SCP-1254-JP

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SCP-1254-JP」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}:2017/03/01 Wed 18:06:43
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&font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます

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SCP-1254-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「[[SCP Foundation>SCP Foundation(SCP Foundation)]]」に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]]の一つである。

項目名は「『あいのみを込めて、と言ったのに』」。
[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]は「Euclid」。またJPのコードが示す通り日本支部の管轄にある。


*概要
まずは、このオブジェクトが何であるか、から行こう。
SCP-1254-JPは、同一の異常性を持った複数のアナログのベル式目覚まし時計である。
現在のところ、財団はコイツが27個あることを確認しており、そのうち25個を収容している。

外見的な特徴の一つは、背面部に三ケタのダイヤルカウンターがあることだ。
時計としての機能も普通に有しており、単三電池二本で動く。が、異常性については例によって例のごとく、不明な動力の供給によって賄われている。

コイツの異常性は、躁鬱の傾向を自認する人間=曝露者が、時計背面部にある、アラーム設定用のツマミ部分に接触した時に発生する。
この時、この目ざまし時計は直ちに複製される。複製によって新たに生成された時計は時針、分針、秒針全てが12時を指した状態で出現。さらに曝露者は直感的に、この新たに生成された時計を自身の所有物と認識するのである。
つまり、軽度の認識災害である。
 
そして本番はここから。
曝露者が、一日のうちの最初の起床時から一時間以内に、自身の所有物であるコピー時計のツマミ部分を操作したとき、曝露者の躁鬱症状が寛解する。
この効果は曝露者が四時間以上の睡眠を一度にとるまで続き、曝露者はこれがこのコピー時計の効果だと認識する。

以後、曝露者はこの効果を限定的に操作可能となり、最初の起床時から一時間以内にツマミ部分を操作するとき、この効果の使用を意識することで実際に効果を発現させる、またはさせないことが可能となる。
曝露者によって意識的に効果の発現がなされた場合、その度にSCP-1254-JP背面部のダイヤル式カウンターが1つ加算される。
このカウンターの数字が7から13ほど進む毎に、躁鬱症状寛解の効果は強くなり、現在まで積極性の獲得、自信の向上、想像力の増進、自制心の向上、情緒の安定化、発話能力の向上、ストレスへの耐性の強化といった、プラスの影響が齎されている。。
曝露者はこの性質から、時計の力に依存する傾向があるが、単なる執着なのか、認識災害によるのかはまだわかっていない。


とまあ、書いてあることだけ見れば実に有益である。
そんなこのオブジェクトは、長野県は松本市のある場所で発見された。
この時、黒いインクで汚れた手書きの文書が同時に発見されている。
これがその文面である。


>お元気ですか? そちらは、前よりはあたたかくもなってきましたでしょうか?
>こちらにも、そちらの陽気が入ってきてはくれないかとあさましくも願うばかりです。
>しかし、つめたい雪や、かゆいばかりの霜やけに悩まされても、心だけは人らしくあたたかいものです。
>せめて、あなたの心だけでも、つめたい吹雪の中でだってあたたかくあって欲しいと思います。
>素晴らしい青空は、かならず黒雲の上で、時間をしらせるおてんと様の恵みを浴びているのです。
>酩酊街より あいのみを込めて


どうやらこの時計、[[要注意団体>要注意団体(SCP Foundation)]]である「[[酩酊街>酩酊街(SCP Foundation)]]」から齎されたらしい。
この団体は簡単に言うと「忘れられたものの集う認識の街」であり、人々から忘れられつつある何かのたまり場となっている。そんな彼らは時に、純粋な善意によってオブジェクトを人に贈ることがある。これもどうやら、その一つらしい。
しかし、酩酊街は他の要注意団体と違って構成員との接触は「何者でもない」「オネイロイ・コネクティブ」と同等以上に難しい。アクセスする方法は日本支部にある[[別のオブジェクト>SCP-1922-JP]]を使うことなのだが、返ってきた例が5件しかないのでこれも難しい。

そのため財団も酩酊街に対する扱いを決めかねており、現在はこの文書の著者を特定する試みを進めている。
なお、このオブジェクトについては躁鬱の改善に有益であるとして、Dクラス職員の精神的安定のためにこれを用いることが考えられていた。




