QUAKE(ゲーム)

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&font(#6495ED){登録日}:2020/12/13(日) 15:48:40 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- **概要 QUAKEとは、1996年にid Softwareが開発・GT Interactiveが発売したFPS。 「Wolfenstein 3D」や「[[DOOM>DOOM(ゲーム)]]」に続いて発売されたid Software第三の主力FPSシリーズであり、前作同様にSFとファンタジーの混ざった独特な世界観を特徴としている。 それまでは「Dark Forces」「System Shock」「Future Shock」「[[Marathon>Marathon(ゲーム)]]」といったFPSで部分的に導入されるだけであったポリゴンによる3D描写を本格的に導入。 当時のFPS業界で初めて、''武器、地形、キャラクター全てのフル3D描画を実現した作品''である。 元々はバーチャファイターに感銘を受けたジョン・ロメロがダークファンタジーな近接格闘RPG「タイムクエイク」として作っていたのだが、どう見ても%%面白くない上に%%納期に間に合いそうになかったため素材だけ流用して「[[DOOM>DOOM(ゲーム)]]」風の堅実なFPSに作り直された作品。 そのため初期装備が斧だったり、中世的な敵キャラが多かったり、城っぽいマップだったりと%%突貫工事感の漂う%%ファンタジーRPG感のある内容となっている。 ジョン・ロメロやトム・ホールの退社を招いた、id softwareにとっても転換期と言える作品である。 **ストーリー 科学技術が発展した遠い未来の地球。 人類は政府主導でテレポーテーション装置「スリップゲート」を開発していたが、それを「[[シュブ=ニグラス]]」率いる次元侵略種族、コードネーム「クエイク」が嗅ぎ付けてしまう。 スリップゲートを通ってなだれ込んでくる魔物たちによって研究所は制圧され、地球の制圧は時間の問題だった。 政府はスリップゲートを再び確保するための極秘作戦「オペレーション・カウンターストライク」を開始したが、魔物との激戦により作戦に参加した隊員たちは壊滅。 最終的に生き残ったたった一人の男「レンジャー」と、魔物の侵攻先へと繋がる4つのスリップゲートのみが残った。 ただ一人の希望となったレンジャーはショットガンと斧を手にスリップゲートへと飛び込み、敵勢力「クエイク」の壊滅を目指す。 **キャラクター ・''レンジャー(クエイクガイ)'' 我らが主人公。いつもどおり''設定上は''一般人。 黄土色の服と灰色の装甲、顔の露出した灰色のヘルメットを着用しており、巨大な斧を愛用している。 ''大量の武器弾薬を携行し、全ての兵器を難なく使いこなし、強靭な体力とバイク並みの脚力を兼ね備えた''人の形をしたバケモノ。 ''更にはジャンプしながら全身を振り回し無限に加速する''超能力すらも有している。人間...? 政府がスリップゲートを開いたことで「クエイク」が侵攻し地球が存亡の危機に陥り、スリップゲート奪還作戦「カウンターストライク」に参加。 最終的にスリップゲート施設を奪取することには成功するが、作戦に参加した中でただ一人の生き残りとなってしまう。 しかし持ち前の超人的な戦闘能力を駆使して各所の魔物の軍勢を挽肉に変え、シュブ=ニグラスが捜し求めていた「ルーン(アメコミでいう[[インフィニティ・ジェム]]的ななんか)」4つを先に奪取。 そのルーンを組み合わせて超パワーを解放し、シュブ=ニグラスの隠れていた本拠地に次元の穴をこじ開けて逆に殴りこみをかける。 最終的に無敵のシュブ=ニグラスを殺すため出口移動式スリップゲートの出口を無防備な内臓に設定、そのまま飛び込んで&bold(){*にくのなかにいる*}し、愛用の斧を取り出して臓物をミキシング。爆発四散した血と肉片を浴びながら満面の笑みで生還した。 ・''グラント'' ゾンビマン枠の元軍人。出番の多い雑魚。 ・''ロットワイラー'' Wolfenstein 3D以来の登場となった犬。ピンキーデーモン枠その1。 移動速度と飛び掛り攻撃が厄介だがHPは低め。 ・''オーガ'' チェンソーとグレネードを所持する人食いモンスター。以外に機敏で初見はビビるが慣れればロケット回収要員と化す。 ・''スクラッグ'' カコデーモン枠。常時浮遊して弾を吐き出す。 ・''ナイト'' ピンキーデーモン枠その2。小柄な騎士だが移動速度が早く、もたもたしていると囲んで剣で叩かれる。 ・''フィーンド'' ピンキーデーモン枠その3。ジャンプ攻撃と素早い爪攻撃がプレイヤーを苦しめる。 ・''ゾンビ'' 通常攻撃では一定時間倒れるだけで止めを刺すことができず、爆発武器で肉片に変えて初めて倒すことができる厄介キャラ。 下水道に多く潜んでおり処理が面倒。 ・''シャンブラー'' 巨大版フィーンド。早い上に射程が長く大ダメージを与える電撃攻撃を放つことができる強敵。 ・''エンフォーサー'' 強化版グラント。レーザー攻撃を放つ重武装兵士。英語でよく喋る。 ヘルメットの構造が宇宙海兵隊に似ており、また持っている武器もUACのプラズマライフルに酷似した構造。[[もしかすると...?>DOOM(ゲーム)]] ・''デスナイト'' 火球を放つ黒騎士。遠近両方に強い厄介なヤツ。 ・''ロットフィッシュ'' 水中で噛み付いてくる畜生ピラニア。マウスエイムを普及させた原因の一つ。 ・''ヴォア'' クモ人間。中ボスとして登場する、誘導弾を放つ強敵。 ・''スポーン'' 地獄設置型ボム。 ・''クトーン'' 中ボス。溶岩の中を泳げる赤い巨大モンスター。 無敵だが、わざわざ電撃発射ギミックのある溶岩プールを拠点に構えたせいでクエイクガイに感電させられて爆発四散した。 ・''[[シュブ=ニグラス]]'' 次元侵略種族「クエイク」の親玉。本体は巨大なツノの生えた肉塊で、強大な魔力を持ち大量の魔物を召還することができる。 本体に直接的な攻撃能力はないが接近したものを触れずに呪い殺すことができ、大量の敵を召還・使役する能力を持つ強敵。 さらに外部からの一切の攻撃を無効化することができ、通常火器では倒すことができない。 地球政府が次元に干渉するスリップゲートを使用したことで地球側の存在を知り、侵略と地球の作り変えのために究極のパワーを秘めるルーンを集めようとするが、地球最強の男であるレンジャーに尽く阻止され逆に根城に侵入されてしまう。 最終的にレンジャーによって移動式スリップゲートの出口を体内に設定され、telefrag効果で人間一人分の内臓器官を吹き飛ばされた挙句更に斧でかき混ぜられて爆発四散した。 **登場勢力 ・''政府'' 本作のUAC枠。相変わらず適当にポータル開いてたら謎の勢力に襲撃された。 ・''クエイク'' 本作の悪魔枠。あくまで政府がとりあえず「クエイク」というコードネームで呼んでいるだけで、実際の組織名は不明。 そのまんま「悪魔」呼びされる場合も多く、人間や犬に憑依してゾンビ化させるなどやってることも一緒。 別次元の存在であるシュブ=ニグラスが率いる次元侵略型種族であり、幾多の次元を駆逐してきた結果騎士から巨大ゴリラまで配下はさまざまなバリエーションが存在する。 住んでいた次元が暗いせいでどの生物も目玉が退化しており非常に不気味。 スリップゲートを利用して地球へと攻め込み、ルーンを4つ集めて指パッチンしようとしたが逆にレンジャーにルーンを強奪され、故郷に乗り込まれてしまう。 必死で抵抗を図るが、奮戦虚しくシュブ=ニグラスが爆発四散し壊滅した。 エンジンを流用強化した作品である「Half-Life」シリーズにも、似たような他次元の生物を奴隷化する種族として「ニヒランス」「コンバイン」が登場している。 次元侵略を行うFPSの敵種族としては、実質的に彼らの先輩と言えるだろう。%%まぁ元を辿ればクトゥルー神話なんだけど%% **拡張性 前作同様に本作の「QUAKEエンジン(id tech 2)」も高い拡張性を誇っており、3Dのため前作ほど簡単ではないもののさまざまなMODが製作された。 前作と同じゴアMODはもちろんのこと、フル装備でタイマンする『ROCKET ARENA』、クラス制が導入され協力しあう『Team Fortress』、ルールとしてのキャプチャーザフラッグを始めて実装した『Threewave CTF』、とにかくバカゲー要素を詰め込みまくった『PainKeep』などなど、様々なMODが登場した。 また、本作に使用されたエンジンを受け取ったValve社はそれを元に「Goldsrcエンジン」を開発。 今もなおFPS史に残る傑作として知られる『HALF-LIFE』を作り上げた。 