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SCP-1978-JP/k-cal - (2018/07/23 (月) 17:12:02) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2018/01/01(月) 11:52:52
更新日:2023/11/23 Thu 03:55:55
所要時間:約 4 分で読めます





常識のない人間が、一番怖い。覚えておけ。


SCP-1978-JPは、シェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクト(SCP)のひとつであった。

何故過去形かというと、現在この記事は執筆者により削除済みであるから。

オブジェクトクラスは「Euclid」から「Keter」を経て現在「Neutralized」。
項目名は「日本海に位置する孤島██における異常な文化」。何ともまあストレートなタイトルである。


概要

コイツが何かというと、日本海のどこかに位置するある孤島に存在する、異常性を持った文化である。
財団的にも言葉の意味的にも、正しく「ミーム」的オブジェクトと言える。

ちなみにこれ、日本支部が発見したオブジェクトとしてはもっとも古いもので、支部設立後の1946年、つまり終戦後間もなく、最初の大規模作戦においてたまたま発見されたものである。
当時の政府はこの島の存在を把握していなかったが、近隣の島(それでもかなり離れている)には、「権力闘争に敗れた貴族が流れ着き、となって住み着いた島」という伝説が残っていることが後の調査でわかっている。

島そのものは文字通り絶海の孤島で、住民はわずかに50数名。
そのすべてが、SCP-1978-JPと指定される文化様式に則って暮らしている。また、位置の関係で外部との接触が全くなかったらしく、言語は平安時代の日本語から派生した独自のもので、文字は存在しない。
住居は簡易的な木造のもので、住民同士の相互扶助を前提とした原始共産主義によって成り立っている。

そして肝心の異常性だが、この文化に触れて暮らしていると、以下の3タイプに分類される異常性を引き起こす。

  • タイプA
コレは身体的、かつ不可逆的な異変であり治療は不可能である。
発現するのがこの島の住人のみであることから、SCP-1978-JPの影響が遺伝子に蓄積し続けた結果だと考えられている。
具体的に何が起きるのかというと、まず肌が青色に変色する。先天的な個体と後天的な個体が存在するが、違いは不明。
もう一つは、頭部から角のような部位が伸びあがることである。

  • タイプB
コレは精神的、かつ可逆的な異常であり、SCP-1978-JPから隔離することで回復が可能。
当初は住民のみと思われていたが、後のインシデントで長期間この文化に接触していても曝露することが発覚している。
何が起きるのかというと、
  1. 攻撃性の上昇
  2. これ以外の文化への忌避感
  3. 原始共産制社会への回帰願望
  4. 自身のコミュニティおよびSCP-1978-JPへの執着
といった傾向が現れる。
前述したとおり治療自体は可能だが、完治には精神的医療が必要であり、10数名の住人が前頭葉切截術によって回復している。
……ん?

  • タイプC
コレはいわゆる末期症状であり、人間性をほぼ失っている。
こうなった個体はコミュニティから隔離されており、さらに発症から1か月ほどで全身マヒを起こして死亡する。


文化としての特徴

異常性があるとは言っても文化ではあるため、独自の特徴を持っている。

  • 衣服について
毛皮を原料とした衣服を身に着けるが、基本的にスカート状のもののみであり上半身は裸。
妊婦、および冬期などの寒い時期にのみ本格的に衣服を着用する。
住民たちの主な生活の手段は狩りであり、獲物の血液は保管されている。特筆事項としては、彼らはこの血を用いて体に複雑な文様を描き込むこと、13日に1度の割合で互いの体にこの血を浴びせかけることが挙げられる。


  • 信仰について
アニミズム的な多神教を信仰している。このうち最高神は性と夜闇の神とされており、その下に連なる神々共々口伝によって伝えられている。
下位の神への信仰は日常の儀式によって表され、また捧げものとしての歌も存在する。が、この歌は非常に高い音を用いるため、前提知識なしだと悲鳴にしか聞こえない。ちなみにこれ、食事の前後や狩りの成功時に行われる。

最高神への儀式は新月の夜に行われる。
村落の中心に祭壇を設置し、あらかじめ選出された住民の中でもっとも美しいとされる男女一組がその上で性交を行う。
その間、住民たちは祭壇を円状に囲んだまま沈黙を守り、これが40分ほど続く。


  • 家族制度について
性的な面では非常に乱れており、夫婦という概念がそもそも希薄。
住民は望む時に望む相手と交わり、他者の存在や場所、性別もほぼ考慮されない。
その関係で、この文化における家族とは育児や住居によって規定される同居関係のみを差しており、非常に流動的な概念となっている。


  • 食生活について
ほとんど原始時代同様で、狩猟に加えて木の実の採集も行う。
特筆すべきはサル、犬、猫、クジラなど、一般的な倫理に置いて野蛮な動物を食べることである。
また、住人が死ぬと他の住人はこの遺体を食し、血液に至るまでも飲み干してしまうという部分が挙げられる


