SCP-1001-JP

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SCP-1001-JP」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}:2017/01/09 (月) 18:31:00
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 8 分で読めます

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SCP-1001-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「[[SCP Foundation]]」の日本支部によって生み出された[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]]の一つである。 
項目名は『蒐集物加護及天罰之術式』。[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation) ]]は堂々の「Keter」に指定されている。

SCP-1001-JPは、SCP財団が日本に進出してくるより以前に日本各地の異常な物品などを管理していた組織である[[要注意団体>要注意団体(SCP Foundation)]]『蒐集院』が、情報漏れ対策として日本各地に張り巡らせていた術式である。

蒐集院のもたらした情報によると、術式は各地の古墳などそう簡単には破壊できない場所に術式の存在を知覚できなくなるような特殊な[[ミーム>ミーム(SCP Foundation)]]災害(所謂、反ミーム)を施した状態で仕込まれているらしい。
そして厄介なことに、この術式は後述の理由によって現在は破綻しており、誤作動によって[[江戸時代の妖怪画家、鳥山石燕>画図百鬼夜行]]に因んだ異常現象である『&bold(){イベント・セキエン}』を引き起こすようになってしまったのである。

『イベント・セキエン』は、簡単にいうと日本国内に散在する異常な物品など…財団でいう[[SCiP>オブジェクト(SCP Foundation)]]の情報を一人の人間が100件把握するごとに、その人を対象として発生する異常現象である。

モデルはおそらく、日本の伝統的な怪談会のスタイルである[[百物語]]だろう。

情報を知れば知るほど、見舞われる異常現象が悪化していくのが特徴であり、たとえ記憶処理を施して情報を忘却させたとしてもこのオブジェクトから逃れることは不可能であることが明らかとなっている。
但し、異常な物品などの取り扱い方法…財団でいうところの『特別収容プロトコル』を知っただけではイベントは発生しないため、財団や[[世界オカルト連合>世界オカルト連合(SCP Foundation)]]など異常な物品などを取り扱う組織の仕事ができなくなるわけではない。

――といった感じに、SCP-1001-JPは財団にとって極めて厄介な…それこそ存続に関わりかねないオブジェクトであったため、Dクラスを含めたあらゆる財団職員に対して検証実験の禁止が言い渡されていた。

しかし19■■年、財団職員の一員である土橋博士が自ら実験台になることを志願し、ついにSCP-1001-JPの検証実験が行われることになったのであった。

その結果は…ひとことで言うと「どうしてこうなった」。
土橋博士の身を呈した検証により、現在まで最大で9回のイベント-セキエンの発生が確認されている。
これより、財団が許容できるイベントの発生は2回までであると判断され、現在の特別収容プロトコルが確立されたのであった。

以下は、土橋博士の手記をもとに、『イベント・セキエン』の過程を一覧表にしてみたものである。
|日付|読破した報告書の枚数|発生した異常事態| 
|19■■年3月12日|100件|土橋博士のオフィスだけが局地的な地震に見舞われる。但し、ほかの職員たちに地震が起きたという認識は無し。| 
|19■■年3月16日|200件|激しい頭痛に襲われ救護班を呼ぶ羽目に。| 
|19■■年3月22日|300件|硫黄のような匂いが漂ってきたのを契機として様々な体調不良が一気に襲ってくる。| 
|19■■年3月29日|400件|鍵がかかっていないにも関わらず、実験室の扉が開かなくなり機動部隊を呼ぶ羽目に。| 
|19■■年4月5日|500件|何もしていないのに報告書が何枚か紛失。上層部より、検証実験のみに注力せよと言うお達しをもらう。| 
|19■■年4月13日|600件|大規模な収容違反が発生。後の調査により、収容違反を起こしたオブジェクトの全てが土橋博士の読んだ報告書に記載されていた存在であると判明する。| 
|19■■年4月20日|700件?|遂に、何枚報告書を読んだかの記憶が曖昧に。しかも、報告書の内容すらうろ覚えになってしまう。| 
|19■■年4月30日|800件?|土橋博士の勤務するサイトが洪水に襲われ、しかもサイト内に疫病が発生する大惨事に。| 
|19■■年5月‐‐日|不明|実験室内に突如湧いて出た見たこともないオブジェクトに土橋博士が殺害される。オブジェクトは後に確保・収容・保護された。| 