更に、現在ではQUAKEエンジンの改良版である「DarkPlacesエンジン」を使用した『WRATH:Aeon of Ruin』というFPSが''2019年からアーリーアクセス販売中''。 まだまだ引退は先の話らしい。 **余談 ・''インターネットを介したオンラインマルチプレイの登場'' 公開当初こそ&bold(){「フル3Dなだけで重いわりにマップは暗くて大して緻密でもない。『Duke Nukem 3D』のほうがよっぽど作りこまれているじゃないか」}と否定的な意見が多かった本作だが、その素晴らしさが真に共有され始めたのはオンラインマルチプレイだった。 フル3Dで立体的に動き回り、縦横無尽にロケットランチャーを撃ちあう高速かつ爽快なマルチプレイデスマッチは高い評価を受け、各地で賞金大会が実施され競われるほどの人気を獲得。 更にQuakeはTCP / IP接続を可能にした最初のFPSゲームの1つでもあり、LANではなくインターネット上で誰ともプレイできるという画期的な機能を備えていた。 公式MODとして、ネットコードを改良した「Quake World」というオンラインに特化したものも提供された。 つまり、''シングルプレイヤーゲームとしては普通かそれ未満だが、オンラインマルチプレイヤーは超大人気''、というシングルプレイ全盛期の当時としては変わった作品となった。 ・''業界への影響'' フル3D時代の到来を招き、翌年からは『CHASM: THE RIFT』『Unreal』『Jedi Knght』など雨後のタケノコの如く大量の3DFPSが誕生した。 しかしその多くは技術力が足りない、オンラインが雑など突貫工事が目立ち、「Poor man's QUAKE(貧乏人のためのクエイク)」呼ばわりされることに。 1998年までにはビルドエンジン製ソフトを除く殆どがフル3DのFPSへと移行し、『Wolfenstein 3D』から続いた2DFPS時代は終わりを告げることとなった。 ・''ストレイフジャンプ誕生'' 元々DOOMエンジンには「ナナメに走ると縦移動と横移動が加算され若干早くなる」という仕様が存在したのだが、本作ではそれを解消すべく「一定時間ナナメ移動すると通常速度まで減速する」というプログラムが仕込まれていた。 しかしそれも同じ方向に移動しなければ発動しないことが突き止められ、視点を移動しまくって様々な角度にナナメ移動するストレイフランというテクニックが登場。 更にジャンプ中は一切の減速プログラムが適用されないという抜け穴も見つかり、''「ナナメ移動速度とナナメ移動速度を加算し、ジャンプしながら延々加速しまくる」''ストレイフジャンプが登場。 更には「横移動と視点移動を繰り返すだけで空中で曲がりながら加速できる」''バニーホップ''も発見される。 1997年の競技大会終盤で発覚したのだが、ゲームの根本的なバランスを崩す危険なテクニックとして、バニーホップはQUAKE IIでは修正されることとなった。 ストレイフジャンプはQ2になっても生き残り、QuakeIII以降も仕様として存続。Quake系特有の「真っ直ぐ走るのがめちゃくちゃ速いが、曲がるのは非常に苦手」という原点は間違えなくQ1から引き継がれている。 ...が、エンジンを流用した子供「HALF-LIFE」とその孫である「Counter-Strike」はこの親のバグを受け継いでしまう。 こうして誕生したのが''[[史上最強の物理学者>ゴードン・フリーマン]]''と、''[[戦場を飛び回るテロリストグループ対戦場を飛び回る特殊部隊>カウンターストライク(ゲーム)]]''という最悪すぎる絵面である。 ただGoldsrcのバニホは非常にタイミングが難しく((着地から数フレームで再ジャンプしないと速度が維持できない。))、スクリプトかマウスホイールにジャンプを割り振らないとまず成功しない。 それに加えて、ロケランではなく実弾兵器主体の『カウンターストライク』はバニホで飛び回ったところで、着地してしかも静止してないとまともに弾が飛ばないので加速したところで銃撃戦には不利となり、使える場面はかなり限定される。 限定されるだけで使い所はあるため通常の野良試合では「習得すると便利な上級テク」として普及したのだが、賞金大会ではルールでスクリプトジャンプやホイールジャンプが禁止されたので、e-sports的にはそこまで猛威を振るうことは無かった。 一方、シングルプレイ専用ゲームである『HALF-LIFE』は「マップがシームレスなためスピードラン向け」・「ルールに縛られず、要所以外の銃撃戦も必須でない」という好条件が重なった結果、''物理学者たちが物理を超越して高速で吹っ飛びクリアタイムを競う魔境''に発展。