SCP-789-JP

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SCP-789-JP」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}:2017/12/28 (木) 22:10:00 
&font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red)
&font(#6495ED){所要時間}:約 8 分で読めます 

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SCP-789-JPは、シェアード・ワールド「[[SCP Foundation]]」に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]] (SCiP) のひとつである。
項目名は「メビウスの輪ゴム」、[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]は&font(b){Möbius}。
……そう、&font(b){「クラス分類:メビウス」}である。[[もう既に>アリソン・エッカート(SCP Foundation)]][[いやな予感しか>SCP-1561]][[してこないが>SCP-779-KO]]、
意外や意外、コイツ自体はSCiPとしては非常に大人しい部類に入る。

SCiPの実体はサイト-8195の備品課で購入され、同サイトに勤務する倉内博士の研究室に支給された業務用輪ゴムである。
コイツの異常性とはズバリ、&font(b){当SCiPについて財団基準の報告書を記述する際、オブジェクトクラス欄に"Möbius"という単語を記入してしまうこと}である。
無論このようなクラスは設定されていない上、異常性が別にMöbiusクラスの存在を信じ込ませるようなことも起こらないので、
財団内でも(執筆者当人も含めて)この記述を修正するべきなのでは、という指摘が出ることはあるのだが、
最終的には&font(b){クラス分類の記述も、SCiPの異常性の説明も修正されるべきではない}という結論に至り、結果としてその修正は行われていない。

財団はその力を尽くして倉内博士と彼の研究室、サイト内の流通ルートや製造者である██社まで徹底した調査を行ったのだが、
最終的にこの輪ゴムからはこれ以外の異常性は全く発見されず、異常性の起源も明らかになっていない。
報告書の記述に対する情報災害以外ではただの輪ゴムなので、現在は低脅威度物品ロッカーの中にしまい込んでおくことになっている。
















坪野研究員「[[それっておかしくないかな?]]」


冷静に紐解いて考えてみればわかる事なのだが、このSCiP、深刻な矛盾を内包している。
異常性を持つ対象を確保し、収容し、保護する財団の行動は、当然ながらまず異常性を持つ対象の発見から始まる。
ところが、この輪ゴムの唯一の異常性(と説明されているもの)は&font(b){財団が異常性物品として収容し、報告書を執筆しない限り発現しない}。
財団によって報告書が作られない限り、この輪ゴムは永遠にただの輪ゴムと何ら差異が存在しないはずなのである。そして、財団は当然ながらただの輪ゴムに報告書を書いたりしない。
だがそれならば、このSCiPはただの輪ゴムとして見過ごされ、倉内博士の手により輪ゴムがSCP-789-JPとして報告書を残すことなどありえない。
では現実にはどうかと言うと、輪ゴムはSCP-789-JPとして登録され、報告書は「説明に手を出すな」との注記の上で実在している。

そう。このSCiPはかの&font(#ff8c00){鶏と卵のパラドックス}がごとく、&font(b){異常性と収容のどちらが先行しているのかの結論が出ない}という大きな疑問点が存在するのである。
倉内博士から当SCiPの調査を引き継いだ坪野研究員はこれを「把握し損なった異常性、報告書の改竄、何らかの現実改変のいずれかが発生している」と判断。
SCP-789-JP報告書の破棄・大規模修正も視野に入れたうえで、再調査を行う必要があると提言を行っている。


**補足
「メビウスの輪ゴム」はかつてSCP-1881-JPとして登録されていたが、低評価により削除されており、現在該当番号は別のSCiPとして登録されている。
当SCiPは「かつて低評価・未完成のため放棄されたアイディアを再構築する」リサイクルコンテスト2017を機に新規に登録されたものである。


本項目の追記・修正は全面的に許容される可能性があります。


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#include(テンプレ3)






ちなみにこのSCiP、リサイクルコンテスト2017エントリー作品として最高評価を得ている。
上記に記したものとほぼ一致する「旧SCP-1881-JP」のままならば、このようなことはあり得ないだろう。
SCP-789-JPが受け入れられたこと。それは、コンテストを機にブラッシュアップされ、新規に追加された再調査内容がカギとなる。
と言うわけで、早川研究員によって行われた再調査の結論を見てみよう。


・&font(b){SCP-789-JPに登録されている輪ゴムは実在しない。}それどころか製造者たる██社が実在しない。
・&font(b){報告書の執筆者たる倉内博士は実在しない。}SCP-789-JPが発見されたはずの彼の研究室も存在していない。
・&font(b){再調査を提言した坪内研究員も実在しない。}&font(l){……じゃぁなんで再調査が行われたのだろう?}
・&font(b){そもそもサイト-8195が存在しない。}


&font(b,#ff0000){まさかの事実関係の全否定。}
&font(l){まるで丸ごと削除されたかのように}きれいさっぱり存在が否定される関連事象の中で、
唯一「オブジェクトクラス欄にMöbiusと記されているSCP-789-JPの報告書」だけが実在している、この異常な実態に関して
早川研究員は3つの可能性を提示し、そのうえでこの報告書に対してとるべき措置についての検討も行っている。