なお、イベント-セキエンの発生に呼応するように、全国各地において物理的に観測不能と化した地点の出現が90箇所以上も確認されている。


* 財団との関わり
蒐集院で『蒐集物加護及天罰之術式』と呼ばれていたこのオブジェクトの存在を、財団が認知したのは1800年代に財団が日本に進出しようとした直後である。
当時、術式は蒐集院の機密保持システムのひとつとして運用されており、蒐集院側の提案によって財団もこの術式を日本向けの異常物品秘匿システムとして採用したのであった。
その当時には、『イベント・セキエン』が発生していた記録は残されていない。

初めて『イベント・セキエン』らしき異常が発生したのは1900年代に入ってからであり、当初は術式とは無関係のオブジェクトとして財団の管理下に置かれていたのであった。
しかし、蒐集院から財団に移籍してきたメンバーの再調査により、術式にバグが発生するような意図的な改ざんが加えられていたことが判明し、『&bold(){バグった蒐集物加護及天罰之術式}』として改めて管理されるようになったのである。

なお、術式をバグらせた犯人は海外資本であるSCP財団と蒐集院が合併した際、そのことに反対して逃亡した蒐集院の過激派であったことが判明している。
彼らは、逃亡する際に各地の術式に手を加え、時間とともに術式の内容が変質してトンデモないバグが発生するよう改ざんを加えていたのであった。

#openclose(show=【 添付資料1-オブジェクトの歴史 】){
蒐集院から財団へ『蒐集物加護及天罰之術式』の管理が移行される際、蒐集院から提出された術式の歴史に関する文献である。

そもそも、この術式は応永35年(1428年)、時の将軍であった[[足利義教]]の命により蒐集院が開発したものであった。
義教は、各地を収める守護大名が室町幕府に対して蒐集院の管理している異常な能力を持った物品を武器として反乱を起こすのを恐れ、【&bold(){蒐集院や彼らの認めたごく少数の人間以外が蒐集院の管理している物品を入手したり、あるいはその情報を取得した際に自動的に天罰を下して無力化するシステム}】の構築を命じたのだ。

義教は、蒐集院を除くと&bold(){自分だけが自由に異常な能力を持った物品を扱えるこのシステムを用いて恐怖政治を引こうと画策していた}ようなのであるが、いかな蒐集院であろうと自動的に天罰を下す術式の開発には難航したらしく、術式の完成に13年もの年月がかかってしまった。
結局、やっと術式を起動させることができた直後に全く関係のないところで発生した嘉吉の乱(1441年6月24日〜同年7月11日)によって義教は[[暗殺]]されてしまう。

後を継いだ[[足利義勝]]は、父親の暴挙をよく知る立場にあった故か術式を自らのために活用するようなことはせず、術式そのものを秘匿した。
そして、彼の後を継いだ時の将軍たちもそれに倣った事により、『蒐集物加護及天罰之術式』は時の将軍ただ一人と蒐集院のみが知る秘技として粛々と受け継がれることになったのであった。

ところが、安土桃山時代に入り、天下を掌握する一歩手前まで来た皆様ご存知の男、[[織田信長]]がこの情報を時の将軍だった[[足利義昭]]を通じて把握してしまう。
術式を蒐集院に発注した、足利義教自身が自らの欲望を叶えるために術式を悪用しようとしていたことを知っていたのか否かは不明であるが、このまま幕府に術式をもたせておくわけにはいかないと考えた信長は、術式の仕込まれた史跡を破壊してしまえば無力化することが可能であると考え各地の寺社仏閣を襲撃。