財団の対応

発見当初、住人の非常に強い敵対心により調査は難航していた。
この時は異常性の主体がミームであることが判明しておらず、調査船による監視にとどめられていた。
しかし、47年に新人の研究者とDクラス2人を乗せた船が転覆、3人が島に漂着するという事故が発生。救助が検討されたが、研究者はこれをチャンスと捉え、Dクラス二人と共に潜入調査を開始した。
3人は49年に帰還しており、現在までに判明している事実はこの調査で判明したものである。

この時、Dクラスの一人にタイプCの兆候が見られたため、SCP-1978-JPの主体は文化であり、住人はその曝露者であり被害者である、と結論された。
これを受けて、日本支部は住人の治療と被検体確保を兼ねて隔離作戦を実行しこれは成功。
被検体の調査が終わり次第、全住民をSCP-1978-JPから救出するための大規模作戦が行われることになった。

ところが、例の研究者とDクラス2人がこれに反対して暴動を起こすというインシデントが発生。
被検体である住人の解放が試みられたが、彼らは既に前頭葉切截術によって異常性から解放されていたため失敗。
Dクラス2名はここで終了されたが、研究員は脱走、後に確保された。

インシデントの直前、Dクラスの一人がこの文化がいかに良いものであるかを他のDクラスに語っていたことから、自己拡散性を持つミーマチックエフェクトだという推定がなされた。
さらに世界各地に残る犬食や猫食、日本の鯨食などの文化にSCP-1978-JPの痕跡があることから、もはや一刻の猶予もないと判断され、オブジェクトクラスは暫定Keterとされた。



しかし、結局財団の恐れる事態にはならなかった。
確保作戦において住人達の抵抗にあい、結果住人側は4名が死亡したものの残りは確保に成功。
SCP-1978-JPの事故的な拡散を防いだという意味では、財団として間違った対応ではなかったと言えよう。

そして被験者となった住人たちだが、一時は回復したもののその後全員が体調不良により死亡。
さらに、各地における痕跡と見られる文化はそれ自体は拡散性を持たないただの異常であり、SCP-1978-JPは本質たる異常性を既に喪失したと考えられた。
これにより、オブジェクトクラスはNeutralizedにあらためられ、全ての調査は打ち切られた。


財団が動かなかったら、あの異常な文化は今も息づいていたかもしれない。
ミームが絡むと何かとやらかすことの多い財団だが、今回はファインプレーだったと素直に言えるだろう。


追記・修正はこのミームについて考えてからお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1978-JP - 日本海に位置する孤島██における異常な文化
by k-cal
http://ja.scp-wiki.net/scp-1978-jp(削除済)

この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。

















ありがたいことに、私の狂気は君達の神が保障してくれるというわけだ。
よろしい、ならば私も問おう。
君らの神の正気は一体どこの誰が保障してくれるのだね?
―――とある少佐














SCP-1901-JP-EX

登録日:2018/01/01(月) 11:52:52
更新日:2023/11/23 Thu 03:55:55
所要時間:約 3 分で読めます


タグ一覧
SCP Foundation SCP-JP SCP財団 ミーム←じゃなかった Explained 財団のやらかし案件 異常という名の正常 理解できないものは拒絶



じゃあ聞くけどよ、常識っていったい誰が決めてくれるんだ?



SCP-1901-JP-EXは、シェアード・ワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクト(SCP)だったもののひとつである。
オブジェクトクラスは「Explained」。
項目名はなし。


上で述べた「SCP-1978-JP」は、この「SCP-1901-JP」の旧版の報告書を、アイテムナンバーだけ振り替えた別のものである。
別に、上で書かれていることが偽物だとか、欺瞞というわけではない。
全て、真実。財団が見て、聞いて、行った、全てのことである。

だが、こちらのEXの方の報告書は、上の旧版の方を最後までしっかり読まないと閲覧権限がもらえない。
と言ってもこちらに何か機密が隠されているわけではない。

ここに書かれているのは、真実である。


概要

コイツが何かというと、日本のある島に存在していた文化である。
以上。




……いや、マジでそうなのだ。
異常性なんぞひとかけらも存在しない、ただの文化、ただの習俗。
それがSCP-1901-JP-EXなのだ。

じゃああの異常性はなんなのさ、と思うかもしれないが、実はあれ、全部科学的見地からの裏付けが可能。

  • タイプA
皮膚の青色→近親交配が繰り返されたことによる色素異常
角→「皮角」と呼ばれる現象。遺伝子異常により発生するケースがある

  • タイプB
  1. 攻撃性の上昇→絶海の孤島で隔絶された文化。よそ者は怖いね、仕方ないね
  2. これ以外の文化への忌避感→よそ者の文化だから仕方ない。知らないものは怖い
  3. 原始共産制社会への回帰願望→回帰もなんもそういう文化のもとに生まれて育ちましたがな?
  4. 自身のコミュニティおよびSCP-1978-JPへの執着→国にしても村にしても、地元が一番安心だろ? そういうことだ

  • タイプC
人肉食による異常プリオンへの感染、および脳への沈着によって起きる認知機能マヒ。
クロイツフェルト・ヤコブ病の類縁であるとされる。



以上のように、オブジェクト認定の根拠となった部分がまるっとまとめて説明されてしまったのである。
しかし、これらは結構なレベルがいるとはいえ、医学的・心理的な知識があれば常人でも説明できる内容だ。
社会よりも数歩先を行く財団程の組織が、なぜこんなことに気付かなかったのか?

