テンプレより
●特別賞 「終わる世界の物語」 宇野 涼平(うの・りょうへい)
新井素子先生
特別賞の『終わる世界の物語』。主人公四人の友情物語として読むと、実はこれ、結構よくできた作品だと思う。決める処は決まっているし。
ただ、決定的に、世界設定が変。戦争にリアリティなさすぎっていうか、この設定なら、主人公グループ、しょっぱなから死んでるだろうし、日本は滅びている筈。
稲垣理一郎先生
戦場シーンの描写は面白いです。臨場感もある。ただやってること自体は、よくある能力バトルなのが残念です。
冒頭、キャラをいっぺんに出し過ぎて、彫り込みが足りません。だがヒロインの方向性には、オリジナリティーを感じます。
指揮官萌え、みたいな独特のジャンルが作れる人なのかも。
高橋良輔先生
濃密な人間関係で物語は進むが、その人間関係の濃密さにリアリティーが感じられない。
『Draglight/5つ星と7つ星』と同じくこの事態を世界はどう見てどう対処しているのかという視点が一切ないのは気になる。
物語終盤に『辻褄合わせ』という重要言語が出てくるがこの小説そのものが全般に“辻褄合わせっぽく”なっているのが残念だ。文章のテンポは心地よい。
中村航先生
描きたいキャラクターやシーンを描くために、それ以外のことは強引に進めてしまおう――、というのを、思い切りの良さと取るか設定の浅さと取るかは、意見が分かれるところだろう。
気持ち良くストーリーが進んでいるうちはいいが、そうでもないときに、やはり物足りなさを感じることもある。
描いているのが半径数キロの世界だとすれば、その中だけでも、もう少し地固めがなされれば、一段も二段も深い小説になると思う。
堀井雄二先生
戦場と学校をひたすら往復している印象が強く、世界観の広がりが今ひとつ伝わってこない。戦闘シーンにも強い説得力はない。
主人公たちが友情を深める話に、この設定が本当に必要だったのかと思う。ただ最後に小説として、きちんとしたエンディングが用意されていたのは良かった。
送還直前即興曲R レビュー
ある事情で異世界に召還された主人公が、元の世界に帰る方法を探すうちに、その世界全体の命運を賭けた戦いに巻き込まれていく。
こういった形でストーリー展開を抜き出せば、よく言えば王道だが、ともすればありきりたりでオリジナリティが薄いとも言えるものである。
しかし、このシナリオではライトノベル的でプレーヤによって好き嫌いが分かれそうな部分だが、2人の軽快な掛け合いによる会話などは>このシナリオならではの魅力となっており、ストーリー的にもむしろアルクとユウの2人の物語こそがメインである。
ストーリー構成を見ると、序盤は異世界の世界観や用語、現在の状況などの説明がメインであり、説明自体はくどすぎることもなく、世界観を受け入れられた。
ただし、異世界のはずなのに言葉が問題なく通用する理由等の描写が無かったり、異世界の人間が日本の故事成語を口にしたりするあたりは若干の違和感があった。
また、状況説明は丁寧なものの、その分話の展開は遅く、メイン2人の掛け合い以外にプレーヤーを引きつけられる要素が薄く感じられた。キャラクターの性格が肌に合わないプレーヤーに対しては、ストーリーでプレイを継続させる魅力にやや欠けるように思える。
中盤で、敵勢力が見えだした辺りからは、ストーリーも大きく動き出し、断片的に掲示されるアルクの過去に関する情報等とあわせて、先を知りたいと思わせる展開になっていく。ここで好感度によるルート分岐があるが、基本的にアルクとユウの立ち位置が入れ替わるだけでストーリー的な変化はほとんど無いため、以下は特に分岐のことは触れずに書く。
そして12話においてこのシナリオ最大の山場を迎える。展開自体はまさに王道といえるものだがここまで積み重ねて来られた二人の描写があるからこそ、アルクとユウの二人がお互いに影響を及ぼし合って変わって来たということが感じられ、説得時の台詞が重みを持ってくる。
