週刊少年ジャンプ

登録日:2010/08/24 Tue 02:41:45
更新日:2025/05/01 Thu 19:54:08
所要時間:約 16 分で読めます




「友情」「努力」「勝利」

週刊少年ジャンプは集英社が毎週発行している漫画雑誌。
毎週月曜日に発行され、価格は2021年現在大体270〜300円。

年間で52~53号でているが、お盆・GW・お正月には合併号が出るので実質もう少し少ない。


◆概要

少年漫画雑誌としては圧倒的な知名度と人気を誇り、男子なら誰もが一度は読んだことがあるであろう。
1968年7月11日に創刊し、当初は月に2回の発売だった。
1969年から週刊化され、当時は毎週火曜日に発売していた。
創刊からしばらくは売り上げが芳しくなく、唯一キラータイトルになったのが『ハレンチ学園』であった。
本作がなければジャンプは早々に廃刊していたとも言われており、ジャンプがお色気枠を設けているのは当時からの伝統なのかもしれない。

発行部数では同ジャンルでは長らく独走状態が続いており、一時期週刊少年マガジンにその座を奪われていたが、奪回した後はまた独走状態が続いている。
それがどのぐらい独走状態かと言うと、ジャンプ>マガジン+サンデーチャンピオン、てな具合。
ウルトラジャンプ
1980年代以降はテレビアニメ化を筆頭としたメディアミックスを積極的に実施するようになり、これにより社会現象を巻き起こした作品も少なくない。
それらの作品は連載から年月が経った現在でも人気を保つ作品も少なくなく、結果的に新規のファンを呼び込み、ジャンプの知名度を高めることに貢献している。

一方、他の週刊少年誌にはあるグラビアが無い*1。90年代半ばの暗黒期には試験的に数回実施したが、結局定着はしなかった。


◆特徴

テーマ

先に書いた「友情」「努力」「勝利」はジャンプ三大テーマとして有名。
あとキャラが成長するとともに「実は先祖が凄かった」という設定が追加される傾向があるため、第4のテーマ『血統』なんて声も……
掲載作品にはこの要素を最低でも一つは入れなければならないというのが編集方針。
前身となった雑誌の編集方針を引き継いだらしく、
元は小学4・5年生を対象にしたアンケートの「一番心あたたまる言葉」「一番大切に思う言葉」「一番嬉しい言葉」なんだとか。

新人発掘・専属契約制度

新人発掘をよくやっており、新人にとって『チャンスの多い雑誌』である。
これは、少年漫画雑誌として最後発であったため、既に人気のある作家を囲い込めず、新人から育てるしかなかったという事情がある。
新人の新連載が基本的に第1話表紙+巻頭カラー+大増ページを飾れるのは本誌くらいであり、これは新連載が表紙だと売上が落ちると公表しても実施され続けている。

一方で、ジャンプに載るには集英社と専属契約をしなければならない。
ジャンプを読んだことのある人なら目にしたことのあるであろう『●●先生のマンガが読めるのはジャンプだけ!』はこの制度によるもの。

これはどんなにちょこっとの連載で終わったとしても、契約期間中は他の出版社とのお仕事は出来ないということ。*2
この専属契約によって漫画家には原稿料とは別途に契約料が支払われており、収入の安定しない(特に新人)漫画家にはありがたい話であり、取材旅行も編集部持ちで行けるため、漫画に専念できるという利点がある。
また、他社では売り上げが見込めない打ち切り漫画は単行本化されない(近年は電子書籍化のみで対応)ことも多いが、少年ジャンプ掲載の漫画は10週打ち切りだろうと単行本化がほぼ必ずなされている。
一方で、執筆保障がない点や専属契約期間中は他の出版社と交渉すらできない点から、「実質的な作家の飼い殺し」であるとの批判も根強い。
何事も一長一短であり、夢で食っていくのも楽じゃない…。

そのため、打ち切りを連続で食らってもっと合う畑を探す者や後述のアンケート至上主義体制に疑問を呈して他の出版社・雑誌を探す者、
加齢により週刊連載は体力的にキツくなってきた者の中には専属契約を解除してフリーもしくは移籍する者も少なくない。
3回打ち切られたら追放という都市伝説、所謂「3アウト制」については、反例がいくつもあるのでこちらへ。

