パピヨン(武装錬金)

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パピヨン(武装錬金) - (2021/04/14 (水) 12:17:25) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2012/01/13(金) 05:23:43
更新日:2024/01/27 Sat 22:55:32
所要時間:約 7 分で読めます







蝶☆サイコー!


パピヨンとは、週刊少年ジャンプで連載されていた「武装錬金」に登場するキャラクターの一人である。





【概要】

人間を襲うホムンクルスの創造主として、錬金の戦士である津村斗貴子、そして武藤カズキと対立する。

その正体は、原因不明の死病に侵された学生「蝶野攻爵」である。
カズキと同じ銀成学園に通っていたが、病気によって留年している為、年齢は19歳。
病を克服する為に自身を人型ホムンクルス化しようとしており、ホムンクルスを生み出していたのもその実験の為だった。

アジトを捨てたり弟の次郎の妨害が入りながらも、自身をホムンクルス化することに成功。
しかし、それは当初の目的である病の克服までは至らなかった。
不完全なホムンクルスを取り込んだ為、病に蝕まれたままホムンクルス化してしまったのである。
それを再度克服する為、カズキの核鉄を狙うが、カズキに敗北して消滅する。

ごめん、蝶野攻爵…


(嗚呼、俺の名前…)


謝 る な よ 偽 善 者





このカズキへの敬意を込めた罵倒は、彼の心に大きな影を落とすことになる…。











しかし、実は完全に消滅する前に、ドクトル・バタフライ率いるLXEによって救助されていた。
その後しばらくはLXEの一員として活動するも、自分がモルモット扱いされていた事を知った事と、核鉄を得た事で離反する。
以降は「蝶・サイコーの俺が人間・武藤カズキを倒す」ことを目的に、ヴィクター化したカズキを人間に戻し自身をヴィクター化する為、独自に動いていた。
「再殺編」では錬金戦団の一人・戦部を撃破。
それでも命を奪うことは決してしなかった。

そして完成させた白い核鉄を使いカズキを人間に戻した後、カズキと再戦。
『サンライトハート改』を破壊寸前まで追い詰めるも惜敗。そこで今度こそ自身を葬るように言うが…
そこでカズキに「パピヨンとしてもう一度生きてほしい」と言われ、カズキとの因縁と自分の過去を全て捨て去る。
それからは他のホムンクルスとは別れ、銀成市の都市伝説、神出鬼没の「蝶人パピヨン」として市民からは友達感覚で親しまれている。
ヴィクター化する気ももう完全に失せたようである。

常連だったロッテリや(ウマカバーガー)では半ば赤いアフロに近い扱いになっており、一日店長(蝶)になったり、オマケフィギュアにもなった。


ホムンクルス化直後こそは弟達を喰ったが、それ以後は二度と人間を喰う事はなかった。
ブラボーとは意外にウマが合い、「ピリオド」以降は良き友人となっている模様。


【人物】

非常に利己的で、自身の為なら自分に好意を抱いている人間ですら平気で犠牲にする。

が、それは地を這う芋虫だった頃の話。
ホムンクルス化して、彼は弾けた。
何故か妙にハイテンション、そしてフレンドリーになり、語尾によくハートマークを付け始める。
そのハイテンションなノリと何かと常軌を超えたセンスは身も蓋もなく言えば極めて特殊な変態。

また、最大の特徴はなんといってもファッションセンスである。
芋虫だった頃は普通に学生服を着ていたが、服の下には黒のビキニパンツ一丁だった。
ホムンクルス化してからはもう歯止めが利かなくなり、常に素敵なドレス(?)に身を包み、銭湯に行けば股間を使って桶で股間を隠し、海に行けば放課後電磁波クラブのような水着をお召しになる。もしくはDOAXか?
ちなみにこのファッションセンスは蝶野一族に共通するものである*1。完全に遺伝性のようだ…。

ただ、1番のシンボルであるのは、顔につけた蝶々のマスクである。
これは彼が人間をやめた証であり、単なるファッション以上の意味を持つ。人間の頃からつけていたけど。
作中でもホムンクルス化した後は(敵の幻術によって外された時を除けば)一度も外さなかった。
なお、コスチュームと仮面は黒とパープルが中心だが、カズキへのリスペクトなのか「蝶人パピヨン」になってからは紫部分がオレンジに変わっている。

このように、蝶々を異常なまでに好み、人間の頃の自分を「地を這う芋虫」と自己嫌悪していた。
ものの例えに蝶を持ち出すのは勿論、「ちょう」と付く言葉は全て「蝶」に変換されるほど。
口癖は「蝶☆サイコー」