しかし、そのことが原因で信長は【&bold(){蒐集院の管理する情報に触れてしまった部外者}】という天罰発動の条件に合致してしまい、&bold(){最終的には家臣であったはずの明智光秀の手によって殺害}されてしまったのだ。

これが、後に【[[本能寺の変]]】として伝わる暗殺劇の内幕である。

信長亡き後も、何人もの人間が術式の無力化を試みたが、その全員がもれなく術式に返り討ちにされてしまった。

そして1707年、こんな危険な術式を放置していては世のためにならぬと判断した蒐集院のメンバーであった某氏が術式の破棄を試みたのであるが、その結果は&bold(){地震と火山の噴火が並んでやってくる}という今までにない天罰が下ってしまったのである。

こうして、術式はアンタッチャブルな存在となってしまったのであった。
}

#openclose(show=【 添付資料2-イベント・セキエンについて 】){
イベント・セキエンが発生した理由に関して、元蒐集院の一員だった財団職員にインタビューを行なった際の記録の抜粋。

■インタビュー対象・元蒐集院所属の研究員(以下研究員)

>研究員「イベント-セキエンはSCP-1001-JPの本来の機能と一部共通点があるように見受けられます。誤作動ですから、理解のできない現象も多々ありますが……」
>
>博士「その点を詳しく教えて頂けますか?」
>
>研究員「ええ、蒐集物の情報を盗み出した外部の人間に対し下す天罰と似通っているのです。
>といっても現在の所有権は財団にありますから、本来は財団に害を為すものではありません。
>おそらく、報告書を読むごとに微々たる歪みが堆積していき、100件になった時点で一気に暴発しているのではないかと考えています」
>
>博士「なるほど、では最後の質問なのですが、SCP-1001-JPはなぜオブジェクトを出現させたのでしょうか?」
>
>【 中略 】
>
>研究員「はい。実はSCP-1001-JPには長い年月に渡って伝えられていくうちに詳細が失伝した箇所があるのです。
>&bold(){蒐集物を隠し通す}、という余りにも曖昧な内容の箇所で……実際に蒐集物の存在自体は隠し通せきれてはいなかったものですから、意味のない部分だと思っていたのですが……」
>
>博士「簡潔にお願いします」
>
>研究員「あれが出現したのは900件の報告書を読破した瞬間。蒐集院に納められていた蒐集物の過半数にも匹敵します。
>すると蒐集物の存在がほぼ財団に知られることになる……SCP-1001-JPは蒐集物を隠し通すため、その術式を、異常のある状態で起動させたのでは、と……」
>
>博士「その情報を知っている人間を消すために、オブジェクトを出現させた、と?」
>
>研究員「……いえ、&bold(){隠し通すべき蒐集物を増やした}のだ、と」
}

* 考察
『蒐集物加護及天罰之術式』は本来、蒐集院の機密情報が漏れるのを防ぐためのシステムであった。
その当時の蒐集院のメンバーたちは、&bold(){後の世に自らの組織そのものが他の組織と合併する可能性など微塵も考えていなかった}ものと推測される。
当然の事ながら、術式には蒐集院が合併された場合の対処法など織り込まれていなかったのだ。
蒐集院の過激派たちはその点を逆手に取り、術式が財団に対して牙を向くように時限爆弾を術式に仕掛けたのである。
そして、爆弾は最悪な形で起爆したのだ。

爆弾が起爆する頃には、&bold(){蒐集院が管理してしたオブジェクトの過半数が財団の管轄下に移管}されていた。
つまり、&bold(){蒐集院のほとんどの情報が財団に漏れてしまったに等しい}状態であったのだ。

