SCP-1454

「SCP-1454」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
SCP-1454」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}: 2017/11/21 Tue 01:18:25
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 10 分で読めます

----
&link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧
&tags()
----



#center(){&font(b,i,red){SCP-1454-1: 仕事量にもよるが、少なくとも195時間……、週に280時間入れてた時もある。}}

#center(){&font(b,i,blue){██████博士: 週に168時間しか無いとわかってるかい、エリック。}}


SCP-105はシェアード・ワールド[[The SCP Foundation]]に登場する[[オブジェクト(SCiP)>オブジェクト(The SCP Foundation)]]である。
[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(The SCP Foundation)]]はSafe。


*概要
SCP-1454は、とあるダウンタウンで発見された4人の36歳の一卵性双生児である。…いや、一卵性双生児と同じようなDNAデータを持つ。
皆「エリック」という名前であり、エリックと呼ばれることを好む。
この4人は全員健康であり、特に同世代の人間と変わった点はない。

このエリックさん4人は、どういうわけか、他の3人の記憶データに自由にアクセスが可能であり、
例えばある地点にいるエリックが山を登っている間、別の地点のエリックが海で海水浴をしていたとしたら、
二人は相互に相手の状況がわかる。…ただし、わかるのだが、本人はあくまで「本人が体験している」と思い込んでいる。
…そう、この4人は4人それぞれ別々の人間なのだが、何故か他の3人のやったことも「自分が体験している」という認識なのである。
その結果インタビューはこうなる。

>&font(b){██████博士:} もちろんだ、エリック。今どんな具合にやっているのか教えてくれるか?
>
>&font(b){SCP-1454-2:} ありがとう。私は今寝ながら、朝食を取って、[編集済み]についてのすばらしい本を読んでいるよ。

インタビュー中の「エリック」はインタビュー中に本も読んでないし飯も食ってないし当然寝てない。
この3つの矛盾する行動(特に読書と朝食はともかく睡眠は同時には出来ない)は、それぞれ別の「エリック」がやっていることだ。
しかもエリックはこれが人類にとっては普遍的だと思い込んでいる。まあ産まれた時からそうだったようなので、疑いようもないのだろう。

さてこのエリックさんたちなのだが、困ったことに、「同時に4つの行動を4つの独立した地点でやっている」という認識であるが、
もうひとつ、困った認識がある。

この4人、互いに相手が嫌いなのだ。どうも相手を自分と認識できないらしく、自分の物真似をするクソ野郎と考えているらしい。
そのために出会うと互いに殴り合いの喧嘩に発展してしまう。
そのため、4人はそれぞれ別の収容セルに収容されているうえに、互いがばったり出くわさないようにチェックされている。

そんなエリックさんたちだが、当然この性質のせいでへんてこりんなことがたくさん居住地では起きていた。
4人全員が同一の名前の運転免許証を保有し、5つの収入源からなる税務申告書を提出し、
1つの出生証明書にたいして5つの住宅と7つの自動車、6つの大学の学位、更に7つの結婚許可証があり、
更に発見の2日前に、この4人と同じ名前の人が飲酒運転による事故で死んでいた。((インタビューから推察するに、飲酒運転をしていたのはエリックさんではない。))…ということは5人目がいた?
どういうことなの…。というか町も気付け。

そして、財団が発見したのは、この4人のエリックさんが、それぞれ別のビルからほぼ同時刻に飛び降り自殺を図った際の騒動で4人を救出したというものである。
もうてんやわんやしてないかこの町。

*一人目の個体へのインタビュー
博士が「SCP-1454-1」と呼ぶと、「エリックと呼んでくれ」と言われる。
>&font(b){██████博士:} 君がそういうなら。良かったら、いくつか質問がしたい。私たちの保護下に入る前、何をして生活してたんだい?
>
>&font(b){SCP-1454-1:} [編集済み]で弁護士を、 [編集済み]の広報担当、フリーのカメラマン、 [編集済み]のメインコラムニスト 、あと████████地区の小さなシーフードチェーンのオーナーだった。
>
>&font(b){██████博士:} では、それらの仕事をどういった順序でこなしていた?
>
>&font(b){SCP-1454-1:} ぜんぶ、一度に。
>
>&font(b){██████博士:} わかった。週に何時間仕事をした?
>
>&font(b){SCP-1454-1:} 仕事量にもよるが、少なくとも195時間……、週に280時間入れてた時もある。
>
>&font(b){██████博士:} 週に168時間しか無いとわかってるかい、エリック。

異常性が故にこういう事態になっているわけだが、正直日本人を遥かに超えるワーカホリックにしか見えない。
しかし本人が気付いているかはともかく、実際には最低5人はいるとしたらこれくらいしないと稼いで食っていくのは確かに難しかろう。
しかもどうやら既婚者のようだし。最低でも10人分の金は稼がなきゃいけないし。
なおひとりひとりに換算すると週に39〜56時間であり、日本人に比べると非常にホワイトではある。

当然、博士は「その時間捻出どうやったの?」と問うが、「誰でもやってるだろ?」と正当化された。
ええ…(困惑)

