ゴルゴ13(漫画)

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ゴルゴ13(漫画) - (2020/03/03 (火) 17:50:20) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2014/05/09(月) 12:05:12
更新日:2024/04/29 Mon 22:44:45
所要時間:約 7 分で読めます








超A級狙撃手(スナイパー)のスーパー・アクション!




さいとう・たかを(さいとう・プロ)が1968年から「ビッグコミック」にて連載されている漫画。
フリーランスの殺し屋・通称「ゴルゴ13」の活躍を描く。

キャッチコピーは「超A級狙撃者のスーパー・アクション!」。


概要

ストーリーはフリーのスナイパー・ゴルゴ13の活躍を描いた話。
未読の人に聞くと、大抵「ゴルゴが襲い掛かる軍隊など相手に無双する」「現実的にまず不可能な狙撃で厳重に守られたターゲットを暗殺する」
というイメージを抱くかもしれない(実際、そういう話も多くあるが)が、実際は世界の裏・表側の政府・科学・経済・歴史問題等を巡った人間ドラマをテーマとしており、
派手なアクションシーンなどは比較的少なめで、ゴルゴの出番も意外と少ない。

最後にゴルゴに依頼→狙撃→終

という展開も珍しくない。
そのため、事前情報抜きで読んだら最後以外にゴルゴが出なくて戸惑った人も少なくない筈。

中には、真犯人を見つけ出す探偵役をゴルゴが引き受けて誰一人として傷つけずに終わるゴルゴが1コマも登場せずに終わる、狙撃の技を活かしつつ誰も死なせずに仕事を達成するという異色の話もあるほど。
政治事情の複雑なしがらみや一筋縄ではいかない人間関係に重点が置かれている事もあって複雑な話も多く、そういうのが苦手な人にとってはハードルが高いかもしれない。

前述した通り、様々なジャンルを取り扱っているため、ストーリー毎に脚本家が異なっており、中には本物のスペシャリストがかかわっていることも。
連載の長期化により「ゴルゴを読んで育った世代が新しい脚本家として育ってきている」らしく、当分ネタ切れの心配はないようだ。

500話以上、開始以来一度も休載無し、単行本195巻(2019年12月時点)の長期連載だが、基本は一話完結でそれぞれが独立したエピソードのため、初心者でも気軽に楽しめる。
そもそも単行本自体「収録順が発表順通り」ではない。
1-2巻はそのままだが、3巻の時点で「12、 11 、13、14、 19 、20」という組み合わせである。
とりあえず、「ゴルゴという超一流スナイパーが色々する話」という基本設定だけ覚えておけば、どのエピソードから読んだとしても十分理解できる。
床屋やコインランドリーなんかにはよく置いてるので、待ち時間中にでも適当に選んで読んでみるといい。
非常にリアルで完成度の高い作画も地味に高い評価を得ている。

実はその単行本、書籍化のペースが全く追いついておらず、2019年に発売された195巻収録のエピソードは2012年5月初出の物が混ざっている。
ペーパーバック版である「別冊ゴルゴ」→「増刷ゴルゴ」に収録されたあとに単行本に収録されるというのが理由。

後、意外とグロシーンは少ない。というのも、大抵は急所を一撃で狙撃(暗殺)するため。
もっとも、あくまでグロシーンが少ないだけで、アダルトなシーンは多い。
更に、回によっては虐殺・拷問が綿密に描写されていることもあるので注意。

北朝鮮と韓国については殆ど描かれていないが、それは「生々し過ぎる」「隣国で近所付き合いもあるので刺激的な事は控えた方がいい」という自主規制によるもの。
ただし、直接描写されないというだけでゴルゴが朝鮮半島でも活動している事を示す台詞がある他、1981年の作品で北朝鮮出身の殺し屋が登場している(舞台はロサンゼルス)。
また、近年では韓国での騒動が描かれる話(192巻「未病」)が執筆されるなど、韓国に関しての描写は解禁されつつある模様。