とはいえ他誌での連載経験者が本誌でヒットを飛ばす例も少なくなく、2023年には非新人を対象としたの説明相談会を開催し、同時に「専属契約は連載開始から1年間・契約は任意・契約した場合は追加で契約料を支払う」とこの時点での専属契約内容も明かした。そして2024年には他誌で大成功した作家が連載を開始し、新たな潮流を作りつつある。

バトル漫画化

ジャンプで連載していると、どんなものだろうがそのうちバトル漫画になってしまうともよく言われる。
バトルものは一定の人気があるため、別ジャンルで始まったものが人気低下への対策として行う常套手段である。
既にバトルものである場合は、テコ入れとしてトーナメントを行うことも。
ギャグマンガから転向した『キン肉マン』、『ジャングルの王者ターちゃん』、
人情ものから転向した『幽遊白書』*3、冒険ものから転向した『ドラゴンボール』がその代表格。
とりわけドラゴンボールは、「バトルものへの転向」、「トーナメントの開催」、「戦闘力のインフレ」、「人気のための連載引き延ばし」と、
ジャンプにありがちな要素をすべて兼ね備えているため、良くも悪くもジャンプを象徴する作品といえる。
路線変更(連載漫画)に詳しいが、「友情・努力・勝利をすべて含んだバトル」にしようとして、
悪く言えば「友情や努力を全て勝利への手段としたバトル」になってしまう作品もあり、かえって迷走してしまうことも。

荒木飛呂彦の語るところによるとジャンプでは『単調増加』が求められ敵がだんだん強くなるトーナメントを編集から勧められたという。
ただし荒木先生自身は強さの増加に限界を予感し『ジョジョの奇妙な冒険』では地理的に進む「旅」という形をとった。

また、この影響なのか、全体的に緩急に乏しい漫画は生き残りが困難な傾向がある。
例えば、少しずつ事件や証拠集めを進める推理物や定期的にバトル(試合)以外も展開せざるを得ないスポーツ物などが挙げられる。特にほぼゼロからの部員集めスタートとか死亡率高め。
長期連載したスポーツ漫画は、アイシールド21であればメインの初期メンバー3人+仮メンバーという形でとっとと試合に移り、テニスの王子さまやMr.フルスイングなどは癖と能力の高い先輩がいたことで、飽きさせない構造となっている。


アンケート至上主義

他の雑誌もなんだかんだでアンケートは参考にしているが、ジャンプほどアンケート至上主義の雑誌も珍しい。

このアンケート制度は「アストロ球団」を連載中の中島徳博の、
「大御所というだけで人気もない漫画が載っているのはおかしい。アンケートの結果を1週で出すようにして、サバイバルにせよ」という言葉から始まったらしい。

よく『ジャンプの前の方に載ってれば安心』と言われているが、これはあながち間違ってない。
掲載順はアンケート結果を元に副編集長がその週ごとの雑誌構成を考慮して決めているからだ。
黄金期は『アウターゾーン』というホラー作品が、誌面の中央やや後ろ寄りをキープしており、この作品より後ろに掲載された漫画は打ち切りになるというジンクスがあった。
「アウターゾーンという作品自体がアウターゾーンへの入り口だった」とネタにされている。
ただし、誌面の都合や原稿の納入遅れによって後ろに下がる事はいくらでもあるので、一回ぐらい後ろになっても即打ち切りと言う事はないので気にしなくても良い。
後ろの方に下がったまま上がって来なくなる(いわゆる「ドベ固定」)ようになると、初めて打ち切りの危険性が読者の間で取り沙汰されるようになる。「掲載順は点ではなく線で見ろ」は打ち切り予測の鉄則。
なお、『ピューと吹く!ジャガー』や『王様はロバ』等、掲載位置が決まっていて、この法則に当てはまらない作品も過去にはあった(いわゆる「巻末固定」)が、『磯部磯兵衛物語』(2017年終了)以降は廃止されている。

ちなみに3代目編集長の西村繁男は「アンケートが2位以下の作品は全て終了候補である」と言ったらしい。
まあ実際には当然そんな事はなく、不人気な方から順に打ち切られていくのだが。

