ガリレオ(競走馬)

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ガリレオ(競走馬) - (2025/07/18 (金) 09:28:01) の1つ前との変更点

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&font(#6495ED){登録日}:2025/03/20(木) 13:16:10 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 30 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&size(35){&bold(){&color(white,navy){&font(i){Finally Sadler's Wells, champion in Europe, }}}}} #center(){&size(35){&bold(){&color(white,navy){&font(i){has a derby winner and his name is Galileo!}}}}} #center(){&size(30){&color(navy){欧州チャンピオンのサドラーズウェルズがついに輩出したダービー馬、}}} #center(){&size(30){&color(navy){その名は&bold(){ガリレオ}です!}}} #right(){&size(12){2001年第222回ダービーステークス 実況:Racing TV}} &bold(){&color(white,navy){ガリレオ(&font(i){Galileo})}}とは、1998年生まれのアイルランドの[[競走馬>サラブレッド]]・種牡馬。 超良血の名に恥じない活躍で世代の最強馬に君臨し、引退しては今世紀最大の種牡馬として覇権を確立したスーパーサイアーである。 *概要 &bold(){4代血統表} |BGCOLOR(#E0FFFF):Sadler's Wells &br()1981 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):[[Northern Danser>ノーザンダンサー(競走馬)]]&br()1961 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Nearctic&br()1954 黒鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Nearco&br()1935 黒鹿毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Lady Angela&br()1944 栗毛| |~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Natalma&br()1957 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF): &bold(){[[Native Dancer>ネイティヴダンサー(競走馬)]]}&br()1950 芦毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Almahmoud&br()1947 栗毛| |~|BGCOLOR(#FFE4E1):Fairy Bridge&br()1975 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Bold Reason&br()1968 黒鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Hail to Reason&br()1958 黒鹿毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Lalun&br()1952 鹿毛| |~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Special&br()1969 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Forli&br()1963 栗毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Thong&br()1964 鹿毛| |BGCOLOR(#FFE4E1):[[Urban Sea>アーバンシー(競走馬)]] &br()1989 栗毛&br()FNo.9-h|BGCOLOR(#E0FFFF):Miswaki&br()1978 栗毛|BGCOLOR(#E0FFFF):[[Mr. Prospector>ミスタープロスペクター(競走馬)]]&br()1970 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Raise a Native&br()1961 栗毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Gold Digger&br()1962 鹿毛| |~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Hopespringseternal&br()1971 栗毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Buckpasser&br()1963 鹿毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Rose Bower&br()1958 栗毛| |~|BGCOLOR(#FFE4E1):Allegretta&br()1978 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Lombard&br()1967 栗毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Agio&br()1955 鹿毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Promised Lady&br()1961 栗毛| |~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Anatevka&br()1969 栗毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Espresso&br()1958 鹿毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Almyra&br()1962 栗毛| クロス:[[ネイティヴダンサー>ネイティヴダンサー(競走馬)]] 4×5(9.38%) &bold(){&font(blue){父}サドラーズウェルズ}、&bold(){&font(#F54738){母}[[アーバンシー>アーバンシー(競走馬)]]}、母の父ミスワキという超良血。 父は現役時代G1・3勝を挙げ、[[ノーザンダンサー>ノーザンダンサー(競走馬)]]産駒として最大の成功を収めた大種牡馬。ガリレオ誕生以前にすでに&bold(){インザウィングス}、&bold(){オペラハウス}、&bold(){カーネギー}、[[&bold(){モンジュー}>モンジュー(競走馬)]]と名馬を量産し、種牡馬としての名声は不動のものとなっていた。 母は豪華メンバーの集った[[凱旋門賞]]を人気薄で制して世界を驚かせ、繁殖入り後は産駒をハイアベレージに輩出しまたもや世界の度肝を抜いた&bold(){史上最大の繁殖牝馬}。この当時は初仔がさっそく重賞馬、2番仔がGⅠで2着に食い込んだところで、ガリレオはそれらに続く3番仔であった。 サドラーズウェルズは世界有数の競走馬生産団体&bold(){&color(purple){クールモアスタッド}}の至宝で、アーバンシーはその[[馬主]]だった香港の実業家デヴィッド・ツイ氏がアイルランドに設立したサンダーランド・ホールディングスの持ち馬である。 ガリレオはこの両団体の共同生産という形で生み出され、クールモアスタッドの所有のもとで競走馬となった((クールモアスタッドの総帥ジョン・マグナーとマイケル・テイバーの共同所有。ただし登録上の名義はジョンの妻スーザン・マグナー。))。 誕生時点で良血として話題だったが成長するにつれ雄大な馬格と鋭い流星をもった美形の馬になった。その様は本馬を管理するエイダン・オブライエン調教師をして「&bold(){最も完璧に生まれた馬}」「&bold(){&color(#F54738){水の上でも走ることができる}}」とまで言わしめた。 またクールモアスタッドは&bold(){相当に自信を持った馬にしか人名にちなんだ名前をつけない}((オーギュストロダン、チャーチル、リップヴァンウィンクルなど。))ため、そこからも&bold(){&color(#F54738){史上最大の天文学者の名前が与えられた意味の重さがうかがえよう}}。 *競走生活 **2歳時 20世紀最後の年、2000年10月にアイルランドのレパーズタウン競馬場で行われた未勝利戦(芝8F)で名手マイケル・キネーンを鞍上にデビュー。 ひどい不良馬場だったがそれさえものともせず、残り2ハロンからの仕掛けで&bold(){2着に&color(#F54738){14馬身差}という大差をつけて圧勝する}というド派手なデビューを飾った。 オブライエン師は2歳GⅠ戦線にも強く有力馬をそちらにガンガン投入することも多いのだが、ガリレオについてはまだ身体が未完成で体調を崩しやすかったこともあり、来年のクラシック戦線を見据えてこの1戦で2歳時は終了。 その全貌がヴェールを脱ぐのは持ち越しとなった。 **3歳時  デビュー戦の時点でオブライエン師はガリレオを世代の最強馬と確信していたようだが、血統面から考えても無理はさせまいということでクラシック1冠目の2000ギニーステークスは回避。&bold(){間違いなく向くとみられるダービーを目標に据えた}。 そして新世紀となった2001年4月、まずは叩きとしてレパーズタウン競馬場のリステッド競走バリサックスステークス(芝10F)に出走。 この年の英セントレジャー馬&bold(){ミラン}や、アイリッシュセントレジャー4連覇を果たす&bold(){ヴィニーロー}といった素質馬が相手であったが、単勝1.3倍の支持に応えて好位先行という優等生な競馬を披露。 2着ミランに&bold(){3馬身差をつけて完勝した}。しかしオブライエン師はさらなる良化の余地を感じていたという。 続いては5月、同じくレパーズタウン競馬場にてダービーの前哨戦であるGⅢダービートライアルステークス(芝10F)に出走。キネーン騎手がフランス遠征中だったため、代打でジーミー・ヘファーナン騎手がテン乗りとなった。 レースはテン乗りということもあってか後方からの控えめな走りとなった。結果的には2着を1と1/2馬身差下しての勝利で前2走ほどのインパクトはなかったが、&u(){人気を背負いながら見せた余裕の無敗3連勝はガリレオの評価をますます高めるものとなった}。 そして6月のエプソムダウンズ競馬場で、ついに大一番のGⅠ&bold(){ダービーステークス}(芝12F)を迎えることとなった。 ・&bold(){この年の2000ギニー馬}で後にGⅠキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークスも制する&bold(){&color(gold,skyblue){ゴーラン}} ・サラマンドル賞・デューハーストステークスと2歳GⅠ・2連勝を誇る&bold(){カルティエ賞最優秀2歳牡馬&color(white,blue){トゥブーグ}} ・後にGⅠ英チャンピオンステークスなどGⅠ・3勝を挙げ日本に種牡馬として渡ることになる&bold(){&color(white,blue){ストーミングホーム}} ・2歳GⅠレーシングポストトロフィーを勝ち、重要な前哨戦であるGⅢダンテステークスも勝っている&bold(){&color(#FFE921,dodgerblue){ディルシャーン}} など、トライアルレースをしっかりと勝って駒を進めてきた強豪が集結し、かなりハイレベルな戦いとなった。 単勝オッズもガリレオとゴーランが同じく3.75倍の1番人気で拮抗。3番人気と4番人気もそれぞれ5.5倍、6倍と混戦模様を呈した。 レースもそんな下馬評を映したように、スタートからほぼひとかたまりの馬群となってスローペースで進行した。ガリレオは先頭の2頭を見る3番手からレースを進め、直線でキネーン騎手が外に持ち出して仕掛けると鋭く反応。 前の2頭をあっさり撫で斬り、残り2ハロンでは完全に抜け出して先頭となった。後方から追撃してきたゴーランが2番手まで上がったもののガリレオの脚色はまったく衰えず、&bold(){ゴール前は流す余裕さえ見せて2着ゴーランに3馬身半差で圧勝}。 スローペースにも関わらず勝ち時計&color(#F54738){2分33秒27}は[[ラムタラ>ラムタラ(競走馬)]]が1995年に記録したレコードタイムに次ぐ&bold(){当時史上2位の好タイム}。サドラーズウェルズ産駒として英ダービー初勝利を飾り、長年続いた同産駒のジンクスにも終止符を打った。 この通りもはや文句のつけようのないレースぶりで、メディアからも過去10年で最も強い勝ち方と評され、キネーン騎手も「&bold(){自分が乗った中で最良の馬}」と惜しみなく賛辞を贈った。 その後7月はアイルランドに戻ってカラ競馬場のGⅠ&bold(){アイリッシュダービー}(芝12F)に出走。 ここにはゴーランらに加えてイタリアダービー馬の&bold(){モルシュディ}が新顔として参戦してきたが、前走の怪物ぶりから単勝1.3倍の断然人気となった。 レースではこれまで同様、好位先行を図って4番手で競馬を進めた。直線に入ると他馬の騎手が手を激しく動かしてもキネーンは持ったままの余裕を見せ、残り3ハロンを切って鞭を1回だけ入れると末脚が一閃。瞬く間に先頭を奪取して後続を引き離し、&bold(){最終的には2着モルシュディに4馬身差をつけて楽勝をおさめた}。 ここでも勝ち時計の&color(#F54738){2分27秒1}はセントジョヴァイトの2分25秒6というレコードに次ぐ&bold(){当時史上2位の好タイム}で、前年のシンダー((モンジューを破り、英愛ダービー馬として初めて凱旋門賞馬となった名馬。))に続いて&bold(){史上14頭目の英愛ダービー制覇}を達成。 ちなみに無敗での達成は1993年の&bold(){コマンダーインチーフ以来4頭目}((他にニジンスキー、カヤージ。))であった。 同世代を完全に撃破したガリレオ陣営はさらに古馬との戦いを志向し、イギリスでの夏の中距離王決定戦たる、アスコット競馬場のGⅠ&bold(){キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークス}(芝12F)に参戦した。 世代を超えた戦いとだけあって英ダービー以上に強力な相手がラインナップに並び、 ・マンノウォーステークス・香港カップ・タタソールズ金杯・プリンスオブウェールズステークスと&bold(){GⅠ・4勝}を誇るゴドルフィンのエースにして古馬の総大将&bold(){&color(white,blue){ファンタスティックライト}} ・同年のフランスダービー馬&bold(){&color(white,blue){アナバーブルー}} ・ジャンプラ賞・オイロパ賞・伊ジョッキークラブ大賞・ガネー賞と&bold(){GⅠ・4勝を挙げている}&bold(){&color(blue,#F54738){ゴールデンスネイク}} ・&bold(){昨年の英セントレジャー馬}で前走英GⅠコロネーションカップも3着に食い込んできた&bold(){&color(red,lightgrey){ミレナリー}} ・前走英GⅡプリンセスオブウェールズステークスを勝って乗り込んできた、後のカナダGⅠ勝ち馬&bold(){&color(white,deepskyblue){ムタマム}} などが顔を揃えた。とりわけファンタスティックライトは世界各地で走っている経験豊富な馬で、鞍上にも名手&bold(){ランフランコ・デットーリ}を擁する強敵だった。 当のガリレオの方はキネーン騎手が直前のレースで騎乗停止処分を喰らっていたのだが、&bold(){裁判所に申し立ててこの処分を保留させる}という強引すぎる手段でレースに参戦。 レースはファンタスティックライトのペースメーカーであるギヴザスリップが先頭に立って引っ張り、ガリレオは中団に待機。それを見るすぐ後ろにファンタスティックライトがつけた。 ガリレオは3コーナーから4コーナーにかけて馬群の内側を通って経済コースでポジションを上げ、3番手で直線に突入。 いつも通りの伸びで先頭に立ったが、そこにファンタスティックライトが馬群を突き抜けて襲いかかり、その勢いたるやガリレオを間違いなく抜き去るかと思われるほどの豪脚だった。 だがガリレオの末脚は衰えることがなく、ファンタスティックライトに並ばせなかっただけでなく&bold(){&color(#F54738){最後は差を広げて2馬身差をつけ快勝した}}。 オブライエン師をして「&bold(){初めて厳しい競馬になった}」と語るほどタフなレースだったが、ファンタスティックライトの徹底マークをものともしない底力を見せつけての勝利だった。 英愛ダービーとキングジョージを全勝するのは1991年の&bold(){ジェネラス以来史上7頭目}、&bold(){&color(#F54738){無敗での達成はあのニジンスキーに続く2頭目}}だった。&bold(){この時点でガリレオはこれら過去の名馬に匹敵する域に達したのである}。 常識的にはここからは&bold(){[[凱旋門賞]]}や&bold(){BCターフ}といった欧州芝中距離の王道を進むのだが、かねてからオブライエン師やジョン・マグナーはガリレオを常識にとらわれないローテで活躍させるという計画をコメントしていた。 それは「ここから&bold(){10ハロン→マイル戦へと距離短縮}し、最後は芝ではなく&bold(){ダートの最高峰である&color(#F54738){BCクラシック}に向かわせる}」というものだった。 さすがにマイルまでの距離短縮は過激であるとして見送られたが10ハロン戦への挑戦は確定事項となり、その計画に従って次走はアイルランド伝統のGⅠである&bold(){アイリッシュチャンピオンステークス}(芝10F)となった。 このレースには前走で破ったファンタスティックライトも直行してきており、他に大した有力馬もいなかったため事実上2頭のリターンマッチとなった。このマッチレースは&bold(){&color(purple){クールモア}}と&bold(){&color(blue){ゴドルフィン}}という欧州競馬を支配する二大グループの対決でもあり、戦前から注目を集めることになった。 今回オブライエン師はペースメーカーを用意しており、ハイペースにしてガリレオのスタミナを活かす競馬を目論んでいた。…が、そんな思惑と裏腹にこれが&u(){後方をはるかに置き去りにしてずっと前を走っていってしまった}。 さらにファンタスティックライトは前走とは変わってガリレオより前でレースを進めたため、&bold(){オブライエン師の作戦は当てが外れる格好となった}。 直線入り口でファンタスティックライトが仕掛けるとガリレオも外から合わせて仕掛けにいったが、抜き去ろうとするガリレオに対しファンタスティックライトは驚異的な勝負根性で抵抗。 これこそがゴドルフィンの立てた「&bold(){&color(#3B4EF0){マークするのではなくガリレオより前で、ファンタスティックライト本来の競馬をすれば勝てる}}」という作戦の真髄だった。 結局熾烈な叩き合いのなか一度もガリレオにリードを許さず、&bold(){ファンタスティックライトがアタマ差でこの対決を制した}。 ガリレオにとっては初の敗北で、前走からファンタスティックライトとの斤量差が縮まったなかでの対決で敗れたのは痛いところだったが、同時代の強豪同士の死闘ということで評価に傷のつくような敗北ではなかった((ただしレースプランが外れたオブライエン師がレース後に「めちゃくちゃだった」と語っており、相当ショックだったようだ。))。 むしろ勝ったファンタスティックライトのデットーリ騎手がレース後に >&bold(){"&font(i){It's a shame one of them had to lose!}"} >「&bold(){どちらかが負けなくてはいけないのが残念だよ!}」 とコメントしたとおり、&bold(){競馬史に残る名勝負}であった((ロンドン・テレグラフ紙はこのレースを「近代スポーツ史上に残る歴史的対決」と評した。))。 次走はかねてから計画の通り、アメリカはベルモントパーク競馬場で開かれるダートGⅠの世界最高峰、&bold(){ブリーダーズカップ・クラシック}(ダート10F)となった。 参戦にあたってはイギリスのサウスウェルにある調教場で事前にダート調教が施されている。 ちなみに当初はファンタスティックライトもBCクラシックに参戦予定だったため3度目の対決が期待されたが、結局ファンタスティックライトはゴドルフィンの使い分けでBCターフの方へ向かいお流れとなった。 とはいえそれでも芝・ダートの垣根を越えて充実のメンバーが揃った。 ・オブライエン厩舎のマイル王ジャイアンツコーズウェイを下して昨年のBCクラシックを勝ったGⅠ・3勝の&bold(){エクリプス賞年度代表馬&color(purple,hotpink){ティズナウ}} ・この年の&bold(){インターナショナルステークスを7馬身差}、&bold(){凱旋門賞を6馬身差}と圧巻のGⅠ・2連勝で乗り込んできたゴドルフィンの最精鋭&bold(){&color(white,blue){サキー}} ・BCジュヴェナイルを制して昨年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬に輝いている&bold(){[[ヒムヤー系の星>ムーチョマッチョマン(競走馬)]]}&bold(){&color(#F54738,navy){マッチョウノ}} ・昨年のG1ジョッキークラブ金杯を勝ちこの年のGⅠ戦線でも3位以内に安定して好走している&bold(){&color(white,black){アルバートザグレート}} ・そのアルバートザグレートをGⅠピムリコスペシャルハンディキャップで倒している&bold(){&color(#FFE921,deepskyblue){インクルード}} ・この年のハリウッド金杯・ジョッキークラブ金杯とGⅠを2勝し「BCクラシック男」ジェリー・ベイリーが駆る&bold(){&color(pink,turquoise){アプティチュード}} ・オブライエン厩舎の同僚で愛2000ギニー・セントジェームズパレスステークスとマイルGⅠ・2勝の&bold(){&color(white,navy){ブラックミナルーシュ}} ガリレオは欧州での暴れっぷりや、アメリカ人からさえアメリカ馬が本命不在と見なされたこともあって&bold(){2番人気の支持を受けた}。前年チャンピオンの[[ティズナウ>ティズナウ(競走馬)]]がいるにも関わらず…。 レースが始まると翌年にエクリプス賞最優秀&u(){短距離馬}となるオリエンテートがぶっ飛ばしていき、ティズナウとアルバートザグレートがそれを追走。ガリレオは5番手につけてレースを進めた。オリエンテートは3コーナーで燃え尽きてアルバートザグレートが先頭に入れ替わると、ティズナウとサキーがギアを上げてこれを追撃。 