そこで、術式は財団に対する天罰と、『何が何でも収集物を隠し通す』という隠れた使命の二つを同時にこなすために恐るべき手法を導き出したのである。
すなわち…&bold(){隠し通すべき蒐集物を増やす事で使命を全うし、同時に財団日本支部の仕事を劇的に増やすという形で天罰を与える}という手段に打って出たのだ。

…なんちゅう傍迷惑な。


>イベント-セキエンを10回以上発生させることは非常な危険を伴うと予測されたため、いかなる場合であっても1000件以上のオブジェクトの情報を把握することは禁止する。
>※添付資料2に添えられた報告書より


* 追記
>日本に駐留するGOC極東支部の人員より、イベント-セキエンに類似した現象の発生が報告されました。
>GOC極東支部に対しては協力を願い出ています。
>SCP-1001-JPの補修は最優先されます。

――待てよ。『蒐集物加護及天罰之術式』に財団が割り振った番号はSCP-1001-JPと既に1000を超えており、現在日本支部の管理下にあるオブジェクトは2000番台に迫ろうとしている。

日本で活動している異常な物品などを取り扱う組織は一つではない。
そして、術式は蒐集院を合併した財団にすら牙を剥いた。

&bold(){やらかしたのは何処の組織だ!?} 
&bold(){ていうか、財団と日本の明日はどっちだ!?}

因みに、これものSCP財団日本支部の『1000JPコンテスト』応募作品の一つであった。


追記・修正は天罰に当たらない方法を考えてからお願いします。

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#right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1001-JP - 蒐集物加護及天罰之術式
by semiShigUre
http://ja.scp-wiki.net/scp-1001-jp

この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。
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#openclose(show=▷ コメント欄){
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- 曖昧な表現になって悪いが、日本的感性をこれでもかと詰め込んだような面白いSCPだな  -- 名無しさん  (2017-01-09 21:16:29)
- 本家でも支部でもこういう歴史的事件をうまく絡めてるSCP記事は大好きだわ  -- 名無しさん  (2017-01-10 01:10:36)
- ほんとSCP世界ろくでなしばっかだなwww  -- 名無しさん  (2017-01-10 02:44:20)
- 歴史的な事件と百物語を絡めるのが上手いし蒐集院はほんと有能なばっかりにろくでもねえな  -- 名無しさん  (2017-01-10 10:13:22)
- SCP-1000-JPコンテストである事までネタに織り込み済みというのが秀逸。  -- 名無しさん  (2017-01-10 10:25:09)
- 足利義教とSCPと聞くと、ぬばたま一休シリーズを思い出す  -- 名無しさん  (2017-01-10 18:24:41)
- なんという荒俣宏感  -- 名無しさん  (2017-09-04 10:25:28)
- 追記の部分がよく分からない。財団と蒐集院とは無関係な日本の組織の中に、1人で異常存在を100以上知った奴が居るってこと?  -- 名無しさん  (2018-01-09 21:28:36)
- これ蛇と相性悪すぎるだろ。あの公開フリークがこの事を知ったらどうなるんだろう?  -- 名無しさん  (2018-01-29 06:25:50)
- ↑蛇は組織そしては纏まりがないし総意のようなものはないとは思うけど、大方は異常とされ秘匿されてるような何かが世の中には存在するのに隠してるって事を問題視してるだけで、それがどんなものでどんな影響があるのかを一々世間に全面公表するべきと主張してる人はいたとしても少数派じゃないかな  -- 名無しさん  (2018-01-30 04:57:14)
- そんな大昔にどうやって秘密知った者に罰を与える秘術なんて作れるんですかね…  -- 名無しさん  (2019-02-17 05:29:28)
- これって要はSCPの記事を次々に読破して、挙げ句新しいSCPを創作している第四の壁の向こう側の存在、つまり俺らだったってことなのでは……「日本にはSCPを生み出すSCPがいる」的なオブジェクト  -- 名無しさん  (2020-02-05 02:33:47)
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