M4中戦車

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&font(#6495ED){登録日}:2011/10/07 (金) 14:15:51
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M4中戦車(通称シャーマン)とは第二次大戦中においてアメリカ合衆国によって開発・製造された中戦車である

全長:7.47m
車体長:6.19m
全幅:2.62m
全高:2.67m
重量:32.3t
乗員:5人
武装:76.2mmM1
12.7mm M2機関銃×1
7.62mm M1919機関銃×2

他、ロケット砲搭載のシャーマン・カリオペやイギリスが改良したファイアフライ等様々なバリエーションが存在する


さほどミリタリー物に詳しくない諸兄も結構な人数の者が映画やゲーム等で見たことや聞いたことがあると思われる

第二次大戦中の戦車と言ったら何かと聞かれたら大半がドイツのティーガーかソ連のT-34、そしてコレを挙げるだろう

その圧倒的な知名度のせいでM26パーシング重戦車の影がだいぶ薄くなっているのはご愛敬(せめてもう少し登場時期が早ければよかったのだが)
また、イギリス、カナダ、オーストラリアを始めとするイギリス連邦加盟国やソビエト連邦に数千輌。
その他、自由フランス軍やポーランド亡命政府にも(棺桶等と共に)レンドリースされている


■開発経緯
1940年、アメリカは中立姿勢をとっていた事等により装甲車両の開発に積極的ではなかった。
それでも欧州の戦乱の空気を察っし、1939年に正式採用されたM2A1中戦車を1000両量産する計画を立てた。
M2中戦車は37mm砲搭載、最大装甲厚51mmで開発当時はギリギリ世界水準といった程度だった。

だが1940年5月に始まったフランス戦の戦訓によりM2中戦車では予想される戦場で生き残ることはできないと判断。
M2中戦車の量産計画は中止され新型戦車開発が開始された。

まずつなぎとして1941年4月からM3リー中戦車が生産開始、1941年10月にはM4中戦車が正式採用、1942年2月には量産が開始された。

■性能(初期型)
火力:75mm砲M3を搭載、2000yard(914.4m)先の55mm装甲板(傾斜角30度=入射角60度)を貫通する
速力:路上時速40km/h 不整地20km/h 他国戦車に引けを取らない速力。
装甲:車体前面51mm 砲塔前面76mm 他国戦車と比較して同程度か多少劣る。
信頼性:構成部品の堅牢さから40時間の戦闘行為が可能とされた。(ソ連戦車で15時間程度)
生産性:生産性を確保する為にM3中戦車に引き続き、複数メーカー・複数エンジンでの生産体制を構築。
    メーカーにより車体の製造方法や搭載するエンジンが異なる。
    大抵こういう事をすると互換性に問題が出るのが相場だが(例:チハ戦車)互換性を維持することに成功。
    
■戦中の活躍
M4中戦車の性能自体は標準的、と言うに相応しいものであり、ソ連のT-34中戦車と同程度の性能だった。
しかし新型のティーガーIやパンター等の独ソ戦で恐竜的進化を遂げたドイツ軍重戦車に張り合うには性能が不足していた。

ティーガーIとの性能差は論外レベルで装甲、攻撃力、射程等全て劣った。遠距離砲戦では一方的に狩られる事も珍しくなかった。
特に装甲の薄さに悩んだ前線兵士は予備の履帯や土嚢、コンクリート片、撃破された戦車から引っぺがした装甲板等を貼り付けて
装甲を少しでも厚くしようとする者が続出した。

ドイツ軍の重戦車をごく少数と見積もっていた事や、
戦術ドクトリンとして偵察に軽戦車M3/M5スチュアート+対戦車に対戦車自走砲M10/M18/M36、
そして歩兵支援にM4と分業を想定しており、当初戦車の性能差はさほど問題視されていなかった。
しかしこの戦術ドクトリンは実際には機能せず、結局M4シャーマンも敵戦車と戦闘を行う事になった

実戦でM4戦車は、火力・防御力で自分より優れたドイツ軍重戦車をその生産性と米軍全体の物量と連携で圧殺した。

・数量が囮として敵を引き付け、残りが迂回して装甲の薄い側面・後方に回り込んで仕留める
・対戦車自走砲、戦闘爆撃機、重榴弾砲などの支援を要請する

といった感じ。

戦争中にも改良は継続され
・主砲の換装(75mm砲→76.2mm砲)
・高速徹甲弾の配備(但し一両あたり数発)
・幅広キャタピラの導入
・湿式弾薬庫の導入
・現地改造による追加装甲 
等、質的向上は継続して行われた。