メディアミックスはアニメ、映画化、ゲームなど多岐にわたる。


主要登場人物


ゴルゴ13
この物語の主役。
…だが、前述した通り出番は意外と少なく、数コマだけでセリフ無しもザラ。
中には「写真でしか登場しない」「名前だけで顔が全く出て来ない」「ストーリー的にゴルゴを出す必要はなかったが作品的な都合で最後だけ出した」話もある。
超一流の殺し屋で、遠距離からの狙撃を主とするが、格闘技や多くの乗り物の操縦等も出来るチートぶり。
但し、専門外のことはその筋の専門家に協力を求める。
無口で冷徹だが、初期は割と多弁で人間臭い所やうっかり屋な所も多かった。
また、義理に篤い一面も持っており、受けた恩は必ず返す漢。

○デイブ・マッカートニー
ゴルゴ御用達のガン・スミスで、アメリカでも5指に入るハンドメーカー。
無重力空間で発射できるM16からスープに溶ける銃まで様々な注文を受けては作り上げるプロフェッショナル。
こんなレベルのハンドメーカーが本当にあと4人もアメリカにいるのかは恐らく永遠の謎。
特殊すぎる銃の注文をされたり、三日はかかる仕事を三時間でやれとか、無茶な注文に愚痴ることも多いが、なんだかんだで注文通りにこなす。
また、ビジネスライクを徹底するゴルゴが「ありがとう」と言った数少ない人物。

150ミリの装甲板と30センチのコンクリート壁をぶち抜く銃を注文された時は、協力者への無茶振りと自身の体力への自信には定評があるゴルゴに向かって
「前者は出来たが、後者はさらに巨大化が必要で、いくらゴルゴでも生身で運ぶのは無理」と断念。
ゴルゴのほうも「後は俺が(策略で)何とかする」と了解した。
実際、その銃はゴルゴが抱えながら歩いて息を切らす程の代物だったので、この判断は正しかった。

ゴルゴがほぼ無条件の信頼を置く数少ない人物だが、印象に残る割に実は10回くらいしか登場していない。

○ヒューム卿
MI6の部長で、個人依頼の回数最多記録を持つ(依頼人とは2度と会わないルールとは一体…?)。
様々な依頼を頼み、スパイを始末する為に自分の命すらゴルゴに預けて囮役を行ったり、人生の最期もゴルゴへの依頼を待ちながら亡くなった。
過去にゴルゴから「ヒューム…さん」とさん付けされた事もあった。


有名なエピソード

下記に記載されていない話でも一部は個別記事化されているためゴルゴ13エピソード項目も参照のこと。

~60・70年代~


○南仏海岸(コートダジュール)
ゴルゴも認めた盲目のスナイパーイクシオンとの戦いを描いた。

AT PIN-HOLE!
最もわかりやすくゴルゴの凄さを示した初期の傑作。
デイブ・マッカートニーの無茶振り人生の始まり。

ザ・スーパースター
少年とゴルゴとの交流が見所
詳しくは項目を参照。

カリフォルニア軍団
モランド大佐率いる「カリフォルニア軍団」との激闘を繰り広げる。

芹沢家殺人事件
記念すべき第100話。ゴルゴの出生の秘密に迫った話の1つ。
『THEゴルゴ学』の投票で1位に選ばれるなど、ゴルゴ最高傑作との声も高い。

○鬼畜の宴
ゴルゴ史上最高とも名高い好敵手のスパルタカスとの決闘が見所。


~80・90年代~


ガリンペイロ
おそらくゴルゴ史上屈指の赤字回。

○死闘 カット・アンド・ダイヤ
ゴルゴ、宝石職人に弟子入りする。

2万5000年の荒野
原子力発電をテーマにした話。
今だと「漫画(フィクション)だから」と全く笑えないから困る。

静かなる記念日
とある片田舎の村とゴルゴとの意外な関係を描いた話。

○バイオニック・ソルジャー
ペンタゴンによる最高の遺伝子同士を人工授精させることよって誕生したライリーとの対決。
その動きはゴルゴに「人間の動きじゃない」とまで言わせた。
アーケードゲーム「ゴルゴ13 銃声の鎮魂歌」では彼がラスボスを務める。