熾烈な記録争いにより、耐性がなければ開幕30秒で嘔吐確実のとんでもないスピードラン記録動画が並ぶこととなった。 結局QUAKEエンジンとその派生作でバニホが注目されたのは、バニホがタイム短縮に繋がる『HALF-LIFE』『CS:Condition Zero』といったシングルプレイFPSのスピードラン界隈と野良CS対戦部屋、こういった大会禁止が無かったQUAKE・HL用のMODである「Team Fortress Classic」ではなかろうか。 ・''幻のタイムクエイク'' id Softwareの中心的人物であるジョン・ロメロは「DOOM」発売後に技術提供も兼ねてRaven SoftwareのDOOMクローンなダークファンタジーFPS「HERETIC」「HEXEN」の開発に関わっており、それがきっかけで''「フル3Dのダンジョンを探索して魔物を倒すアクションRPGを作りたい」''という野望を抱いていた。 そして「DOOM II」の発売後に新作アクションRPGとして製作が開始されたのが「タイムクエイク」。地面を叩いて地震(Quake)を起こすトールハンマーを使い、敵を倒していくダークファンタジーものになる...''はずだった。'' QUAKEの販売を担当したGT interactiveは納期が短いことで有名で、後に極端に短い納期が原因で「BLOOD II: The Chosen」というクソゲーを送り出してしまったパブリッシャー。ロメロの構想する大規模RPGの開発は遅れに遅れ、見かねたほかのid Software開発者はそれに待ったをかける。 結局ファンタジー部分は流用しつつ新しくSF部分を追加し、やや不恰好ながらも前作同様の「DOOMっぽい」堅実なFPSに仕立て上げることに成功、無事GT interactiveの納期に間に合ったのでした、めでたしめでたし。 ...当然ながら、熱心に開発に取り組んでいたゲームが他人の手で世界観をぶち壊されて普通のFPSに成り下がってしまったことでシングルプレイシナリオ至上主義のロメロはキレた。 同僚とのid Software創立以来伝説的な開発者として名を馳せていたロメロは、このひと悶着を機にid Softwareを退社。トム・ホールやウォーレン・スペクターらと共にIon Stormを立ち上げる。 そうして誰にも邪魔されず理想の「タイムクエイク」を作れる環境を得たロメロは、本来のQUAKEが目指した形として''クソゲーとして知られる''「大刀 DAIKATANA」を作り上げたのだった。 **関連項目 ・''[[DOOM(ゲーム)]]'' 同社の前作にしてFPSを広めた傑作。マルチプレイは搭載されているがオンライン対戦は荒削りでバランス悪め。 ・''[[SCP-2639]]'' 創作コミュニティSCPに投稿された、QUAKEを題材にした創作作品。 ・''[[クトゥルー神話]]'' ボスキャラの元ネタ。ただし名前を借りただけで関係は薄い。 追記・修正は難易度ナイトメアでシュブ=ニグラスを吹き飛ばしてからでお願いします #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 記事作成乙。DOOMに続いてQuakeも作成されたか。最近は「Quake Champions」も出てるけどQ3とかQuakeLiveぐらいに盛り上がってる感じはないな。 -- 名無しさん (2020-12-13 15:48:40) - 敵キャラがクエイクなのに、2,4は純粋なSFエイリアンで、3は対戦メインと、シリーズの差が激しい -- 名無しさん (2020-12-13 16:43:08) - QUAKE1←→QUAKE3←→QUAKE2・4とかいうややこしすぎるシェアードワールド なお3の神的存在ヴァトリガーのせいでシュブ=ニグラスくんはただのザコ種族と化した模様 -- 名無しさん (2020-12-13 17:38:07) - これ程のゲームを作ったロメロはなんであんなクソゲー作っちゃったんだろうね…… -- 名無しさん (2020-12-13 18:43:59) - ロケランの爆風をその身に受けて加速する漢 -- 名無しさん (2020-12-13 19:42:35) #comment(striction) #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2020/12/13(日) 15:48:40 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- **概要 QUAKEとは、1996年にid Softwareが開発・GT Interactiveが発売したFPS。 