***パターン1:「一切の異常性は実在しない」
この場合、この報告書は&font(b){何らかの存在による情報攻撃が財団に対し行われ、結果作成された偽の報告書}ということになる。
財団の収容体制を大きく損ないうるこの情報攻撃に対し、財団は即急に対応しなければならない。
であるならば、その攻撃の唯一の痕跡であるこの報告書は貴重な証拠として&font(b){一切の修正を行わず保護されねばならない。}

***パターン2:「SCP-789-JPは実在しないが、報告書には異常性が実在する」
この場合、この報告書は&font(b){それ自体が関連する矛盾そのものを異常性に含み得る異常実体}ということになる。
ここで重要なのは財団の目的があくまでも「異常実体の確保・収容・保護」であること。
異常実体であるとするならばこの報告書は収容・保護対象である。であるならば、別個にこの報告書をSCiPとして登録したうえで、
&font(b){当報告書自体は手を加えずに保護しなければならない。}

***パターン3:「何らかの現実改変が絡んでいる」
これに関しては[[既に類似の事例に覚えがある方も>SCP-343]][[いるかもしれない。>SCP-404-JP]]
要は&font(b){かつて存在した「SCP-789-JPの報告されるべき異常性」「報告書に記載された事実」は現実改変によって消滅した}可能性である。
この場合に重要なのは改変はいつ、どこで再度発生しうるか(=何を回避しなければならないか)である。
カギは坪野研究員が示唆した「報告書の大規模修正・削除」が結局行われていないこと。つまり、修正・削除自体が現実改変を引き起こす可能性があるのである。
幸い坪野研究員による補遺は残っているので早川研究員は補遺の追加なら比較的安全と期待しているが、それでも改変の危険を冒すことは極力避けねばならない。
であれば、この報告書は改変の証拠として保全しつつ&font(b){修正を阻止しつつ維持されねばならない。}


なお、最も危険な状態である「既存SCiPの報告書が異常な報告書により塗り替えられた」可能性は報告書と各実態の全数調査により否定されている。
&font(l){[[SCiPを100件知るごとに碌でもないことが起きる状況で>SCP-1001-JP]]全数調査とは難儀な話である。}





つまるところ、結論はどこまで行っても、&font(l){いったん世界から消滅して復帰しても}最初の結論に戻ってくるのである。何が起きたにしても起きていないにしても、現状この報告書に関わるものがこの報告書自体以外に何も存在しない、という事情が財団にそうさせるのだ。

>あらゆる状況において、本報告書に記載されているオブジェクトクラス欄を修正すべきではありません。その異常性についての説明も同様です。
>本報告書は修正せず保護すべきです。
>早川研究員
きっとこの報告書は、今度こそ修正も消去もされることなく、残り続けるのだろう。



*ちょっとした考察
財団世界には、この異常性を説明できる現象がもう一つある。
それ自体と、それにかかわるものへの認識を阻害する「反ミーム」である。輪ゴムが自身と、自身に何かの形でかかわった者を認識させなくする反ミーム的作用を持っていたならば、ある程度説明が付けられる。
ややこしいのは、反ミームはそれ自体がミーム的、つまり拡散する作用を持っていることがあり、コイツもそのようである。

ちなみに執筆の段階では「オブジェクトが情報災害を起こして報告書を書かせ、能動的に情報を拡散させた」という背景を想定していたらしい。


&font(b,#ff0000){本記事の追記及び修正機能は凍結されています。}&footnote(嘘ですが、クラスに関する記述と異常性の説明については修正すべきではありません。)

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#right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-789-JP -  メビウスの輪ゴム
by  WagnasCousin
http://ja.scp-wiki.net/scp-789-jp