マークのリクエスト
連絡係の一人である終身刑の囚人マーカス・モンゴメリーとゴルゴの関係が掘り下げられたエピソードでもある。

○白龍昇り立つ
中国山岳部隊の隊長で登山家でもある燐隊長が登場。
高山でゴルゴと対決する。

黄金の犬
ゴルゴと犬との交流が見所
ゴルゴ屈指の切ない話としても有名


~2000・2010年代~


パッチワークの蜜蜂たち / 冥王の密約
前者はゴルゴがある事情によりとある事件の証拠集めに奔走する話で、
後者は地下核実験の事故に巻き込まれたゴルゴと原子力反対運動を行っている医師と、原子力を推奨する下衆どもとの戦いを描いた話。
…が、ぶっちゃけそんな事は二の次と言ってもよく、
本質は「冥王の密約」でノイマン医師に命を救われながらも、遂にノイマン医師の命を救う事は出来なかったゴルゴが、
15年の歳月を経て「パッチワークの蜜蜂たち」でノイマンの妻にゴルゴ史上空前絶後の敬意を以て借りを返す話。
時系列は「冥王の密約」→「パッチワークの蜜蜂たち」だが、連載順は逆。

「あんたの目的など俺には興味のない事だが……あんたは危険を冒して俺を救った……借りは返す……俺に、出来る事があれば、いつでも呼んでくれ……」

「ドクター・ノイマンは……十五年前に私の命を救ってくれたのです……その時にお約束したのですよ、“私に出来ることがあったら、いつでも呼んでくれ”と……」

装甲兵SDR2
オーバーテクノロジーのパワードスーツと、ゴルゴとテロリストとの戦いを描いた話。
戦いよりも人間の狂気に注目。

○史上初の狙撃者 ザ・ファーストスナイパー
記念すべき第500話。狙撃のシチュエーションは戦国時代。


未収録エピソード

500話以上ある中で、諸事情により単行本未収録となった話が4つ(文庫版含めると5つ)ある。

○第237話「幻(ダミー)の栽培」(ビッグコミック1986年4月10日号・4月25日号)
当時のイランの指導者ホメイニ師(実在)が影武者を使っている、という展開にイラン大使館から抗議がなされ、未収録に。

○第245話「スワップ・捕虜交換」(ビッグコミック1986年12月10日号・12月25日号)
実在の「PLO情報部」を過激なテロ組織として描いたため、未収録に。
ただし2007年になって、組織の名称を「パレスチナ解放武力同盟情報部」に変更することによりビッグコミック増刊号に再録された。

○第266話「バチカン・セット」(ビッグコミック1988年8月25日号・9月10日号)
バチカン司教の権力闘争、小児性愛といった暗部を描いたが、ストーリーが生々しいということで自主封印。
2018年1月30日発売の『改訂版『ゴルゴ13』リーダーズ・チョイス』において初収録がなされた。

○増刊20話「疫病神の道標」(ビッグコミック1989年8月増刊号)
エイズに悩むハリウッドスターの苦悩を描いた回。
他の話と違い単行本(SPコミックス)には収録されているのだが文庫版に収録されていない。

○増刊32話「告発の鉄十字」(ビッグコミック1993年2月22日増刊号)
ネオナチを描いた回。理由は不明だが自主封印と思われる。
1996年に別冊ビッグコミックに再録されたことはある。

その他、1982年に雑誌掲載された「アメリカン・ドリーム」が17年後の1999年に単行本に収録された例もある。
この作品に限らずゴルゴ13のエピソードが単行本化されるのは雑誌掲載から6~7年ほど待つ形となる。


メディアミックス

  • 高倉健主演による実写映画が何回か公開されたが、いずれも出来は散々だった。
    さいとう氏にとっても相当不本意なものになったとのこと。

  • かなりマイナーだが、ニッポン放送40周年記念としてドラマCDが発売された。「ビッグ・セイフ作戦」「ラ・カルナバル」「狙撃のGT」「河豚の季節」が夫々端折られながらだが収録されている。
    こちらはさいとう氏は快諾し、本人も「ラ・カルナバル」で似顔絵描きとして出演している。*1チョイ役だがかなりの演技である。


  • ツッコミどころ満載のFC版ゲームも出ている。

  • DS版ゲームも出ている。これは比較的まともなアドベンチャー。
    ただし、ボリュームが薄いのと、「ゴルゴのゲームなのに狙撃ができない」という致命的な難点が……(主人公がゴルゴじゃなくてゴルゴを追うジャーナリストだから仕方ないのだが)。





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