また、アニメの製作決定から放送終了までは、どんなに不人気になっても打ち切られないと言われている。
単行本の初版発行数が50万*4を越えている場合も同様。
もちろん、このレベルの作品で不人気と言う事はそう有るものではないが、全くないと言う訳ではない。
こうした作品も、アニメ放送が終わったり初版発行部数が基準を割ったら即打ち切りの危機に晒される。
あと、当然ながら物語完結などによる作者決断の終了は普通にある。

かつて黄金期と呼ばれた時代は打ち切りも非常にシビアであり「10週打ち切り」が名物であった。
現在の中野編集長体制(2024年現在)では、どんなに人気がなくとも最低でも半年ほどは連載できるようになっている。
また、単行本描き下ろしやジャンプ+などで『』『完結編』として中身の濃い最終話を掲載したりするなど、救済措置も増えて来た。
さらに打ち切り作品であってもアンケートが好評であれば次作の連載が早くなると言われている。アンケートを送ることは無駄にはならないのだ
なお、他誌への移籍の事例も少数存在するが、流石にこれは例外中の例外。

ただ、特に近年ではアニメ化作品の比率が他誌に比べても非常に高く、時期にもよるがおよそ半数が「アニメプロテクト」に該当する。
この事が誌面の硬直化を招いており、連載が始まったばかりの作品にとっては厳しい環境になっている……と言う意見も少なくない。
実際、短期打ち切りであっても、全く見るべき所がない作品ばかりではなく「もっと読みたかった」と読者に惜しまれる作品は少なくない。
とはいえ、こうした厳しい環境を生き残って誌面に定着していく作品も少なくない。
ある程度人気があれば、アニメ化前であろうと編集部側も積極的にプッシュするので、新連載のファンも希望を捨ててはいけないのだ。

なおこのアンケシステムに関しては、「本誌を購入し、アンケート項目を読んで、ハガキに記入する」読者の意見しか反映されないと言うデメリットがある。
つまり単行本派の人や、本誌派でもアンケを送らない人の人気は拾い上げられないため、「本当の読者人気は分からないのではないか」と言う意見も少なくない。
実際、「アンケートは良いが単行本はあまり売れない」「単行本は売れているがアンケートが悪いせいか打ち切り」と言った作品も少なくない。『HUNTER×HUNTER』やかつての『ジョジョ』は例外中の例外と言える。
それにより武装錬金BLACK CATなど、連載終了した後で人気が沸騰した為にアニメ化等のメディアミックスに繋がった例もあり、「掌返し」などと物議を醸す事はある。
……が、「本誌の売上」を最重要視していると言われるジャンプ編集部にしてみれば、あくまで「雑誌を売るために必要な情報」を得るためにアンケをとってこのようなシステムをとっているだけである。
単行本売上やメディアミックスも立派な収益源なので無視している訳ではないのだが(だからこそプロテクトと言うシステムがある事だし)、一番大事なのは「本誌を買う読者」「本誌を売れる作品」なのだ。
「完成度が高い」という通常なら満足すべきレベルであったとしても、「載っていれば読む」では話にならず「読むために買う」読者にとってのトップ3になれなければ連載継続が難しいのは当然。掌返しも「ジャンプには必要なかったがメディアミックスでは必要だった」と言うだけで、別に悪いものでもなんでもないだろう。
本誌でアンケを送らない層の人気なんてそれこそ知り様がない。声を伝えてこない客へのフォローがないのはジャンプに限らず、商品を提供するすべての会社に言える話である。

ただ、商業的にはともかく作品媒体としては、人気がなければ長期連載でも打ち切り、人気があれば無理にでも引き延ばすこの方針は、作品をきれいに終わらせられないという弊害を抱えていた。
そのため、打ち切られた作品は「もし続いていたらこうなる構想だった」、引き延ばされた作品は「○○編で終わらせるべきだった」などと語られたりする。
本誌だけに限った話ではないのだが、ジャンプはその手の話が飛び抜けて多く、諸手を挙げて大団円と評される作品は数えるほどしかなかった。
が、近年は作家の方針を汲んでか、例え大ヒットとなっても延々と引き伸ばす傾向は少なくなっており、無理に引き伸ばさず円満に最終回を迎える作品が増えてきている。
そのため「ジャンプ=人気作を延々と引き伸ばす」といったイメージは少しずつ薄れ始めている。
とりわけ近年は、『鬼滅の刃』、『約束のネバーランド』の二作品が人気絶頂の中で円満終了を迎えたのは記憶に新しい。人気作を二本続けて連載終了させるという決断に、古くからのジャンプを知る読者からは驚きの声が上がった。