「Wolfenstein 3D」や「[[DOOM>DOOM(ゲーム)]]」に続いて発売されたid Software第三の主力FPSシリーズであり、前作同様にSFとファンタジーの混ざった独特な世界観を特徴としている。 それまでは「Dark Forces」「System Shock」「Future Shock」「[[Marathon>Marathon(ゲーム)]]」といったFPSで部分的に導入されるだけであったポリゴンによる3D描写を本格的に導入。 当時のFPS業界で初めて、''武器、地形、キャラクター全てのフル3D描画を実現した作品''である。 元々はバーチャファイターに感銘を受けたジョン・ロメロがダークファンタジーな近接格闘RPG「タイムクエイク」として作っていたのだが、どう見ても%%面白くない上に%%納期に間に合いそうになかったため素材だけ流用して「[[DOOM>DOOM(ゲーム)]]」風の堅実なFPSに作り直された作品。 そのため初期装備が斧だったり、中世的な敵キャラが多かったり、城っぽいマップだったりと%%突貫工事感の漂う%%ファンタジーRPG感のある内容となっている。 ジョン・ロメロやトム・ホールの退社を招いた、id softwareにとっても転換期と言える作品である。 **ストーリー 科学技術が発展した遠い未来の地球。 人類は政府主導でテレポーテーション装置「スリップゲート」を開発していたが、それを「[[シュブ=ニグラス]]」率いる次元侵略種族、コードネーム「クエイク」が嗅ぎ付けてしまう。 スリップゲートを通ってなだれ込んでくる魔物たちによって研究所は制圧され、地球の制圧は時間の問題だった。 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更にジャンプ中は一切の減速プログラムが適用されないという抜け穴も見つかり、''「ナナメ移動速度とナナメ移動速度を加算し、ジャンプしながら延々加速しまくる」''ストレイフジャンプが登場。 更には「横移動と視点移動を繰り返すだけで空中で曲がりながら加速できる」''バニーホップ''も発見される。 1997年の競技大会終盤で発覚したのだが、ゲームの根本的なバランスを崩す危険なテクニックとして、バニーホップはQUAKE IIでは修正されることとなった。 ストレイフジャンプはQ2になっても生き残り、QuakeIII以降も仕様として存続。Quake系特有の「真っ直ぐ走るのがめちゃくちゃ速いが、曲がるのは非常に苦手」という原点は間違えなくQ1から引き継がれている。 ...が、エンジンを流用した子供「HALF-LIFE」とその孫である「Counter-Strike」はこの親のバグを受け継いでしまう。 こうして誕生したのが''[[史上最強の物理学者>ゴードン・フリーマン]]''と、''[[戦場を飛び回るテロリストグループ対戦場を飛び回る特殊部隊>カウンターストライク(ゲーム)]]''という最悪すぎる絵面である。 ただGoldsrcのバニホは非常にタイミングが難しく((着地から数フレームで再ジャンプしないと速度が維持できない。))、スクリプトかマウスホイールにジャンプを割り振らないとまず成功しない。 それに加えて、ロケランではなく実弾兵器主体の『カウンターストライク』はバニホで飛び回ったところで、着地してしかも静止してないとまともに弾が飛ばないので加速したところで銃撃戦には不利となり、使える場面はかなり限定される。 限定されるだけで使い所はあるため通常の野良試合では「習得すると便利な上級テク」として普及したのだが、賞金大会ではルールでスクリプトジャンプやホイールジャンプが禁止されたので、e-sports的にはそこまで猛威を振るうことは無かった。 一方、シングルプレイ専用ゲームである『HALF-LIFE』は「マップがシームレスなためスピードラン向け」・「ルールに縛られず、要所以外の銃撃戦も必須でない」という好条件が重なった結果、''物理学者たちが物理を超越して高速で吹っ飛びクリアタイムを競う魔境''に発展。