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装甲兵SDR2(ゴルゴ13)

登録日:2012/09/09(日) 17:20:23
更新日:2023/08/14 Mon 18:05:22
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超A級スナイパー最新ロボット兵の戦いが始まる


概要

単行本148巻、文庫本124巻収録に収録された。『ゴルゴ13』の418話のタイトルにして作中に登場する架空の戦闘兵器の名前。
エピソードの内容もゴルゴがパワードスーツと戦うという超異色の話である。
本項目ではエピソード項目に関するルールが変更されたので戦闘兵器としての「装甲兵SDR2」について取り扱う。

バトルスーツ「SDR2」

ベトナム戦争以来、アメリカ国内では地上戦によって死者が出ることを嫌う風潮が強く、克服を余儀なくされたペンタゴンが「兵士を地上戦に巻き込んでも絶対に安心・安全な新兵器」の開発をダイナミックランドシステムズ(DLS)社に依頼して作られた兵器。
しかし発注から3年が経ってもなお実現への突破口が見つからず、関係者一同頭を抱えるばかりであった。
そんな中、日本の企業が二足動歩行ロボットの開発に成功したという情報を耳にしたDLS社はこれを兵器へ転用しようと画策し、日本に圧力をかけて技術を奪い取って完成に至った。

現在の米兵の地上戦能力の低さ・国民の地上戦アレルギーを懸念し、「どんな地上戦も恐れない」という断固たる姿勢を示すための戦闘用ロボットとなっている。
当初は完全な無人兵器を想定していたが、歩行システムと人工頭脳の開発に行き詰ったため、中に人が入る半ロボット兵とすることでどうにか完成を見た。

作品の公開時期(2002年)からすれば明らかなオーバーテクノロジーであるため、一部読者からはやりすぎとの声もあって賛否両論。
また、スペックは凄まじいが、技術の大半が他の分野からの流用であることを考えるとDLS社の技術力自体には疑問符が付く証明の存在とも言えるだろう(ただし、社員は素直にONDの技術を称賛して解説しているので態度まで「自分達の技術のように扱っている」という訳ではなかったが)。
DLS社の社員(アニメ版の名前はロイド)も実験途中でSDR2搭乗者の精神に異変を示すデータを受け取りながらも実験を続行するなど、運用実験では人員の軽視が見られた。

◇作中明かされたスペック

  • 全高2m20cm、体重約1トン。
  • 駆動系統:日本の自動車メーカー「OND」製。
  • モーター:日本企業「隅友金属」製の強力電動モーター。
  • 動力:日本企業「四菱」製の燃料電池。
    • いずれも実在の企業がモデルなのは明白。これらの技術を、かなり悪辣な手段で奪い取る形で強引に完成させた。
  • 平地なら時速8km、砂漠なら時速5kmのスピードで10時間の歩行が可能。動きも非常に滑らか。1000kmを2週間弱で走破できる。
    • 搭乗者の癖に合わせた歩行パターンを入力できるので、搭乗者は軽いウォーキング程度のストレスしか感じない。
  • 長年世界各国で多くの戦車兵の命を救ってきた(←重要)M1エイブラムズ戦車の装甲を応用しており、何度も爆撃や銃撃に晒されてもほとんどダメージを受けない頑強さを誇る。ただし対戦車地雷にはダメージを受けるようで回避していた。
    • 足回りのダメージ回避は戦車にとっても常識ではある。しかし直撃でなければ問題ないのか爆風を受けても怯まず、対人地雷程度なら踏んでもなんともない
  • 右手にガトリング砲、左手にワイヤーガンとコンピュータ補正による精密射撃が可能なライフル、左肩に砲台を搭載。
  • ジオフォン(振動感知装置)と連動した索敵能力、電磁波による地雷探知能力、微弱な光を何万倍にも増幅する装置、暗視スコープ「アウルアイ」を備える。
  • 重量と怪力を活かした格闘も可能。腕を振り回すだけで人体を引き千切り、人間の頭部をたやすく潰れトマトに変えるなど、強力な攻撃手段となる。
  • 撮影した画像を司令部のスーパーコンピューターで分析し、取るべき最適な行動を瞬時に選択してバイザーに映し出す。
    • これにより、戦闘経験の浅い兵士でも瞬時に高度な戦術を行える。
    • バイザー部分は防弾ガラスになっていて、ライフル弾の直撃にも無傷。
  • NASAの宇宙服で使用しているのと同じ生命維持装置を搭載し、内部環境は常に快適に保たれる。
  • 搭乗者のバイタルに応じて、鎮静剤、解熱剤、栄養剤などを自動的に注入する。
    • 場合によっては興奮剤を注射することも可能。

