目黒のさんま(古典落語)

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目黒のさんま(古典落語)」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}:2012/09/15(土) 11:17:39
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s)
&font(#6495ED){所要時間}:約 4 分で読めます

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目黒のさんまとは古典落語の演目の一つである。

さんまという、現代でも馴染み深い食材が主題の演目であるため、知名度は高い。



【あらすじ】

ある殿様がお供を連れて目黒まで遠出にやってきた。

さて、弁当にしようとすると、なんとお供が弁当を忘れてきてしまった。

もう皆腹が減ってどうしようもない。困っているところに何やら嗅いだことの無いような良い匂いがしてきた。
 
殿様が「これは何の匂いだ?」と聞くと、お供は
「これは庶民の者が食す"さんま"という魚を焼く匂いでございます。それゆえ、とても殿の口に合うようなものではございませぬ」

と言ったが、もう殿様は腹がへって腹がへってしょうがない。

そんなことはいいから、そのさんまを持ってこいと命じる。
さて、持ってこられたさんまはさんまをそのまま火にぶち込んで焼いた「隠亡焼き」というもので、とても殿様の口には合わないようなものだった。
が、そこはとてつもなく腹が空いている殿様、食べてみると非常に美味であった。
これ以来、殿様はさんまが大好物となってしまった。
 

それからというもの、殿様はさんまが食べたくてしょうがなくなるのだが、周りの家来達がそれを許さない。さんまは下級の者が食す魚だからである。
殿様のご膳には勿論さんまなど登る由もないので、毎日さんまさんまと恋こがれていた。


そんな時、殿様にチャンスが訪れる。

親族の集まりの席で、「何かお好みの料理はございませんでしょうか。何なりとお申しつけ下さいまし」という家老の申し出があった。
そこで殿様、待ってましたとばかりに「余はさんまを食べたい」と即答。
しかし、城にさんまがあるはずもないので、急いで日本橋は魚河岸から最上等のさんまを買ってくることになった。


そうしてさんまを取り寄せたまでは良かったのだが、
「このように脂の多いものをさし上げて、お体にさわっては一大事」
と家来が要らぬ気をまわして、充分すぎるほど蒸して脂をすっかり抜いて、骨も毛抜きで一本残らず抜き去った。
おかげで身がグズグズのパサパサ。
 
そうして出来上がったさんまの出殻らしきものをやっと殿様が食べると、これが非常にまずい。そりゃそうだ。


殿様はあまりにまずいので、これはどこから取り寄せたさんまだと聞いた。
家来は「日本橋魚河岸にござります」と答え、それを聞いた殿様はこう言った。


「それはいかん、さんまは目黒に限る。」
 


【補足等】
目黒とは厳密には目黒方面(上目黒元富士という記述あり)を指していて、そもそも殿様が目黒に行ったのは遠乗りであるという設定と、鷹狩であるという設定があるが、どちらでも大差はない。
江戸時代、将軍は鷹狩場を複数持っていた。単に「御場」とも呼ばれた。
当然鷹狩り場なので、広い土地であることが求められる。
その中の一つが「目黒筋」である(旧称:品川)。
江戸期に「目黒筋御場絵図」という地図がまとめられ、鷹狩り場の範囲を知ることができる。
馬込・世田谷・麻布・品川・駒場など、とんでもなく広い範囲がすべて含まれる。


まあそれはそれとしてオチの意味がわからないという方のために。
目黒といえば、現代においては東京でも指折りの人気を誇る住宅地である。
自由が丘とか代官山とか、なんかこうおしゃれでセレブでブリリアントな街もたくさん。
江戸時代にも街道が何本も通っていてわりと活気があった。
 


ただ、海はない。
さんまなんて、獲れない。

城でふんぞり返ってる殿様はさんまも目黒がどんなとこかも知らないのね、と揶揄するような笑い話。



ちなみに、「目黒といえばさんま」というくらいあまりに有名になったので、これが縁で現代でも目黒区役所と目黒駅(実は品川区)では毎年さんま祭りが開かれていたりする。
祭りでは大量のさんまの塩焼きが振る舞われるが、無論、これも目黒産ではない。


ほかにもいつぞや配布された地域振興券のど真ん中にもさんま様が鎮座されていた。
もはやさんまは目黒のアイデンティティーなのである。


おしゃれな街・目黒にも、魚臭い過去があったことを覚えておいていただきたい。


主人公が落語好きという設定の伝奇ADV[[アカイイト]]でも、主人公が今夜の献立のさんまの引き合いに出している。
それもメインヒロインと言うべきキャラのトゥルーエンドで。

余談だが先代の三遊亭圓楽はさんまをいわしと間違えて目黒の鰯で無理矢理とおしたらしい。
 


やはり追記・修正は目黒に限る

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