キネーン騎手もガリレオに鞭を入れてポジションを上げようとしたが、これまでと打って変わって&bold(){&color(#3B4EF0){ガリレオは別の馬のように反応が悪く}}、8番手で直線を向く羽目になった。 &bold(){結局失速もしないが加速することもなく}、アメリカの意地とゴドルフィンの野望をかけたティズナウとサキーの激闘を見送る&bold(){&color(#3B4EF0){6位での入線}}。オブライエン師の悲願にはまたしても届かず、生涯最低の順位となってしまった。 原因はまったくの不明だが、一般にはダートでのレースが合わなかったためとされている。 BCクラシック前から告知されていたが、このレースを最後に引退。21世紀最初の最強馬は8戦6勝2敗の成績でターフを去った。 年末のカルティエ賞では&bold(){最優秀3歳牡馬}を文句なしで受賞したものの、年度代表馬の座はBCターフも制したファンタスティックライトに譲ることとなった。 *競走馬としての評価 デビューから3歳前半にかけての個々のパフォーマンスは圧巻で、&color(#F54738){競走馬としての能力が歴史的名馬の域にあることは疑いようもない}。 ただ3歳後半の連敗については迷走と批判する向きも根強い。[[凱旋門賞]]などの王道路線に出走した場合に期待されたはずのものを考えると、オブライエン師の評価通りにはいかず失速した感もありファンとしてはモヤモヤの残る、評価の分かれるところである。 とはいえ未知の領域に挑んだこと自体は立派なチャレンジであり、オブライエン師の抱くBCクラシック制覇の執念もあったので少なくとも良血に恥じない走りではあった。 現実と夢の狭間という競馬のジレンマをある種体現した馬だったともいえる。 3歳引退という欧州有力馬にありがちなキャリアゆえ、古馬となっていたらどんなレースが見られたのかも気になるところではある。 &bold(){だが種牡馬成績を見る限り、むしろここからが本番だったため、3歳限りでの引退は間違いではなかったようだ}。 *種牡馬として 2002年からクールモアスタッドの種牡馬としてアイルランドでスタッドイン。2006年まではオーストラリアでも活動を行うシャトル種牡馬となっていた((疝痛の手術を行った影響からシャトル活動はこの年限りで取りやめている。))。 &bold(){そして肝心の産駒成績はというと&color(#F54738){初年度から南半球・北半球を問わずGⅠ馬をドバドバと輩出}}。 初年度産駒から早々に4頭のGⅠ馬が登場すると、その後毎年途切れることなく、なんと&bold(){19世代連続でGⅠ馬を送り出し続けた}。 2008年には第3世代の産駒からニューアプローチが英ダービーを含むGⅠ・5勝の活躍をみせたことで初の英愛リーディングサイアーに輝くと、2010年~2020年まで&bold(){&color(#F54738){11年連続で英愛リーディングサイアーの座を堅持}}。 その後も史上最高のレーティング140を記録した最強馬&bold(){フランケル}や、GⅠ・7勝の中距離王&bold(){ハイランドリール}、女王エネイブルを打ち破った凱旋門賞馬&bold(){ヴァルトガイスト}、欧州の長距離王&bold(){キプリオス}など怒涛の勢いで名馬を送り出し、史上最多14回の英愛リーディングサイアーとなった&bold(){父サドラーズウェルズに並ぶ歴史的大種牡馬となった}。 2020年6月には愛1000ギニーをピースフルが勝利したことで&bold(){GⅠ勝利産駒が85頭に達し、84頭のデインヒルを抜いて史上1位の座についた}。その後も勢いはとどまらず、2024年8月にヨークシャーオークスをコンテントが勝利したことで&bold(){&color(#F54738){GⅠ勝利産駒100頭の大台に到達}}。完全に歴史を塗り替えた。 最も重視される英ダービーにおいても&bold(){ニューアプローチ}、&bold(){ルーラーオブザワールド}、&bold(){オーストラリア}、&bold(){アンソニーヴァンダイク}、&bold(){サーペンタイン}と&bold(){5頭の勝ち馬を輩出}し、この数字は史上単独1位である。 &bold(){産駒傾向は牝馬次第で多種多様}だが、スピード、仕上がりの早さなど競走馬として好ましいポイントが多いのが特徴。&bold(){距離適性はマイラーからステイヤーまで幅広い}が、自身のミオスタチン遺伝子型が長距離タイプのTTであるためか、&u(){スプリンターは少ない}。 相手の牝馬は特に相性の好悪なく安定して素質馬を生み出せるようだが、&bold(){デインヒルの牝馬との組み合わせには注目に値するものがある}。 これは俗に&bold(){ガリデイン配合}と呼ばれ、かのフランケル&ノーブルミッション兄弟を筆頭に活躍馬を多数送り出した。 活躍の場についても本拠地欧州だけでなくシャトル先のオーストラリア、さらにアメリカ芝路線や香港、南アフリカと、&bold(){芝ならば活躍の場を選ばないオールマイティさ}を備えている。 &bold(){&color(#F54738){&u(){ただし日本だけは例外でまったくといっていいほど活躍馬が出ず}}}、GⅠどころか重賞ですら勝ち馬が現れていない(これはモンジューと同様である)。原因をスタミナ・パワー偏重の血統に求める向きが強いが、牝馬から軽快さを得られるからこそこれだけの海外での結果につながっているはずなので、非常に大きな謎である((フランケル産駒にまで代が下るとGⅠ勝ち馬が現れている。))。 さらに母父としても優秀で、その代表例としては日本の誇る[[ディープインパクト>ディープインパクト(競走馬)]]との結晶たる&bold(){サクソンウォリアー}&&bold(){オーギュストロダン}、シユーニの産駒として凱旋門賞も制したフランスダービー馬&bold(){ソットサス}とその全弟たる&bold(){シンエンペラー}、カルティエ賞年度代表馬になった&bold(){セントマークスバシリカ}。 ドバウィ産駒からは種牡馬としても絶賛活躍中の2000ギニー馬&bold(){ナイトオブサンダー}や年度代表馬の&bold(){ガイヤース}がいる。 これは牝馬からも活躍馬が安定して現れていることの裏返しでもある。 くわえて後継種牡馬も複数頭が地位を築いており、先述の最強馬フランケルを筆頭に&bold(){ニューアプローチ}や&bold(){ナサニエル}、&bold(){チャーチル}らが順調にGⅠ勝ち馬を産駒として輩出している。 サドラーズウェルズのラインは当面絶える心配はなく、自身も完全に安泰という状況である。 この通り当代では並ぶもののないほどに血を広げたガリレオだったが、2021年7月に左前脚の慢性的な傷が悪化。衰弱著しく、安楽死の措置がとられた。&bold(){23歳の大往生}で、これもまた父サドラーズウェルズとそっくりな生命力であった。 晩年はプライベート種牡馬となっていたため正確な種付け料は不明だが、その額は&bold(){60万ポンド}だったと言われ、これは当時のレートで&bold(){&color(#F54738){約9000万円}}にものぼる破格の値段である((ディープインパクトの種付け料が最高で4000万円だったため、その倍以上ということになる))。 ちなみに同じ日には産駒のボリショイバレエがアメリカGⅠベルモント招待ダービーを制し、父への手向けを贈った。 先述の通り2024年も残された産駒がGⅠ勝利を積み重ねており、おそらく今後もしばらくは活躍が続くと見込まれている。 &bold(){すでに遍く広がった天才の血が世界の競馬の未来をどのように変えていくのか、これからも目が離せない}。 **代表産駒たち ※&color(#F54738){GⅠウィナーに絞ってもあまりにも多すぎるため}、一部の特筆すべき顔ぶれをご紹介する。 ***&font(120%){&bold(){&color(navy){テオフィロ}}(2004年産)} 2年目の産駒にしてガリデイン配合の記念すべき第1号となった、&bold(){2006年のカルティエ賞最優秀2歳牡馬}。 デビューから瞬く間に連勝してGⅡフューチュリティステークスを制すると、勢いそのままにナショナルステークス、デューハーストステークスと英愛の2歳GⅠを勝利。&bold(){無傷の5連勝で2歳馬のトップとしての地位を築いた}。 陣営からは翌年のクラシック三冠を狙うと宣言が出るほど絶好調だったのだが、2007年になってみると脚の状態が思わしくないため2000ギニー…どころかダービーさえ回避する羽目になり、愛チャンピオンSでの復帰を模索したものの結局状態は回復せず。 3歳限りでの引退が決まっていたため、もう出るレースがないということでここで引退。結局レース出走は2歳時のみだった。 種牡馬としては初年度産駒から&bold(){&color(purple){パリッシュホール}}が早々に2歳GⅠを制して上々の滑り出しを見せ、その後も安定して毎年GⅠ馬を輩出。 2年目産駒にしてガリレオの後継種牡馬の一角となり、三冠の夢を託された所以を証明してみせた。 日本にも産駒が輸入されており、そのうちの1頭の&bold(){&color(white,blue){テリトーリアル}}は2021年のGⅢ小倉大賞典を勝利。同世代の&bold(){&color(white,black){エグザルタント}}は香港でGⅠ・5勝を挙げるなど、欧州以外でも存在感を見せている。 ***&font(120%){&bold(){&color(,limegreen){ニューアプローチ}}(2005年産)} &bold(){GⅠ・5勝}、&bold(){11戦8勝2着2回3着1回}というたぐいまれな戦績を残し、ガリレオ産駒の評価を爆発的に高めた最初のエース。 2歳の時点でGⅠ・2勝を含む5連勝という圧倒的な戦績を残し、3歳時は英愛2000ギニーをともにヘンリーザナヴィゲーターの2着と苦杯をなめるも続く英ダービーで逆襲の戴冠。ガリレオに早くもダービー馬の父という称号をもたらした。 その後英愛チャンピオンSを連勝し、とくに引退レースとなった英チャンピオンSは&color(#F54738){2着を6馬身差にぶっちぎりながらレコードを叩き出す}圧巻のパフォーマンスを見せつけた。 種牡馬入りしてからは&bold(){ガリレオ後継として複数のGⅠ馬を輩出}しており、2018年には&bold(){&color(white,blue){マサー}}が英ダービーを勝利。&bold(){ガリレオから数えて3代連続ダービー勝利}という快挙を果たした。 日本でも2020年のGⅢ共同通信杯を&bold(){&color(white,blue){ダーリントンホール}}が勝利、母父としても&bold(){&color(white,blue){バスラットレオン}}が国内外で活躍、&bold(){&color(red,white){ルガル}}がスプリンターズステークスを制覇するなど実績を残している。 ちなみに1998年の高松宮記念を制した&bold(){&color(white,black){シンコウフォレスト}}は本馬の半兄にあたる。 ***&font(120%){&bold(){&color(pink,turquoise){フランケル}}(2008年産)} &bold(){GⅠ・10勝}、&bold(){14戦14勝}、&bold(){2歳から4歳にいたるまで一貫して最強の座にあり続けた世紀の怪物}。ガリデイン配合の最高傑作でもある。 キャリア詳細については&bold(){[[フランケル>フランケル(競走馬)]]}の当該項目を参照。 &bold(){&color(#F54738){レーティング140}}という史上最高の評価を受けた本馬を生み出したことは、ガリレオの種牡馬としての名声を不動のものにした。 本馬もまた種牡馬としても成功しており、現状&bold(){ガリレオ後継種牡馬の筆頭}と呼べるまで実績を積み重ねている。 