熾烈な記録争いにより、耐性がなければ開幕30秒で嘔吐確実のとんでもないスピードラン記録動画が並ぶこととなった。 結局QUAKEエンジンとその派生作でバニホが注目されたのは、バニホがタイム短縮に繋がる『HALF-LIFE』『CS:Condition Zero』といったシングルプレイFPSのスピードラン界隈と野良CS対戦部屋、こういった大会禁止が無かったQUAKE・HL用のMODである「Team Fortress Classic」ではなかろうか。 ・''幻のタイムクエイク'' id Softwareの中心的人物であるジョン・ロメロは「DOOM」発売後に技術提供も兼ねてRaven SoftwareのDOOMクローンなダークファンタジーFPS「HERETIC」「HEXEN」の開発に関わっており、それがきっかけで''「フル3Dのダンジョンを探索して魔物を倒すアクションRPGを作りたい」''という野望を抱いていた。 そして「DOOM II」の発売後に新作アクションRPGとして製作が開始されたのが「タイムクエイク」。地面を叩いて地震(Quake)を起こすトールハンマーを使い、敵を倒していくダークファンタジーものになる...''はずだった。'' QUAKEの販売を担当したGT interactiveは納期が短いことで有名で、後に極端に短い納期が原因で「BLOOD II: The Chosen」というクソゲーを送り出してしまったパブリッシャー。ロメロの構想する大規模RPGの開発は遅れに遅れ、見かねたほかのid Software開発者はそれに待ったをかける。 結局ファンタジー部分は流用しつつ新しくSF部分を追加し、やや不恰好ながらも前作同様の「DOOMっぽい」堅実なFPSに仕立て上げることに成功、無事GT interactiveの納期に間に合ったのでした、めでたしめでたし。 ...当然ながら、熱心に開発に取り組んでいたゲームが他人の手で世界観をぶち壊されて普通のFPSに成り下がってしまったことでシングルプレイシナリオ至上主義のロメロはキレた。 同僚とのid Software創立以来伝説的な開発者として名を馳せていたロメロは、このひと悶着を機にid Softwareを退社。トム・ホールやウォーレン・スペクターらと共にIon Stormを立ち上げる。 そうして誰にも邪魔されず理想の「タイムクエイク」を作れる環境を得たロメロは、本来のQUAKEが目指した形として''クソゲーとして知られる''「大刀 DAIKATANA」を作り上げたのだった。 **関連項目 ・''[[DOOM(ゲーム)]]'' 同社の前作にしてFPSを広めた傑作。マルチプレイは搭載されているがオンライン対戦は荒削りでバランス悪め。 ・''[[SCP-2639]]'' 創作コミュニティSCPに投稿された、QUAKEを題材にした創作作品。 ・''[[クトゥルー神話]]'' ボスキャラの元ネタ。ただし名前を借りただけで関係は薄い。 ・''[[スーパーマリオ64]]'' 同期。同じく3Dアクションゲーム。 追記・修正は難易度ナイトメアでシュブ=ニグラスを吹き飛ばしてからでお願いします #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 記事作成乙。DOOMに続いてQuakeも作成されたか。最近は「Quake Champions」も出てるけどQ3とかQuakeLiveぐらいに盛り上がってる感じはないな。 -- 名無しさん (2020-12-13 15:48:40) - 敵キャラがクエイクなのに、2,4は純粋なSFエイリアンで、3は対戦メインと、シリーズの差が激しい -- 名無しさん (2020-12-13 16:43:08) - QUAKE1←→QUAKE3←→QUAKE2・4とかいうややこしすぎるシェアードワールド なお3の神的存在ヴァトリガーのせいでシュブ=ニグラスくんはただのザコ種族と化した模様 -- 名無しさん (2020-12-13 17:38:07) - これ程のゲームを作ったロメロはなんであんなクソゲー作っちゃったんだろうね…… -- 名無しさん (2020-12-13 18:43:59) - ロケランの爆風をその身に受けて加速する漢 -- 名無しさん (2020-12-13 19:42:35) #comment(striction) #areaedit(end) }

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