内部の搭乗者にかかる肉体的な負担も少なく、本部からの命令を事細かに送ることによって経験の浅い兵士でも的確な行動が可能。
またあくまでも本部コンピューターの命令に従って戦うため、殺人による罪悪感や心理的負担も軽減されると開発者は想定していたが……。

搭乗者


軍に入隊して3ヶ月しか経っておらず、平均以下の体力しかないという新兵が選出された。なお、作中で名前は明かされず。
最初のうちは「命令したのは上官とコンピュータだから自分が殺しているわけではない」と自らの殺人を正当化していた。
しかし終わらない殺戮は確実に彼の精神を蝕んていき……。
中の人は後のオルガ・イツカ。錯乱していく様子が非常にリアルで、狂気を感じさせる熱演である。

SDR2の運用実験に選ばれたテロリスト

SDR2の実験台としては世界各地から悪名高いテロリストなどの犯罪者が選出され、無人島に集められた。
元々拘束されていた者、過激思想などから仲間に売られて連行された者などであり、不本意な形で戦わされる羽目になる。
法制度がしっかりしている国のテロリストは恩赦、逆に整っていない国のテロリストは強制連行か騙して連れてきたとのこと。

国籍や人種などはバラバラで、それぞれが得意とする武器と一日分の食料と水を支給されている。
戦いが進まずに時間切れになった場合は島全体を砲撃して皆殺しにすると宣告されており、島周辺は高速艇の監視と強い潮流の影響で脱出も不可能になっていた。
人数は200~300程度と思われ、そのうち100人以上がSDR2によって惨殺された。

序盤から中盤にかけては驚異的な性能を持つSDR2の前に兵士がなすすべも殺られていく一方的な蹂躙劇となった。
そもそもゴルゴが指摘しているように島全体には赤外線とジオフォンが設置されている環境だったため、SDR2の性能を抜きにしてもテロリストはかなり不利な環境でのバトルロワイヤルを強いられているので勝たせる気がそもそもなかった(まあ運用実験だから当たり前だが)と言えるだろう。
また、ゴルゴ13にしては珍しくグロい描写(頭部を殴打で粉砕、首が引き千切られて脊髄が見える、爆破で人体が粉々になる等)があるので苦手な方は注意。

◇ネームドキャラ

  • フツ
アフリカの少年兵。
「たとえゲリラでも子供を殺すのは後味が悪い。だから同じ子供に殺させればいい」という狂った発想によって兵士にさせられた。
ジャングルでの戦闘に長けており、音と気配を消したまま行動できる。
この島では10人以上の兵士をナイフのみで仕留めてきたがSDR2の探知能力を欺くことは出来ず、居場所を捕捉されて撃ち殺された。

  • リカオンハイエナジャッカル
CV:石野竜三(リカオン)
イスラム解放同盟に所属していた3人組の兵士。「耳狩り族」の異名を持つ。
細面なのがリカオン、バンダナをしているのがハイエナ、隻眼がジャッカル。ちなみにジャッカルの本名は「ジャック」であるらしく、他の2人の異名も本名をもじったものと思われる。
思想の過激さゆえに組織内でも厄介者とされ、売られる形でこの島に連れて来られた。
トラップを得意として、逃げたフリをして置き去りにした食料に仕込んだ爆弾や逃げ場に設置した地雷で他の兵士グループを一網打尽にするなど手口は悪辣。
SDR2を警戒して多数のトラップを仕掛けていたが、対人地雷は威力不足で効かず、対戦車地雷は電波装置で感知され躱されてしまっていた。
切り札である落とし穴にSDR2を落とすことに成功するも、ワイヤーガンによってすぐに脱出されてしまい、2人は射殺、残る1人は対戦車地雷に投げ込まれて木っ端みじんに消し飛んだ。
ちなみに対戦車地雷は基本的に人間の体重程度では作動しないため、おそらくSDR2によって叩きつけられる形で投げられたものと思われる。

  • ノイス
CV:茂木優
IRA(アイルランド共和軍)に所属していた兵士。脱走したがイギリス側に捕まり、IRAについての情報を流すように命令されるも黙秘を続けたため長い期間拘留されていた。爆弾の扱いに習熟している。
「勝者となれば家族の分も含めてアメリカに国籍を用意する」という条件を聞いていたため必死になって戦っていた。
しかし、他の参加者から自分が口を割ったことになっていて、その制裁として家族は皆殺しにされていたことを知り、愕然とする。
戦う意味を失って自暴自棄になったのか、爆弾を抱えてSDR2に自爆攻撃を仕掛け死亡。
SDR2自体はダメージを受けなかったが搭乗者は自爆攻撃を仕掛けてきたことに激しく動揺し、完全に狂っていく切っ掛けとなった。