凄まじく利己的ではあるものの、彼なりに筋の通った生き方をしており、単なる悪役やギャグキャラではない。
変態的な性格を取り除けば典型的なダークヒーローであり、さながら本作のもう一人のヒロイン主人公とでも呼ぶべき存在である。
作者の弁によれば、自身の考える「悪」の集大成として、志々雄真実と並ぶキャラクターであるという。

なお、好戦的なイメージもあるが、自発的に戦いを挑んでいるのは原則カズキ相手だけであり、それ以外の作中での戦闘は遭遇戦や裏切りからのやむを得ない戦闘が多かったりする。

他人に依存したり組織に加わることを嫌い、蝶のように自身の力で高みを目指している。
ヴィクターの力を目の当たりにしてからは、その力をも得ようと考えていた事もある。

「ピリオド」ではカズキを失い、完全に自暴自棄になっていた斗貴子を


諦めるのか

お前は武藤カズキを諦めきれるのか

ともっともな言葉で諭し、彼女の目を覚まさせた。
アニメ版の加戸監督曰く「本妻はガッカリしてるのに愛人は全然諦めてないんだよ」
かつての天才錬金術師「アレクサンドリア・パワード」でさえ不完全だった白い核鉄の錬成に成功し、カズキを救ったのも彼のおかげである。



【能力】

ホムンクルスである為身体能力は非常に高く、錬金の力以外は受け付けない。

武器は鋭い爪やホムンクルスの力による肉弾戦と後述の武装錬金。
かつて天才と呼ばれただけあって頭を使う事も得意であり、相手の武装錬金の特性を見抜く観察眼も持っている。
カズキ戦を除いた全戦において、武装錬金の火力ではなく本質的には知略戦で相手を出し抜き撃破した。
ただ後述の特徴からか、その知略を成し遂げる手段は自分の身体を酷使するものになりがちで*2、作中では身を削るような戦いが多かった。

唯一の欠点と言えば、不完全故に芋虫だった頃の病に侵され続けていること。
そのせいか、今でもたまに吐血する。
また、莫大な栄養を必要とするホムンクルスでありながら人間を食らっていない事もあって、他のホムンクルスほどの持久力はない。
しかし病気の方は死の可能性が無くなったので気にも留めておらず、更に不完全なのが幸いしてホムンクルス共通の弱点である『章印』が存在しないというメリットも生じている。
その為、人型ホムンクルス本来の弱点である左胸を刺されても死なない
だが、逆に言うと*3修復の余地がある限り何をしても死ねないと言うことにもなる。
なお、人食いをしていないのはそうしたいという衝動自体を有していないから。
ホムンクルスの人食いは「人間である事への未練」が起因するのだが、パピヨンは「人間」である事に微塵も執着しない故に、人食い衝動を持たないのである。(これはあくまで第三者の観察からの想像ではあるが)
上記のように人食いをしたことはあるものの、食欲よりも周囲への個人的な恨みと殺意の方を優先していた感がかなり強かった。


ニアデスハピネス

パピヨンが所有する「黒色火薬(ブラックパウダー)」の武装錬金。
火薬と爆発を操る武装錬金であり、蝶々型の爆弾を飛ばしたり、火薬を燃やし続けることで飛行したりもできる。

使い勝手は一見悪いようで、シンプルな性能なので意外と良い。
爆発の威力自体も非常に高く、頑丈なサンライトハートを破壊した事もある。
因みに、この核鉄は元々LXEの陣内が使用していたものであるが、パピヨン自身の我が強い為か、陣内の武装錬金の影響は受けていない。
欠点は武装錬金自体が使用する火薬そのものなので、一度の使用量に限りがあること。
補充は可能なのだが、全部使おうものなら補充に三日という長い時間を要する。
小説版では火渡からこっそりくすねた核鉄を使ったアナザータイプも登場している(後に火渡のものと交換する形で返した模様)。
アナザータイプでは炎の翼となる。


【部下】

パピヨンが創り出したホムンクルスたち。
カズキと斗貴子によって撃破されたが、「ピリオド」にてクローン再生されて復活。戦いの後は月に移住している。
※「~ホムンクルス」は便宜上の仮称です

○花房/バラホムンクルス CV:加藤優子
パピヨンが創り出した動物型ホムンクルス第一号。
ベースとなったのはパピヨン(攻爵)の家庭教師兼元恋人。財産目当てでパピヨン(攻爵)を誘惑して恋人関係になったが、彼が病気になった途端見捨てたため彼の逆鱗に触れてホムンクルスにされた。
ホムンクルス化した事で性格が多少変化し、かつてとは正反対に正々堂々とした誇り高い女性となった。
命令違反を犯した蛙井を始末したが、そこに居合わせた斗貴子と交戦。目玉を抉られて倒された。
ネイルアートが趣味で、人間の頃から薔薇が大好きだったらしく、醜い動物でなく薔薇を動物のベースに選んだのはパピヨンなりの彼女へのせめてもの愛情だったのかもしれない。
後に復活した時は、ヴィクターに一目惚れしていた。