*二人目の個体へのインタビュー
博士が「SCP-1454-2」と呼ぶと、「エリックと呼んでくれ」と言われる。

>&font(b){██████博士:} 兄弟や姉妹はいた?
>
>&font(b){SCP-1454-2:} いいや。でもウチではいつもよその子どもがブラブラしてたな。よくわからないが両親はいつもそうさせていた――彼らはいつも私に不親切だったな。特に学校で。
>
>&font(b){██████博士:} どのように?
>
>&font(b){SCP-1454-2:} きみは、きみをからかうために小さな子どもたちがきみの周りを、いつもきみのモノマネをして歩くのを知ってるか? 繰り返しなんでもきみのように話す、きみのように服を着る、きみのように振舞うのを? 彼らはわたしにずっとそんなことをやったんだ。彼らは自分たちが私だと周りの人間に伝えさえして、私はいつもコピーだった。私も彼らは互いに好きではなかったと思う──なぜだか知らないが。
>
>&font(b){██████博士:} あなたの両親には伝えてみた? あるいはあなたの先生には?
>
>&font(b){SCP-1454-2:} このことに関して彼らは一切何もしなかった。彼らはただ笑うか、あるいはみんな混乱して私を見た。そのためにベッドルームで大半を過ごした、彼らから離れているために。

両親も先生も気付かなかったのだろうか。

エリックさん曰く、「シンディ、メアリー、エマ、ケイト、それとジェーン」が最初の彼女(強いて言うならケイト)であり、
そしてその5人とは全く同じ日に別れたという。その理由は、ダンスパーティにそれぞれを連れて行くと、
物真似野郎と残りの彼女が付き合っていたのに気付いて、浮気されたと思ったようだ。

なおこの際に「君に私たち6人を見せたかったよ──おとぎ話みたいだった。」と述べている。
また一人存在が明らかになったんだけどなんで周りは気付かなかったのだろうか…。
それとも、気付いたとしても「いやいやまさかそんな」とでも思ったんだろうか。
あと6人のエリックさんと5人の彼女ってひとりあぶれてない?

*三人目の個体へのインタビュー
博士が「SCP-1454-3」と呼ぶと、「エリックと呼んでくれ」と言われる。

>&font(b){██████博士:} あなたが逮捕された日について話したいんだが、エリック。なんで窓から身を乗りだしていた?
>
>&font(b){SCP-1454-3:} ああ、まあ、私が死んだことについてちょっと動揺していたんだ。
>
>&font(b){██████博士:} ええと?
>
>&font(b){SCP-1454-3:} 私はちょうど数日前に死んでいる。それがあまりにも耐えがたかった。
>
>&font(b){██████博士:} しかし、あなたは死んでいないよ。
>
>&font(b){SCP-1454-3:} うん、もちろん私はね。私ははっきり覚えている。

エリックさん曰く、ある日オフィスから家に帰ろうとしたら対抗車線から車が飛び出してきて正面衝突。
その衝撃でエリックさんのシートベルトがはずれてエリックさんはフロントガラスを突き破ってアスファルトに打ち付けられた。
ERが来て助けようとしていたらしいが、その時にはもう完全に意識が朦朧として死にかけていて、実際死んでしまう。

…で、エリックさんは他に最低4人はいるので、当然その4人は死んだことで気が動転してしまい、奥さんたちに電話をするが
「あなたは何を言っているんだ」と全奥さんに言われてしまう。
そこで残りのエリックさん(当然エリックさん的に自覚はない)は帰ったり、新たなガールフレンドとの約束を切り上げてデトロイトから飛行機に乗ったりした。
ということは未婚のエリックさんもいたのか、あるいはエリックさんが浮気症だったのか。まあそんなんどうでもいいわ。
次の日はいつもどおり出勤するが同僚からは当然幽霊を見るような目で見られる。
しかしエリックさんはお得意の、「いや人生で皆一回くらい死んでるだろ?」を発言しさらに困惑される。

さて、エリックさんたちは互いに自分の葬式に出た。生前葬じゃないんだから…
しかし棺の中の男を見てエリックさんたちは愕然とする。「おい!ガキの頃物真似して高校生時代に彼女ぶんどったあいつじゃねえか」と。
更に他のエリックさんたちも来たということで全エリックさんが困惑。
「こいつら葬儀という名目で俺をいじめようとしてるんだな!仲間の一人を殺してまで!」

>&font(b){SCP-1454-3:} 残ったやつらがまだいた。そしてやつらはみな私に「私の妻たちから離れろ!」と言っていた。まるで私が自分の妻を知らないとでも思っているように…その時に私は気づいたんだ、もうたくさんだと。私はその場をはなれ、もしこの私の葬式のできそこないから逃れることさえできないなら、私がすべてを終わりにすればやつらも私をほっといてくれるかもしれないと決心した。

複数の大学の学位を取り、複数の女性をものにし、複数の職で成功を収めたであろうエリックさん。
他の自分の存在に自覚的であればもっと有意義に過ごせたかも知れないエリックさん。

しかし、他のエリックさんたちが他人であると思っているところから、大成功者であるにも関わらず、
ひたすら不幸な被害妄想に苛まれているのは皮肉的でしかない。



#center(){&sizex(7){SCP-1454 - &ruby(仲悪し兄弟){Sibling Rivalry}}}



----
#right(){SCP-1454 - Sibling Rivalry
by Smapti
http://scp-wiki.net/scp-1454
http://ja.scp-wiki.net/scp-1454
この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。
}
#include(テンプレ2)
#right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600)
}
#include(テンプレ3)

#openclose(show=▷ コメント欄){
#areaedit()
#comment
#areaedit(end)
}

復元してよろしいですか?