……ところで上の文書だが、違和感を覚えないだろうか。
ひらがなが多いのである。
参考までに、SCP-572-JP「誘導する警備人形」において確認された、酩酊街からのメッセージを引用する。

>お元気ですか? 年の瀬も近づき、こちらは大忙しです。
>ところで夏ごろに、わたしたちの仲間が一人来たと思います。
>ちょっと人見知りするけど、お調子者で、目立ちたがり屋で、とても正義感の強い彼。
>もし会えたら、そろそろ戻ってきてほしいと伝えてください。
>みんなで一緒に新しい年を迎えましょう。みなさんの迎える新年も良いものでありますように。
>酩酊街より 愛を込めて

こちらでは「愛」はちゃんと漢字だが、発見された文書は「あいのみを込めて」となっている。



*真の特性

2000年代のある年の10月16日、事案が発生した。
Dクラス職員を用いた試験中、このオブジェクトが新たな特性を見せたのだ。

このDクラスは中度の躁鬱であり、この実験への適性が認められていた。
彼がツマミを操作し、時計背面のカウンターは108になった。
オブジェクトの効果により寛解の兆候が見え始めたが、まさにその時である。

Dクラス職員が突如、奇声を発しながら痙攣し始め、同時にスイッチがOFFであるにも関わらず、オブジェクトがけたたましくアラームを鳴らし始めたのだ。
このDクラスは医療施設に運ばれたが治療の効果はなく、アラームが停止すると同時に死亡してしまった。
死因は1.28秒周期の躁鬱の繰り返しと、同期して起きた脳タンパク質の急速凝固であった。

その後、追加実験により、SCP-1254-JPの真の特性が明らかとされた。
それは、このオブジェクトは、それぞれが「所有者」によって使用される度に回数をカウントし、それが108回目になるとアラームを1時間以上鳴らし、「所有者」を死亡させるというものである。

財団はこの事案を受け、あらためてこのオブジェクトを回収した元の持ち主の記録を調査。
その結果、同様の事例で死亡した例がこの実験の10日前にあったことが確認され、被害者の自宅から新たなSCP-1254-JPが確保・収容された。




しかし、純然たる善意のみでオブジェクトを、しかも危険ではないものを送る酩酊街が、なぜこんな危険なオブジェクトをよこしたのか?
実は結論を言うと、このオブジェクトは酩酊街の贈り物ではなかったのだ。

それは、この事案の後に発覚した、回収文書の文面の変更によって明らかとなった。
文書の管理体制に抜かりはなく、閲覧記録も一切なかったことから、時間がたつか一定の条件を満たすとこうなるよう仕込んであったと考えられている。
ちなみに変更は、文書の文字の大半が消え、最後に新たな一文が追加されていたことである。
それがこちら。

>お&color(white){元気ですか? そちらは、}前&color(white){より}は&color(white){あたたかくも}な&color(white){ってきましたでしょうか?}
>&color(white){こちら}にも&color(white){、そちらの陽気が入ってきてはくれ}ない&color(white){かと}あ&color(white){さ}ま&color(white){しくも願うばかりです。}
>&color(white){しかし、つめたい雪}や&color(white){、}か&color(white){ゆいばかりの霜やけに悩ま}され&color(white){ても、心}だ&color(white){けは人}ら&color(white){し}く&color(white){あたたかいものです。}
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>素晴らしい&color(white){青空は、かならず黒雲の上で、時間をしらせるおてんと様の恵みを浴びているのです。}
>&color(white){酩酊街より あいのみを込めて}
>
>&bold(){楽しもうね}


……。

…………。

…………。


うん。





&bold(){お 前 か ぁ ぁ ぁ い ! !}





まあ、この通り「博士」の仕業であった。
それにしてもあの御仁、ワンタメさんをパクるどころか、とうとう悪意を隠すことすらなくなった。
要注意団体はどれもこれも財団にとっては迷惑な連中だが、よりによって曲がりなりにも人に手を差し伸べる(しかも実績がある)酩酊街を騙るあたりが悪質である。
彼らならば助けようとしそうな「躁鬱に苦しむ人」をターゲットに、上げるだけ上げて最後に突き落とす。