○蛙井/カエルホムンクルス CV:優希比呂
動物型ホムンクルス第二号。
ベースとなったのはパピヨン(攻爵)のネット友達。ネットの中で彼をバカにしたためホムンクルスにされた。
コモリガエルのホムンクルスであり、腹の中にある小さな個体が本体。
食人衝動に駆られて独断行動をした際にカズキと交戦して敗れ、花房に始末された。
人間だった頃はストーキングやピーピングを趣味にしているなど、人間の頃から変態野郎だった。

○巳田/コブラホムンクルス CV:置鮎龍太郎
動物型ホムンクルス第三号。劇中で最初に登場したホムンクルス。
ベースとなったのはパピヨン(攻爵)の担任の英語教師。パピヨン(攻爵)を退学させようとしたためホムンクルスにされた。
廃工場に居合わせた斗貴子に遭遇し、彼女を食おうとしたが彼女を庇ったカズキを殺害する。(実は斗貴子の罠)
その後再びカズキを殺そうとするが、武装錬金の力に目覚めたカズキに敗れ、斗貴子(アニメでは斗貴子一人)によって葬られた。
生徒に感心を持たず、間接的な体罰も辞さない問題教師。
初期案ではレギュラーキャラの予定だったらしい。

○猿渡/ゴリラホムンクルス CV:稲田徹
動物型ホムンクルス第四号。
ベースとなったのは銀成市のヤクザ。街でパピヨン(攻爵)にインネンを付けた為、部下の15人のチンピラ(ホムンクルス五~十九号)もろともホムンクルスにされた。
廃工場にて斗貴子と交戦し、人海戦術で追い詰めるが、武装錬金の力に完全覚醒したカズキによって倒された。
部下がニホンザルやチンパンジー、オランウータンなどの類人猿系ばかりなのはパピヨンが人間型ホムンクルスになるべくの実験台であったため。
ジョン・トラボルタのモノマネが持ち芸。(ただし似てないらしい)
斗貴子さん陵辱関連の薄い本に於ける竿役は殆どの場合コイツ。

○鷲尾/オオワシホムンクルス CV:伊藤健太郎
動物型ホムンクルス第二十号。
ベースとなったのはパピヨン(攻爵)の家庭教師兼ボディーガードの元自衛官のヤクザ。指導が厳しすぎたためホムンクルスにされた。
動物としてのベースは猟銃に撃たれて死にかけていた野生の鷲。
記憶と理性はこの鷲の記憶が大半を支配しており、パピヨン(攻爵)によって命を救われたことに恩義を感じ、彼に絶対的に忠誠を誓っている武人肌の持ち主。
体の一部だけを変形させたり、目や風で相手の動きを読めるなど、その実力は劇中で登場した動物型ホムンクルス最強と言っても良い。
…ぶっちゃけ、下手な人間型ホムンクルスよりも強いかもしれない。
カズキとの激闘の末敗れるが、彼との戦いはカズキを大きく成長させた。
ウサギが大好物。


【関わりの深い人物】

○武藤カズキ
パピヨンに最後まで「人間・蝶野攻爵」として接した人物として、特別視している。
パピヨンも「人間・武藤カズキ」の事を認めていて、カズキにのみ「蝶野攻爵」と呼ぶことを許している。
また、(カズキが望んでいないとはいえ)ヴィクター化した時は「見損なった」と言い放った。
パピヨンのセンスをある程度理解できる数少ない人物。

○Dr.バタフライ CV:長克己
カズキに敗れたパピヨンを救った人物。
パピヨンがホムンクルスを生み出すきっかけとなった人物でもある(パピヨンは彼の手記をもとにホムンクルス製造法を学んだ)。
その正体は、パピヨンの高祖父(ひいひいじいちゃん)である「蝶野爆爵」。
LXEの指導者としてパピヨンを傘下に置いたが、内心では不完全なホムンクルスであるパピヨンを見下しており、「保護してやっている」とこぼした為にパピヨンは彼の下を去った。
ヴィクターの力を知りながらヴィクターに尽くすだけだった彼を、パピヨンは「光に群れる醜い蛾」だと言い放っている。

