三人がエドナから離れていく。残ったのはエドナとライラ
エドナ「なによ。なんかようなの?」
ライラ「いえいえ。エドナさん、ずいぶんと勇気を振り絞ったのですね」
エドナ「言ったでしょ、あの娘が悪いって。文句あるの?」
ライラ「文句なんてありません。アリーシャさんを近くに感じられて嬉しいですわ。わたしも呼び捨ての練習に参加してきますね」
むこうから「ミボじゃない!」との声が聞こえてきている
エドナ「ワタシは興味ないわ」
ライラ「ふふ……」ライラがエドナから離れるが、立ち止まって振り返る
ライラ「エドナさん、本当にありがとうございます。エドナさんは人間が嫌いって言ってましたから、
アリーシャさんと仲良くなれるか不安だったんです」
エドナ「別に……」傘を差してライラに背を向ける
エドナ「あの娘のおかげで……少しだけ人間が好きになっただけよ」