答えは簡単、この文化が発見された当時、財団の技術・知識のレベルは「1947年当時の水準より上」でしかなかったからである。
そんなわけだから、住民の奇抜な外見、日本の倫理に照らし合わせて異常としか言いようのない一連の事象は、「異常性を持った文化が住人を怪物にしてしまった」と思い込ませ、この「ただの文化」はオブジェクト認定を受けて財団の介入を食らってしまった。

結果、この独特極まる文化は歴史から消滅してしまった。住民が50数名しかいない以上、消滅そのものは避けられない未来だっただろう。しかしそれは、あくまでも時の流れによって行われなければならなかった。

当時の財団の見地を物語るインタビュー記録がある。
Keter認定から間もなくのこと、という部分を先に述べて、あえて全文を引用する。

███研究員: ……それで、このインタビューで何を聞きたいんだ?

█博士: あなたが暴動を起こした理由です。それと、あなたも一応職員なのですから、もう少しまともな言葉遣いを  

███研究員: やだね。あんたらを見てるだけでこっちは嫌気がさしてんだ。ああ、暴動を起こした理由は、██島の住民達を襲撃するのを止めるためだよ。

█博士: 襲撃? あれはSCP-1978-JPに暴露した住民を治療するための  

███研究員: そもそも、SCP-1978-JPなんてもの存在するのか? 俺にはあれがそんなに異常な文化には見えなかったぞ。だから、報告も事実だけを述べたはずだが、なんでこんなことになったんだろうな。

█博士: 異常ではない? あの倫理を踏みにじるような文化が? パートナーであるべき高度な知能を持つ哺乳類を喰らい、乱れた性習慣を持ち、果ては人まで喰らうあの文化がですか?

███研究員: ……あれは、愛情に満ちた文化なんだよ。

█博士: はい?

███研究員: 人を喰うのも、死んだ彼らと常に共にあるために、そして彼らが永久に失われてしまうのを防ぐためだ。動物の血を体に塗るのも、動物に対する感謝の印なんだよ。性習慣は、俺たちと少し価値観が違うだけだ。

█博士: 理解できませんね。人間の発展を否定するようなおぞましい行為です。

███研究員: ああそう言うと思ったよ。あの、前頭……なんだったかな。ロボトミー手術か? あんなイカれたことをやってのけるあんたらに言葉は通用しないってわかってたから、暴動を起こしたんだよ。まあ、失敗したけどな。

█博士: 前頭葉切截術のことですか? あれは世界的に認められている技術で、ノーベル賞も  

███研究員: はいはい、そう言うことなんだよ。俺たち人間は自分の価値観に当てはまらないやつの脳味噌をぐちゃぐちゃにして、お人形さんにするような技術を全身全霊で崇拝するような生き物さ。

█博士: 話が逸れてしまいました。それでは  

███研究員: なんも逸れちゃいない。なあ、俺たちの目的ってなんだったっけな? 異常ってなんだ? どこからが異常で、どこからが正常なんだ? 俺たちは何を守ればよかったんだ?

█博士: ふむ、落ち着いて聞いて欲しいのですが、精神の錯乱状況からみて、やはりあなたもタイプB異常の進行が著しいようです。インタビューは終わりにしましょう。後で治療しますから、今は落ち着いて、安心してください。

███研究員: ああクソが! せっかく科学の光が人間を照らしだしたってのに、人間は目をつぶったままだ!

█博士: 興奮せず、落ち着いて、落ち着いて…… 保安員! 彼を移動するのを手伝ってください!


財団の目的は確保、収容、保護。
異常な特性を持ったオブジェクトを確保し、収容し、それらを外界から、それらから外界を保護する。それが財団の使命だ。
だが、異常とは何を以て異常とされるのか?
EX認定されたオブジェクトの中には、当時の価値観や基準に合わなかったという理由で異常とされた、ただの現象も存在する。

ここに、日本支部の倫理委員会の評議員を務める、冴場春樹氏からの委員会の新入りへのメッセージがある。

これは、我々の過ちの記録です。我々の仕事は、異常オブジェクトを収容し、守るべき正常から隔離することです。では、異常と正常の線引きはどのようにして行われるべきでしょうか?
現在の我々であればこのような過ちは犯さないでしょう。しかしそれは我々人類そのものが成長したからではなく、異常と正常を区別するための科学が発展したからにすぎません。

旧版の報告書を読み、あの文化を少しでも異常だと思った者全てには、過ちを犯す素養があるのだと理解してください。

そして忘れないでください。倫理とは、自らの価値観を押し付け、その枠からはみ出たものを狂人として排除するための便利な言葉ではないのです。



SCP-1978-JP/SCP-1901-JP-EX

日本海に位置する孤島██における異常な文化





追記・修正は見地を広く持ってお願いします。


CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1901-JP-EX - 日本海に位置する孤島██における異常な文化
by k-cal
http://ja.scp-wiki.net/scp-1978-jp(削除済)

この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。
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