因みに、「爵」の文字は蝶野家に代々伝わる由緒ある漢字であり、嫡子はこの名を付けられる。当然ながら「爆爵」なんて爵位は無く、伯爵だったら侯爵よりも1つ下の爵位である。

本気を出すと自前の一張羅に身を包むが、これがまたパピヨンのアレの色違いにマントをつけた上位互換バージョンという予想の斜め上をロケットエンジンで一気に飛び去るレベルの代物だった。
…というか、そもそも「カズキに会いに行くから正装が一着欲しい」といったパピヨンにあのスーツを用意したのがバタフライである。

○蝶野刺爵 CV:園部啓一
パピヨンの父。
病に侵されたパピヨンを見限り、弟の次郎だけを息子と思っていた。
しかし、それ以前は次郎を蔑ろにしており、それに加えて女房にも相当なDV(家庭内暴力)をしていたようであり、父親としても夫としても最低レベルである。
パピヨンと次郎の見分けがつかなかった為、パピヨンの犠牲となった。

因みに、刺爵なんて爵位も無いが、子爵なら侯爵よりも2つか3つ下である。
作者は一応我が子への愛情はあると設定してはいたものの、それ以前に自分の思想を最優先させる性分であったため、ハッキリ言って全くフォローになっていなかった。

○蝶野次郎
パピヨンと瓜二つの顔をした、一つ下(アニメでは双子)の弟。アニメ版の中の人もパピヨンと兼役。
病に侵されたパピヨンに代わり、蝶野の家督を継ぐ事になる。(その場合、蝶野「次爵」とでも改名することになったのだろうか?)
が、それまでは父にいい加減な名前や適当な教育をされた為、パピヨンを恨み、妬んでいた。
だが兄の方は、家督のプレッシャーを受けずに、自由に育てられた弟が羨ましかった節がある。
お互いの本心を曝け出せ合えなかったのも、この兄弟の不幸の一因といえるだろう。
ホムンクルスと化したパピヨンの最初の犠牲者となる。アニメ版では凄まじくグロい死に方をする…。

次郎を食ったパピヨンの感想は「悪魔の様に黒く、地獄の様に熱く、接吻の様に甘い」らしい。
パピヨン接吻の味知ってんのかよ、と思うが、彼がホムンクルスに変えた花房は、発病前の家督を継ぐボンボンだった彼を誘惑し、病となったら見捨てたと言う関係上、知っていてもおかしくはない。
因みに、このセリフはフランス革命期の外交官タレーランのコーヒーに対する感想*4が元ネタ。
作者の和月氏もコーヒー大好きである。

作中では殺されたのも仕方ないとしか言えない人物であったが、それに至った事情が事情なので作者と中の人は同情していた。
ちなみにSPの中に次郎に惚れてるホモがひとりいる。


○蝶野夫人(仮称)
刺爵の妻でパピヨン、次郎の母親。本編未登場で、下の名前は不明。
夫からかなりのDVを受けていたらしく、離婚調定中。既に家を出ていたので被害を免れた。
パピヨンも彼女にだけは別段恨みはないようで、殺そうなんて無粋な真似はしておらず、彼女の居場所を突き止めて(もしくは最初から知っていた?)、相続した財産をちゃんと分けている。
むしろ、自分とは違った意味で蝶野家の束縛に苦しんでいた母を、内心では不憫に思っていたのかもしれない。
蝶野家の人間の中では、唯一救われた人物と言えるだろう。


【余談】

元々は和月氏の前作「GUN BLAZE WEST」に登場予定だった「デューク・ザ・パピヨン」が原型。
そちらが敢え無く打ち切られてしまい、登場の機会が無かった為に温存していたデザインが採用された。

この漫画の生命線とも言えるほどの人気を得ており、多数のキャラクターグッズが発売されている。
アニメの後期EDは殆どパピヨンしか映っていないほど。
しかし、人気投票の結果は3位。
これには本人も残念がっていた。

使用する武装錬金は大槻ケンヂ氏が執筆した小説に出てくる架空の病気の名前(臨死遊戯状様。こう書いて読みは『ニアデス・ハピネス』)からそのまま拝借して命名された。
しかし雑誌掲載分では誤植で『ニアデスピネス』という余りにもパピヨンにピッタリ過ぎるネーミングになってしまい、周囲は『ピネスでいいんじゃね?』な流れになったものの結局作者は元ネタを尊重して『ピネス』で通したそうな。

そして実は初期ラフ段階では女性だった。
といっても、女性があの格好をする予定だったわけではなく、没になったキャラの顔をパピヨンの素顔に流用したとのこと。
女性であの格好…見たいような、見たくないような…。



追記♪修正♪
もっと愛を込めて!

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