それでもパンター相手は分が悪いのは変わらなかったが、
ドイツの重戦車がその自重で自滅し、多種多様な戦車により補給に負荷をかけていたのとは対照的に
その高い信頼性と潤沢な補給パーツにより常に前線に多数のM4戦車を稼動状態で配備することに成功。
連合軍の勝利に貢献した。

一方の太平洋戦域では日本軍の戦車が旧式で小型だった為、(95式軽戦車・・7トン、97式中戦車・・・15トン、M4・・・30トン)
M4無双状態で日本軍戦車隊を圧殺した。やったねシャーマン!
確かに日本軍から見れば重戦車そのもの。真っ向勝負で敵うはずもない。

だが決して全くの無傷ではいられなかった。

日本軍は待ち伏せによる速射砲(対戦車砲)での至近砲撃やソ連兵も真似しないトンデモ兵器で対抗した。

&font(#ff0000){刺突爆雷}

対戦車自爆蛸壺もあるよ!!
 
そんな我が身も顧みない戦法に戦車兵達は戦慄し、少なくない損害を出した。
そしてまた土嚢等で装甲強化に走るのである。

■戦後
朝鮮戦争にも後継のM26パーシングと一緒に参戦。
戦争初期は対戦車戦闘に秀でたM26の方が歓迎されたが、北朝鮮戦車隊が摩耗しきってからは
M26の路外機動性が悪かった事もあり、軽快で信頼性のあるM4が好まれて一線で戦い続けた。
M26の改良版で機動力が改善されたM46も投入されたが、整備性の面では敵わずM4の人気は衰えなかった。

朝鮮戦争後は米国の装備としては退役を開始したが、基礎設計の優秀さからM24チャーフィー軽戦車等と共に世界中の西側諸国に配備された。
パラグアイでは少数が現役な他、紛争地帯では博物館から引っ張り出される事もある。
軽武装の歩兵攻撃にはこれで十分なのかもしれない。

自衛隊にも配備され、専守防衛や&font(#ff0000){怪獣退治}に使用されるが、70年代末には61式戦車と交代する形で全車引退している

【バリエーション】
■M4
溶接製の車体に航空機用星型エンジンを搭載したタイプ。

■M4A1
鋳造製の車体に航空機用星型エンジンを搭載したタイプ。

■M4A2
溶接製の車体にトラック用ディーゼルエンジン2基を搭載したタイプ。

■M4A3
溶接製の車体に戦車用エンジンを搭載。

■M4A4
溶接制の車体にトッラク用エンジンを5基押し込んだ狂気のタイプ。
整備が他のM4と比べて面倒くさかった為、レンドリースに回された。

M4~M4A4はすべて並列生産された。
基本5型 × 前期中期後期 × 生産工場の差 × 搭載砲の違い × 戦地での改造と、バリエーションが非常に多い。
本が数冊必要なレベルで派生・改造機が多く、[[T-34>T-34(戦車)]]と並んでマニア泣かせである。

■DDシャーマン(浮航戦車)
DDはDuplex Drive(複合駆動)。つまり履帯とスクリューを装備した水陸両用戦車。
通常のシャーマンに上陸用舟艇から洋上を航行して上陸地点を目指すための展張式浮揚装置を付けたタイプ。
上陸作戦に投入されたが結構沖合で沈没するケースも少なくなかった。

■M4A3E2(シャーマン・ジャンボ)
M4A3の改造機種。シャーマンに追加装甲を施し装甲強化した。
最大装甲厚が76mmから152mmと倍増。切り込み役として重宝された。

■M4A3E8(シャーマン・イージーエイト)
M4系列の米国決定版。
戦争中の改良をすべて実施されており、戦争後期から投入された。
自衛隊が装備したのもこの機種。

■シャーマン・ファイアフライ
主砲を英国製17ポンド対戦車砲に換装したもの。
ファイアフライは西洋ホタル(肉食で凶暴)を指す。

長口径と砲搭背部の出っ張り(通信機兼カウンターマス)が特徴。
条件さえ整えばティーガーやパンターも喰えるため、ドイツ戦車兵の最優先目標になった。
かの有名なエース、ヴィットマンにトドメをさしたのもこいつ。 

■M50スーパーシャーマン
仏戦車AMX-13の主砲を装備したユダヤ的シャーマン。
口径こそ75mmと通常のシャーマンと変わらないが、AMX-13の75mm砲は長砲身かつ高初速で、威力は段違い。
//Kwk42が原型という説は異論もあるらしい。
エジプト軍のシャーマン(こちらはAMX-13の砲等を乗せている)と交戦した。