2021年には&bold(){&color(white,blue){アダイヤー}}の英ダービー勝利によってダービー馬の父の称号を獲得。さらに&bold(){&color(white,blue){ハリケーンレーン}}や&bold(){&color(green){アルピニスタ}}らの活躍もあって同年に亡くなった父に代わって英愛リーディングサイアーに輝いた。 2022年には&bold(){[[アルピニスタ>アルピニスタ(競走馬)]]}が凱旋門賞を制し、2023年には孫の&bold(){&color(,orange){エースインパクト}}が同じく凱旋門賞を勝利するなど、血の継承も確実に進んでいる。 またガリレオと異なり&bold(){産駒が日本にも適応していることも特徴的}である。&bold(){&color(,#FFE921){ソウルスターリング}}が阪神JFとオークスを制覇((この実績から半姉のサザンスターズ(父スマートストライク)も日本に輸入された。彼女の2番仔が、2022年に桜花賞・オークスの牝馬二冠を制した[[スターズオンアース>スターズオンアース(競走馬)]](父[[ドゥラメンテ>ドゥラメンテ(競走馬)]])である。))、&bold(){&color(orange,black){モズアスコット}}が芝・ダート不問の万能性を示したかと思えば、&bold(){&color(red,black){グレナディア}&color(#FFE921,black){ガーズ}}が朝日杯FSを制する仕上がりの早さを示すなど、多彩な実力馬を送り出している。 種付け料の上昇にもその価値が反映されており、日本円にして&bold(){&color(#F54738){約7000万円}}にまで達している。 &bold(){現役時代もさることながら、今後も最も注目すべきガリレオ産駒と言えよう}。 ***&font(120%){&bold(){&color(lightyellow,navy){ナサニエル}}(2008年産)} フランケルとは&u(){同期、同父、同レースでデビュー、同レースで引退}と、&bold(){何かと因縁深い一頭}。 フランケルとデビュー戦でかちあってしまったがために勝ち上がりが遅れ、クラシックに参戦できない憂き目にあったものの、 それでも重賞を勝つと追加登録料を払ってまで&bold(){キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS}に参戦。 レースでは昨年の凱旋門賞馬&bold(){ワークフォース}ら強豪をまとめて退け、&bold(){3歳馬として8年ぶりに同レースを制して自身の素質を示して見せた}。 翌年もエクリプスステークスを勝ってGⅠ・2勝とするなど多くの強豪と渡り合い名勝負を演じた。 &bold(){種牡馬入り後は堅調にGⅠ馬を輩出}。なんと初年度産駒からあの女傑&bold(){&color(pink,turquoise){エネイブル}}が飛び出し、6歳まで世界中を駆け巡って凱旋門賞連覇を含むGⅠ・11勝というレジェンドホースの父に大出世を果たした。 エネイブルはキングジョージ3勝という史上初の偉業を成し遂げており、&bold(){ガリレオから数えて3代連続のキングジョージ制覇}となっている。 産駒総数の規模では敵わないながら、アダイヤーが英ダービーを制した翌年にはナサニエルも&bold(){&color(#FFE921,blue){デザートクラウン}}の圧勝でダービー馬の父となるなど、&bold(){フランケルとはガリレオ後継として未だにバチバチやりあう関係が続いている}。 ***&font(120%){&bold(){&color(orange,#3B4EF0){ファウンド}}(2012年産)} &bold(){ガリレオ産駒として[[凱旋門賞]]を初めて制覇してみせた牝馬}。 フランス2歳GⅠの[[マルセルブサック賞>マルセル・ブサック]]を制しておりクラシックでの活躍を嘱望されたが、怪我のため3歳初戦の1000ギニーへの出走を取り消してケチがつくと、その後はGⅠで2着を量産するなど消化不良の日々が続いた。 それでも3歳最後のレースに選んだBCターフでは、過去2戦で苦杯をなめさせられた凱旋門賞馬ゴールデンホーンに雪辱を果たす勝利を挙げた。 翌年はタタソールズ金杯から愛チャンピオンSまでGⅠを5連続で2着敗戦((それも全部違う馬相手である。))するなどまたもや善戦ウーマンと化すが、続く凱旋門賞では&bold(){同厩舎のガリレオ産駒2頭の追撃を軽快にかわして見事勝利}。 ガリレオ産駒として初めての凱旋門賞制覇を、&color(#F54738){同産駒によるワンツースリーで飾った}((ここまでガリレオ産駒は凱旋門賞では勝利どころか3着すらわずか2回とかすりもしていなかったが、これを皮切りに凱旋門賞への影響力が高まっていくことになる。))。 引退後はクールモアスタッドで繁殖入りとなった。2024年時点で第2仔が生まれたばかりだが、ウォーフロント((日本輸入種牡馬であるデクラレーションオブウォーの父。))との間の初仔&bold(){&color(orange,#3B4EF0){バトルグラウンド}}がリステッド競走を勝ち、マイルGⅠで3着に突っ込むなどまずまずの活躍である。 そして2024年は[[ディープインパクト>ディープインパクト(競走馬)]]産駒のフランスダービー馬、&bold(){スタディオブマン}との間に第2仔を出産。母の名声をさらに高めることができるか。 全妹&bold(){ベストインザワールド}はディープインパクトとの間に英オークスなどを制覇した&bold(){&color(white,purple){スノーフォール}}を生んでいる。 ***&font(120%){&bold(){&color(white,purple){ハイランドリール}}(2012年産)} ガリデイン配合の傑作その3にして、&bold(){世界各地を転戦して最終的にGⅠ・7勝を挙げた名馬}。日本馬と6回にわたり激突したため日本でも名前の知られる存在となった。 2歳時は2連勝し、愛仏のクラシックに挑むも3戦して全敗。しかし3歳時点から積極的に海外遠征を行っており、異国アメリカでGⅠ初制覇を飾ると年末には香港ヴァーズも制してGⅠ・2勝目を挙げた。 国外では好走するも本拠地のはずの欧州ではそれほど振るわないケースが多かったが、4歳時にはついにキングジョージを勝利して英GⅠ初勝利。 同年末には&bold(){[[サトノクラウン>サトノクラウン(競走馬)]]}と香港ヴァーズで連覇をかけて死闘を演じ、&color(#F54738){0.08秒差}でサトノクラウンの2着に敗れるも名勝負を見せた。 その後もGⅠ勝利を積み重ね、最後は縁深い香港ヴァーズで2勝目を挙げて引退。&bold(){GⅠ・7勝として有終の美を飾った}。ちなみに日本馬とは通算で6回対決して日本勢が4勝2敗と勝ち越している。 産駒は2021年からデビューとなったが、&color(#3B4EF0){2世代で重賞馬がわずかに2頭}と物足りない状況。 クールモアも見切りをつけたのか2023年には放出され、かわってあの&bold(){トーセン軍団総帥の島川隆哉オーナーが所有するエスティファームで種牡馬として繋養}されることとなった。 こちらではハイランドリールは種付け料200万円で、最初の2023年に37頭、翌2024年には微増して45頭に種付けした模様である。&bold(){何かと縁のあった日本での巻き返しに期待である}。 ***&font(120%){&bold(){&color(white,navy){ロードデンドロン}}(2014年産)} 母ハーフウェイトゥヘヴンは愛1000ギニーを含むGⅠ・3勝を挙げた名牝で、全妹で1個下のマジカルもGⅠ・7勝を挙げたという&bold(){なかなかの良血馬}。 2歳GⅠのフィリーズマイルを制してGⅠ初制覇を飾ると3歳初戦の1000ギニーでも堂々1番人気…だったが同父・同厩舎の&bold(){&color(white,navy){ウィンター}}に軽くひねられ敗戦。次いで挑んだ英オークスではなんとあの&bold(){エネイブル}が待ち構えており、徹底マークにも関わらず軽く5馬身ちぎられる大敗を喫した。 代わって転戦したディアヌ賞((フランスオークス。))では&bold(){&color(#F54738){レース中に鼻出血を起こし競走中止}}というさらなる不運に襲われてしまう。 かなり出血量が多くオブライエン師も悲観的なコメントを出すほどだったが、意外なほど早く復帰。復帰戦こそ7着と惨敗だったが、続くオペラ賞は本来の粘り強さのある走りでアタマ差交わしてGⅠ・2勝目とし復活を果たした。 明けて4歳初戦のガネー賞はクラックスマンに敵わず敗れたものの、次走のロッキンジステークスは短アタマ差で追撃をかわし&bold(){GⅠ・3勝目}。しかし以降は見せ場なく敗れるレースが続き、この年限りで引退となった。 引退後は良血を買われてクールモアスタッドで繁殖牝馬として活動。&bold(){その初年度となる2019年の交配相手として選ばれたのは日本の誇る名馬[[ディープインパクト>ディープインパクト(競走馬)]]である}。 この年のディープインパクトは頸部の痛みから種付け頭数が少なかったが、ロードデンドロンは無事交配・受胎することができ、子を宿したまま日本を離れた。それから間もなく同年7月にディープインパクトは死亡。&bold(){結果的にディープインパクトのラストクロップを持ち帰ることとなった}。 このロードデンドロンの仔は&bold(){&color(orange,#3B4EF0){オーギュストロダン}}と名付けられ、&bold(){ディープインパクト最終世代を代表する一頭として大活躍することになる}。 *余談 &bold(){ガリレオだけでなくその近親も大いに成功している}。 1個下に生まれたガリレオの全弟である&bold(){&color(orange,#3B4EF0){ブラックサムベラミー}}は兄程のすさまじい結果ではなかったもののイタリアGⅠのジョッキークラブ大賞、アイルランドGⅠのタタソールズ金杯と&bold(){GⅠ・2勝}を挙げ、この血統に間違いがないことを証明した。 このブラックサムベラミーもGⅠ馬の父となっている。 また、母アーバンシーを所有するデヴィッド・ツイ氏はガリレオとブラックサムベラミーの例から、&bold(){サドラーズウェルズとの交配はやや距離適性が長めに出る}ことを看破。 よりスピードあふれる産駒を生み出すべく独自に調査した結果、グリーンデザート系でスピード面の申し分ない種牡馬である&bold(){ケープクロス}との交配に至った。 かくして生まれたガリレオの半弟は&bold(){&color(purple,yellow){シーザスターズ}}と名付けられ、&bold(){イギリスクラシック二冠や凱旋門賞を含む&color(#F54738){GⅠ・6連勝}}、そして兄も届かなかった&bold(){カルティエ賞年度代表馬}の受賞というすばらしい成績を残した。種牡馬としてもやはり活躍馬を送り出していることは言うまでもない。 [[シーザスターズ>シーザスターズ(競走馬)]]の鞍上を務めたのがガリレオと同じマイケル・キネーン騎手だったのは何の因果であろうか…。 