内向的思考と外向的感情は、お互いに支え合って働いています。 両方が共同して働くことで統一的な認識が生じます。
内向的思考の心理機能は、物事を理論的に考え、より深く理解しようとします。 推論の矛盾や欠陥に目ざとく、より確かな説明ができるように追究し続けます。 このような厳密に理論的な知識の探求は、個人の内で独立して行われます。 この心理機能の働きが強いタイプは、 他者との親密な人間関係は後回しにし、一人考えに耽ります。 懐疑的なので、権威を気にすることもなく、一般に流布している考え方の過ちを発見することがよくあります。 また、人間関係や、他者の体裁などよりも、理論的な説明がはっきりと為されることを優先します。 そのため、この傾向が強すぎると、周囲から知らず知らずのうちに距離ができてしまったり、 周囲からの賛同を受け、助けを得るのに苦労することになります。 内向的思考の強いタイプは、有効な結論を自分自身か少数の人たちのために活用するので、 利己的になってしまう傾向があります。 確かに、独立して思考できることは極めて大切ですが、 どのような人間も生まれた時から支えられて生きていることを思い出す必要があります。
外向的感情の心理機能は、人と感情を共有し人間関係を育むときに大きな役割を果たします。 他者の言動や表情を見て共感を示すと同時に、自分の意見や価値観をはっきりと表現します。 社会的礼儀や人間関係の絆を大切にし、人々を育て独立を助けるとともに、規律ある社会の中で協働することを目指します。 こうすることによって、社会的な利益は守られ、個人の利益も自然と守られるのです。 しかし、外向的感情が強いタイプは、共感や人間関係の絆を強く望み、これを重視しすぎるあまり、 人の話の矛盾や他人の欠点に気がつくことができないことがあります。 また、できるだけ多くコミュニケーションをとり、外に働きかけたい一方で、 一人で意志をもって継続的に考えることがないがしろになってしまう傾向があります。 そのために、自分自身の利益が後回しになってしまったり、全体の利益を損なってしまう意思決定をすることがあります。
このように見ると内向的思考と外向的感情は相反しているように見えます。 そして、個人の中でこの2つの心理機能が不安定に働く場合、利己性と利他性の間で葛藤を生じます。 他人をうまく動かして利益を貪ろうとする考えが頭の中を駆け巡ることもあるでしょう。
社会的な安全と利益を確保する意思決定を行うには深い考察が必要であり、 知識の蓄積と活用、そして発展には、社会的な基盤が必要です。 今現在、理論の証明や効率的な問題解決を全て一人で行うことは難しく、多数の人の助けと承認を必要とします。 たとえ物や事、もしくは理論ばかりに興味を持って集中している人でも、 それは、自分自身ばかりでなく、周囲の親しい人のためにやっていることかもしれません。 他者から承認されることが動機になっていることもあります。 それがゆえに、やる気を出すことができ、認められることで安心が得られるのです。 一方、外向的感情が強いタイプは、自分より他者のことを気にかけ尽力するので、 自分の利益が損なわれてしまうことがあります。 しかし、多くの人を助け利益をもたらすには、効率的な解決法が必要です。 そして、気がついているかいないかにかかわらず、 円滑に協力関係を築くことこそ、最も安全で効率的であり、利益を最大化する方法なのです。 その際に、単に依存的な存在になってしまったり、 癒着した関係になってしまうことを避けるためには、 お互いの独立を目指し、それを達成し維持する努力が必要です。