飛行機で逃走していた際、島に不時着する形で実験に巻き込まれた
前述の麻薬密造組織のボスの暗殺の依頼を引き受けており、任務を遂行したのだが、事前にSDR2が性能テストと称して襲撃したせいでその対策として組織の戦力が大幅に増強されており、予想外の猛反撃に遭ってしまう。
この反撃の影響でSDR2の実験場に飛び込んでくることになったということはSDR2にとっては相当な不運だった訳だが、これはSDR2に殺された麻薬密造組織の人員の無念がそのように誘導したのだろうか…。

劇中の活躍

無人島にて次々とテロリストを殺害していくSDR2だったが、ノイスの自爆を機に異常な戦闘スタイルや言動を見せるようになる。
結論から言うと、「コンピューターの命令を遂行するだけだから兵士の心は傷つかない」という開発者の想定は全くの的外れであった。

実際にはたとえ命令したのがコンピューターだとしても、血と硝煙の臭い、断末魔の声などの「人を殺した感覚」は搭乗者にダイレクトに伝わってしまうのである。
それでもなおコンピューターは続々出てくる敵を処理するよう命令し続けるため、搭乗者は自ら心を壊すことでしかそれに対応できなくなる。
圧倒的な戦闘力を有することは確かだが、兵士の精神的負担の軽減という点について何の利点も無いSDR2は、実質的には失敗作と言えたのだ。

だが主催者側はむしろ、「もともと戦場に正気など無い」「これからの兵士はあれくらいでなければならない」と大いに満足し、挙句「今の腑抜けた兵士どもを全員アレに載せて叩き直してやる」とまで言い出した。
もはや誰も彼もが狂気に囚われていた。

集められた兵士を皆殺しにしたSDR2だが、すでに搭乗者は錯乱しきっていて「もう心は元に戻らない」と評されるほどの有様であった。
飛び入り参加のゴルゴがまだ生き残っていることを確認したSDR2はゴルゴに勝負を挑むも泥を利用した欺瞞で先手を取られ、照明弾によって視界を封じられてしまい、その隙にコンピュータ補正を上回る超精密射撃で肩部の弾薬ストックを撃ち抜かれ、大破・沈黙してしまった。
後に勝者として主催者がゴルゴを招いた際の会話で。「SDR2など無くとも、あなたが軍の顧問となれば地上戦の弱さを克服できる」と述べる場面があり、完全に不要な存在として切り捨てられてしまっている。

アニメ版

登場エピソードはアニメ版第49話(最終回の1話前!)として放送されており、動きがかなりリアルかつ滑らかで一見の価値あり。
SDR2のデザインは森木靖奏氏が行っていて微妙にデザインがSFチックなものに変わっている。
原作で使われなかった左肩の砲台は火炎放射器であることが明らかになった。
尺の都合もあってか政治的背景やジェノサイドの描写はほとんどカット(兵士たちの殺傷シーンの大半を省略)され(この関係か集められたテロリストが50人になっている)、グロいシーンも自重されたが、ゴルゴとの戦闘シーンが大幅に増加し、上記のように兵装を全て使用している。
加えて、搭乗者が錯乱していく様子がより詳細に描かれるなど、「戦場で狂気に身を任せることの恐ろしさ」が原作より克明に描写された。
自重されたグロシーンも却って想像力ある人なら余計に気分が悪くなるような演出がされており、何かが潰れる音がする中でのSDR2のカットは非常に不気味で生々しい。

さらに何をトチ狂ったかパチンコ版でも収録されてしまった、平和ェ……

余談

  • SDR2の登場以降、ゴルゴ13を倒すことによって実用性を証明するのを目的に、新技術/新兵器を使ってゴルゴを襲撃するという構図の作品は増加傾向にある。

  • SDR2の登場エピソードとはある意味で対となる『フィアレス』というエピソードが存在する。
    こちらは事故や事件の後遺症で死への恐怖が麻痺している人間をヒットマンとして育成してゴルゴに挑ませるというものだが、どちらも非人道的な計画であることは共通する。



念のため追記・修正します!削除されるかもしれない!

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最終更新:2023年08月14日 18:05