追記・修正はクールモアスタッドを強化しながらお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,3) } #center(){&link_toppage(-アニヲタWiki-)} #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 海外馬はまとめるのも大変だろうに建乙でした オーギュストロダンの血統がわかって面白かった -- 名無しさん (2025-03-21 22:46:43) - 建乙 引退後の活躍は知らんかったから面白かったわ -- 名無しさん (2025-03-22 11:59:53) - ガリレオの1年後にもサドラー産駒で英愛ダービー制覇とBCターフ連覇したハイシャパラルが出てきているしオブライエン厩舎化け物揃いすぎる -- 名無しさん (2025-03-22 23:02:45) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2025/03/20 Thu 13:16:10 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 30 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&size(35){&bold(){&color(white,navy){&font(i){Finally Sadler's Wells, champion in Europe, }}}}} #center(){&size(35){&bold(){&color(white,navy){&font(i){has a derby winner and his name is Galileo!}}}}} #center(){&size(30){&color(navy){欧州チャンピオンのサドラーズウェルズがついに輩出したダービー馬、}}} #center(){&size(30){&color(navy){その名は&bold(){ガリレオ}です!}}} #right(){&size(12){2001年第222回ダービーステークス 実況:Racing TV}} &bold(){&color(white,navy){ガリレオ(&font(i){Galileo})}}とは、1998年生まれのアイルランドの[[競走馬>サラブレッド]]・種牡馬。 超良血の名に恥じない活躍で世代の最強馬に君臨し、引退しては今世紀最大の種牡馬として覇権を確立したスーパーサイアーである。 *概要 &bold(){4代血統表} |BGCOLOR(#E0FFFF):Sadler's Wells &br()1981 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):[[Northern Danser>ノーザンダンサー(競走馬)]]&br()1961 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Nearctic&br()1954 黒鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Nearco&br()1935 黒鹿毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Lady Angela&br()1944 栗毛| |~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Natalma&br()1957 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF): &bold(){[[Native Dancer>ネイティヴダンサー(競走馬)]]}&br()1950 芦毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Almahmoud&br()1947 栗毛| |~|BGCOLOR(#FFE4E1):Fairy Bridge&br()1975 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Bold Reason&br()1968 黒鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Hail to Reason&br()1958 黒鹿毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Lalun&br()1952 鹿毛| |~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Special&br()1969 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Forli&br()1963 栗毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Thong&br()1964 鹿毛| |BGCOLOR(#FFE4E1):[[Urban Sea>アーバンシー(競走馬)]] &br()1989 栗毛&br()FNo.9-h|BGCOLOR(#E0FFFF):Miswaki&br()1978 栗毛|BGCOLOR(#E0FFFF):[[Mr. Prospector>ミスタープロスペクター(競走馬)]]&br()1970 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Raise a Native&br()1961 栗毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Gold Digger&br()1962 鹿毛| |~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Hopespringseternal&br()1971 栗毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Buckpasser&br()1963 鹿毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Rose Bower&br()1958 栗毛| |~|BGCOLOR(#FFE4E1):Allegretta&br()1978 鹿毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Lombard&br()1967 栗毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Agio&br()1955 鹿毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Promised Lady&br()1961 栗毛| |~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Anatevka&br()1969 栗毛|BGCOLOR(#E0FFFF):Espresso&br()1958 鹿毛| |~|~|~|BGCOLOR(#FFE4E1):Almyra&br()1962 栗毛| クロス:[[ネイティヴダンサー>ネイティヴダンサー(競走馬)]] 4×5(9.38%) &bold(){&font(blue){父}サドラーズウェルズ}、&bold(){&font(#F54738){母}[[アーバンシー>アーバンシー(競走馬)]]}、母の父ミスワキという超良血。 父は現役時代G1・3勝を挙げ、[[ノーザンダンサー>ノーザンダンサー(競走馬)]]産駒として最大の成功を収めた大種牡馬。ガリレオ誕生以前にすでに&bold(){インザウィングス}、&bold(){オペラハウス}、&bold(){カーネギー}、[[&bold(){モンジュー}>モンジュー(競走馬)]]と名馬を量産し、種牡馬としての名声は不動のものとなっていた。 母は豪華メンバーの集った[[凱旋門賞]]を人気薄で制して世界を驚かせ、繁殖入り後は産駒をハイアベレージに輩出しまたもや世界の度肝を抜いた&bold(){史上最大の繁殖牝馬}。この当時は初仔がさっそく重賞馬、2番仔がGⅠで2着に食い込んだところで、ガリレオはそれらに続く3番仔であった。 サドラーズウェルズは世界有数の競走馬生産団体&bold(){&color(purple){クールモアスタッド}}の至宝で、アーバンシーはその[[馬主]]だった香港の実業家デヴィッド・ツイ氏がアイルランドに設立したサンダーランド・ホールディングスの持ち馬である。 ガリレオはこの両団体の共同生産という形で生み出され、クールモアスタッドの所有のもとで競走馬となった((クールモアスタッドの総帥ジョン・マグナーとマイケル・テイバーの共同所有。ただし登録上の名義はジョンの妻スーザン・マグナー。))。 誕生時点で良血として話題だったが成長するにつれ雄大な馬格と鋭い流星をもった美形の馬になった。その様は本馬を管理するエイダン・オブライエン調教師をして「&bold(){最も完璧に生まれた馬}」「&bold(){&color(#F54738){水の上でも走ることができる}}」とまで言わしめた。 またクールモアスタッドは&bold(){相当に自信を持った馬にしか人名にちなんだ名前をつけない}((オーギュストロダン、チャーチル、リップヴァンウィンクルなど。))ため、そこからも&bold(){&color(#F54738){史上最大の天文学者の名前が与えられた意味の重さがうかがえよう}}。 *競走生活 **2歳時 20世紀最後の年、2000年10月にアイルランドのレパーズタウン競馬場で行われた未勝利戦(芝8F)で名手マイケル・キネーンを鞍上にデビュー。 ひどい不良馬場だったがそれさえものともせず、残り2ハロンからの仕掛けで&bold(){2着に&color(#F54738){14馬身差}という大差をつけて圧勝する}というド派手なデビューを飾った。 オブライエン師は2歳GⅠ戦線にも強く有力馬をそちらにガンガン投入することも多いのだが、ガリレオについてはまだ身体が未完成で体調を崩しやすかったこともあり、来年のクラシック戦線を見据えてこの1戦で2歳時は終了。 その全貌がヴェールを脱ぐのは持ち越しとなった。 **3歳時  デビュー戦の時点でオブライエン師はガリレオを世代の最強馬と確信していたようだが、血統面から考えても無理はさせまいということでクラシック1冠目の2000ギニーステークスは回避。&bold(){間違いなく向くとみられるダービーを目標に据えた}。 そして新世紀となった2001年4月、まずは叩きとしてレパーズタウン競馬場のリステッド競走バリサックスステークス(芝10F)に出走。 この年の英セントレジャー馬&bold(){ミラン}や、アイリッシュセントレジャー4連覇を果たす&bold(){ヴィニーロー}といった素質馬が相手であったが、単勝1.3倍の支持に応えて好位先行という優等生な競馬を披露。 2着ミランに&bold(){3馬身差をつけて完勝した}。しかしオブライエン師はさらなる良化の余地を感じていたという。 続いては5月、同じくレパーズタウン競馬場にてダービーの前哨戦であるGⅢダービートライアルステークス(芝10F)に出走。キネーン騎手がフランス遠征中だったため、代打でジーミー・ヘファーナン騎手がテン乗りとなった。 レースはテン乗りということもあってか後方からの控えめな走りとなった。結果的には2着を1と1/2馬身差下しての勝利で前2走ほどのインパクトはなかったが、&u(){人気を背負いながら見せた余裕の無敗3連勝はガリレオの評価をますます高めるものとなった}。 そして6月のエプソムダウンズ競馬場で、ついに大一番のGⅠ&bold(){ダービーステークス}(芝12F)を迎えることとなった。 ・&bold(){この年の2000ギニー馬}で後にGⅠキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークスも制する&bold(){&color(gold,skyblue){ゴーラン}} ・サラマンドル賞・デューハーストステークスと2歳GⅠ・2連勝を誇る&bold(){カルティエ賞最優秀2歳牡馬&color(white,blue){トゥブーグ}} ・後にGⅠ英チャンピオンステークスなどGⅠ・3勝を挙げ日本に種牡馬として渡ることになる&bold(){&color(white,blue){ストーミングホーム}} ・2歳GⅠレーシングポストトロフィーを勝ち、重要な前哨戦であるGⅢダンテステークスも勝っている&bold(){&color(#FFE921,dodgerblue){ディルシャーン}} など、トライアルレースをしっかりと勝って駒を進めてきた強豪が集結し、かなりハイレベルな戦いとなった。 