巻末コメント

ジャンプだけの特徴ではないが、作家がコメントを書くところ。
巻末にある目次と一緒になっており、毎週短いながらも作者の日常がうかがえる。
主にまた担当が変わるとか編集が結婚するとか。
冨樫『Q.好きな食べ物は? カレーライス
冨樫『Q.●番目に好きな食べ物は? グリーンカレー』
みたいな感じ。


◆掲載作品

挙げ出したら切りがないが、
ありったけの夢をかき集める『ONE PIECE
メイドロボと愉快な仲間達『僕とロボコ
元殺し屋の日常『SAKAMOTO DAYS』
歴史の狭間の英雄譚『逃げ上手の若君
ドジっ子魔女と生真面目鬼『ウィッチウォッチ
人生で一番、青い時が来る『アオのハコ
女子高生落語小噺『あかね噺
香る硝煙背負うは秘密『キルアオ』
幻妖と陰陽師の学園生活『鵺の陰陽師』
刀匠の父を殺された少年の復讐譚『カグラバチ』
最高の相棒は超能力者!『超巡!超条先輩
『悪祓士のキヨシくん』
『魔男のイチ』
『ひまてん!』
『しのびごと』
『シド・クラフトの最終推理』
『エンバーズ』
『Bの星線』
『NICE PRISON』

とか。

少し前に戻れば

どっこい生きてるシャツの中『ど根性ガエル
ジャンプコミックス初の30巻突破『トイレット博士』
スーパーカーブームの立役者『サーキットの狼』
40年間一度も休まず連載してきた伝説『こちら葛飾区亀有公園前派出所
ヒューッ!『コブラ
牛丼大好き『キン肉マン
んちゃ!『Dr.スランプ
ボールは友達『キャプテン翼』
奇面フラッシュ!『ハイスクール!奇面組
チェイング!悪!滅!『ウイングマン
あたたたたた『北斗の拳
絶・天狼抜刀牙『銀牙 -流れ星 銀-
鮎川まどかは永遠の「憧れの人」『きまぐれオレンジ☆ロード』
オラわくわくすっぞ!『ドラゴンボール
モッコリパワー『シティーハンター
わしが男塾塾長、江田島平八であ~る!!『魁!!男塾
君は小宇宙を感じたことがあるか!『聖闘士星矢
人間讃歌は勇気の讃歌!!『ジョジョの奇妙な冒険
勇者よいそげ!!『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-
傾奇御免!『花の慶次 -雲のかなたに-
バスケが…したいです…『SLAM DUNK
伊達にあの世は見てねえぜ!!『幽☆遊☆白書
ラッキークッキーもんじゃ焼き『とっても!ラッキーマン
俺の生徒に手を出すな!『地獄先生ぬ~べ~
おろ~『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-
走れー走れー『みどりのマキバオー
めそ『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん
にょほほ『封神演義
それはどうかな?『遊☆戯☆王
コッチンコー『花さか天使テンテンくん』
学生時代は大変お世話になりました『I"s
衝撃の結末『世紀末リーダー伝たけし!
作者が腰痛などと格闘し休載が通常営業の“ハンター”を目指す『HUNTER×HUNTER』(連載形態を変更)
ミカンのち完結『シャーマンキング
小さな身体ででっかく飛ばす『ライジングインパクト』
神の一手『ヒカルの碁
まだまだだね『テニスの王子様
サスケェ……『NARUTO -ナルト-
矢吹神の物語はここから始まった!『BLACK CAT
鼻毛真拳!『ボボボーボ・ボーボボ
なん…だと……?『BLEACH
自分の顔が憧れの人に!?『プリティフェイス
糞(ファッキン)○○!!『アイシールド21
臓物をブチ撒けろ!『武装錬金』(赤マルジャンプに移籍)
新世界の神になる『DEATH NOTE
PTAと戦い続けていた『銀魂
魂の救済を『D.Gray-man』(ジャンプSQ→SQRISEに移籍)
ゴシカァン!『魔人探偵脳噛ネウロ
少年誌の限界に挑戦し続けた『To LOVEる -とらぶる-
学校のお助け団『SKET DANCE
なんでもグルメ『トリコ
ジャンプの広告塔『バクマン。
幻の6人目『黒子のバスケ
世の平穏あらんことを『ニセコイ
おれはどこにだってとぶ!!『ハイキュー!!
コーヒーゼリー大好き『斉木楠雄のΨ難
ヌルフフフフフフフフフ『暗殺教室
おあがりよ!『食戟のソーマ
トリガー、オン!『ワールドトリガー』(ジャンプSQに移籍)
処す?処す?『磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜
心・技・体『火ノ丸相撲
君はヒーローになれる『僕のヒーローアカデミア
実績だァァァァァァァ!『ブラッククローバー』(ジャンプGIGAに移籍)
カス虫と愉快な仲間たち『左門くんはサモナー
To LOVEるの後継者『ゆらぎ荘の幽奈さん
大正の鬼退治『鬼滅の刃
鬼の施設から脱獄せよ!『約束のネバーランド
恋の方程式『ぼくたちは勉強ができない
文明を再生しよう『Dr.STONE
天才女優のアクターストーリー『アクタージュ act-age
正しい死を求めて『呪術廻戦
ノーベル賞は俺んモンだぜ~~!!『チェンソーマン』(ジャンプ+に移籍)
嫁の一家はスパイだった『夜桜さんちの大作戦
お前は何を否定する『アンデッドアンラック
シュークリーム大好き『マッシュル-MASHLE-』
女の子になった忍者『あやかしトライアングル』(ジャンプ+に移籍)
癒し系邪神『破壊神マグちゃん
家族全員同級生『高校生家族
まちカドドラゴン『ルリドラゴン』(ジャンプ+に移籍)
暗号ファイト『暗号学園のいろは
世界を導くのは固い絆と強い心『願いのアストロ』