&bold(){あの人もう終了した方がいいんじゃねえかな。}





追記・修正は「博士」にダマされなかった人にお願いします。

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SCP-1254-JP - 「あいのみを込めて、と言ったのに」
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この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。
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- 博士許すまじ!></  -- 名無しさん  (2017-03-01 18:22:27)
- 番号じゃわからなかったけどタグの 酩酊街←じゃなかった で何のSCPかすぐ分かったわ  -- 名無しさん  (2017-03-01 19:06:12)
- こうなったら博士はカルキストだったことにして最終決戦のどさくさにまぎれて終了させよう・・・  -- 名無しさん  (2017-03-01 22:21:39)
- そんなに楽しみたいならねこをどうぞ。  -- 名無しさん  (2017-03-02 00:44:19)
- ワンタメ博士よりもJPの博士の方が好みだけどね。というか、最近は博士が他の要注意団体のかませになっている感があるから、このSCPは好きだね  -- 名無しさん  (2017-03-02 00:53:35)
- 変化後の文章って、誰に対して残したんだろう? 酩酊街に対する皮肉のような物を感じる  -- 名無しさん  (2017-03-02 00:56:27)
- 実際最近酩酊街特有のオチに対する疑義があったりしてたから、ある種の収め方とも言える  -- 名無しさん  (2017-03-02 01:14:48)
- ↑メタ的にいうとそうだが、『愛を込める』酩酊街を「博士」が気に入らなかったとか  -- 名無しさん  (2017-03-02 09:39:42)
- 如月工務店にもやられた酩酊街…  -- 名無しさん  (2017-03-02 10:23:55)
- 悪意がなく、現状だと反撃できないだろう人達だからこそ食い物にされるってのはあるんだろうなぁ。ただ、あそこに堆積されてるだろう物品のことを考えると、いざ反撃し始めたら結構な要注意団体を滅ぼせるとは思うが(反撃できるかはさておいて)  -- 名無しさん  (2017-03-02 10:45:51)
- これは許されない  -- 名無しさん  (2017-03-02 21:34:58)
- でもこういう一片の理念も正義感もなく、純然たる悪意と害意で行動してる博士の姿勢も結構好きだったり  -- 名無しさん  (2017-03-03 20:46:38)
- 博士に匹敵する悪意全開系の要注意団体って如月工務店くらいだしな  -- 名無しさん  (2017-03-05 21:41:13)
- 博士の財団にも他の要注意団体にもとりあえず喧嘩を売るスタイル割と好き  -- 名無しさん  (2017-03-09 02:01:29)
- 取り敢えず一発殴らせろ  -- 名無しさん  (2017-03-15 21:59:09)
- にしてもまさかのこれが初酩酊街か  -- 名無しさん  (2017-03-24 19:45:59)
- とりあえず手始めにSCP-666½を用意しないと。  -- 名無しさん  (2017-05-15 01:51:43)
- 如月工務店は視点の異なる生物の善意と言うふしもあるあいつら鬼だし  -- 名無しさん  (2017-05-22 16:34:51)
- 博士はかつての酩酊街の事を知っており、「甘やかされ堕落した」とはこの時計に依存するようになった者ではなく酩酊街の事を指している…と言うのは穿ち過ぎか。別の名前で悪意に満ちた品を作っていたのが何らかの理由で改心して、自分たちの罪を忘れ去られたいと思いながらそれでも物作りの楽しさは忘れられずほのぼのとした品を作っているのが酩酊街で、博士としてはそれが気に入らない、みたいな感じで。  -- 名無しさん  (2017-07-17 23:36:31)
- 博士の正体について書いてあるテールすこ  -- 名無しさん  (2019-06-01 16:10:10)
- 「あ  -- 名無しさん  (2019-09-30 17:27:48)
- ⬆︎ミス 「あくいのみをこめてきた」  -- 名無しさん  (2019-09-30 17:28:21)
- ↑SSH(そこまでにしておけよ博士)  -- 名無しさん  (2020-01-23 13:13:05)
- 結局「あいのみをこめて」に意味はあったのだろうか。適当に真似ただけ?  -- 名無しさん  (2020-02-08 05:59:18)
- ↑「博士」の性格的に相手をおちょくるためにわざと違和感の残る文章にしてんじゃね?  -- 名無しさん  (2020-03-05 10:42:11)
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