単勝オッズもガリレオとゴーランが同じく3.75倍の1番人気で拮抗。3番人気と4番人気もそれぞれ5.5倍、6倍と混戦模様を呈した。 レースもそんな下馬評を映したように、スタートからほぼひとかたまりの馬群となってスローペースで進行した。ガリレオは先頭の2頭を見る3番手からレースを進め、直線でキネーン騎手が外に持ち出して仕掛けると鋭く反応。 前の2頭をあっさり撫で斬り、残り2ハロンでは完全に抜け出して先頭となった。後方から追撃してきたゴーランが2番手まで上がったもののガリレオの脚色はまったく衰えず、&bold(){ゴール前は流す余裕さえ見せて2着ゴーランに3馬身半差で圧勝}。 スローペースにも関わらず勝ち時計&color(#F54738){2分33秒27}は[[ラムタラ>ラムタラ(競走馬)]]が1995年に記録したレコードタイムに次ぐ&bold(){当時史上2位の好タイム}。サドラーズウェルズ産駒として英ダービー初勝利を飾り、長年続いた同産駒のジンクスにも終止符を打った。 この通りもはや文句のつけようのないレースぶりで、メディアからも過去10年で最も強い勝ち方と評され、キネーン騎手も「&bold(){自分が乗った中で最良の馬}」と惜しみなく賛辞を贈った。 その後7月はアイルランドに戻ってカラ競馬場のGⅠ&bold(){アイリッシュダービー}(芝12F)に出走。 ここにはゴーランらに加えてイタリアダービー馬の&bold(){モルシュディ}が新顔として参戦してきたが、前走の怪物ぶりから単勝1.3倍の断然人気となった。 レースではこれまで同様、好位先行を図って4番手で競馬を進めた。直線に入ると他馬の騎手が手を激しく動かしてもキネーンは持ったままの余裕を見せ、残り3ハロンを切って鞭を1回だけ入れると末脚が一閃。瞬く間に先頭を奪取して後続を引き離し、&bold(){最終的には2着モルシュディに4馬身差をつけて楽勝をおさめた}。 ここでも勝ち時計の&color(#F54738){2分27秒1}はセントジョヴァイトの2分25秒6というレコードに次ぐ&bold(){当時史上2位の好タイム}で、前年のシンダー((モンジューを破り、英愛ダービー馬として初めて凱旋門賞馬となった名馬。))に続いて&bold(){史上14頭目の英愛ダービー制覇}を達成。 ちなみに無敗での達成は1993年の&bold(){コマンダーインチーフ以来4頭目}((他にニジンスキー、カヤージ。))であった。 同世代を完全に撃破したガリレオ陣営はさらに古馬との戦いを志向し、イギリスでの夏の中距離王決定戦たる、アスコット競馬場のGⅠ&bold(){キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークス}(芝12F)に参戦した。 世代を超えた戦いとだけあって英ダービー以上に強力な相手がラインナップに並び、 ・マンノウォーステークス・香港カップ・タタソールズ金杯・プリンスオブウェールズステークスと&bold(){GⅠ・4勝}を誇るゴドルフィンのエースにして古馬の総大将&bold(){&color(white,blue){ファンタスティックライト}} ・同年のフランスダービー馬&bold(){&color(white,blue){アナバーブルー}} ・ジャンプラ賞・オイロパ賞・伊ジョッキークラブ大賞・ガネー賞と&bold(){GⅠ・4勝を挙げている}&bold(){&color(blue,#F54738){ゴールデンスネイク}} ・&bold(){昨年の英セントレジャー馬}で前走英GⅠコロネーションカップも3着に食い込んできた&bold(){&color(red,lightgrey){ミレナリー}} ・前走英GⅡプリンセスオブウェールズステークスを勝って乗り込んできた、後のカナダGⅠ勝ち馬&bold(){&color(white,deepskyblue){ムタマム}} などが顔を揃えた。とりわけファンタスティックライトは世界各地で走っている経験豊富な馬で、鞍上にも名手&bold(){ランフランコ・デットーリ}を擁する強敵だった。 当のガリレオの方はキネーン騎手が直前のレースで騎乗停止処分を喰らっていたのだが、&bold(){裁判所に申し立ててこの処分を保留させる}という強引すぎる手段でレースに参戦。 レースはファンタスティックライトのペースメーカーであるギヴザスリップが先頭に立って引っ張り、ガリレオは中団に待機。それを見るすぐ後ろにファンタスティックライトがつけた。 ガリレオは3コーナーから4コーナーにかけて馬群の内側を通って経済コースでポジションを上げ、3番手で直線に突入。 いつも通りの伸びで先頭に立ったが、そこにファンタスティックライトが馬群を突き抜けて襲いかかり、その勢いたるやガリレオを間違いなく抜き去るかと思われるほどの豪脚だった。 だがガリレオの末脚は衰えることがなく、ファンタスティックライトに並ばせなかっただけでなく&bold(){&color(#F54738){最後は差を広げて2馬身差をつけ快勝した}}。 オブライエン師をして「&bold(){初めて厳しい競馬になった}」と語るほどタフなレースだったが、ファンタスティックライトの徹底マークをものともしない底力を見せつけての勝利だった。 英愛ダービーとキングジョージを全勝するのは1991年の&bold(){ジェネラス以来史上7頭目}、&bold(){&color(#F54738){無敗での達成はあのニジンスキーに続く2頭目}}だった。&bold(){この時点でガリレオはこれら過去の名馬に匹敵する域に達したのである}。 常識的にはここからは&bold(){[[凱旋門賞]]}や&bold(){BCターフ}といった欧州芝中距離の王道を進むのだが、かねてからオブライエン師やジョン・マグナーはガリレオを常識にとらわれないローテで活躍させるという計画をコメントしていた。 それは「ここから&bold(){10ハロン→マイル戦へと距離短縮}し、最後は芝ではなく&bold(){ダートの最高峰である&color(#F54738){BCクラシック}に向かわせる}」というものだった。 さすがにマイルまでの距離短縮は過激であるとして見送られたが10ハロン戦への挑戦は確定事項となり、その計画に従って次走はアイルランド伝統のGⅠである&bold(){アイリッシュチャンピオンステークス}(芝10F)となった。 このレースには前走で破ったファンタスティックライトも直行してきており、他に大した有力馬もいなかったため事実上2頭のリターンマッチとなった。このマッチレースは&bold(){&color(purple){クールモア}}と&bold(){&color(blue){ゴドルフィン}}という欧州競馬を支配する二大グループの対決でもあり、戦前から注目を集めることになった。 今回オブライエン師はペースメーカーを用意しており、ハイペースにしてガリレオのスタミナを活かす競馬を目論んでいた。…が、そんな思惑と裏腹にこれが&u(){後方をはるかに置き去りにしてずっと前を走っていってしまった}。 さらにファンタスティックライトは前走とは変わってガリレオより前でレースを進めたため、&bold(){オブライエン師の作戦は当てが外れる格好となった}。 直線入り口でファンタスティックライトが仕掛けるとガリレオも外から合わせて仕掛けにいったが、抜き去ろうとするガリレオに対しファンタスティックライトは驚異的な勝負根性で抵抗。 これこそがゴドルフィンの立てた「&bold(){&color(#3B4EF0){マークするのではなくガリレオより前で、ファンタスティックライト本来の競馬をすれば勝てる}}」という作戦の真髄だった。 結局熾烈な叩き合いのなか一度もガリレオにリードを許さず、&bold(){ファンタスティックライトがアタマ差でこの対決を制した}。 ガリレオにとっては初の敗北で、前走からファンタスティックライトとの斤量差が縮まったなかでの対決で敗れたのは痛いところだったが、同時代の強豪同士の死闘ということで評価に傷のつくような敗北ではなかった((ただしレースプランが外れたオブライエン師がレース後に「めちゃくちゃだった」と語っており、相当ショックだったようだ。))。 むしろ勝ったファンタスティックライトのデットーリ騎手がレース後に >&bold(){"&font(i){It's a shame one of them had to lose!}"} >「&bold(){どちらかが負けなくてはいけないのが残念だよ!}」 とコメントしたとおり、&bold(){競馬史に残る名勝負}であった((ロンドン・テレグラフ紙はこのレースを「近代スポーツ史上に残る歴史的対決」と評した。))。 次走はかねてから計画の通り、アメリカはベルモントパーク競馬場で開かれるダートGⅠの世界最高峰、&bold(){ブリーダーズカップ・クラシック}(ダート10F)となった。 参戦にあたってはイギリスのサウスウェルにある調教場で事前にダート調教が施されている。 ちなみに当初はファンタスティックライトもBCクラシックに参戦予定だったため3度目の対決が期待されたが、結局ファンタスティックライトはゴドルフィンの使い分けでBCターフの方へ向かいお流れとなった。 とはいえそれでも芝・ダートの垣根を越えて充実のメンバーが揃った。 ・オブライエン厩舎のマイル王ジャイアンツコーズウェイを下して昨年のBCクラシックを勝ったGⅠ・3勝の&bold(){エクリプス賞年度代表馬&color(purple,hotpink){ティズナウ}} ・この年の&bold(){インターナショナルステークスを7馬身差}、&bold(){凱旋門賞を6馬身差}と圧巻のGⅠ・2連勝で乗り込んできたゴドルフィンの最精鋭&bold(){&color(white,blue){サキー}} ・BCジュヴェナイルを制して昨年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬に輝いている&bold(){[[ヒムヤー系の星>ムーチョマッチョマン(競走馬)]]}&bold(){&color(#F54738,navy){マッチョウノ}} ・昨年のG1ジョッキークラブ金杯を勝ちこの年のGⅠ戦線でも3位以内に安定して好走している&bold(){&color(white,black){アルバートザグレート}} ・そのアルバートザグレートをGⅠピムリコスペシャルハンディキャップで倒している&bold(){&color(#FFE921,deepskyblue){インクルード}} ・この年のハリウッド金杯・ジョッキークラブ金杯とGⅠを2勝し「BCクラシック男」ジェリー・ベイリーが駆る&bold(){&color(pink,turquoise){アプティチュード}} ・オブライエン厩舎の同僚で愛2000ギニー・セントジェームズパレスステークスとマイルGⅠ・2勝の&bold(){&color(white,navy){ブラックミナルーシュ}} ガリレオは欧州での暴れっぷりや、アメリカ人からさえアメリカ馬が本命不在と見なされたこともあって&bold(){2番人気の支持を受けた}。前年チャンピオンの[[ティズナウ>ティズナウ(競走馬)]]がいるにも関わらず…。 レースが始まると翌年にエクリプス賞最優秀&u(){短距離馬}となるオリエンテートがぶっ飛ばしていき、ティズナウとアルバートザグレートがそれを追走。ガリレオは5番手につけてレースを進めた。オリエンテートは3コーナーで燃え尽きてアルバートザグレートが先頭に入れ替わると、ティズナウとサキーがギアを上げてこれを追撃。 キネーン騎手もガリレオに鞭を入れてポジションを上げようとしたが、これまでと打って変わって&bold(){&color(#3B4EF0){ガリレオは別の馬のように反応が悪く}}、8番手で直線を向く羽目になった。 &bold(){結局失速もしないが加速することもなく}、アメリカの意地とゴドルフィンの野望をかけたティズナウとサキーの激闘を見送る&bold(){&color(#3B4EF0){6位での入線}}。オブライエン師の悲願にはまたしても届かず、生涯最低の順位となってしまった。 原因はまったくの不明だが、一般にはダートでのレースが合わなかったためとされている。 BCクラシック前から告知されていたが、このレースを最後に引退。21世紀最初の最強馬は8戦6勝2敗の成績でターフを去った。 年末のカルティエ賞では&bold(){最優秀3歳牡馬}を文句なしで受賞したものの、年度代表馬の座はBCターフも制したファンタスティックライトに譲ることとなった。 *競走馬としての評価 デビューから3歳前半にかけての個々のパフォーマンスは圧巻で、&color(#F54738){競走馬としての能力が歴史的名馬の域にあることは疑いようもない}。 ただ3歳後半の連敗については迷走と批判する向きも根強い。[[凱旋門賞]]などの王道路線に出走した場合に期待されたはずのものを考えると、オブライエン師の評価通りにはいかず失速した感もありファンとしてはモヤモヤの残る、評価の分かれるところである。 とはいえ未知の領域に挑んだこと自体は立派なチャレンジであり、オブライエン師の抱くBCクラシック制覇の執念もあったので少なくとも良血に恥じない走りではあった。 現実と夢の狭間という競馬のジレンマをある種体現した馬だったともいえる。 3歳引退という欧州有力馬にありがちなキャリアゆえ、古馬となっていたらどんなレースが見られたのかも気になるところではある。 &bold(){だが種牡馬成績を見る限り、むしろここからが本番だったため、3歳限りでの引退は間違いではなかったようだ}。 *種牡馬として 2002年からクールモアスタッドの種牡馬としてアイルランドでスタッドイン。2006年まではオーストラリアでも活動を行うシャトル種牡馬となっていた((疝痛の手術を行った影響からシャトル活動はこの年限りで取りやめている。))。 &bold(){そして肝心の産駒成績はというと&color(#F54738){初年度から南半球・北半球を問わずGⅠ馬をドバドバと輩出}}。 初年度産駒から早々に4頭のGⅠ馬が登場すると、その後毎年途切れることなく、なんと&bold(){19世代連続でGⅠ馬を送り出し続けた}。 2008年には第3世代の産駒からニューアプローチが英ダービーを含むGⅠ・5勝の活躍をみせたことで初の英愛リーディングサイアーに輝くと、2010年~2020年まで&bold(){&color(#F54738){11年連続で英愛リーディングサイアーの座を堅持}}。 その後も史上最高のレーティング140を記録した最強馬&bold(){フランケル}や、GⅠ・7勝の中距離王&bold(){ハイランドリール}、女王エネイブルを打ち破った凱旋門賞馬&bold(){ヴァルトガイスト}、欧州の長距離王&bold(){キプリオス}など怒涛の勢いで名馬を送り出し、史上最多14回の英愛リーディングサイアーとなった&bold(){父サドラーズウェルズに並ぶ歴史的大種牡馬となった}。 2020年6月には愛1000ギニーをピースフルが勝利したことで&bold(){GⅠ勝利産駒が85頭に達し、84頭のデインヒルを抜いて史上1位の座についた}。その後も勢いはとどまらず、2024年8月にヨークシャーオークスをコンテントが勝利したことで&bold(){&color(#F54738){GⅠ勝利産駒100頭の大台に到達}}。完全に歴史を塗り替えた。 最も重視される英ダービーにおいても&bold(){ニューアプローチ}、&bold(){ルーラーオブザワールド}、&bold(){オーストラリア}、&bold(){アンソニーヴァンダイク}、&bold(){サーペンタイン}と&bold(){5頭の勝ち馬を輩出}し、この数字は史上単独1位である。 &bold(){産駒傾向は牝馬次第で多種多様}だが、スピード、仕上がりの早さなど競走馬として好ましいポイントが多いのが特徴。&bold(){距離適性はマイラーからステイヤーまで幅広い}が、自身のミオスタチン遺伝子型が長距離タイプのTTであるためか、&u(){スプリンターは少ない}。 相手の牝馬は特に相性の好悪なく安定して素質馬を生み出せるようだが、&bold(){デインヒルの牝馬との組み合わせには注目に値するものがある}。 これは俗に&bold(){ガリデイン配合}と呼ばれ、かのフランケル&ノーブルミッション兄弟を筆頭に活躍馬を多数送り出した。 活躍の場についても本拠地欧州だけでなくシャトル先のオーストラリア、さらにアメリカ芝路線や香港、南アフリカと、&bold(){芝ならば活躍の場を選ばないオールマイティさ}を備えている。 &bold(){&color(#F54738){&u(){ただし日本だけは例外でまったくといっていいほど活躍馬が出ず}}}、GⅠどころか重賞ですら勝ち馬が現れていない(これはモンジューと同様である)。原因をスタミナ・パワー偏重の血統に求める向きが強いが、牝馬から軽快さを得られるからこそこれだけの海外での結果につながっているはずなので、非常に大きな謎である((フランケル産駒にまで代が下るとGⅠ勝ち馬が現れている。))。 さらに母父としても優秀で、その代表例としては日本の誇る[[ディープインパクト>ディープインパクト(競走馬)]]との結晶たる&bold(){サクソンウォリアー}&&bold(){オーギュストロダン}、シユーニの産駒として凱旋門賞も制したフランスダービー馬&bold(){ソットサス}とその全弟たる&bold(){シンエンペラー}、カルティエ賞年度代表馬になった&bold(){セントマークスバシリカ}。 ドバウィ産駒からは種牡馬としても絶賛活躍中の2000ギニー馬&bold(){ナイトオブサンダー}や年度代表馬の&bold(){ガイヤース}がいる。 これは牝馬からも活躍馬が安定して現れていることの裏返しでもある。 くわえて後継種牡馬も複数頭が地位を築いており、先述の最強馬フランケルを筆頭に&bold(){ニューアプローチ}や&bold(){ナサニエル}、&bold(){チャーチル}らが順調にGⅠ勝ち馬を産駒として輩出している。 サドラーズウェルズのラインは当面絶える心配はなく、自身も完全に安泰という状況である。 この通り当代では並ぶもののないほどに血を広げたガリレオだったが、2021年7月に左前脚の慢性的な傷が悪化。衰弱著しく、安楽死の措置がとられた。&bold(){23歳の大往生}で、これもまた父サドラーズウェルズとそっくりな生命力であった。 晩年はプライベート種牡馬となっていたため正確な種付け料は不明だが、その額は&bold(){60万ポンド}だったと言われ、これは当時のレートで&bold(){&color(#F54738){約9000万円}}にものぼる破格の値段である((ディープインパクトの種付け料が最高で4000万円だったため、その倍以上ということになる))。 ちなみに同じ日には産駒のボリショイバレエがアメリカGⅠベルモント招待ダービーを制し、父への手向けを贈った。 先述の通り2024年も残された産駒がGⅠ勝利を積み重ねており、おそらく今後もしばらくは活躍が続くと見込まれている。 &bold(){すでに遍く広がった天才の血が世界の競馬の未来をどのように変えていくのか、これからも目が離せない}。 **代表産駒たち ※&color(#F54738){GⅠウィナーに絞ってもあまりにも多すぎるため}、一部の特筆すべき顔ぶれをご紹介する。 ***&font(120%){&bold(){&color(navy){テオフィロ}}(2004年産)} 2年目の産駒にしてガリデイン配合の記念すべき第1号となった、&bold(){2006年のカルティエ賞最優秀2歳牡馬}。 デビューから瞬く間に連勝してGⅡフューチュリティステークスを制すると、勢いそのままにナショナルステークス、デューハーストステークスと英愛の2歳GⅠを勝利。&bold(){無傷の5連勝で2歳馬のトップとしての地位を築いた}。 陣営からは翌年のクラシック三冠を狙うと宣言が出るほど絶好調だったのだが、2007年になってみると脚の状態が思わしくないため2000ギニー…どころかダービーさえ回避する羽目になり、愛チャンピオンSでの復帰を模索したものの結局状態は回復せず。 3歳限りでの引退が決まっていたため、もう出るレースがないということでここで引退。結局レース出走は2歳時のみだった。 種牡馬としては初年度産駒から&bold(){&color(purple){パリッシュホール}}が早々に2歳GⅠを制して上々の滑り出しを見せ、その後も安定して毎年GⅠ馬を輩出。 2年目産駒にしてガリレオの後継種牡馬の一角となり、三冠の夢を託された所以を証明してみせた。 日本にも産駒が輸入されており、そのうちの1頭の&bold(){&color(white,blue){テリトーリアル}}は2021年のGⅢ小倉大賞典を勝利。同世代の&bold(){&color(white,black){エグザルタント}}は香港でGⅠ・5勝を挙げるなど、欧州以外でも存在感を見せている。 ***&font(120%){&bold(){&color(,limegreen){ニューアプローチ}}(2005年産)} &bold(){GⅠ・5勝}、&bold(){11戦8勝2着2回3着1回}というたぐいまれな戦績を残し、ガリレオ産駒の評価を爆発的に高めた最初のエース。 2歳の時点でGⅠ・2勝を含む5連勝という圧倒的な戦績を残し、3歳時は英愛2000ギニーをともにヘンリーザナヴィゲーターの2着と苦杯をなめるも続く英ダービーで逆襲の戴冠。ガリレオに早くもダービー馬の父という称号をもたらした。 その後英愛チャンピオンSを連勝し、とくに引退レースとなった英チャンピオンSは&color(#F54738){2着を6馬身差にぶっちぎりながらレコードを叩き出す}圧巻のパフォーマンスを見せつけた。 種牡馬入りしてからは&bold(){ガリレオ後継として複数のGⅠ馬を輩出}しており、2018年には&bold(){&color(white,blue){マサー}}が英ダービーを勝利。&bold(){ガリレオから数えて3代連続ダービー勝利}という快挙を果たした。 日本でも2020年のGⅢ共同通信杯を&bold(){&color(white,blue){ダーリントンホール}}が勝利、母父としても&bold(){&color(white,blue){バスラットレオン}}が国内外で活躍、&bold(){&color(red,white){ルガル}}がスプリンターズステークスを制覇するなど実績を残している。 ちなみに1998年の高松宮記念を制した&bold(){&color(white,black){シンコウフォレスト}}は本馬の半兄にあたる。 ***&font(120%){&bold(){&color(pink,turquoise){フランケル}}(2008年産)} &bold(){GⅠ・10勝}、&bold(){14戦14勝}、&bold(){2歳から4歳にいたるまで一貫して最強の座にあり続けた世紀の怪物}。ガリデイン配合の最高傑作でもある。 キャリア詳細については&bold(){[[フランケル>フランケル(競走馬)]]}の当該項目を参照。 &bold(){&color(#F54738){レーティング140}}という史上最高の評価を受けた本馬を生み出したことは、ガリレオの種牡馬としての名声を不動のものにした。 本馬もまた種牡馬としても成功しており、現状&bold(){ガリレオ後継種牡馬の筆頭}と呼べるまで実績を積み重ねている。 2021年には&bold(){&color(white,blue){アダイヤー}}の英ダービー勝利によってダービー馬の父の称号を獲得。さらに&bold(){&color(white,blue){ハリケーンレーン}}や&bold(){&color(green){アルピニスタ}}らの活躍もあって同年に亡くなった父に代わって英愛リーディングサイアーに輝いた。 