等…その時代の少年達に夢を与えてきた作品が多い。

きっとジャンプはこの先も少年達のハートをキャッチし続けるだろう。

なお、創刊号に掲載された漫画は、『くじら大吾』(梅本さちお)、『父の魂』(貝塚ひろし)、『大暴れアパッチ君』(赤塚不二夫)、『地獄剣』(高橋よしてる)、『ハレンチ学園』(永井豪)、『ドル野郎』(望月三起也)、『フラッシュゴードン』(ダンバリー)、『手』(楳図かずお)。
耳慣れないタイトルが多いが、チラホラ巨匠の名前が確認できる。







◆最終回と表紙

ジャンプは一部のギャグ漫画を除きどんな新連載にも表紙を飾らせている一方、最終回記念表紙を実施しておらず最終回の巻頭カラーも基本的に無い。
これはライバル誌(特にヒット作の最終回記念企画に積極的な週刊少年マガジン)や、系列誌のヤングジャンプ等とは明確に異なる方針である。
この点についてルポタージュ漫画にて「ジャンプが常に”これからの作品”を大切にしたいと思っているからです」と明言した事もあるが、かえって「終わる作品にはもう用はないというのか?」との反発を招いてしまった事もある。

実際、『NARUTO』の最終回掲載号の表紙は『暗殺教室』であり、『暗殺教室』最終回掲載号の表紙は『ハイキュー!!!』4周年記念であり、そもそも『NARUTO』第1話が表紙だった号は『るろうに剣心』が最終回だったりと、大ヒット作の完結であっても連載作品や新連載が優先されている。

2025年時点のジャンプにおいて最終回を巻頭カラーで飾った作品は、筋トレブームやトンデモスポーツ路線で集英社に多大な利益をもたらした『リングにかけろ!』、完結にあたり関連企業の合意を得るまでに至った程巨大IPとなった『ドラゴンボール』、巻頭フルカラー掲載号でジャンプ史上最高の発行部数を叩き出した『SLAM DUNK』、40年にわたり一度の休載も無くジャンプの顔であり続けた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の4作品しか無い。
このうち表紙で連載を終えた作品は『SLAM DUNK』と『こち亀』だが、前者は編集部の期待と作者による「いずれ続きを描きたい」との意向から雑誌掲載時は「第一部完」と表記されており、『こち亀』は連載終了後も年一回程度読切が掲載され単行本も続刊されている。そして両作品とも最終回掲載号の表紙に最終回や完結という表記が一切無い事も考慮すべきである。

