地下妄の手記
第二章 足元に広がる嘘 ⑧
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第二章 足元に広がる嘘 ⑧ 東池袋の地下施設(その1)
要塞本66頁
東池袋の地下施設
地図を意図的に改変することを改描という。その大半は地図上の文字や記号を暗号化し、地下
の情報を書き入れるもので、敵国に情報を与えないことを主眼としていた。二〇世紀の初頭、世
界の主要国は改描の腕を競っていたといわれ、旧東側諸国や中東、東南アジアでは、いまでも改
描が行われている。
改描の例が「大正・昭和 東京周辺1万分1地形図集成」(柏書房刊)の解題「東京を中心とした地形図類の作成について」(清水靖夫著)に「図13 虚偽の表現」としてのっていましたので、一寸拝借。
御覧になって判るように、「その大半は地図上の文字や記号を暗号化し、地下の情報を書き入れるもので、」はありません。
第一、地形図と言うのは元々地表の形態を記号的に認識できるようにするものであって、素のままでは「地下の情報」など記述されていませんから、わかるものではありません。従って、素のままであれば、改描するまでも無く「敵国に情報を与えない」はずです。
「地図上の文字や記号を暗号化し、地下の情報を書き入れ」それを持って改描と言うなら、改描された地図からは、もともとの地図では読み取れなかった、「地下の情報」が読み取れるようになってしまいます。
申し上げている通り、地形図と言うのは元々地表の形態を記号的に認識できるようにするものであって、上の改描も単純に地図上から淀橋浄水場を消す事を目的としているだけです。
「二〇世紀の初頭、世界の主要国は改描の腕を競っていたといわれ、」その様な記録は存在しません。何を根拠に「いわれ」たのか、秋庭氏はどこにもその証を立てておられません。
市区改正、軍機保護法の公布、陸軍陸地測量部の発足は明治中期だった。陸地測量部の使命
は、地図の改描と敵国の改描を見破ることだったはずだが、終戦後、参謀本部が地図の焼却を通
達し、陸地測量部の地図はほとんどが灰と化している。
「昭和八年九月末日現在陸地測量部発行地図目録」と言う目録が市販されていました。そこには、
第三章 地図の発行販売
第十五、陸地測量部発行地図の種類及び定価は毎年三月及び九月末日調べにて発行する地図区域一覧図及び九月末日調べにて発行する目録により明示しなお毎月発行のものはそのつど官報に掲載公告す。
第十六、地図は陸地測量部において直接販売することなく市井に元売捌人を指定し之と払下げ契約を締結しあり
現在における元売捌人左の如し。
以下、全国販売を担当する元売捌人や、その代理店、取次販売店などでの購入についての説明や、次のような価格表まで提示されていました。

こ こでは、「昭和八年九月末日現在陸地測量部発行地図目録」を取り上げましたが、実は以前から毎年毎年目録は発行されていて、昭和16年まで発行され、価格 表にあるような地形図も昭和16年まで市販されていました。秋庭氏が柏書房版の復刻地図を無断複写できるのもこのように陸地測量部の地形図が市販されてい たからです。
「終戦後、参謀本部が地図の焼却を通達し、陸地測量部の地図はほとんどが灰と化している。」
参謀本部が地図の焼却を通達したと言う記録が確認できません。「退却や敗北等、何かあった時に軍用地図をどう取り扱うか(焼却等)」についての「要領」はあったようですが、大本の陸地測量部でも空襲で焼けたと言う記録はありますが、焼却はしていないようです。
国土地理院広報450号に
http://www.gsi.go.jp/WNEW/KOOHOU/koohou/450/450-5.htm
こんな記事がありました。
第一、もし焼却していたなら、要塞本67頁(下の図ね)の地理調査所の「東池袋地図1945年」どうして作れたんでしょう?そして、秋庭氏は「東京1万分1地形図集成 明治・大正・昭和」(柏書房 1983年)からどうして無断複写できたのでしょう?