5000系電車は,新都メトロの通勤型車両。新付番規則では251000系となる。本項では,2000系の改造・編入車である251080系についても取り扱う。
新都メトロ5000系電車 | |
5000系の前面(前期車・登場時) | |
基本情報 | |
運用者 | 新都メトロ |
製造所 | 船橋重工業豊崎工場 |
製造年 | 1997~2005年 |
製造両数 | 248両 |
運用開始 | 1998年12月17日 |
主要諸元 | |
軌間 | 1,067mm |
電気方式 | 直流1500V(架空電車線方式) |
最高運転速度 | 110km/h |
設計最高速度 | 120km/h |
起動加速度 | 3.3km/h/s |
減速度 | 4.2km/h/s(常用) 5.0km/h/s(非常) |
車両定員 | 本文参照 |
全長 | 20,000mm |
自重 | Tc1車,Tc2車:27.0t M1車:33.6t M2車:33.4t T1車:24.4t T2車:25.2t |
全幅 | 2,800mm |
全高 | 4,050mm |
床面高さ | 1,130mm |
台車 | ボルスタレス方式空気ばね台車 電動車:FHI-MB86/FHI-MB105(最終増備車) 付随車:FHI-TB86/FEI-TB105(最終増備車) |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 FEI-IM91E1 (更新車)FEI-IM113 |
主電動機出力 | 170kw/(更新車)190kw |
駆動方式 | TD継手式中実軸平行カルダン方式 |
歯車比 | 99:16(6.19) |
制御装置 | IGBT素子VVVFインバータ制御 |
制動装置 | 回生併用電気指令式電磁直通ブレーキ |
保安装置 | 本文参照 |
概要
1999年に本格開業する船津線,および榊野線向けに導入された。基本的な仕様は塔野高速鉄道TR-4000系電車(以下4000系はこれを指す)に準じつつ,地下鉄用として各所が調整されている。2001~02,及び05年には各所のマイナーチェンジを行った後期車が船津線及び本所線に導入されている。
構造
車体
4000系と同じく軽量ステンレス車体を採用。なお,側面にビードのある車体は本系列の前期車が最後の採用となっている。水色(船津線用)または桃色(榊野線用)または青紫色(本所線用),青色,白の3色の帯を纏う。また前面は中央貫通型を採用。
走行機器類
基本的には4000系に準ずる。歯車比は地下鉄向けに高くなっており,起動加速度が向上している。電動機には船橋重工業(の企業向け電機製品を生産する子会社である船橋電機)製汎用誘導電動機であるIM91を採用。制御装置にはIPMモジュールを用いたIGBT素子VVVFインバータ制御を採用している。
車内
基本的には4000系に準ずるが,片持ち式の座席となっている。座席モケットは緑色,床材は青系を使用。暖色系の奈川線に対して寒色系となっている。
形式
編成
A線方を1号車とする。4,6,8両編成を組む。4,6,8両での組み込み位置をそれぞれ(l/m/n号車)と表す。
5100(Tc1)→251100
A線方先頭車(1号車)。
5000(Tc2)→251800
B線方先頭車(4/6/8号車)。
5200,5800(M1)→251200,251600
電動車(2/4/2,6号車)。パンタグラフ2基,VVVFインバータ制御装置2群,静止型インバータを搭載する。
5300,5900(M2)→251300,251700
電動車(3/5/3,7号車)。M1車とユニットを組む。VVVFインバータ制御装置2群,空気圧縮機を搭載する。
5500(M3)
電動車(/2/2,4号車)。基本はM1車と同一設計だが,パンタグラフは1基のみ搭載(もう1基は準備工事)。将来の8連化の際にはパンタグラフもう1基を搭載の上で5500(M1),またはパンタグラフ撤去,静止型インバータの代わりに空気圧縮機を搭載した上で5600(M2)への改造・改番が可能な設計となっており,実際に8連化の際にはこの改造を受けた。
5600(T2)
付随車(/3/3,5号車)。空気圧縮機を搭載する。8連化の際には空気圧縮機を撤去の上で5400,5700(T1)への改造が可能な設計となっており,8連化の際にこの改造を受けた。
5400/5700(T1)→251400/251500
付随車(//4,5号車)。補機類を一切搭載していない純粋な付随車。8両編成にのみ組み込まれている。
5450/5750(T1)→251400/251500
付随車(//4,5号車)。5100/5200からの改造であり,改番は(原番+850/原番-150)である。なお,運転台が背中合わせになるように先頭車からの改造車は組成が他の編成と逆。
導入後の変遷
1998年より製造され,船津線第1期区間開業用の5101~16Fは榊野町駅に設置された搬入口を用いて沢越検車区の榊野分室に搬入された。なお,搬入後に内装のモケット(緑色)が難燃基準を満たしていないことが判明したため,急遽青色の新型モケットに交換された。そのため,緑色モケットの5000系が営業運転に就いたことはない。3月1日より2000系を置き換える形で営業運転を開始した。
榊野線第1期区間開業用の5117~24Fは南榊野駅の搬入口から搬入された。なお,第1期開業区間には検修設備が設置されなかったため,南榊野駅2・3番線に臨時の検修設備を設置した。車輪削正や重要部検査は沢越検車区に陸送の上で行った。
榊野線第2期区間開業用の5125~28Fは奈川検車区に配置,5117~24Fと併せて検修はそこで行った。
船津線第3期区間開業に際して製造された5129~32Fは側面をビードレス車体(Nexsusの試作型)とし,前面デザインも変更した。同仕様で本所線用に5133,34Fが製造された。
2005年には2000系を奈川線に転属させるために5135~42Fが8両で製造,船津線に配属された。ここまでの製造両数は6連20本(うち4本は後期車),4連12本,8連10本(全て後期車)の合計248両(前期車144両,後期車104両)である。
船津線への集約と8連化
2008年より榊野線への6000系導入に伴い,榊野線所属車は船津線に転属,同線8連化のために編成組み換えを受けた。最終的に前期車は8連18本に組み換えられた。本所線でも2015年の15000系導入に伴い5133,34Fが船津線に転属し,計248両が沢越検車区に集結した。後期車のうち5129,30Fは8連化,5131,32Fは中間車を供出し4連化された。
車体更新工事
2016年からは前期車について車体更新工事が施工され,2020年までに完了した。内容は
- 主電動機を新型のIM113(連続定格出力190kw)に交換
- 制御装置をフルSiC-FET素子を用いたものに交換
- 車内案内表示機をLED式からLCD式(17インチ2画面)に
- モケットをTR-5000系などに採用されている新型のものに交換
- 袖仕切りなどFRP製部品を交換,カラースキームを灰色/緑系から白/薄青系に
- 行先表示器を3色LEDからフルカラーLEDに交換
後期車については2022年より更新工事が予定されている。