この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。
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- 項目名も含めて大好きな作品。実在しないのに何だか恐ろしく感じる  -- 名無しさん  (2017-12-28 23:02:24)
- ここまで鮮やかな論理展開で構築されたSCPは久々に見たわ。  -- 名無しさん  (2017-12-28 23:16:02)
- 財団という組織だからこそ異常性が成立するオブジェクトか。  -- 名無しさん  (2017-12-28 23:35:31)
- 早速記事にされたか いい意味で気持ち悪くてすごいSCPだったわ  -- 名無しさん  (2017-12-28 23:42:28)
- コンテストの趣旨を含めて考えるとかなり秀逸なSCiPだと思う  -- 名無しさん  (2017-12-29 00:06:41)
- 創作における多人数体制ってものの強みを感じる  -- 名無しさん  (2017-12-29 01:12:51)
- 倉内と坪内ってクラインの壷って事か?  -- 名無しさん  (2017-12-29 01:21:43)
- これもしかして報告書が修正されないようにするミームなんじゃ?  -- 名無しさん  (2017-12-29 12:57:16)
- ↑「自身の変動を拒否する」反ミームとして解釈する動きはディスカッションやタブにも確認できる。  -- 名無しさん  (2017-12-29 13:33:22)
- 地味だけど、説明を見る限り旧1881jpのままでも面白いね。地味だけど。モノが実在する方が好きだなぁ。好みの問題だと思うし地味だけど。  -- 名無しさん  (2018-01-05 16:42:42)
- リサイクルコンテスト出品作っていうのがまたいい味を添えてると思う  -- 名無しさん  (2018-01-06 20:18:58)
- 旧1881-JPと違ってもはや輪ゴムの異常性じゃなくなってるのが個人的に残念なところ  -- 名無しさん  (2018-01-06 20:29:37)
- 収容されてるが故に異常であると言う  -- 名無しさん  (2018-07-26 16:54:37)
- 一応ありえなさそうでは無いパターンとしてお遊びでただの輪ゴムだと思って真面目に考察した報告書を書いたら異常性が見つかったとかあるんじゃね?  -- 名無しさん  (2018-08-15 00:23:53)
- ↑3一体なぜ輪ゴムの異常性ではないと断言できる?早川研究員が「輪ゴムの異常性」にあてられた結果、このような再調査結果を報告した可能性だってあるだろう  -- 名無しさん  (2018-08-22 13:16:29)
- 個人的には旧版のほうが本家初期作品みたいにシンプルで好きなんだがなあ。サクッと読めるけど読んだあと二度見してなるほどってなる感じ。  -- 名無しさん  (2018-09-08 17:03:08)
- scp-jpは、いわゆるscpらしいシンプルさ、不気味さだけで完結したオブジェクトを排除する傾向にあるね。  -- 名無しさん  (2019-05-25 00:07:02)
- 途中送信してしまった。  -- 名無しさん  (2019-05-25 00:07:24)
- 中身が無いのと本家っぽいを混同してる人は多いが全然違うぞ  -- 名無しさん  (2019-05-27 09:48:29)
- 実は「財団に報告書を作成させる」という異常性を持っていたとことではないか?  -- 名無しさん  (2019-05-27 10:39:47)
- 記事の一番最初のところがSCP-1712-JPになってるの誤字?  -- 名無しさん  (2020-03-14 16:25:10)
- めっちゃ頭いいんだなぁ(アホ並感)  -- 名無しさん  (2020-05-03 17:43:04)
- GOC「なるほど、そういう小細工か」  -- 名無しさん  (2020-05-12 10:41:59)
- 個人的にはこのオブジェクトは再調査部分は完全な蛇足だと思う。「報告書を書くとなぜかクラスがメビウスになる輪ゴムだよ。それ以外に異常性はないから普通にしまっておくよ」で終わっておいた方が「ふーん、それだけなんだ……えっ!?それって何か変だよね?」っていう言い表せないモヤモヤというか気持ち悪さがあったのに、わざわざ解説付けたせいでなんか底が浅くなったというか  -- 名無しさん  (2020-05-25 18:20:02)
- ↑「それって何か変だよね?」と気付ける頭の良い人ばかりではなかったということさ  -- 名無しさん  (2020-06-10 06:52:02)
- 三桁台オブジェクト風にまとめるならパラドックスに気付いたO5がコメントを付けて「上記の指摘を受けて収容経緯を現在調査中です」みたいな追記をサラッと書く感じになるのかな  -- 名無しさん  (2020-06-15 11:23:55)
- SCPJPの過剰装飾は度々話題になるね、シンプルさと面白さを両立出来るかは難しいけども  -- 名無しさん  (2020-11-24 17:23:22)
- ↑そんなの度々なんて聞いたことないけどどこで話題になったの?  -- 名無しさん  (2020-11-25 09:14:32)
- ↑ニコニコでその手のいちゃもんをつけるやつはもう何年も前からいるな。その度に別にJP特有じゃないってツッコミを受けてるんだけど聞きゃあしねえ。対話を成立させる気がない。  -- 名無しさん  (2020-11-25 16:28:22)
- 無限ループって怖くね?  -- 名無しさん  (2021-01-29 18:45:20)
- こうしてコメントで考察しあってすら、報告書をそのまま収容するべきなのが見事。  -- 名無しさん  (2021-01-31 12:42:18)
- 上でもあるけど正直再調査の部分はいらなかったと思う 旧版のシンプルなのでいいんだよ JPはやたら難解にエモくしようとするから逆に底が浅くなってる  -- 名無しさん  (2021-04-25 13:54:25)
- ↑その状態の当時の評価より今の状態が高評価なんだからそういうことなんだろ?大体JPは底が浅いとか知った風な口利いてる時点で信用ならんわ  -- 名無しさん  (2021-04-25 19:58:23)
- 「正直再調査の部分はいらなかったと思う 旧版のシンプルなのでいいんだよ」って意見さえも「報告書を変えるな」っていう本記事の主張の一部に見えてゾッとした  -- 名無しさん  (2021-04-28 12:42:43)
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