2022年には&bold(){[[アルピニスタ>アルピニスタ(競走馬)]]}が凱旋門賞を制し、2023年には孫の&bold(){&color(,orange){エースインパクト}}が同じく凱旋門賞を勝利するなど、血の継承も確実に進んでいる。 またガリレオと異なり&bold(){産駒が日本にも適応していることも特徴的}である。&bold(){&color(,#FFE921){ソウルスターリング}}が阪神JFとオークスを制覇((この実績から半姉のサザンスターズ(父スマートストライク)も日本に輸入された。彼女の2番仔が、2022年に桜花賞・オークスの牝馬二冠を制した[[スターズオンアース>スターズオンアース(競走馬)]](父[[ドゥラメンテ>ドゥラメンテ(競走馬)]])である。))、&bold(){&color(orange,black){モズアスコット}}が芝・ダート不問の万能性を示したかと思えば、&bold(){&color(red,black){グレナディア}&color(#FFE921,black){ガーズ}}が朝日杯FSを制する仕上がりの早さを示すなど、多彩な実力馬を送り出している。 種付け料の上昇にもその価値が反映されており、日本円にして&bold(){&color(#F54738){約7000万円}}にまで達している。 &bold(){現役時代もさることながら、今後も最も注目すべきガリレオ産駒と言えよう}。 ***&font(120%){&bold(){&color(lightyellow,navy){ナサニエル}}(2008年産)} フランケルとは&u(){同期、同父、同レースでデビュー、同レースで引退}と、&bold(){何かと因縁深い一頭}。 フランケルとデビュー戦でかちあってしまったがために勝ち上がりが遅れ、クラシックに参戦できない憂き目にあったものの、 それでも重賞を勝つと追加登録料を払ってまで&bold(){キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS}に参戦。 レースでは昨年の凱旋門賞馬&bold(){ワークフォース}ら強豪をまとめて退け、&bold(){3歳馬として8年ぶりに同レースを制して自身の素質を示して見せた}。 翌年もエクリプスステークスを勝ってGⅠ・2勝とするなど多くの強豪と渡り合い名勝負を演じた。 &bold(){種牡馬入り後は堅調にGⅠ馬を輩出}。なんと初年度産駒からあの女傑&bold(){&color(pink,turquoise){エネイブル}}が飛び出し、6歳まで世界中を駆け巡って凱旋門賞連覇を含むGⅠ・11勝というレジェンドホースの父に大出世を果たした。 エネイブルはキングジョージ3勝という史上初の偉業を成し遂げており、&bold(){ガリレオから数えて3代連続のキングジョージ制覇}となっている。 産駒総数の規模では敵わないながら、アダイヤーが英ダービーを制した翌年にはナサニエルも&bold(){&color(#FFE921,blue){デザートクラウン}}の圧勝でダービー馬の父となるなど、&bold(){フランケルとはガリレオ後継として未だにバチバチやりあう関係が続いている}。 ***&font(120%){&bold(){&color(orange,#3B4EF0){ファウンド}}(2012年産)} &bold(){ガリレオ産駒として[[凱旋門賞]]を初めて制覇してみせた牝馬}。 フランス2歳GⅠの[[マルセルブサック賞>マルセル・ブサック]]を制しておりクラシックでの活躍を嘱望されたが、怪我のため3歳初戦の1000ギニーへの出走を取り消してケチがつくと、その後はGⅠで2着を量産するなど消化不良の日々が続いた。 それでも3歳最後のレースに選んだBCターフでは、過去2戦で苦杯をなめさせられた凱旋門賞馬ゴールデンホーンに雪辱を果たす勝利を挙げた。 翌年はタタソールズ金杯から愛チャンピオンSまでGⅠを5連続で2着敗戦((それも全部違う馬相手である。))するなどまたもや善戦ウーマンと化すが、続く凱旋門賞では&bold(){同厩舎のガリレオ産駒2頭の追撃を軽快にかわして見事勝利}。 ガリレオ産駒として初めての凱旋門賞制覇を、&color(#F54738){同産駒によるワンツースリーで飾った}((ここまでガリレオ産駒は凱旋門賞では勝利どころか3着すらわずか2回とかすりもしていなかったが、これを皮切りに凱旋門賞への影響力が高まっていくことになる。))。 引退後はクールモアスタッドで繁殖入りとなった。2024年時点で第2仔が生まれたばかりだが、ウォーフロント((日本輸入種牡馬であるデクラレーションオブウォーの父。))との間の初仔&bold(){&color(orange,#3B4EF0){バトルグラウンド}}がリステッド競走を勝ち、マイルGⅠで3着に突っ込むなどまずまずの活躍である。 そして2024年は[[ディープインパクト>ディープインパクト(競走馬)]]産駒のフランスダービー馬、&bold(){スタディオブマン}との間に第2仔を出産。母の名声をさらに高めることができるか。 全妹&bold(){ベストインザワールド}はディープインパクトとの間に英オークスなどを制覇した&bold(){&color(white,purple){スノーフォール}}を生んでいる。 ***&font(120%){&bold(){&color(white,purple){ハイランドリール}}(2012年産)} ガリデイン配合の傑作その3にして、&bold(){世界各地を転戦して最終的にGⅠ・7勝を挙げた名馬}。日本馬と6回にわたり激突したため日本でも名前の知られる存在となった。 2歳時は2連勝し、愛仏のクラシックに挑むも3戦して全敗。しかし3歳時点から積極的に海外遠征を行っており、異国アメリカでGⅠ初制覇を飾ると年末には香港ヴァーズも制してGⅠ・2勝目を挙げた。 国外では好走するも本拠地のはずの欧州ではそれほど振るわないケースが多かったが、4歳時にはついにキングジョージを勝利して英GⅠ初勝利。 同年末には&bold(){[[サトノクラウン>サトノクラウン(競走馬)]]}と香港ヴァーズで連覇をかけて死闘を演じ、&color(#F54738){0.08秒差}でサトノクラウンの2着に敗れるも名勝負を見せた。 その後もGⅠ勝利を積み重ね、最後は縁深い香港ヴァーズで2勝目を挙げて引退。&bold(){GⅠ・7勝として有終の美を飾った}。ちなみに日本馬とは通算で6回対決して日本勢が4勝2敗と勝ち越している。 産駒は2021年からデビューとなったが、&color(#3B4EF0){2世代で重賞馬がわずかに2頭}と物足りない状況。 クールモアも見切りをつけたのか2023年には放出され、かわってあの&bold(){トーセン軍団総帥の島川隆哉オーナーが所有するエスティファームで種牡馬として繋養}されることとなった。 こちらではハイランドリールは種付け料200万円で、最初の2023年に37頭、翌2024年には微増して45頭に種付けした模様である。&bold(){何かと縁のあった日本での巻き返しに期待である}。 ***&font(120%){&bold(){&color(white,navy){ロードデンドロン}}(2014年産)} 母ハーフウェイトゥヘヴンは愛1000ギニーを含むGⅠ・3勝を挙げた名牝で、全妹で1個下のマジカルもGⅠ・7勝を挙げたという&bold(){なかなかの良血馬}。 2歳GⅠのフィリーズマイルを制してGⅠ初制覇を飾ると3歳初戦の1000ギニーでも堂々1番人気…だったが同父・同厩舎の&bold(){&color(white,navy){ウィンター}}に軽くひねられ敗戦。次いで挑んだ英オークスではなんとあの&bold(){エネイブル}が待ち構えており、徹底マークにも関わらず軽く5馬身ちぎられる大敗を喫した。 代わって転戦したディアヌ賞((フランスオークス。))では&bold(){&color(#F54738){レース中に鼻出血を起こし競走中止}}というさらなる不運に襲われてしまう。 かなり出血量が多くオブライエン師も悲観的なコメントを出すほどだったが、意外なほど早く復帰。復帰戦こそ7着と惨敗だったが、続くオペラ賞は本来の粘り強さのある走りでアタマ差交わしてGⅠ・2勝目とし復活を果たした。 明けて4歳初戦のガネー賞はクラックスマンに敵わず敗れたものの、次走のロッキンジステークスは短アタマ差で追撃をかわし&bold(){GⅠ・3勝目}。しかし以降は見せ場なく敗れるレースが続き、この年限りで引退となった。 引退後は良血を買われてクールモアスタッドで繁殖牝馬として活動。&bold(){その初年度となる2019年の交配相手として選ばれたのは日本の誇る名馬[[ディープインパクト>ディープインパクト(競走馬)]]である}。 この年のディープインパクトは頸部の痛みから種付け頭数が少なかったが、ロードデンドロンは無事交配・受胎することができ、子を宿したまま日本を離れた。それから間もなく同年7月にディープインパクトは死亡。&bold(){結果的にディープインパクトのラストクロップを持ち帰ることとなった}。 このロードデンドロンの仔は&bold(){&color(orange,#3B4EF0){オーギュストロダン}}と名付けられ、&bold(){ディープインパクト最終世代を代表する一頭として大活躍することになる}。 *余談 &bold(){ガリレオだけでなくその近親も大いに成功している}。 1個下に生まれたガリレオの全弟である&bold(){&color(orange,#3B4EF0){ブラックサムベラミー}}は兄程のすさまじい結果ではなかったもののイタリアGⅠのジョッキークラブ大賞、アイルランドGⅠのタタソールズ金杯と&bold(){GⅠ・2勝}を挙げ、この血統に間違いがないことを証明した。 このブラックサムベラミーもGⅠ馬の父となっている。 また、母アーバンシーを所有するデヴィッド・ツイ氏はガリレオとブラックサムベラミーの例から、&bold(){サドラーズウェルズとの交配はやや距離適性が長めに出る}ことを看破。 よりスピードあふれる産駒を生み出すべく独自に調査した結果、グリーンデザート系でスピード面の申し分ない種牡馬である&bold(){ケープクロス}との交配に至った。 かくして生まれたガリレオの半弟は&bold(){&color(purple,yellow){シーザスターズ}}と名付けられ、&bold(){イギリスクラシック二冠や凱旋門賞を含む&color(#F54738){GⅠ・6連勝}}、そして兄も届かなかった&bold(){カルティエ賞年度代表馬}の受賞というすばらしい成績を残した。種牡馬としてもやはり活躍馬を送り出していることは言うまでもない。 [[シーザスターズ>シーザスターズ(競走馬)]]の鞍上を務めたのがガリレオと同じマイケル・キネーン騎手だったのは何の因果であろうか…。 追記・修正はクールモアスタッドを強化しながらお願いします。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,3) } #center(){&link_toppage(-アニヲタWiki-)} #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 海外馬はまとめるのも大変だろうに建乙でした オーギュストロダンの血統がわかって面白かった -- 名無しさん (2025-03-21 22:46:43) - 建乙 引退後の活躍は知らんかったから面白かったわ -- 名無しさん (2025-03-22 11:59:53) - ガリレオの1年後にもサドラー産駒で英愛ダービー制覇とBCターフ連覇したハイシャパラルが出てきているしオブライエン厩舎化け物揃いすぎる -- 名無しさん (2025-03-22 23:02:45) #comment #areaedit(end) }

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