また、105mm砲を装備したM51シャーマンもM50の後継として作られ、M48パットンなど当時の主力戦車に混じって活躍したそうな。


■余談
・愛称「シャーマン」はイギリス側の呼び名であり、米軍からの呼び名は、【M4中戦車】である。
・ドイツからストーブと陰口を叩かれる程、被弾時に燃え易いことで有名だった。湿式弾庫の採用でとりあえずは改善された。
・M4の戦闘力不足が露呈してからは後継のM26が前線から要望されたが、陸軍装備元締めの陸軍地上軍管理本部(AGF)の横やりで投入はヨーロッパ戦線終結直前にまで遅れた。
・「土嚢装甲」は、ある者は「デメリットしかない」と言い、またある者は「パンツァーファウスト等の貫通力を弱められる」と言ったらしいが、
効果の有無は謎
・M4中戦車向けのエンジンとして[[クライスラー]]がW型30気筒の「A57」というトンデモエンジンを作っていた。どんなもんかと簡単に説明すれば「直列6気筒エンジンを5セット扇型に組み合わせた」というゲテモノ。構造はむちゃくちゃだが一部では「変な形だけど整備はそんなに難しくないよ?」とも評されている奇っ怪なエンジン。


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- バリエーションが少な過ぎる ジャンボとか90㎜砲を積んだ90Vもあるのに  -- 名無しさん  (2013-10-21 22:39:42)
- 有名ドコロだけでいいじゃん、上げ始めたらキリがない そういうのはWikipediaの仕事  -- 名無しさん  (2014-01-20 23:35:47)
- なんだ、901ATTは大日本帝国にもいたのか  -- 名無しさん  (2014-01-20 23:47:32)
- ガルパン関係の記載とかリンクはないのね  -- 名無しさん  (2014-01-22 23:38:21)
- アメリカ将校「ティガー一両に対しシャーマン四両無ければ戦うな」 ドイツ兵「シャーマン10両までなら相手にできる だが奴らは常に11両目を持ってきやがるんだ…」  等の逸話に事欠かない戦車であります  -- 名無しさん  (2014-01-23 00:04:54)
- Ez8の元ネタでもある ↑5追記ヨロシク  -- 名無しさん  (2014-03-25 14:11:08)
- 生産性はともかく、整備性はアレよね 構造がどうとかじゃなくて、「各社得意なエンジン作って積んでね」って戦車だし  それで大量の戦車作ってくるんだからとんでもねぇ話  -- 名無しさん  (2014-04-07 02:43:47)
- でも機械的信頼性は抜群。コメットやパットンに転換した戦車兵が懐かしがるほど  -- 名無しさん  (2014-11-15 01:26:28)
- パイナップルアーミーでこいつが道路の先からやってくるシーンは度肝抜かれた  -- 名無しさん  (2014-12-18 18:22:41)
- 沖縄戦で随伴歩兵と分断させられて30両中22両が破壊されるという悲惨なことになったそうな  -- 名無しさん  (2015-01-16 22:52:04)
- つうかどの戦車も個々のエピソード見ると酷い体たらくの戦闘はあるよ。何故かシャーマンばかり槍玉にあげられるけど  -- 名無しさん  (2015-01-17 09:40:07)
- ウルトラマンでよく溶かされたり焼かれてるのもこれ?  -- 名無しさん  (2015-02-07 12:02:35)
- ヨーロッパじゃティーガーに対して人海戦術食らわせてたのに、太平洋ではチハよりおそろしい日本兵の人海戦術を食らう羽目になるとは・・・  -- 名無しさん  (2015-04-08 16:43:30)
- 日本兵はカミカゼアタックだけでなく、航空爆弾転用のIEDで文字通りに吹っ飛ばしたりホニ車で正面から撃破してるんよ  -- 名無しさん  (2016-01-26 19:27:40)
- AMX-13の75mm砲については本当にKwK42が原型なのか最近は疑われてるんだよなあ  -- 名無しさん  (2016-03-24 00:11:32)
- インフラが整っている欧州戦線と整っていない太平洋戦線を同列に扱ってはいけない。太平洋だと接地圧の関係でうごけなくなるM4もかなりいたらしい。それを上回るペースで補充されるのだが・・・  -- 名無しさん  (2017-01-14 04:33:23)
- こいつは戦車という小さな枠組みに入りきらないくらいの万能兵器だよな。基本的な戦車としての性能は中の上で、アプグレ次第では重戦車並の火力と装甲を持たせれるし、信頼性も高いし、互換性もあるから補給も楽だし、とにかく前線での数が多いから、全ての部隊にこいつが回せて、歩兵部隊では野砲や突撃砲がわりにも使えたり、運用面では本当に素晴らしい戦車。前線の指揮官があまり不満が無かったのが頷ける。まあ機甲科の乗員しては重戦車かジャンボにアプグレしてほしい気持ちもわかるけどね。  -- 名無しさん  (2017-02-25 19:47:28)
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