これら4作のように、ジャンプ本誌で最後の最後まで多大な影響力を持つ作品であり続けたか否かによって最終回の待遇は変わると言っても良いだろう。実際先述の『NARUTO』はジャンプ史上初となる完結5話前の表紙にて最終回を予告し、最終回掲載号は表紙ではなかったものの699話が巻頭カラー、最終700話を全編フルカラーで2話同時掲載と破格の待遇を受けている。この他にも『暗殺教室』、『僕のヒーローアカデミア』、『呪術回戦』は完結5話前に予告があり、『暗殺教室』は完結とほぼ同時に実写版の完結編も公開、『ヒロアカ』はセンターカラーが切り離してポスターになる大判ページと付録、『呪術回戦』にも付録が用意されている。また、『こち亀』は連載終了3週前のイベントで予告があり、『ハイキュー!!』も完結1話前に予告が入っている。更に、『テニスの王子様』が最終回直前に表紙を飾って完結した事を皮切りに、『黒子のバスケ』『約束のネバーランド』『鬼滅の刃』『チェンソーマン』『Dr.STONE』といった大人気作は最終回直前に表紙を与えた上で(紙面の煽りとしては超クライマックスといった文言が多い)センターカラーで完結している。

逆に言えば連載終了まで多大な人気を獲得できなかった作品はセンターカラーのみ、もしくはカラー無しの巻末掲載で終わる場合も多い。近年で言えば一時期は看板作品なりメディアミックス恵まれていたものの終盤は巻末掲載に瀕していた『BLEACH』、『トリコ』、『食戟のソーマ』はいずれも最終回もしくは直前にセンターカラーのみで終了しているし、大ヒットしたものの作者のモチベーション低下により終了した『幽☆遊☆白書』はカラー無しかつ最終回だけほぼ巻末に甘んじて終了、遡ると『キン肉マン』、『北斗の拳』、『キャプテン翼』、『聖闘士星矢』といった時代を築いた傑作すらカラー無しで終了が当たり前だった。

このような歴史を築いてきたジャンプだからこそ、『ONE PIECE』の完結に本誌は何を残すのか?
唯一無二の完結記念表紙とするか、それとも従来のスタンスを守り通すのか、期待が持たれる所である。

◆余談

よく背表紙やコミックス、乳首や股間隠しにある海賊マーク(ジャンプのアレ)はジャンプパイレーツという名前のシンボルマーク。
これを横にすると女性の顔が出現するというネタがあり、こちらは公式に「ジェイミー」の愛称が付けられ、2022年からは小説レーベル「JUMP j BOOKS」のイメージキャラクターになった。

少年や大きなお友達の他、ジャンプ作品は腐女子にも大人気である。
主にそういったニーズに媚び売ればあるいは…。
…とか上手くいけばいいが、世の中そんなに甘くない。言うは易し。
けっきょくは漫画の面白さ、キャラの魅力がなければ腐女子だって支持しない。
大きなお友達だって自分達に媚び売る感じの作風に反感持つしね!(もちろん面白さや魅力が伴わなければの話)

ときたま同ジャンルの漫画を同時期に連載開始させる「蠱毒」と呼ばれる状況が発生する。
「サッカー蠱毒」「バスケ蠱毒」「ラブコメ蠱毒」などが有名。
後ろ2つを生き残った黒子のバスケとニセコイはアニメ化されるほどの人気作となったので「蠱毒」の呼び名も伊達ではない。


需要が多いからか、発売日前の段階で早売りされたり、画像・動画などの形でうpしたりするネタバレ行為が蔓延している。
もちろんこれらの行為は著作権法に違反する犯罪である。中学生でも容赦なく捕まるくらい犯罪なのである





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最終更新:2025年05月01日 19:54

*1 集英社全般ではヤングジャンプが担っている。

*2 純粋な漫画家でなければそこまで厳しくないらしく、『北斗の拳』原作の武論尊も専属契約を求められたが断っておりそれを理由に北斗を打ち切られたり原作を下されたりしていない。

*3 ただし作者によると、バトル漫画への転向は連載当初から予定していたとの事。

*4 ただし、この基準は漫画『バクマン。』でほのめかされたものである。当時と違って現在は電子書籍全盛期なので、現在このあたりがどうなっているかは不明。