ただし、ここで大きく盛り上がって二人の関係がほぼ完成しきってしまった結果これ以降の展開においてアルクとユウの関係性という本来の焦点から外れストーリーのピントがぼけてしまったように感じられる。13話でのそれまで内面描写の殆どなかったロウに関する唐突なエピソードの挿入や、終盤でのラスボスの心情描写や抽象的な言葉での問答の繰り返しなどは個別の要素としての出来はともかく、アルクとユウの物語という観点で見れば不要な部分が多かったように感じられた。
ストーリーの本筋がアルクとユウの物語を描くことにあったのならばもっと大胆に削ぎ落とせる部分は削った方がよかったのではないだろうか。
そうした多少気になる部分はあったものの最後の選択肢とそこから導かれるアルクハッピーエンドの内容は、まさにこのアルクとユウの物語を締めくくるものとして、非常に満足の行く清々しいラストだった。
ひとつの物語を描き切って完結した作品として心から賞賛したい。
ストーリー構成を見ると、序盤は異世界の世界観や用語、現在の状況などの説明がメインであり、説明自体はくどすぎることもなく、世界観を受け入れられた。
ただし、異世界のはずなのに言葉が問題なく通用する理由等の描写が無かったり、異世界の人間が日本の故事成語を口にしたりするあたりは若干の違和感があった。
また、状況説明は丁寧なものの、その分話の展開は遅く、メイン2人の掛け合い以外にプレーヤーを引きつけられる要素が薄く感じられた。キャラクターの性格が肌に合わないプレーヤーに対しては、ストーリーでプレイを継続させる魅力にやや欠けるように思える。
設定に関してですが、オリジナルの世界感を出そうとしているのはわかるのですが、六紡均衡など、まず設定ありきの考えで説得力がありません。
なぜ各属性同士がいがみあっているのか、均衡が保たれているのか、作品中の解説では(少なくとも私は)納得いくものではありませんでした。
江戸時代のようなイメージで設定されたのかと思われますが、江戸時代は参勤交代で各大名の経済力を削いだり人質を取ったり、様々な幕府の施策で均衡が保たれていたわけで、そういったリアリティが感じられず、マンガの長期連載作品の妙な後付け設定のようになってしまっています。
作中で「徒歩で2、3日で目的地に着く」というセリフがありますが、同時に出された地図を見ると世界の端から端まで一週間もあれば行けてしまうような気が……。
いくらなんでも狭すぎじゃないでしょうか。
時速4kmほどでしょうから、一日大体10時間移動に費やしても40km。大体100kmほどでしょうか?一都六県より狭いぐらいです。
一つの国だけならばともかく、一つの世界でこんな狭いというのはこれまたリアリティが無いのではないでしょうか。
世界ではなく、この国一国の地図である、という風にしておけばさほど不自然ではないかと思いますが、そうすると今度は地図を見る限り地続きになっている他の国はどうなんだという事になりそうです。
非常に強大な力を持つ魔道士ですが、設定上、一部の人間に生まれながらにして与えられる力となっているので、当然隣国も多少なりとも魔力を持った人間が生まれるはずです。
六紡均衡のような危うげなシステムを持つ国ではすぐに攻め入られてしまいそうなのですが……。
長々と書いてしまいましたが、練り込みが足りねぇって事です。
- これらの問題点はほぼそのままPSO2にも当てはまる。
- 六芒均衡のおかしさ。世界観の狭さ(1惑星が地球並の広さを持つと考えれば、森林と凍土だけでなくもっといろいろな環境があってもよいし、そもそも銀河航行船団なのに起きる問題がご近所レベル……など)
- これほどまでに厳しく批評されてもなお、直す素振りは見えない……(「練り込みが足りねぇって事です」等、やんわりと表現せず叩いてる点は置いといて)
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最終更新:2021年03月21日 16:28